JP3858694B2 - 電子鍵盤楽器の楽音再生方法および電子鍵盤楽器 - Google Patents

電子鍵盤楽器の楽音再生方法および電子鍵盤楽器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の楽器種類の楽音を発生できる電子鍵盤楽器の楽音再生方法および電子鍵盤楽器に関し、楽器種類ごとに楽音の奥行感や拡がり感等を設定できるようにして、自然楽器ごとの楽音の特徴を再現できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の音色の楽音を発音できる従来の電子鍵盤楽器として、各種音色の楽音信号を個別に左右チャンネルの再生系統に割り当て、残響等の効果を付与して左右のスピーカから再生するものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の電子鍵盤楽器においては、音色ごとに楽音の左右方向の定位を設定することはできるが、音色ごとに楽音の奥行感や拡がり感等を設定することはできず、自然楽器ごとの楽音の特徴を再現することはできなかった。
【0004】
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、音色(楽器種類)ごとに楽音の奥行感や拡がり感等を設定できるようにして、自然楽器ごとの楽音の特徴を再現できるようにした電子鍵盤楽器の楽音再生方法および電子鍵盤楽器を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の電子鍵盤楽器の楽音再生方法は、楽器筐体の前面に配置された左右のスピーカを含み、演奏者に対面する方向に向けて配置された正面スピーカと、前記楽器筐体の背面にその背後方向に向けて配置された背面スピーカと、前記楽器筐体の上面に上方に向けて配置された上面スピーカを用意し、個別の楽器種類の楽音信号を発生する音源チャンネルごとに、前記各スピーカへの割当音量を設定し、該各音源チャンネルの楽音信号を該設定された割当音量で該各スピーカの再生系統にそれぞれ割り当て、該各スピーカ再生系統ごとに、該割り当てられた各音源チャンネルの楽音信号をミキシングして、該当するスピーカからそれぞれ再生し、前記楽器種類ごとに、各対応する実際の楽器の楽音の奥行感に応じて、前記正面スピーカに対する前記背面スピーカの割当音量を設定し、かつ、前記楽 器種類ごとに、各対応する実際の楽器の楽音の拡がり感に応じて、前記正面スピーカに対する前記上面スピーカの割当音量を設定するものである。この発明によれば、背面スピーカおよび上面スピーカの割当音量を増やすことにより、楽音の奥行感や拡がり感が得られる。そして、楽器種類ごとに正面スピーカに対する背面スピーカおよび上面スピーカの割当音量を設定することにより、楽器種類ごとに楽音の奥行感や拡がり感等を設定することができ、自然楽器ごとの楽音の特徴を再現することができる。
【0006】
この発明の電子鍵盤楽器は、楽器筐体の前面に配置された左右のスピーカを含み、演奏者に対面する方向に向けて配置された正面スピーカと、前記楽器筐体の背面にその背後方向に向けて配置された背面スピーカと、前記楽器筐体の上面に上方に向けて配置された上面スピーカと、複数の音源チャンネルから個別の楽器種類の楽音信号を発生する音源手段と、前記音源手段で発生する楽器種類ごとの楽音信号の前記各スピーカ再生系統への割当音量を記憶する記憶手段と、前記各音源チャンネルの楽音信号を、前記記憶手段に記憶された割当音量で前記各スピーカの再生系統へ割り当てる割当手段と、該割り当てられた楽音信号を、前記各スピーカの再生系統ごとにミキシング処理して、該当するスピーカ再生系統にそれぞれ供給するミキシング手段とを具備し、前記記憶手段に記憶された割当音量は、前記楽器種類ごとに、各対応する実際の楽器の楽音の奥行感に応じて、前記正面スピーカに対する前記背面スピーカの割当音量を設定し、かつ、前記楽器種類ごとに、各対応する実際の楽器の楽音の拡がり感に応じて、前記正面スピーカに対する前記上面スピーカの割当音量を設定しているものである。
【0007】
楽器種類ごとに該左右正面スピーカへの割当音量を設定することにより、楽器種類ごとに左右方向の定位を設定することができる。
【0008】
面スピーカへの割当音量を増やすことにより、特に楽音の奥行感を増強させることができる。楽器種類ごとに背面スピーカへの割当音量を設定することにより、楽器種類ごとに奥行感を設定することができる。例えばピアノ音について背面スピーカへの割当音量を増やすことにより、グランドピアノのような奥行感が得られる。背面スピーカは、例えば左右スピーカで構成することができる。
