JP2013167693A - 感光性樹脂組成物、パターン硬化膜の製造方法、及び、該パターン硬化膜を有する半導体装置 - Google Patents

感光性樹脂組成物、パターン硬化膜の製造方法、及び、該パターン硬化膜を有する半導体装置 Download PDF

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浩一 阿部
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寛 松谷
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Abstract

【課題】アルカリ水溶液で現像が可能であり、かつ良好な破断伸びと耐熱性とを両立させることのできる、感光性樹脂組成物、該パターン硬化膜の製造方法、及び、該パターン硬化膜を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】(a)一般式(1)で表される構造単位を含むポリマーと、(b)光により酸を発生する化合物と、(c)熱架橋剤と、(d)アクリル樹脂とを含有する感光性樹脂組成物。
Figure 2013167693

(式中、Xは、炭素数1〜20のアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基又はエーテル基の少なくとも1つを有する2価の有機基を示し、Rは、水素原子又は炭素数1〜3の1価の有機基を示し、Rは、水素原子又は炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する基を示す。nは1〜10の整数を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、パターン硬化膜の製造方法、及び、該パターン硬化膜を有する半導体装置に関する。
近年、半導体装置の高集積化及び大型化に伴い、半導体装置の層間絶縁層、表面保護層、及び再配線層を形成する材料として、より優れた電気特性、耐熱性、機械特性等を併せ持つ材料が求められている。このような材料として、従来、高い耐熱性を有するポリイミド樹脂を含有する感光性樹脂組成物が用いられてきた(例えば、特許文献1)。
また、近年、環境への優しさという観点から、アルカリ水溶液により現像が可能で、かつ低温で硬化膜を形成することが可能な、フェノール樹脂を含有する感光性樹脂組成物が開発されている(例えば、特許文献2)。
特開2000−241973号公報 特開2008−77057号公報
一方、近年、半導体装置は、さらなる信頼性が求められているため、例えば耐衝撃試験等の高クラック耐性という観点から、感光性樹脂組成物は、良好な破断伸びが求められている。また製造工程での種々の高温プロセスに対する耐性という観点から良好な耐熱性が求められている。しかし、破断伸びを向上させるためにポリマーを低弾性率化すると、耐熱性が低下してしまう傾向があった。また、逆に、耐熱性を向上させるために高弾性率化すると、破断伸びが低下してしまう傾向があった。
そこで、本発明は、アルカリ水溶液で現像が可能であり、かつ良好な破断伸びと耐熱性とを両立させることのできる、感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、該パターン硬化膜の製造方法、及び、該パターン硬化膜を有する半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定のフェノール樹脂を含有する感光性樹脂組成物を用いた場合、本発明の課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は下記[1]〜[5]に記載の事項を特徴とするものである。
[1](a)一般式(1)で表される構造単位を含むポリマーと、
(b)光により酸を発生する化合物と、
(c)熱架橋剤と、
(d)アクリル樹脂と、を含有する感光性樹脂組成物であって、
前記(a)成分から形成される硬化膜のヤング率が3.0〜4.5GPaである、感光性樹脂組成物。
Figure 2013167693

(式中、Xは、炭素数1〜20のアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基又はエーテル基の少なくとも1つを有する2価の有機基を示し、Rは、水素原子又は炭素数1〜3の1価の有機基を示し、Rは、水素原子又は炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する基を示す。nは1〜10の整数を示す。)
[2]前記(a)成分が一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造単位を含む、前記感光性樹脂組成物。
Figure 2013167693

(式中、Y及びZは各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Aはフェニレン基又はビフェニレン基を示す。Rは、水素原子又は炭素数1〜3の1価の有機基を示し、Rは、水素原子又は炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する基を示す。nは1〜10の整数を示し、mは0又は1の整数を示す。)
[3](b)成分がo−キノンジアジド化合物である、前記感光性樹脂組成物。
[4]前記感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、樹脂膜を形成する工程と、前記樹脂膜に露光及び現像を行い、パターン樹脂膜を形成する工程と、前記パターン樹脂膜を加熱する工程とを含有する、パターン硬化膜の製造方法。
[5]前記製造方法により得られるパターン硬化膜を層間絶縁層、表面保護層又は再配線層として有する半導体装置。
本発明は、アルカリ水溶液で現像が可能であり、かつ良好な破断伸びと耐熱性とを両立させることのできる、感光性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明の感光性樹脂組成物を用いると、良好な解像度でパターン樹脂膜を形成することができる。また、本発明は、前記感光性樹脂組成物を用いたパターン硬化膜の製造方法、及び、該パターン硬化膜を有する半導体装置を提供する。
半導体装置の製造工程の一実施形態を説明する概略断面図である。 半導体装置の製造工程の一実施形態を説明する概略断面図である。 半導体装置の製造工程の一実施形態を説明する概略断面図である。 半導体装置の製造工程の一実施形態を説明する概略断面図である。 半導体装置の製造工程の一実施形態を説明する概略断面図である。 電子部品(半導体装置)の一実施形態を示す概略断面図である。 電子部品(半導体装置)の一実施形態を示す概略断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
また、本明細書において、(a)成分から形成される硬化膜のヤング率は、押し込み方法によって測定されたものである。例えば、ヤング率は、以下の条件で形成させる(a)成分の硬化膜を、以下の装置及び条件で測定したものである。
(硬化膜の形成方法)
(a)成分を乳酸メチル30gに溶解し、これを5インチシリコンウエハに滴下して、膜厚が10μmになるようにスピン塗布によって被膜を作製し、それを100℃のホットプレート上で60秒間乾燥させる。その後、窒素雰囲気下、180℃の温度で2時間加熱処理することにより硬化膜を得る。
(測定条件)
試料:約10μm膜厚の硬化膜
装置:MTS株式会社製、商品名「ナノインデンターSA−2、DCM」
測定温度:24℃
測定周波数:60Hz
測定値: 1サンプルあたり10箇所の表面を測定したときのヤング率の平均値
(感光性樹脂組成物)
本発明の感光性樹脂組成物は、
(a)一般式(1)で表される構造単位を含む構造単位を含むポリマーと、
(b)光により酸を発生する化合物と、
(c)熱架橋剤と、
(d)アクリル樹脂と、を含有する。
Figure 2013167693

