JP3846213B2 - 搬送用台車等のパネル構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送用台車の荷支持空間を囲むパネル等に利用出来る溶接構造のパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のパネルは、矩形状周囲枠の内側に縦桟と横桟とを格子状に架設して構成されるが、必要な剛性を得ると共にコストを出来る限り下げるために、前記周囲枠は、パイプを門形に曲げ加工した門形材と底辺用アングル材とから形成され、縦桟及び横桟は、前記門形材を形成するパイプの直径の半分以下の直径の棒状材(パイプや無垢の丸棒)や、前記門形材を形成するパイプの直径の半分以下の厚さの安価な板状材から構成されるのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の構成では、門形材の両端部と縦桟下端部とは底辺用アングル材の内側、即ち、門形材に対して底辺用アングル材の垂直壁部がある側とは反対側から溶接することになり、各縦桟の上端部と門形材との溶接部との溶接部は、これら縦桟が門形材を形成するパイプの直径の半分以下の直径又は厚さであるため、門形材を形成するパイプの外側、即ち、門形材に対し底辺用アングル材の垂直壁部がある側となる。又、横桟を縦桟の内側に配置するとり、これら各縦桟の上端部と門形材との溶接部や各横桟の両端部と門形材との溶接部に対する溶接作業は、パネル全体を裏返して行う必要が有り、溶接作業の効率低下、コストアップにつながっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得る搬送用台車等のパネル構造を提供することを目的とするものであって、その手段を後述する実施形態の参照符号を付して示すと、パイプを門形に曲げ加工した門形材8と底辺用アングル材7とから形成された矩形状周囲枠に、縦桟10と前記パイプの直径の半分以下の厚さの帯状板材から成る横桟9とが格子状に架設されたパネルであって、前記底辺用アングル材7の垂直壁部7aに対し水平板部7bのある側を内側、反対側を外側としたとき、前記門形材8の両下端部及び前記縦桟10の下端部は、前記垂直壁部7aの内側に当接させた状態で当該垂直壁部7aの内側の表面との間の溶接12,13により前記底辺用アングル材7に固着され、前記縦桟10の上端部は、前記門形材8の内周面に突き合わせると共に当該突き合わせ箇所の内側の溶接14により固着され、前記横桟9は、前記縦桟10の外側に交差状に当接させた状態でその交差部の内側から見て入り隅部となる箇所に対する溶接15により前記縦桟10に固着され、当該横桟9の両端部は、斜めに折曲させてその折曲両端部9aの先端を前記門形材8の内周面に突き合わせ、その突き合わせ箇所の内側の溶接16により前記門形材8の内周面に固着され、前記周囲枠(7,8)と縦桟10との間の溶接部、前記周囲枠(7,8)と横桟9との間の溶接部、及び縦桟10と横桟9との間の溶接部を、このパネルの内側に統一させた構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、前記縦桟10は、前記門形材8を形成するパイプの直径の半分以下の厚さの棒状材又は板状材から構成し、当該縦桟10の上端部10aは、その先端が前記門形材8の内周面に当接するように折曲させることが出来る。
【0007】
又、前記底辺用アングル材7の下側に車輪などを取り付けるための基板11a〜11dが取り付けられたパネルである場合、当該基板11a〜11dには、前記アングル材7に当接する部分に切欠き19を形成し、当該基板11a〜11dの両外側辺とアングル材7の表面との間及び前記切欠き19の内側辺とアングル材7の表面との間を溶接(20,21)することが出来る。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適実施形態を添付図に基づいて説明すると、図1に於いて、1は矩形の底パネル、2,3は左右一対の側パネル、4は背パネル、5は連結バーであり、底パネル1の四隅下側には移動用車輪6a〜6dが設けられ、搬送用台車として床面上で移動可能な使用状態を示している。
【0009】
