JP2013199550A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】強靱性及び透明性に優れる硬化物を形成することができる樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、下記一般式(I)及び(II)で表される構造単位を有するフェノール樹脂と、架橋剤と、アクリル系エラストマと、を含む樹脂組成物に関する。式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を示し、Rは芳香環を有しない含窒素有機基を示し、x及びyは構造単位の存在比を示し、x:yは1:99〜99:1である。
Figure 2013199550

【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。
半導体素子に用いられるバッファコート膜(応力緩和用)、表面コート膜(表面保護用)等の材料として、ポリイミド系樹脂が広く使用されている。ポリイミド系樹脂は、他の樹脂と比較して優れた耐熱性、機械特性及び電気絶縁性を有している。しかし、通常のポリイミド系樹脂は塗布後の硬化に200℃以上の高温を要すること、弾性率が高いために基板に反りを生じることがある。そこで、ポリイミド系樹脂に他の樹脂を配合することでポリイミド系樹脂の優れた特性を残したまま、これらの欠点を改善しようとする試みが多数行われている。
上記ポリイミド系樹脂に代えて、フェノール系樹脂を用いた樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この樹脂組成物により、低硬化収縮性、強靱性、耐熱性等の特性において一定のレベルの性能を満足することができる。
特開2010−111835号公報
しかしながら、従来の樹脂組成物を半導体素子に用いる場合、強靱性及び透明性について、更なる改善が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、強靱性に優れる硬化物を形成することができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、下記一般式(I)で表される構造単位及び下記一般式(II)で表される構造単位を有するフェノール樹脂と、架橋剤と、アクリル系エラストマと、を含む樹脂組成物を提供する。
Figure 2013199550

[式(I)及び(II)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を示し、Rは芳香環を有しない含窒素有機基を示し、x及びyは構造単位の存在比を示し、x:yは1:99〜99:1である。]
上記Rにおける含窒素有機基は、芳香環を有しない飽和複素環式アミンに由来する構造を有することが好ましい。
強靱性をより向上する観点から、飽和複素環式アミンは、ピペリジン、ピペリジン誘導体、ピペラジン又はピペラジン誘導体であることが好ましい。
上記アクリル系エラストマは、下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位を有することができる。
Figure 2013199550

[式(1)及び(2)中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数4〜20のアルキル基を示す。]
上記架橋剤は、下記構造式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2013199550
本発明の樹脂組成物は、溶媒を更に含むことができる。
本発明によれば、強靱性及び透明性に優れる硬化物を形成することができる樹脂組成物を提供することができる。
本発明の樹脂組成物は、(A)下記一般式(I)で表される構造単位及び下記一般式(II)で表される構造単位を有するフェノール樹脂と、(B)架橋剤と、(C)アクリル系エラストマと、を含むことを特徴とする。
Figure 2013199550
式(1)及び(2)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を示し、Rは芳香環を有しない含窒素有機基を示す。x及びyは構造単位の存在比を示し、x:yは1:99〜99:1である。すなわち、xは、式(1)で表される構造単位と式(2)で表される構造単位との総モル数を100とした場合の式(1)で表される構造単位のモル比であり、yは、式(2)で表される構造単位のモル比である。
以下に、本発明の樹脂組成物を構成する必須の成分である(A)〜(C)成分及びその他の成分について説明する。
[(A)成分:フェノール樹脂]
(A)成分は、上記一般式(I)及び(II)で表される構造単位を含むフェノール樹脂である。
一般式(I)において、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
一般式(II)において、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。強靱性をより向上する観点から、Rは、飽和複素環式アミンに由来する構造を有することが好ましい。飽和複素環式アミンとしては、例えば、ピペリジン、ピペリジン誘導体、ピペラジン及びピペラジン誘導体が挙げられる。
強靱性を向上できる観点から、(A)成分を構成する一般式(I)で表される構造単位と一般式(II)で表される構造単位との存在比x:yは、99:1〜90:10がより好ましく、98:2〜92:8が更に好ましく、97:3〜94:6が特に好ましい。