【0009】
面スピーカへの割当音量を増やすことにより、特に楽音の拡がり感を増強させることができる。楽器種類ごとに上面スピーカへの割当音量を設定することにより、楽器種類ごとに拡がり感を設定することができる。例えばフルート音について上面スピーカへの割当音量を増やすことにより、フルート音の拡がり感が得られる。上面スピーカは、例えば左右スピーカで構成することができる。
【0010】
この発明の電子鍵盤楽器は、楽器筐体の前面に演奏者に対面する方向に向けて配置された低音用スピーカをさらに具備することができる。この場合、前記割当手段は、各音源チャンネルの楽音信号を、個別に設定された割当音量で該低音用スピーカの再生系統へ割り当て、前記ミキシング手段は、該低音用スピーカ再生系統に割り当てられた各音源チャンネルの楽音信号をミキシングして該低音用スピーカ再生系統に供給するものとすることができる。これによれば、楽器種類ごとに低音用スピーカへの割当音量を設定することができるので、低音域を含む楽器音について低音用スピーカへの割当音量を増やすことにより、該楽器音をリアルに再現することができる。
【0011】
この発明の電子鍵盤楽器は、前記割当手段に設定された割当音量を、使用者の操作により音源チャンネルごとに修正する割当音量修正操作手段をさらに具備することができる。この場合、前記記憶手段が該修正された割当音量を記憶し、前記割当手段が、電源再投入時等に、該記憶手段の読出指令に基づき、前記各楽器種類の楽音信号の音源チャンネルごとに、各スピーカ再生系統への割当音量を、該記憶された割当音量にそれぞれ設定するものとすることができる。
【0012】
この発明の電子鍵盤楽器は、前記楽器筐体に取り付けられた加振器をさらに具備し、前記割当手段が、前記各音源チャンネルの楽音信号を、個別に設定された割当音量で該加振器の駆動系統へ割り当て、前記ミキシング手段が、該加振器駆動系統に割り当てられた各音源チャンネルの楽音信号をミキシングして該加振器駆動系統に供給するものとすることができる。これによれば、楽音信号で加振器を駆動することにより、楽器筐体の振動が得られ、加振器の設置箇所によっては、加振器の振動が床に伝達されて床の振動も併せて得られる。例えばピアノ、コントラバス、チェロ等床に振動が伝わる楽器の音色の楽音信号で加振器を駆動することにより、これらの楽器の演奏状態をリアルに再現することができる。なお、加振器駆動系統は、特に楽音信号の低音域を抽出するものとすることができる。
【0013】
この発明の電子鍵盤楽器は、前記各音源チャンネルの楽音信号に個別に所定の楽音パラメータを付与する楽音パラメータ付与手段をさらに具備してなり、前記割当手段が、該楽音パラメータが付与された後の楽音信号について、個別に設定された割当音量で前記各スピーカ再生系統への割り当てを行うものとすることができる。楽音パラメータは、周波数特性、遅延時間、残響特性のいずれか1または2以上のパラメータを含むものとすることができる。これによれば、楽器種類ごとに所望の楽音特性に設定することができる。
【0014】
この発明の電子鍵盤楽器は、前記ミキシング処理された後の各スピーカ再生系統の楽音信号に個別に所定の楽音パラメータを付与する第2の楽音パラメータ付与手段をさらに具備することができる。楽音パラメータは、周波数特性、遅延時間、残響特性のいずれか1または2以上のパラメータを含むものとすることができる。これによれば、スピーカ再生系統ごとに所望の楽音特性に設定することができる。また、この発明の電子鍵盤楽器は、前記ミキシング処理された後の各スピーカ再生系統の楽音信号の音量を個別に調整する音量調整手段をさらに具備することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を説明する。図2は、この発明による電子鍵盤楽器の全体構成を示す。電子鍵盤楽器10は、筐体12の前面側に鍵盤14および操作パネル15を具備している。筐体12の前面12aの鍵盤14よりも上方位置の左右には、正面スピーカ16,18が、放音面を演奏者と対面する方向に向けて設置されている。筐体12の背面12bの左右には、背面スピーカ20,22が、放音面を背後方向に向けて設置されている。筐体12の上面12dの左右には、上面スピーカ24,26が、放音面を上方に向けて設置されている。筐体12の前面12aの鍵盤14よりも下方位置の左右方向中央位置には、低音用スピーカ28が設置されている。筐体12内の適宜の位置(例えば底板12c上)には、加振器30が設置されている。
