JP3847017B2 - エポキシ樹脂用硬化促進剤の製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂用硬化促進剤の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂用硬化促進剤の製造方法、特には、エポキシ樹脂の硬化促進効果(触媒活性)に優れるのみならず、エポキシ樹脂に結合したハロゲンイオンの遊離が少なく、電気特性に優れたエポキシ樹脂硬化物が得られるエポキシ樹脂用硬化促進剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は、各種の硬化剤、硬化促進剤、フィラーなどを配合して硬化させることにより、種々の特性をもった硬化樹脂が得られる。例えば、硬化剤として、フェノールノボラック類や酸無水物類を用いたエポキシ樹脂硬化物は、電気特性、機械特性、接着特性および耐食性などに優れているため、電気電子部品や接着剤などに広く使用されている。
ところで、近年、半導体の高集積化や薄型化などに伴い、半導体封止材の耐湿性や耐熱性の向上が求められている。その結果、エポキシ樹脂に添加されるフィラーの量が多くなる傾向にあるが、フィラー含量が増加するにつれて成形時の流動性が低下する。そのため、ビフェニルエポキシ樹脂のように、溶融粘度が低いエポキシ樹脂に対する需要が増大している。
しかしながら、このような溶融粘度の低いエポキシ樹脂を使った封止材には、成形時の脱型強度および硬度が低いという問題があり、これらの点を改良できるエポキシ樹脂用硬化促進剤が強く望まれている。
一方、半導体封止の生産性を向上させるため、エポキシ樹脂の成形時間や成形後の後硬化(ポストキュア)時間を短縮することができ、さらには、後硬化工程が不要となるようなエポキシ樹脂用硬化促進剤に対する要求も高い。
【0003】
エポキシ樹脂用硬化剤として、フェノールノボラック類や酸無水物類を使用する場合、それらに適した硬化促進剤としては、三級アミン化合物である1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7とその塩類が知られており、代表的なエポキシ樹脂用硬化促進剤として実用化されている(特開昭55−5929号、特開平4−369254各号公報参照)。
また、第四級アンモニウム有機酸塩も電気電子部品用樹脂の硬化促進剤として知られている(特開平7−233233号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7とその塩類は、ビフェニルエポキシ樹脂などのように溶融粘度の低いエポキシ樹脂に使用した場合、成形時の脱型強度が低く、環境中の水分の影響により硬化促進作用が低下するという問題がある。
一方、前記の第四級アンモニウム有機酸塩は、そのアニオンを構成する有機酸がトルエンスルホン酸のような強酸である場合、エポキシ樹脂の硬化に対する触媒活性が極めて低くなるので使用できない。また、アニオンを構成する有機酸がカルボン酸類である場合は、高温におけるエポキシ樹脂硬化物の電気特性が悪く(体積抵抗率が低い)、しかもエポキシ樹脂に結合した塩素や臭素を遊離させ、不純物イオンの含量を高くするので、半導体封止材を目的用途とするエポキシ樹脂には使用できない。
【0005】
そこで、本発明は、エポキシ樹脂に対して硬化促進効果が高く、エポキシ樹脂の成形性に優れ、しかも、イオン性不純物が少なく電気特性の良好なエポキシ樹脂硬化物が得られるエポキシ樹脂用硬化促進剤の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、フェノールノボラック類が有するフェノール性水酸基のプロトンを、第四級アンモニウム基で置換すると、フェノールノボラック類や酸無水物類を硬化剤とするエポキシ樹脂の硬化促進剤として優れた触媒活性を示すとともに、得られるエポキシ樹脂には不純物イオン含量が少なく、また電気特性も良好であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、第三級アミン類を炭酸ジアルキルで四級化して第四級アンモニウム炭酸アルキル塩とし、次いで、これをフェノールノボラック類と反応させて、フェノールノボラック類が有するフェノール性水酸基のプロトンを、該第四級アンモニウム炭酸アルキル塩の第四級アンモニウム基で置換させることを特徴とするエポキシ樹脂用硬化促進剤の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法により、エポキシ樹脂用硬化促進剤は、次のようにして製造される。まず、無溶剤下、あるいは水、アルコール類又はこれらの混合溶剤下で、炭酸ジメチルや炭酸ジエチルなどの炭酸ジアルキル、塩化メチル、臭化ブチル、塩化ベンジルなどのハロゲン化アルキル、あるいはジメチル硫酸、ジエチル硫酸などのジアルキル硫酸を第三級アミン類に反応させて四級化するか、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを第三級アンモニウム塩に付加して四級化する。