一般式(II)で表される構造単位の具体例としては、下記一般式(III)で表される構造単位及び一般式(IV)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2013199550
式(III)及び(IV)中、Rは、式(II)中のRと同義であり、R14、R1516及びR17は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を示し、R18及びR19は水素原子、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜20の飽和脂環式炭化水素基を示す。また、Xは、芳香環を有しない2価の有機基を示す。yは構造単位の存在比を表し、上記一般式(I)中のxと対比して、x:yは1:99〜99:1である。
上記一般式(III)で表される構造単位又は一般式(IV)で表される構造単位を有するフェノール樹脂は、例えば、以下のような方法で製造することができる。
まず、フェノール樹脂と、所定量のナトリウムアルコキシドを反応させてフェノール性水酸基の一部を−ONaとする。これにエピクロルヒドリンを反応させてフェノール性水酸基の一部にグリシジル基を導入する。これにより、下記一般式(V)で表される構造単位が得られる。式(V)中のRは、式(II)中のRと同義である。
Figure 2013199550
上記一般式(V)で表される構造単位を有するフェノール樹脂に、飽和複素環式アミンであるピペリジン、ピペリジン誘導体、ピペラジン又はピペラジン誘導体を反応させることで、上記一般式(III)又は(IV)で表される構造単位を有するフェノール樹脂を得ることができる。
グリシジル基を導入する前のフェノール樹脂は、フェノール又はその誘導体とアルデヒド類との重縮合による生成物である。重縮合は、通常、酸又は塩基触媒の存在下で行われる。酸触媒を用いた場合に得られるフェノール樹脂を特にノボラック型フェノール樹脂という。ノボラック型フェノール樹脂の具体例としては、フェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、キシリレノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、レゾルシノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂及びフェノール−ナフトール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂が挙げられる。
フェノール樹脂を得るために用いられるフェノール誘導体としては、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール及び3,4,5−トリメチルフェノール等のアルキルフェノール、メトキシフェノール及び2−メトキシ−4−メチルフェノール等のアルコキシフェノール、ビニルフェノール及びアリルフェノール等のアルケニルフェノール、ベンジルフェノール等のアラルキルフェノール、メトキシカルボニルフェノール等のアルコキシカルボニルフェノール、ベンゾイルオキシフェノール等のアリールカルボニルフェノール、クロロフェノール等のハロゲン化フェノール、カテコール、レゾルシノール及びピロガロール等のポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA及びビスフェノールF等のビスフェノール、α−又はβ−ナフトール等のナフトール誘導体、p−ヒドロキシフェニル−2−エタノール、p−ヒドロキシフェニル−3−プロパノール及びp−ヒドロキシフェニル−4−ブタノール等のヒドロキシアルキルフェノール、ヒドロキシエチルクレゾール等のヒドロキシアルキルクレゾール、ビスフェノールのモノエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールのモノプロピレンオキサイド付加物等のアルコール性水酸基含有フェノール誘導体、p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、p−ヒドロキシフェニルブタン酸、p−ヒドロキシ桂皮酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェニル安息香酸、ヒドロキシフェノキシ安息香酸及びジフェノール酸等のカルボキシル基含有フェノール誘導体が挙げられる。また、ビスヒドロキシメチル−p−クレゾール等の上記フェノール誘導体のメチロール化物をフェノール誘導体として用いてもよい。
さらに、フェノール樹脂は、上述のフェノール又はフェノール誘導体をm−キシレンのようなフェノール以外の化合物とともにアルデヒド類と縮重合して得られる生成物であってもよい。この場合、縮重合に用いられるフェノール誘導体に対するフェノール以外の化合物のモル比は、0.5未満であると好ましい。
上述のフェノール誘導体及びフェノール化合物以外の化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