【0016】
電子鍵盤楽器10に搭載されている電気回路構成を図1に示す。操作パネル15では、使用者(演奏者等)が、楽器種類ごとのオン、オフ設定操作、楽器種類ごとの楽音パラメータ(周波数特性、遅延時間、残響特性等)の設定操作、楽器種類ごとの各スピーカおよび加振器への割当音量(加振器の場合、割当振動量に相当する。)の設定操作、楽器種類ごとの音量の調整操作、スピーカ再生系統および加振器駆動系統ごとの楽音パラメータ(周波数特性、遅延時間、残響特性等)の設定操作、スピーカ再生系統および加振器駆動系統ごとの音量(加振器の場合、振動量に相当する。)の調整操作、楽音全体(加振器の振動を含む。)の総音量調整操作等を行う。
【0017】
操作パネル15からの操作情報は、インタフェースコントロールユニット32に送られる。インタフェースコントロールユニット32において、ミキシングバランス制御部34は、使用者による楽器種類ごとのオン、オフ設定操作に基づき、各対応する音源ユニットのオン、オフ制御を行う。また、ミキシングバランス制御部34は、使用者による楽器種類ごとの各スピーカおよび加振器への割当音量の設定操作に基づき、各楽器種類の楽音信号の各スピーカおよび加振器への音量割当制御を行う。また、ミキシングバランス制御部34は、使用者による楽器種類ごとの音量の調整操作に基づき、楽器種類ごとの音量の調整制御を行う。効果付与部36は、使用者による楽器種類ごとの楽音パラメータの設定操作に基づき、各楽器種類ごとの楽音パラメータ(周波数特性、遅延時間、残響特性等)の付与制御を行う。また、効果付与部36は、使用者によるスピーカ再生系統および加振器駆動系統ごとの楽音パラメータの設定操作に基づき、スピーカ再生系統および加振器駆動系統ごとの楽音パラメータ(周波数特性、遅延時間、残響特性等)の付与制御を行う。音量調整部38は、使用者によるスピーカ再生系統および加振器駆動系統ごとの音量調整操作に基づき、スピーカ再生系統および加振器駆動系統ごとの音量調整制御を行う。また、音量調整部38は、使用者による楽音全体の音量調整操作に基づき、スピーカ再生系統および加振器駆動系統全体の音量調整制御を行う。
【0018】
不揮発性メモリ40はEPROM等で構成され、楽器種類ごとの各スピーカおよび加振器への割当音量、楽器種類ごとの楽音パラメータ、スピーカ再生系統および加振器駆動系統ごとの楽音パラメータ、スピーカ再生系統および加振器駆動系統ごとの音量調整等の各設定値を記憶している。電子鍵盤楽器10の電源をオンすると、不揮発性メモリ40から各パラメータの設定値が読み出されて、各該当する部分に設定され、電子鍵盤楽器10全体が前回の電源オフ直前の設定状態に復帰する。使用者の設定操作、調整操作により設定値に修正が加えられると、自動であるいは使用者の記憶操作により、不揮発性メモリ40の記憶内容が、該修正された内容に更新される。
【0019】
なお、これら各パラメータについてメーカによるデフォルト値をROM等に予め用意しておき、使用者による最初の使用時に、各パラメータが該デフォルト値に設定されるようにしてもよい。この場合、使用者は、各パラメータをこのデフォルト値から任意に修正することができ、該修正された内容は、自動であるいは使用者の記憶操作により、不揮発性メモリ40に記憶することができる。修正後も、使用者によるリセット操作等によりデフォルト値に復帰できるようにすることができる。
【0020】
音源部42は、各種自然楽器等の楽音信号を発生するサンプリング音源等による音源ユニット42−1,42−2,…,42−nを具え、演奏者の演奏(またはROM等の記憶媒体に記憶された自動演奏プログラム)に応じて各音源ユニット42−1,42−2,…,42−nから発生する楽音信号を音源チャンネル44−1,44−2,…,44−nにそれぞれ送出する。スイッチ46−1,46−2,…,46−nは、使用者による楽器種類ごとのオン、オフ設定操作によってオン、オフされるもので、オン(選択)された楽器種類に該当する音源チャンネルの楽音信号を通過させ、オフ(非選択)された楽器種類に該当する音源チャンネルの楽音信号を遮断する。各音源チャンネル44−1,44−2,…,44−nの楽音信号は、アッテネータ47−1,47−2,…,47−nに供給され、使用者による楽器種類ごとの音量の調整操作に基づき、それぞれ音量調整される。楽音パラメータ付与部48は、音源チャンネル44−1,44−2,…,44−nごとに楽音パラメータ付与ユニット48−1,48−2,…,48−nを具え、各音源チャンネル44−1,44−2,…,44−nの楽音信号に、操作者によって楽器種類ごとに設定された周波数特性、遅延時間、残響特性等の楽音パラメータを付与する。これにより、楽器種類ごとに、使用者が希望する音響特性に調整することができる。
