JP3850491B2 - 樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、及びビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体とを主体とした重合体組成物を延伸してなる樹脂フィルムにおいて、滑り性及び耐ブロッキング性の付与と印刷適性の維持とを両立させた樹脂フィルムとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、一般包装用フィルムとして、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体を用いたスチレン系樹脂の延伸フィルムの使用が増加しており、なかでもシュリンクラベル用包装フィルムの分野での増加が顕著である。
シュリンクラベル用のスチレン系樹脂組成物に関する従来技術としては、特公昭62−25701号公報、特公平3−12535号公報に記載されるように、ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(A)及びビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体(B)とを主体とした混合重合体組成物が収縮特性、弾性率、耐衝撃強度等に優れた重合体組成物として公知である。更に改良技術としては、上記ブロック共重合体(B)を水素添加処理したブロック共重合体やゴム変性スチレン系重合体などを第3成分として(A),(B)に更に加えた重合体組成とし、収縮特性、弾性率、耐衝撃強度や透明性を向上する改良技術として開示されている。
【0003】
一方で、シュリンクラベル用のフィルムは、包装機械適性としてフィルムの滑り性や熱水加熱殺菌時の耐ブロッキング性を要求される場合が多い。すなわち、瓶やプラスチックボトルの大きさに合わせて円筒状にするためにあらかじめフィルム端部同志をシール加工するいわゆる製袋工程や、1枚毎に裁断して瓶やボトルに被覆させるいわゆる装着工程においては、フィルムの走行時に接触する金属製部品との滑り性が特に必要とされる。また、熱水加熱殺菌とは、シュリンクラベルを瓶やボトルに装着し加熱収縮させたのちに瓶やボトルに、一般的には60〜90℃の熱水をかけて加熱殺菌する事であり、その際に瓶やボトルを被覆しているラベル同志が接触してもブロッキングしない事、いわゆる耐ブロッキング性が要求される。
【0004】
スチレン系樹脂の延伸フィルムの滑り性や耐ブロッキング性を向上させる手段としては、特公平3−58380号公報、特開昭61−159442号公報に記載されるように無機充填剤を配合する方法があるが、フィルム表面に硬い無機充填剤を突出させて粗面化する為にフィルム同志が擦れ合うと傷つきやすい欠点があり、又、滑り性や耐ブロッキング性の効果を充分に得るだけの量を配合するとフィルムの透明性が悪くなる為に、好ましい手段ではない。
【0005】
又、ワックス類、高級脂肪酸、脂肪酸アミドなどを滑剤として配合した樹脂組成物をフィルム加工し、その後表面に滑剤をブリードアウトさせて滑剤の被膜を形成して滑り性や耐ブロッキング性を向上させる方法が一般的に知られており、例えば特開平1−43546号公報には、不飽和脂肪酸アミドと飽和脂肪酸アミドの併用系の滑剤を配合したポリエチレン系樹脂組成物が開示されている。ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂のフィルムの場合は、一般にポリオレフィン樹脂のガラス転移点が常温以下の温度であり前記の滑剤がフィルム加工後の早い段階でブリードアウトしやすい特性のある事から、比較的少量の滑剤の添加でよく、しかも経時変化の少ない安定した滑り性や耐ブロッキング性の性能が得やすいが、スチレン系樹脂組成物の延伸フィルムの場合は、一般に前記スチレン系樹脂組成物のガラス転移点が常温を越える温度である為にフィルム加工後の滑剤のブリードアウトが遅く、安定した滑り性や耐ブロッキング性を得にくいという問題がある。
【0006】
更には、シュリンクラベル用フィルムの場合は、商品名を表示したり美麗なデザインを施すためにフィルムの裏面の全面に印刷する場合が多く、その印刷適性のある事が必須の要件であるが、前記の滑剤を配合して過剰に表面にブリードすると印刷適性が悪くなる、すなわちインキの密着性が落ちるという問題があるので、シュリンクラベル用のスチレン系樹脂のフィルムに前記の滑剤を配合して、経時に安定な滑り性、耐ブロッキング性、印刷適性を得る事はできないのが現状である。
【0007】