フェノール樹脂を得るために用いられるアルデヒド類は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、メトキシフェニルアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、クロロフェニルアセトアルデヒド、アセトン、グリセルアルデヒド、グリオキシル酸、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸フェニル、グリオキシル酸ヒドロキシフェニル、ホルミル酢酸、ホルミル酢酸メチル、2−ホルミルプロピオン酸、2−ホルミルプロピオン酸メチル、ピルビン酸、レプリン酸、4−アセチルブチル酸、アセトンジカルボン酸、及び3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸から選ばれる。また、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒドの前駆体を反応に用いてもよい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(A)成分は、機械特性(破断伸び、弾性率及び残留応力)をより向上できる観点から、炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で更に修飾することが好ましい。
炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で修飾されたフェノール樹脂は、例えば、フェノール誘導体と炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物(以下場合により単に「不飽和炭化水素基含有化合物」という。)との反応生成物(以下「不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体」という。)と、アルデヒド類とを縮重合反応させることにより得ることができる。
フェノール誘導体及びアルデヒド類としては、上記フェノール樹脂を得るために用いられるフェノール誘導体及びアルデヒド類と同様のものを用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物が有する不飽和炭化水素基は、耐熱衝撃性の観点から、2以上の不飽和結合を含むことが好ましく、樹脂組成物の保存安定性の観点から、不飽和結合は30以下であることが好ましい。また、樹脂組成物としたときの相溶性及び硬化膜の可とう性の観点からは、不飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは8〜80であり、より好ましくは10〜60である。
不飽和炭化水素基含有化合物としては、例えば、炭素数4〜100の不飽和炭化水素、カルボキシル基を有するポリブタジエン、エポキシ化ポリブダジエン、リノリルアルコール、オレイルアルコール、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルが挙げられる。好適な不飽和脂肪酸としては、例えば、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α−リノレン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸及びドコサヘキサエン酸が挙げられる。これらの中でも特に、炭素数8〜30の不飽和脂肪酸と、炭素数1〜10の1価から3価のアルコールとのエステルがより好ましく、炭素数8〜30の不飽和脂肪酸と3価のアルコールであるグリセリンとのエステルが特に好ましい。これらの不飽和炭化水素基含有化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
炭素数8〜30の不飽和脂肪酸とグリセリンとのエステルは、植物油として商業的に入手可能である。植物油は、ヨウ素価が100以下の不乾性油、100を超えて130未満の半乾性油又は130以上の乾性油がある。不乾性油として、例えば、オリーブ油、あさがお種子油、カシュウ実油、さざんか油、つばき油、ひまし油及び落花生油が挙げられる。半乾性油として、例えば、コーン油、綿実油及びごま油が挙げられる。乾性油としては、例えば、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油、サフラワー油、ひまわり油、荏の油及び芥子油等が挙げられる。また、これらの植物油を加工して得られる加工植物油を用いてもよい。機械特性及び耐熱衝撃性が向上する観点では乾性油を用いることが好ましく、桐油及び亜麻仁油がより好ましい。
炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で修飾されたフェノール樹脂を調製するにあたり、まず、上記フェノール誘導体と上記不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させ、不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体を作製する。上記反応は、通常50〜130℃で行うことが好ましい。フェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、硬化膜の可とう性を向上させる観点から、フェノール誘導体100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましい。上記反応は、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。
次いで、上記不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体と、アルデヒド類とを反応させ、炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂を作製する。
上記アルデヒド類と、上記不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体との反応は、重縮合反応であり、従来公知のフェノール樹脂の合成条件を用いることができる。
