JP3842554B2 - 撥水膜被覆物品を製造する方法、撥水膜被覆物品および撥水膜被覆用液組成物 - Google Patents
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Description
本発明はガラス、セラミックス、プラスチックスまたは金属等の基材表面に撥水膜を形成した撥水性物品に関する。
背景技術
ガラス板その他の基材の表面に撥水性被膜を形成させる際に、基材と撥水性被膜との結合強度を向上させることを目的として、および基材がアルカリ成分を含む場合にアルカリ成分が基材から撥水性被膜へ拡散することを防止して撥水性被膜の耐久性能を高めることを目的として、基材と撥水層との間にシリカ等の下地層を形成する技術が知られている。
この下地層および撥水性被膜を形成する方法としては、基材にシリカ等の下地膜を形成した後に撥水膜を形成する2層膜構造とする方法と、下地成分と撥水性成分を混合した液を基材に成膜し、単層膜で下地層と撥水層を形成させる方法が知られている。後者の方法が成膜工程が少なく生産性に優れ、特公昭63−24554号公報、特開昭61−215235号公報、特開昭64−68477号公報、特開平4−338137号公報、特開平4−359086号公報、特開平8−239653号公報に開示されるものがある。
前記特公昭63−24554号公報には、シラノールオリゴマー(20〜40量体)をフルオロアルキルシランで変性した撥水性表面処理剤が開示されている。
前記特開昭61−215235号公報には、フルオロアルキル基含有シラン化合物とシランカップリング剤をアルコール系溶媒中で酢酸及び有機錫化合物の触媒を用いて加水分解反応させ、共縮合体を形成させた液を基材表面に塗布、加熱硬化させた撥水性、防汚性を有する低反射率ガラスが開示されている。
前記特開昭64−68477号公報には、ケイ素のアルコキシドとフルオロアルキルシランを含有するアルコール溶液を鋼板表面に塗布した後、加熱することを特徴とする撥水性鋼板の製造方法が開示されている。
前記特開平4−338137号公報には、シリコンアルコキシド、アルコキシル基の一部がフルオロアルキル基で置換された置換シリコンアルコキシド、アルコール、水、および酸(または塩基)を混合した溶液をガラス基板表面に塗布して、焼成することを特徴とする撥水性ガラスが開示されている。
前記特開平4−359086号公報には、金属アルコキシドを、水、アルコール、触媒の共存下で加水分解・縮重合して得たビヒクルに、フルオロアルキルシランまたはアルキルシランを混合したコーティング液をガラス表面に塗布して、焼成する撥水性ガラスの製法が開示されている。
前記特開平8−239653号公報には、ペルフルオロアルキルアルキルシランと完全に加水分解可能なシラン(例えばテトラクロロシラン)との混合物を溶媒、好ましくは非水系溶媒に溶解してなる組成物で処理された撥水性物品が開示されている。
特公昭63−24554号公報、特開昭61−215235号公報、特開平4−338137号公報および特開平4−359086号公報に開示される方法にあっては、アルコール溶液中で触媒の反応を利用して、フルオロアルキル基含有シランとシリコンアルコキシドを加水分解し、塗布前の被覆用溶液中で縮重合体及び共縮合体を形成させるため、撥水性被膜の緻密性は低く、緻密性を上げるために焼成工程が必要であり、コスト上昇の要因となる。
特開昭64−68477号公報に開示される方法にあっては、触媒を添加していないために反応性が劣り、撥水性被膜の緻密性は低く、緻密性を上げるために焼成工程が必要であり、コスト上昇の要因となる。
特開平8−239653号公報に開示される方法にあっては、その被覆用組成物に使用するクロロシランのクロロシリル基は極めて反応性が高く、塗布液の調合および保存を水を含まない環境で行う必要があり、コスト上昇の要因となる。またこの方法による撥水性被膜表面は耐擦傷性が低い。また、前記何れの従来技術による撥水性物品では、動的な撥水性能を表す、水滴の転がり性が高いとは言えない。
本発明は、水滴の転がり性が優れ、高い耐擦傷性(耐摩耗性)および高い耐候性を有する撥水性物品を、優れた生産性で、高温度の焼成工程を必要とせずに製造することを目的とする。
発明の開示
本発明は、シリコンアルコキシド(A)、フルオロアルキル基含有シラン化合物(B)、および酸(C)を溶媒に溶解したコーティング液を基材に塗布、乾燥する撥水膜被覆物品を製造する方法において、前記コーティング液は、
(A)前記シリコンアルコキシドまたはその加水分解物
(シリカ換算) 0.01〜2重量%、
(B)前記フルオロアルキル基含有シラン化合物
(シリカ換算) 0.00001〜0.15重量%、
(C)前記酸 0.003〜3規定、
および
(D)水 0〜20重量%
を含有することを特徴とする撥水膜被覆物品を製造する方法である。
また本発明は、シリコンアルコキシド、フルオロアルキル基含有シラン化合物、および酸を溶媒に溶解したコーティング液を基材に塗布、乾燥する撥水膜被覆物品を製造する方法において、前記コーティング液はその中のシリコンアルコキシドを単量体(加水分解物を含む)または20量体未満の重合体の形で存在せしめてあることを特徴とする撥水膜被覆物品を製造する方法である。
本発明において、上記コーティング液に用いるシリコンアルコキシド(A成分)はテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を挙げることができる。これらの中で、比較的分子量の小さいもの、例えば炭素数が3以下のアルコキシル基からなるテトラアルコキシシランが、緻密な膜となり易いので好ましく用いられる。またこれらテトラアルコキシシランの重合体で、平均重合度が5以下のものでもよい。
本発明におけるフルオロアルキル基含有のシラン化合物としては、フルオロアルキル基を含有し、かつ、アルコキシル基、アシロキシ基、または塩素基のような加水分解性基を含有するシラン化合物を好ましく使用することができ、例えば下記化学式(1)で示される化合物を挙げることができる。これらの中から、単独でまたは複数の物質を組み合わせて使用することができる。
CF3−(CF2)o−R−SiXpY3−p・・(1)
(ここで、nは0から12の整数、好ましくは3から12の整数、Rは炭素原子数2〜10の二価の有機基(例えばメチレン基、エチレン基)、またはケイ素原子および酸素原子を含む基、XはHまたは炭素原子数1〜4の一価炭化水素基(例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリル基)もしくはこれらの誘導体から選ばれる置換基、pは0、1または2、Yは炭素原子数が1〜4のアルコキシル基、アシロキシ基、又はハロゲン原子)
上記化学式(1)の化合物の例としては、次のものを挙げることができる。
C6F13CH2CH2Si(OCH3)3
C7F15CH2CH2Si(OCH3)3
C8F17CH2CH2Si(OCH3)3
C9F19CH2CH2Si(OCH3)3
C10F21CH2CH2Si(OCH3)3
C6F13CH2CH2SiCl3
C7F15CH2CH2SiCl3
C8F17CH2CH2SiCl3
C9F19CH2CH2SiCl3
C10F21CH2CH2SiCl3
C8F17CH2CH2Si(CH3)(OCH3)2
C8F17CH2CH2Si(OC2H5)3
