JP3856076B2 - ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法 - Google Patents
ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、冷媒、発泡剤、溶剤として有用な化合物である1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを得る方法としては、オクタフルオロシクロペンテンを0.1%パラジウム担持アルミナを触媒として175〜200℃で水素により水素化することで1,2−ジヒドロオクタフルオロシクロペンタンと共に少量成分として得る方法が英国特許第1046095号明細書に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、新規な1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法を提供することにあり、とりわけ、高収率、特に高選択率で1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、1,1−ジクロロオクタフルオロシクロペンタンを特定の触媒の存在下に水素で還元することで塩素のみならず特定のフッ素原子のみを還元することができ目的とする1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを収率並びに選択率よく得ることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は1,1−ジクロロオクタフルオロシクロペンタンを水素化触媒の存在下水素により還元して1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを製造する方法であって、水素化触媒がパラジウムまたは白金であることを特徴とする1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法である。
【0006】
1,1−ジクロロオクタフルオロシクロペンタンはどの様な方法で製造したものであってもよいが、例えば、米国特許第5416246号明細書に記載された1,2−ジクロロオクタフルオロシクロペンタンの塩素化フッ素化アルミ(Aluminum chlorofluoride)で異性化することで得られ、また、本願出願人の出願になる特願平第10−314661号に記載された様に1,2−ジクロロヘキフルオロシクロペンテンをフッ素化触媒の存在下塩素とフッ化水素とを同時に反応させることでも得られる。
【0007】
水素化触媒としてはパラジウムが好ましい。また、水素化触媒の金属としては、パラジウムと白金の2種を同時に使用してもよい。その場合もパラジウムを主たる活性成分とすることが好ましい。
【0008】
また、本発明で使用する水素化触媒はパラジウムまたは白金に、その他の成分を添加し合金触媒とすることができる。そのような成分としては、銀、銅、金、テルル、亜鉛、クロム、モリブデン、タリウム、錫、ビスマス、鉛などが挙げられる。一般的に合金触媒においては、合金組成に応じてその成分元素の特性が出現するといわれており、添加金属成分の量はパラジウムまたは白金100重量部に対して0.01〜500重量部、特には0.1〜300重量部が、パラジウムまたは白金の特性を活かす意味で好適である。
【0009】
パラジウム、白金、またはそれ以外の上記金属の各種担体への担持濃度としては担体100重量部あたり0.05〜10重量部と幅広いものが使用可能であるが、通常0.5〜5重量部担持品が推奨される。本発明において触媒の担体としては、例えば、活性炭、アルミナ、ジルコニア、チタニア等が好適である。また担体の粒径は、ほとんど反応に影響を及ぼさないが、好ましくは、0.1〜100mmが好適である。
【0010】
1,1−ジクロロオクタフルオロシクロペンタンの還元反応において、水素と1,1−ジクロロオクタフルオロシクロペンタンの割合は大幅に変動させ得る。しかしながら、通常少なくとも化学量論量の水素を使用してハロゲン原子を水素原子に置換する。1,1−ジクロロオクタフルオロシクロペンタンの1モルに対して、化学量論量よりかなり多い量、例えば3モルまたはそれ以上の水素を使用し得る。反応圧力については常圧または常圧以上の圧力が使用し得る。
【0011】
反応温度は0〜450℃、好ましくは50〜300℃とし、液相、または気相で反応を行うことが適当である。接触時間は、反応を気相で行う場合には通常0.1〜300秒、特には1〜30秒である。
【0012】
【実施例】
次に実施例をもって本発明を説明するが、実施態様はこれに限られない。有機物の分析はガスクロマトグラフにより行い、有機物の組成は面積%で示す。
【0013】
[調製例1]
500mlナス型フラスコに活性炭(武田薬品工業(株)製粒状白鷺G2X−4/6)を100g秤取り,そこに約20%硝酸水溶液を約150ml添加して、約3時間静置し,活性炭の硝酸処理を行った。別に、300mlビーカーで硝酸ビスマス(III)五水和物Bi(NO3)3・5H2Oを2.321gと約30%硝酸水溶液200mlを混合し,湯浴中で完全に溶解した。また、別に、塩化パラジウム(II)PdCl28.335gを24%塩酸50gに溶解しPdCl2塩酸溶液を調製した。調製された硝酸ビスマス水溶液と塩化パラジウム溶液を混合した後、混合溶液を活性炭の入った上記フラスコに注入し2日間静置した。
【0014】
2日間静置した金属含浸活性炭をエバポレーターにてバス温を150℃まで上げて減圧乾燥した。次いで、乾燥された金属含浸活性炭を反応管(25mmφ×400mm容量約200ml)に充填し,窒素を200〜300ml/min流しながら,150℃から300℃まで50℃刻みに昇温し焼成した。300℃で1時間焼成し、設定温度を150℃に下げ窒素100ml/min、水素300ml/min流しながら300℃まで30℃刻みに再び昇温し還元を行い、水素化触媒を調製した。パラジウムとビスマスはそれぞれ活性炭重量の5重量%、1重量%である。
