JP2014102285A - プライマー、パターン硬化膜の製造方法、パターン硬化膜及び半導体素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリコン等の基材のみならず、銅、金等の配線材料に対しても良好な密着性を有するパターン硬化膜を形成することができるプライマーを提供すること。
【解決手段】基板上に、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を含有する感光性樹脂組成物からなる感光層を形成するために用いられるプライマーであって、メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含むプライマー。
【選択図】図2
【解決手段】基板上に、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を含有する感光性樹脂組成物からなる感光層を形成するために用いられるプライマーであって、メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含むプライマー。
【選択図】図2
Description
本発明は、プライマー、パターン硬化膜及びその製造方法並びに該パターン硬化膜を有する半導体素子に関する。
半導体素子の高集積化及び微細化に伴い、半導体素子の表面保護層、層間絶縁層、再配線層等を形成するために用いられる感光性樹脂組成物には、より優れた感度及び解像度を併せ持ち、かつ、より微細で精密なパターン硬化膜を形成できることが求められている。例えば特許文献1では、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を含有する感光性樹脂組成物が提案されている。
パターン硬化膜は、基板の上に感光性樹脂組成物及び溶媒を含む塗布液を塗布及び乾燥して感光層を形成する工程と、感光層を露光及び現像してパターン樹脂層を形成する工程と、パターン樹脂層を加熱する工程とにより、形成することができる。パターン硬化膜は、半導体素子の表面保護層、層間絶縁層、再配線層等として用いられる。
ここで、パターン硬化膜には、実装信頼性を確保するために、半導体素子における基板との充分な密着性が求められる。例えば、特許文献2では、基板との密着性を向上するために、フェノール性水酸基を含有する樹脂を2種類用いる感光性絶縁樹脂組成物が提案されている。
ところで、半導体素子に用いられる基板は一般的に、基材上に銅(Cu)、金(Au)等からなる配線を有する。近年の半導体の高集積化及び微細化に伴い、配線は複雑化し、配線と、表面保護層、層間絶縁層、再配線絶縁層等との接する面積が増加している。そのため、基材との密着性を確保するために、基材のみならず、配線との密着性にも優れたパターン硬化膜が求められている。しかし従来のパターン硬化膜は、銅、金等の配線材料との密着性が必ずしも十分ではなかった。
そこで、本発明は、シリコン等の基材のみならず、銅、金等の配線材料に対しても良好な密着性を有するパターン硬化膜を形成することができるプライマー、プライマーを用いたパターン硬化膜及びその製造方法並びに上記パターン硬化膜を有する半導体素子を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、基板上に、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を含有する感光性樹脂組成物からなる感光層を形成するために用いられるプライマーであって、メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含むプライマーを提供する。
上記感光性樹脂組成物は、低弾性化と高伸びにより、耐熱衝撃性をより高める点から、さらにアクリル樹脂を含有することが好ましい。
上記メルカプト基を有するトリアジン化合物は、パターン硬化膜の密着性をより高める点から、メルカプト基を2つ以上有するトリアジン化合物であることが好ましい。
本発明はまた、上記プライマー及びフェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を含有する感光性樹脂組成物を用いるパターン硬化膜の製造方法を提供する。
上記パターン硬化膜の製造方法は、上記プライマーを基板に塗布及び乾燥してトリアジン層を形成する工程と、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を含有する感光性樹脂組成物及び溶媒を含む塗布液を、上記トリアジン層の上に塗布及び乾燥して感光層を形成する工程と、上記感光層を露光及び現像してパターン樹脂層を形成する工程と、上記パターン樹脂層を加熱してパターン硬化膜を形成する工程とを備える製造方法であることが好ましい。このような製造方法を用いることによって、より良好なパターン形状を有するパターン硬化膜を得ることができる。
本発明は、上述の製造方法により得られるパターン硬化膜を提供する。このパターン硬化膜は、上述のプライマーを用いているため、様々な基材及び配線材料に対する密着性に優れる。
本発明はまた、上述の製造方法によって得られるパターン硬化膜を有する半導体素子を提供する。このような半導体素子は、上述の製造方法によって得られるパターン硬化膜を用いているため、信頼性に優れている。
本発明によれば、様々な基材及び配線材料に対して良好な密着性を有するパターン硬化膜を形成することができるプライマーを提供することができる。
また、本発明によれば、上記プライマーを用いたパターン硬化膜及びその製造方法並びに上記パターン硬化膜を有する半導体素子を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル酸」等の他の類似の表現においても同様である。
本実施形態に係るパターン硬化膜を形成するためのプライマーは、メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含む溶液(以下、A液ともいう。)である。後述する本実施形態に係る感光性樹脂組成物(以下、B液ともいう)は金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)等の基材又は配線材料などに対する密着性が劣る場合がある。本実施形態のように、感光性樹脂組成物から形成されるパターン硬化膜と基板との間に、A液から形成されるトリアジン層を介在させることで、様々な基材及び配線材料に対して良好な密着性を有するパターン硬化膜を形成することができる。このような効果を奏する理由は必ずしも明らかでないが、メルカプト基の硫黄原子とトリアジン化合物の窒素原子が、基板と感光性樹脂組成物から形成されるパターン硬化膜との双方に対して相互作用が強く、基板表面とパターン硬化膜との密着性を強固なものにすることがその一因であると考えられる。
以下、メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含むプライマーと、感光性樹脂組成物についてそれぞれ詳細に説明する。
[メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含むプライマー]
本実施形態に係るプライマーは、メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含む溶液である。
本実施形態に係るプライマーは、メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含む溶液である。
プライマーに含まれる、メルカプト基を有するトリアジン化合物は、分子内にメルカプト基とトリアジン骨格を有していれば特に制限はない。プライマーが、メルカプト基を有するトリアジン化合物を含有することにより、パターン硬化膜と基板との密着性が向上する。なお、本明細書中、「トリアジン骨格」とは、下記式(α−1)〜(α−3)に示すような1,3,5−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン骨格のみでなく、下記式(β−1)〜(β−3)に示すような式(α−1)〜(α−3)の骨格の二重結合の一部又は全部が水素化された骨格及び式(γ−1)〜(γ−3)に示すような式(α−1)〜(α−3)の骨格の炭素原子の一部又は全部がカルボニル基により置換された骨格等を含む概念である。
特に、メルカプト基の硫黄原子とトリアジン骨格の窒素原子は金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)等の材料から形成された配線などの難密着面に対しても優れた密着性を有する。また、さらに、メルカプト基の硫黄原子は金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、銅(Cu)等の金属に対する相互作用が強い。そのため、メルカプト基を有するトリアジン化合物を含有するプライマーは、これらの材料が表面の一部に用いられている基板とパターン硬化膜との密着性を向上させるために好適である。
本実施形態において、メルカプト基を有するトリアジン化合物は、1分子内に1つ以上のメルカプト基を有していればよい。また、メルカプト基がトリアジン骨格に直接結合していても、していなくてもよい。
メルカプト基を1つ有するトリアジン化合物であり、メルカプト基がトリアジン骨格に直接結合しているトリアジン化合物としては、例えば、6−(ジエチルアミノ)−4−メルカプト−1,3,5−トリアジン−2−オール、2−メルカプト−N,N−ジイソプロピル−1,3,5−トリアジン−4,6−ジアミン、3−メルカプト−4−アミノ−6−メチル−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オンが挙げられる。また、メルカプト基を1つ有するトリアジン化合物であり、メルカプト基がトリアジン骨格に直接結合していないトリアジン化合物としては、例えば、N−(2−メルカプトフェネチル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、2−(8−メルカプトオクチル)−1,3,5−トリアジン−4,6−ジアミン、2−(2−メルカプトエチルアミノ)−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンが挙げられる。
メルカプト基を2つ有するトリアジン化合物であり、メルカプト基がトリアジン骨格に直接結合しているトリアジン化合物としては、例えば、2,4−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、N,N−ジブチル−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン−2−アミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェノール、4−[(4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、3,3’−{(4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン−2−イル)イミノ}ビスプロパンニトリルが挙げられる。
メルカプト基を3つ有するトリアジン化合物であり、メルカプト基がトリアジン骨格に直接結合しているトリアジン化合物としては、例えば、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンが挙げられる。また、メルカプト基を3つ有するトリアジン化合物であり、メルカプト基がトリアジン骨格に直接結合していないトリアジン化合物としては、例えば、1,3,5−トリス(3−メルカプトプロピル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、トリス(3−メルカプトプロパン酸)[2,4,6−トリオキソ−1,3,5−トリアジン−1,3,5(2H,4H,6H)−トリイル]トリ(2,1−エタンジイル)が挙げられる。
メルカプト基を有するトリアジン化合物は、密着性をより向上させる観点から、メルカプト基を2つ以上有することが好ましく、メルカプト基を3つ有することがより好ましい。また、メルカプト基を有するトリアジン化合物は、耐熱性の観点から、メルカプト基がトリアジン骨格に直接結合しているトリアジン化合物が好ましい。これらのメルカプト基を有するトリアジン化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
本実施形態に係るプライマー(A液)において、メルカプト基を有するトリアジン化合物の含有量は、より良好な密着性を与える観点から、A液100質量%に対して、0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましく、0.01〜1質量%がさらに好ましい。含有量が0.001質量%以上であると、パターン硬化膜と基板との密着性がより良好となる傾向があり、5質量%以下であると、メルカプト基を有するトリアジン化合物により形成されるトリアジン層が厚くなりすぎず、凝集破壊を抑制できる。
プライマーに含まれる溶媒としては、上記メルカプト基を有するトリアジン化合物を溶解し、塗布性が良好であり、均一な厚さの樹脂膜を形成できるものであれば特に制限はない。
このような溶媒としては、例えば、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、ケトン系溶媒が挙げられ、より具体的には、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオナート、3−メチルメトキシプロピオナート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。中でも、溶解性及び塗布性の観点から、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルのいずれかを用いることが好ましい。これらの溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[感光性樹脂組成物]