次いで、四級化により得られた第四級アンモニウム塩のカチオン部分である第四級アンモニウム基で、フェノールノボラック類が有するフェノール性水酸基のプロトンを置換することにより、エポキシ樹脂用硬化促進剤が製造される。
【0008】
上記の四級化において、第三級アミン類に炭酸ジアルキルを反応させた場合、フェノールノボラック類のフェノール性水酸基のプロトンを置換する方法としては、例えば、軟化点以上の温度にして溶融したフェノールノボラック類に、混合攪拌下、第四級アンモニウム炭酸アルキル塩を徐々に添加し、置換により発生する炭酸ガスやメタノールあるいは四級化に使用した溶剤などの低沸点化合物を留去する方法が例示される。その際、フェノールノボラック類および第四級アンモニウム塩の安定性を確保する点から、反応温度は230℃以下とし、低沸点化合物の留去は、最終的には減圧下で実施することが好ましい。
ハロゲン化アルキル、ジアルキル硫酸あるいはアルキレンオキサイドで四級化した場合は、まず、これらの第四級アンモニウム塩溶液に水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような強アルカリ無機化合物を添加するか、該溶液をイオン交換樹脂で処理することにより、相当するハイドロキサイド塩にする。次いで、第四級アンモニウムハイドロキサイド塩の溶液を、溶融状態又は適当な溶剤に溶解したフェノールノボラック類に添加し、目的物の軟化点以上に温度を上げて使用した溶剤などを留去する方法が例示される。
溶剤などを留去した後は、必要に応じて、成形機を用いてペレット状に成形したり、適当な容器に入れて冷却、固化した後、所望の粒度に粉砕する。
【0009】
上記した四級化の方法のうち、好ましいのは炭酸ジアルキルで四級化する方法である。この方法によれば、電気特性の低下や錆の発生を起こす原因となるCl、Br、SO4 、Na、Kなどのイオン性不純物の混入を極力避けることができるので、電気電子部品用途のエポキシ樹脂に対して好適である。
また、本発明のカチオン部分である第四級アンモニウム基において、窒素原子に結合した炭化水素基の2個以上がエチル基であると、硬化促進剤の熱安定性が悪くなる傾向があるので、四級化剤の選択に際しては、エチル基が2個以上とならないようにするのが好ましい。
【0010】
フェノールノボラック類のフェノール性水酸基のプロトンを、第四級アンモニウム基で置換する時期は、特に限定されない。例えば、エポキシ樹脂コンパウンド製造時の混練工程で四級化物を添加して、硬化剤成分であるフェノールノボラック類を置換することもできる。しかしながら、一般には混練工程までにフェノールノボラック類が有するフェノール性水酸基のプロトンの置換を完結させておくことが好ましい。
【0011】
本発明の製造に用いるフェノールノボラック類とは、縮合反応あるいは重合反応によって得られる、フェノール性水酸基を1分子中に平均して3個以上有する化合物の総称である。例えば、半導体封止材用のエポキシ樹脂に対してよく使用される硬化剤である軟化点50〜140℃のフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、キシリレンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ポリビニルフェノール、トリスヒドロキシフェニルメタン系の化合物が挙げられる。
なお、本発明の硬化促進剤に、フェノールなどの一官能あるいは4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンなどの二官能のフェノール化合物が混入すると、エポキシ樹脂硬化物の熱安定性、電気特性および機械特性の低下を招くため、特に1官能のフェノール化合物の混入は第四級アンモニウム基のカチオン1当量に対して、0.3、好ましくは0.1当量以下の割合となるように制限することが好ましい。
【0012】
上記した四級化の際に用いる三級アミン類としては、例えば、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ジエチル−1−プロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、ブチルジヒドロキシエチルアミンあるいはジブチルアミンのプロピレンオキサイド付加物などの脂肪族アミン類、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン、N−メチルヘキサメチレンイミン、N−エチルヘキサメチレンイミン、N−メチルモルホリン、N−ブチルモルホリン、N,N´−ジメチルピペラジン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7などの脂環式アミン類、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピコリン類、N−メチルイミダゾール、N−メチルベンズイミダゾール、キノリン、4,4´−ジピリジルなどの含窒素ヘテロ環芳香族類を挙げることができる。