底パネル1を除く周囲の各パネル2〜4は、構成が同一のもので、図2〜図4に示すように、それぞれ底辺となるアングル材7、パイプ材を門形に曲げ加工して両端をアングル材7に固着した門形材8、当該門形材8の両垂直支柱部8a,8b間に適当間隔おきに架設された上下複数段の横桟9、及び横桟9の内側でアングル材1と門形材8の上端横枠部8cとの間に適当間隔おきに架設された複数本の縦桟10とから構成されている。底辺用アングル材7は、門形材8に対し底パネル1のある側を内側(図3及び図4に示す矢印X方向、以下同じ)としたとき、門形材8に対し外側(図3及び図4に示す矢印Y方向、以下同じ)にその垂直壁部7aが位置する向きで使用されている。
【0010】
前記背パネル4のアングル材7の両端下側と、左右両側パネル2,3のアングル材7の遊端(前端)下側とには、各パネル2〜4の内側へのみ張り出す基板11a〜11dが取り付けられ、これら各基板部11a〜11dの下側に前記移動用車輪(キャスター)6a〜6dが取り付けられている。
【0011】
更に詳述すると、図2〜図4に示すように、門形材8の垂直支柱部8a,8bの下端部は、底辺用アングル材7の入り隅側でその垂直壁部7aと水平板部7bとに当接させた状態で、当該アングル材7の入り隅側表面と垂直支柱部8a,8bとの間の入り隅部の溶接12により、底辺用アングル材7に固着している。尚、図では、アングル材7の入り隅側表面と垂直支柱部8a,8bとの間の入り隅部の全域を溶接しているように示しているが、必要な強度が得られる範囲で溶接箇所は少なくすることが出来る。
【0012】
縦桟10は、門形材8を構成するパイプの直径の半分以下の直径の丸棒材(帯状板材でも良い)から成るもので、その下端部は、前記底辺用アングル材7の入り隅側でその垂直壁部7aに当接させた状態で、当該アングル材7の入り隅側表面と縦桟10との間の入り隅部の溶接13により、底辺用アングル材7に固着している。又、この縦桟10の上端部は、図4に示すように、門形材8に対し内側へ斜めに折曲させて、その折曲上端部10aの先端を門形材8の上端横枠部8cの内周面に突き合わせ、その突き合わせ箇所の内側の溶接14により門形材8に固着している。
【0013】
横桟9は、門形材8を構成するパイプの直径の半分以下の厚さの帯状板材(丸棒材でも良い)から成るもので、各縦桟10の外側に直角交差状に当接されて、その交差部の内側から見て入り隅部となる箇所に対する溶接15により各縦桟10に固着され、その両端部は、図3に示すように、門形材8に対し内側へ斜めに折曲させて、その折曲両端部9aの先端を門形材8の垂直支柱部8a,8bの内周面に突き合わせ、その突き合わせ箇所の内側の溶接16により門形材8に固着している。
【0014】
尚、底パネル1の周囲の各パネル2〜4が備える各基板11a〜11dは、図2、図4及び図5に示すように、矩形状の板材を、その両側辺に立ち上がり側壁部17a,17bを備えると共に、中間位置には前記側壁部17a,17bの高さと同一高さの矩形断面の凸状部18を備えた断面形状に曲げ加工して成るものであって、側壁部17a,17b及び中央凸状部18の長さ方向が各パネル2〜4の底辺用アングル材7の長さ方向に対して直角になる向きで、当該アングル材7の下側に取り付けられている。即ち、各基板11a〜11dの凸状部18のアングル材7と重なる部分には、当該凸状部の略全巾に及ぶ切欠き19が設けられ、当該切欠き19の両内側辺とアングル材7の水平板部7bとの間の入り隅部に対する溶接20と、基板11a〜11dの両側壁部17a,17bの外側面とアングル材7の水平板部7bとの間の入り隅部に対する溶接21とによって、各基板11a〜11dがアングル材7の水平板部7bの下側に固着されている。
【0015】
尚、横桟9は、各縦桟10の内側に配置して構成することも出来る。この場合は、折曲両端部8aを形成しなくとも、その両端部の先端を門形材8の垂直支柱部8a,8bの内周面に当接させて、門形材8の内側から溶接することが出来る。
【0016】
【発明の効果】
本発明のパネル構造は以上のように実施し得るものであって、係る本発明のパネル構造の構成によれば、周囲枠と縦桟との間の溶接部、前記周囲枠と横桟との間の溶接部、及び縦桟と横桟との間の溶接部を、当該パネルの表裏何れか片面側に統一させてあるので、各素材を治具上にパネル状に配置して各溶接箇所を自動溶接機等で溶接して組み立てるとき、途中でパネルを裏返えす必要がなくなり、溶接組立て作業を効率よく進めることが出来、パネルのコストダウンを図ることが出来る。又、溶接側とは反対の側をパネルの表面となるように構成すれば、パネルの外観の体裁が良くなり、商品価値を高めることにもつながる。
