JP3840898B2 - 投写型表示装置およびそのための表示方法、並びに、画像表示装置 - Google Patents

投写型表示装置およびそのための表示方法、並びに、画像表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、画像表示装置、特に、画像を投写して表示する投写型表示装置の技術に関するものである。
【0002】
【背景技術】
投写型表示装置は、入力された画像を投写スクリーン上に拡大して表示できることから、プレゼンテーションに用いられることが多い。
【0003】
プレゼンテーションにおいては投写された画像に基づいて説明が行われ、通常、複数ページのプレゼンテーション画像が用いられる。各ページのプレゼンテーション画像は異なる内容を示しているが、いくつかのプレゼンテーション画像が互いに関連している場合も多い。このような場合に、従来は、関連する複数ページのプレゼンテーション画像を切り換えつつ表示していたが、複数ページ分のプレゼンテーション画像を関連する部分だけでも同時に表示したいという要望があった。
【0004】
また、プレゼンテーションにおける質疑応答時や、新たな投写画像が表示されるまでに多少の時間を要する時などにおいて、プレゼンテーションに用いられる画像に代えて予め用意されている会社のロゴマークや製品画像など(以下、「特定画像」と呼ぶ場合もある。)を表示して会社や製品をアピールするということが行われている。従来では、このような特定画像は、投写型表示装置に接続された画像供給装置(コンピュータ、ビデオプレーヤ、テレビジョン受信機など)を介して投写型表示装置に供給されていた。すなわち、投写型表示装置にその特定画像を表示するためには、投写型表示装置に接続される画像供給装置にその特定画像の画像データを予め格納しておかなければならないという問題があった。
【0005】
ところで、投写型表示装置に画像が入力されていない場合には、スクリーン上には何も表示されないことになる。このような場合において、従来の投写型表示装置においては、通常ブランク画像と呼ばれる1色の画面が表示される。このような場合においても、上記のような特定画像を表示させたいという希望があった。しかし、この場合には、画像供給装置から正常な画像が入力されていないので、特定画像を表示することもできなかった。なお、上記問題は、投写型表示装置に限らず、外部から供給される画像を表示する画像表示装置に共通する問題である。
【0006】
【発明の開示】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、複数ページ分の画像の関連する部分を同時に表示することのできる技術を提供することを第1の目的とする。また、外部から特定画像が供給されない場合にも、所望の特定画像を表示することのできる技術を提供することを第2の目的とする。
【0007】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第1の態様による投写型表示装置は、入力された第1の画像データの少なくとも一部を抽出画像として抽出する画像抽出部と、前記抽出画像を表す抽出画像データを記憶する抽出画像メモリと、入力された第2の画像データで表される原画像と前記抽出画像とを重畳することによって、前記原画像と前記抽出画像とが重畳された重畳画像データを生成する画像重畳部と、前記重畳画像データに応じて画素毎に駆動される光変調手段と、前記光変調手段の駆動により得られる前記重畳画像を前記スクリーン上に投写する光学系と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この投写型表示装置においては、その内部に入力された画像の少なくとも一部を切り抜いて抽出画像を抽出する画像抽出部と、抽出画像を原画像に重畳するための画像重畳部を備えているため、複数ページ分の画像の関連する部分を同時に表示することが可能となる。
【0009】
上記投写型表示装置において、前記画像抽出部が前記第1の画像データから抽出する部分は、任意に設定可能であることが好ましい。
【0010】
こうすれば、入力された画像データのうち任意の部分を抽出画像とすることができるので、目的に応じた抽出画像データを容易に作成することができる。
【0011】
上記投写型表示装置において、前記画像重畳部は、前記抽出画像を前記原画像の所望の位置に配置して重畳することが好ましい。
【0012】
こうすれば、画像重畳部により原画像の任意の位置に抽出画像を重畳させることができるので、抽出画像を重畳させる自由度が大きくなる。
【0013】
また、上記投写型表示装置において、前記抽出画像メモリは、複数種類の抽出画像を表す複数種類の抽出画像データを記憶しており、前記画像重畳部は、選択された少なくとも1つの抽出画像を、前記原画像のそれぞれ指定された位置に重畳することが好ましい。
【0014】
こうすれば、複数種類の抽出画像の中から任意の抽出画像を選択することができるので、所望の抽出画像を原画像に重畳させることが可能となる。
【0015】
上記投写型表示装置において、前記画像重畳部は、入力された前記第2の画像データと、前記抽出画像メモリから読み出された前記抽出画像データとを合成することによって、前記重畳画像データを生成する合成部と、前記光変調手段の全画素に対応する領域を少なくとも包含するメモリ領域を有し、前記重畳画像データを記憶するフレームメモリと、を備え、前記フレームメモリから読み出された前記重畳画像データが前記光変調手段に与えられることが好ましい。
【0016】
この投写型表示装置においては、入力された原画像に抽出画像を重畳した重畳画像データが、フレームメモリに書き込まれるため、フレームメモリから重畳画像データを読み出せば重畳画像を得ることができる。
【0017】
また、上記投写型表示装置において、前記画像重畳部は、前記光変調手段の全画素に対応する領域を少なくとも包含するメモリ領域を有し、入力された前記第2の画像データを記憶するフレームメモリと、前記フレームメモリから読み出された前記第2の画像データと、前記抽出画像メモリから読み出された前記抽出画像データとを合成することによって前記重畳画像データを生成する合成部と、を備え、前記合成部で合成された前記重畳画像データが前記光変調手段に与えられることにしてもよい。
【0018】
この投写型表示装置においても、重畳画像データを得ることができ、上記の投写型表示装置と同様の作用・効果を有する。ただし、重畳画像データをフレームメモリから読み出して表示する上記の投写型表示装置に対し、本投写型表示装置においては、フレームメモリに書き込まれた画像データを読み出しながら抽出画像を重畳するので、抽出画像を重畳させるための指令から重畳画像の表示までの時間をより短くすることができる。
【0019】
また、上記投写型表示装置において、前記合成部は、前記第2の画像データと前記抽出画像データとのどちらか一方を画素毎に選択することによって前記重畳画像データを作成するためのデータセレクタを備えることが好ましい。
【0020】
この投写型表示装置においては、データセレクタが画像データと抽出画像データとのどちらか一方を選択するので、画像データの一部を抽出画像データに置換することにより原画像に抽出画像を重畳することができる。
【0021】
また、上記投写型表示装置において、前記合成部は、前記第2の画像データと前記抽出画像データとにそれぞれの係数を画素毎に乗算するための乗算部と、 前記乗算部において乗算された前記第2の画像データと前記抽出画像データとを画素毎に加算するための加算部と、を備えるようにしてもよい。
【0022】
この投写型表示装置においても、係数を適当に設定することにより、装飾効果画像と原画像の濃度(輝度)の比を調整することができる。
【0023】
上記投写型表示装置において、前記合成部は、前記乗算部における前記係数を制御することにより、前記第2の画像データと前記抽出画像データとの合成比率を変えて前記原画像に重畳させた前記抽出画像の透明度を調整する係数設定部を備えることが好ましい。
【0024】
こうすれば、乗算部の係数を制御することにより、画像データと抽出画像データとの合成比率を変えることができるので、抽出画像を重畳した部分を透過した重畳画像を得ることができる。
【0025】
また、上記投写型表示装置において、前記係数設定部は、前記乗算部における前記係数を時間とともに変化させることにより、前記第2の画像データと前記抽出画像データとの合成比率を変えて前記原画像に重畳させた抽出画像の透明度を時間とともに変化させることが好ましい。
【0026】
こうすれば、乗算部の係数を時間とともに変化させることにより、抽出画像を重畳した部分の透明度を時間とともに変化させることができる。
【0027】
本発明の第2の態様による投写型表示装置は、表示する画像を画像データとして記憶するフレームメモリと、前記フレームメモリに記憶された前記画像データに基づいて画像表示信号を生成する画像表示信号生成部と、前記画像表示信号に応じて画像を形成する光を射出する電気光学装置と、前記電気光学装置が射出した光を投影する投写光学系と、を備え、さらに、外部から入力された画像の中から任意に選択した抽出対象画像の少なくとも一部を抽出画像として抽出する画像抽出部と、前記抽出画像を表す抽出画像データを記憶する抽出画像メモリと、特定の表示条件において、前記抽出画像メモリに記憶した前記抽出画像データを含む特定画像データの表す特定画像を表示画面に表示する特定画像表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【0028】
上記投写型表示装置によれば、任意に選択した抽出対象画像の少なくとも一部を抽出画像として抽出することができる。これにより、特定の表示条件において、投写型表示装置に入力される画像に代えて、任意に抽出された抽出画像を含む特定画像を表示することができ、外部から特定画像が供給されない場合にも、所望の特定画像を表示することができる。
【0029】
上記投写型表示装置において、前記画像抽出部は、前記抽出画像を抽出するための抽出条件として少なくとも抽出領域および表示倍率を設定する抽出画像設定画面を表示させ、前記抽出領域を設定するための抽出領域指定画像を前記抽出対象画像に重ねて表示させ、前記抽出領域指定画像を用いて抽出しようとする部分を前記抽出領域として設定すると、設定された抽出領域に対応する選択抽出画像を表す選択抽出画像データを前記フレームメモリに書き込み、表示倍率を設定すると、設定した表示倍率で前記選択抽出画像データを拡大または縮小処理するとともに、拡大または縮小された前記選択抽出画像データを前記フレームメモリに書き込み、所望の前記表示倍率を決定すると、前記所望の表示倍率で拡大または縮小処理された選択抽出画像データを前記抽出画像メモリに記憶することが好ましい。
【0030】
上記構成によれば、抽出対象画像の抽出領域を抽出領域指定画像によって容易に設定することができる。また、所望の表示倍率を決定する前に、設定された抽出領域に対応する選択抽出画像を選択した表示倍率で表示させることができるので、所望の表示倍率を確認しながら決定することができる。