また、炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で修飾されたフェノール樹脂は、上述のフェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得られる化合物と、m−キシレンのようなフェノール以外の化合物とを組み合わせて、アルデヒド類と重縮合することにより得ることもできる。
また、炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で修飾されたフェノール樹脂は、上記フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得ることもできる。
上記フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応は、通常50〜130℃で行うことが好ましい。また、フェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、硬化膜の可とう性を向上させる観点から、フェノール樹脂100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましい。このとき、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。なお、反応にはトルエン、キシレン、メタノール、テトラヒドロフランなどの溶媒を用いることができる。
なお、(A)成分であるフェノール樹脂の重量平均分子量は、強靱性と溶解性とを考慮すると、1000〜500000が好ましく、2000〜200000がより好ましく、2000〜100000であることが更に好ましく、5000〜50000であることが特に好ましい。
[(B)成分:架橋剤]
(B)成分である架橋剤は、熱や酸の作用により、樹脂等の配合組成物や他の架橋剤分子との結合を形成する化合物である。(B)成分として、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物又はエポキシ基を有する化合物を用いることができる。
なお、ここでいう「フェノール性水酸基を有する化合物」には、(A)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂は包含されない。熱架橋剤としてのフェノール性水酸基を有する化合物は、熱架橋剤としてだけでなく、アルカリ水溶液で現像する際の露光部の溶解速度を増加させ、感度を向上させることができる。このようなフェノール性水酸基を有する化合物の分子量は、好ましくは2000以下である。アルカリ水溶液に対する溶解性、及び感光特性と機械特性とのバランスを考慮して、数平均分子量で94〜2000が好ましく、108〜2000がより好ましく、108〜1500が更に好ましい。
架橋剤としては、従来公知のもの(例えば、ヘキサメチレンテトラミン、ブロック化ジイソシアネート、エポキシ樹脂、尿素等)を適宜使用することができるが、低弾性率化を図る観点から、下記構造式(A)〜(F)で表される化合物を使用することができる。
Figure 2013199550
樹脂組成物中の架橋剤の含有量は、強靭性、高耐熱性、耐溶剤性、低熱膨張率等の観点から、上記フェノール樹脂100質量部に対して、1〜50質量部とするのが好ましく、2〜30質量部とするのがより好ましく、5〜25質量部とすることが更に好ましい。
[(C)成分:アクリル系エラストマ]
(C)成分であるアクリル系エラストマは、室温でゴム弾性を有するものであれば特に制限されないが、具体的には、下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位を有することが好ましい。このようなアクリルエラストマを用いることで、感光性樹脂組成物に適用した場合、良好な感光特性を維持しつつ、耐熱衝撃性を向上することができる。これは、(A)成分であるフェノール樹脂と(C)成分であるアクリル系エラストマがより強く相互作用(静電相互作用)するためと、本発明者らは推測している。
Figure 2013199550
式(1)及び(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数4〜20のアルキル基を示す。
また、式(1)中、感度、解像度及び耐熱衝撃を向上できる観点から、Rは炭素数4〜16のアルキル基が好ましく、炭素数4〜12のアルキル基がより好ましく、炭素数4のアルキル基(n−ブチル基)が更に好ましい。式(1)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記一般式(1a)で表される化合物等が挙げられる。
CH=C(R)−COOR (1a)
式(1a)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数4〜20のアルキル基を示す。
で示される炭素数4〜20のアルキル基としては、例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基という場合もある)、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。