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液系の現像液が適用できるポジ型感光性樹脂組成物であり、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を含有する。本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、さらに感光剤、架橋剤、密着助剤及びアクリル樹脂の少なくともいずれかを含有することが好ましい。ここで、各成分について詳細に説明する。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液系の現像液が適用できるポジ型感光性樹脂組成物であり、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を含有する。本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、さらに感光剤、架橋剤、密着助剤及びアクリル樹脂の少なくともいずれかを含有することが好ましい。ここで、各成分について詳細に説明する。
<フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型感光性樹脂組成物であるため、アルカリ水溶液で現像することが可能であり、アルカリ水溶液を現像液に用いた場合の膜の膨潤が少なく、パターンの解像性に優れる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型感光性樹脂組成物であるため、アルカリ水溶液で現像することが可能であり、アルカリ水溶液を現像液に用いた場合の膜の膨潤が少なく、パターンの解像性に優れる。
ここで、アルカリ可溶性樹脂がアルカリ水溶液に可溶であることの1つの基準を以下に説明する。アルカリ可溶性樹脂と任意の溶媒とから得られた溶液を、シリコンウエハ等の基材上に回転塗布して厚さ5μm程度の樹脂膜を形成する。これをテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液、有機アミン水溶液のいずれか一つに、20〜25℃において浸漬する。この結果、樹脂が溶解して均一な溶液を形成するとき、アルカリ可溶性樹脂がアルカリ水溶液に可溶であると判断する。
フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂として、例えば、ポリ(ヒドロキシスチレン)、ヒドロキシスチレンを単量体単位として含む共重合体等のヒドロキシスチレン系樹脂、フェノール樹脂、ポリ(ヒドロキシアミド)等のポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリ(ヒドロキシフェニレン)エーテル、ポリナフトールが挙げられる。これらの中で、ヒドロキシスチレン系樹脂、フェノール樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体が好ましく、低温で加熱硬化できることから、ヒドロキシスチレン系樹脂、フェノール樹脂がより好ましい。また、低価格であること及び硬化時の体積収縮が小さいことから、フェノール樹脂がさらに好ましく、ノボラック型フェノール樹脂が特に好ましい。
フェノール樹脂は、フェノール又はその誘導体とアルデヒド類との重縮合生成物である。重縮合は酸又は塩基等の触媒存在下で行われる。酸触媒を用いた場合に得られるフェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂といわれる。ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、フェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、キシレノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、レゾルシノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂が挙げられる。
フェノール樹脂を得るために用いられるフェノール誘導体としては、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等のアルキルフェノール;メトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール等のアルコキシフェノール;ビニルフェノール、アリルフェノール等のアルケニルフェノール、ベンジルフェノール等のアラルキルフェノール;メトキシカルボニルフェノール等のアルコキシカルボニルフェノール;ベンゾイルオキシフェノール等のアリールカルボニルオキシフェノール;クロロフェノール等のハロゲン化フェノール;カテコール、レゾルシノール、ピロガロール等のポリヒドロキシベンゼン;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール;α−又はβ−ナフトール等のナフトール誘導体;p−ヒドロキシフェニル−2−エタノール、p−ヒドロキシフェニル−3−プロパノール、p−ヒドロキシフェニル−4−ブタノール等のヒドロキシアルキルフェノール;ヒドロキシエチルクレゾール等のヒドロキシアルキルクレゾール;ビスフェノールのモノエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールのモノプロピレンオキサイド付加物等のアルコール性水酸基含有フェノール誘導体;p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、p−ヒドロキシフェニルブタン酸、p−ヒドロキシ桂皮酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェニル安息香酸、ヒドロキシフェノキシ安息香酸、ジフェノール等のカルボキシ基含有フェノール誘導体が挙げられる。また、ビスヒドロキシメチル−p−クレゾール等の上記フェノール誘導体のメチロール化物をフェノール誘導体として用いてもよい。
さらにフェノール樹脂は、上述のフェノール又はフェノール誘導体をm−キシレンのようなフェノール以外の化合物とともにアルデヒド類と重縮合して得られる生成物であってもよい。この場合、重縮合に用いられるフェノール誘導体に対するフェノール以外の化合物のモル比は、0.5未満であると好ましい。上述のフェノール誘導体及びフェノール化合物以外の化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
フェノール樹脂を得るために用いられるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、メトキシフェニルアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、クロロフェニルアセトアルデヒド、グリセルアルデヒド、グリオキシル酸、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸フェニル、グリオキシル酸ヒドロキシフェニル、ホルミル酢酸、ホルミル酢酸メチル、2−ホルミルプロピオン酸、2−ホルミルプロピオン酸メチルから選ばれる。また、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒドの前駆体;アセトン、ピルビン酸、レブリン酸、4−アセチルブチル酸、アセトンジカルボン酸、3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸等のケトン類を反応に用いてもよい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ポリ(ヒドロキシスチレン)系樹脂は、例えば、保護基を導入したヒドロキシスチレンのエチレン性不飽和二重結合を触媒(ラジカル開始剤)の存在下で、重合(ビニル重合)させ、さらに、脱保護することにより得られる。
また、PHS−B(デュポン社商品名)のような市販のブランチ型のポリ(ヒドロキシスチレン)を用いることもできる。
また、PHS−B(デュポン社商品名)のような市販のブランチ型のポリ(ヒドロキシスチレン)を用いることもできる。
本実施形態に係るフェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性、感光特性及び機械物性とのバランスを考慮すると、500〜150,000であることが好ましく、500〜100,000であることがより好ましく、1000〜50,000であることがさらに好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得られる値である。
本実施形態に係るフェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂は、不飽和炭化水素基を有しないフェノール樹脂と、不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂とを含むことが好ましい。上記変性フェノール樹脂は、フェノール性水酸基と多塩基酸無水物との反応によってさらに酸変性されていることがより好ましい。変性フェノール樹脂を用いると、アルカリ水溶液で現像可能であり、かつ、優れた耐クラック性を有するパターン硬化膜を形成することが可能な感光性樹脂組成物を提供することができる。
上記変性フェノール樹脂は、一般に、フェノール若しくはその誘導体と不飽和炭化水素基を有する化合物(以下場合により「不飽和炭化水素基含有化合物」という。)との反応生成物(以下「不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体」という。)と、アルデヒド類との重縮合生成物又はフェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応生成物である。変性フェノール樹脂を得るために用いられるフェノール誘導体としては、上述したフェノール樹脂を得るために用いられるフェノール誘導体及びアルデヒド類と同様のものを用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物は、パターン硬化膜の密着性及び耐熱衝撃性の観点から、1分子中に2以上の不飽和結合を含むことが好ましく、樹脂組成物の保存安定性の観点から、含まれる不飽和結合の数は30以下であることが好ましい。また、樹脂組成物としたときの相溶性及び硬化膜の可とう性の観点からは、不飽和炭化水素基含有化合物の炭素数は4〜100であることが好ましく、8〜80であることがより好ましく、10〜60であることがさらにより好ましい。
不飽和炭化水素基含有化合物としては、例えば、カルボキシ基を有するポリブタジエン、エポキシ化ポリブタジエン、リノリルアルコール、オレイルアルコール、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステルが挙げられる。好適な不飽和脂肪酸としては、例えば、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α−リノレン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸が挙げられる。これらの中でも、不飽和脂肪酸エステルが好ましく、不飽和脂肪酸エステルである植物油がより好ましい。
植物油は、一般にグリセリンと不飽和脂肪酸とのエステルであり、ヨウ素価が100以下の不乾性油、100を超えて130未満の半乾性油及び130以上の乾性油がある。不乾性油として、例えば、オリーブ油、あさがお種子油、カシュウ実油、さざんか油、つばき油、ひまし油、落花生油が挙げられる。半乾性油として、例えば、コーン油、綿実油、ごま油が挙げられる。乾性油としては、例えば、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油、サフラワー油、ひまわり油、荏の油、芥子油が挙げられる。また、これらの植物油を加工して得られる加工植物油を用いてもよい。
これらの植物油の中では、パターン硬化膜の密着性、機械特性及び耐熱衝撃性の観点から乾性油を用いることが好ましい。また、乾性油の中でも、効果をより有効かつ確実に発揮できることから、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油及びサフラワー油がより好ましく、桐油及び亜麻仁油がさらに好ましい。これら植物油は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
変性フェノール樹脂を調製するにあたり、まず、上記フェノール誘導体と上記不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させ、不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体を調製する。上記反応は、通常50〜130℃で行うことが好ましい。フェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との配合割合は、パターン硬化膜の可とう性を向上させることができる点から、フェノール誘導体100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましい。上記反応には、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。
次いで、上記不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体と、アルデヒド類とを反応させ、不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂を調製する。上記アルデヒド類と、上記不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体との反応は、重縮合反応であり、従来公知のフェノール樹脂の合成条件を用いることができる。また、変性フェノール樹脂は、上述のフェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得られる化合物と、m−キシレンのようなフェノール以外の化合物とを組み合わせて、アルデヒド類と重縮合することにより得ることもできる。なお変性フェノール樹脂の不飽和炭化水素基は、フェノール樹脂の有するフェノール性水酸基に対してオルト位又はパラ位に存在することが好ましく、パラ位に存在することがより好ましい。