又、シュリンクラベル用フィルムを2層構造にして印刷面側にはビスアミド系滑剤の表面量を少なくする方法が特開平8−90731号公報に記載されているが、2層構造とする設備的な対応を要するとともに、開示されているビスアミド系滑剤の表面ブリード量の経時変化にともなう滑り性や耐ブロッキング性の性能の変化の問題が残る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の欠点を克服し、印刷適性や透明性を阻害せずに、経時変化にともなう滑り性や耐ブロッキング性を改良することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述のように、本発明の対象とするシュリンクラベル用フィルム、すなわちビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルの共重合体(A)及びビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体(B)との混合樹脂組成を主体とした重合体組成物の延伸フィルムは、収縮特性、弾性率、耐衝撃性等の優れた特性を発揮し得るものの、シュリンクラベルとして要求される経時に安定な滑り性、熱水加熱時の耐ブロッキング性の付与と、印刷適性と透明性の維持を両立させた性能を確保していないという課題がある。
【0010】
本発明者らは、上記の課題及び従来技術の問題点を鋭意検討した結果、シュリンクラベル用フィルムとして好適な特性を与える重合体組成物である、ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルの共重合体(A)及びビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体(B)との混合樹脂組成を主体とした重合体組成物の延伸フィルムにおいては、特定の脂肪酸アミド(C)を特定の割合で配合する事によってシュリンクラベルとして要求される経時に安定な滑り性、熱水加熱時の耐ブロッキング性の付与と、印刷適性と透明性の維持を両立させたシュリンクラベル用のフィルムとなる事を見いだし、更にはその製造方法としては、前記の特定の脂肪酸アミド(C)を配合した樹脂組成物を押し出して主延伸方向に延伸する前の工程で該脂肪酸アミド(C)のブリードを促進する特定の条件下とする製造方法により、特に好ましい前記の特性、すなわち、経時に安定な滑り性と熱水加熱時の耐ブロッキング性の付与と、印刷適性と透明性の維持を両立させた特性を発現する事を見いだし、本発明の課題を解決し得るに至った。すなわち、本発明の熱収縮性樹脂フィルムは、下記(A),(B)を含有する重合体組成物であって、該(A)と(B)の重量比が10:90〜90:10である重合体組成物100重量部に対して、下記(C)の滑剤の一種以上を合計量で0.02〜0.45重量部配合した樹脂組成物を少なくとも1方向に延伸してなることを特徴とする樹脂フィルムである。
【0011】
(A)ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体であって、ビニル芳香族炭化水素の含有量が20〜95重量%である共重合体
(B)ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと共役ジエンを含有する重合体ブロックからなり、ビニル芳香族炭化水素の含有量が20〜95重量%であるブロック共重合体
(C)総炭素数が14〜22である飽和型のモノ脂肪酸アミド
また、本発明の樹脂フィルムの製造方法は、Tダイより押し出して表面温度が80℃〜110℃のロールに3〜10秒間接触してのちに少なくとも1方向に延伸してなる樹脂フィルムである事を特徴とする。
【0012】
本発明の樹脂フィルムの重合体組成物は従来公知のものであるが、従来技術の樹脂フィルムと相違する点は、特定の脂肪酸アミドを特定の割合で配合する事にあり、印刷適性と透明性を阻害しないで滑り性と熱水加熱時の耐ブロッキング性を発現するものである。
又、本発明の樹脂フィルムの製造方法は、前記の滑剤である特定の脂肪酸アミドを配合した樹脂組成物をTダイから押し出すにあたり、主延伸方向に延伸する前の工程で前記の滑剤のブリードを促進する為の特定の条件下とする方法である。
【0013】
以下、本発明の樹脂フィルムの重合体組成物、滑剤について順次説明する。
まず、共重合体(A)に用いられるビニル芳香族炭化水素とは、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等から選ばれる1種以上のスチレン系単量体をいい、特に一般的にはスチレンが選ばれる。
【0014】
又、脂肪族不飽和カルボン酸エステルとは、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル等の炭素数C1〜C12、好ましくはC3〜C12のアルコールとアクリル酸とのエステル誘導体、又は同様にC1〜C12、好ましくはC3〜C12のアルコールとメタアクリル酸とのエステル誘導体、又はα,βジカルボン酸(例えばフマル酸、マレイン酸、イタコン酸等)、又はこれらジカルボン酸とC2〜C12のアルコールとのモノ又はジエステル誘導体等から選ばれる少なくとも1種の単量体である。これらの内、好ましくはエステル類主体で、より好ましいものはアクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル等のエステル類を主体とするものである。