【0031】
ここで、前記画像抽出部は、前記抽出領域指定画像として所定の抽出枠を表示し、前記所定の抽出枠は、第1の黒線枠と前記第1の黒線枠の内側に設けられた第2の黒線枠とを含み、前記第1の黒線枠と前記第2の黒線枠との間の領域は白色画像であることが好ましい。
【0032】
上記のようにすれば、任意の抽出対象画像に対して抽出領域を判別することができるので、抽出領域を容易に設定することができる。また、どのような色や配色の抽出対象画像であっても、その中に抽出枠が埋没しまうことなく、黒線枠または白色画像の枠を表示することができる。
【0033】
上記投写型表示装置において、前記抽出画像メモリは、複数種類の抽出画像を表す複数種類の抽出画像データを記憶し、前記特定画像表示制御部は、前記特定の表示条件において、前記複数種類の抽出画像の中から選択された少なくとも1つの抽出画像を含む特定画像を前記表示画面に表示するようにしてもよい。
【0034】
また、前記特定画像表示制御部は、前記複数の抽出画像のうち少なくとも2つの抽出画像を選択して順に表示するようにしてもよい。
【0035】
上記のようにすれば、予め用意された複数種類の抽出画像の中から任意の画像を選択して、より効果的な特定画像の表示を行うことができる。
【0036】
上記各投写型表示装置において、さらに、前記投写型表示装置における特定の動作条件を判定する動作条件判定部を備え、前記特定画像表示制御部は、前記動作条件判定部において前記特定の動作条件であることが検出された場合に、前記特定画像を前記表示画面に表示することが好ましい。
【0037】
上記構成によれば、投写型表示装置が特定の動作条件にあるような場合を自動的に判別して、画像抽出部によって抽出された抽出画像を含む特定画像を表示画面に表示することができる。
【0038】
ここで、前記動作条件判定部は、前記投写型表示装置に入力される画像信号が無入力状態であること、および、前記投写型表示装置が起動後の所定の期間内の状態であることの少なくとも一方を前記特定の動作条件として検出することが好ましい。
【0039】
このようにすれば、特定の動作条件として投写型表示装置に入力される画像データが無入力状態である場合や、投写型表示装置が起動後の所定の期間内の状態であるために、通常の投写表示ができないような場合に、画像抽出部によって抽出された抽出画像を含む特定画像を自動的に表示することができる。
【0040】
本発明の第3の態様による投写型表示装置は、表示する画像を画像データとして記憶するフレームメモリと、前記フレームメモリに記憶された前記画像データに基づいて画像表示信号を生成する画像表示信号生成部と、前記画像表示信号に応じて画像を形成する光を射出する電気光学装置と、前記電気光学装置が射出した光を投影する投写光学系と、を備え、さらに、前記投写型表示装置における特定の動作条件を判定する動作条件判定部と、前記動作条件判定部において、前記特定の動作条件であることが検出された場合に、特定画像データの表す特定画像を表示画面に表示する特定画像表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【0041】
上記構成によれば、投写型表示装置が特定の動作条件にあるような場合を自動的に判別して、特定画像を表示画面に表示することができる。
【0042】
ここで、前記動作条件判定部は、前記投写型表示装置に入力される画像信号が無入力状態であること、および、前記投写型表示装置が起動後の所定の期間内の状態であることの少なくとも一方を前記特定の動作条件として検出することが好ましい。
【0043】
このようにすれば、投写型表示装置に入力される画像信号が無入力状態である場合や、投写型表示装置が起動後の所定の期間内の状態であるために、通常の投写表示ができないような場合に、画像抽出部によって抽出された抽出画像を含む特定画像を自動的に表示することができる。
【0044】
本発明の第4の態様による画像表示装置は、表示する画像を画像データとして記憶するフレームメモリと、前記フレームメモリに記憶した前記画像データに基づいて画像表示信号を生成する画像表示信号生成部と、前記画像表示信号に応じて画像を形成する光を射出する電気光学装置と、を備え、外部から入力された表示される画像の中から任意に選択した抽出対象画像の少なくとも一部を抽出画像として抽出する画像抽出部と、前記抽出画像を表す抽出画像データを記憶する抽出画像メモリと、特定の表示条件において、前記抽出画像メモリに記憶した前記抽出画像データを含む特定画像データの表す特定画像を表示画面に表示する特定画像表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【0045】
この画像表示装置においては、上記第2の態様による投写型表示装置と同様の作用・効果を有しており、ユーザが選択した特定の表示条件において、画像表示装置に入力される画像に代えて、任意に抽出された抽出画像を含む特定画像を表示することができる。
【0046】
本発明の第5の態様による画像表示装置は、表示する画像を画像データとして記憶するフレームメモリと、前記フレームメモリに記憶した前記画像データに基づいて画像表示信号を生成する画像表示信号生成部と、前記画像表示信号に応じて画像を形成する光を射出する電気光学装置と、を備え、さらに、前記投写型表示装置における特定の動作条件を判別する動作条件判定部と、前記動作条件判定部において、前記特定の動作条件であることが検出された場合に、特定画像データの表す特定画像を表示画面に表示する特定画像表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【0047】
この画像表示装置においては、上記第3の態様による投写型表示装置と同様の作用・効果を有しており、画像表示装置が特定の動作条件にあるような場合を自動的に判別して、特定画像を表示画面に表示することができる。
【0048】
本発明の第6の態様による画像の表示方法は、光変調手段を備えた投写型表示装置を用い、前記投写型表示装置に入力された画像データに応じてスクリーン上に画像を投写して表示する方法であって、入力された第1の画像データの少なくとも一部を抽出画像として抽出する工程と、前記抽出画像を表す抽出画像データを準備する工程と、入力された第2の画像データで表される原画像と前記抽出画像とを重畳することによって、前記原画像と前記抽出画像とが重畳された重畳画像データを生成する工程と、前記重畳画像データに応じて画素毎に前記光変調手段を駆動する工程と、前記光変調手段の駆動により得られる前記重畳画像を前記スクリーン上に投写する工程と、を備えることを特徴とする。
【0049】
この表示方法においては、上記第1の態様による投写型表示装置と同様の作用・効果を有しており、複数ページ分の画像の関連する部分を同時に表示することができる。
【0050】
本発明の第7の態様による画像の表示方法は、投写型表示装置を用いて、特定画像を表示画面に表示する方法であって、入力される抽出対象画像の少なくとも一部を抽出画像として抽出する工程と、前記抽出画像を表す抽出画像データを準備する工程と、特定の表示条件において、前記抽出画像データを含む画像データの表す画像を前記特定画像として表示画面に表示する工程と、を備えることを特徴とする。
【0051】
この表示方法においては、上記第2の態様による投写型表示装置と同様の作用・効果を有しており、外部から特定画像が供給されない場合にも、所望の特定画像を表示することができる。
【0052】
本発明の第8の態様による画像の表示方法は、投写型表示装置を用いて、特定画像を表示画面に表示する方法であって、前記投写型表示装置における特定の動作条件を判定する工程と、前記工程において特定の動作条件であることが検出された場合に、特定画像データをフレームメモリに書き込むことによって、前記特定画像データの表す特定画像を表示画面に表示する工程と、を備えることを特徴とする。
【0053】
この表示方法においては、上記第3の態様による投写型表示装置と同様の作用・効果を有しており、投写型表示装置が特定の動作条件にあるような場合を自動的に判別して、特定画像を表示画面に表示することができる。
【0054】
本発明は、コンピュータに上記の発明の各工程または各部の少なくとも一部の機能を実行させるコンピュータプログラムを記録した記録媒体にも向けられている。記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0055】
【発明を実施するための最良の形態】
A.第1実施例
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明の第1の態様による第1実施例としての投写型表示装置の全体構成を示すブロック図である。本実施例における投写型表示装置は、映像信号変換回路10と、抽出画像重畳回路12と、液晶ディスプレイ駆動回路14と、液晶ディスプレイパネル16と、フレームメモリ22と、抽出画像メモリ24と、抽出画像ビットマップメモリ26と、リモコン制御部28と、CPU20と、照明光学系100と、投写光学系102と、を備えている。映像信号変換回路10と、抽出画像重畳回路12と、抽出画像メモリ24と、リモコン制御部28と、CPU20は、バス1によって互いに接続されている。また、液晶ディスプレイ駆動回路14もバス1に接続されているが、図1ではその接続を省略している。液晶ディスプレイパネル16は、照明光学系100でほぼ均一に照明されており、液晶ディスプレイパネル16に表示された画像は、投写光学系102によって投写スクリーン104上に投写される。なお、図1においては、光学系100,102は、簡略化されている。
【0056】
映像信号変換回路10は、入力されたアナログ画像信号AV1をAD変換して、AD変換された画像データをフレームメモリ22に書き込んだり、画像データをフレームメモリ22から読み出したりするための回路である。なお、アナログ画像信号AV1としては、例えば、パーソナルコンピュータから出力されたコンピュータ画面を表すRGB信号S1や、ビデオレコーダやテレビから出力された動画を表すコンポジット画像信号S2などの画像信号が供給される。
【0057】
図2は、映像信号変換回路10の内部構成を示すブロック図である。映像信号変換回路10は、同期分離部30と、AD変換部32と、ビデオプロセッサ34とを備えている。
【0058】
同期分離部230は、入力されるアナログ画像信号AV1がコンポジット画像信号S2である場合には、コンポジット画像信号S2を同期信号WSYNCとコンポーネント画像信号S3(同期信号を含まないアナログ画像信号)とに分離して出力する。このコンポーネント画像信号S3は、RGBの3色の画像を表す3つの色信号で構成されている。なお、入力されるアナログ画像信号AV1がRGB信号S1である場合には、別途その同期信号が入力されるため、同期分離部230を用いる必要はない。
【0059】