【0015】
[調製例2]
500mlナス型フラスコに活性炭(武田薬品工業(株)製粒状白鷺G2X−4/6)を100g秤取り,そこに約20%硝酸水溶液を約150ml添加して、約3時間静置し,予め活性炭の硝酸処理を行った。別に、塩化パラジウム(II)PdCl28.335gを24%塩酸50gに溶解しPdCl2塩酸溶液を調製した。調製された塩化パラジウム溶液を活性炭の入った上記フラスコに注入し2日間静置した。
【0016】
その後の分離、乾燥活性化処理などは調製例1と同様に行い、水素化触媒を調製した。パラジウムは活性炭重量の5重量%である。
【0017】
[調製例3]
300mlナス型フラスコに活性炭(武田薬品工業(株)製粒状白鷺 G2X−4/6)を60g秤取り、次に、予めヘキサクロロ白金(IV)酸・六水和物H2PtCl6・6H2O0.796gを30%塩酸100mlに溶解した溶液を注入し、2日間静置した。
【0018】
その後の分離、乾燥活性化処理などは調製例1と同様に行い、水素化触媒を調製した。白金は活性炭重量の0.5重量%である。
【0019】
[調製例4]
200ml三角フラスコにH2PtCl6・6H2O 0.47gを入れ、これを30%塩酸40gに溶解した。これに、PdCl2 0.175gおよび30%塩酸60gを加え均一溶液を調整した。500mlナス型フラスコに調製例1で使用したのと同じ活性炭を35g秤取り、先に調整した塩化白金酸と塩化パラジウムの塩酸溶液を注入し、2日間静置した。2日間静置した金属含浸活性炭をエバポレ−タ−にてバス温を150℃まで上げて減圧乾燥した。次いで、乾燥した金属含浸活性炭76mlを反応管(18mm×440mm、容量約110ml)に充填し、窒素を50ml/min流しながら、150℃から300℃まで50℃刻みに昇温し焼成した。300℃で1時間焼成した後、設定温度を150℃に下げ、窒素50ml/min、水素175ml/minを流しながら300℃まで30℃刻みに昇温し還元を行い水素化触媒を調製した。白金とパラジウムはそれぞれ活性炭重量の0.5重量%である。
【0020】
[実施例1]
調製例1で調製した水素化触媒を120ml充填したSUS304製反応管(25mmφ×400mm容量約200ml)に、窒素100ml/min、水素340ml/minを導入しながら反応管温度を85℃に設定して昇温を始めた。設定温度に達した反応管に、反応管上部に横型に設置した110℃に設定した有機物気化器(18mmφ×300mm)でガス化させた原料有機物1,1−ジクロロオクタフルオロシクロペンタンを0.2g/minの流量で導入した。しばらくすると反応温度は89℃で安定した。反応生成ガスは、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、1−クロロ−1,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロシクロペンタンが4.0%(面積%、以下同じ)、1,1,2,2,3,3,4,5−オクタフルオロシクロペンタンが0.2%、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンが92.3%、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロシクロペンタンが2.7%であった。反応温度のみを変えて1−1〜1−4の反応を行いそれぞれの結果を表1に示した。
【0021】
【表1】
【0022】
[実施例2]
調製例2で調製した水素化触媒を用いて実施例1と同一の反応、分析を行い結果を表1に示した(2−1、2−2)。
【0023】
[実施例3]
調製例3で調製した水素化触媒を用いて実施例1と同一の反応、分析を行い結果を表1に示した。
【0024】
[実施例4] 調整例4で調製した水素化触媒76mlを充填したSUS304製反応管(18mm×440mm、容量約110ml)に窒素50ml/min、水素175ml/minを導入しながら反応管温度を85℃に設定して昇温を始めた。設定温度に達した反応管に、反応管上部に横型に設置し110℃に設定した有機物気化器(18mm×300mm)でガス化させた原料有機物1,1−ジクロロオクタフルオロシクロペンタンを0.2g/minの流量で導入した。反応生成ガスをガスクロマトグラフィ−により分析した結果を表1に示した。
【0025】
【発明の効果】
本発明の方法は、1,1−ジクロロオクタフルオロシクロペンタンから極めて高い選択率で1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを製造できるという効果を奏する。
Claims (3)
- 1,1−ジクロロオクタフルオロシクロペンタンを水素化触媒の存在下水素により還元して1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを製造する方法であって、水素化触媒がパラジウムまたは白金であることを特徴とする1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法。
- 水素化触媒が、パラジウムまたは白金に、銀、銅、金、テルル、亜鉛、クロム、モリブデン、タリウム、錫、ビスマスおよび鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を添加してなる水素化触媒である、請求項1に記載の1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法。
- 水素化触媒が、パラジウム−ビスマス/活性炭触媒、パラジウム/活性炭触媒、白金/活性炭触媒、又は、白金−パラジウム/活性炭触媒である、請求項1または請求項2に記載の1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの製造方法。
【0001】
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