C8F17CH2CH2Si(OCOCH3)3
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3
これらの中では、C8F17CH2CH2Si(OCH3)3(ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン)およびC8F17CH2CH2Si(CH3)(OCH3)2(ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン)、C8F17CH2CH2SiCl3(ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン)およびC8F17CH2CH2Si(CH3)Cl2(ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン)が好ましく、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランおよびヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランが特に好ましく用いられる。
本発明における酸触媒の種類としては、常温の乾燥で揮発して膜中に残らないという観点から、塩酸、フッ酸、硝酸、酢酸等の揮発性の酸が好ましく、なかでも塩酸は、高い揮発性を有し、得られる撥水膜の外観も比較的良く、高耐久性を示し、さらに取り扱う際にも比較的安全であるので特に好ましい。
また、溶媒としては、ヘキサン、トルエン、シクロヘキサンのような炭化水素;塩化メチル、四塩化炭素、トリクロルエチレンのようなハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン;ジエチルアミンのような含窒素化合物;アルコール類;酢酸エチルのようなエステル等の有機溶媒を用いることができる。これらの中で、酸が溶解しやすいアルコール系溶媒が好ましく用いられ、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブチルアルコール、アミルアルコール等を挙げることができるが、それらの中で、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのような炭素数が3以下の鎖式飽和1価アルコールが、常温における蒸発速度が大きいので更に好ましく用いられる。
本発明におけるコーティング液は、前記シリコンアルコキシド、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物及び前記酸の他に、例えば、少量のメチルトリアルコキシシラン、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリポロポキシシラン、メチルトリブトキシシランを、シリカに換算して、前記シリコンアルコキシド含有量の50重量%以下の量、含有することができる。
本発明において、シリコンアルコキシド、フルオロアルキル基含有のシラン化合物、酸、溶媒および水(酸を溶解するためのもの、溶媒中の不純物、雰囲気の湿度から入るもの等)を含むコーティング液内部で、その調合中、貯蔵中および塗布後において、酸を触媒として、シリコンアルコキシドと水との間で、式(3)に示す加水分解反応が行われる。式中、Rはアルキル基である。
(−Si−OR)+(H2O)→(−Si−OH)+(ROH)・・・・(3)
また、この加水分解反応で生成したシラノール基(−Si−OH)同士が、式(4)に示すように脱水縮合反応してシロキサン結合(−Si−O−Si−)を形成する。
(−Si−OH)+(−Si−OH)→(−Si−O−Si−)+(H2O)(4)
シリコンアルコキシド、フルオロアルキル基含有シラン化合物、酸、溶媒および水を含むコーティング液中で、上記式(3)のようにシリコンアルコキシドのアルコキシ基が加水分解反応するかどうか、および、同じように加水分解反応したシラノール基(−Si−OH)同士が、上記コーティング液中で上記式(4)に示すような脱水縮合反応をするかどうかは、溶液の酸濃度、シリコンアルコキシドまたはその加水分解物の濃度、水分量によって大きく左右される。溶液の酸濃度が0.003規定〜3規定の範囲にあるときは上記反応が起こり難く、シリコンアルコキシドまたはその加水分解物の濃度および水分量が低いほど上記反応が起こり難い。
本発明において、コーティング液中のシリコンアルコキシドは上記脱水縮合反応を抑制し、極力単量体のまま保持し、このコーティング液を基材表面に塗布、乾燥する時に急激に上記式(3)、式(4)の反応を起こしてシロキサン結合を形成させるため、常温で緻密な被膜を形成することを可能にした。従来技術のように溶液中でシリコンアルコキシドを加水分解、縮重合反応させた場合、溶液を基材表面に塗布、乾燥する時に重合体同士の結合となあるために、隙間があきやすくなり、緻密な被膜にならず、緻密な被膜にするために焼成硬化が必要であった。従って、本発明において、コーティング液中のシリコンアルコキシドまたはその加水分解物は、単量体または20量体未満の重合体であることが好ましい。しかし、単量体、加水分解物、および20量体未満の重合体の合計がシリコンアルコキシド全体に対して80重量%以上を占める場合には、20量体以上の重合体が含まれていても差し支えない。
本発明において、上記コーティング液中の酸触媒の濃度は0.003〜3規定、好ましくは0.01規定〜1規定に保たれる。それにより、上記式(3)の残りのアルコキシル基の加水分解反応、および上記式(4)の脱水縮合反応が塗布前のコーティング液中で起こりにくくなり、コーティング液が塗布された直後に急激にこれらの反応が進行する。
また、コーティング液中のシリコンアルコキシドまたはその加水分解物の濃度は、できるだけ低い方が、上記コーティング液の酸濃度と相俟って、上記式(3)の残りのアルコキシル基の加水分解反応、および式(4)の脱水縮合反応が塗布前のコーティング液中で起こりにくくなるので好ましい。しかしこの濃度があまり低すぎると撥水膜の厚みが小さくなり過ぎて、例えば膜厚が5nm未満になって、基材がアルカリ成分を含む場合にアルカリ成分の拡散を防止する能力が低下して、耐久性能が劣る傾向がある。またシリコンアルコキシドまたはその加水分解物の濃度が2重量%を超えると、得られる撥水膜の厚みが200nmを超え、撥水膜に傷がつき易く強固な膜とならない。従ってコーティング液中のシリコンアルコキシドまたはその加水分解物の濃度(20量体未満の重合体も含む)の好ましい範囲は、シリカに換算して0.01〜2重量%であり、更に好ましい範囲は、0.01〜0.6重量%である。
撥水膜の厚みは、上記のようにあまり大きすぎると、膜硬度が低下しやすくなり、あまり小さすぎると膜の耐久性が低下しやすくなる。従って撥水膜の膜厚は好ましくは5〜200nm、より好ましくは5〜100nm、さらに好ましくは5〜50nmである。