AD変換部232は、RGB信号S1、あるいは同期分離部230から出力されたコンポーネント画像信号(RGB信号)S3を、AD変換部232内の図示しない複数のAD変換器によって、色信号毎に画像データDV1に変換するための回路である。なお、複数のAD変換器におけるAD変換のタイミングは、同期信号WSYNCに基づいてビデオプロセッサ234内部で生成されるドットクロックDCLKにより制御される。
【0060】
ビデオプロセッサ34は、フレームメモリ22への画像データの書き込み制御や読み出し制御を行うためのマイクロプロセッサである。AD変換部32から出力された画像データDV1は、一旦フレームメモリ22に書き込まれ、必要に応じてフレームメモリ22から読み出される。
【0061】
図3は、ビデオプロセッサ34の内部構成の一例を示すブロック図である。ビデオプロセッサ34は、書込制御部70と、読出制御部72と、画像抽出部74とを備えている。
【0062】
書込制御部70および読出制御部72は、画像データをフレームメモリ22へ書き込む際の、あるいは読み出す際の、アドレスADD1,ADD2や制御信号CTR1,CTR2を生成して、フレームメモリ22に供給する機能を有する。画像データは、書込制御部70で生成されるアドレスADD1や制御信号CTR1に従ってフレームメモリ22に書き込まれる。また、フレームメモリ22に書き込まれた画像データは、読出制御部72で生成されるアドレスADD2や制御信号CTR2に従って読み出される。これらのアドレスや制御信号は、同期信号(WSYNCあるいはRSYNC)に基づいて生成される。
【0063】
なお、フレームメモリ22への画像データの書き込みは、同期信号WSYNCに同期して行われる。また、フレームメモリ22からの画像データの読み出しや、ビデオプロセッサ34から出力される画像データDV2の後段の回路における処理は、後述する液晶ディスプレイ駆動回路14(図1)から出力される同期信号RSYNCに同期して行われる。なお、第1の同期信号WSYNCと第2の同期信号RSYNCとは互いに非同期である。もちろん、第1の同期信号WSYNCと、第2の同期信号RSYNCとして、互いに同期する信号を使用することも可能である。
【0064】
画像抽出部74(図3)は、フレームメモリ22に書き込まれた画像データが読み出される際に、画像データ中の指定された部分のデータを抽出する機能を有する。また、画像抽出部74は、抽出した抽出画像データを圧縮し、バス1を介して、抽出画像メモリ24に書き込む機能を有する。なお、画像抽出部74は、抽出画像データを圧縮しなくてもよい。また、圧縮する替わりに抽出画像データを縮小させてもよい。なお、画像データ中の切り抜き部分の指定は、後述するリモコン29で行うことができる。リモコン29で画像データ中の切り抜き部分を指定することにより、CPU20が、その切り抜き部分に対応する抽出アドレスSADDを出力し、画像抽出部74は抽出アドレスSADDと、読出制御部72から出力されるアドレスADD2とに基づいて切り抜き部分の画素データを抽出する。これにより、指定された部分についての画素データのみを抽出することができる。
【0065】
図1に示す抽出画像メモリ24は、ビデオプロセッサ34内の画像抽出部74(図3)により抽出された抽出画像データを格納するためのメモリである。本実施例においては、抽出画像データは、圧縮されて、抽出画像圧縮データCPDとして抽出画像メモリ24に格納されている。また、抽出画像圧縮データCPDを展開した抽出画像ビットマップデータBMD1は、抽出画像ビットマップメモリ26に格納される。なお、抽出された抽出画像データを圧縮せずにそのまま抽出画像ビットマップメモリ26に格納するようにしてもよい。このとき抽出画像メモリ24は不要である。
【0066】
図4は、本実施例におけるフレームメモリ22、抽出画像メモリ24、抽出画像ビットマップメモリ26を示す説明図である。図4(a),(d)は、フレームメモリ22内部のメモリ空間を示している。図4(b)は、抽出画像メモリ24内部のメモリ空間を示している。図4(c)は、抽出画像ビットマップメモリ26内部のメモリ空間を示している。
【0067】
図4(a)に示すフレームメモリ22内には、入力された1フレーム分の画像データ(花の図形)がビットマップ形式で記憶されている。図4(a)の破線で囲まれた部分は、ユーザによって切り抜き部分として指定されており、画像抽出部74(図3)によって抽出される。抽出された抽出画像データは、画像抽出部74により圧縮されて、抽出画像圧縮データCPDとして抽出画像メモリ24に格納される。
【0068】
図4(b)に示す抽出画像メモリ24内には、複数種類の抽出画像圧縮データCPDが格納されており、また、抽出画像圧縮データCPDをビットマップ形式で展開するためのプログラムが格納されている。なお、図4(b)においては、プログラムは抽出画像メモリ24のメモリ空間のアドレス「0000」以降に格納されており、圧縮データA,B,Cは、それぞれアドレス「0A00」,「0B00」,「0C00」以降に格納されている。
【0069】
図4(c)に示す抽出画像ビットマップメモリ26には、抽出画像メモリ24内のプログラムによってビットマップ形式に展開された抽出画像ビットマップデータBMD1と、入力画像データへの抽出画像の重畳位置および重畳範囲を示す座標データPDとが格納されている。図4(c)に示す抽出画像ビットマップデータBMD1は、抽出画像ビットマップメモリ26のメモリ空間のアドレス「0000」以降に展開されている。また、座標データPDは、アドレス「AAAA」以降に格納されており、2点の座標(x1,y1),(x2,y2)を含んでいる。第1の座標(x1,y1)は、画像データ中の抽出画像の重畳位置を示しており、2つの座標(x1,y1),(x2,y2)で、抽出画像の重畳範囲(大きさ)を示している。
【0070】
また、図4(d)に示すフレームメモリ22内には、図4(c)に示す抽出画像を重畳するための画像データ(木の図形)がビットマップ形式で記憶されている。図4(d)に示されている座標(x1,y1),(x2,y2)は、フレームメモリ22内のアドレス「0000」を座標(0,0)としたときの値である。この座標(x1,y1),(x2,y2)が、図4(c)に示す座標データPDに対応する。図4(c)に示す抽出画像ビットマップデータBMD1の左上点aが座標(x1,y1)に対応し、右下点bが座標(x2,y2)に対応する。
【0071】
抽出画像ビットマップデータBMD1は、予め画像データを切り抜いて準備した複数種類の抽出画像の中から、ユーザが任意の種類を指定することによって展開される。また、座標データPDは、ユーザが画像データ中の重畳位置、あるいは重畳位置と重畳範囲とを指定することによって得られる。重畳位置のみを指定する場合には、座標(x1,y1)が決定され、抽出画像の種類によって予め定められている大きさ(切り抜き時の大きさ)により座標データ(x2,y2)が決定される。また、重畳位置と重畳範囲の双方を指定する場合には、重畳位置の指定により座標(x1,y1)が決定され、重畳範囲(大きさ)の指定により座標(x2,y2)は、(x2+Δx,y2+Δy)に置き換えられる。これにより、抽出画像を任意の大きさに拡大・縮小することが可能となる。なお、本実施例においては、抽出画像ビットマップデータBMD1および座標データPDは、抽出画像ビットマップメモリ26に格納されているが、抽出画像メモリ24に格納してもよい。
【0072】
抽出画像重畳回路12(図1)は、入力された画像と抽出画像とを重畳するための回路である。すなわち、抽出画像重畳回路12は、映像信号変換回路10から出力される画像データDV2と、抽出画像ビットマップメモリ26内に展開された抽出画像ビットマップデータBMD1(図4(c))とを重畳する。
【0073】
図5は、抽出画像重畳回路12の内部構成を示すブロック図である。抽出画像重畳回路12は、2つの乗算部40,42と、1つの加算部44と、係数設定部46とを含んでいる。2つの乗算部40,42と、1つの加算部44とからなる構成は、RGBの各色毎に設けられている。ビデオプロセッサ34から出力された画像データDV2は第1の乗算部40に入力され、抽出画像ビットマップメモリ26に展開された抽出画像ビットマップデータBMD1は第2の乗算部42に入力される。
【0074】
係数設定部46は、乗算部40,42の係数k1,k2を設定する機能を有する。係数k1,k2は、それぞれ「0」から「1」までの値を設定することができ、通常、k1とk2との和が「1」となるように設定される。なお、係数k1,k2は、座標データPD(図4(c))に基づいて係数設定部46により制御される。
【0075】
乗算部40,42は、それぞれに入力される画像データの各画素データを順次、定数倍するための回路である。画像データDV2は、乗算部40においてk1倍の信号に変換される。また、抽出画像ビットマップデータBMD1は、乗算部42においてk2倍の信号に変換される。乗算部40,42において変換され、出力された画像データDV3および抽出画像ビットマップデータBMD2は、加算部44に入力される。
【0076】
加算部44は、入力される2つの画像信号の画素データを順次、加算するための回路である。加算部44において、画像データDV3と抽出画像ビットマップデータBMD2とが加算され、重畳画像データDDV1が出力される。なお、本実施例における乗算部40,42と加算部44と係数設定部46とが本発明の第1の態様における合成部に相当する。
【0077】
抽出画像重畳回路12から出力された重畳画像データDDV1は、液晶ディスプレイ駆動回路14(図1)に供給される。液晶ディスプレイ駆動回路14は、この重畳画像データDDV1に応じて、液晶ディスプレイパネル16に抽出画像が重畳された画像を表示する。液晶ディスプレイパネル16に表示された画像は、光学系100,102を用いて投写スクリーン104上に投写される。すなわち、照明光学形100により液晶ディスプレイパネル16に入射した光が、液晶ディスプレイパネル16に与えられた画像データに従って変調され、液晶ディスプレイパネル16からの出射光が投写光学系102によって投写スクリーン104上に投射される。なお、本実施例における液晶ディスプレイパネル16が第1の発
明の光変調手段に相当する。
【0078】
リモコン制御部28(図1)は、リモコン29からの指令に基づいて、投写型表示装置の各部の機能を制御する。リモコン制御部28によって制御されるのは、主として抽出画像に関する処理である。例えば、リモコン29からの、画像データ中の切り抜き部分の指定、重畳する抽出画像の種類の選択、抽出画像の重畳位置、重畳範囲、抽出画像の表示・非表示などの指令に基づいて各部の機能を制御する。
【0079】