【0021】
割当部50は、スピーカ再生系統52,54,56,58,60,62,64および加振器駆動系統66ごとにミキシングアンプ68,70,72,74,76,78,80,82を具えている。各ミキシングアンプ68,70,72,74,76,78,80,82は、音源チャンネル44−1,44−2,…,44−nごとに音量調整ユニット(アッテネータ)68−1,68−2,…,68−n、70−1,70−2,…,70−n、………、82−1,82−2,…,82−nを具えている。各音量調整ユニット68−1,………,82−nは、操作者によって楽器種類とスピーカ16,18,20,22,24,26,28および加振器30との組合せごとに設定された割当音量にそれぞれ調整され、各音源チャンネル44−1,44−2,…,44−nの楽音信号を、スピーカ再生系統52,54,56,58,60,62,64および加振器駆動系統66ごとに、該設定された割当音量に制御する。これにより、楽器種類ごとに、楽音の左右方向定位、奥行感、拡がり感等を調整できる。すなわち、左右正面スピーカ16,18相互の割当音量の大小関係により楽音の左右方向定位を設定することができる。背面スピーカ20,22への割当音量を増やすことにより、特に楽音の奥行感を増強させることができる。上面スピーカ24,26への割当音量を増やすことにより、特に楽音の拡がり感を増強させることができる。加振器30への割当音量を増やすことにより、演奏に同期して筐体12や床の振動を増強させることができる。
【0022】
各ミキシングアンプ68,70,72,74,76,78,80,82は、自己に属する音量調整ユニットで音量が調整された各音源チャンネルごとの楽音信号をアンプ68a,70a,72a,74a,76a,78a,80a,82aでそれぞれミキシングして、スピーカ再生系統52,54,56,58,60,62,64および加振器駆動系統66に送出する。
【0023】
楽音パラメータ付与部84は、スピーカ再生系統52,54,56,58,60,62,64および加振器駆動系統66ごとに楽音パラメータ付与ユニット86,88,90,92,94,96,98,100を具え、スピーカ再生系統52,54,56,58,60,62,64および加振器駆動系統66の楽音信号に、操作者によってスピーカ16,18,20,22,24,26,28および加振器30ごとに設定された周波数特性、遅延時間、残響特性等の楽音パラメータを付与する。これにより、スピーカ16,18,20,22,24,26,28および加振器30ごとに、使用者の好みに応じた音響特性に調整することができる。なお、加振器30の楽音パラメータ付与ユニット100は、特に楽音信号の低音域成分を抽出する周波数特性を有するものとすることができる。楽音パラメータが付与されたスピーカ再生系統52,54,56,58,60,62,64および加振器駆動系統66の楽音信号は、アッテネータ102,104,106,108,111,113,115,117で音量(各再生系統ごとの音量および楽音全体の音量)が調整され、パワーアンプ119,121,123,125,127,129,131,133を介してスピーカ16,18,20,22,24,26,28および加振器30にそれぞれ供給される。
【0024】
以上の構成によれば、使用者が操作パネル15上で、楽器種類を選択(例えば音域ごとに選択する等。上鍵盤、下鍵盤、ペダルが設けられている場合は、上鍵盤、下鍵盤、ペダルごとに個別に選択可とすることができる。)すると、音源チャンネル44−1,44−2,…,44−nに配置されたスイッチ46−1,46−2,…,46−nのうち選択されたものがオンし、演奏者の演奏(または自動演奏プログラム)に応じて、該当する楽器種類の楽音信号が、該オンされたスイッチを介して送出され、楽音パラメータ付与部48に入力される。楽音パラメータ付与部48は、該入力される楽音信号に、楽器種類ごとに設定された楽音パラメータ(周波数特性、遅延時間、残響特性等)を付与する。