【0015】
ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(A)は、ビニル芳香族炭化水素含有量が20〜95重量%、好ましくは50〜90重量%のものであり、20重量%未満であると一般的には成形体の硬さ(腰の強さ)が不足し実用上使いにくく、95重量%を越えると一般的には脂肪族不飽和カルボン酸エステルを導入する目的である成形体の軟化温度をさげる効果、すなわちシュリンクラベル用フィルムとしての低温収縮性の発現の効果などが薄れる傾向にあり好ましくない。
【0016】
ブロック共重合体(B)は、少なくとも1個、好ましくは2個以上のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエンを含有する重合体ブロックからなり、ビニル芳香族炭化水素含有量が20〜95重量%、好ましくは50〜90重量%のものである。該ブロック共重合体(B)は、一般的には成形体になった場合の脆さを改善するために共役ジエンを主体とする重合体ブロックを導入されるものである。ビニル芳香族炭化水素含有量が95重量%を越えると脆さの改善効果が得られずに実用上使いにくく、又、20重量%未満であると共重合体(A)との相溶性が悪くなり成形体の透明性が悪くなるとともに成形体の硬さ(腰の強さ)が不足し実用上使いにくい。
【0017】
該ブロック共重合体(B)に用いられるビニル芳香族炭化水素とは、前述の共重合体(A)に用いるビニル芳香族炭化水素と同じグループから選んだ少なくとも1種のスチレン系単量体をいい、特に一般的にはスチレンが選ばれる。ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックとは、ビニル芳香族炭化水素を50重量%を越える量で含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロック、及び/又は、ビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックを示す。
【0018】
該ブロック共重合体(B)に用いられる共役ジエンとは、共役2重結合を有するオレフィン類で、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等であるが、特に一般的には1,3−ブタジエンが選ばれる。これらは2種以上混合してもよく、他の単量体と更に共重合しても差し支えない。共役ジエンを含有する重合体ブロックとは、共役ジエンを30重量%を越える量、好ましくは50重量%を越える量で含有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体ブロック、及び/又は、共役ジエン単独重合体ブロックを示す。この共重合体ブロック中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、又テーパー状に分布していてもよい。
【0019】
共重合体(A)とブロック共重合体(B)の混合組成物において、シュリンクラベル用フィルムとして、より優れた品質とする為にはブロック共重合体(A)と重合体(B)の混合比率は、好ましくは重量比率で10:90〜90:10、のものである。該ブロック共重合(A)の混合比率が、重合体(B)との和に対して10重量%未満であると、フィルムなどの成形体の機械的強度の付与(脆さの改善)などの為にブロック共重合体(A)を混合している効果が薄れ、90重量%を越えると軟化温度を下げたり硬さ(剛性)の保持などの為に重合体(B)を混合している効果が薄れるからである。
【0020】
本発明における重合体組成物は、上記共重合体(A)とブロック共重合体(B)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、収縮特性、弾性率、耐衝撃強度や透明性の向上を目的として、上記ブロック共重合体(B)を水素添加処理したブロック共重合体やゴム変性スチレン系重合体などを第3成分として加えることも可能であるが、重合体組成物において、上記共重合体(A)とブロック共重合体(B)の合計量は好ましくは50重量%以上、更には50重量%を越える量である。
【0021】
さらに、本発明において配合される滑剤としての脂肪酸アミド(C)は、その分子式における総炭素数が14〜22の飽和型のモノ脂肪酸アミドであり、具体的には、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどが使用される。なかでも好ましくは、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミドが使用される。
【0022】