変性フェノール樹脂は、上述のフェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得ることもできる。フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応は、通常50〜130℃で行うことが好ましい。フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との配合割合は、硬化膜の可とう性を向上させることができる点から、フェノール樹脂100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましい。このとき、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。反応にはトルエン、キシレン、メタノール、テトラヒドロフラン等の溶媒を用いることができる。
以上のような方法により生成する変性フェノール樹脂中に存在するフェノール性水酸基に、さらに多塩基酸無水物を反応させることにより酸変性したフェノール樹脂を変性フェノール樹脂成分として用いることもできる。多塩基酸無水物で酸変性することにより、カルボキシ基が導入され、変性フェノール樹脂のアルカリ水溶液(現像液)に対する溶解性がより一層向上する。
多塩基酸無水物は、複数のカルボキシ基を有する多塩基酸のカルボキシ基が脱水縮合して形成された酸無水物基を有していれば、特に限定されない。多塩基酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸及び無水トリメリット酸等の二塩基酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族四塩基酸二無水物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、多塩基酸無水物は二塩基酸無水物であることが好ましく、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸及びヘキサヒドロ無水フタル酸からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。この場合、さらに良好な形状を有するパターン硬化膜を形成できるという利点がある。
変性フェノール樹脂と多塩基酸無水物との反応は、50〜130℃で行うことができる。この反応において、変性フェノール樹脂におけるフェノール性水酸基1モルに対して、多塩基酸無水物を0.1〜0.8モル反応させることが好ましく、0.15〜0.6モル反応させることがより好ましく、0.2〜0.4モルを反応させることがさらに好ましい。多塩基酸無水物が0.1モル未満では、現像性が低下する傾向にあり、0.8モルを超えると、未露光部の耐アルカリ性が低下する傾向にある。
上記反応は、反応を迅速に行う観点から、必要に応じて、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、例えば、トリエチルアミン等の3級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物が挙げられる。
多塩基酸無水物でさらに変性したフェノール樹脂の酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましく、40〜170mgKOH/gであることがより好ましく、50〜150mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価が30mgKOH/g未満であると、酸価が上記範囲にある場合と比較して、アルカリ現像に長時間を要する傾向にあり、200mgKOH/gを超えると、酸価が上記範囲にある場合と比較して、未露光部の耐現像液性が低下する傾向にある。
変性フェノール樹脂の分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性及び感光特性と硬化膜物性とのバランスを考慮すると、重量平均分子量で1,000〜500,000であることが好ましく、2,000〜200,000であることがより好ましく、2,000〜100,000であることがさらに好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得た値である。
本実施形態に係るポジ型感光性樹脂組成物には、パターン樹脂層を形成する際の感度及び解像性並びに硬化後のパターン硬化膜の密着性、機械特性及び耐熱衝撃性の点から、本実施形態に係るフェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂として、不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂を混合して用いられる場合、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂中に、不飽和炭化水素基を有しないフェノール樹脂と、不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂の両者の合計量を100として、質量比が前者:後者で5:95〜95:5で含まれることが好ましく、10:90〜90:10含まれることがより好ましく、15:85〜85:15含まれることがさらに好ましい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、上述のフェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂以外の樹脂として、例えば、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、エポキシ樹脂を含んでいてもよい。
<感光剤>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物には、感光剤として、光により酸を生成する化合物を含有することが好ましい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物には、感光剤として、光により酸を生成する化合物を含有することが好ましい。
光により酸を生成する化合物は、光照射により酸を生成させ、光照射した部分のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有する。本実施形態に係る光により酸を生成する化合物としては、一般に光酸発生剤と称される化合物を用いることができる。光により酸を生成する化合物としては、例えば、o−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩が挙げられる。これらの中で、感度が高いことから、o−キノンジアジド化合物が好ましい。
o−キノンジアジド化合物は、例えば、o−キノンジアジドスルホニルクロリドと、ヒドロキシ化合物及び/又はアミノ化合物等とを、脱塩酸剤の存在下で縮合反応させる方法により得られる。
反応に用いられるo−キノンジアジドスルホニルクロリドとしては、例えば、ベンゾキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリドが挙げられる。
反応に用いられるヒドロキシ化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4b,5,9b,10−テトラヒドロ−1,3,6,8−テトラヒドロキシ−5,10−ジメチルインデノ[2,1−a]インデン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンが挙げられる。
反応に用いられるアミノ化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが挙げられる。
これらの中でも吸収波長範囲と反応性の点から、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンと1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとを縮合反応して得られたもの又はトリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン若しくはトリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンと1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとを縮合反応して得られたものを用いることが好ましい。
反応に用いられる脱塩酸剤としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。また、反応溶媒としては、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N−メチルピロリドン等が用いられる。
o−キノンジアジドスルホニルクロリドと、ヒドロキシ化合物及び/又はアミノ化合物とは、o−キノンジアジドスルホニルクロリド1モルに対して、ヒドロキシ基とアミノ基とのモル数の合計が0.5〜1になるように配合されることが好ましい。脱塩酸剤とo−キノンジアジドスルホニルクロリドの好ましい配合割合は、0.95/1モル当量〜1/0.95モル当量の範囲である。
上述の反応の好ましい反応温度は0〜40℃、好ましい反応時間は1〜10時間である。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物において、光により酸を生成する化合物を含有する場合の含有量は、露光部と未露光部の溶解速度差が大きくなり、感度がより良好となる点から、樹脂100質量部に対して3〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましく、5〜30質量部がさらに好ましい。
<架橋剤>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物には必要に応じて架橋剤が含まれる。本実施形態に係る架橋剤は、パターン形成後のパターン樹脂層を加熱して硬化する際に、樹脂と反応して橋架け構造を形成しうる構造を有する化合物である。これにより、硬化膜の脆さ及び硬化膜の溶融を防ぐことができる。架橋剤としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物が挙げられる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物には必要に応じて架橋剤が含まれる。本実施形態に係る架橋剤は、パターン形成後のパターン樹脂層を加熱して硬化する際に、樹脂と反応して橋架け構造を形成しうる構造を有する化合物である。これにより、硬化膜の脆さ及び硬化膜の溶融を防ぐことができる。架橋剤としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物が挙げられる。
本実施形態に係る架橋剤として用いられるフェノール性水酸基を有する化合物は、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂とは異なるものであり、具体的な構造の例としては後述するものが挙げられる。このようなフェノール性水酸基を有する化合物は、架橋剤としてだけでなく、アルカリ水溶液で現像する際の露光部の溶解速度を増加させ、感度を向上させることができるので好ましい。このようなフェノール性水酸基を有する化合物の重量平均分子量は、好ましくは2,000以下である。アルカリ水溶液に対する溶解性及び感光特性と硬化膜物性とのバランスを考慮して、フェノール性水酸基を有する化合物の数平均分子量は94〜2,000が好ましく、108〜2,000がより好ましく、108〜1,500がさらに好ましい。なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得た値である。
フェノール性水酸基を有する化合物としては、従来公知のものを用いることができ、下記一般式(1)で表される化合物が、露光部の溶解を促進する効果とパターン硬化膜の硬化時の溶融を防止する効果とのバランスに優れることから、好ましい。
式(1)中、Xは単結合又は2価の有機基を示し、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を示し、s及びtはそれぞれ独立に1〜3の整数を示し、u及びvはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。
上記一般式(1)において、Xが単結合である化合物は、ビフェノール(ジヒドロキシビフェニル)誘導体である。Xで示される2価の有機基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数が1〜10のアルキレン基、エチリデン基等の炭素数が2〜10のアルキリデン基、フェニレン基等の炭素数が6〜30のアリーレン基、これら炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基、スルホニル基、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合が挙げられる。
ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)メラミン、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)グリコールウリル、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)ベンゾグアナミン、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)尿素等の活性メチロール基の全部又は一部をアルキルエーテル化した含窒素化合物が挙げられる。ここで、アルキルエーテルのアルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基又はこれらを混合したものを挙げることができ、また、一部自己縮合してなるオリゴマー成分を含有していてもよい。これらの例としては、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、ヘキサキス(ブトキシメチル)メラミン、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(メトキシメチル)尿素が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物としては、従来公知のものを用いることができる。その具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン、複素環式エポキシ樹脂、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルを挙げられる。