このうち好ましい三級アミン類としては、炭素原子数の合計が37以下となる炭化水素基からなる脂肪族アミン類および1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5が挙げられる。好ましい脂肪族アミン類としては、例えば、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン、ジオクチルメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ステアリルジメチルアミンが挙げられる。なお、炭素原子数の合計が38以上となる脂肪族アミン類を使用すると、硬化促進剤の触媒活性がやや低くなる傾向にあり、特に好ましい炭素原子数の合計は21以下である。
また、前記したように、第四級アンモニウム基において、窒素原子に結合した炭化水素基の2個以上がエチル基であると、硬化促進剤自身あるいはエポキシ樹脂硬化物の熱安定性が他の場合に比べて低下する。
一方、三級アミン類として1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5の類縁化合物である1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7を用いた場合は、硬化促進作用が他の場合に比べて低下する。
【0013】
本発明のカチオン部分である第四級アンモニウム基の好ましい例としては、メチルトリn−プロピルアンモニウム、メチルトリn−ブチルアンモニウム、ジオクチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムあるいはN−メチル−1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネ−5−ニウムが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂用硬化促進剤の製造において、第四級アンモニウム基とフェノールノボラック類の比率は、第四級アンモニウム基1当量に対して、フェノールノボラック類が有するフェノール性水酸基が1当量以上であればよいが、第四級アンモニウム塩の安定性などの点から、好ましくは第四級アンモニウム基1当量に対してフェノール性水酸基が1.5当量以上、より好ましくは2.5当量以上である。第四級アンモニウム基とフェノールノボラック類の比率によって、得られる硬化促進剤の軟化点が変化し、本発明品の製造時や使用時の作業効率に影響を与えるので、これらの点を考慮して上記比率を決定する。
【0014】
本発明の硬化促進剤は、必要に応じて他の公知の硬化促進剤と併用することができる。併用の時期あるいは方法は特に限定されない。例えば、本発明の製造工程のいずれかの段階で配合する他、エポキシ樹脂コンパウンド製造時の混練工程で配合してもよい。
上記方法により得られた硬化促進剤は、フェノールノボラック類、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸あるいはテトラヒドロ無水フタル酸などの液状または固形状の酸無水物類からなる硬化剤、および必要によりシリカやアルミナなどのフィラーその他の添加剤をエポキシ樹脂に配合したエポキシ樹脂コンパウンドの硬化促進剤として使用される。
その他の添加剤としては、離型剤、着色剤、難燃化剤、低応力化剤、フィラーのカップリング処理剤、イオン捕捉剤などが挙げられる。
【0015】
本発明の適用対象となるエポキシ樹脂としては、液状または固形状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、前記フェノールノボラック類のグリシジル化によって得られるエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、あるいはこれらの2種以上を併用したものが例示される。
エポキシ樹脂コンパウンドは、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、フィラーあるいはその他の添加剤を連続ニーダなどで混練することにより、常温で液状または固形状の形で得られる。該コンパウンドが常温で固形状の場合は、これを粉砕して粉末状にするか、また成形機を用いてペレットやタブレット状としてもよく、また溶剤を用いて各成分を混練して溶液状のコンパウンドとしてもよい。
【0016】