総炭素数が14未満の飽和型モノ脂肪酸アミドであると、脂肪酸アミド自体の熱安定性に劣り押し出し時に加熱溶融する際に熱分解しやすい問題があり、又、総炭素数が22を越える飽和型モノ脂肪酸アミドであると、印刷溶剤の溶解性が低すぎて印刷適性に劣る問題があり、いずれも実用上使いにくい。
滑剤として配合される脂肪酸アミドが不飽和のモノ脂肪酸アミドを主体としたものであると、脂肪酸アミド自体の熱安定性に劣るという問題と、シュリンクラベルとして瓶やボトルに被覆され更にシュリンクされた後のフィルム表面は、シュリンク時の熱により、脂肪酸アミドの被膜が部分的に流れて均一な薄膜でなくなり、透明性が低下する場合もあり、実用上使いにくい。
【0023】
又、ビスアミド系の脂肪酸アミドを主体とすると、滑り性の向上の効果に劣る事に加えて、印刷溶剤の溶解性が無い為に印刷適性に劣る問題があり、実用上使いにくい。
本発明において配合される特定の飽和型モノ脂肪酸アミド(C)は、重合体組成物の合計に対して0.02〜0.45重量部含有し、0.05〜0.3重量部であるとより好ましい。該脂肪酸アミド(C)の配合量が上記の範囲内に含有されていれば、その特性を阻害しない範囲内で、本発明において対象としない脂肪酸アミドや他の滑剤と併用しても差し支えなく、例えば不飽和のモノ脂肪酸アミドとの併用はブリード促進の調整に役立つ場合があり、ビスアミド系の脂肪酸アミドとの併用は熱水加熱時の耐ブロッキング性をより向上させたり押し出し加工時の加工滑性の付与に役立つ場合があるが、併用する他の脂肪酸アミドや滑剤の含有量は、本発明において対象とする飽和型のモノ脂肪酸アミド(C)の含有量を越えない量が好ましい。
【0024】
次に、本発明の樹脂フィルムの製造方法について説明する。
本発明の樹脂フィルムの製造方法は、前述の特定の脂肪酸アミド(C)を配合した(A)、(B)、(C)を含有する樹脂組成物をTダイより押し出して表面温度が80〜110℃の金属ロールに3〜10秒間接触させた後、少なくとも1方向に延伸することを特徴とする。
【0025】
シュリンクラベル用の樹脂フィルムは、一般に、Tダイから、回転する金属ロール上に一旦シート状に押し出し、場合によっては更に単数あるいは複数のロールを経てのちテンターにより横方向に1軸延伸される。ここで、ロールへの接触はシート状への成形加工を目的とするが、縦方向の延伸を主目的とはしないので効率的な成形加工を行なう為に、キャスティングロールの温度をできるだけ下げてシートとロールとの接触時間を短くし、できるだけ簡略なロール設備とするのが一般的である。しかしながら、本発明の樹脂フィルムの製造方法においては、Tダイより押し出してロールとの接触させる条件を前述の特定の条件にコントロールする事が好ましい要件であり、シュリンクラベルに最適な表面特性とする事が可能となる。すなわち、本発明における樹脂組成物に配合される滑剤としての特定の脂肪酸アミド(C)を表面にブリードさせて被膜を形成しシュリンクラベルとして最適な表面特性を与えるにあたり、主延伸方向に延伸する前の工程で、比較的ブリードしにくい前記滑剤(C)のブリードを促進しておく為に、前述のように、Tダイから押し出したシ−トを表面温度が80〜110℃のロールに3〜10秒間接触させるのである。前述のロ−ルの温度を重合体組成物のガラス転移点近傍の温度にし、シートをガラス転移温度近傍の温度に保持する事で、シートからの特定の脂肪酸アミド(C)のブリードの促進を果たすと推定される。
【0026】
ロールの表面温度が80℃未満であると、滑剤のブリードの促進効果が充分でない為に滑り性の付与が効果的になされず、又、ロールの表面温度が110℃を越えるとシートとロールの密着が起きて製造が難しくなる。
又、厳密にはシートとロール表面が完全な密着状態となっていないシートの部位が存在する、すなわちシートとロール表面の間に空気層のあるシートの部位が存在する場合であっても、シートの走行とロールの位置関係において接触するとみなされる場合は、本発明におけるシートとロールの接触の範囲に含まれる。
【0027】
又、表面温度が80〜110℃のロールに3〜10秒間接触していれば、表面温度が80℃未満のロ−ルへの接触時間については制限は無い。
本発明において用いるロールは、金属製ロールである事が好ましいが、ブリードする滑剤を吸収するような材質でない限りは、金属製のロール表面に耐熱樹脂のコーティングをしたものや溶射によるセラミックコーティングをしたものなどであってもよく、又、単数のロールでも複数でもよいが、通常は複数のロールにて接触時間を所定の範囲にする方法が採用される。又、シュリンクラベルとしての特性やブリードによる表面特性に弊害のない限りは、複数のロール間に速度比を設けて縦方向の延伸を行なってもよい。
【0028】
本発明における樹脂組成物には、その特性を害さない限り、他の添加剤(例えば耐熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、無機微粉体、高分子微粉体、顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤)をさらに配合しても良い。