(式中、Xは、炭素数1〜20のアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基又はエーテル基の少なくとも1つを有する2価の有機基を示し、Rは、水素原子又は炭素数1〜3の1価の有機基を示し、Rは、水素原子又は炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する基を示す。nは1〜10の整数を示す。)
以下、各成分について説明する。
<(a)一般式(1)で表される構造単位を含むポリマー>
(a)成分である一般式(1)で表される構造単位を含むポリマーは、アルカリ可溶性の基であるフェノール性水酸基を有するので、露光後の樹脂膜を現像する際に、露光部と未露光部との溶解速度の差を十分に大きくすることができる。また、本発明の感光性樹脂組成物は(a)成分を含むことで、良好な膜厚の面内均一性を有する樹脂膜及び硬化膜を提供することができ、さらに良好な機械特性を有する硬化膜を提供することができる。一般式(1)で表される構造単位を含むポリマーが、炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する基を含有する場合、後述する(d)アクリル樹脂との相溶性を向上させることができる。
(a)成分は、一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造単位を含むポリマーであることが好ましい。
Figure 2013167693

(式中、Y及びZは各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Aはフェニレン基又はビフェニレン基を示す。Rは、水素原子又は炭素数1〜3の1価の有機基を示し、Rは、水素原子又は炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する基を示す。nは1〜10の整数を示し、mは0又は1の整数を示す。)
また、(a)成分は、下記一般式(5)〜(7)で表される構造単位を含むポリマーであることがより好ましい。
Figure 2013167693