楽音パラメータが付与された楽音信号は、割当部50の音量調整ユニット68−1,………,82−nのマトリクスで、楽器種類とスピーカ16,18,20,22,24,26,28および加振器30との組合せごとに設定された割当音量にそれぞれ調整され、スピーカ再生系統52,54,56,58,60,62,64および加振器駆動系統66ごとにミキシングされて、楽音パラメータ付与部84に入力される。楽音パラメータ付与部84は、該入力される楽音信号に、スピーカ再生系統52,54,56,58,60,62,64および加振器駆動系統66ごとに設定された楽音パラメータ(周波数特性、遅延時間、残響特性等)を付与する。該楽音パラメータが付与された楽音信号は、アッテネータ102,104,106,108,111,113,115,117で音量が調整され、パワーアンプ119,121,123,125,127,129,131,133を介してスピーカ16,18,20,22,24,26,28および加振器30にそれぞれ供給されて発音または加振される。これにより、楽器種類ごとに、設定された左右方向定位、奥行感および拡がり感で、演奏者の演奏(または自動演奏プログラム)に基づく楽音信号が発音され、また、演奏に同期して加振器30を駆動することにより、筐体12および床の振動が得られる。
【0025】
ここで、割当部50に設定される楽器種類ごとの割当音量の設定例を表1に示す。
【表1】
Figure 0003858694
【0026】
表1の設定例によれば、ピアノ音は正面左右スピーカ16,18と同等の音量を背面左右スピーカ20,22および上面左右スピーカ24,26に割り当てているので、実際のグランドピアノの楽音に近い奥行感および拡がり感を得ることができる。また、演奏に同期して、実際のグランドピアノ演奏時に近い筐体12および床の振動が得られる。オルガン音は、正面左右スピーカ16,18に近い音量を上面左右スピーカ24,26に割り当てているので、実際のオルガンの楽音に近い拡がり感を得ることができる。また、演奏に同期して、実際のオルガン演奏時に近い筐体12および床の振動が得られる。フルート音は正面左右スピーカ16,18の2倍の音量を上面左右スピーカ24,26に割り当てているので、実際のフルートの楽音に近い拡がり感を得ることができる。また、正面左右スピーカ16,18と同等の音量を背面左右スピーカ20,22に割り当てているので、実際のフルートの楽音に近い奥行感も得られる。なお、表1の設定例によれば、正面スピーカ16,18、背面スピーカ20,22、上面スピーカ24,26は、左右チャンネルの割当音量をそれぞれ等しく設定したが、左右チャンネルで割当音量を異ならせることにより、左右方向の音像定位を個別に設定することができる。
【0027】
また、以上の実施の形態では、正面スピーカ16,18を筐体12の前面12aの鍵盤14よりも上方位置に配置したが、筐体12の前面12aの鍵盤14よりも下方位置や、筐体12の上面12dの上等に配置することもできる
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態を示す図で、電子鍵盤楽器に搭載されている電気回路構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の電子鍵盤楽器の全体構成を示す斜視図および側面図である。
【符号の説明】
10…電子鍵盤楽器、12…楽器筐体、12a…楽器筐体の前面、12b…楽器筐体の背面、12d…楽器筐体の上面、15…操作パネル(割当音量修正操作手段)、16,18…正面スピーカ、20,22…背面スピーカ、24,26…上面スピーカ、28…低音用スピーカ、30…加振器、40…不揮発性メモリ(記憶手段)、42…音源部(音源手段)、44−1,44−2,…,44−n…音源チャンネル、48…楽音パラメータ付与部(楽音パラメータ付与手段)、52,54,56,58,60,62,64…スピーカ再生系統、66…加振器駆動系統、68−1,68−2,…,68−n、70−1,70−2,…,70−n、………、82−1,82−2,…,82−n…音量調整ユニット(割当手段)、68a,70a,72a,74a,76a,78a,80a,82a…アンプ(ミキシング手段)、84…楽音パラメータ付与部(第2の楽音パラメータ付与手段)、102,104,106,108,111,113,115,117…アッテネータ(音量調整手段)

Claims (10)