コーティング液中のフルオロアルキル基含有シラン化合物の濃度は低すぎると撥水性が低下し、多すぎると膜の硬度が小さくなるので、コーティング液中のフルオロアルキル基含有シラン化合物の好ましい濃度範囲は、シリカに換算して、0.00001〜0.15重量%、更に好ましくは0.0001〜0.03重量%である。また前記コーティング液中のシリコンアルコキシド含有量(シリカに換算した重量)に対するフルオロアルキル基含有シラン化合物の含有量(シリカに換算した重量)の比率は、塗布乾燥された撥水膜の中の、シリカに対するフルオロアルキル基の含有量にほぼ対応する。従って、前記コーティング液中のシリコンアルコキシド含有量に対するフルオロアルキル基含有シラン化合物の含有量は小さすぎると撥水膜の撥水性能が低下し、また多すぎると撥水膜の耐久性能が低下する。従ってコーティング液中で、重量で表して、[フルオロアルキル基含有シラン化合物量(シリカ換算)]/[シリコンアルコキシドまたはその加水分解物量(シリカ換算)]の値は、0.0005〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0.0005〜0.3であり、更に好ましくは0.0005から0.05である。
コーティング液中に多量の水が存在すると、塗布前のコーティング液中で、シリコンアルコキシドの加水分解物の加水分解反応が促進され、かつ脱水縮合反応が起こりやすくなり、またコーティング液塗布後の乾燥の際に膜厚のムラが生じ易くなるので、コーティング溶液中の水の濃度はできるだけ小さい方が好ましい。従って、コーティング液中の水の濃度は0〜20重量%であることが好ましく、0〜10重量%であることがさらに好ましく、0〜5重量%であることが最も好ましい。このようにコーティング溶液中の水の濃度を維持することにより、上記のコーティング液の酸濃度維持およびコーティング液中のシリコンアルコキシド(またはその加水分解物)の濃度維持と相俟って、上記式(3)の残りのアルコキシル基の加水分解反応、および式(4)の脱水縮合反応が塗布前のコーティング液中で起こりにくくなるので好ましい。コーティング液中の水の濃度がゼロであっても、基材に塗布された後の塗布膜には空気中の水分が吸収されるので加水分解反応が阻害されることはない。しかし、溶媒として、アルコールを使用する場合には、アルコール中には元々若干の水が含まれ、また、酸は水溶液の形で添加することが多いので、コーティング液中の水の濃度は通常は0.1重量%以上となる。
前記コーティング液は、前記酸および前記水を、酸/水の重量比が好ましくは0.002以上、さらに好ましくは0.02以上であるように含有する。その理由は上記式(3)の残りのアルコキシル基の加水分解反応、および式(4)の脱水縮合反応が塗布前のコーティング液中で起こりにくくなるからである。
シリコンアルコキシド、フルオロアルキル基含有シラン化合物、および酸を上記の割合で溶媒に溶解した溶液を攪拌すると、溶液中では、上記式(3)の反応により主としてシリコンアルコキシドが加水分解物を形成し、かつ、前記式(4)の反応によりその加水分解物の一部が脱水縮合反応する。このようにしてコーティング液が調製され、このコーティング液中には、シリコンアルコキシドが単量体(加水分解物を含む)または20量体未満の重合体の形で存在する。
上記コーティング液が基材に塗布されると、塗布されて膜状となった液の比表面積が増大するので、膜中の溶媒が急速に蒸発して、シリコンアルコキシドおよびその加水分解物の塗膜中濃度が急に高くなり、それまで抑制されていた加水分解反応および脱水縮合反応(上記20量体未満の重合体の更なる縮重合反応を含む)が急激に起こってシロキサン結合(‥Si−O−Si‥)が塗布膜内で多数生成され、その結果、基材表面と撥水膜との間の結合が強固な、膜厚が5〜200nmのシリカを主成分とする緻密性の高い膜が形成される。このように、本発明においては、成膜時の反応性が高く、室温で反応して、非常に緻密な膜が形成され、その後の焼成は必要ではない。
従来のように塗布前のコーティング液中に、すでに脱水縮合反応によるシロキサン結合が多数存在して、20以上の重合度の重合体が含有される場合には、得られた撥水膜中にシロキサン結合は存在するが、基材表面と撥水膜とをつなぐシロキサン結合はそれほど多く生成されないので、基材表面と撥水膜との間の結合はそれほど強固ではない。そしてこの結合を強固にするために、従来技術では、更に高温度の焼成を必要とする。
また、本発明で成膜された撥水膜は、その表面の平滑性が非常に優れている。すなわち、撥水膜の表面は算術平均粗さ(Ra)=0.5nm以下でかつ十点平均粗さ(Rz)=5.0nm以下の粗さを有する。この表面粗さRaおよびRzは、原子間力顕微鏡(AFM)(セイコー電子工業(株)製、走査型プローブ顕微鏡「SPI3700」、カンチレバー;シリコン製「SI−DF20」)を用いて、二次元で定義されるJISB0601を三次元に拡張した方法で測定することができる。この場合、試料の測定面積は1μm×1μmの正方形であり、測定点数 512×256点、スキャン速度1.02Hz、DFM(サイクリックコンタクトモード)にて表面形状を測定し、ローパスフィルターによる補正と、測定データのレベリング補正(最小二乗近似によって曲面を求めてフィッティングし、データの傾きを補正し、更にZ軸方向の歪みを除去する)を行い、表面粗さRaおよびRz値を算出した。
本発明による撥水膜が優れた水滴の転がり性と優れた耐擦傷性を示す理由の一つは、撥水膜表面の上記の平滑性によると推定される。そしてこの優れた平滑性が得られる理由は次のように推測される。すなわち、塗布前のコーティング液中で、シリコンアルコキシドおよびフルオロアルキル基含有シラン化合物、特にシリコンアルコキシドが単量体(加水分解物を含む)または20量体未満の重合体の形で溶媒中に均一に溶解しており、しかも塗布された後には高濃度の酸触媒の存在およびシリコンアルコキシド(加水分解物を含む)の濃度の急速上昇の効果で、室温で緻密な撥水膜を形成させるために優れた平滑性が得られると推測される。
それに対して、例えば、フッ素系等の非水系溶媒にテトラクロロシランのようなクロロシリル基含有化合物、およびフルオロアルキル基含有シラン化合物を溶解した場合は、クロロシリル基含有化合物が溶媒に均一に溶解しないため、この溶液を基板に塗布・乾燥して得られた撥水膜の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)=7.9nm、十点平均粗さ(Rz)=29.8nmであり、本発明に比して撥水被膜の平滑性が劣っている。そしてこの撥水膜の水滴の転がり性と耐擦傷性は本発明に比して劣っている。
上述のように、酸化ケイ素を主成分としフルオロアルキル基を含有する撥水被膜の表面が算術平均粗さ(Ra)=0.5nm以下でかつ十点平均粗さ(Rz)=5.0nm以下の粗さを有すると、水滴の転がり性が良好で、耐擦傷性にすぐれる撥水膜が得られる。この撥水膜は、シリコンアルコキシドおよびフルオロアルキル基含有シラン化合物を含有するコーティング液を塗布する、いわゆるゾルゲル法、特に本発明の撥水膜被覆物品の製造方法により好適に得られる。
本発明において、コーティング液中におけるフルオロアルキル基含有シラン化合物中のアルコキシル基(またはアシロキシ基、塩素基)は、上記のシリコンアルコキシドとほぼ同じ反応が進む。コーティング液を基材に塗布すると、フルオロアルキル基の表面エネルギーが低いために、フルオロアルキルシラン成分が塗布膜の外側表面に移動し、および/または、フルオロアルキル基部分が塗布膜の外側表面に向かうように規則的にフルオロアルキル基含有シラン化合物が配向し、外側表面層では塗布膜の内層に比してフルオロアルキル基が高い濃度で存在する。式(3)、式(4)の反応、すなわち、シリコンアルコキシドのケイ素同士がシロキサン結合を形成する反応および基板表面のケイ素とシリコンアルコキシド中のケイ素がシロキサン結合を形成する反応はフルオロアルキル基含有のシラン化合物がシリコンアルコキシドとシロキサン結合を形成する反応よりも起こり易く、結果として膜の最表面にフルオロアルキル基が集まり易くなる。