上記一般式(1a)で表される重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル((メタ)アクリル酸ラウリルエステルという場合もある)、(メタ)アクリル酸トリデシルエステル、(メタ)アクリル酸テトラデシルエステル、(メタ)アクリル酸ペンタデシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルエステル、(メタ)アクリル酸オクタデシルエステル、(メタ)アクリル酸ノナデシルエステル、(メタ)アクリル酸エイコシルエステル等が挙げられる。これらの重合性単量体は単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
一般式(2)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。
(C)成分であるアクリル系エラストマにおいて、上記一般式(1)で表される構造単位の組成比は、(C)成分の総量に対して、50〜93モル%であることが好ましく、55〜85モル%であることがより好ましく、60〜80モル%であることが特に好ましい。上記一般式(1)で表される構造単位の組成比が50〜95モル%であることにより、樹脂組成物の硬化膜の耐熱衝撃性をより向上することができる。
また、(C)成分であるアクリル系エラストマにおいて、上記一般式(2)で表される構造単位の組成比は、(C)成分の総量に対して、5〜35モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることがより好ましく、15〜25モル%であることが特に好ましい。上記一般式(2)で表される構造単位の組成比が5〜35モル%であることにより、(A)成分との相溶性、及び樹脂組成物の現像性をより向上することができる。
また、(A)成分との相溶性、密着性、機械特性及び耐熱衝撃性をより向上できる観点から、(C)成分は、上記一般式(1)及び(2)で表される構造単位に加え、下記一般式(3)で表される構造単位を更に有するアクリル系エラストマを含有することがより好ましい。(C)成分が当該アクリル系エラストマを含有することにより、(C)成分と(A)成分のフェノール性水酸基との相互作用がより良好になり、硬化膜とした時の強靱性がより向上する。
Figure 2013199550

式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは1級、2級又は3級のアミノ基を有する1価の有機基を示す。
一般式(3)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの重合性単量体は単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも特に、基板への密着性、機械特性及び耐熱衝撃性をより向上できる観点から、一般式(3)中、Rが下記一般式(4)で表される1価の有機基であることが特に好ましい。
Figure 2013199550

式(4)中、Xは炭素数1〜5のアルキレン基を示し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、nは0〜10の整数を示す。
一般式(3)中、Rが一般式(4)で表される1価の有機基で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中で、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−711MMとして、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−712HMとして(いずれも日立化成工業(株)社製)として、それぞれ商業的に入手可能である。
(C)成分が上記一般式(3)で表されるアクリル系エラストマを含有する場合において、上記一般式(3)で表される構造単位の含有割合は、(C)成分に含まれるアクリル樹脂の構造単位の総量に対して、0.3〜10モル%であることが好ましく、0.4〜6モル%であることがより好ましく、0.5〜5モル%であることが特に好ましい。
また、(C)成分は、感光性樹脂組成物として用いる場合、感度をより向上できる観点から、上記一般式(1)で表される構造単位、上記一般式(2)で表される構造単位及び下記一般式(5)で表される構造単位を有するアクリル樹脂を含有することが好ましい。かかるアクリル樹脂は上記一般式(3)で表される構造単位を更に有していてもよい。
Figure 2013199550

式(5)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Yは2価の有機基を示し、R〜R11はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示し、R12は1価の有機基を示し、mは1〜100の整数を示す。
一般式(5)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、メタクリル変性シリコーンオイル等が挙げられ、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−2475(いずれも信越化学工業(株)社製)として、それぞれ商業的に入手可能である。
また、(C)成分を構成するアクリル樹脂の合成に用いられる重合性単量体は、一般式(1)、(2)、(3)及び(5)で表される各構造単位を与える重合性単量体以外の重合性単量体を更に含んでいてもよい。
