JP2000169556A - エポキシ樹脂用硬化促進剤 - Google Patents

エポキシ樹脂用硬化促進剤

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JP2000169556A
JP2000169556A JP10352697A JP35269798A JP2000169556A JP 2000169556 A JP2000169556 A JP 2000169556A JP 10352697 A JP10352697 A JP 10352697A JP 35269798 A JP35269798 A JP 35269798A JP 2000169556 A JP2000169556 A JP 2000169556A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エポキシ樹脂に対して硬化促進効果が高く、
エポキシ樹脂の成形性に優れ、しかも、イオン性不純物
が少なく電気特性の良好なエポキシ樹脂硬化物が得られ
るエポキシ樹脂用硬化促進剤を提供する。 【解決手段】 フェノールノボラック類が有するフェノ
ール性水酸基のプロトンを、第四級アンモニウム基で置
換した第四級アンモニウム塩からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エポキシ樹脂用硬
化促進剤、特には、エポキシ樹脂の硬化促進効果(触媒
活性)に優れるのみならず、エポキシ樹脂に結合したハ
ロゲンイオンの遊離が少なく、電気特性に優れたエポキ
シ樹脂硬化物が得られるエポキシ樹脂用硬化促進剤に関
する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は、各種の硬化剤、硬化促
進剤、フィラーなどを配合して硬化させることにより、
種々の特性をもった硬化樹脂が得られる。例えば、硬化
剤として、フェノールノボラック類や酸無水物類を用い
たエポキシ樹脂硬化物は、電気特性、機械特性、接着特
性および耐食性などに優れているため、電気電子部品や
接着剤などに広く使用されている。ところで、近年、半
導体の高集積化や薄型化などに伴い、半導体封止材の耐
湿性や耐熱性の向上が求められている。その結果、エポ
キシ樹脂に添加されるフィラーの量が多くなる傾向にあ
るが、フィラー含量が増加するにつれて成形時の流動性
が低下する。そのため、ビフェニルエポキシ樹脂のよう
に、溶融粘度が低いエポキシ樹脂に対する需要が増大し
ている。しかしながら、このような溶融粘度の低いエポ
キシ樹脂を使った封止材には、成形時の脱型強度および
硬度が低いという問題があり、これらの点を改良できる
エポキシ樹脂用硬化促進剤が強く望まれている。一方、
半導体封止の生産性を向上させるため、エポキシ樹脂の
成形時間や成形後の後硬化(ポストキュア)時間を短縮
することができ、さらには、後硬化工程が不要となるよ
うなエポキシ樹脂用硬化促進剤に対する要求も高い。
【0003】エポキシ樹脂用硬化剤として、フェノール
ノボラック類や酸無水物類を使用する場合、それらに適
した硬化促進剤としては、三級アミン化合物である1,
8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7と
その塩類が知られており、代表的なエポキシ樹脂用硬化
促進剤として実用化されている(特開昭55−5929
号、特開平4−369254各号公報参照)。また、第
四級アンモニウム有機酸塩も電気電子部品用樹脂の硬化
促進剤として知られている(特開平7−233233号
公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−
7とその塩類は、ビフェニルエポキシ樹脂などのように
溶融粘度の低いエポキシ樹脂に使用した場合、成形時の
脱型強度が低く、環境中の水分の影響により硬化促進作
用が低下するという問題がある。一方、前記の第四級ア
ンモニウム有機酸塩は、そのアニオンを構成する有機酸
がトルエンスルホン酸のような強酸である場合、エポキ
シ樹脂の硬化に対する触媒活性が極めて低くなるので使
用できない。また、アニオンを構成する有機酸がカルボ
ン酸類である場合は、高温におけるエポキシ樹脂硬化物