(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜3の1価の有機基を示し、Rは、水素原子又は炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する基を示す。nは1〜10の整数を示す。)
(a)成分から形成される硬化膜のヤング率は3.0〜4.5GPaである。(a)成分から形成される硬化膜のヤング率が3.0〜4.5GPaであると、感光性樹脂組成物を加熱して得られる硬化膜の機械特性(破断伸び、弾性率、引っ張り強度及び残留応力)をより向上することができる。また、感光性樹脂組成物を加熱して得られる硬化膜の機械特性が向上すると、半導体装置の製造工程において生じる応力を緩和することができ、半導体装置の信頼性を向上することができる。(a)成分を加熱して得られる硬化膜のヤング率は3.0GPa〜4.2GPaであることがより好ましく、3.0〜4.0GPaであることがさらに好ましい。
(a)成分は、フェノール又はその誘導体とアルデヒド類との重縮合生成物であるフェノール樹脂であることが好ましい。また、(a)成分は、炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する基を含有することが好ましい。つまり(a)成分は、炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂であることが好ましい。このような(a)成分はフェノール誘導体と炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物(以下場合により単に「不飽和炭化水素基含有化合物」という。)との反応生成物(以下「不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体」という。)と、アルデヒド類とを重縮合反応させることにより得ることができる。重縮合は酸又は塩基等の触媒存在下で行われる。酸触媒を用いた場合に得られるフェノール樹脂を特にノボラック型フェノール樹脂という。コントラストが高いことや硬化時の体積収縮が小さいなどの観点からノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
前記フェノール誘導体としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール及び3,4,5−トリメチルフェノール等のアルキルフェノール、メトキシフェノール及び2−メトキシ−4−メチルフェノール等のアルコキシフェノール、ビニルフェノール及びアリルフェノール等のアルケニルフェノール、ベンジルフェノール等のアラルキルフェノール、メトキシカルボニルフェノール等のアルコキシカルボニルフェノール、ベンゾイルオキシフェノール等のアリールカルボニルフェノール、クロロフェノール等のハロゲン化フェノール、カテコール、レゾルシノール及びピロガロール等のポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA及びビスフェノールF等のビスフェノール、α−又はβ−ナフトール等のナフトール誘導体、p−ヒドロキシフェニル−2−エタノール、p−ヒドロキシフェニル−3−プロパノール及びp−ヒドロキシフェニル−4−ブタノール等のヒドロキシアルキルフェノール、ヒドロキシエチルクレゾール等のヒドロキシアルキルクレゾール、ビスフェノールのモノエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールのモノプロピレンオキサイド付加物等のアルコール性水酸基含有フェノール誘導体、p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、p−ヒドロキシフェニルブタン酸、p−ヒドロキシ桂皮酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェニル安息香酸、ヒドロキシフェノキシ安息香酸及びジフェノール酸等のカルボキシル基含有フェノール誘導体等が挙げられる。また、ビスヒドロキシメチル−p−クレゾール等の上記フェノール誘導体のメチロール化物をフェノール誘導体として用いてもよい。
さらに、フェノール樹脂は、上述のフェノール又はフェノール誘導体をm−キシレンのようなフェノール以外の化合物とともにアルデヒド類と縮重合して得られる生成物であってもよい。この場合、縮重合に用いられるフェノール誘導体に対するフェノール以外の化合物のモル比は、0.5未満であると好ましい。フェノール誘導体及びフェノール化合物以外の化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
前記不飽和炭化水素基含有化合物の不飽和炭化水素基は、パターン硬化膜の基板への密着性を向上させる観点から、2以上の不飽和結合を含むことが好ましく、感光性樹脂組成物の保存安定性、相溶性及び硬化膜の可とう性の観点から、不飽和炭化水素基は好ましくは炭素数8〜80、より好ましくは炭素数10〜60である。
不飽和炭化水素基含有化合物としては、例えば、炭素数4〜100の不飽和炭化水素、カルボキシル基を有するポリブタジエン、エポキシ化ポリブダジエン、リノリルアルコール、オレイルアルコール、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルである。好適な不飽和脂肪酸としては、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α−リノレン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸及びドコサヘキサエン酸が挙げられる。これらの中でも特に、炭素数8〜30の不飽和脂肪酸と、炭素数1〜10の1価から3価のアルコールとのエステルがより好ましく、炭素数8〜30の不飽和脂肪酸と3価のアルコールであるグリセリンとのエステルが特に好ましい。
炭素数8〜30の不飽和脂肪酸とグリセリンとのエステルは、植物油として商業的に入手可能である。植物油は、ヨウ素価が100以下の不乾性油、100を超えて130未満の半乾性油又は130以上の乾性油がある。不乾性油として、例えば、オリーブ油、あさがお種子油、カシュウ実油、さざんか油、つばき油、ひまし油及び落花生油が挙げられる。半乾性油として、例えば、コーン油、綿実油及びごま油が挙げられる。乾性油としては、例えば、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油、サフラワー油、ひまわり油、荏の油及び芥子油が挙げられる。また、これらの植物油を加工して得られる加工植物油を用いてもよい。
パターン硬化膜の、機械特性、耐熱衝撃性及び基板への密着性を向上させる観点から、炭素数8〜30の不飽和脂肪酸とグリセリンとのエステルとしては、乾性油を用いることが好ましく、桐油及び亜麻仁油がさらに好ましい。これらの不飽和炭化水素基含有化合物は1種を単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上述のフェノール又はフェノール誘導体に対して、反応させる上述の不飽和炭化水素基含有化合物の割合を変えることで、ヤング率を調整することができる。
前記アルデヒド類は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、メトキシフェニルアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、クロロフェニルアセトアルデヒド、アセトン、グリセルアルデヒド、グリオキシル酸、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸フェニル、グリオキシル酸ヒドロキシフェニル、ホルミル酢酸、ホルミル酢酸メチル、2−ホルミルプロピオン酸、2−ホルミルプロピオン酸メチル、ピルビン酸、レプリン酸、4−アセチルブチル酸、アセトンジカルボン酸、及び3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸から選ばれる。また、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒドの前駆体を反応に用いてもよい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(a)成分の重量平均分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性や、感光特性と硬化膜物性とのバランスを考慮すると、1000〜500000が好ましく、2000〜200000がより好ましく、2000〜100000であることがさらに好ましく、5000〜50000であることが特に好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算により求めることができる。
<(b)光により酸を発生する化合物>
(b)成分である光により酸を生成する化合物は、感光剤として用いられる。このような(b)成分は、光照射により酸を生成させ、光照射した部分のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有する。(b)成分としては、一般に光酸発生剤と称される化合物を用いることができる。(b)成分の具体例としては、o−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。これらの中で、感度が高いことから、o−キノンジアジド化合物を用いることが好ましい。
o−キノンジアジド化合物としては、例えば、o−キノンジアジドスルホニルクロリドと、ヒドロキシ化合物やアミノ化合物等とを脱塩酸剤の存在下で縮合反応させることで得られるものを用いることができる。
前記o−キノンジアジドスルホニルクロリドとしては、ベンゾキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド等が挙げられる。
前記ヒドロキシ化合物としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン,2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4b,5,9b,10−テトラヒドロ−1,3,6,8−テトラヒドロキシ−5,10−ジメチルインデノ[2,1−a]インデン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
前記アミノ化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
前記脱塩酸剤としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。また、反応溶媒としては、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N−メチルピロリドン等が用いられる。
これらの中でも吸収波長範囲と反応性の点から、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンと1−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとを縮合反応して得られたものや、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン又はトリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンと1−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとを縮合反応して得られたものを用いることが好ましい。
o−キノンジアジドスルホニルクロリドと、ヒドロキシ化合物及び/又はアミノ化合物とは、o−キノンジアジドスルホニルクロリド1モルに対して、ヒドロキシ基とアミノ基とのモル数の合計が0.5〜1になるように配合されることが好ましい。脱塩酸剤とo−キノンジアジドスルホニルクロリドの好ましい配合割合は、0.95/1モル当量〜1/0.95モル当量の範囲である。
なお、上述の反応の好ましい反応温度は0〜40℃、好ましい反応時間は1〜10時間である。
本発明の感光性樹脂組成物において、(b)成分の含有量は(a)成分100質量部に対して3〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましく、5〜30質量部がさらに好ましい。(b)成分が(a)成分100質量部に対して3〜100質量部であると、露光部と未露光部の溶解速度差が良好となり、感度の許容幅が良好となる。
<(c)熱架橋剤>
本発明の感光性樹脂組成物は(c)成分である熱架橋剤を含有する。(c)成分は、パターン樹脂膜を形成後に加熱してパターン硬化膜を形成する際に、(a)成分と反応して橋架け構造を形成する。これにより、パターン硬化膜の機械強度及び耐薬品性を向上させることができる。(c)成分として、具体的には、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物等を用いることができる。
前記フェノール性水酸基を有する化合物は、(a)成分とは異なるものである。フェノール性水酸基を有する化合物は、熱架橋剤としてだけでなく、アルカリ水溶液で現像する際の露光部の溶解速度を増加させ、感度を向上させることができる。このようなフェノール性水酸基を有する化合物の重量平均分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性、及び感光特性と機械特性とのバランスを考慮して、94〜2000が好ましく、108〜1500がより好ましく、108〜1000がさらに好ましい。
前記フェノール性水酸基を有する化合物としては、下記一般式(5)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2013167693

(式(5)中、Xは単結合又は2価の有機基を示し、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を示し、s及びtはそれぞれ独立に1〜3の整数を示し、u及びvはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。)
一般式(5)において、Xが単結合である化合物は、ビフェノール(ジヒドロキシビフェニル)誘導体である。また、Xで示される2価の有機基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数が1〜10のアルキレン基、エチリデン基等の炭素数が2〜10のアルキリデン基、フェニレン基等の炭素数が6〜30のアリーレン基、これら炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基、スルホニル基、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合等が挙げられる。
ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物としては、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)メラミン、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)グリコールウリル、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)ベンゾグアナミン、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)尿素等のメチロール基の全部又は一部をアルキルエーテル化した含窒素化合物が挙げられる。ここで、アルキルエーテルのアルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基、又はこれらを混合したものを挙げられ、一部自己縮合してなるオリゴマー成分を含有していてもよい。具体的には、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、ヘキサキス(ブトキシメチル)メラミン、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(メトキシメチル)尿素が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物としては、従来公知のものを用いることができる。その具体例として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン、複素環式エポキシ樹脂、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルを挙げられる。
また、(c)成分として、上述した以外に、ビス[3,4−ビス(ヒドロキシメチル)フェニル]エーテルや1,3,5−トリス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼンなどのヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンや2,2−ビス[4−(4’−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンなどのマレイミド基を有する化合物、ノルボルネン骨格を有する化合物、多官能アクリレート化合物、オキセタニル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物、ブロック化イソシアナート化合物を用いることができる。
上述した(c)成分の中で、感度と耐熱性の向上という観点から、フェノール性水酸基を有する化合物及びヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましく、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物がより好ましく、メチロール基の全部又は一部をアルキルエーテル化したアルコキシメチルアミノ基を有する化合物が特に好ましい。
上記ヒドロキシメチルアミノ基の全部をアルキルエーテル化したアルコキシメチルアミノ基を有する化合物の中でも特に、下記一般式(6)で表される化合物が好ましい。
Figure 2013167693