本発明における樹脂組成物は、従来公知の配合方法を採用でき、例えば、2軸ローター付きの混練機、単軸/又は2軸の押出混練機などの溶融混練方法を例に挙げる事ができるが、その後に前述のようにTダイから回転ロール上に一旦シート状に押出される。その後、少なくとも1方向に延伸して本発明の樹脂フィルムとなるが、延伸方法の例としてテンター延伸を挙げる事ができる。
【0029】
又、本発明の樹脂フィルムは、多層構造の少なくとも1層を構成するフィルムとして利用することができるが、本発明は表面特性の改良を狙いとするものであり、内層に閉じこめられた構成では効果を発揮しにくく、多層構造の場合は表面層の少なくとも1層を構成するフィルムとして利用する事が望ましい。
上記本発明の樹脂フィルムは、好ましくはフィルムのヘイズ値が1〜4%、フィルムと金属間の動摩擦係数が0.05〜0.30、フィルム同志の静摩擦係数が0.25〜0.55であり、シュリンクフィルム用として特に有用である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に好ましい実施例、比較例を挙げて本発明を説明する。以下の実施例、比較例において、%及び部はすべて重量基準の%及び部である。
以下の実施例、比較例に用いた重合体組成物は、共重合体(A)として以下の(a−1)、ブロック共重合体(B)として以下の(b−1)、更に第3成分として以下の(h−1)、(h−2)をそれぞれ(a−1):(b−1):(h−1):(h−2)=46:40:4:10の比率で混合したものを用いた。
【0031】
(a−1):スチレン−ブチルアクリレート共重合体[スチレン含有量:84%、重量平均分子量:40万、MFR:4(200℃、5kg)、ビカット軟化点:72℃]
(b−1):S−B−S構造のリニアー型スチレン−ブタジエンブロック共重合体[スチレン含有量:70%、MFR:5(200℃、5kg)、ビカット軟化点76℃]
(h−1):S−B−S構造の水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体[スチレン含有量:32%、MFR:3(200℃、5kg)]
(h−2):ポリスチレン[重量平均分子量:27万、MFR:2(200℃、5kg)、ビカット軟化点:107℃]
又、以下の実施例、比較例に用いた、脂肪酸アミドは、以下の(c−1)、(c−2)、(c−3)、(c−4)、(c−5)を表−1に示した比率で混合したものを用いた。
【0032】
(c−1):パルミチン酸アミド[飽和型のモノ脂肪酸アミド、分子式における総炭素数:16]
(c−2):ステアリン酸アミド[飽和型のモノ脂肪酸アミド、分子式における総炭素数:18]
(c−3):オレイン酸アミド[不飽和のモノ脂肪酸アミド、分子式におる総炭素数:18]
(c−4):エルカ酸アミド[不飽和のモノ脂肪酸アミド、分子式におる総炭素数:22]
(c−5):エチレンビスステアロアミド[ビスアミド系脂肪酸アミド]
又、以下の実施例、比較例に用いた樹脂組成物には、安定剤として耐熱安定剤である以下の(p−1)を重合体組成物の全量に対して0.5部、フェノール系酸化防止剤である以下の(p−2)を同様に0.3部、イオウ系酸化防止である以下の(p−3)を同様に0.2部をそれぞれさらに添加した。
【0033】
(p−1)住友化学(株)製スミライザーGS[アクリレート系耐熱安定剤](p−2)住友化学(株)製スミライザーGA−80[ヒンダードフェノ−ル系1次酸化防止剤]
(p−3)住友化学(株)製スミライザーTPL[イオウ系2次酸化防止剤]さらに、以下に実施例及び比較例における各種の物性の測定法、及び評価方法を示す。
【0034】
(1)フィルムと金属間の動摩擦係数:
平板に被覆したフィルム上をステンレス製のライダ−を700mm/minの速さで引張り、その時の引張荷重の平均をライダーの荷重で除して少数以下第2位までを有効数字として求める。その数値が低いほどフィルムの滑り性に優れ、評価としては0.2以下でシュリンクラベルとしての包装機械適性が特に良好で◎、0.21〜0.3を問題の無いほぼ満足すべきレベルとして○、0.31〜0.40をやや滑り性に劣る範囲として△、0.41以上を×とした。
【0035】
(2)フィルム同志の静摩擦係数:
表面をフィルムで全面に被覆したライダーを、平板上に被覆したフィルムの上に置き、該平板を徐々に傾斜させてライダーが平板上を滑り始める角度をθとし、tanθに換算し小数以下第2位までを有効数字として求める。この数値が低すぎると印刷前の長尺巻きの製品の形態の場合に巻きずれなどの問題が起こりやすく、逆に数値が高すぎるとシュリンクラベルの製袋品同志の密着が大きく扱いにくい為、評価としては0.25〜0.55を問題のない範囲として○、その中でも特に良好な範囲として0.30〜0.45を◎、0.24以下と0.56〜0.69を△、0.70以上を×とした。