上記塗布膜の乾燥が進行していくと、上記フルオロアルキル基含有シラン化合物の配向を保ったままの状態で、シリコンアルコキシドのアルコキシル基とフルオロアルキル基含有シラン化合物中のアルコキシル基(またはアシロキシ基、塩素基)が式(3)、式(4)とほぼ同じ反応が進んで、フルオロアルキル基含有シラン化合物がシリコンアルコキシドとシロキサン結合を介して強く結合し、最終的にフルオロアルキルシラン変性シラノールポリマーのゲル層を形成する。
塗布膜の乾燥が進んでいくと、基板上には強固に結合したシリカ層が形成され、そのシリカ層の表面にフルオロアルキル基が高い密度でしかも規則的に配向した状態で結合される。
もし、コーティング液中の酸濃度を本発明におけるよりも低くし、シリコンアルコキシド(またはその加水分解物)の濃度を本発明におけるよりも高く、または、水分量を多くしたりして、混合攪拌後した後、例えば10日間放置して得られたコーティング液の中では、その塗布前に、シリコンアルコキシドおよびフルオロアルキル基含有シラン化合物の加水分解、脱水縮合反応を進んでおり、このコーティング液を基板に塗布・乾燥して得られた撥水膜表面のフッ素濃度は、FとSiの原子比でF/Si=0.5程度であることがX線光電子分光法(ESCA)により確かめられた。なお、X線光電子分光法(ESCA)の試験条件は、X線源として、モノクロ化したアルミニウムのKα線を用いて、アノードエネルギー;1486.6eV、アノード出力;150W、加速電圧;14kV、試料に対するX線入射角;45度、分析面積;直径800μmの円、測定厚み;数nmである。これに対して、本発明においては、コーティング液中の酸濃度、シリコンアルコキシド(またはその加水分解物)の濃度、および水分量を本発明の範囲に保って得られるコーティング液の中では、その塗布前には、シリコンアルコキシド(またはその加水分解物)およびフルオロアルキル基含有シラン化合物の上記加水分解、縮重合反応は抑制され、そして塗布後の成膜時に急激に反応が進行する。従って本発明で得られた撥水膜表面のフッ素濃度が、FとSiの原子比で0.8以上、例えばF/Si=1.2であり、上記の溶液中で加水分解、脱水縮合反応を進めた場合に比して非常に高いことが確かめられている。また、上記コーティング液中で加水分解、縮重合反応を進めた場合は、膜を硬くするために250℃、1時間程度の焼成が必要であり、この焼成時の温度上昇により基板中のアルカリ成分が膜中に拡散してフルオロアルキル基の撥水作用を阻害する傾向がある。しかし、本発明により得られた膜は十分な硬さを有しており焼成は不要であり、そして膜の硬度を更に高めるために焼成しても焼成前の膜は十分に緻密であるので、アルカリ成分が膜に拡散することが殆どなく、従ってフルオロアルキル基の撥水作用が阻害されることはない。
上述のように、酸化ケイ素を主成分としフルオロアルキル基を含有する撥水被膜の表面におけるフッ素濃度が、フッ素原子とケイ素原子との原子比で表して0.8以上であると、撥水被膜表面の撥水基の密度が高いので耐候性が優れた撥水膜が得られる。この撥水膜は、シリコンアルコキシドおよびフルオロアルキル基含有シラン化合物を含有するコーティング液を塗布する、いわゆるゾルゲル法、特に本発明の撥水膜被覆物品の製造方法により好適に得られる。
更に、本発明では、成膜時に自然に撥水基を配向させるため、従来のように後から化学吸着や手塗り等で撥水処理するよりも配同性の良い撥水層を形成することができると考えられる。従って本発明によれば、撥水被膜表面の撥水基密度が高く、撥水基の配同性も優れ、更に表面の平滑性の効果が合わさって、優れた水滴の転がり性および耐候性、耐擦傷性が得られる。
本発明において撥水膜を形成させるためのコーティング液の好ましい組成は、
(A)シリコンアルコキシドまたはその加水分解物
(シリカ換算) 0.01〜2重量%、
(B)フルオロアルキル基含有シラン化合物
(シリカ換算) 0.00001〜0.15重量%、
(C)酸 0.003〜3規定、
および
(D)水 0〜20重量%
(E)アルコール 残部
である。
本発明において、コーティング液は、溶媒にフルオロアルキル基含有シラン化合物とシリコンアルコキシドを添加し、10〜60分間攪拌し、ついでこれに触媒を添加し、10〜60分間攪拌することにより調製される。このコーティング液の寿命は比較的に長いが、比較的酸触媒量が少ない場合や水分量が多い場合は、塗布前のコーティング液中で加水分解、縮重合反応が進み過ぎるおそれがあるので、調製後2時間以内に塗布した方が好ましい。上記調製されたコーティング液を基板表面に塗布した後、室温で10秒〜10分間乾燥して溶媒を蒸散させることにより撥水性物品が得られる。
また、本発明では、成膜時に自然に撥水基を配向させるため、コーティング液の塗布方法としては、塗布膜をある程度ゆっくり乾燥させることができる方法が好ましい。例えばディップコーティング、フローコーティング、カーテンコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、刷毛塗りコーティングなどが挙げられる。これらの中で、特に、フローコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティングが好ましい。
本発明において、前記コーティング方法によりコーティング液を基材表面に塗布して、溶媒が揮発、乾燥してしまう前にコーティング液が表面張力により平滑化されて一様なウエット厚みの塗布膜が形成された状態で、前記塗布膜および基材をそのまま静置して乾燥することが好ましい。ここで、「静置」とは、塗布されたウエットな塗布膜がコーティング液の表面張力を利用して一様な厚みになるようにし、その状態で乾燥させることであり、例えば、搬送速度6m/分程度であれば基材を搬送させながらであっても実質的に静置していることとなる。
また、従来、例えばソーダライムガラスのようなアルカリ分を含む基板にゾルゲル法による撥水膜を形成した場合は、撥水膜の硬度および緻密性を高くするために行われる焼成時に基板のアルカリ分が被膜中に拡散し、そのアルカリ分が撥水性能の耐久性を低下させていた。これに対して、本発明では、100℃を超える加熱を行わなくても、撥水膜の硬度および緻密性は高く、非常に優れた耐久性能を有する撥水膜となる。
本発明では、前記撥水処理液を基材表面に塗布し、室温または100℃以下の温度で乾燥した後、または乾燥せずに、撥水膜の緻密性を更に高くする目的で、その温度よりも高く300℃以下の温度で焼成することも可能である。そして焼成の前に撥水膜が十分に緻密になっているので、焼成時の温度上昇によっても基板中のアルカリ成分が膜中に拡散してくることは少なく、焼成により撥水性能の耐久性が低下することはない。