そのような重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸4−メチルベンジルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルエステル、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテルなどのビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピルなどのマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。これらの重合性単量体は単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(C)成分の重量平均分子量は、2000〜100000であることが好ましく、3000〜60000であることがより好ましく、5000〜50000であることが特に好ましく、8000〜40000であることが最も好ましい。重量平均分子量が2000以上では硬化膜の耐熱衝撃性をより向上でき、100000以下であると(A)成分との相溶性及び現像性をより向上できる。
(C)成分の含有量は、強靭性(特に破断伸び)、低硬化収縮性、低弾性率化(応力緩和)の観点から、(A)成分の総量100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部が特に好ましい。
本実施形態に係るアクリル系エラストマは、その効果を損なわない範囲で、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、などの添加剤を添加することができる。
上記アクリル系エラストマは、適当な溶媒を用い、少なくとも上記一般式(1)及び(2)で表される構造単位に由来するモノマー成分を所望の比率となるように、溶媒、重合開始剤等とともに混合、攪拌し、加熱して共重合して得ることができる。
混合に用いる溶媒としては、特に制限はなく、例えば、トルエン、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイゾブチルケトン、キシレン、ジメチルアセトアミド、γ―ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、メタノール、エタノール、ブタノール、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、水等を用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾビス化合物、キュメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、ラウロイルポーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の過酸化物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
アクリル系エラストマを合成する際には、その他の添加剤として、シランカップリング剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フィラー等を用いることができる。
上記共重合反応は、上記の重合開始剤存在下に、乳化重合、けん濁重合、溶液重合、塊状重合などの方法で行うことができる。ラジカル重合、アニオン重合、リビングラジカル重合等の反応機構を利用することができる。その際の重合温度は、一般には−80〜150℃であり、0〜100℃とすることが好ましい。
その他、共重合に際し、一般式(1)及び一般式(2)以外に共重合可能な単量体を発明の効果が低下しない範囲で共重合性反応性比を調節し円滑に反応させる目的で用いることも可能である。
[(D)成分:溶媒]
本実施形態の樹脂組成物は、(D)成分として溶媒を更に含むことができる。すなわち、樹脂組成物は、上記各成分を溶媒に溶解し溶液とすることができる。使用する溶媒としては、特に制限はないが、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル等の乳酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、ブチルカルビトール等のカルビトール類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクン等のラクトン類などを挙げることができる。中でも、乳酸エチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンが好適に使用できる。また、これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。
[溶解度調整剤]
本実施形態の樹脂組成物は、溶解度調整剤を含むことができる。溶解度調整剤としては、下記構造式で表される化合物が好適に用いられる。
Figure 2013199550
本実施形態の樹脂組成物が溶解度調整剤を含む場合、その含有量は、各種溶媒に対する溶解速度を調節する必要性の観点から、上記フェノール樹脂100質量部に対し、0.02〜2.0質量部とするのが好ましく、0.1〜1.0質量部とすることがより好ましい。
[その他の成分]
本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、上述した成分以外の他の成分を含むことができる。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、光酸発生剤、フィラー等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、強靱性及び透明性に優れる硬化物を形成することができ、半導体素子に用いられるバッファコート膜、表面コート膜)等の材料として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<各種フェノール樹脂の合成>