なお、映像信号変換回路10と、抽出画像重畳回路12と、リモコン制御部28の機能はハードウェアではなく、コンピュータプログラムによって実現することもできる。これらの各部の機能を実現するコンピュータプログラムは、フロッピディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。コンピュータ(投写型表示装置)は、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を介してプログラム供給装置からコンピュータにコンピュータプログラムを供給するようにしてもよい。コンピュータの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがコンピュータのCPU(マイクロプロセッサ)によって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータが直接実行するようにしてもよい。
【0080】
この明細書において、コンピュータとは、ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。また、オペレーションシステムが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェア装置を動作させるような場合には、そのハードウェア装置自体がコンピュータに相当する。ハードウェア装置は、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とを少なくとも備えている。コンピュータプログラムは、このようなコンピュータに、上述の各手段の機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。なお、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、オペレーションシステムによって実現されていても良い。
【0081】
なお、この発明における「記録媒体」としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0082】
図6は、フレームメモリ22内に記憶されている画像データと、抽出画像ビットマップメモリ26内に記憶されている抽出画像ビットマップデータBMD1との重畳処理を示す説明図である。図6(a)は、フレームメモリ22内のメモリ空間を示しており、画像データ(文書)が記憶されている。図6(b)は、抽出画像ビットマップメモリ26内のメモリ空間を示しており、抽出画像ビットマップデータBMD1(グラフ)が記憶されている。また、抽出画像ビットマップメモリ26には、重畳位置および重畳範囲を示す座標データPDが記憶されている。図6(b)に示す座標データPDの2つの座標(x1,y1),(x2,y2)は、図6(a)に示す座標(x1,y1),(x2,y2)に対応している。図6(c)は、画像データと抽出画像ビットマップデータBMD1とを重畳した重畳画像データDDV1が表す重畳画像を示している。
【0083】
画像データと、抽出画像ビットマップデータBMD1との重畳は、座標データPDに基づいて行われる。抽出画像重畳回路12(図5)内の第1の乗算部40には、画像データが順次入力されるが、第2の乗算部42には、重畳する部分、すなわち座標(x1,y1)と(x2,y2)との範囲内においてのみ抽出画像ビットマップデータBMD1が入力される。抽出画像ビットマップデータBMD1を乗算部42へ入力させるタイミングは、座標データPDに基づいてCPU20により制御される。また、乗算部42への抽出画像ビットマップデータBMD1の入力と同時に、乗算部40,42の係数k1,k2を変更する。すなわち、乗算部42に抽出画像ビットマップデータBMD1が入力されていないときには、乗算部40,42の係数k1,k2は(1,0)と設定され、乗算部42に抽出画像ビットマップデータBMD1が入力されているときには、係数k1,k2は(0,1)と設定される。これにより、座標データ(x1,y1)と(x2,y2)との範囲以外の画素については、図6(a)に示す原画像の画像データ(文書)が抽出画像重畳回路12から出力され、2つの座標(x1,y1),(x2,y2)の範囲内の画素については、 図6(b)に示す抽出画像ビットマップデータBMD1が抽出画像重畳回路12から出力される。このようにして、画像データと抽出画像ビットマップデータBMD1とが重畳されて、図6(c)の重畳画像を表す重畳画像データDDV1が生成される。
【0084】
なお、抽出画像は、画像データ中の重畳位置に対応するように抽出画像ビットマップメモリ26内に展開されてもよい。図7は、抽出画像ビットマップメモリ26内に展開されている抽出画像ビットマップデータBMD1を示す説明図である。図7に示す抽出画像ビットマップメモリ26では、画像データの1フレーム分に相当するメモリ容量が抽出画像ビットマップデータBMD1に割り当てられており、抽出画像は座標(x1,y1),(x2,y2)に対応する位置に展開されている。図7に示すように展開されている場合には、画像データと、抽出画像ビットマップデータBMD1との、画像中の同じ位置に対応する画素データが同時に、それぞれ乗算部40,42に入力される。このとき、座標データPDの座標(x1,y1)と(x2,y2)との範囲外では、係数(k1,k2)は(1,0)と設定され、座標(x1,y1)と(x2,y2)との範囲内では、係数(k1,k2)は(0,1)と設定される。このようにしても、画像データと抽出画像ビットマップデータBMD1とを重畳させて、図6(c)の重畳画像を表す重畳画像データDDV1を生成することができる。
【0085】
上述のように、抽出画像を図7に示すように展開する場合には、抽出画像ビットマップデータBMD1の記憶領域として、1フレーム分のメモリ容量が必要となるが、図6(b)に示すように展開する場合には、ビットマップ展開された抽出画像の大きさと同程度のメモリ容量を有すればよいので、メモリ容量が小さくてよいという利点がある。
【0086】
図8は、パーソナルコンピュータから入力された画像に抽出画像を重畳したときの投写スクリーン104上に投写された画像の一例を示す説明図である。図8(a)では、入力画像(文書)に、2つの抽出画像(木の画像)が重畳されている。図8(b)では、入力画像(文書)に、2種類の抽出画像(ヨットの画像と木の画像)が重畳されている。図8(c)では、入力画像(文書)に、図8(b)に示す抽出画像(ヨットの画像)が拡大されて重畳されている。
【0087】
図8(a),(b)に示す抽出画像は、投写画像中の重畳位置を指定することにより重畳される。このとき、座標データPDは、指定された位置を示す座標(x1,y1)と、予め決定されている各抽出画像の大きさで決定される座標(x2,y2)とから構成される。また、図8(c)に示す抽出画像は、投写画像中の重畳位置および重畳範囲を指定することにより重畳されている。このとき、座標データPDは、予め設定された座標(x1,y1)と、指定された大きさに対応する座標(x2 ,y2)とから構成される。
【0088】
なお、抽出画像ビットマップデータBMD1は、原画像中の重畳位置を示す座標データPDを含むため、リモコン29で指定した任意の位置に抽出画像を表示することができる。また、抽出画像ビットマップデータBMD1および座標データPDの内容は、常に、同期信号RSYNCに同期して、更新されているため、リモコン29を操作することにより抽出画像を投写画像内のあらゆる位置にリアルタイムで移動させることができる。さらに、図8(b)に示すように、任意の種類の複数の抽出画像を同時に表示させることができる。なお、抽出画像ビットマップデータBMD1の生成は、リモコン29からの指令を受けたリモコン制御部28が、抽出画像メモリ24内に格納されているプログラムを実行することによって行われる。
【0089】
また、画像抽出部74によって抽出される抽出画像の形状は図8に示すような四角形に限られない。すなわち、原画像のうち、リモコン29で指定する部分を画像抽出部74において抽出すればよいので、楕円、円、星形、自由直線で囲まれた図形など種々の形状の抽出画像を得ることができる。
【0090】
図9は、パーソナルコンピュータから入力された画像に抽出画像を重畳したときの投写スクリーン104上に投写された画像の一例を示す説明図である。図9では、楕円形状の抽出画像(ヨットの画像)が入力画像(文書)に重畳されている。
【0091】
本実施例においては、座標データPDは、抽出画像の重畳位置および重畳範囲を示す2点の座標を含むのみであるため、図9に示すような抽出画像を重畳させる場合には、2点の座標によって指定された範囲のうち、抽出画像が存在しない部分については重畳させないための処理を行う。
【0092】
図10は、図9に示す抽出画像が展開されているときの抽出画像ビットマップメモリ26を示す説明図である。図10に示す抽出画像ビットマップデータBMD1のうち、楕円の外側の斜線を付した部分の画素については、入力画像に重畳させないので、このような部分の画素については、特定の画素データで構成されている。すなわち、抽出画像が存在しない画素については、使用しない画素データ、例えば、RGBの3色の画素データの全ビットが「0」のような画素データで展開すればよい。この場合には、例えば、抽出画像ビットマップデータBMD1を係数設定部46に入力して、係数設定部46が抽出画像ビットマップデータBMD1を調べ、抽出画像が存在しない画素であるか否かを判断する。そして、抽出画像が存在しない画素であることを示す画素データが入力されたときには、乗算部40,42に与える係数(k1,k2)を(1,0)に変更すればよい。こうすれば、抽出画像ビットマップデータBMD1のうち抽出画像が存在する部分のみを入力された画像データに重畳させることができる。もちろん、座標データPDを、抽出画像が存在する部分を取り囲む多数点の座標からなるデータとしてもよい。この場合には、座標データPDのみによって、抽出画像が存在する部分のみを重畳させることができる。
【0093】
図8、図9に示す例においては、抽出画像は、入力された原画像の上に、塗りつぶされているように見える。このとき、入力された原画像の一部は、抽出画像に置き換えられている。すなわち、図5に示す抽出画像重畳回路12において、抽出画像が重畳されていない部分については、乗算部40,42の係数(k1,k2)は(1,0)に設定されている。また、抽出画像が重畳されている部分については、係数(k1,k2)は(0,1)に設定されている。
【0094】
また、乗算部40,42の係数k1,k2を変更することにより、透明の抽出画像を重畳することができる。例えば、乗算部40,42の係数k1,k2をともに「1/2」にすれば、抽出画像を重畳する部分についても、入力画像が抽出画像を透過しているように見える。
【0095】
図11は、透明な抽出画像を重畳したときの投写画像の一例を示す説明図である。図11(a)は、パーソナルコンピュータから入力された画像(グラフ1およびグラフ2)を示しており、破線で囲まれた部分(グラフ2)が、切り抜き部分として指定されている。図11(b)は、図11(a)に示す入力画像のグラフ1の部分に抽出画像(グラフ2)を重畳した重畳画像を示しており、入力画像(グラフ1)が抽出画像(グラフ2)を透過しているように見える。このように、抽出画像重畳回路12(図5)の乗算部40,42の係数k1,k2をともに「1/2」に設定することにより、透明な抽出画像を重畳したような効果を得ることができる。