【0036】
(3)ヘイズ:
ASTM D1003に準じてフィルムのヘイズ値を測定し、小数以下第1位までを有効数字として求める。評価としては、3.0%以下を◎、3.1〜4.0%を○、4.1〜5.0%を△、5.1%以上を×とした。
(4)印刷適性評価:
希釈溶剤としてIPA(2−プロパノ−ル)と酢酸エチルを両者の重量比率で6:4で用いて白インキ2回印刷でグラビヤ印刷を行い、溶剤乾燥後にセロハンテープによりインキの剥離テストを実施し、剥離テスト面(1.2cm×1.2cm)の面積の2分の1のインキが剥離する剥離テスト回数を求める。その回数が少ないとインキの密着度が低く印刷適性に劣るフィルムであり、評価は7回以上を◎、5〜6回を○、3〜4回を△、1〜2回を×とした。
【0037】
尚、樹脂フィルム製造後4日後の印刷適性評価とは、グラビヤ印刷が製造後3日後で剥離テストが製造後4日後であり、樹脂フィルム製造後30日後の印刷適性評価とは、グラビヤ印刷が製造後29日後で剥離テストが製造後30日後である。
(5)シュリンク後の外観:
フィルムを全周250mmとなるように製袋加工し、外径70mm、充填容量500cc、重量284gの円筒状ガラス瓶に被覆し、スチームトンネルにて7秒間加熱して加熱収縮させる。評価としては、加熱収縮前のフィルムと比較してフィルムの外観が変化ないものを◎、やや変化がみられるものの外観上の問題はないものを○、部分的に白点汚染の箇所がありやや外観上の問題があるものを△、さらに白い箇所が目立ち外観上の問題があるものを×とした。
【0038】
(6)耐ブロッキング性:
上記(5)において、加熱収縮して装着したガラス瓶を横方向に倒し、その上にさらに横方向に倒した同様のガラス瓶を乗せて接触位置が動かないように固定し、80℃の熱水を5分間熱水シャワ−として注いだのちに25℃の水を3分間注いで冷却する。更に常温の冷風にて乾燥させてのち2本のガラス瓶に装着したフィルム同志のブロッキングの程度を2本のガラス瓶を解離して判定する。評価は、まったくブロッキングの兆候のないものを◎、ガラス瓶を解離する際にやや抵抗がありブロッキングの兆候があるがフィルムの損傷はみられず実用上の問題はないものを○、ガラス瓶を解離する際の抵抗がありフィルムの小さな損傷が観察されるものを△、さらにガラス瓶を解離したのちのフィルムが破れる箇所ができるものを×とした。
【0039】
(7)総合評価:
上記の(1)〜(6)の評価を、樹脂フィルムの製造後4日後と30日後にそれぞれ実施し、全ての評価の中で最低のランクを総合評価とした。
【0040】
【実施例1】
重合体組成物としては、前述のようにスチレン−ブチルアクリレート共重合体(a−1)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(b−1)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(h−1)、ポリスチレン(h−2)を46:40:4:10の比率で準備し、さらに安定剤として前述の(p−1)、(p−2)、(p−3)、それぞれ重合体組成物の全量に対してそれぞれ0.5部、0.3部、0.2部準備した。
【0041】
滑剤として添加する脂肪酸アミドは、表1に示すように、パルミチン酸アミド(c−1)を重合体組成物の全量に対して0.05部、ステアリン酸アミド(c−2)を同様に0.15部、をそれぞれ準備した。
上記の重合体組成物、安定剤、脂肪酸アミドをドラムブレンダーにて混合し、65mmφの単軸押出機にて60kg/hrで320mm巾のTダイよりシート状に押し出した。
【0042】
キャスティングロールは、表面をクロムメッキ処理された金属ロール5本(シートの接触順にNO.1、NO.2、NO.3、N0.4、NO.5)により構成されたものを用いた。ロールはオイル温調機により温調し、それぞれのロールの表面温度と、ロールの周速、及びそれぞれのロールにおけるシートとの接触時間は表2に示すとうりであり、ロールとの接触時間の合計は7秒である。
【0043】
最終のNO.5のロールから引き取られるシートは厚み300μm、巾240cmであり、テンターオーブンの温度90℃のテンターにより横方向に6倍延伸して厚み50μmの樹脂フィルムを得た。
該樹脂フィルムを製造後4日後に前述の物性測定、すなわち(1)フィルムと金属間の動摩擦係数、(2)フィルム同志の静摩擦係数、(3)ヘイズ、(4)印刷適性評価、(5)シュリンク後の外観、(6)耐ブロッキング性をそれぞれ実施し、さらに該樹脂フィルムを製造後30日後に前述の物性測定を同様にくりかえし実施した。
【0044】
尚、シュリンク後の外観(5)の評価において得られたガラス瓶に装着されたフィルムは歪みやシワがなくシュリンクラベル用のフィルムとしての熱収縮性にはなんら問題は無かった。
上記の製造後4日後及び30日後の物性と評価結果を表3に示す。
【0045】
【比較例1】