(合成例1)
100mLの三口フラスコに、固形フェノール樹脂(旭有機材社製、商品名「EP4020G」)26.5g及びジメチルアセトアミド(和光純薬社製)62.5gを加え、フェノール樹脂を室温にて溶解した後、ナトリウムメトキサイド(和光純薬社製)0.38gをメタノール(和光純薬社製)5.0gに溶解した溶液を添加した。室温にて約30分攪拌した後、エピクロロヒドリン(和光純薬社製)0.92gを添加し、75℃に昇温し、6時間攪拌した。その後、温度を65℃まで冷却し、N−シクロヘキシルピペラジン(和光純薬社製)1.4gを添加し、4時間撹拌した。この時点で反応は終了した。その後、室温まで冷却し、蒸留水4.4gを添加し、均一になるまで攪拌した。このときの反応液のpHは8.87であり、濃硫酸(和光純薬社製)を添加してpHを8.56に調整した。得られた反応混合物を蒸留水約500gに攪拌しながら投入し、固形分を析出させ、約1時間攪拌を継続した後、吸引濾過により固形分を分離し、分離した固形分に蒸留水約100gを添加して攪拌を約30分行った後、吸引濾過を行い固形分を分離した。さらにこの固形分に約100gの蒸留水を添加して、約30分間攪拌した。その後、吸引濾過により固形分を回収し、得られた固形分を60℃にて、約10時間乾燥して、N−シクロヘキシルピペラジンによる3.0モル変性品であるアミノ基変性フェノール樹脂1を得た。100g中のフェノール樹脂に含まれるフェノール性水酸基のモル数は、フェノール樹脂の繰り返しユニットの平均分子量(114.14g/平均ユニット分子量)で除した値として定義した。
(合成例2)
合成例1におけるN−シクロヘキシルピペラジン1.4gの代わりに、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(和光純薬社製)1.3gを添加し、反応終了後の反応液のpHが9.59、濃硫酸による調節後のpHが9.22であったこと以外は合成例1と同様に行い、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンによる3.0モル変性品であるアミノ基変性フェノール樹脂2を得た。
(合成例3)
合成例1におけるN−シクロヘキシルピペラジン1.4gの代わりに、N−メチルピペラジン(和光純薬社製)0.8gを添加し、反応終了後の反応液のpHが8.89、濃硫酸による調節後のpHが8.71であったこと以外は合成例1と同様に行い、N−メチルピペラジンによる3.0モル変性品であるアミノ基変性フェノール樹脂3を得た。
(合成例4)
合成例1におけるN−シクロヘキシルピペラジン1.4gの代わりに、N−オクチルピペラジン(和光純薬社製)1.7gを添加し、反応終了後の反応液のpHが8.94、濃硫酸による調節後のpHが8.61であったこと以外は合成例1と同様に行い、N−オクチルピペラジンによる3.0モル変性品であるアミノ基変性フェノール樹脂4を得た。
(合成例5)
合成例1におけるN−シクロヘキシルピペラジン1.4gの代わりに、同アミンを0.5gを添加し、反応終了後の反応液のpHが8.26、濃硫酸による調節後のpHが7.76であったこと以外は合成例1と同様に行い、N−シクロヘキシルピペラジンによる1.0モル変性品であるアミノ基変性フェノール樹脂5を得た。
(合成例6)
合成例1におけるN−シクロヘキシルピペラジン1.4gの代わりに、同アミンを4.7gを添加し、反応終了後の反応液のpHが9.68、濃硫酸による調節後のpHが9.42であったこと以外は合成例1と同様に行い、N−シクロヘキシルピペラジンによる10.0モル変性品であるアミノ基変性フェノール樹脂6を得た。
(合成例7)
合成例1におけるN−シクロヘキシルピペラジン1.4gの代わりに、N−エチルアニリン(和光純薬社製)1.0gを添加し、反応終了後の反応液のpHが8.85、濃硫酸による調節後のpHが4.11であったこと以外は合成例1と同様に行い、N−エチルアニリンによる3.0モル変性品であるアミノ基変性フェノール樹脂7を得た。
(合成例8)
合成例1におけるN−シクロヘキシルピペラジン1.4gの代わりに、N−フェニルピペラジン(和光純薬社製)1.3gを添加し、反応終了後の反応液のpHが8.78、濃硫酸による調節後のpHが8.42であったこと以外は合成例1と同様に行い、N−フェニルピペラジンによる3.0モル変性品であるアミノ基変性フェノール樹脂8を得た。
<アクリル系エラストマの合成>
(合成例9)
200mLの三口フラスコに、アクリル酸ブチル(和光純薬社製)36.1g、ドデシルアクリレート(大阪有機工業社製)10.2g、アクリル酸(和光純薬社製)6.1g、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジルアクリレート(ADEKA社製、商品名LA82)3.6g、トルエン(和光純薬社製)47.0g及び2−プロパノール(和光純薬社製)32.0gを加えた混合物を室温で攪拌し均一に溶解した後、約7℃に冷却し、混合物に窒素ガスを15分間バブリングすることにより酸素を除去した。次いで、フラスコを密閉したまま65℃に昇温した混合物に、アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬社製)0.07gをメチルエチルケトン(和光純薬社製)5.0gに溶解した溶液を添加し、65℃で約12時間反応させた。反応後の重合率は約99.7%であった。反応が終了した後、この混合物を約55℃で減圧下に溶媒を除去した後、乳酸エチル(和光純薬社製)68gを添加し攪拌しながら溶解させて、アクリル系エラストマ1の乳酸エチル溶液を得た。このときの固形分濃度は45質量%であった。