本発明における基材としては、ガラス、セラミックス、プラスチック或いは金属等の、透明または不透明の板状体、棒状体その他の種々の形状のものが挙げられる。基材の表面に親水性基が少ない場合には、その表面を予め酸素を含むプラズマまたはコロナ雰囲気で処理して親水性化したり、あるいは、基材表面を酸素を含む雰囲気中で200〜300nm付近の波長の紫外線を照射して、親水性化処理を行った後に、表面処理を行うことが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明の実施の形態を説明する。
なお、実施例および比較例で繰り返して使用される原料、およびガラス基板の詳細は次の通りである。
ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン:(CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3、信越シリコーン製。
テトラエトキシシラン:Si(OCH2CH3)4、信越シリコーン製
エタノール:含有水分量0.35重量%。
「ソルミックスAP7」:エタノール85重量%、i−プロパノール5重量%、n−プロパノール10重量%からなる混合液、日本化成品社製。
濃塩酸:濃度35重量%、関東化学製。
ガラス基板:ソーダ石灰珪酸塩系の、厚み3mmで150×150mmの寸法のフロートガラス板。
[実施例1]
エタノール100gにヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン0.02gとテトラエトキシシラン1.2gを添加し、30分間攪拌し、次いで濃塩酸2gを撹拌しながら添加し、撥水被覆用溶液を得た。撥水被覆用溶液の組成を表1に示す。この被覆用溶液をフーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR;日本電子社製「EX270」)を用いて測定したところ、テトラエトキシシラン単量体(およびその(部分)加水分解物)の存在を表すケミカルシフト−82ppmの吸収ピーク、およびテトラエトキシシランの3量体の存在を表すケミカルシフト−96ppmの吸収ピークが観察され、4量体以上の重合体の存在を示す吸収ピークは検出されなかった。そしてこの被覆用溶液は、シリカ換算で0.34重量%のテトラエトキシシラン、シリカ(SiO2)換算で0.002重量%のヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、0.15規定の塩酸濃度、1.6重量%の水分濃度を有していた。なお上記水分は濃塩酸、エタノールから由来するものである。この撥水被覆用溶液を洗浄したガラス基板の表面上に、湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、室温で約1分乾燥させて撥水性ガラス板を得た。
得られた撥水性ガラス板について、水の接触角を接触角計(「CA−DT」、協和界面科学(株)製)を用いて、2mgの重量の水滴による静的接触角として測定した。この接触角の値が大きいほど、静的な撥水性が優れていることを表している。また、水滴が撥水性ガラス板の表面を転がる性能を示す尺度としては、水平に配置した撥水性ガラス板表面に直径5mmの水滴を置き、撥水性ガラス板を徐々に傾斜させて、その表面に置かれた水滴が転がり始めるときのガラス板の傾斜角度(臨界傾斜角)を測定した。臨界傾斜角が小さい程、動的な撥水性が優れており、例えば走行中の自動車のフロントガラス窓に付着した雨滴が飛散しやすくなって運転者の視界が妨げられないことを表している。また、得られた撥水性ガラスの表面の平滑性は、原子間力顕微鏡(「SPI3700」、セイコー電子(株)製)を用いて、サイクリックコンタクトモードにて、表面形状を測定し、表面粗さを、算術平均粗さRaの値、及び十点平均粗さRzの値として算出した。
次に、耐候性試験として耐紫外線試験機(「アイスーパーUVテスター W−13」、岩崎電気製)を用いて、紫外線強度76±2mW/cm2とし、ブラックパネル温度48±2℃、照射20時間、暗黒4時間のサイクルで、1時間毎に30秒間イオン交換水シャワーリングをする条件で400時間紫外線を照射した。そして照射後に水の接触角および臨界傾斜角を測定した。また、耐擦傷性を評価するための耐摩耗性試験として往復摩耗試験機(新東科学(株)製)に乾布を取り付けて、荷重0.3kg/cm2の条件で撥水膜表面を3000回往復摺動させ、その後に水の接触角および臨界傾斜角を測定した。また撥水膜の厚みを透過型電子顕微鏡により測定した。撥水膜の膜厚、表面粗さRa、Rz値、初期接触角(耐候性試験および耐摩擦性試験前の水の接触角)、初期臨界傾斜角(耐候性試験および耐摩擦性試験前の値)、耐候性試験後の、接触角および臨界傾斜角、ならびに耐摩耗試験後の、接触角および臨界傾斜角の値の測定結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例1で得られた撥水性ガラス板をさらに250℃で1時間焼成して撥水性ガラスを得た。実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
[実施例3及び4]
実施例1における撥水被覆用溶液の調合でのヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン添加量0.02gに代えて、0.005g、または0.05g添加した以外は、実施例1と同様にして撥水被覆用溶液を調合した。撥水被覆用溶液の組成を表1に示す。そしてこの撥水被覆用溶液を用いて実施例1と同様に、塗布・乾燥して撥水性ガラス板を得た。実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランの添加量が0.005gおよび0.05gのガラス板をそれぞれ実施例3および実施例4とする。なお表1の「シリコンアルコキシドの重合度」の欄には、実施例1で述べたフーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)を用いて実施例1と同様に測定して、検出されたテトラエトキシシラン(およびその(部分)加水分解物)の重合度の最小値(単量体は1)と最大値の範囲で表している。
[実施例5及び6]
撥水被覆用溶液の調合で実施例1におけるテトラエトキシシラン添加量の1.2gに代えて、0.3g、または2.0g添加した以外は、実施例1と同様にして撥水処理ガラス板を得た。テトラエトキシシランの添加量が0.3gおよび2.0gのガラス板をそれぞれ実施例5および実施例6とする。撥水被覆用溶液の組成を表1に示し、実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
[実施例7]
エタノール100gにヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン 0.1gとテトラエトキシシラン 6.0gを添加し、30分間攪拌し、次いで濃塩酸5.0gを撹拌しながら添加し、撥水被覆用溶液を得た。洗浄したガラス基板を、湿度30%、室温下で、上記撥水被覆用溶液の浴に浸漬させ、10cm/分の速度で引き上げて、室温で約1分乾燥させて撥水性ガラス板を得た。撥水被覆用溶液の組成を表1に示し、実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
[実施例8]