本実施形態に係る架橋剤としては、上述した以外に、ビス[3,4−ビス(ヒドロキシメチル)フェニル]エーテル、1,3,5−トリス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼン等のヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4’−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等のマレイミド基を有する化合物、ノルボルネン骨格を有する化合物、多官能アクリレート化合物、オキセタニル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物、ブロック化イソシアナート化合物などを用いることができる。
上述した架橋剤の中で、感度と耐熱性をより向上できる点から、フェノール性水酸基を有する化合物及びヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましく、解像度及び塗膜の伸びもより向上できる点から、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物がより好ましく、ヒドロキシメチルアミノ基の全部又は一部をアルキルエーテル化したアルコキシメチルアミノ基を有する化合物がさらに好ましく、ヒドロキシメチルアミノ基の全部をアルキルエーテル化したアルコキシメチルアミノ基を有する化合物が特に好ましい。上記ヒドロキシメチルアミノ基の全部をアルキルエーテル化したアルコキシメチルアミノ基を有する化合物の中でも特に、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
式(2)中、R5〜R10は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基を示す。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物が架橋剤を含有する場合、その含有量は、露光部と未露光部の溶解速度差が大きくなり、感度がより良好となる点及び硬化膜の特性の点から、本実施形態に係るフェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましく、3〜25質量部がさらに好ましい。また、上述した架橋剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
<密着助剤>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物には、基板との密着性をより向上させる観点から、必要に応じて密着助剤を含有してもよい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物には、基板との密着性をより向上させる観点から、必要に応じて密着助剤を含有してもよい。
本実施形態に係る密着助剤としては、例えば、エポキシ基を有するシラン化合物、イミダゾールシラン化合物を挙げることができる。
上記エポキシ基を有するシラン化合物としては、例えば、下記一般式(3)で表される、エポキシ基を有するシラン化合物を挙げることができる。
式(3)中、R11は2価の有機基を示し、R12は1価の有機基を示す。同一分子中の複数のR12は同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(3)において、感度及び解像度の向上という観点から、R11は−(CH2)n−(n=1〜6の整数)で示される直鎖のアルキル基であることが好ましい。R12は、感度及び解像度の向上という観点から、アルコキシ基又はアルコキシアルキル基であることが好ましい。その中でも、安価で手に入りやすいこと及び基板への密着性の向上という観点から、R12は、メトキシ基及びエトキシ基等のアルコキシ基であることがさらに好ましい。このような化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本実施形態における密着助剤としては、また、イミダゾールシラン化合物を挙げることができる。イミダゾールシラン化合物とは、イミダゾリル基と、アルコキシシリル基とを有する化合物である。そのようなイミダゾールシラン化合物は、例えば、下記一般式(4)で表されるイミダゾール化合物とグリジシル基含有シラン化合物(下記一般式(5)で表される3−グリシドキシプロピルシラン等)を80〜200℃で反応させて得ることができる。
式(4)、(5)中、R13は水素原子又は炭素数が1〜20のアルキル基を示し、R14は水素原子、ビニル基又は炭素数が1〜5のアルキル基を示し、R15及びR16はそれぞれ炭素数が1〜3のアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示す。
イミダゾール化合物とグリジシル基含有シラン化合物との反応は、より具体的には、例えば、80〜200℃の温度に加熱したイミダゾール化合物に0.1〜10モル倍量のグリジシル基含有シラン化合物を滴下させる方法で行なうことができる。反応時間は5分〜2時間であることが好ましい。この反応は特に溶媒を必要としないが、クロロホルム、ジオキサン、メタノール、エタノール等の有機溶媒を反応溶媒として用いてもよい。なお、この反応は水分により反応が阻害される傾向があるため、水分が混入しないように乾燥した窒素、アルゴン等の水分を含まない気体の雰囲気下で行うことが好ましい。詳細は特公平7−68256号公報に記載されている。
なお、例えば、イミダゾール化合物として上記一般式(4)で表される化合物を、グリジシル基含有シラン化合物として上記一般式(5)で表される3−グリシドキシプロピルシラン化合物を用いた場合、上記反応によって、下記一般式(6)、(7)及び(8)で表されるイミダゾールシラン化合物が混合物の状態で得られる。
式(6)〜(8)中、R13は水素原子又は炭素数が1〜20のアルキル基を示し、R14は水素原子、ビニル基又は炭素数が1〜5のアルキル基を示し、R15及びR16はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示す。
これらの化合物は、溶解度の差を利用する方法、カラムクロマトグラフィー等の既知の手段により精製され、単離されうるので、単離されたものを使用することも可能である。一般的には必ずしも単離する必要はなく、混合物のまま用いることが簡便であるため好ましい。なお、生成物の混合物中の各成分組成は一般的に、上記一般式(6)で表されるイミダゾールシラン化合物:同(7):同(8)=(40〜80):(10〜30):(5〜40)(液体クロマトグラフィーで分析したときの面積比)である。
上記反応により得られるイミダゾールシラン化合物のうち、上記一般式(6)及び(8)で表されるイミダゾールシラン化合物はヒドロキシル基を含有するため、本実施形態に係る感光性樹脂組成物に必要に応じて用いられる架橋剤との反応によって、硬化膜のネットワークに含まれる。また、上記一般式(6)〜(8)で表されるイミダゾールシラン化合物はイミダゾール基及びアルコキシシリル基を含有するため、これらを含む感光性樹脂組成物を用いて形成されるパターン硬化膜が、様々な基材及び配線材料と優れた密着性を示す。
本実施形態に係るイミダゾールシラン化合物を合成する際に用いる、上記一般式(4)で表されるイミダゾール化合物は、イミダゾール、2−アルキルイミダゾール、2,4−ジアルキルイミダゾール、4−ビニルイミダゾールであることが好ましく、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールであることがより好ましい。
また、本実施形態に係るイミダゾールシラン化合物を合成する際に用いる、グリジシル基含有シラン化合物としては、上記一般式(5)で表される3−グリシドキシプロピルシラン化合物を用いることが好ましく、中でも、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルジアルコキシアルキルシラン、3−グリシドキシプロピルアルコキシジアルキルシランを用いることがより好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルエトキシジメチルシランを用いることがさらに好ましい。
本実施形態における密着助剤として、また、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルシフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、フェニルシラントリオール、1,4−ビス(トリヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(メチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(エチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(プロピルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ブチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジプロピルドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジブチルヒドロキシシリル)ベンゼン等のシラン化合物が挙げられる。
式(9)中、R17は水素原子又は炭化水素基を示し、R18は水素原子、炭化水素基、アミノ基又はフェニル基を示す。A及びBはそれぞれ独立に窒素原子又は水素原子を1つ有する炭素原子(C−H)を示す。
上記一般式(9)で表される構造を有する含窒素芳香環化合物のうち、基板への密着性をより向上させる観点から、下記一般式(10)で表される構造を有する含窒素芳香族化合物であることが好ましい。
式(10)中、R19は水素原子、炭化水素基、アミノ基又はフェニル基を示す。
上記一般式(10)で表される構造を有する含窒素芳香族化合物として、例えば、1H−テトラゾール、5−アミノテトラゾール、5−フェニルテトラゾール、5−メチルテトラゾールが挙げられ、これらの中でも、より良好な基板への密着性を与える観点から、1H−テトラゾール又は5−アミノ−1H−テトラゾールを用いることが好ましい。
本実施形態に係る密着助剤は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。また、感光性樹脂組成物が密着助剤を含有する場合、基板への密着性及び感光性樹脂組成物の保存安定性の観点から、感光性樹脂組成物中のフェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、密着助剤の含有量が0.001〜20質量部であることが好ましく、0.005〜15質量部であることがより好ましく、0.01〜10質量部であることがさらに好ましい。
<アクリル樹脂>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、必要に応じてアクリル樹脂を含有してもよい。アクリル樹脂は、下記一般式(11)又は(12)で表される構造単位を有することが好ましい。感光性樹脂組成物が下記一般式(11)又は(12)で表される構造単位を有するアクリル樹脂を含有することにより、良好な感光特性を維持しつつ、耐熱衝撃性を向上させることができる。本実施形態に係るアクリル樹脂は、1種のみからなるものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、必要に応じてアクリル樹脂を含有してもよい。アクリル樹脂は、下記一般式(11)又は(12)で表される構造単位を有することが好ましい。感光性樹脂組成物が下記一般式(11)又は(12)で表される構造単位を有するアクリル樹脂を含有することにより、良好な感光特性を維持しつつ、耐熱衝撃性を向上させることができる。本実施形態に係るアクリル樹脂は、1種のみからなるものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
式(11)及び(12)中、R20は炭素数4〜20のアルキル基を示し、R21は水素原子又はメチル基を示す。
上記一般式(11)中、感度、解像度及び耐熱衝撃を向上できる観点から、R20は炭素数4〜16のアルキル基であることが好ましく、炭素数4のアルキル基であることがより好ましく、中でもn−ブチル基であることがさらに好ましい。
上記一般式(11)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記一般式(13)で表される化合物が挙げられる。
式(13)中、R22は水素原子又はメチル基を示し、R23は炭素数4〜20のアルキル基を示す。R23で示される炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。
上記一般式(13)で表される重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。これらの重合性単量体は一種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
上記一般式(12)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。
本実施形態に係るアクリル樹脂において、上記一般式(11)で表される構造単位の組成比は、本アクリル樹脂の総量に対して、50〜95モル%であることが好ましく、60〜90モル%であることがより好ましく、70〜85モル%であることがさらに好ましい。上記一般式(11)で表される構造単位の組成比が50〜95モル%であることにより、感光性樹脂組成物を用いて形成されるパターン硬化膜の耐熱衝撃性をより向上することができる。
本実施形態に係るアクリル樹脂において、上記一般式(12)で表される構造単位の組成比は、本アクリル樹脂の総量に対して、5〜35モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることがより好ましく、15〜25モル%であることがさらに好ましい。上記一般式(12)で表される構造単位の組成比が5〜35モル%であることにより、本実施形態に係るフェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂との相溶性及び感光性樹脂組成物の現像性をより向上することができる。