【0096】
上記の図8、図9、図11に示す重畳画像は、乗算部40,42の係数k1,k2を「0」,「1」,「1/2」のように常に一定の値として得られたが、係数k1,k2の値を時間とともに変化させてもよい。例えば、抽出画像を重畳した部分について、はじめに係数(k1,k2)を(0,1)と設定し、時間とともに徐々に(0.1,0.9),(0.2,0.8)…(1,0)としてもよい。このように時間とともに係数k1,k2を変化させた場合、抽出画像を重畳した部分については、はじめ入力画像が抽出画像により塗りつぶされているように見えるが、時間とともに徐々に透明な抽出画像を重畳したように見え、最終的に、重畳した抽出画像が消失するように見える。乗算部40,42の係数k1,k2を時間とともに変化させることにより、このような重畳効果を得ることができる。なお、これらの係数値の変更は、CPU20からの指令に基づき係数設定部46により制御される。
【0097】
以上の説明から分かるように、本実施例における抽出画像重畳回路12とフレームメモリ22とが本発明の第1の態様における画像重畳部に相当する。また、本実施例における抽出画像メモリ24と抽出画像ビットマップメモリ26とが本発明の第1の態様における抽出画像メモリに相当する。なお、2つのメモリ24,26の一方を省略することも可能である。
【0098】
B.第2実施例
図12は、本発明の第1の態様による第2実施例としての投写型表示装置の全体構成を示すブロック図である。この投写型表示装置は、映像信号変換回路60と、液晶ディスプレイ駆動回路14と、液晶ディスプレイパネル16と、フレームメモリ22と、抽出画像メモリ24と、リモコン制御部28と、CPU20と、照明光学系100と、投写光学系102と、を備えている。映像信号変換回路60と、抽出画像メモリ24と、リモコン制御部28と、CPU20は、バス1によって互いに接続されている。また、液晶ディスプレイ駆動回路14もバス1に接続されているが、図12ではその接続を省略している。
【0099】
第2実施例の投写型表示装置は、第1実施例における図1の抽出画像重畳回路12および抽出画像ビットマップメモリ26は含んでいない。本実施例では、映像信号変換回路60が原画像と抽出画像とを重畳する機能を有する。また、抽出画像メモリ24内に抽出画像ビットマップデータBMD1が記憶される。したがって、本実施例における映像信号変換回路60とフレームメモリ22とが本発明の第1の態様における画像重畳部に相当する。また、本実施例においては抽出画像メモリ24のみが本発明の第1の態様における抽出画像メモリに相当する。
【0100】
図13は、映像信号変換回路60の内部構成を示すブロック図である。映像信号変換回路60は、同期分離部30と、AD変換部32と、ビデオプロセッサ62とを備えている。同期分離部30と、AD変換部32との機能は、第1実施例における投写型表示装置と同様であるため、それらの説明は省略する。
【0101】
ビデオプロセッサ62は、入力された画像データと抽出画像ビットマップデータとの重畳処理と、抽出画像が重畳された重畳画像データのフレームメモリ22への書込みと読出しとの制御を行うためのマイクロプロセッサである。
【0102】
ビデオプロセッサ62には、AD変換部32から出力された画像データDV1と、バス1を介して抽出画像メモリ24内に展開された抽出画像ビットマップデータBMD1とが入力される。ビデオプロセッサ62における重畳画像データの作成は、画像データDV1と抽出画像ビットマップデータBMD1とを選択してフレームメモリ22に書き込むことにより行われる。画像データDV1と抽出画像ビットマップデータBMD1との選択は、ビデオプロセッサ62内部のデータセレクタによって行われる。
【0103】
図14は、ビデオプロセッサ62の内部構成の一例を示すブロック図である。ビデオプロセッサ34は、書込制御部70と、読出制御部72と、画像抽出部74と、データセレクタ76とを備えている。
【0104】
画像抽出部74(図14)は、画像データDV1がビデオプロセッサ62に入力される際に、画像データDV1中の切り抜き部分として指定された部分のデータを抽出する機能を有する。また、画像抽出部74は、抽出した抽出画像データを圧縮し、バス1を介して、抽出画像メモリ24に格納する機能を有する。なお、画像抽出部74は、抽出画像データを圧縮しなくてもよい。また、圧縮する替わりに抽出画像データを縮小させてもよい。なお、画像データ中の切り抜き部分の指定は、リモコン29で行うことができる。リモコン29で画像データ中の切り抜き部分を指定することにより、CPU20が、その切り抜き部分に対応するサンプリング信号SMPを出力し、画像抽出部74はサンプリング信号SMPに基づいて切り抜き部分の画素データを抽出する。これにより、指定された部分についての画素データのみを抽出することができる。
【0105】
データセレクタ76(図14)には、画像データDV1と、抽出画像メモリ24内に展開された抽出画像ビットマップデータBMD1とが入力され、また、選択信号SELが入力されている。なお、データセレクタ76は、RGBの各色毎に設けられている。画像データDV1と抽出画像ビットマップデータBMD1との選択は、画素データ毎に行われ、選択信号SELにより制御される。データセレクタ76は、選択信号SELに基づいて、画像データDV1あるいは抽出画像ビットマップデータBMD1のどちらか一方の画素データを選択して出力する。したがって、フレームメモリ22に書き込まれたデータは、入力画像に抽出画像を重畳した重畳画像データとなっている。なお、選択信号SELは、座標データPDに基づいて、CPU20により生成される。
【0106】
本実施例においては、重畳画像は、入力された画像の上に塗りつぶされているように見える。これは、第1実施例における抽出画像重畳回路12(図5)の乗算部40,42の係数(k1,k2)を、抽出画像を重畳させる部分について(0,1)としたときに相当する。
【0107】
なお、抽出画像ビットマップデータBMD1が図6(b)に示すように展開されているとき、データセレクタ76には、座標データPDの座標(x1,y1)と(x2,y2)との範囲内でのみ抽出画像ビットマップデータBMD1が入力される。抽出画像ビットマップデータBMD1をデータセレクタ76へ入力させるタイミングは、同期信号WSYNCと座標データPDとに基づいてCPU20により制御される。すなわち、抽出画像ビットマップデータBMD1の座標データPDから、重畳位置に対応する画像データDV1の画素データの入力タイミングを求めることにより、抽出画像ビットマップデータBMD1を入力させるタイミングを決定する。また、抽出画像ビットマップデータBMD1の入力と同時に、選択信号SELによって抽出画像ビットマップデータBMD1を選択する。こうすれば、画像データDV1と抽出画像ビットマップデータBMD1との選択は、画像中の同じ位置に対応する画素毎に行うことができる。
【0108】
また、抽出画像ビットマップデータBMD1が図7に示すように展開されているときには、画像データDV1と抽出画像ビットマップデータBMD1との、画像中の同じ位置に対応する画素データが同時にデータセレクタ76に入力される。入力させる画素データの指定は、同期信号WSYNCに基づいて行われる。すなわち、ビデオプロセッサ62に入力される画像データDV1に同期して、抽出画像メモリ24から抽出画像ビットマップデータBMD1を読み出すことにより、画像中の同じ位置にある画素データを対応させることができる。また、座標データPDに基づいて選択信号SELをデータセレクタ76に供給することにより、入力画像に抽出画像を重畳することができる。
【0109】
書込制御部70および読出制御部72は、重畳画像データをフレームメモリ22へ書き込む際の、あるいは読み出す際の、アドレスADD1,ADD2や制御信号CTR1,CTR2を生成して、フレームメモリ22に供給する機能を有する。重畳画像データは、書込制御部70で生成されるアドレスADD1や制御信号CTR1に従ってフレームメモリ22に書き込まれる。また、フレームメモリ22に書き込まれた重畳画像データは、読出制御部72で生成されるアドレスADD2や制御信号CTR2に従って読み出される。なお、これらのアドレスや制御信号は、同期信号(WSYNCあるいはRSYNC)に基づいて生成される。
【0110】
なお、フレームメモリ22への重畳画像データの書き込みは、同期信号WSYNCに同期して行われる。また、フレームメモリ22からの重畳画像データの読み出しは、液晶ディスプレイ駆動回路14(図12)から出力される同期信号RSYNCに同期して行われる。なお、第1の同期信号WSYNCと第2の同期信号RSYNCとは互いに非同期である。もちろん、第1の同期信号WSYNCと、第2の同期信号RSYNCとして、互いに同期する信号を使用することも可能である。
【0111】
本実施例においては、上記のように、重畳画像データは、フレームメモリ22に直接書き込むことによって得られる。フレームメモリ22に書き込まれた重畳画像データは、ビデオプロセッサ62により読み出される。
【0112】
映像信号変換回路60(図12)から出力される重畳画像データDDV2は、液晶ディスプレイ駆動回路14(図12)に供給される。液晶ディスプレイ駆動回路14は、この重畳画像データDDV2に応じて、液晶ディスプレイパネル16に抽出画像が重畳された画像を表示する。液晶ディスプレイパネル16に表示された画像は、光学系100,102を用いて投写スクリーン104上に投写される。
【0113】
以上のように上記第1および第2実施例では、投写型表示装置内部において入力画像の少なくとも一部を抽出画像として抽出することができるので、入力された画像に他の画像から切り抜いた抽出画像を重畳させることができる。したがって、パーソナルコンピュータからの画像信号のみならず、ビデオレコーダやテレビから入力された画像信号についても抽出画像を抽出して入力画像に重畳させることが可能となる。また、抽出画像は、座標データPDにより、入力画像中の任意の位置に重畳可能であり、抽出画像を拡大・縮小して重畳することもできる。
【0114】
C.第3実施例:
次に、本発明の第2の態様による実施の形態を実施例に基づき説明する。
【0115】
C−1.投写型表示装置の全体構成および動作:
図15は、本発明の第2の態様による実施例としての投写型表示装置の全体構成を示すブロック図である。本実施例における投写型表示装置は、映像信号処理回路210と、オンスクリーンディスプレイ(OSD)コントローラ212と、OSDメモリ213と、液晶ライトバルブ駆動回路214と、液晶ライトバルブ216と、フレームメモリ222と、抽出画像メモリ224と、リモコン制御部28と、CPU20と、照明光学系100と、投写光学系102と、を備えている。映像信号処理回路210と、OSDコントローラ212と、抽出画像メモリ224と、リモコン制御部28と、CPU20は、バス1によって互いに接続されている。