実施例1の撥水被覆用溶液の調合において、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン 0.02gを添加する代わりに、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン(CF3(CF2)7(CH2)2SiCl3)0.02gを添加した以外は、実施例1と同様にして撥水性ガラス板を得た。撥水被覆用溶液の組成を表1に示し、実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
[実施例9]
実施例1の撥水被覆用溶液の調合において、濃塩酸2gを添加する代わりに、1規定の塩酸を2g添加した以外は、実施例1と同様にして撥水性ガラス板を得た。撥水被覆用溶液の組成を表1に示し、実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
[実施例10]
「ソルミックスAP7」100gにヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン0.02gとテトラエトキシシラン0.3gを添加し、30分間攪拌し、次いで1N塩酸(関東化学製)2gを撹拌しながら添加し、撥水被覆用溶液を得た。撥水被覆用溶液の組成を表1に示す。
この撥水被覆用溶液を洗浄したガラス基板の表面上に、湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、室温で約1分乾燥させて撥水性ガラス板を得た。実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
[実施例11〜13]
テトラエトキシシランとヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランとを、実施例10の0.3g、0.02gの替わりに、実施例11においてはそれぞれ0.23g、0.02g、として、実施例12においては0.3g,0.026gとして、実施例13においては0.27g,0.024gとして添加した以外は、実施例10と同様に撥水被覆用溶液を調合した。撥水被覆用溶液の組成を表1に示す。そしてこの撥水被覆用溶液を用いて実施例11と同様に、塗布・乾燥して撥水性ガラス板を得た。実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
[実施例14]
エタノール100gにヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン0.1gとテトラエトキシシラン1.5gを添加し30分間攪拌し、次いで濃塩酸2.0gを撹拌しながら添加し、撥水被覆用溶液を得た。
洗浄したガラス基板を、湿度30%、室温下で、上記撥水被覆用溶液の浴に浸漬させ、10cm/分の速度で引き上げて、室温で約1分乾燥させて撥水性ガラス板を得た。撥水被覆用溶液の組成を表1に示し、実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
[実施例15]
エタノール100gにヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン0.004gとテトラエトキシシラン0.06gを添加し30分間攪拌し、次いで濃塩酸2.0gを撹拌しながら添加し、撥水被覆用溶液を得た。
洗浄したガラス基板の表面上に、湿度30%、室温で上記撥水被膜用溶液をスプレー法にて塗布し、室温で約3分乾燥させ、約30nmの膜厚の塗膜を形成させ、透明な撥水性ガラスを得た。撥水被覆用溶液の組成を表1に示し、実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
[実施例16]
溶媒「ソルミックスAP7」100gに、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン0.02g、テトラエトキシシラン0.3gおよびメチルトリメトキシシラン(CH3Si(OCH3)3、チッソ製)0.015gを添加し、30分間攪拌し、次いで1N塩酸(関東化学製)2gを撹拌しながら添加し、撥水被覆用溶液を得た。撥水被覆用溶液の組成を表1に示す。
この撥水被覆用溶液を洗浄したガラス基板の表面上に、湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、室温で約1分乾燥させて撥水性ガラス板を得た。実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
実施例1〜16で得られた撥水性ガラス板は104度以上の初期接触角および9度以下の初期臨界傾斜角を示し、優れた撥水性を有することがわかる。耐候性試験後の接触角および臨界傾斜角はそれぞ80度以上および22度以下であって撥水性はやや低下しているが、耐摩耗性試験後の接触角および臨界傾斜角はそれぞれ98度以上および12度以下であり、優れた耐擦傷性を有することがわかる。実施例1〜16で使用したコーティング液は、いずれもその中にテトラエトキシシランは単量体または20量体未満の重合体のみが含まれており、20量体以上の重合度を有するテトラエトキシシランを含有していなかった。また撥水膜の厚みは20〜100nmであり、その膜の表面粗さはRaが0.5nm以下でかつRz=5.0nm以下であり、撥水被膜表面の平滑性は優れていることが確かめられた。更に、その膜の外側表面層にはフルオロアルキル基が多量存在して、FとSiの原子比でF/Si=0.8〜1.5であり、内部層は酸化ケイ素からなることがX線光電子分光法(ESCA)で確かめられた。
[比較例1]
エタノール81.2gにテトラエトキシシラン9.5gとヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン0.26gを添加し、20分間攪拌し、次いでこれに水4.04gと0.1N塩酸5.0gを加えて2時間攪拌した。ついでこの溶液を密封容器に入れて25℃で10日間静置して溶液を得た。この溶液をエタノールで5倍に希釈して撥水処理液を得た。この撥水被覆用溶液の組成等を表1に示す。この撥水処理液を洗浄したガラス基板上にフローコート法にて塗布し、それを湿度30%、温度21℃の乾燥室内で乾燥させた後、更に大気中で120℃で、20分間乾燥させ、次に250℃で1時間焼成して、撥水性ガラス板を得た。
表2に示すように、上記で得られた撥水性ガラス板は、初期接触角は101度であり優れているものの初期臨界傾斜角が15度と実施例に比べて高く、水滴転がり性が悪かった。得られた撥水性ガラスの表面粗さは、Ra=0.3nm、Rz=6.2nmであり、Rzは5.0nmを超えていた。またその膜の外側表面層にはフルオロアルキル基が少なく、FとSiの原子比でF/Si=0.5であることがX線光電子分光法(ESCA)で確かめられた。また、耐候性も劣り、耐候試験後の接触角および臨界傾斜角はそれぞれ65度および35度であり、実施例のそれぞれ80度以上および22度以下に比して非常に劣っている。また耐摩耗性も劣り、耐摩耗性試験後の臨界傾斜角は18度であり、実施例の12度以下に比して劣っている。なお、上記の250℃での1時間焼成を行わずに塗布・乾燥のみ行って得られた撥水性ガラス板は、初期接触角は102度、初期臨界傾斜角が13度であり、耐摩耗性試験後の接触角および臨界傾斜角はそれぞれ76度および31度であり、耐摩耗性が非常に劣っていた。その理由はおそらく、撥水被覆用溶液(希釈前)中のテトラエトキシシランの濃度が高く、しかも調合後に10日間静置したために、塗布前の撥水被覆用溶液中でテトラエトキシシランの加水分解および縮重合反応が進んで、テトラエトキシシランの20量体以上の重合体が生成しているものと推定される。