の電気特性が悪く(体積抵抗率が低い)、しかもエポキ
シ樹脂に結合した塩素や臭素を遊離させ、不純物イオン
の含量を高くするので、半導体封止材を目的用途とする
エポキシ樹脂には使用できない。
【0005】そこで、本発明は、エポキシ樹脂に対して
硬化促進効果が高く、エポキシ樹脂の成形性に優れ、し
かも、イオン性不純物が少なく電気特性の良好なエポキ
シ樹脂硬化物が得られるエポキシ樹脂用硬化促進剤の提
供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決すべく鋭意検討した結果、フェノールノボラッ
ク類が有するフェノール性水酸基のプロトンを、第四級
アンモニウム基で置換すると、フェノールノボラック類
や酸無水物類を硬化剤とするエポキシ樹脂の硬化促進剤
として優れた触媒活性を示すとともに、得られるエポキ
シ樹脂には不純物イオン含量が少なく、また電気特性も
良好であることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、フェノールノボラック類が有
するフェノール性水酸基のプロトンを、第四級アンモニ
ウム基で置換した第四級アンモニウム塩からなることを
特徴とするエポキシ樹脂用硬化促進剤である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のエポキシ樹脂用硬化促進
剤は、次のようにして製造される。まず、無溶剤下、あ
るいは水、アルコール類又はこれらの混合溶剤下で、炭
酸ジメチルや炭酸ジエチルなどの炭酸ジアルキル、塩化
メチル、臭化ブチル、塩化ベンジルなどのハロゲン化ア
ルキル、あるいはジメチル硫酸、ジエチル硫酸などのジ
アルキル硫酸を第三級アミン類に反応させて四級化する
か、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどの
アルキレンオキサイドを第三級アンモニウム塩に付加し
て四級化する。次いで、四級化により得られた第四級ア
ンモニウム塩のカチオン部分である第四級アンモニウム
基で、フェノールノボラック類が有するフェノール性水
酸基のプロトンを置換することにより、本発明のエポキ
シ樹脂用硬化促進剤が製造される。
【0008】上記の四級化において、第三級アミン類に
炭酸ジアルキルを反応させた場合、フェノールノボラッ
ク類のフェノール性水酸基のプロトンを置換する方法と
しては、例えば、軟化点以上の温度にして溶融したフェ
ノールノボラック類に、混合攪拌下、第四級アンモニウ
ム炭酸アルキル塩を徐々に添加し、置換により発生する
炭酸ガスやメタノールあるいは四級化に使用した溶剤な
どの低沸点化合物を留去する方法が例示される。その
際、フェノールノボラック類および第四級アンモニウム
塩の安定性を確保する点から、反応温度は230℃以下
とし、低沸点化合物の留去は、最終的には減圧下で実施
することが好ましい。ハロゲン化アルキル、ジアルキル
硫酸あるいはアルキレンオキサイドで四級化した場合
は、まず、これらの第四級アンモニウム塩溶液に水酸化
ナトリウムや水酸化カリウムのような強アルカリ無機化
合物を添加するか、該溶液をイオン交換樹脂で処理する
ことにより、相当するハイドロキサイド塩にする。次い
で、第四級アンモニウムハイドロキサイド塩の溶液を、
溶融状態又は適当な溶剤に溶解したフェノールノボラッ
ク類に添加し、目的物の軟化点以上に温度を上げて使用
した溶剤などを留去する方法が例示される。溶剤などを
留去した後は、必要に応じて、成形機を用いてペレット
状に成形したり、適当な容器に入れて冷却、固化した
後、所望の粒度に粉砕する。
【0009】上記した四級化の方法のうち、好ましいの
は炭酸ジアルキルで四級化する方法である。この方法に
よれば、電気特性の低下や錆の発生を起こす原因となる
Cl、Br、SO4 、Na、Kなどのイオン性不純物の
混入を極力避けることができるので、電気電子部品用途
のエポキシ樹脂に対して好適である。また、本発明のカ
チオン部分である第四級アンモニウム基において、窒素
原子に結合した炭化水素基の2個以上がエチル基である
と、硬化促進剤の熱安定性が悪くなる傾向があるので、
四級化剤の選択に際しては、エチル基が2個以上となら