滑剤としての脂肪酸アミドを全く配合しない事を除いては、前述の実施例1と同じ重合体組成物と安定剤を用い、又、実施例1と同じ製造条件で厚み50μの樹脂フィルムを得た。該樹脂フィルムの製造後30日後の物性と評価結果を表3に示す。
【0046】
上記の実施例1と比較例1の物性と評価結果を比較すると、滑剤を配合しない比較例1においては、フィルムと金属間の動摩擦係数(1)とフィルム同志の静摩擦係数(2)が劣り総合評価が×で実用上の問題があると判定されるのに対して、飽和型のモノ脂肪酸アミドを配合した実施例1においては、上記(1)、(2)で評価される滑り性が格段に改善されている事が明らかである。又、実施例1において滑剤を配合した事による(3)ヘイズ(4)印刷適性(5)シュリンク後の外観への実用上の問題は無い事が判る。
【0047】
又、実施例1において、製造後4日後と30日後の(1)と(2)の滑り性の評価はほとんど差が無いものであり、経時による特性の変化の少ない、滑剤の配合と製造条件である事が判る。
【0048】
【実施例2、3】
表1に示すように、滑剤として配合する脂肪酸アミドであるパルミチン酸アミド(c−1)とステアリン酸アミド(c−2)の配合量を変えた以外は、前述の実施例1と同じ重合体組成物と安定剤を用い、又、実施例1と同じ製造条件で厚み50μの樹脂フィルムを得た。
【0049】
すなわち実施例2においては、パルミチン酸アミド(c−1)とステアリン酸アミド(c−2)の配合量が重合体組成物の合計に対してそれぞれ0.01部と0.03部であり、実施例3においては(c−1)と(c−2)の配合量がそれぞれ0.1部と0.3部である。
それぞれの例で得られた樹脂フィルムの製造後4日後と30日後の物性と評価結果を表3に示す。
【0050】
実施例2においては、実施例1の評価に比較すると(1)と(2)の滑り性の評価がやや劣り、実施例3においては、実施例1の評価に比較すると、印刷適性(4)とシュリンク後の外観(6)の評価がやや劣るものの、いずれも実用上の問題は無く、又、経時による物性の変化も少ない事から、印刷適性やシュリンク後の外観を阻害せずに滑り性と耐ブロッキング性を発現する効果を発揮する為の飽和型モノ脂肪酸アミドの配合量の範囲内である事が判る。
【0051】
【実施例4、5、比較例2】
実施例4と比較例2においては、滑剤として配合する脂肪酸アミドとして、パルミチン酸アミド(c−1)とステアリン酸アミド(c−2)に加えて不飽和のモノ脂肪酸アミドであるオレイン酸アミド(c−3)とエルカ酸アミド(c−4)をさらに配合するとともに、それぞれの配合量を変えた以外は、前述の実施例1と同じ重合体組成物と安定剤を用い、実施例1と同じ製造条件で厚み50μmの樹脂フィルムを得た。
【0052】
又、実施例5においては、滑剤として配合する脂肪酸アミドとして、パルミチン酸アミド(c−1)とステアリン酸アミド(c−2)に加えて不飽和のモノ脂肪酸アミドであるオレイン酸アミド(c−3)とビスアミド系脂肪酸アミドであるエチレンビスステアロアミド(c−4)をさらに配合しそれぞれの配合量を変えた以外は、前述の実施例1と同じ重合体組成物と安定剤を用い、実施例1と同じ製造条件で厚み50μmの樹脂フィルムを得た。
【0053】
実施例4、比較例2、及び実施例5における脂肪酸アミドの配合量は表1に示す通りである。
実施例4、比較例2、及び実施例5で得られた樹脂フィルムについての製造後4日後と30日後の物性と評価結果を表3に示す。
実施例4においては、本発明において対象としない不飽和のモノ脂肪酸アミドも加えた配合としているが、実施例1の評価と比較すると、印刷適性(4)が向上する傾向が判るが実用上の差はない。
【0054】
比較例2においては、本発明が対象とする脂肪酸アミドである飽和型モノ脂肪酸アミドの配合量の合計が0.48部で、本発明の請求範囲を越えた配合であるが、配合量が多すぎる為に、シュリンク後の外観(5)の評価において部分的な白点汚染の部分ができる事からやや問題があり、製造後30日後のフィルム同志の静摩擦係数(2)の評価においても、数値が低すぎて長尺巻の製品の形態での巻ずれが起こる懸念があった。
【0055】
実施例5においては、本発明において対象としない不飽和のモノ脂肪酸アミド0.01部とビスアミド系脂肪酸アミド0.08部とを加えた配合であるが、実施例1の評価と比較すると、印刷適性(4)がやや低下する傾向が判るが実用上の差はない。すなわち、ビスアミド系脂肪酸アミドなどを配合しても、本発明の対象とする飽和型モノ脂肪酸アミドが主体となった配合である場合は、実用上の滑り性などの表面特性の付与の効果に影響がない例を示すものであり、加工滑性の付与などに役立つ場合は、むしろ好ましい配合である。
【0056】
【比較例3、4】
滑剤として配合する脂肪酸アミドとして、本発明で対象とする飽和型のモノ脂肪酸アミドを全く配合せずに、比較例3においてはオレイン酸アミド(c−3)を0.2部配合し、比較例4においてはエチレンビスステアロアミド(c−4)を0.2部配合したが、それ以外は前述の実施例1と同じ重合体組成物と安定剤を用い、又、実施例1と同じ製造条件で厚み50μの樹脂フィルムを得た。