[比較例2]
エタノール85.3gにテトラエトキシシラン40gとヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン1.92gを添加し、20分間攪拌し、次いで水16.6gと0.1N塩酸20.8gを加えて2時間攪拌し、これを密閉容器に入れ、25℃で24時間放置して撥水被覆用溶液を得た。撥水被覆用溶液の組成を表1に示す。洗浄したガラス基板をこの撥水被覆用溶液に浸漬し、引き上げて塗布し、乾燥後、250℃で1時間焼成して、撥水性ガラス板を得た。
表2に示すように、上記で得られた撥水性ガラス板は、初期接触角は104度であり優れているものの初期臨界傾斜角が18度と実施例に比べて高く、水滴転がり性が悪かった。得られた撥水性ガラスの表面粗さは、Ra=0.6nmであって0.5nmを超えており、Rz=8.6nmであって5.0nmを超えていた。そして、耐候性が劣り、耐候性試験後の接触角および臨界傾斜角はそれぞれ67度および38度であり、実施例のそれぞれ80度以上および22度以下に比して非常に劣っている。また耐摩耗性も劣り、耐摩耗性試験後の臨界傾斜角は20度であり、実施例の12度以下に比して劣っている。
[比較例3]
フロン系溶媒として、CF3CF2CHCl2(「アサヒクリンAK−225」、旭硝子製)40gにテトラクロロシラン1gとヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン1gを添加し、30分間攪拌して撥水被覆用溶液を得た。撥水被覆用溶液の組成を表1に示す。撥水被覆用溶液中にテトラクロロシランは単量体または2量体で含まれていた。この撥水被覆用溶液を洗浄したガラス基板上に、湿度30%、室温下で木綿パッドにて塗布し、乾燥後、93℃で1時間焼成し、焼成後に過剰のシランを溶媒洗浄によりガラス表面から除去し、撥水性ガラス板を得た。
表2に示すように、上記で得られた撥水性ガラス板は、初期接触角は112度であり優れているものの初期臨界傾斜角が34度と実施例に比べて高く、水滴転がり性が悪かった。得られた撥水性ガラスの表面粗さは、Ra=7.9nmであって0.5nmを大きく超えており、Rz=29.8nmであって5.0nmを大きく超えて、撥水膜表面の平滑性が劣った。また、耐摩耗性も劣り、耐摩耗試験後の接触角および臨界傾斜角はそれぞれ71度および39度であり、実施例のそれぞれ98度以上および12度以下に比して非常に劣っている。その理由は、おそらく、フッ素系溶媒にテトラクロロシランが均一に溶解しないため、成膜時の膜中に濃度ムラが発生し、乾燥後の撥水被膜表面に微少な凹凸が形成されるためと推定される。
[比較例4]
イソパラフィン系炭化水素溶媒(「アイソパーL」、エクソン製)79.24gにテトラクロロシラン0.36gとヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン0.4gを添加し、30分間攪拌して撥水被覆用溶液を得た。撥水被覆用溶液の組成を表1に示す。撥水被覆用溶液は、その中にテトラクロロシランは単量体または2量体で含まれていた。
この撥水被覆用溶液を洗浄したガラス基板上に、湿度30%、室温下でフローコートにて塗布し、乾燥後に過剰のシランを溶媒洗浄によりガラス表面から除去し、撥水性ガラス板を得た。実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
[比較例5]
溶媒「ソルミックスAP7」100gにヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン0.02gとテトラエトキシシラン1.2gを添加し、30分間攪拌し、次いで0.1N塩酸(関東化学製)2gを撹拌しながら添加し、さらに室温で5日間静置し、撥水被覆用溶液を得た。撥水被覆用溶液の組成を表1に示す。
この撥水被覆用溶液を洗浄したガラス基板の表面上に、湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、室温で約1分乾燥させて撥水性ガラス板を得た。実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
[比較例6]
溶媒「ソルミックスAP7」70gにヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン0.02gとテトラエトキシシラン1.2gを添加し、30分間攪拌し、次いで濃塩酸30gを撹拌しながら添加し、撥水被覆用溶液を得た。撥水被覆用溶液の組成を表1に示す。
この撥水被覆用溶液を、比較例5と同様に塗布・乾燥をおこなって撥水性ガラス板を得た。実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
[比較例7,8]
ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランを、実施例1の0.02gの替わりに、比較例7、8においてはそれぞれ0.2g、0.0002gとして添加した以外は、実施例1と同様に撥水被覆用溶液を調合した。撥水被覆用溶液の組成を表1に示す。そしてこの撥水被覆用溶液を用いて実施例1と同様に、塗布・乾燥して撥水性ガラス板を得た。実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
表2に示すように、比較例4〜8で得られた撥水性ガラスについては、初期臨界傾斜角が16度以上で、実施例の9度以下に比べて高く、水滴転がり性が悪かった。また、耐摩耗試験後の接触角および臨界傾斜角はそれぞれ80度以下および20度以上であり、実施例のそれぞれ98度以上および12度以下に比して耐摩耗性が非常に劣っている。
産業上の利用可能性
以上に説明したように本発明によれば、低濃度のシリコンアルコキシド、フルオロアルキル基含有シラン化合物および高濃度の揮発性の酸を溶媒に溶解したコーティング液を基材に塗布し、常温で乾燥することにより、緻密で強固な撥水膜が被覆された物品が得られる。本発明では、撥水膜の成膜後に焼成を行う必要がなく、その結果、大掛りな設備も不要となり、製造コストも低減される。
また、撥水コーティング液に撥水基となるフルオロアルキル基含有のシラン化合物を添加しているので、1種類の液塗布によりSiO2層と撥水層を形成でき、生産性が優れ、且つ、成膜時に基材表面にSiO2分が集まり易く、撥水基が膜の最表面に配向し易くなるため、最表面の撥水基密度が高い、緻密で耐久性の優れる撥水膜となる。
更に、本発明では、成膜時に自然に撥水基を配向させるため、従来のように後から化学吸着や手塗り等で撥水処理するよりも配同性の良い撥水層を形成することができると考えられ、また、アルコールのような溶媒に均一に溶解したシリコンアルコキシドとフルオロアルキル基含有シラン化合物が、常温で緻密な撥水膜を形成するため、その被膜の表面は、極めて平滑性の優れた撥水膜となる。この良好な撥水基の配同性と表面平滑性、最表面の高撥水基密度の効果で、本発明における撥水性物品は、非常に優れた水滴の転がり性と耐擦傷性、耐候性を有する。