(式(6)中、R31〜R36は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
本発明の感光性樹脂組成物において、(c)成分の含有量は、(a)成分100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましく、3〜25質量部がさらに好ましい。(c)成分が(a)成分100質量部に対して1〜50質量部であると、露光部と未露光部の溶解速度差が良好となり、感度の許容幅が良好となる。
なお、上述した熱架橋剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
<(d)アクリル樹脂>
本発明の感光性樹脂組成物は(d)成分であるアクリル樹脂を含有することにより、感光性樹脂組成物中に(d)成分由来の低弾性ドメイン(ミクロ相分離状態)が形成されるため、硬化膜の応力を緩和することができる。また、本発明の感光性樹脂組成物は(d)成分を含有することで樹脂膜に良好な感光特性を与え、また硬化膜に良好な耐熱衝撃性を与えることができる。(d)成分はアクリル樹脂の1種のみからなるものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
(d)成分は、良好な感光特性を維持しつつ、耐熱衝撃性を向上することができる観点から、一般式(7)又は(8)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2013167693

Figure 2013167693

(式(7)及び(8)中、Rは炭素数4〜20のアルキル基を表し、R10は水素原子又はメチル基を表す。)
また、上記一般式(7)中、感度、解像度及び耐熱衝撃を向上できる観点から、Rが炭素数4〜16のアルキル基が好ましく、炭素数4のアルキル基、中でもn−ブチル基がより好ましい。
一般式(7)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記一般式(9)で表される化合物などが挙げられる。
CH=C(R11)−COOR12 (9)
ここで、上記一般式(9)中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12は炭素数4〜20のアルキル基を示す。また、R12で示される炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。上記一般式(V)で表される重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル、(メタ)アクリル酸トリデシルエステル、(メタ)アクリル酸テトラデシルエステル、(メタ)アクリル酸ペンタデシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルエステル、(メタ)アクリル酸オクタデシルエステル、(メタ)アクリル酸ノナデシルエステル、(メタ)アクリル酸エイコシルエステル等が挙げられる。これらの重合性単量体は一種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
また、一般式(8)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。
(d)成分において、上記一般式(7)で表される構造単位の組成比は、(d)成分の総量に対して、50〜95モル%であることが好ましく、60〜90モル%であることがより好ましく、70〜85モル%であることが特に好ましい。上記一般式(7)で表される構造単位の組成比が50〜95モル%であることにより、感光性樹脂組成物の硬化膜の耐熱衝撃性をより向上することができる。
また、(d)成分であるアクリル樹脂において、上記一般式(8)で表される構造単位の組成比は、(d)成分の総量に対して、5〜35モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることがより好ましく、15〜25モル%であることがさらに好ましい。上記一般式(8)で表される構造単位の組成比が5〜35モル%であることにより、(a)成分との相溶性、及び感光性樹脂組成物の現像性をより向上することができる。
また、(a)成分との相溶性、パターン硬化膜の基板への密着性、機械特性及び耐熱衝撃性をより向上できる観点から、(d)成分は、上記一般式(7)で表される構造単位、上記(8)で表される構造単位及び下記一般式(10)で表される構造単位を含むアクリル樹脂を含有することがより好ましい。(d)成分が当該アクリル樹脂であることにより、(d)成分と(a)成分との相互作用が良好になり、相溶性がより向上する。
Figure 2013167693

(式(10)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R13は1級、2級又は3級アミノ基を有する1価の有機基を表す。)
一般式(10)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの重合性単量体は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも特に、レジストパターンの基板への密着性、機械特性及び耐熱衝撃性をより向上できる観点から、一般式(10)中、R13が下記一般式(11)で表される1価の有機基であることが特に好ましい。
Figure 2013167693