本発明の硬化促進剤のエポキシ樹脂コンパウンドへの添加量は、第四級アンモニウム塩のカチオン部分、すなわち第四級アンモニウム基の重量で表示すると、通常はエポキシ樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部程度であり、最適な添加量は要求される硬化速度(ゲルタイム)などに合わせて決定される。
なお、エポキシ樹脂コンパウンドにおいて、硬化剤とエポキシ樹脂の当量比は通常1:1付近で厳密に管理されているが、本発明の硬化促進剤を用いるときは硬化促進剤中に含まれるフェノールノボラック類と等当量分だけ、硬化剤であるフェノールノボラック類や酸無水物類の配合量を減らすことが好ましい。
本発明を使用したエポキシ樹脂コンパウンドは、半導体などの電気電子部品の封止材のほか、電気電子部品の注型、積層板あるいは粉体塗料の用途に用いることができる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例1〜2、比較例1〜3、参考例および試験例により本発明を説明するが、本発明はこの実施例の記載に限定されるものではない。
【0018】
(実施例1)
攪拌式オートクレーブに、トリn−ブチルアミン(1モル)、炭酸ジメチル(2.2モル)および溶剤としてメタノール(約4.7モル)を仕込み、反応系を窒素置換した後、密閉して、125℃で40時間反応させた(NMR分析で求めたトリn−ブチルアミンの反応率は約99%)。そして、その結果、濃度53重量%(塩酸溶液での電位差滴定による)のメチルトリn−ブチルアンモニウムメチルカーボネートの溶液を得た。
次に、キシリレンフェノール樹脂ミレックスXLC−LL(三井化学社製、商品名、軟化点78℃、水酸基当量172、数平均分子量約1,050)300重量部を窒素気流中で溶融して約140℃とし、攪拌下、同温度で前記のメチルトリn−ブチルアンモニウムメチルカーボネートの溶液78重量部を徐々に添加して溶剤などを留去しながら、上記樹脂のフェノール性水酸基のプロトンを置換し、最終的に減圧下、約160℃で未反応原料の炭酸ジメチルや溶剤のメタノールなどを除去した。
そして、溶融状態のメチルトリn−ブチルアンモニウムのミレックスXLC−LL塩を離型紙上に取り出し、冷却した後、粉砕して、黄褐色の軟化点約103℃、第四級アンモニウム基部分の含量9.1重量%である実施例1の硬化促進剤を得た。第四級アンモニウム基部分とミレックスXLC−LLの割合は、NMR分析により確認した。TG−DTA分析による本硬化促進剤の熱分解開始温度(窒素気流中、昇温速度10℃/分、以下の例においても、同条件による。)は、約230℃であった。
【0019】
(実施例2)
三級アミン類として、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5(サンアプロ社製)を使用し、四級化の反応時間を12時間とした以外は、実施例1と同様に反応させて(反応率約100%)、濃度46.5重量%のN−メチル−1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネ−5−ニウムメチルカーボネートの溶液を得た。ミレックスXLC−LL500重量部および実施例1のメチルカーボネートの溶液に代えて、本実施例のメチルカーボネートの溶液138重量部を使用した以外は実施例1と同様にして、黄褐色の軟化点約116℃、第四級アンモニウム基部分の含量7.7重量%である実施例2の硬化促進剤を得た。本硬化促進剤の熱分解開始温度は、約340℃であった。
【0020】
(比較例1)
三級アミン類としてトリエチルアミンを用い、反応温度を115℃とした以外は実施例2と同様に反応させて(反応率約98%)、濃度42.5重量%のメチルトリエチルアンモニウムメチルカーボネートの溶液を得た。2−エチルヘキサン酸をほぼ等重量のメタノールに溶解し、窒素気流中攪拌下に約50℃で本比較例のメチルカーボネートの溶液の等当量を徐々に加え、最終的には約80℃で減圧下に炭酸ジメチルやメタノールなどの低沸点化合物を留去し、黄褐色液状の比較例1の硬化促進剤を得た。この硬化促進剤の熱分解開始温度は、約165℃と低いものであった。
【0021】
(比較例2)
2−エチルヘキサン酸に代えて等モルのo−フタル酸を、比較例1のメチルトリエチルアンモニウムメチルカーボネートの溶液に代えて実施例1のメチルトリn−ブチルアンモニウムメチルカーボネートの溶液を使用し、最終の溶剤などの留去時の温度を130℃とした以外は比較例1と同様にして、融点約92℃の比較例3の硬化促進剤を得た。この硬化促進剤の熱分解開始温度は約250℃であった。
【0022】
(比較例3)
実施例1のメチルトリn−ブチルアンモニウムメチルカーボネートの溶液に代えて、実施例2のN−メチル−1,5−ジアザビシクロ(5,4,0)−ノネ−5−ニウムメチルカーボネートの溶液を使用した以外は比較例2と同様にして、固形状で極めて吸湿性の強い比較例4の硬化促進剤を得た。この硬化促進剤の熱分解開始温度は約285℃であった。