【0116】
映像信号処理回路210は、入力されたアナログ画像信号AV1をAD変換して、AD変換された画像データをフレームメモリ222に書き込んだり、画像データをフレームメモリ222から読み出したりするための回路である。なお、アナログ画像信号AV1としては、例えば、パーソナルコンピュータから出力されたコンピュータ画面を表すRGB信号S1や、ビデオレコーダやテレビジョン受信機から出力された動画を表すコンポジット画像信号S2などの画像信号が供給される。
【0117】
図16は、映像信号処理回路210の内部構成を示すブロック図である。映像信号処理回路210は、同期分離部230と、AD変換部232と、ビデオプロセッサ234とを備えている。なお、本実施例の同期分離部230およびAD変換部232は、第1実施例(図2)の同期分離部30およびAD変換部32と同様の機能を有しているので詳細な説明は省略する。
【0118】
ビデオプロセッサ234は、フレームメモリ222への画像データの書き込み制御と読み出し制御や、抽出画像メモリ224への抽出画像データの書き込み制御と読み出し制御などの種々の画像処理を行うための回路(マイクロプロセッサ)である。ビデオプロセッサ234には、AD変換部232から出力された画像データDV1が入力される。また、ビデオプロセッサ234には、抽出画像メモリ224内に記憶されている抽出画像データCPD1と、CPU20によって生成された背景画像BGD1とを含む特定の画像データ(以下、「特定画像データ」)がバス1を介して入力される。
【0119】
図17は、ビデオプロセッサ234の内部構成の一例を示すブロック図である。ビデオプロセッサ234は、書込制御部270と、読出制御部272と、抽出制御部274と、データセレクタ276とを備えている。なお、本実施例の書込制御部270および読出制御部272は、第1実施例(図3)の書込制御部70および読出制御部72と同様の機能を有しているので詳細な説明は省略する。
【0120】
データセレクタ276には、画像データDV1と、抽出画像メモリ224に記憶されている抽出画像データBMD1やCPU20により生成された背景画像データBGDを含む特定画像データSPD1が入力され、また、選択信号SELが入力されている。なお、データセレクタ276は、RGBの各色毎に設けられている。画像データDV1と特定画像データSPD1との選択は、「通常画像表示モード」であるか「特定画像表示モード」であるかによって、選択信号SELにより制御される。これらのモードについては後述する。データセレクタ276は、選択信号SELに基づいて、画像データDV1あるいは特定画像データSPD1のどちらか一方の画像データを選択して出力する。したがって、フレームメモリ222には、通常表示モードであるか特定画像表示モードであるかに応じて、入力画像データDV1か特定画像データSPD1のどちらか一方の画像データが記憶される。なお、選択信号SELは、後述するリモコン29を用いてユーザが選択することによって、CPU20により生成される。
【0121】
なお、フレームメモリ222への画像データの書き込みは、書き込まれる画像データが入力画像データDV1の場合には、同期信号WSYNCに同期して行われる。一方、書き込まれる画像データが特定画像データSPD1の場合には、CPU20からバス1を介して書込制御部270に供給される制御信号に従って行われる。また、フレームメモリ222からの画像データの読み出しや、ビデオプロセッサ234から出力される画像データDV2の後段の回路における処理は、後述する液晶ライトバルブ駆動回路214(図15)が液晶ライトバルブ216を駆動するために最適な同期信号RSYNCに同期して行われる。この同期信号RSYNCは、ビデオプロセッサ234内に備える図示しない同期信号生成回路によって生成される。なお、第1の同期信号WSYNCと第2の同期信号RSYNCとは互いに非同期である。もちろん、第1の同期信号WSYNCと、第2の同期信号RSYNCとして、互いに同期する信号を使用することも可能である。なお、同期信号生成回路は、必ずしもビデオプロセッサ234内に備える必要はない。例えば、液晶ライトバルブ駆動回路214内に備えるようにしてもよい。また、独立して備えるようにしてもよい。
【0122】
抽出制御部274は、フレームメモリ222に書き込まれた画像データが読み出される際に、後述するようにして指定された画像データ中の指定部分のデータを抽出する機能を有する。また、抽出制御部274は、後述するようにして設定された画像の拡大/縮小率に基づいて、抽出した抽出画像データを拡大/縮小する機能を有する。また、抽出制御部274は、抽出画像データCPD1を、バス1を介して、抽出画像メモリ224に書き込む機能を有する。なお、画像データ中の切り抜き部分(抽出領域)の指定は、後述するリモコン29で行うことができる。リモコン29で画像データ中の切り抜き部分を指定することにより、CPU20が、その切り抜き部分に対応する抽出アドレスSADDを出力し、抽出制御部274は抽出アドレスSADDと、読出制御部272から出力されるアドレスADD2とに基づいて切り抜き部分の画像データを抽出する。これにより、指定された部分についての画像データのみを抽出することができる。
【0123】
フレームメモリ222に記憶された画像データDV1あるいは特定画像データSPD1は、同期信号RSYNCに同期してフレームメモリから読み出され、ビデオプロセッサ234から画像データDV2が出力される。
【0124】
図15に示す抽出画像メモリ224は、ビデオプロセッサ234内の抽出制御部274(図17)により抽出された抽出画像データCPD1を格納するためのメモリである。抽出画像データCPD1は、所定のフォーマットで抽出画像メモリ224に格納される。この所定のフォーマットに特に限定はなく、予め決められてフォーマットであればよい。例えば、抽出画像データCPD1は、圧縮データでもよいし、ビットマップデータであってもよい。抽出画像データCPD1が圧縮データである場合には、抽出画像データCPD1は、抽出画像メモリ224に書き込まれる際にCPU20あるいは抽出制御部274によって圧縮されて、抽出画像メモリ224に書き込まれる。また、抽出画像メモリ224から読み出される際に、CPU20あるいは抽出制御部274によって展開される。
【0125】
図18は、抽出画像メモリ224を示す説明図である。抽出画像メモリ224内には、1つの抽出画像データが格納されている。この格納データは、抽出画像データの内容を示す情報IDと、抽出画像データCPD1が格納されている。なお、抽出画像メモリ224には、1種類に限らず複数種類の格納データを格納することもできる。
【0126】
図15に示すOSDコントローラ212は、リモコン制御部28を介して供給されるリモコン29からの指令に基づいて、投写型表示装置の各部の機能を制御するためのメニュー画面やポインタ画像などを表すOSD画像データを生成する。OSDメモリ213には、ポインタ画像の画像データやメニュー画面を構成するグラフィックデータやフォントデータなどが所定のフォーマットで記憶されている。メニュー画面やポインタ画像などを表示する場合には、OSDコントローラ212は、OSDメモリ213から対応する画像データを読み出してOSD画像データを生成する。また、OSDコントローラ212は、このOSD画像データを映像信号処理回路210から出力された画像データDV2に合成する。OSDコントローラ212における画像データDV2とOSD画像データとの合成は、OSDコントローラ212に図示しないセレクタ回路を備えることによって行うことができる。あるいは、画像データDV2とOSD画像データとをそれぞれ所定の値で定数倍する2つの乗算器と、2つの乗算結果を加算する加算器とを備えることによって行うことができる。なお、画像データ中の切り抜き部分を指定するための画像(抽出領域指定画像)は、このOSDコントローラ212によって生成される。
【0127】
OSDコントローラ212から出力された画像データDV3は、液晶ライトバルブ駆動回路214に供給される。液晶ライトバルブ駆動回路214は、この画像データDV3に応じて、照明光学系100の照明光を液晶ライトバルブ216を介して変調する。液晶ライトバルブ216において変調された照明光は、投写光学系102によって投写スクリーン104上に投写され、投写スクリーン104には、画像が表示される。なお、この実施例における液晶ライトバルブ216が本発明の第2の態様における電気光学装置に相当し、液晶ライトバルブ駆動回路214が画像表示信号生成部に相当する。また、本発明の「投写光学系」は、狭義の投写光学系だけでなく、照明光学系を含む広義の投写光学系をも含むものである。なお、液晶ライトバルブ駆動回路214は、電気光学装置である液晶ライトバルブ216の基板上に形成し、両者を一体に構成しても構わない。
【0128】
なお、OSDコントローラ212と液晶ライトバルブ駆動回路214との間に図示しない拡大/縮小処理回路を備えて、OSDコントローラ212から出力された画像データDV3を縮小または拡大処理して表示するようにしてもよい。
【0129】
リモコン制御部28(図15)は、リモコン29からの指令に基づいて、投写型表示装置の各部の機能を制御する。リモコン制御部28によって制御されるのは、主として抽出画像に関する処理である。例えば、リモコン29からの、画像データ中の切り抜き部分の指定、抽出画像の表示・非表示などの指令に基づいて各部の機能を制御する。
【0130】
なお、映像信号処理回路210と、OSDコントローラと、リモコン制御部28の機能はハードウェアだけでなく、コンピュータプログラムによって実現することもできる。
【0131】
上記のように構成された投写型表示装置において、通常、ユーザがリモコン29によって通常画像表示モードを選択している場合には、映像信号処理回路210に外部から入力されたアナログ画像信号AV1を示すデジタル画像データDV1がフレームメモリ222に記憶され、この画像データDV1の表す画像を投写スクリーン104上に表示することができる。図19は、外部から入力された画像を投写スクリーン104上に表示した一例を示している。また、ユーザがリモコン29によって特定画像表示モードを選択した場合には、CPU20によって生成された背景画像BGD1や、抽出画像メモリ224に記憶されている抽出画像データCPD1が特定画像データSPD1としてフレームメモリ222に記憶され、このフレームメモリ222に記憶された特定画像データSPD1の表す特定画像を投写スクリーン104上に表示することができる。図20は、抽出画像メモリ224に格納されている抽出画像データCPD1と背景画像データBGD1とを含む特定画像データSPD1の表す特定画像を投写スクリーン104上に表示した一例を示している。
【0132】