ないようにするのが好ましい。
【0010】フェノールノボラック類のフェノール性水
酸基のプロトンを、第四級アンモニウム基で置換する時
期は、特に限定されない。例えば、エポキシ樹脂コンパ
ウンド製造時の混練工程で四級化物を添加して、硬化剤
成分であるフェノールノボラック類を置換することもで
きる。しかしながら、一般には混練工程までにフェノー
ルノボラック類が有するフェノール性水酸基のプロトン
の置換を完結させておくことが好ましい。
【0011】本発明の製造に用いるフェノールノボラッ
ク類とは、縮合反応あるいは重合反応によって得られ
る、フェノール性水酸基を1分子中に平均して3個以上
有する化合物の総称である。例えば、半導体封止材用の
エポキシ樹脂に対してよく使用される硬化剤である軟化
点50〜140℃のフェノールノボラック樹脂、クレゾ
ールノボラック樹脂、キシリレンフェノール樹脂、ジシ
クロペンタジエンフェノール樹脂、ポリビニルフェノー
ル、トリスヒドロキシフェニルメタン系の化合物が挙げ
られる。なお、本発明の硬化促進剤に、フェノールなど
の一官能あるいは4,4’−ジヒドロキシジフェニル−
2,2−プロパンなどの二官能のフェノール化合物が混
入すると、エポキシ樹脂硬化物の熱安定性、電気特性お
よび機械特性の低下を招くため、特に1官能のフェノー
ル化合物の混入は第四級アンモニウム基のカチオン1当
量に対して、0.3、好ましくは0.1当量以下の割合
となるように制限することが好ましい。
【0012】上記した四級化の際に用いる三級アミン類
としては、例えば、トリメチルアミン、トリブチルアミ
ン、トリオクチルアミン、ジエチル−1−プロピルアミ
ン、ベンジルジメチルアミン、ブチルジヒドロキシエチ
ルアミンあるいはジブチルアミンのプロピレンオキサイ
ド付加物などの脂肪族アミン類、N−メチルピペリジ
ン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N
−エチルピロリジン、N−メチルヘキサメチレンイミ
ン、N−エチルヘキサメチレンイミン、N−メチルモル
ホリン、N−ブチルモルホリン、N,N´−ジメチルピ
ペラジン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5
−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウ
ンデセン−7などの脂環式アミン類、ピリジン、4−ジ
メチルアミノピリジン、ピコリン類、N−メチルイミダ
ゾール、N−メチルベンズイミダゾール、キノリン、
4,4´−ジピリジルなどの含窒素ヘテロ環芳香族類を
挙げることができる。このうち好ましい三級アミン類と
しては、炭素原子数の合計が37以下となる炭化水素基
からなる脂肪族アミン類および1,5−ジアザビシクロ
(4,3,0)−ノネン−5が挙げられる。好ましい脂
肪族アミン類としては、例えば、トリn−プロピルアミ
ン、トリn−ブチルアミン、ジオクチルメチルアミン、
ベンジルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミ
ン、ステアリルジメチルアミンが挙げられる。なお、炭
素原子数の合計が38以上となる脂肪族アミン類を使用
すると、硬化促進剤の触媒活性がやや低くなる傾向にあ
り、特に好ましい炭素原子数の合計は21以下である。
また、前記したように、第四級アンモニウム基におい
て、窒素原子に結合した炭化水素基の2個以上がエチル
基であると、硬化促進剤自身あるいはエポキシ樹脂硬化
物の熱安定性が他の場合に比べて低下する。一方、三級
アミン類として1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)
−ノネン−5の類縁化合物である1,8−ジアザビシク
ロ(5,4,0)−ウンデセン−7を用いた場合は、硬
化促進作用が他の場合に比べて低下する。
【0013】本発明のカチオン部分である第四級アンモ
ニウム基の好ましい例としては、メチルトリn−プロピ
ルアンモニウム、メチルトリn−ブチルアンモニウム、
ジオクチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチ
ルアンモニウムあるいはN−メチル−1,5−ジアザビ