本実施形態に係るフェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂との相溶性、パターン硬化膜の基板への密着性、機械特性及び耐熱衝撃性をより向上できる観点から、本実施形態に係るアクリル樹脂は、上記一般式(11)で表される構造単位、上記(12)で表される構造単位及び下記一般式(14)で表される構造単位を有するアクリル樹脂を含有することがより好ましい。本実施形態に係るアクリル樹脂がこのようなアクリル樹脂であることにより、アクリル樹脂とフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂との相互作用が良好になり、相溶性がより向上する。
式(14)中、R24は水素原子又はメチル基を示し、R25は1級、2級又は3級アミノ基を有する1価の有機基を示す。
上記一般式(14)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの重合性単量体は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、パターン硬化膜の基板への密着性、機械特性及び耐熱衝撃性をより向上できる観点から、一般式(14)中、R25が下記一般式(15)で表される1価の有機基であることが特に好ましい。
式(15)中、Xは炭素数1〜5のアルキレン基を示し、R26〜R30はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、mは0〜10の整数を示す。
R25が上記一般式(15)で表される1価の有機基である上記一般式(14)の構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中で、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−711MMとして、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−712HMとして(いずれも日立化成工業社製)、それぞれ商業的に入手可能である。
本実施形態に係るアクリル樹脂において、上記一般式(14)で表される構造単位の組成比は、本実施形態に係るアクリル樹脂の総量に対して、0.3〜10モル%であることが好ましく、0.4〜8モル%であることがより好ましく、0.5〜7モル%であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るアクリル樹脂は、感度をより向上できる観点から、上記一般式(11)で表される構造単位、上記一般式(12)で表される構造単位及び下記一般式(16)で表される構造単位を有するアクリル樹脂を含有することが好ましい。このようなアクリル樹脂は上記一般式(14)で表される構造単位をさらに有していてもよい。
式(16)中、Yは炭素数1〜5のアルキレン基を示し、R31〜R35はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示し、R36は水素原子又はメチル基を示し、pは1〜100の整数を示す。
上記一般式(16)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、メタクリル変性シリコーンオイルが挙げられ、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−2475(いずれも信越化学工業社製)として、それぞれ商業的に入手可能である。
本実施形態に係るアクリル樹脂において、上記一般式(16)で表される構造単位の組成比は、本実施形態に係るアクリル樹脂の総量に対して、1〜10モル%であることが好ましく、2〜5モル%であることがより好ましく、3〜5モル%であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るアクリル樹脂の合成に用いられる重合性単量体は、上記一般式(11)、(12)、(14)、(15)及び(16)で表される各構造単位を与える重合性単量体以外の重合性単量体をさらに含んでいてもよい。そのような重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸4−メチルベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸が挙げられる。これらの重合性単量体は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。重合性単量体を重合させる際には、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル等を用いることができる。
本実施形態に係るアクリル樹脂の重量平均分子量は、2,000〜100,000であることが好ましく、3,000〜60,000であることがより好ましく、4,000〜50,000であることがさらに好ましい。重量平均分子量が2,000以上だと、パターン硬化膜の耐熱衝撃性がより良好となる傾向があり、100,000以下であると、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂との相溶性及び現像性が良好となる傾向がある。なお、重量平均分量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得た値である。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物がアクリル樹脂を含有する場合、含有量は、密着性、機械特性、耐熱衝撃性及び感光特性をより向上させる観点から、感光性樹脂組成物中のフェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂の総量100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、3〜40質量部がより好ましく、5〜30質量部がさらに好ましい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は必要に応じ、熱酸発生剤、エラストマー、溶解促進剤、溶解阻害剤、界面活性剤、レベリング剤等のその他の成分を含有することができる。
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、溶媒に溶解させて塗布液として用いることができる。溶媒としては、例えば、上記プライマーの溶媒と同様な溶媒を用いることができる。
[パターン硬化膜の製造方法]
本発明はメルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含むプライマーを用いた、パターン硬化膜の製造方法を提供する。本実施形態に係るパターン硬化膜の製造方法は、例えば、メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含むプライマーを基板に塗布及び乾燥してトリアジン層を形成する工程(トリアジン層形成工程)と、感光性樹脂組成物及び溶媒を含む塗布液を上記トリアジン層の上に塗布及び乾燥して感光層を形成する工程(成膜工程)と、上記感光層を露光(露光工程)及び現像(現像工程)してパターン樹脂層を形成する工程と、上記パターン樹脂層を加熱してパターン硬化膜を形成する工程(加熱工程)とを備える、パターン硬化膜の製造方法である。
本発明はメルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含むプライマーを用いた、パターン硬化膜の製造方法を提供する。本実施形態に係るパターン硬化膜の製造方法は、例えば、メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含むプライマーを基板に塗布及び乾燥してトリアジン層を形成する工程(トリアジン層形成工程)と、感光性樹脂組成物及び溶媒を含む塗布液を上記トリアジン層の上に塗布及び乾燥して感光層を形成する工程(成膜工程)と、上記感光層を露光(露光工程)及び現像(現像工程)してパターン樹脂層を形成する工程と、上記パターン樹脂層を加熱してパターン硬化膜を形成する工程(加熱工程)とを備える、パターン硬化膜の製造方法である。
<トリアジン層形成工程>
トリアジン層形成工程では、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えば酸化チタン(TiO2)、酸化ケイ素(SiO2))、窒化ケイ素(SiN)、成型樹脂等を基材とする基板上に、メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含むプライマー(A液)を、スピンナー等を用いて回転塗布する。次に、A液が塗布された基板をホットプレート、オーブン等を用いた加熱により乾燥することで、トリアジン層を形成する。
トリアジン層形成工程では、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えば酸化チタン(TiO2)、酸化ケイ素(SiO2))、窒化ケイ素(SiN)、成型樹脂等を基材とする基板上に、メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含むプライマー(A液)を、スピンナー等を用いて回転塗布する。次に、A液が塗布された基板をホットプレート、オーブン等を用いた加熱により乾燥することで、トリアジン層を形成する。
本実施形態に係る基板において、上記成型樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。
本実施形態において、基材表面は一部又は全部が絶縁樹脂でコートされていてもよく、また一部又は全部に金属が存在してもよい。絶縁樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、ポリアリーレンエーテル樹脂、上述の感光性樹脂組成物が挙げられる。
金属としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)が挙げられる。これらの金属は導電性に優れるため、半導体装置の配線として用いられる傾向がある。
金属としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)が挙げられる。これらの金属は導電性に優れるため、半導体装置の配線として用いられる傾向がある。
本実施形態において、表面改質工程の加熱条件に制限はないが、メルカプト基を有するトリアジン化合物が熱分解することなく、溶媒が揮発する条件であることが好ましい。例えば、加熱温度は50℃〜200℃が好ましく、加熱時間は1分〜10分が好ましい。
<成膜工程>
成膜工程では、上記基板上に形成されたトリアジン層上に、感光性樹脂組成物及び溶媒を含む塗布液を、スピンナー等を用いて回転塗布する。塗布した感光性樹脂組成物をホットプレート、オーブン等を用いた加熱により乾燥する。これにより、基板上に感光性樹脂組成物の被膜(感光層)が形成される。
成膜工程では、上記基板上に形成されたトリアジン層上に、感光性樹脂組成物及び溶媒を含む塗布液を、スピンナー等を用いて回転塗布する。塗布した感光性樹脂組成物をホットプレート、オーブン等を用いた加熱により乾燥する。これにより、基板上に感光性樹脂組成物の被膜(感光層)が形成される。
<露光工程>
露光工程では、上記成膜工程により得られた感光層に対して、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線等の活性光線を照射する。活性光線の波長に制限はないが、i線又はg、h及びi線の混合線の照射を好適に用いることができる。露光後、必要に応じて露光後加熱(PEB)を行うこともできる。露光後加熱の温度は70℃〜140℃が好ましく、露光後加熱の時間は1分〜5分が好ましい。
露光工程では、上記成膜工程により得られた感光層に対して、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線等の活性光線を照射する。活性光線の波長に制限はないが、i線又はg、h及びi線の混合線の照射を好適に用いることができる。露光後、必要に応じて露光後加熱(PEB)を行うこともできる。露光後加熱の温度は70℃〜140℃が好ましく、露光後加熱の時間は1分〜5分が好ましい。
<現像工程>
本実施形態に係る現像工程では、露光工程後の感光層の露光部を現像液で除去することにより、感光層がパターン化される。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ水溶液が好適に用いられる。
これらのアルカリ水溶液の塩基濃度は、0.1〜10質量%とすることが好ましい。さらに、上記アルカリ水溶液にアルコール類又は界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で配合することができる。パターン化された感光層をパターン樹脂層という。
本実施形態に係る現像工程では、露光工程後の感光層の露光部を現像液で除去することにより、感光層がパターン化される。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ水溶液が好適に用いられる。
これらのアルカリ水溶液の塩基濃度は、0.1〜10質量%とすることが好ましい。さらに、上記アルカリ水溶液にアルコール類又は界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で配合することができる。パターン化された感光層をパターン樹脂層という。
<加熱工程>
加熱工程では、上記現像工程により得られたパターン樹脂層を加熱することにより硬化する。パターン樹脂層を硬化して得られた膜を、パターン硬化膜という。加熱温度に制限はなく、所望のパターン硬化膜が得られる硬化温度を適宜選択する。しかし、電子デバイスに対する熱によるダメージを十分に防止する点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下であり、さらに好ましくは140〜200℃である。加熱処理は、例えば、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、マイクロ波硬化炉等のオーブンを用いて行なうことができる。また、大気中又は窒素等の不活性雰囲気中のいずれを選択することもできるが、窒素雰囲気下で行なう方がパターンの酸化を防ぐことができるので好ましい。上述の好ましい加熱温度の範囲は従来の加熱温度よりも低いため、支持基板及び電子デバイスへのダメージを小さく抑えることができる。従って、本実施形態のパターン硬化膜の製造方法を用いることによって、電子デバイスを歩留り良く製造することができる。また、プロセスの省エネルギー化につながる。さらに、本実施形態の感光性樹脂組成物によれば、感光性ポリイミド樹脂等に見られる加熱処理工程における体積収縮(硬化収縮)が小さいため、寸法精度の低下を防ぐことができる。