【0057】
比較例3と比較例4で得られた樹脂フィルムについての製造後4日後と30日後の物性と評価結果を表3に示す。
比較例3においては、シュリンク後の外観(5)の評価から白点汚染の問題がある事が判り、比較例4においては、(1)の滑り性評価から充分な滑り性が発現していない事と、印刷適性(4)の評価から印刷性を阻害する滑剤の配合である事が判る。すなわち、これらの不飽和モノ脂肪酸アミドやビスアミド系の滑剤を主体として配合した場合は、本発明の目的とするところの、印刷適性やシュリンク後の外観を阻害せずに滑り性と耐ブロッキング性を発現する効果を発揮する事ができない。
【0058】
【実施例6〜8】
重合体組成物、安定剤、滑剤の配合は実施例1と同じにし、又同じTダイから押し出したが、接触させるロールの表面温度や接触時間を変えてシートを引き取り、その後は実施例1と同様に、テンターオーブンの温度90℃のテンターにより横方向に6倍延伸して50μmの樹脂フィルムを得た。
【0059】
実施例6〜8のそれぞれの場合の、NO.1〜NO.5のロールの表面温度と、ロールの周速、及びそれぞれのロールにおけるシートとの接触時間を表2に示す。
又、それぞれの例で得られた樹脂フィルムの製造後4日後と30日後の物性と評価結果を表3に示す。
【0060】
実施例6においては、製造後4日後の(1)と(2)の滑り性の評価結果が、実用上は問題ないレベルに改善されているのが判るが、滑剤が同じ配合である実施例1に比較するとやや劣る事が判る。すなわち、ロールとの接触時間が3.5秒(80〜110℃のロールとの接触時間は3秒)と短い為にブリードの促進の効果がやや低い事が原因である。又、実施例7においては、印刷適性(4)とシュリンク後の外観(5)の評価が実用上は問題ないレベルではあるものの、滑剤が同じ配合である実施例1に比較するとやや劣る事が判る。すなわち、シートとロールの接触時間が10秒と長い為にブリードをやや促進しすぎる事が原因である。従って、シートとロールの接触時間は、実施例6と実施例7の場合の接触時間を下限と上限にする範囲である3〜10秒の範囲内にする製造条件が、好ましい要件の1つである。
【0061】
実施例8においては、ロールの表面温度を80℃とし、尚且つロールとの接触時間を10秒と長くしているが、ロ−ル表面温度が低い事によりブリードの促進の効果がやや低い為に、いずれも製造後4日後の(1)と(2)の滑り性の評価結果が実用上は問題ないレベルであるものの、滑剤が同じ配合である実施例1に比較するとやや劣る。従って、ロールの表面温度は、この実施例8におけるロールの場合の80℃を下限とする製造条件が、好ましい要件の1つである。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【発明の効果】
本発明の樹脂フィルムは、シュリンクラベルフィルム用の公知の重合体組成物に、滑剤として特定の飽和型のモノ脂肪酸アミドを特定の割合で配合する事によって、印刷適性や透明性を阻害せずに、経時に安定な滑り性と熱水加熱殺菌時の耐ブロッキング性の表面特性を改善する効果を有するものであり、又本発明の樹脂フィルムの製造方法は、主延伸方向に延伸する前の工程で該飽和型モノ脂肪酸アミドのブリードを促進する特定の条件下とする事で、特に好ましい滑り性や耐ブロッキングの特性を発現する製造方法を提供する。
Claims (4)
- 下記(A),(B)を含有する重合体組成物であって、該(A)と(B)の重量比が10:90〜90:10である重合体組成物100重量部に対して、下記(C)の滑剤の一種以上を合計量で0.02〜0.45重量部配合した樹脂組成物を少なくとも1方向に延伸してなることを特徴とする樹脂フィルム。
(A)ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体であって、ビニル芳香族炭化水素の含有量が20〜95重量%である共重合体
(B)ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと共役ジエンを含有する重合体ブロックからなり、ビニル芳香族炭化水素の含有量が20〜95重量%であるブロック共重合体
(C)総炭素数が14〜22である飽和型のモノ脂肪酸アミド - (A)及び(B)の合計重量が重合体組成物の全重量に対して50%以上である請求項1記載の樹脂フィルム。
- フィルムのヘイズ値が1〜4%、フィルムと金属間の動摩擦係数が0.05〜0.30、フィルム同志の静摩擦係数が0.25〜0.55である、請求項1記載の樹脂フィルム。
- Tダイより押し出して、表面温度が80℃〜110℃のロ−ルに3〜10秒間接触させた後、少なくとも1方向に延伸する事を特徴とする、請求項1記載の樹脂フィルムの製造方法。
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