シクロ(4,3,0)−ノネ−5−ニウムが挙げられ
る。本発明のエポキシ樹脂用硬化促進剤の製造におい
て、第四級アンモニウム基とフェノールノボラック類の
比率は、第四級アンモニウム基1当量に対して、フェノ
ールノボラック類が有するフェノール性水酸基が1当量
以上であればよいが、第四級アンモニウム塩の安定性な
どの点から、好ましくは第四級アンモニウム基1当量に
対してフェノール性水酸基が1.5当量以上、より好ま
しくは2.5当量以上である。第四級アンモニウム基と
フェノールノボラック類の比率によって、得られる硬化
促進剤の軟化点が変化し、本発明品の製造時や使用時の
作業効率に影響を与えるので、これらの点を考慮して上
記比率を決定する。
【0014】本発明の硬化促進剤は、必要に応じて他の
公知の硬化促進剤と併用することができる。併用の時期
あるいは方法は特に限定されない。例えば、本発明の製
造工程のいずれかの段階で配合する他、エポキシ樹脂コ
ンパウンド製造時の混練工程で配合してもよい。上記方
法により得られた硬化促進剤は、フェノールノボラック
類、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸あるいはテトラヒ
ドロ無水フタル酸などの液状または固形状の酸無水物類
からなる硬化剤、および必要によりシリカやアルミナな
どのフィラーその他の添加剤をエポキシ樹脂に配合した
エポキシ樹脂コンパウンドの硬化促進剤として使用され
る。その他の添加剤としては、離型剤、着色剤、難燃化
剤、低応力化剤、フィラーのカップリング処理剤、イオ
ン捕捉剤などが挙げられる。
【0015】本発明の適用対象となるエポキシ樹脂とし
ては、液状または固形状のビスフェノールA型エポキシ
樹脂、前記フェノールノボラック類のグリシジル化によ
って得られるエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、
臭素化フェノールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシ
ジルイソシアヌレート、あるいはこれらの2種以上を併
用したものが例示される。エポキシ樹脂コンパウンド
は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、フィラーある
いはその他の添加剤を連続ニーダなどで混練することに
より、常温で液状または固形状の形で得られる。該コン
パウンドが常温で固形状の場合は、これを粉砕して粉末
状にするか、また成形機を用いてペレットやタブレット
状としてもよく、また溶剤を用いて各成分を混練して溶
液状のコンパウンドとしてもよい。
【0016】本発明の硬化促進剤のエポキシ樹脂コンパ
ウンドへの添加量は、第四級アンモニウム塩のカチオン
部分、すなわち第四級アンモニウム基の重量で表示する
と、通常はエポキシ樹脂100重量部に対して、0.5
〜10重量部程度であり、最適な添加量は要求される硬
化速度(ゲルタイム)などに合わせて決定される。な
お、エポキシ樹脂コンパウンドにおいて、硬化剤とエポ
キシ樹脂の当量比は通常1:1付近で厳密に管理されて
いるが、本発明の硬化促進剤を用いるときは硬化促進剤
中に含まれるフェノールノボラック類と等当量分だけ、
硬化剤であるフェノールノボラック類や酸無水物類の配
合量を減らすことが好ましい。本発明を使用したエポキ
シ樹脂コンパウンドは、半導体などの電気電子部品の封
止材のほか、電気電子部品の注型、積層板あるいは粉体
塗料の用途に用いることができる。
【0017】
【実施例】以下、実施例1〜2、比較例1〜3、参考例
および試験例により本発明を説明するが、本発明はこの
実施例の記載に限定されるものではない。
【0018】(実施例1)攪拌式オートクレーブに、ト
リn−ブチルアミン(1モル)、炭酸ジメチル(2.2
モル)および溶剤としてメタノール(約4.7モル)を
仕込み、反応系を窒素置換した後、密閉して、125℃
で40時間反応させた(NMR分析で求めたトリn−ブ
チルアミンの反応率は約99%)。そして、その結果、
濃度53重量%(塩酸溶液での電位差滴定による)のメ
チルトリn−ブチルアンモニウムメチルカーボネートの