  1. 楽器筐体の前面に配置された左右のスピーカを含み、演奏者に対面する方向に向けて配置された正面スピーカと、前記楽器筐体の背面にその背後方向に向けて配置された背面スピーカと、前記楽器筐体の上面に上方に向けて配置された上面スピーカを用意し、
    個別の楽器種類の楽音信号を発生する音源チャンネルごとに、前記各スピーカへの割当音量を設定し、該各音源チャンネルの楽音信号を該設定された割当音量で該各スピーカの再生系統にそれぞれ割り当て、該各スピーカ再生系統ごとに、該割り当てられた各音源チャンネルの楽音信号をミキシングして、該当するスピーカからそれぞれ再生し、
    前記楽器種類ごとに、各対応する実際の楽器の楽音の奥行感に応じて、前記正面スピーカに対する前記背面スピーカの割当音量を設定し、かつ、
    前記楽器種類ごとに、各対応する実際の楽器の楽音の拡がり感に応じて、前記正面スピーカに対する前記上面スピーカの割当音量を設定する電子鍵盤楽器の楽音再生方法。
  2. 楽器筐体の前面に配置された左右のスピーカを含み、演奏者に対面する方向に向けて配置された正面スピーカと、
    前記楽器筐体の背面にその背後方向に向けて配置された背面スピーカと、
    前記楽器筐体の上面に上方に向けて配置された上面スピーカと、
    複数の音源チャンネルから個別の楽器種類の楽音信号を発生する音源手段と、
    前記音源手段で発生する楽器種類ごとの楽音信号の前記各スピーカ再生系統への割当音量を記憶する記憶手段と、
    前記各音源チャンネルの楽音信号を、前記記憶手段に記憶された割当音量で前記各スピーカの再生系統へ割り当てる割当手段と、
    該割り当てられた楽音信号を、前記各スピーカの再生系統ごとにミキシング処理して、該当するスピーカ再生系統にそれぞれ供給するミキシング手段とを具備し
    前記記憶手段に記憶された割当音量は、前記楽器種類ごとに、各対応する実際の楽器の楽音の奥行感に応じて、前記正面スピーカに対する前記背面スピーカの割当音量を設定し、かつ、前記楽器種類ごとに、各対応する実際の楽器の楽音の拡がり感に応じて、前記正面スピーカに対する前記上面スピーカの割当音量を設定している電子鍵盤楽器。
  3. 前記楽器筐体の前面に演奏者に対面する方向に向けて配置された低音用スピーカをさらに具備し、
    前記割当手段が、前記各音源チャンネルの楽音信号を、個別に設定された割当音量で該低音用スピーカの再生系統へ割り当て、
    前記ミキシング手段が、該低音用スピーカ再生系統に割り当てられた各音源チャンネルの楽音信号をミキシングして該低音用スピーカ再生系統に供給する請求項2記載の電子鍵盤楽器。
  4. 前記割当手段に設定された割当音量を、使用者の操作により音源チャンネルごとに修正する割当音量修正操作手段をさらに具備してなる請求項2または3記載の電子鍵盤楽器。
  5. 前記記憶手段が前記修正された割当音量を記憶し、
    前記割当手段が、該記憶手段の読出指令に基づき、前記各楽器種類の楽音信号の音源チャンネルごとに、各スピーカ再生系統への割当音量を、該記憶された割当音量にそれぞれ設定する請求項記載の電子鍵盤楽器。
  6. 前記楽器筐体に取り付けられた加振器をさらに具備し、
    前記割当手段が、前記各音源チャンネルの楽音信号を、個別に設定された割当音量で該加振器の駆動系統へ割り当て、
    前記ミキシング手段が、該加振器駆動系統に割り当てられた各音源チャンネルの楽音信号をミキシングして該加振器駆動系統に供給する請求項2からのいずれかに記載の電子鍵盤楽器。
  7. 前記各音源チャンネルの楽音信号に個別に所定の楽音パラメータを付与する楽音パラメータ付与手段をさらに具備してなり、前記割当手段が、該楽音パラメータが付与された後の楽音信号について、個別に設定された割当音量で前記各スピーカ再生系統への割り当てを行う請求項2からのいずれかに記載の電子鍵盤楽器。
  8. 前記ミキシング処理された後の各スピーカ再生系統の楽音信号に個別に所定の楽音パラメータを付与する第2の楽音パラメータ付与手段をさらに具備してなる請求項2からのいずれかに記載の電子鍵盤楽器。
  9. 前記楽音パラメータが、周波数特性、遅延時間、残響特性のいずれか1または2以上のパラメータを含む請求項7または8記載の電子鍵盤楽器。
  10. 前記ミキシング処理された後の各スピーカ再生系統の楽音信号の音量を個別に調整する音量調整手段をさらに具備してなる請求項2からのいずれかに記載の電子鍵盤楽器。
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