(一般式(11)中、Xは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R14〜R18はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、mは0〜10の整数である)
一般式(10)中、R13が上記一般式(11)で表される1価の有機基で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中で、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−711MMとして、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−712HMとして(いずれも日立化成工業(株)社製)、それぞれ商業的に入手可能である。
(d)成分の重量平均分子量は、2000〜100000であることが好ましく、3000〜60000であることがより好ましく、5000〜50000であることが特に好ましく、10000〜40000であることが最も好ましい。重量平均分子量が2000以上であると、硬化膜の耐熱衝撃性が向上する傾向があり、100000以下であると(a)成分との相溶性及び現像性が向上する傾向がある。
(d)成分の含有量は、密着性、機械特性及び耐熱衝撃性、及び感光特性の観点から、(a)成分の総量100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部が特に好ましい。
<その他の成分>
上述の感光性樹脂組成物は、上記(a)〜(d)成分以外に、加熱により酸を生成する化合物、溶解促進剤、溶解阻害剤、カップリング剤、及び、界面活性剤又はレベリング剤等の成分を含有してもよい。
<溶剤>
本発明の感光性樹脂組成物は(a)成分から(d)成分が溶解する溶剤を用いることができる。本発明の感光性樹脂組成物は、溶剤を含有することにより、基板上への塗布を容易にし、均一な厚さの塗膜を形成できるという効果を奏する。溶剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオナート、3−メチルメトキシプロピオナート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、溶媒を用いる場合の含有量は、特に限定されないが、感光性樹脂組成物中の溶剤の割合が20〜90質量%となるように調整されることが好ましい。
<加熱により酸を生成する化合物>
本発明の感光性樹脂組成物は、加熱により酸を生成する化合物を用いることにより、感光性樹脂膜を加熱する際に酸を発生させることが可能となり、(a)成分と(c)成分との反応、すなわち熱架橋反応が促進され、硬化膜の耐熱性が向上する。また、加熱により酸を生成する化合物は光照射によっても酸を発生するため、露光部のアルカリ水溶液への溶解性が増大する。よって、未露光部と露光部とのアルカリ水溶液に対する溶解性の差がさらに大きくなり解像性が向上する。
このような加熱により酸を生成する化合物は、例えば、50〜250℃まで加熱することにより酸を生成するものであることが好ましい。加熱により酸を生成する化合物の具体例としては、オニウム塩等の強酸と塩基とから形成される塩や、イミドスルホナートが挙げられる。
オニウム塩としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウム塩等のジアリールヨードニウム塩;ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩等のジ(アルキルアリール)ヨードニウム塩;トリメチルスルホニウム塩のようなトリアルキルスルホニウム塩;ジメチルフェニルスルホニウム塩等のジアルキルモノアリールスルホニウム塩;ジフェニルメチルスルホニウム塩等のジアリールモノアルキルヨードニウム塩;トリアリールスルホニウム塩が挙げられる。これらの中で、パラトルエンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のトリメチルスルホニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩、ノナフルオロブタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、カンファースルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、エタンスルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、ベンゼンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トルエンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩が好ましい。
また、強酸と塩基とから形成される塩としては、上述のオニウム塩の他、次のような強酸と塩基とから形成される塩、例えば、ピリジニウム塩を用いることもできる。強酸としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸が挙げられる。塩基としては、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジンのようなアルキルピリジン、2−クロロ−N−メチルピリジンのようなN−アルキルピリジン、ハロゲン化−N−アルキルピリジン等が挙げられる。
イミドスルホナートとしては、例えば、ナフトイルイミドスルホナートやフタルイミドスルホナートを用いることができる。
加熱により酸を生成する化合物を用いる場合の含有量は、(a)成分100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.2〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
<溶解促進剤>
溶解促進剤を上述の感光性樹脂組成物に配合することによって、アルカリ水溶液で現像する際の露光部の溶解速度を増加させ、感度及び解像性を向上させることができる。溶解促進剤としては従来公知のものを用いることができる。その具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸、スルホンアミド基を有する化合物が挙げられる。
このような溶解促進剤を用いる場合の含有量は、アルカリ水溶液に対する溶解速度によって決めることができ、例えば、(a)成分100質量部に対して、0.01〜30質量部とすることができる。
<溶解阻害剤>
溶解阻害剤を(a)成分のアルカリ水溶液に対する溶解性を阻害する化合物であり、残膜厚、現像時間やコントラストをコントロールするために用いられる。その具体例としては、ジフェニルヨードニウムニトラート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヨージド等である。溶解阻害剤を用いる場合の含有量は、感度と現像時間の許容幅の点から、(a)成分100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.01〜15質量部がより好ましく、0.05〜10質量部が特に好ましい。
<カップリング剤>
カップリング剤を上述の感光性樹脂組成物に配合することによって、形成される硬化膜の基板との接着性を高めることができる。カップリング剤としては、例えば、有機シラン化合物、アルミキレート化合物が挙げられる。
有機シラン化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルシフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、フェニルシラントリオール、1,4−ビス(トリヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(メチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(エチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(プロピルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ブチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジプロピルドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジブチルヒドロキシシリル)ベンゼンが挙げられる。
カップリング剤を用いる場合の含有量は、(a)成分100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
(界面活性剤又はレベリング剤)
界面活性剤又はレベリング剤を上述の感光性樹脂組成物に配合することによって、塗布性、例えばストリエーション(膜厚のムラ)を防いだり、現像性を向上させたりすることができる。このような界面活性剤又はレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテルが挙げられる。市販品としては、メガファックスF171、F173、R−08(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム株式会社、商品名)、オルガノシロキサンポリマーKP341、KBM303、KBM403、KBM803(信越化学工業社製、商品名)等がある。
界面活性剤又はレベリング剤を用いる場合、その合計の含有量は、(a)成分100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましい。
上述した感光性樹脂組成物は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ水溶液を用いて現像することが可能である。さらに、上述の感光性樹脂組成物を用いることにより、十分に高い感度及び解像度で、良好な密着性及び耐熱衝撃性を有するパターン硬化膜を形成することが可能となる。
(パターン硬化膜の製造方法)
次に、パターン硬化膜の製造方法について説明する。本発明のパターン硬化膜の製造方法は、状術の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、樹脂膜を形成する工程と、前記樹脂膜に露光及び現像を行い、パターン樹脂膜を形成する工程と、前記パターン樹脂膜を加熱する工程とを含有する。
<塗布・乾燥(成膜)工程>