<樹脂組成物の調製>
実施例1
「アミノ基変性フェノール樹脂1」20gに乳酸エチル24.5gを加え攪拌した均一な溶液5.0gに、亜麻仁油変性フェノール樹脂(日立化成社製)0.22g、架橋剤としてメトキシメチルメラミン(ネオケミカル社製)0.41g、アクリル系エラストマ1の乳酸エチル溶液0.5gを添加し、50℃にて約30分間攪拌して均一な樹脂組成物を得た。
実施例2
アミノ基変性フェノール樹脂1に代えて、アミノ基変性フェノール樹脂2を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
実施例3
(アミノ基変性フェノール樹脂3の合成)
アミノ基変性フェノール樹脂1に代えて、アミノ基変性フェノール樹脂3を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
実施例4
(アミノ基変性フェノール樹脂4の合成)
アミノ基変性フェノール樹脂1に代えて、アミノ基変性フェノール樹脂4を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
実施例5
(アミノ基変性フェノール樹脂5の合成)
アミノ基変性フェノール樹脂1に代えて、アミノ基変性フェノール樹脂5を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
実施例6
アミノ基変性フェノール樹脂1に代えて、アミノ基変性フェノール樹脂6を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
比較例1
アミノ基変性フェノール樹脂1に代えて、未変性のフェノール樹脂(EP4020G)を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
比較例2
アミノ基変性フェノール樹脂1に代えて、アミノ基変性フェノール樹脂7を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
比較例3
アミノ基変性フェノール樹脂1に代えて、アミノ基変性フェノール樹脂8を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物をPETフィルム(帝人社製、商品名「A3170」)上に流延塗工し、100℃で10分間加熱し溶媒を除去した後、175℃で2時間加熱して、厚みは12μmの硬化フィルムを得た。得られた硬化フィルムを幅5mm、長さ65mmの試験片に切断して、強靱性(破断伸び及び折り曲げ性)の評価用サンプルとした。
(1)破断伸び
上記試験片の破断伸びの測定を、INSTRON社製のMICROTESTERを用いて行った。測定は、23℃にて、チャック間距離25mm、引っ張り速度5mm/分の条件で行い、5つの試験片についての平均値を破断伸びとした。
(2)折り曲げ性
上記試験片の折り曲げ性を、180℃に折り曲げた際の破断の有無を目視で評価した。
(3)透明性
硬化フィルムの濁り(ヘイズ)を目視で確認した。透明度の低いものを「C」、透明度の高いものを「B」、特に透明度が高いものを「A」と評価した。
実施例1〜6で得られた樹脂組成物の評価結果を表1に、比較例1〜3で得られた樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
Figure 2013199550
Figure 2013199550
実施例1〜5の樹脂組成物では、強靱性(破断伸び、折り曲げ性)及び透明性に優れる硬化フィルムが得られることが確認できた。また、実施例1〜5の樹脂組成物は、耐熱性、低温硬化性及びアルカリ現像性にも優れていた。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表される構造単位及び下記一般式(II)で表される構造単位を有するフェノール樹脂と、
    架橋剤と、
    アクリル系エラストマと、
    を含む樹脂組成物。
    Figure 2013199550

    [式(I)及び(II)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を示し、Rは芳香環を有しない含窒素有機基を示し、x及びyは構造単位の存在比を示し、x:yは1:99〜99:1である。
  2. 前記含窒素有機基が、芳香環を有しない飽和複素環式アミンに由来する構造を有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記飽和複素環式アミンが、ピペリジン、ピペリジン誘導体、ピペラジン又はピペラジン誘導体である、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記アクリル系エラストマが、下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    Figure 2013199550

    [式(1)及び(2)中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数4〜20のアルキル基を示す。]
  5. 前記架橋剤が、下記構造式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    Figure 2013199550
  6. 溶媒を更に含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
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