Claims (23)
- テトラアルコキシシランもしくは平均重合度が5以下のテトラアルコキシシランの重合体(A)、フルオロアルキル基含有シラン化合物(B)、および揮発性の酸(C)を溶媒に溶解したコーティング液を基材に塗布、乾燥する撥水膜被覆物品を製造する方法において、前記コーティング液は、
(A)前記テトラアルコキシシランもしくは平均重合度が5以下のテトラアルコキシシランの重合体またはそれらの加水分解物
(シリカ換算) 0.01〜2重量%、
(B)前記フルオロアルキル基含有シラン化合物
(シリカ換算) 0.00001〜0.15重量%、
(C)前記揮発性の酸 0.003〜3規定、
および
(D)水 0〜20重量%
を含有することを特徴とする撥水膜被覆物品を製造する方法。 - 前記コーティング液は、
(A)前記テトラアルコキシシランもしくは平均重合度が5以下のテトラアルコキシシランの重合体またはそれらの加水分解物
(シリカ換算) 0.01〜0.6重量%、
(B)前記フルオロアルキル基含有シラン化合物
(シリカ換算) 0.0001〜0.03重量%、
(C)前記揮発性の酸 0.01〜1規定、
および
(D)水 0〜5重量%
を含有する請求の範囲1に記載の撥水膜被覆物品を製造する方法。 - 前記コーティング液は、前記揮発性の酸および前記水を、揮発性の酸/水の重量比が0.002以上であるように含有する請求の範囲1または2に記載の撥水膜被覆物品を製造する方法。
- 前記コーティング液は、テトラアルコキシシランもしくは平均重合度が5以下のテトラアルコキシシランの重合体またはそれらの加水分解物および箭記フルオロアルキル基含有シラン化合物を、[フルオロアルキル基含有シラン化合物量(シリカ換算)]/[テトラアルコキシシランもしくは平均重合度が5以下のテトラアルコキシシランの重合体またはそれらの加水分解物量(シリカ換算)]の重量比が、0.0005〜0.5であるように含有する請求の範囲1〜3のいずれか1項に記載の撥水膜被覆物品を製造する方法。
- テトラアルコキシシランもしくは平均重合度が5以下のテトラアルコキシシランの重合体、フルオロアルキル基含有シラン化合物および揮発性の酸を溶媒に溶解したコーティング液を基材に塗布、乾燥する撥水膜被覆物品を製造する方法において、前記コーティング液はその中のテトラアルコキシシランもしくは平均重合度が5以下のテトラアルコキシシランの重合体を単量体(加水分解物を含む)または20量体未満の重合体の形で存在せしめてあることを特徴とする撥水膜被覆物品を製造する方法。
- 前記コーティング液は、溶媒に、前記テトラアルコキシシランもしくは平均重合度が5以下のテトラアルコキシシランの重合体および前記フルオロアルキル基含有シラン化合物を添加して攪拌し、ついで前記揮発性の酸を添加して攪拌することにより調製される請求の範囲1〜5のいずれか1項に記載の撥水膜被覆物品を製造する方法。
- 前記コーティング液は、前記テトラアルコキシシランもしくは平均重合度が5以下のテトラアルコキシシランの重合体、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物および前記揮発性の酸の他に、メチルトリアルコキシシランを、シリカに換算して、前記テトラアルコキシシランもしくは平均重合度が5以下のテトラアルコキシシランの重合体含有量の50重量%以下の量含有している請求の範囲1〜6のいずれか1項に記載の撥水膜被覆物品を製造する方法。
- 前記塗布・乾燥は、コーティング液の表面張力を利用して一様なウエット厚みの塗布膜を前記基材上に形成させ、ついで前記塗布膜および基材をそのまま静置して乾燥することにより行う請求の範囲1〜7のいずれか1項に記載の撥水膜被覆物品を製造する方法。
- 前記塗布・乾燥した後の膜が5〜200nmの厚みになるように前記コーティング液を前記基材表面に塗布する請求の範囲1〜8のいずれか1項に記載の撥水膜被覆物品の製造方法。
- 前記塗布・乾燥した後の膜が5〜100nmの厚みになるように前記コーティング液を前記基材表面に塗布する請求の範囲1〜8のいずれが1項に記載の撥水膜被覆物品の製造方法。
- 前記塗布・乾燥した後の膜が5〜50nmの厚みになるように前記コーティング液を前記基材表面に塗布する請求の範囲1〜8のいずれか1項に記載の撥水膜被覆物品の製造方法。
- 前記乾燥後、300℃以下の温度で焼成する請求の範囲1〜11のいずれか1項に記載の撥水膜被覆物品の製造方法。
- 前記テトラアルコキシシランは、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランである請求の範囲1〜12のいずれか1項に記載の撥水膜被覆物品の製造方法。
- 前記フルオロアルキル基含有シラン化合物は、フルオロアルキル基および、アルコキシル基、アシロキシ基、または塩素基を含有するフルオロアルキル基含有シラン化合物である請求の範囲1〜13のいずれか1項に記載の撥水膜被覆物品の製造方法。
- 前記フルオロアルキル基含有シラン化合物は、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランまたはヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランである請求の範囲14記載の撥水膜被覆物品の製造方法。
- 前記揮発性の酸は塩酸である請求の範囲1〜15のいずれか1項に記載の撥水膜被覆物品の製造方法。
- 前記溶媒はアルコール系溶媒である請求の範囲1〜16のいずれか1項に記載の撥水膜被覆物品の製造方法。
- 前記基材は、透明なガラス板である請求の範囲1〜17のいずれかに記載の撥水膜被覆物品の製造方法。
- 請求の範囲1〜18のいずれか1項に記載の方法で得られる撥水膜被覆物品。
- 基材と、その基材表面に被覆された、酸化ケイ素を主成分としフルオロアルキル基を含有する撥水被膜からなり、その撥水被膜の表面が算術平均粗さ(Ra)=0.5nm以下でかつ十点平均粗さ(Rz)=5.0nm以下の粗さを有する撥水膜被覆物品。
- 基材と、その基材表面に被覆された、酸化ケイ素を主成分としフルオロアルキル基を含有する撥水被膜からなり、その撥水被膜の表面におけるフッ素濃度が、フッ素原子とケイ素原子との原子比で表して0.8以上である撥水膜被覆物品。
- テトラアルコキシシランもしくは平均重合度が5以下のテトラアルコキシシランの重合体、フルオロアルキル基含有シラン化合物、および揮発性の酸を溶媒に溶解してなり、テトラアルコキシシランもしくは平均重合度が5以下のテトラアルコキシシランの重合体をその単量体(加水分解物を含む)または20量体未満の重合体の形で存在せしめてあることを特徴とする撥水膜被覆用液組成物。
- (A)テトラアルコキシシランもしくは平均重合度が5以下のテトラアルコキシシランの重合体またはそれらの加水分解物
(シリカ換算) 0.01〜2重量%、
(B)フルオロアルキル基含有シラン化合物
(シリカ換算) 0.00001〜0.15重量%、
(C)揮発性の酸 0.003〜3規定、
および
(D)水 0〜20重量%
(E)アルコール 残部
からなる撥水膜被覆用液組成物。
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