まず、上述の感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥して樹脂膜を形成する。この工程では、まず、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO、SiO等)、窒化ケイ素等の支持基板上に、上述の感光性樹脂組成物を、スピンナー等を用いて回転塗布し、塗膜を形成する。この塗膜が形成された支持基板をホットプレート、オーブン等を用いて乾燥する。これにより、支持基板上に樹脂膜が形成される。
<露光工程>
次に、露光工程では、支持基板上に形成された感光性樹脂膜に対して、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線等の活性光線を照射する。上述の感光性樹脂組成物において、(a)成分はi線に対する透明性が高いので、i線の照射を好適に用いることができる。なお、露光後、必要に応じて露光後加熱(PEB)を行うこともできる。露光後加熱の温度は70℃〜140℃、露光後加熱の時間は1分〜5分が好ましい。
<現像工程>
現像工程では、露光工程後の樹脂膜の露光部を現像液で除去することにより、樹脂膜がパターン化される。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ水溶液が好適に用いられる。これらの水溶液の塩基濃度は、0.1〜10質量%とすることが好ましい。さらに、上記現像液にアルコール類や界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で配合することができる。
<加熱処理工程>
次いで、加熱処理工程では、パターン化された樹脂膜を加熱処理することにより、パターン硬化膜を形成することができる。加熱処理工程における加熱温度は、電子デバイスに対する熱によるダメージを十分に防止する点から、望ましくは250℃以下、より望ましくは225℃以下であり、さらに望ましくは140〜200℃である。
加熱処理は、例えば、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、及びマイクロ波硬化炉等のオーブンを用いて行うことができる。また、大気中、又は窒素等の不活性雰囲気中いずれを選択することもできるが、窒素下で行う方がパターンの酸化を防ぐことができるので望ましい。上述の望ましい加熱温度の範囲は従来の加熱温度よりも低いため、支持基板や電子デバイスへのダメージを小さく抑えることができる。従って、本発明のレジストパターンの製造方法を用いることによって、電子デバイスを歩留り良く製造することができる。また、プロセスの省エネルギー化につながる。さらに、本発明の感光性樹脂組成物によれば、感光性ポリイミド等に見られる加熱処理工程における体積収縮(硬化収縮)が小さいため、寸法精度の低下を防ぐことができる。
加熱処理工程における加熱処理時間は、感光性樹脂組成物が硬化するのに十分な時間であればよいが、作業効率との兼ね合いから概ね5時間以下が好ましい。
また、加熱処理は、上述のオーブンの他、マイクロ波硬化装置や周波数可変マイクロ波硬化装置を用いて行うこともできる。これらの装置を用いることにより、基板や電子デバイスの温度を例えば200℃以下に保ったままで、樹脂膜のみを効果的に加熱することが可能である。
周波数可変マイクロ波硬化装置においては、マイクロ波がその周波数を変化させながらパルス状に照射されるので、定在波を防ぐことができ、基板面を均一に加熱することができる点で好ましい。また、基板として後述する電子部品のように金属配線を含む場合、マイクロ波を、周波数を変化させながらパルス状に照射すると、金属からの放電等の発生を防ぐことができ、電子部品を破壊から守ることができるので好ましい。さらに、周波数可変マイクロ波を用いて加熱すると、オーブンを用いる場合に比べて硬化温度を下げても硬化膜物性が低下しないので好ましい。
以上のようなパターン硬化膜の製造方法によれば、十分に高い感度及び解像度で、良好な耐熱性を有するパターン硬化膜が得られる。
[半導体装置の製造工程]
次に、本発明のレジストパターンの製造方法の一例として、半導体装置の製造工程を図面に基づいて説明する。図1〜5は、多層配線構造を有する半導体装置の製造工程の一実施形態を示す概略断面図である。
まず、図1に示す構造体100を準備する。構造体100は、回路素子を有するSi基板等の半導体基板1と、回路素子が露出する所定のパターンを有し半導体基板1を被覆するシリコン酸化膜等の保護膜2と、露出した回路素子上に形成された第1導体層3と、保護膜2及び第1導体層3上にスピンコート法等により成膜されたポリイミド樹脂等からなる層間絶縁層4とを備える。
次に、層間絶縁層4上に窓部6Aを有する感光性樹脂層5を形成することにより、図2に示す構造体200を得る。感光性樹脂層5は、例えば、塩化ゴム系、フェノールノボラック系、ポリヒドロキシスチレン系、ポリアクリル酸エステル系等の樹脂を含有する感光性樹脂組成物を、スピンコート法により塗布することにより形成される。窓部6Aは、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁層4が露出するように形成される。
層間絶縁層4をエッチングして窓部6Bを形成した後に、感光性樹脂層5を除去し、図3に示す構造体300を得る。層間絶縁層4のエッチングには、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段を用いることができる。このエッチングにより、窓部6Aに対応する部分の層間絶縁層4が選択的に除去され、第1導体層3が露出するように窓部6Bが設けられた層間絶縁層4が得られる。次いで、窓部6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光性樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光性樹脂層5を除去する。
さらに、窓部6Bに対応する部分に第2導体層7を形成し、図4に示す構造体400を得る。第2導体層7の形成には、公知の写真食刻技術を用いることができる。これにより、第2導体層7と第1導体層3との電気的接続が行われる。
最後に、層間絶縁層4及び第2導体層7上に表面保護層8を形成し、図5に示す半導体装置500を得る。本実施形態では、表面保護層8は次のようにして形成する。まず、上述の実施形態に係る感光性樹脂組成物をスピンコート法により層間絶縁層4及び第2導体層7上に塗布し、乾燥して感光性樹脂膜を形成する。次に、所定部分に窓部6Cに対応するパターンを描いたマスクを介して光照射した後、アルカリ水溶液にて現像して感光性樹脂膜をパターン化する。その後、感光性樹脂幕を加熱により硬化して、表面保護層8としての膜を形成する。この表面保護層8は、第1導体層3及び第2導体層7を外部からの応力、α線等から保護するものであり、得られる半導体装置500は信頼性に優れる。
なお、上述の実施形態では2層の配線構造を有する半導体装置の製造方法を示したが、3層以上の多層配線構造を形成する場合は、上述の工程を繰り返して行い、各層を形成することができる。すなわち、層間絶縁層4を形成する各工程、及び表面保護層8を形成する各工程を繰り返すことによって、多層のパターンを形成することが可能である。また、上記例において、表面保護層8のみでなく、層間絶縁層4も本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成することが可能である。
図1〜図5において、本発明の感光性樹脂組成物は、層間絶縁層4、感光性樹脂層5及び/又は表面保護層8として用いられる。
[電子部品]
次に、本発明の電子部品について説明する。本発明の電子部品は、上述の製造方法によって形成されるレジストパターンを層間絶縁層又は表面保護層として有する。上記レジストパターンは、具体的には、半導体装置の表面保護層や層間絶縁層、多層配線板の層間絶縁層等として使用することができる。本発明の電子部品は、上述の感光性樹脂組成物を用いて形成される表面保護層や層間絶縁層を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
また、上述の感光性樹脂組成物は、応力緩和性、接着性等にも優れるため、近年開発された各種構造のパッケージにおける各種の構造材としても使用することができる。図6及び図7にそのような半導体装置の一例の断面構造を示す。
図6は、半導体装置の一実施形態としての配線構造を示す概略断面図である。図6に示す半導体装置600は、シリコンチップ23と、シリコンチップ23の一方面側に設けられた層間絶縁層11と、層間絶縁層11上に形成された、パッド部15を含むパターンを有するAl配線層12と、パッド部15上に開口を形成しながら層間絶縁層11及びAl配線層12上に順次積層された絶縁層13(例えばP−SiN層)及び表面保護層14と、表面保護層14上で開口近傍に配された島状のコア18と、絶縁層13及び表面保護層14の開口内でパッド部15と接するとともにコア18の表面保護層14とは反対側の面に接するように表面保護層14上に延在する再配線層16とを備える。さらに、半導体装置600は、表面保護層14、コア18及び再配線層16を覆って形成され、コア18上の再配線層16の部分に開口が形成されているカバーコート層19と、カバーコート層19の開口においてバリアメタル20を間に挟んで再配線層16と接続された導電性ボール17と、導電性ボールを保持するカラー21と、導電性ボール17周囲のカバーコート層19上に設けられたアンダーフィル22とを備える。導電性ボール17は外部接続端子として用いられ、ハンダ、金等から形成される。アンダーフィル22は、半導体装置600を実装する際に応力を緩和するために設けられている。
図7は、半導体装置の一実施形態としての配線構造を示す概略断面図である。図7の半導体装置700においては、シリコンチップ23上にAl配線層(図示せず)及びAl配線層のパッド部15が形成されており、その上部には絶縁層13が形成され、さらに素子の表面保護層14が形成されている。パッド部15上には、再配線層16が形成され、この再配線層16は、導電性ボール17との接続部24の上部まで伸びている。さらに、表面保護層14の上には、カバーコート層19が形成されている。再配線層16は、バリアメタル20を介して導電性ボール17に接続されている。
図6、図7の半導体装置において、上述の感光性樹脂組成物は、層間絶縁層11や表面保護層14ばかりではなく、カバーコート層19、コア18、カラー21、アンダーフィル22等を形成するための材料として使用することができる。上述の感光性樹脂組成物を用いた硬化体は、Al配線層12や再配線層16等のメタル層や封止剤等との接着性に優れ、応力緩和効果も高いため、この硬化体を表面保護層14、カバーコート層19、コア18、半田等のカラー21、フリップチップ等で用いられるアンダーフィル22等に用いた半導体装置は、極めて信頼性に優れるものとなる。