【0023】
(参考例)
参考例の硬化促進剤として、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(サンアプロ社製)をそのまま使用した。
【0024】
(試験例)
表1に示す重量部の実施例1、2、比較例2、3および参考例の硬化促進剤とミレックスXLC−LL86重量部(実施例1、2の硬化促進剤の場合は、第四級アンモニウム塩の製造に使用されているミレックスXLC−LLの重量と合わせた合計の重量である)を約130℃で均一に溶融混合した後、冷却して粗砕した。
そして、ビフェニルエポキシ樹脂YX−4000H(油化シェルエポキシ社製、商品名、融点約108℃、エポキシ当量190、加水分解性塩素−2の分析値143ppm)90重量部および臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピクロン153(大日本インキ化学工業社製、商品名、軟化点約70℃、エポキシ当量400、臭素含有量約48%)10重量部を約115℃で溶融し、これに前記の粗砕物の全量(粗砕時にロスがある場合は、表1記載の重量比率になるように補正した)を加え、約90秒間均一に溶融混合した後、速やかに冷却、粉砕し、試験に適した大きさのタブレット状に、室温でプレス成形して、硬化促進剤を含んだエポキシ樹脂コンパウンドを得た。
そして、それぞれのエポキシ樹脂コンパウンドについて、下記の試験方法1〜3で性能を評価し、それらの結果を表1に示した。なお、表1において硬化促進剤の重量部および分子量(理論値)は、実施例1、2については第四級アンモニウム塩のカチオン部分で示し、その他の例にあっては第四級アンモニウム塩で示した。
表1中の硬化促進剤の配合ミリモル数、ゲルタイム、硬化トルクおよびガラス転移点Tgの関係から、本発明の硬化促進剤は触媒活性に優れていて、エポキシ樹脂の成形サイクルの短縮に有効であるとともに、半導体などの信頼性低下の原因となる硬化樹脂中の不純物イオンの含量が少なく、かつ高い体積抵抗率を示すことから電気特性に優れていることが分かった。
【0025】
(試験方法1)
キュラストメータV型(日合商事社製、商品名)を使用して、温度175℃、樹脂用ダイスP−200および振幅角度±1°の条件で、それぞれのエポキシ樹脂コンパウンドについて硬化トルクを測定し、硬化トルクの立ち上がる点をゲルタイム(単位は秒)として、測定開始から90秒後の硬化トルクの値(単位はkgf・cm)を成形性(脱型時の強度および硬度)の指標とした。
また、測定開始から120秒後に取り出して、成形直後のTg(TMA法による、単位は℃)を測定した。更に、175℃、5時間の条件で後硬化してTgを測定した。
【0026】
(試験方法2)
試験方法1に記載した方法と同じ方法で得られる、後硬化したエポキシ樹脂を粉砕して分級し、粒径425μmパスの粉末を得た。この粉末7.0重量部と超純水70.0重量部を耐圧容器に入れ、150℃で20時間抽出した後濾過し、イオンクロマトグラフ法により濾液中の不純物ClおよびBrイオンの含量を求めた(イオン含量は硬化樹脂に対するppm単位で示した)。
【0027】
(試験方法3)
それぞれのコンパウンドを、165℃で7分間、プレス圧40kg/cm2 の条件で熱プレス成形し、165℃で5時間、後硬化して、直径約100mm、厚さ2.0mmの試験片を作製し、JIS K−6911−1995の方法に準じて、この試験片の150℃における体積抵抗率(単位は1012Ωcm)を測定した。
【0028】
【表1】
Figure 0003847017
【0029】
【発明の効果】
本発明は、エポキシ樹脂の硬化促進作用およびエポキシ樹脂の成形性に優れ、イオン性不純物が少なく電気特性に優れた硬化樹脂を提供するエポキシ樹脂用硬化促進剤の製造方法であることから、各種電気電子部品の封止などの用途に用いるエポキシ樹脂の硬化促進剤の製造方法として極めて有用なものである。

Claims (3)

  1. 第三級アミン類を炭酸ジアルキルで四級化して第四級アンモニウム炭酸アルキル塩とし、次いで、これをフェノールノボラック類と反応させて、フェノールノボラック類が有するフェノール性水酸基のプロトンを、該第四級アンモニウム炭酸アルキル塩の第四級アンモニウム基で置換させることを特徴とするエポキシ樹脂用硬化促進剤の製造方法
  2. 第三級アミン類が、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5である請求項1記載のエポキシ樹脂用硬化促進剤の製造方法
  3. 炭酸ジアルキルが、炭酸ジメチルである請求項1又は2記載のエポキシ樹脂用硬化促進剤の製造方法
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