なお、ユーザが特定画像表示モードを選択する場合には、抽出画像メモリ224に記憶されている複数種類の抽出画像のなかから、特定画像として表示させたい抽出画像を選択するようにすることもできる。また、抽出画像メモリ224に記憶されている複数種類の抽出画像の中からいくつかの抽出画像を順に選択して、これらの抽出画像を順番に繰り返し表示させることもできる。図21は、3種類の抽出画像データCPD1(A),CPD1(B),CPD1(C)の表す抽出画像を順に選択して投写スクリーン104に表示した一例を示している。
【0133】
上記の投写型表示装置においては、プレゼンテーションにおいて、質疑応答時や、新たな投写画像が表示されるまでに多少の時間を要する時などにおいて、プレゼンテーションに用いられる画像に代えて予め用意されている会社のロゴマークや製品画像など(特定画像)を表示してプレゼンテーション効果を高めることができる。
【0134】
なお、抽出画像メモリ224に記憶される抽出画像データCPD1は、以下に説明するように抽出することができる。
【0135】
C−2.抽出画像の抽出:
図22ないし図27は、投写型表示装置に入力される画像から抽出画像(文字列「USER LOGO」)を切り取る手順について示す説明図である。図22ないし図27の各図は、投写スクリーン104に表示されている画像を示している。
【0136】
リモコン29の図示しない「メニューキー」を押すことによりOSDコントローラ212(図15)によってメニュー画面が表示される。このメニュー画面の中から「画像抽出設定」を選択してリモコン29の「決定キー」を押すと、抽出画像設定モードが開始される。なお、以下では、上記のようにリモコン29によって画面上の言葉や領域等を選択し、リモコン29の「決定キー」を押すことを「選択決定する」という。抽出画像設定モードが開始されると、フレームメモリ222への書き込みが停止される。この停止は、抽出画像設定モードの開始に応じて行われるようにすればよい。動画像を表示しているような場合には、ユーザが選択してリモコン29を用いて停止を選択決定するようにしてもよい。
【0137】
フレームメモリ222への書き込みが停止されると、図22に示すように、その時点でフレームメモリ222に記憶されている画像がスクリーン104に表示される。また、OSDコントローラ212によって画像抽出設定画面が表示される。画像抽出設定画面には、「この画像の一部を抽出画像として使用しますか?」と表示され、現在表示されている画像から画像を抽出するか否かを決定する。なお、この選択決定された画像を抽出対象画像と呼ぶ。「いいえ」を選択決定した場合には、抽出画像設定モードが終了してメニュー画面が表示される。「はい」を選択決定した場合には、図23に示すように、OSDコントローラ212によって抽出画像を選択するための選択枠WFが表示される。この表示枠WFは、予め決定されたサイズの枠である。また、この選択枠FWは、2重の黒線枠で構成され、2つの黒線枠の間は白色画像となっている。このように構成された選択枠WFは、任意の画像に対して比較的枠の視認性が良い。従って、容易に抽出領域を判別することができ、抽出領域を容易に設定することができる。なお、ユーザがサイズを任意に設定できる枠としてもよい。この選択枠FWをリモコン29に搭載されているポインティングデバイス(例えば、上下左右キー)を用いて移動させ、抽出対象画像の中から抽出したい画像を選択決定する。
【0138】
抽出対象画像の中から抽出したい画像が選択枠FWによって選択されると、この選択された画像(以下、「選択抽出画像」と呼ぶ。)SCPDは、図24に示すように画面の中央部に移動して表示される。この選択抽出画像SCPDを除く部分は、黒色の画像でマスクされている。また、OSDコントローラ212によって画像抽出設定画面には、「この画像を使用しますか?」と表示され、現在抽出されている画像を利用するか否かを決定する。「いいえ」を選択決定した場合には、抽出画像設定モードが終了してメニュー画面が表示される。「はい」を選択決定した場合には、図25に示すように、OSDコントローラ212によって画像抽出設定画面には、「表示倍率を設定してください」と表示される。
【0139】
このとき、画像抽出設定画面上に表示されている表示倍率のいずれかを選択すると、選択抽出画像SCPDがその表示倍率で表示される。異なった表示倍率を選択すれば、その表示倍率で再表示される。これにより、異なった表示倍率を何度か選択して表示させつつ、所望の表示倍率を選択することができる。そして、実行キー(決定キー)を押すことにより、所望の表示倍率を決定する。なお、表示倍率は、任意の倍率を選択するようにしてもよい。
【0140】
抽出したい画像および表示倍率が決定されると、図26に示すようにOSDコントローラ212によって画像抽出設定画面には、「この画像を保存しますか?」と表示され、この画像を表す画像データを抽出画像メモリ224(図15)に抽出画像データCPD1として保存するか否かを決定する。「いいえ」を選択決定した場合には、抽出画像設定モードが終了してメニュー画面が表示される。「はい」を選択決定した場合には、抽出画像データCPD1の抽出画像メモリ224(図15)への保存が実行される。保存が終了すると、画像抽出画面には、「抽出画像の保存が終了しました」と表示され、抽出画像の抽出が終了する(図27)。なお、上記設定中、「メニューキー」を押すことにより、いつでもメニュー画面に戻ることができる。
【0141】
この投写型表示装置においては、上記の手順により、ユーザが画像抽出設定画面に従って、任意の抽出対象画像を選択して、容易に画像を抽出することができる。また、抽出された画像を確認しながら、抽出画像メモリ224へ格納する抽出画像データの処理条件(表示倍率)を決定することができる。
【0142】
以上の説明からわかるように、本実施例におけるビデオプロセッサ234と、OSDコントローラ212と、リモコン制御部28と、CPU20とが、本発明の第2の態様における画像抽出部および特定画像表示制御部に相当する。
【0143】
D.第4実施例
図28は、本発明の第2および第3の態様による実施例としての投写型表示装置の全体構成を示すブロック図である。この投写型表示装置は、動作条件判定部226を備えている点を除いて、第3実施例の投写型表示装置と同様の構成を有しているため、それらの説明は省略する。
【0144】
図29は、動作条件判定部226の構成を示す概略ブロック図である。動作条件判定部226は、画像信号検出部242と、装置起動検出部244と、判定部246とを備えている。画像信号検出部242には、画像信号に含まれる同期信号WSYNCが入力されており、投写型表示装置に画像信号が入力されているか否かを検出する機能を有する。装置起動検出部244には、電源電圧Vccが入力されており、投写型表示装置が起動されて投写表示可能であるか否かを検出する機能を有する。判定部246は、画像信号検出部242または装置起動検出部244で検出された検出信号D1,D2に基づいて外部から入力される画像を投写表示可能であるか否かを判定する機能を有する。
【0145】
図30は、動作条件判定部226の動作を示すタイムチャートである。図30(a)は、装置の電源電圧Vccを示している。図30(b)は、装置起動検出部244から出力される起動検出信号D2示している。図30(c)は、投写型表示装置に入力される画像信号に含まれる同期信号WSYNCを、図30(d)は、画像信号検出部242から出力される検出信号D1を示している。図30(e)は、動作条件判定信号SPDMODEを示している。
【0146】
図30(a)に示すように、電源電圧Vccが、投写型表示装置の動作を開始するために十分な電圧になると、起動検出信号D2は、図30(b)に示すように、所定の期間T2後にL(ロウ)レベルからH(ハイ)レベルに変化する。投写型表示装置に電源電圧が印加されれば、比較的短い期間で特定画像の表示は可能となる。しかし、外部から入力される画像が表示可能となるためには、さらに、内部の回路動作の基準となる同期クロックの生成等のために時間がかかる。所定の期間T2は、このような投写型表示装置に電源電圧が印加されて、特定画像の表示は可能であるが、外部から入力される画像を表示させるには不安定な期間を示している。起動検出信号D2がLレベルにあるときは、まだ表示のための準備が完了していないことを示しており、動作条件判定信号SPDMODEは、図30(e)に示すように、Lレベルとなる。動作条件判定信号SPDMODEがLレベルであることは、投写型表示装置が特定画像表示モードであることを示しており、特定画像の表示が実行される。起動検出信号D2がHレベルに変化すると、動作条件判定信号SPDMODEは、Hレベルとなる。動作条件判定信号SPDMODEがHレベルであることは、投写型表示装置が通常画像表示モードであることを示しており、入力される画像信号の表す画像が表示される。
【0147】
画像信号検出部242は、図30(c)に示すように、同期信号WSYNCが所定の周期間隔Tcで入力されているか否かを検出する。同期信号周期Tc間隔でパルス信号が入力されている場合には、図30(d)に示すように、同期検出信号D1は、Hレベルとなる。同期信号周期Tc間隔でパルス信号が検出されない場合には、所定の期間T1後に同期検出信号D1はLレベルに変化する。所定の期間T1は、検出マージンを示している。同期検出信号D1がLレベルにあるときは、図30(e)に示すように、動作条件判定信号SPDMODEは、Lレベルに変化し、特定画像の表示が実行される。
【0148】
以上のように、本実施例においては、動作条件判定部226が、投写型表示装置の起動後において投写表示可能状態にあるか否か、および、投写型表示装置に画像信号が入力されているか否かを検出し、通常画像表示モードとして入力されている画像を投写表示するか、特定画像表示モードとして第3実施例で説明した特定画像を投写表示するかを、自動的に切り替えて表示させることができる。
【0149】
以上の説明からわかるように、本実施例における動作条件判定部226が本発明の第2および第3の態様における動作条件判定部に相当する。また、ビデオプロセッサ234と、OSDコントローラ212と、CPU20とが、本発明の第2および第3の態様における画像抽出部および特定画像表示制御部に相当する。
なお、画像信号検出部242は、同期信号WSYNCによって画像信号が入力されているか否かを検出しているが、これに限定する必要はなく、種々の検出方法が考えられる。例えば、色信号や輝度信号等の画像信号を入力して、ある程度の期間画像信号が黒レベル信号のままであれば、画像信号が入力されていないと検出するようにしてもよい。
【0150】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0151】
第1ないし第4実施例では、投写型表示装置を例に説明しているが、これに限定されるものではなく、種々の画像表示装置に適用可能である。
【0152】
第1実施例においては、抽出画像の重畳は、抽出画像重畳回路12(図5)内部の2つの乗算部40,42および1つの加算部44によって行われているが、これに替えて、図14に示すデータセレクタ76を用いてもよい。これによっても、乗算部40,42の係数(k1,k2)が(1,0)あるいは(0,1)に相当する塗りつぶしの重畳効果を得ることができる。