加熱工程では、上記現像工程により得られたパターン樹脂層を加熱することにより硬化する。パターン樹脂層を硬化して得られた膜を、パターン硬化膜という。加熱温度に制限はなく、所望のパターン硬化膜が得られる硬化温度を適宜選択する。しかし、電子デバイスに対する熱によるダメージを十分に防止する点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下であり、さらに好ましくは140〜200℃である。加熱処理は、例えば、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、マイクロ波硬化炉等のオーブンを用いて行なうことができる。また、大気中又は窒素等の不活性雰囲気中のいずれを選択することもできるが、窒素雰囲気下で行なう方がパターンの酸化を防ぐことができるので好ましい。上述の好ましい加熱温度の範囲は従来の加熱温度よりも低いため、支持基板及び電子デバイスへのダメージを小さく抑えることができる。従って、本実施形態のパターン硬化膜の製造方法を用いることによって、電子デバイスを歩留り良く製造することができる。また、プロセスの省エネルギー化につながる。さらに、本実施形態の感光性樹脂組成物によれば、感光性ポリイミド樹脂等に見られる加熱処理工程における体積収縮(硬化収縮)が小さいため、寸法精度の低下を防ぐことができる。
加熱工程における加熱時間は、パターン樹脂層が硬化するのに十分な時間であればよいが、作業効率との兼ね合いから概ね5時間以下が好ましい。また、加熱は、上述のオーブンの他、マイクロ波硬化装置又は周波数可変マイクロ波硬化装置を用いて行うこともできる。これらの装置を用いることにより、基板又は電子デバイスの温度を例えば200℃以下に保ったままで、パターン樹脂層のみを効果的に加熱することが可能である。
上述の感光性樹脂組成物及びパターン硬化膜の製造方法によれば、良好な感光特性を有する感光性樹脂組成物を得ることができ、また、良好なパターン形状を有するパターン硬化膜が得られる。また、得られたパターン硬化膜は、基板と強固に密着している。さらに、本実施形態に係る感光性樹脂組成物から形成されるパターン硬化膜は、高いガラス転移温度を有する。従って、耐熱性に優れたパターン硬化膜となる。この結果、信頼性に優れた半導体装置等の電子デバイスを歩留まり良く高収率で得ることができる。
<パターン硬化膜を有する半導体装置>
本実施形態では、上記パターン硬化膜の製造方法によって得られるパターン硬化膜を得ることができる。また、本実施形態では、このようなパターン硬化膜を有する半導体装置を得ることができる。ここで、本実施形態に係るパターン硬化膜を有する半導体装置について図面に基づいて説明する。なお、本発明は下記説明及び図面により限定されるものではない。
本実施形態では、上記パターン硬化膜の製造方法によって得られるパターン硬化膜を得ることができる。また、本実施形態では、このようなパターン硬化膜を有する半導体装置を得ることができる。ここで、本実施形態に係るパターン硬化膜を有する半導体装置について図面に基づいて説明する。なお、本発明は下記説明及び図面により限定されるものではない。
本実施形態に係るパターン硬化膜を有する積層体は、上述したパターン硬化膜の製造方法、すなわち、メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含むプライマーを基板に塗布及び乾燥する工程(トリアジン層形成工程)と、感光性樹脂組成物及び溶媒を含む塗布液を基板上に塗布及び乾燥して感光層を形成する工程(成膜工程)と、上記感光層を露光する工程(露光工程)と、露光後の上記感光層を現像して、パターン樹脂層を形成する工程(現像工程)と、上記パターン樹脂層を加熱する工程(加熱工程)とによって製造されるパターン硬化膜を有する積層体である。ここで、パターン硬化膜とは、パターン樹脂層を加熱する工程(加熱工程)によって製造される膜を指す。
図1は本実施形態に係るパターン硬化膜を有する半導体素子の一実施形態を示す概略断面図である。図1に示す半導体素子100は、基材1と、基材1に、本実施形態に係るA液により形成されたトリアジン層2とを有する。トリアジン層2の厚さは良好な密着性を示す範囲であればよく、0.1nm〜1000nm(1μm)が好ましく、0.1nm〜100nm(0.1μm)がより好ましい。厚さが0.1nm以上であると密着性がより良好となり、また、1000nm以下であると、トリアジン層2の凝集破壊を抑制できる傾向がある。トリアジン層2の上に、B液により形成されたパターン硬化膜3を備える。パターン硬化膜3は、成膜工程、露光工程、現像工程及び加熱工程によって形成される。パターン硬化膜3の厚さは、3〜50μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましく、5〜15μmであることがさらに好ましい。
図2は本実施形態に係るパターン硬化膜を有する半導体素子の一実施形態を示す概略断面図である。図2に示す半導体素子200において、基板20は、基材1と、基材1の表面の一部に形成された金属層(配線)4とを備える。なお、金属層4は基材1の表面の全部に存在していてもよい。金属層4に用いられる金属としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)が挙げられる。基板20上に、本実施形態に係るA液より形成されたトリアジン層2を備える。トリアジン層2の上に、B液により形成されたパターン硬化膜3を備える。パターン硬化膜3は、成膜工程、露光工程、現像工程及び加熱工程によって形成される。
図3は本実施形態に係るパターン硬化膜を有する半導体素子の一実施形態を示す概略断面図である。図3に示す半導体素子300において、基板20は、基材1と、絶縁層5と、金属層4とを備える。基材は基材1a及び基材1bの2種の組み合わせで構成されており、例えば基材1aとして半導体基板、基材1bとして成型樹脂基材の組み合せで構成される。また、基材1の表面の一部に絶縁樹脂をコートして形成された絶縁層5を備える。さらに、絶縁層5上の一部及び基材1の絶縁層5で覆われていない部分の表面の一部に金属層4を備える。なお、絶縁層5は基材1の表面の全部に存在していてもよく、金属層4は絶縁層5及び基材1の絶縁層5で覆われていない部分の表面の全部に存在していてもよい。基板20の、金属層4が形成されている側の表面上には、本実施形態に係るA液より形成されたトリアジン層2を備える。トリアジン層2の上に、B液により形成されたパターン硬化膜3を備える。パターン硬化膜3は、成膜工程、露光工程、現像工程及び加熱工程によって形成される。また、図3においては、パターン硬化膜の開口部に存在する本実施形態に係るメルカプト基を有するトリアジン層2を、公知のエッチング方法によって除去した構造を例示した。これにより、パターン硬化膜の開口部を通して、金属層4と外部との導通を取ることが可能となる。
本実施形態に係るプライマーは、近年開発された各種構造のパッケージにおいて、パターン硬化膜を形成するためにも用いることができる。図4はパッケージの一実施形態を示す概略断面図である。図4に示すパッケージ400では、基材1上にAl配線層(図示せず)及びAl配線層のパッド部6が形成されており、その上には絶縁層5aが形成され、さらにその上に絶縁層5bが形成されている。絶縁層5bの上にはパターン硬化膜3が形成されている。パッド部6上には、再配線層8が形成され、この再配線層8は、導電性ボール9との接続部10の下部まで伸びている。さらに、絶縁層5bの上には、B液により形成されたパターン硬化膜3が形成されている。再配線層8は、接続部10及びバリアメタル11を介して導電性ボール9に接続されている。図4ではトリアジン層2は図示していないが、トリアジン層2は、例えば再配線層8、絶縁層5b上に形成することが好ましい。
以上のように、本実施形態によれば、様々な基材及び配線材料との密着性の高いパターン硬化膜を得ることができる。そのため、熱、湿度等の環境ストレスに対して、剥離等の発生を防ぐことができる。したがって、本実施形態に係る基板を有する電子部品は環境ストレスに対する信頼性が高い。また、本実施形態に係るパターン硬化膜としてフェノール樹脂を含有する感光性樹脂組成物を用いると、現像工程でパターンの膨潤が少なく、加熱処理工程における体積収縮(硬化収縮)が小さいため、寸法精度の低下を防ぐことができる。また、従来は300℃以上を必要としていた上記の加熱工程において、250℃以下の低温加熱を用いた硬化が可能である。上記加熱工程において、加熱温度は、100℃〜230℃が好ましく、150℃〜200℃がより好ましい。この結果、信頼性に優れた半導体装置等の電子部品を歩留まり良く高収率で得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒を含有するプライマー(A液)の調製>
まず、メルカプト基を有するトリアジン化合物として、下記a1〜a4を準備した。
a1:2−メルカプト−N,N−ジイソプロピル−1,3,5−トリアジン−4,6−ジアミン
a2:N,N−ジブチル−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン−2−アミン
a3:2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン
a4:1,3,5−トリス(3−メルカプトプロピル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン
まず、メルカプト基を有するトリアジン化合物として、下記a1〜a4を準備した。
a1:2−メルカプト−N,N−ジイソプロピル−1,3,5−トリアジン−4,6−ジアミン
a2:N,N−ジブチル−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン−2−アミン
a3:2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン
a4:1,3,5−トリス(3−メルカプトプロピル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン
まず、a1を2.5g秤取し、溶媒として準備したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート500g(PGMEA)に溶解し、得られた溶液を0.2μm孔のテフロン(登録商標)フィルターを用いて加圧ろ過して、メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒を含有するプライマー(A液)A1を得た。同様に、a2〜a4をそれぞれ含有する、A2〜A4を得た。配合を表1に示す。
<感光性樹脂組成物(B液)の調製>
(I)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂成分として、下記I−1〜I−4を準備した。
(I)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂成分として、下記I−1〜I−4を準備した。
I−1:下記合成例1に記載の方法で合成したポリベンゾオキサゾール前駆体
I−2:クレゾールノボラック樹脂(クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、m−クレゾール/p−クレゾール(モル比)=60/40、ポリスチレン換算重量平均分子量=13000、旭有機材工業社製、商品名「EP4020G」)
I−3:下記合成例2に記載の方法で合成した変性フェノール樹脂
I−4:下記合成例3に記載の方法で合成したヒドロキシスチレン系樹脂
I−2:クレゾールノボラック樹脂(クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、m−クレゾール/p−クレゾール(モル比)=60/40、ポリスチレン換算重量平均分子量=13000、旭有機材工業社製、商品名「EP4020G」)
I−3:下記合成例2に記載の方法で合成した変性フェノール樹脂
I−4:下記合成例3に記載の方法で合成したヒドロキシスチレン系樹脂
合成例1:ポリベンゾオキサゾール前駆体(I−1)の合成
攪拌機及び温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸15.48g及びN−メチルピロリドン90gを仕込んだ。これを5℃に冷却した後、塩化チオニル12.64gを滴下し、30分間反応させて、4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸クロリドの溶液(*)を得た。次いで、攪拌機及び温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン87.50gを仕込み、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン18.30gを添加した。これを攪拌溶解した後、ピリジン8.53gを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリドの溶液(*)を30分間かけて滴下した後、30分間攪拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収して純水で3回洗浄した後、減圧乾燥してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)(I−1)を得た。このI−1のGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は14600、分散度は1.6であった。
具体的には、以下の装置及び条件にて重量平均分子量と分散度を測定した。
測定装置:検出器 (株)日立製作所社製L−3300RI
ポンプ:(株)日立製作所社製L6000
オートサンプラ:(株)日立製作所社製L7200
測定条件:カラム (株)東ソー社製 TSKgel GMHXL−L×2本
展開相:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0ml/分
カラム温度:25℃
試料0.5mgに対して溶媒(THF)1mlの溶液を用いて測定した。