【0017】
又、本発明の構成によれば、周囲枠の組立てが容易になり、しかもパネルに必要な強度も確保出来るだけでなく、パネル下端の底辺用アングル材により、パネル下端に偏平な他部品取り付け面を確保することが出来、車輪等の取り付けも容易になる。更に、横桟のコストを下げることにつながるので、パネル全体のコストダウンを図ることが出来、しかも、実施に際しては、各素材の治具上での固定時に、横桟に折曲両端部を自動形成させることが出来るので、比較的容易に実施出来る。
【0018】
尚、請求項2に記載の構成によれば、縦桟のコストを下げることにつながるので、パネル全体のコストダウンを図ることが出来、しかも、実施に際しては、各素材を所定位置に保持する治具と当該治具上に各素材を固定するクランプとを利用して、各素材の治具上での固定時に、縦桟に折曲上端部を自動形成させることが出来るので、比較的容易に実施出来る。
【0020】
又、請求項3に記載の構成によれば、底辺用アングル材の下側に車輪等取り付け用基板を溶接で固着するに際し、当該アングル材の下側からのみ溶接により前記基板を固着することが出来、パネル自体の組立てと同様に、この基板の溶接による組み付けコストの低減を図ることが出来る。しかも、単に基板の両側辺のみをアングル材の下側面に溶接する場合と比較して、溶接長さを十分に長くして、基板の取り付け強度を高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 使用状態の搬送用台車を示すもので、A図は右側端面図、B図は正面端面図、C図は左側端面図、D図は平面図、E図は背面端面図である。
【図2】 片側の側パネルを示す側面図である。
【図3】 パネルの要部を示す横断平面図である。
【図4】 パネルの他の要部と基板との溶接部を示す縦断正面図である。
【図5】 パネルと基板との溶接部を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1 矩形の底パネル
2,3 左右一対の側パネル
4 背パネル
6a〜6d 移動用車輪
7 底辺用アングル材
7a 垂直壁部7
7b 水平板部
8 門形材
8a,8b 垂直支柱部
8c 上端横枠部
9 横桟
9a 折曲両端部
10 縦桟
10a 折曲上端部
11a〜11d 車輪取り付け用基板
12〜16 溶接
19 基板の切欠き
20,21 溶接
Claims (3)
- パイプを門形に曲げ加工した門形材と底辺用アングル材とから形成された矩形状周囲枠に、縦桟と前記パイプの直径の半分以下の厚さの帯状板材から成る横桟とが格子状に架設されたパネルであって、前記底辺用アングル材の垂直壁部に対し水平板部のある側を内側、反対側を外側としたとき、前記門形材の両下端部及び前記縦桟の下端部は、前記垂直壁部の内側に当接させた状態で当該垂直壁部の内側の表面との間の溶接により前記底辺用アングル材に固着され、前記縦桟の上端部は、前記門形材の内周面に突き合わせると共に当該突き合わせ箇所の内側の溶接により固着され、前記横桟は、前記縦桟の外側に交差状に当接させた状態でその交差部の内側から見て入り隅部となる箇所に対する溶接により前記縦桟に固着され、当該横桟の両端部は、斜めに折曲させてその折曲両端部の先端を前記門形材の内周面に突き合わせ、その突き合わせ箇所の内側の溶接により前記門形材の内周面に固着され、前記周囲枠と縦桟との間の溶接部、前記周囲枠と横桟との間の溶接部、及び縦桟と横桟との間の溶接部を、このパネルの内側に統一させてある、搬送用台車等のパネル構造。
- 前記縦桟は、前記パイプの直径の半分以下の厚さの棒状材又は板状材から成り、当該縦桟の上端部は、その先端が前記門形材の内周面に当接するように折曲されている、請求項1に記載の搬送用台車等のパネル構造。
- 前記底辺用アングル材の下側に車輪などを取り付けるための基板が取り付けられたパネルであって、当該基板には、前記アングル材に当接する部分に切欠きが形成され、当該基板の両外側辺とアングル材表面との間及び前記切欠きの内側辺とアングル材表面との間を溶接してある、請求項1又は2に記載の搬送用台車等のパネル構造。
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