本発明の感光性樹脂組成物は、図6及び図7における再配線層16を有する半導体装置の表面保護層14及び/又はカバーコート層19に用いることが特に好適である。
前記表面保護層又は前記カバーコート層の膜厚は、3〜20μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましい。
以上のように、上述の感光性樹脂組成物を使用することにより、従来は300℃以上を必要としていた上記の加熱処理工程において、200℃以下の低温加熱を用いた硬化が可能である。また、本発明の感光性樹脂組成物を加熱して得られる硬化膜は、良好な破断伸びと、耐熱性を両立する。さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、感光性ポリイミド等に見られた加熱処理工程における体積収縮(硬化収縮)が小さいため、寸法精度の低下を防ぐことができる。感光性樹脂組成物の硬化膜は、高いガラス転移温度を有する。従って、耐熱性に優れた表面保護層又はカバーコート層となる。この結果、信頼性に優れた半導体装置等の電子部品を歩留り良く高収率で得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに制限されるものではない。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(アルカリ可溶性フェノール樹脂A1の合成)
A1:炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂の合成
フェノール100質量部、亜麻仁油43質量部及びトリフロオロメタンスルホン酸0.1質量部を混合し、120℃で2時間撹拌し、植物油変性フェノール誘導体(a)を得た。次いで、植物油変性フェノール誘導体(a)130g、パラホルムアルデヒド16.3g及びシュウ酸1.0gを混合し、90℃で3時間撹拌した。次いで、120℃に昇温して減圧下で3時間撹拌した後、反応液に無水コハク酸29g及びトリエチルアミン0.3gを加え、大気圧下、100℃で1時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、反応生成物である炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂(以下、「A1」という。)を得た。このA1のGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は約20,000であった。
次に、10gのA1を乳酸メチル30gに溶解し、これを5インチシリコンウエハに滴下して、膜厚が10μmになるようにスピン塗布によって被膜を作製し、それを100℃のホットプレート上で60秒間乾燥させた。その後、窒素雰囲気下、180℃の温度で2時間加熱処理した。得られた硬化膜のヤング率を測定したところ、4.0GPaであった。
なお、ヤング率は、押し込み方法によって測定されたものである。以下の装置及び条件で、ヤング率を測定した。
(条件及び装置)
試料:約10μm膜厚の硬化膜
装置:MTS株式会社製、商品名「ナノインデンターSA−2、DCM」
測定温度:24℃
測定周波数:60Hz
測定値: 1サンプルあたり10箇所の表面を測定したときのヤング率の平均値
また、各ポリマーの重量平均分子量は、以下の装置及び条件にて、GPCにより測定した。
(条件及び装置)
測定装置:検出器 (株)日立製作所社製L4000UV
ポンプ:(株)日立製作所社製L6000
(株)島津製作所社製C−R4A Chromatopac
測定条件:カラム GelpackGL−S300MDT−5×2本
溶離液:THF/DMF=1/1(容積比)
LiBr(0.03mol/l)、H3PO4(0.06mol/l)
流速:1.0ml/分、検出器:UV270nm
ポリマー0.5mgに対して溶媒[THF/DMF=1/1(容積比)]1mlの溶液を用いて測定した。
(アルカリ可溶性フェノール樹脂A2の合成)
フェノールをクレゾールに変更した以外は、A1と同様な条件でA2を合成した。得られたA2のGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は約15,000であった。また、A1と同様にこのA2の硬化膜のヤング率を測定したところ、3.1GPaであった。
(アクリル樹脂の合成)
D1:アクリル樹脂の合成
攪拌機、窒素導入管及び温度計を備えた500mlの三口フラスコに、トルエン75g、イソプロパノール75gを秤取し、別途に秤取したアクリル酸ブチル85g、ラウリルアクリレート24g、アクリル酸14g、及び1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(商品名:FA−711MM、日立化成工業(株)社製)7.9gの重合性単量体、並びにアゾビスイソブチロニトリル0.13gを加えた。室温にて約270rpmの攪拌回転数で攪拌しながら、窒素ガスを400ml/分の流量で30分間流し、溶存酸素を除去した。その後、窒素ガスの流入を停止し、フラスコを密閉し、恒温水槽にて約25分で65℃まで昇温した。同温度を14時間保持して重合反応を行い、アクリル樹脂D1を得た。この際の重合率は98%であった。また、このD1のGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は、約35000であった。
(感光性樹脂組成物の調製)
(実施例1)
合成したA1を10g、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンの1−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、商品名「TPPA528」)1.5g、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン(三和ケミカル社製、商品名「ニカラックMW−30HM」)1.5g、及び合成したD1のアクリル樹脂1.0gを乳酸メチル14gに溶解し、感光性樹脂組成物を調製した。
(実施例2)
上述のA1の代わりにA2を使用した以外は実施例1と同様な操作方法で感光性樹脂組成物を調製した。
(実施例3)
上述のA1の代わりに、アルカリ可溶性フェノール樹脂であるノボラック樹脂(明和化成工業社製、商品名「MEH−7851−4H」)を使用した以外は、実施例1と同様な操作方法で感光性樹脂組成物を調製した。なお、このノボラック樹脂を用いて上記実施例1と同様の方法により作製した硬化膜のヤング率を測定したところ4.4GPaであった。
Figure 2013167693
(比較例1)
上述したA1の代わりに、アルカリ可溶性フェノール樹脂であるクレゾールノボラック樹脂(旭有機材工業社製、商品名「EP4050G」)を使用した以外は、実施例1と同様な操作方法で感光性樹脂組成物を調製した。なお、このノボラック樹脂を用いて上記実施例1と同様の方法により作製した硬化膜のヤング率を測定したところ5.0GPaであった。
(比較例2)
上述したA1の代わりに、アルカリ可溶性フェノール樹脂であるクレゾールノボラック樹脂(旭有機材工業社製、商品名「EP4020G」)を使用した以外は、実施例1と同様な操作方法で感光性樹脂組成物を調製した。なお、このノボラック樹脂を用いて上記実施例1と同様の方法により作製した硬化膜のヤング率を測定したところ6.1GPaであった。
(感光性樹脂組成物の評価)
(感光特性(解像度)の評価)
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた感光性樹脂組成物をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚11〜12μmの塗膜を形成した。次いで、プロキシミティ露光機(キャノン社製、商品名「PLA−600FA」)を用いマスクを介して500mJ/cmにて露光を行った。露光後、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の2.38%水溶液を用いて現像した。その後、金属顕微鏡(オリンパス社製MX61)を用いて観察し、10μm角のスルーホールパタンが抜けている場合は○、抜けていない場合を×と判定した。
(硬化膜物性(破断伸び)の評価)
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた感光性樹脂組成物をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚約11〜12μmの塗膜を形成した。その後、前記の塗膜をプロキシミティ露光機(キャノン社製、商品名「PLA−600FA」)を用いて、マスクを介して全波長で露光を行った。露光後、TMAHの2.38%水溶液を用いて現像を行い、10mm幅の矩形パターンを得た。その後、矩形パターンを縦型拡散炉(光洋サーモシステム社製、商品名「μ−TF」)を用い、窒素中、温度180℃で2時間、塗膜を加熱処理した。次に,硬化膜をシリコン基板から剥離し、剥離した膜の破断伸びを島津製作所社製「オートグラフAGS−H100N」によって測定した。
(硬化膜物性(耐熱性)の評価)
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた感光性樹脂組成物を用いて、上記破断伸びの評価と同様な方法で硬化膜を得た。得られた硬化膜のTgをセイコーインスツルメンツ社製「TMA/SS6000」によって測定した。
以上の実施例1〜3及び比較例1〜2について、結果を表1に示す。
Figure 2013167693
実施例1〜3のように、特定のヤング率を有し、かつ特定の構造単位を含むポリマーを含有する感光性樹脂組成物を加熱して得られた硬化膜は、破断伸びが良好であり、かつ耐熱性も良好であった。一方比較例1及び2のように、ヤング率が4.5よりも大きいポリマーを用いた場合、硬化膜の破断伸びは低下することが分かった。
本発明の感光性樹脂組成物を用いると、良好な破断伸び及び耐熱性を有するパターン硬化膜を提供することができる。また、本発明の感光性樹脂組成物を用いると、良好な解像度でパターン樹脂膜を形成することができる。また、本発明は、前記感光性樹脂組成物を用いたパターン硬化膜の製造方法、及び、該パターン硬化膜を有する半導体装置を提供する。
1…半導体基板、2…保護膜、3…第1導体層、4…層間絶縁層、5…感光性樹脂層、6A,6B,6C…窓部、7…第2導体層、8…表面保護層、11…層間絶縁層、12…配線層、13…絶縁層、14…表面保護層、15…パッド部、16…再配線層、17…導電性ボール、18…コア、19…カバーコート層、20…バリアメタル、21…カラー、22…アンダーフィル、23…シリコンチップ、24…接続部、100,200,300,400…構造体、500,600,700…半導体装置。