攪拌機及び温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸15.48g及びN−メチルピロリドン90gを仕込んだ。これを5℃に冷却した後、塩化チオニル12.64gを滴下し、30分間反応させて、4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸クロリドの溶液(*)を得た。次いで、攪拌機及び温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン87.50gを仕込み、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン18.30gを添加した。これを攪拌溶解した後、ピリジン8.53gを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリドの溶液(*)を30分間かけて滴下した後、30分間攪拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収して純水で3回洗浄した後、減圧乾燥してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)(I−1)を得た。このI−1のGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は14600、分散度は1.6であった。
具体的には、以下の装置及び条件にて重量平均分子量と分散度を測定した。
測定装置:検出器 (株)日立製作所社製L−3300RI
ポンプ:(株)日立製作所社製L6000
オートサンプラ:(株)日立製作所社製L7200
測定条件:カラム (株)東ソー社製 TSKgel GMHXL−L×2本
展開相:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0ml/分
カラム温度:25℃
試料0.5mgに対して溶媒(THF)1mlの溶液を用いて測定した。
合成例2:不飽和炭化水素基を有する炭素数4〜100の化合物で変性されたフェノール樹脂(I−3)の合成
フェノール100質量部、亜麻仁油43質量部及びトリフロオロメタンスルホン酸0.1質量部を混合し、120℃で2時間撹拌して、植物油変性フェノール誘導体を得た。次いで、植物油変性フェノール誘導体130g、パラホルムアルデヒド16.3g及びシュウ酸(酸触媒)1.0gを混合し、90℃で3時間撹拌した。120℃に昇温して減圧下で3時間撹拌した後、反応液に無水コハク酸29g及びトリエチルアミン0.3gを加え、大気圧下、100℃で1時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、反応生成物として、不飽和炭化水素基を有する炭素数4〜100の化合物で変性されたフェノール樹脂(I−3)を得た(酸価120mgKOH/g)。この変性フェノール樹脂(I−3)の、GPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は約25,000であった。
フェノール100質量部、亜麻仁油43質量部及びトリフロオロメタンスルホン酸0.1質量部を混合し、120℃で2時間撹拌して、植物油変性フェノール誘導体を得た。次いで、植物油変性フェノール誘導体130g、パラホルムアルデヒド16.3g及びシュウ酸(酸触媒)1.0gを混合し、90℃で3時間撹拌した。120℃に昇温して減圧下で3時間撹拌した後、反応液に無水コハク酸29g及びトリエチルアミン0.3gを加え、大気圧下、100℃で1時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、反応生成物として、不飽和炭化水素基を有する炭素数4〜100の化合物で変性されたフェノール樹脂(I−3)を得た(酸価120mgKOH/g)。この変性フェノール樹脂(I−3)の、GPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は約25,000であった。
合成例3:ヒドロキシスチレン系樹脂(I−4)の合成
p−t−ブトキシスチレンとスチレンとを、モル比85:15の割合で合計100質量部用意し、これらをプロピレングリコールモノメチルエーテル150質量部に溶解し、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、アゾビスイソブチロニトリル4質量部を用いて10時間重合させた。その後、反応溶液に硫酸を加えて反応温度を90℃に保持して10時間反応させ、p−t−ブトキシスチレンを脱保護してヒドロキシスチレンに変換した。得られた共重合体に酢酸エチルを加え、水洗を5回繰り返し、酢酸エチル相を分取し、溶媒を除去して、p−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体(I−4)を得た。この共重合体の、GPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量(Mw)は10,000であった。また、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンとスチレンとの共重合モル比は85:15であった。
p−t−ブトキシスチレンとスチレンとを、モル比85:15の割合で合計100質量部用意し、これらをプロピレングリコールモノメチルエーテル150質量部に溶解し、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、アゾビスイソブチロニトリル4質量部を用いて10時間重合させた。その後、反応溶液に硫酸を加えて反応温度を90℃に保持して10時間反応させ、p−t−ブトキシスチレンを脱保護してヒドロキシスチレンに変換した。得られた共重合体に酢酸エチルを加え、水洗を5回繰り返し、酢酸エチル相を分取し、溶媒を除去して、p−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体(I−4)を得た。この共重合体の、GPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量(Mw)は10,000であった。また、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンとスチレンとの共重合モル比は85:15であった。
(II)感光剤として、下記II−1を準備した。
II−1:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンの1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル(エステル化率約90%、AZエレクトロニックマテリアルズ社製、商品名「TPPA528」)
II−1:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンの1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル(エステル化率約90%、AZエレクトロニックマテリアルズ社製、商品名「TPPA528」)
(III)架橋剤として、下記III−1、III−2を準備した。
III−1:2,2−ビス{3,5−ビス(ヒドロキシメチル)−4−ヒドロキシフェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(本州化学工業社製、商品名「TML−BPAF」)
III−2:ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン(三和ケミカル社製、商品名「ニカラックMW−30HM」)
III−1:2,2−ビス{3,5−ビス(ヒドロキシメチル)−4−ヒドロキシフェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(本州化学工業社製、商品名「TML−BPAF」)
III−2:ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン(三和ケミカル社製、商品名「ニカラックMW−30HM」)
(IV)密着助剤として、下記IV−1〜IV−3を準備した。
IV−1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
IV−2:5−アミノ−1H−テトラゾール
IV−3:下記合成例4に記載の方法で合成したイミダゾールシラン化合物
IV−1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
IV−2:5−アミノ−1H−テトラゾール
IV−3:下記合成例4に記載の方法で合成したイミダゾールシラン化合物
合成例4:イミダゾールシラン(IV−3)の合成
100mlのフラスコに、イミダゾール3.4g(0.05mol)とトルエン50mlを加えて溶解させた。溶液を95℃に加熱し、そこへ、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン11.8g(0.05mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を95℃で1時間撹拌した。反応終了後、トルエンを減圧留去して、イミダゾールシラン化合物(IV−3)を得た。
100mlのフラスコに、イミダゾール3.4g(0.05mol)とトルエン50mlを加えて溶解させた。溶液を95℃に加熱し、そこへ、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン11.8g(0.05mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を95℃で1時間撹拌した。反応終了後、トルエンを減圧留去して、イミダゾールシラン化合物(IV−3)を得た。
(V)アクリル樹脂として、下記合成例5及び6の方法で、V−1及びV−2のアクリル樹脂を用意した。
合成例5:アクリル樹脂(V−1)の合成
攪拌機、窒素導入管及び温度計を備えた500mlの三口フラスコに、トルエン75g、イソプロパノール75gを秤取し、そこに、別途秤取したアクリル酸ブチル85g、アクリル酸ラウリル24g、アクリル酸14g及び1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(商品名:FA−711MM、日立化成工業社製)7.9gの重合性単量体並びにアゾビスイソブチロニトリル0.13gを加えた。室温にて約270rpmの攪拌回転数で攪拌しながら、窒素ガスを400ml/分の流量で30分間流し、溶存酸素を除去した。その後、窒素ガスの流入を停止し、フラスコを密閉し、恒温水槽にて約25分で65℃まで昇温した。同温度を14時間保持して重合反応を行い、アクリル樹脂(V−I)を得た。重合率は98%であった。このアクリル樹脂(V−1)の、GPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量(Mw)は36,000であった。
攪拌機、窒素導入管及び温度計を備えた500mlの三口フラスコに、トルエン75g、イソプロパノール75gを秤取し、そこに、別途秤取したアクリル酸ブチル85g、アクリル酸ラウリル24g、アクリル酸14g及び1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(商品名:FA−711MM、日立化成工業社製)7.9gの重合性単量体並びにアゾビスイソブチロニトリル0.13gを加えた。室温にて約270rpmの攪拌回転数で攪拌しながら、窒素ガスを400ml/分の流量で30分間流し、溶存酸素を除去した。その後、窒素ガスの流入を停止し、フラスコを密閉し、恒温水槽にて約25分で65℃まで昇温した。同温度を14時間保持して重合反応を行い、アクリル樹脂(V−I)を得た。重合率は98%であった。このアクリル樹脂(V−1)の、GPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量(Mw)は36,000であった。
合成例6:アクリル樹脂(V−2)の合成
攪拌機、窒素導入管及び温度計を備えた100mlの三口フラスコに、乳酸エチル55gを秤取し、そこに、別途秤取したアクリル酸ブチル34.7g、アクリル酸ラウリル2.2g、アクリル酸3.9g、アクリル酸ヒドロキシブチル2.6g及び1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(商品名:FA−711MM、日立化成工業社製)1.7gの重合性単量体並びにアゾビスイソブチロニトリル0.29gを加えた。室温にて約160rpmの攪拌回転数で攪拌しながら、窒素ガスを400ml/分の流量で30分間流し、溶存酸素を除去した。その後、窒素ガスの流入を止め、フラスコを密閉し、恒温水槽にて約25分で65℃まで昇温した。同温度を10時間保持して重合反応を行い、アクリル樹脂(V−2)を得た。この際の重合率は99%であった。このアクリル樹脂(V−2)のGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量(Mw)は、約22,000であった。
攪拌機、窒素導入管及び温度計を備えた100mlの三口フラスコに、乳酸エチル55gを秤取し、そこに、別途秤取したアクリル酸ブチル34.7g、アクリル酸ラウリル2.2g、アクリル酸3.9g、アクリル酸ヒドロキシブチル2.6g及び1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(商品名:FA−711MM、日立化成工業社製)1.7gの重合性単量体並びにアゾビスイソブチロニトリル0.29gを加えた。室温にて約160rpmの攪拌回転数で攪拌しながら、窒素ガスを400ml/分の流量で30分間流し、溶存酸素を除去した。その後、窒素ガスの流入を止め、フラスコを密閉し、恒温水槽にて約25分で65℃まで昇温した。同温度を10時間保持して重合反応を行い、アクリル樹脂(V−2)を得た。この際の重合率は99%であった。このアクリル樹脂(V−2)のGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量(Mw)は、約22,000であった。
(VI)溶媒として、下記VI−1及びVI−2を準備した。
VI−1:γ−ブチロラクトン(GBL)とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の混合溶媒(GBL:PGMEA(質量比)=9:1)
VI−2:乳酸エチル