溶液を得た。次に、キシリレンフェノール樹脂ミレック
スXLC−LL(三井化学社製、商品名、軟化点78
℃、水酸基当量172、数平均分子量約1,050)3
00重量部を窒素気流中で溶融して約140℃とし、攪
拌下、同温度で前記のメチルトリn−ブチルアンモニウ
ムメチルカーボネートの溶液78重量部を徐々に添加し
て溶剤などを留去しながら、上記樹脂のフェノール性水
酸基のプロトンを置換し、最終的に減圧下、約160℃
で未反応原料の炭酸ジメチルや溶剤のメタノールなどを
除去した。そして、溶融状態のメチルトリn−ブチルア
ンモニウムのミレックスXLC−LL塩を離型紙上に取
り出し、冷却した後、粉砕して、黄褐色の軟化点約10
3℃、第四級アンモニウム基部分の含量9.1重量%で
ある実施例1の硬化促進剤を得た。第四級アンモニウム
基部分とミレックスXLC−LLの割合は、NMR分析
により確認した。TG−DTA分析による本硬化促進剤
の熱分解開始温度(窒素気流中、昇温速度10℃/分、
以下の例においても、同条件による。)は、約230℃
であった。
【0019】(実施例2)三級アミン類として、1,5
−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5(サンア
プロ社製)を使用し、四級化の反応時間を12時間とし
た以外は、実施例1と同様に反応させて(反応率約10
0%)、濃度46.5重量%のN−メチル−1,5−ジ
アザビシクロ(4,3,0)−ノネ−5−ニウムメチル
カーボネートの溶液を得た。ミレックスXLC−LL5
00重量部および実施例1のメチルカーボネートの溶液
に代えて、本実施例のメチルカーボネートの溶液138
重量部を使用した以外は実施例1と同様にして、黄褐色
の軟化点約116℃、第四級アンモニウム基部分の含量
7.7重量%である実施例2の硬化促進剤を得た。本硬
化促進剤の熱分解開始温度は、約340℃であった。
【0020】(比較例1)三級アミン類としてトリエチ
ルアミンを用い、反応温度を115℃とした以外は実施
例2と同様に反応させて(反応率約98%)、濃度4
2.5重量%のメチルトリエチルアンモニウムメチルカ
ーボネートの溶液を得た。2−エチルヘキサン酸をほぼ
等重量のメタノールに溶解し、窒素気流中攪拌下に約5
0℃で本比較例のメチルカーボネートの溶液の等当量を
徐々に加え、最終的には約80℃で減圧下に炭酸ジメチ
ルやメタノールなどの低沸点化合物を留去し、黄褐色液
状の比較例1の硬化促進剤を得た。この硬化促進剤の熱
分解開始温度は、約165℃と低いものであった。
【0021】(比較例2)2−エチルヘキサン酸に代え
て等モルのo−フタル酸を、比較例1のメチルトリエチ
ルアンモニウムメチルカーボネートの溶液に代えて実施
例1のメチルトリn−ブチルアンモニウムメチルカーボ
ネートの溶液を使用し、最終の溶剤などの留去時の温度
を130℃とした以外は比較例1と同様にして、融点約
92℃の比較例3の硬化促進剤を得た。この硬化促進剤
の熱分解開始温度は約250℃であった。
【0022】(比較例3)実施例1のメチルトリn−ブ
チルアンモニウムメチルカーボネートの溶液に代えて、
実施例2のN−メチル−1,5−ジアザビシクロ(5,
4,0)−ノネ−5−ニウムメチルカーボネートの溶液
を使用した以外は比較例2と同様にして、固形状で極め
て吸湿性の強い比較例4の硬化促進剤を得た。この硬化
促進剤の熱分解開始温度は約285℃であった。
【0023】(参考例)参考例の硬化促進剤として、
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−
7(サンアプロ社製)をそのまま使用した。
【0024】(試験例)表1に示す重量部の実施例1、
2、比較例2、3および参考例の硬化促進剤とミレック
スXLC−LL86重量部(実施例1、2の硬化促進剤
の場合は、第四級アンモニウム塩の製造に使用されてい
るミレックスXLC−LLの重量と合わせた合計の重量
である)を約130℃で均一に溶融混合した後、冷却し
て粗砕した。そして、ビフェニルエポキシ樹脂YX−4
000H(油化シェルエポキシ社製、商品名、融点約1
08℃、エポキシ当量190、加水分解性塩素−2の分