Claims (5)

  1. (a)一般式(1)で表される構造単位を含むポリマーと、
    (b)光により酸を発生する化合物と、
    (c)熱架橋剤と、
    (d)アクリル樹脂と、を含有する感光性樹脂組成物であって、
    前記(a)成分から形成される硬化膜のヤング率が3.0〜4.5GPaである、感光性樹脂組成物。
    Figure 2013167693

    (式中、Xは、炭素数1〜20のアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基又はエーテル基の少なくとも1つを有する2価の有機基を示し、Rは、水素原子又は炭素数1〜3の1価の有機基を示し、Rは、水素原子又は炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する基を示す。nは1〜10の整数を示す。)
  2. 前記(a)成分が一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造単位を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2013167693

    (式中、Y及びZは各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Aはフェニレン基又はビフェニレン基を示す。Rは、水素原子又は炭素数1〜3の1価の有機基を示し、Rは、水素原子又は炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する基を示す。nは1〜10の整数を示し、mは0又は1の整数を示す。)
  3. 前記(b)成分がo−キノンジアジド化合物である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、樹脂膜を形成する工程と、前記樹脂膜に露光及び現像を行い、パターン樹脂膜を形成する工程と、前記パターン樹脂膜を加熱する工程とを含有する、パターン硬化膜の製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法により得られるパターン硬化膜を層間絶縁層、表面保護層又は再配線層として有する半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015145912A (ja) * 2014-01-31 2015-08-13 昭和電工株式会社 感放射線組成物
WO2016132784A1 (ja) * 2015-02-20 2016-08-25 Jsr株式会社 絶縁膜の製造方法および絶縁膜、レーザーアブレーション用樹脂組成物、ならびに電子部品

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