VI−1:γ−ブチロラクトン(GBL)とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の混合溶媒(GBL:PGMEA(質量比)=9:1)
VI−2:乳酸エチル
上記(I)〜(VI)成分を、表2に示した所定の割合で配合した。表2中、数値の単位は質量部である。得られた溶液を0.5μm孔のテフロン(登録商標)フィルターを用いて加圧ろ過して、感光性樹脂組成物(B液)B1〜B4を調製した。
<基材>
基材として、下記S1〜S8を準備した。
S1(Si表面):鏡面仕上げダミーシリコン基材
S2(SiO2表面):シリコン基材に酸化ケイ素膜をCVD(化学気相成長)法で形成して得た基材
S3(SiN表面):シリコン基材に窒化ケイ素膜をCVDで形成して得た基材
S4(Cu表面):シリコン基材上にTiN膜をスパッタ形成後、そのTiN膜上に銅膜をスパッタ形成し、さらにこの銅膜をシード層として銅めっきを施して得た基材
S5(Au表面):シリコン基材上にTiN膜をスパッタ形成後、さらにそのTiN膜上にAu膜をスパッタ形成した基材
S6(Ti表面):シリコン基材上にTi膜をスパッタ形成した基材
S7(Ni表面):シリコン基材上にNi膜をスパッタ形成した基材
S8(Al表面):シリコン基材上にAl膜をスパッタ形成した基材
基材として、下記S1〜S8を準備した。
S1(Si表面):鏡面仕上げダミーシリコン基材
S2(SiO2表面):シリコン基材に酸化ケイ素膜をCVD(化学気相成長)法で形成して得た基材
S3(SiN表面):シリコン基材に窒化ケイ素膜をCVDで形成して得た基材
S4(Cu表面):シリコン基材上にTiN膜をスパッタ形成後、そのTiN膜上に銅膜をスパッタ形成し、さらにこの銅膜をシード層として銅めっきを施して得た基材
S5(Au表面):シリコン基材上にTiN膜をスパッタ形成後、さらにそのTiN膜上にAu膜をスパッタ形成した基材
S6(Ti表面):シリコン基材上にTi膜をスパッタ形成した基材
S7(Ni表面):シリコン基材上にNi膜をスパッタ形成した基材
S8(Al表面):シリコン基材上にAl膜をスパッタ形成した基材
(実施例1〜16)
表3に示すA液(A1〜A4のいずれか)及びB液(B1〜B4のいずれか)を用いて以下の方法で、表3に示す基材(S1〜S8のいずれか)上にパターン硬化膜の形成を行なった。準備したA液(A1〜A4)を上記基材(S1〜S8)上にスピンコートして、120℃で1分間加熱し、厚さ0.3nmの、トリアジン層を形成した。次に、形成されたトリアジン層上にB液(B1〜B4)をスピンコートして、120℃で3分間加熱し、厚さ約12〜15μmの感光層を形成した。次いで、i線ステッパー(キャノン社製、商品名「FPA−3000i」)を用いて、テストパターンが描画されたマスクを介して、感光層にi線(365nm)での縮小投影露光を行った。露光後、感光層の残厚が初期の厚さの80〜100%程度となるように水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の2.38%水溶液を用いて現像を行い、その後、水でリンスし、パターン樹脂層を得た。このパターン樹脂層を形成した基材を縦型拡散炉(光洋サーモシステム社製、商品名「μ−TF」)を用い、窒素中で室温から190℃又は320℃まで1.5時間かけて昇温した後、190℃又は320℃で2時間保持することで加熱処理(硬化)し、厚さ約10μmのパターン硬化膜を得た。
表3に示すA液(A1〜A4のいずれか)及びB液(B1〜B4のいずれか)を用いて以下の方法で、表3に示す基材(S1〜S8のいずれか)上にパターン硬化膜の形成を行なった。準備したA液(A1〜A4)を上記基材(S1〜S8)上にスピンコートして、120℃で1分間加熱し、厚さ0.3nmの、トリアジン層を形成した。次に、形成されたトリアジン層上にB液(B1〜B4)をスピンコートして、120℃で3分間加熱し、厚さ約12〜15μmの感光層を形成した。次いで、i線ステッパー(キャノン社製、商品名「FPA−3000i」)を用いて、テストパターンが描画されたマスクを介して、感光層にi線(365nm)での縮小投影露光を行った。露光後、感光層の残厚が初期の厚さの80〜100%程度となるように水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の2.38%水溶液を用いて現像を行い、その後、水でリンスし、パターン樹脂層を得た。このパターン樹脂層を形成した基材を縦型拡散炉(光洋サーモシステム社製、商品名「μ−TF」)を用い、窒素中で室温から190℃又は320℃まで1.5時間かけて昇温した後、190℃又は320℃で2時間保持することで加熱処理(硬化)し、厚さ約10μmのパターン硬化膜を得た。
<感光特性の評価>
上記パターン硬化膜に対して、パターン形成に必要な最小露光量及び開口している正方形ホールパターンのうち最小のものの大きさを求めた。最小露光量を感度として、開口している正方形ホールパターンのうち最小のものの一辺の長さを解像度として評価した。感度は350mJ/cm2未満の場合をA、350mJ/cm2以上550mJ/cm2未満の場合をB、550mJ/cm2以上の場合をCとし、結果を表3に示した。解像度は8μm未満の場合をA、8μm以上の場合をBとし、結果を表3に示した。
上記パターン硬化膜に対して、パターン形成に必要な最小露光量及び開口している正方形ホールパターンのうち最小のものの大きさを求めた。最小露光量を感度として、開口している正方形ホールパターンのうち最小のものの一辺の長さを解像度として評価した。感度は350mJ/cm2未満の場合をA、350mJ/cm2以上550mJ/cm2未満の場合をB、550mJ/cm2以上の場合をCとし、結果を表3に示した。解像度は8μm未満の場合をA、8μm以上の場合をBとし、結果を表3に示した。
<密着性の評価>
上記方法によって得られたパターン硬化膜が形成された基材をプレッシャークッカーに投入し、121℃、相対湿度100%、圧力2気圧(約0.2MPa)で24時間処理した。その後、基材をホットプレート上で260℃、1分間加熱した。吸湿−熱処理した基材のパターン硬化膜のなかで、2cm四方に開口部が存在しない領域を選び、クロスカットガイド(コーテック社製)を用いてカミソリで10×10の碁盤目の切り込みを入れて、パターン硬化膜を100個の小片に分割した。分割したパターン硬化膜上に粘着テープ(ニチバン社製)を貼り付けた後、粘着テープを剥離した。粘着テープを剥離する際に、基材から剥離したパターン硬化膜の小片の数により、密着性を下記のように評価し、結果を表3に示した。
A:剥離なし
B:1−25個剥離
C:26−50個剥離
D:51−75個剥離
E:76−100個剥離
上記方法によって得られたパターン硬化膜が形成された基材をプレッシャークッカーに投入し、121℃、相対湿度100%、圧力2気圧(約0.2MPa)で24時間処理した。その後、基材をホットプレート上で260℃、1分間加熱した。吸湿−熱処理した基材のパターン硬化膜のなかで、2cm四方に開口部が存在しない領域を選び、クロスカットガイド(コーテック社製)を用いてカミソリで10×10の碁盤目の切り込みを入れて、パターン硬化膜を100個の小片に分割した。分割したパターン硬化膜上に粘着テープ(ニチバン社製)を貼り付けた後、粘着テープを剥離した。粘着テープを剥離する際に、基材から剥離したパターン硬化膜の小片の数により、密着性を下記のように評価し、結果を表3に示した。
A:剥離なし
B:1−25個剥離
C:26−50個剥離
D:51−75個剥離
E:76−100個剥離
<耐熱衝撃性の評価>
上記方法によって得られたパターン硬化膜が形成された基材をプレッシャークッカーに投入し、121℃、相対湿度100%、圧力2気圧(約0.2MPa)で24時間処理した。その後、基材をホットプレート上で260℃、1分間加熱した。吸湿−熱処理した基材をヒートサイクル試験機に投入し、−65℃、15分間及び125℃、15分間のサイクルを1000回繰り返した。基材を試験機から取り出し、パターン硬化膜と基材との界面で剥離又はクラックが生じていないかを観察し、下記のように評価した。結果を表3に示した。
A:剥離及びクラックなし
B:剥離又はクラック発生
上記方法によって得られたパターン硬化膜が形成された基材をプレッシャークッカーに投入し、121℃、相対湿度100%、圧力2気圧(約0.2MPa)で24時間処理した。その後、基材をホットプレート上で260℃、1分間加熱した。吸湿−熱処理した基材をヒートサイクル試験機に投入し、−65℃、15分間及び125℃、15分間のサイクルを1000回繰り返した。基材を試験機から取り出し、パターン硬化膜と基材との界面で剥離又はクラックが生じていないかを観察し、下記のように評価した。結果を表3に示した。
A:剥離及びクラックなし
B:剥離又はクラック発生
(比較例1〜4)
A液を用いず、表3に示すB液(B1〜B4のいずれか)を基材(S1〜S8のいずれか)上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、厚さ約12〜15μmの感光層を形成した。実施例と同様にパターン硬化膜を形成し、実施例と同様に各評価を行なった。
A液を用いず、表3に示すB液(B1〜B4のいずれか)を基材(S1〜S8のいずれか)上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、厚さ約12〜15μmの感光層を形成した。実施例と同様にパターン硬化膜を形成し、実施例と同様に各評価を行なった。
実施例で得られたパターン硬化膜は、多種の基材に対して良好な密着性を示した。また、耐熱衝撃性も良好であった。一方、比較例で得られたパターン硬化膜は、基材によっては密着性が低く、また、耐熱衝撃性も低かった。
(実施例17〜20)
<硬化膜物性(破断伸び及び弾性率)の評価>
A液としてA3を、基材S1上にスピンコートして、120℃で1分間加熱し、厚さ0.3nmのトリアジン層を形成した。次に、表5に示すようにB液としてB1〜B4のいずれかをスピンコートして、120℃で3分間加熱し、厚さ約12〜15μmの感光層を形成した。この感光層に対して、プロキシミティ露光機(キャノン社製、商品名「PLA−600FA」)を用いて、矩形パターンが描画されたマスクを介して全波長で露光を行った。露光後、TMAHの2.38%水溶液を用いて現像し、その後、水でリンスし、10mm幅の矩形のパターン樹脂層を得た。このパターン樹脂層付き基材を縦型拡散炉(光洋サーモシステム社製、商品名「μ−TF」)を用い、窒素中で室温から190℃又は320℃まで1.5時間かけて昇温した後、190℃又は320℃で2時間保持することで加熱処理(硬化)し、厚さ約10μm、10mm幅の矩形のパターン硬化膜を得た。このパターン硬化膜を基材から剥離し、剥離したパターン硬化膜を試験片として用い、その破断伸び率及び弾性率を島津製作所製「オートグラフAGS−H100N」によって測定した。チャック間は20mmとし、引張速度は5mm/分で、測定温度は室温(20℃〜25℃)程度とした。同一条件で得たパターン硬化膜から得た5本以上の試験片を用いて測定し、測定値の平均を、破断伸び率及び弾性率とした。結果を表5に示す。
<硬化膜物性(破断伸び及び弾性率)の評価>
A液としてA3を、基材S1上にスピンコートして、120℃で1分間加熱し、厚さ0.3nmのトリアジン層を形成した。次に、表5に示すようにB液としてB1〜B4のいずれかをスピンコートして、120℃で3分間加熱し、厚さ約12〜15μmの感光層を形成した。この感光層に対して、プロキシミティ露光機(キャノン社製、商品名「PLA−600FA」)を用いて、矩形パターンが描画されたマスクを介して全波長で露光を行った。露光後、TMAHの2.38%水溶液を用いて現像し、その後、水でリンスし、10mm幅の矩形のパターン樹脂層を得た。このパターン樹脂層付き基材を縦型拡散炉(光洋サーモシステム社製、商品名「μ−TF」)を用い、窒素中で室温から190℃又は320℃まで1.5時間かけて昇温した後、190℃又は320℃で2時間保持することで加熱処理(硬化)し、厚さ約10μm、10mm幅の矩形のパターン硬化膜を得た。このパターン硬化膜を基材から剥離し、剥離したパターン硬化膜を試験片として用い、その破断伸び率及び弾性率を島津製作所製「オートグラフAGS−H100N」によって測定した。チャック間は20mmとし、引張速度は5mm/分で、測定温度は室温(20℃〜25℃)程度とした。同一条件で得たパターン硬化膜から得た5本以上の試験片を用いて測定し、測定値の平均を、破断伸び率及び弾性率とした。結果を表5に示す。
本発明によれば、優れた耐熱衝撃性を有し、様々な基材及び配線材料に対して良好な密着性を有するパターン硬化膜を形成することが可能である。
1,1a,1b…基材、2…トリアジン層、3…パターン硬化膜、4…金属層、5,5a,5b…絶縁層、6…パッド部、8…再配線層、9…導電性ボール、10…接続部、11…バリアメタル、20…基板、100,200,300…半導体素子、400…パッケージ。
Claims (7)
- 基板上に、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を含有する感光性樹脂組成物からなる感光層を形成するために用いられるプライマーであって、
メルカプト基を有するトリアジン化合物と溶媒とを含むプライマー。 - 前記感光性樹脂組成物がさらにアクリル樹脂を含有する、請求項1に記載のプライマー。
- 前記トリアジン化合物が、メルカプト基を2つ以上有するトリアジン化合物である、請求項1又は2に記載のプライマー。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のプライマー及びフェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を含有する感光性樹脂組成物を用いる、パターン硬化膜の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のプライマーを基板に塗布及び乾燥してトリアジン層を形成する工程と、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を含有する感光性樹脂組成物及び溶媒を含む塗布液を、該トリアジン層の上に塗布及び乾燥して感光層を形成する工程と、該感光層を露光及び現像してパターン樹脂層を形成する工程と、前記パターン樹脂層を加熱してパターン硬化膜を形成する工程とを備える、パターン硬化膜の製造方法。
- 請求項4又は5に記載の製造方法により得られるパターン硬化膜。
- 請求項6に記載のパターン硬化膜を有する、半導体素子。
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