析値143ppm)90重量部および臭素化ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂エピクロン153(大日本インキ
化学工業社製、商品名、軟化点約70℃、エポキシ当量
400、臭素含有量約48%)10重量部を約115℃
で溶融し、これに前記の粗砕物の全量(粗砕時にロスが
ある場合は、表1記載の重量比率になるように補正し
た)を加え、約90秒間均一に溶融混合した後、速やか
に冷却、粉砕し、試験に適した大きさのタブレット状
に、室温でプレス成形して、硬化促進剤を含んだエポキ
シ樹脂コンパウンドを得た。そして、それぞれのエポキ
シ樹脂コンパウンドについて、下記の試験方法1〜3で
性能を評価し、それらの結果を表1に示した。なお、表
1において硬化促進剤の重量部および分子量(理論値)
は、実施例1、2については第四級アンモニウム塩のカ
チオン部分で示し、その他の例にあっては第四級アンモ
ニウム塩で示した。表1中の硬化促進剤の配合ミリモル
数、ゲルタイム、硬化トルクおよびガラス転移点Tgの
関係から、本発明の硬化促進剤は触媒活性に優れてい
て、エポキシ樹脂の成形サイクルの短縮に有効であると
ともに、半導体などの信頼性低下の原因となる硬化樹脂
中の不純物イオンの含量が少なく、かつ高い体積抵抗率
を示すことから電気特性に優れていることが分かった。
【0025】(試験方法1)キュラストメータV型(日
合商事社製、商品名)を使用して、温度175℃、樹脂
用ダイスP−200および振幅角度±1°の条件で、そ
れぞれのエポキシ樹脂コンパウンドについて硬化トルク
を測定し、硬化トルクの立ち上がる点をゲルタイム(単
位は秒)として、測定開始から90秒後の硬化トルクの
値(単位はkgf・cm)を成形性(脱型時の強度およ
び硬度)の指標とした。また、測定開始から120秒後
に取り出して、成形直後のTg(TMA法による、単位
は℃)を測定した。更に、175℃、5時間の条件で後
硬化してTgを測定した。
【0026】(試験方法2)試験方法1に記載した方法
と同じ方法で得られる、後硬化したエポキシ樹脂を粉砕
して分級し、粒径425μmパスの粉末を得た。この粉
末7.0重量部と超純水70.0重量部を耐圧容器に入
れ、150℃で20時間抽出した後濾過し、イオンクロ
マトグラフ法により濾液中の不純物ClおよびBrイオ
ンの含量を求めた(イオン含量は硬化樹脂に対するpp
m単位で示した)。
【0027】(試験方法3)それぞれのコンパウンド
を、165℃で7分間、プレス圧40kg/cm2 の条
件で熱プレス成形し、165℃で5時間、後硬化して、
直径約100mm、厚さ2.0mmの試験片を作製し、
JIS K−6911−1995の方法に準じて、この
試験片の150℃における体積抵抗率(単位は1012Ω
cm)を測定した。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】本発明の硬化促進剤は、エポキシ樹脂の
硬化促進作用およびエポキシ樹脂の成形性に優れ、イオ
ン性不純物が少なく電気特性に優れた硬化樹脂を提供す
ることから、各種電気電子部品の封止などの用途に用い
るエポキシ樹脂の硬化促進剤として極めて有用なもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J036 AD07 AD08 AF06 AJ18 DC05 DC06 DC09 DC10 DC12 DC38 DC39 DC40 DC46 FB08 JA03 JA07 JA08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノールノボラック類が有するフェノ
    ール性水酸基のプロトンを、第四級アンモニウム基で置
    換した第四級アンモニウム塩からなることを特徴とする
    エポキシ樹脂用硬化促進剤。
  2. 【請求項2】 第四級アンモニウム基が、1,5−ジア
    ザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5を四級化して得
    られるものである請求項1記載のエポキシ樹脂用硬化促
    進剤。
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