【0153】
第1実施例においては、抽出画像の重畳は、抽出画像重畳回路12(図5)内部の2つの乗算部40,42および1つの加算部44によって行われているが、係数k1,k2がともに「1/2」のときの透明の重畳効果であれば、乗算部40,42は用いなくてもよい。すなわち、加算部44において、加算されたデータの下位1ビットを消去するようにビットシフトさせることによっても、同様の透明な重畳効果を得ることができる。
【0154】
また、第2実施例においては、抽出画像の重畳は、データセレクタ76(図14)によって行われているが、これに替えて図5に示す乗算部および加算部を用いてもよい。こうすれば、塗りつぶしの重畳効果だけでなく、透明の重畳効果を得ることができる。
【0155】
第1および第2実施例において、抽出画像ビットマップデータが、図7に示すように、画像データの1フレーム分に相当するメモリ容量が抽出画像に割り当てられて展開されるときには、座標データPDに替えてフラグを用いても同様の効果を得ることができる。すなわち、抽出画像ビットマップデータ中の抽出画像が存在する部分の画素データに、例えば、1ビットのフラグを設け、フラグの有無で抽出画像の有無を判断することができる。この場合には、フラグの有無により、第1実施例における乗算部40,42(図5)の係数k1,k2を変更でき、また、第2実施例におけるデータセレクタ76(図14)の選択を変更することができる。これにより、座標データを用いる場合と同様の効果を得ることが可能となる。
【0156】
上記第1および第2実施例においては、抽出画像ビットマップデータBMD1は抽出画像ビットマップメモリ26あるいは抽出画像メモリ24内に展開されて格納されているが、展開するのは抽出画像ビットマップメモリ26および抽出画像メモリ24に限られない。すなわち、その他の記憶領域を準備して格納してもよい。
【0157】
上記第1および第2実施例においては、抽出画像メモリ24に格納される抽出画像は、画像抽出部74により抽出された抽出画像のみが格納されているが、抽出画像メモリ24に格納される画像はこれに限られない。すなわち、他の装置で作成した画像、例えば、スキャナで読み取った画像や、パーソナルコンピュータで作成した画像を予め抽出画像メモリ24に格納してもよい。こうすれば、投写型表示装置において切り抜いた抽出画像のみでなく、他の画像を原画像に重畳させることができる。
【0158】
上記第1および第2実施例においては、入力画像に重畳させる画像は常に抽出画像メモリ24に格納されているが、入力画像に重畳させる画像は、予め抽出画像メモリ24に格納された画像に限らない。すなわち、リモコン29で描画した図形のビットマップデータを抽出画像ビットマップメモリ26に直接書き込むことにより、描画した画像を重畳させることができる。こうすれば、ユーザが描画プログラムを用いてリモコン29で指定した任意形状の描画画像、例えば、自由曲線などを重畳させることが可能となる。
【0159】
第3および第4実施例では、特定画像データSPD1をフレームメモリ222に書き込むことによって、特定画像の表示を行う場合を例に説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、特定画像データSPD1をOSDメモリ213に書き込んで、OSD画像データの表すOSD画像としてOSDコントローラ212によって表示させるようにすることもできる。
【0160】
上記第3実施例では、本発明の第2の態様における画像抽出部を用いて、任意に抽出した画像を含む特定画像を表示する場合を例に説明しているが、これに限定されるわけではない。画像抽出部を備えない投写型表示装置において、予めコンピュータを介して供給された特定画像や、記憶媒体に記憶されデータ読み取り装置を介して供給された特定画像を表示するようにしてもよい。
【0161】
上記第4実施例で説明した動作条件は、投写型表示装置が起動されて投写表示可能であるか否か、および、投写型表示装置に画像信号が入力されているか否かのみに限定されるものではなく、種々の動作条件を設定し、これに対応する判定回路を動作条件判定部に備えるようにしてもよい。
【0162】
上記第1および第2実施例においては、投写型表示装置の光変調手段として液晶ディスプレイパネル16を用いているが、これに限られない。すなわち、光変調手段としては画像データに応じて輝度変化が得られるものであればよい。例えば、画素に応じて配置された鏡面素子における反射を利用した光変調手段を用いてもよいし、通常は光変調手段と呼ばれないCRTやプラズマディスプレイパネルなどを用いてもよい。
【0163】
また、第3および第4実施例においては、投写型表示装置の電気光学デバイスとして液晶ライトバルブ216を用いているが、これに限られない。すなわち、電気光学デバイスとしては、画像信号に応じて画像を形成する光を射出する種々の装置を利用することができる。例えば、DMD(ディジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いても良いし、CRTやプラズマディスプレイパネルなどを用いてもよい。
【0164】
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0165】
産業上の利用可能性:
この発明は、投写型表示装置などの種々の画像表示装置に適用可能である。この発明を用いた投写型表示装置は、例えば、コンピュータやビデオレコーダなどから供給された画像をスクリーン上に投写するのに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の態様による第1実施例としての投写型表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 映像信号変換回路10の内部構成を示すブロック図である。
【図3】 ビデオプロセッサ34の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図4】 本実施例におけるフレームメモリ22、抽出画像メモリ24、抽出画像ビットマップメモリ26を示す説明図である。
【図5】 抽出画像重畳回路12の内部構成を示すブロック図である。
【図6】 フレームメモリ22内に記憶されている画像データと、抽出画像ビットマップメモリ26内に記憶されている抽出画像ビットマップデータBMD1との重畳処理を示す説明図である。
【図7】 抽出画像ビットマップメモリ26内に展開されている抽出画像ビットマップデータBMD1を示す説明図である。
【図8】 パーソナルコンピュータから入力された画像に抽出画像を重畳したときの投写スクリーン104上に投写された画像の一例を示す説明図である。
【図9】 パーソナルコンピュータから入力された画像に抽出画像を重畳したときの投写スクリーン104上に投写された画像の一例を示す説明図である。
【図10】 図9に示す抽出画像が展開されているときの抽出画像ビットマップメモリ26を示す説明図である。
【図11】 透明の抽出画像を重畳したときの投写画像の一例を示す説明図である。
【図12】 本発明の第1の態様による第2実施例としての投写型表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図13】 映像信号変換回路60の内部構成を示すブロック図である。
【図14】 ビデオプロセッサ62の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図15】 本発明の第2の態様による実施例としての投写型表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図16】 映像信号処理回路210の内部構成を示すブロック図である。
【図17】 ビデオプロセッサ234の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図18】 抽出画像メモリ224を示す説明図である。
【図19】 外部から入力された画像を投写スクリーン104上に表示した一例を示す説明図である。
【図20】 抽出画像メモリ224に格納されている抽出画像データCPD1と背景画像データBGD1とを含む特定画像データSPD1の表す特定画像を投写スクリーン104上に表示した一例を示す説明図である。
【図21】 3種類の抽出画像データCPD1(A),CPD1(B),CPD1(C)の表す抽出画像を順に選択して投写スクリーン104に表示した一例を示す説明図である。
【図22】 投写型表示装置に入力される画像からユーザロゴ画像を切り取る手順について示す説明図である。
【図23】 投写型表示装置に入力される画像からユーザロゴ画像を切り取る手順について示す説明図である。
【図24】 投写型表示装置に入力される画像からユーザロゴ画像を切り取る手順について示す説明図である。
【図25】 投写型表示装置に入力される画像からユーザロゴ画像を切り取る手順について示す説明図である。
【図26】 投写型表示装置に入力される画像からユーザロゴ画像を切り取る手順について示す説明図である。
【図27】 投写型表示装置に入力される画像からユーザロゴ画像を切り取る手順について示す説明図である。
【図28】 本発明の第2および第3の態様による実施例としての投写型表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図29】 動作条件判定部226の構成を示す概略ブロック図である。
【図30】 動作条件判定部226の動作を示すタイムチャートである。

Claims (7)

  1. 画像を投写して表示する投写型表示装置であって、
    表示する画像を画像データとして記憶するフレームメモリと、
    前記フレームメモリに記憶された前記画像データに基づいて画像表示信号を生成する画像表示信号生成部と、
    前記画像表示信号に応じて画像を形成する光を射出する電気光学装置と、
    前記電気光学装置が射出した光を投影する投写光学系と、を備え、
    前記投写型表示装置は、さらに、
    外部から入力された画像の中から任意に選択した抽出対象画像の少なくとも一部を抽出画像として抽出する画像抽出部と、
    前記抽出画像を表す抽出画像データを記憶する抽出画像メモリと、
    前記投写型表示装置における特定の動作条件を判定する動作条件判定部と、
    前記動作条件判定部によって前記特定の動作条件であることが検出された場合に、前記抽出画像メモリに記憶した前記抽出画像データを含む特定画像データの表す特定画像を表示画面に表示する特定画像表示制御部と、
    を備え、
    前記画像抽出部は、
    前記抽出画像を抽出するための抽出条件として少なくとも抽出領域および表示倍率を設定する抽出画像設定画面を表示させ、
    前記抽出領域を設定するための抽出領域指定画像を前記抽出対象画像に重ねて表示させ、
    前記抽出領域指定画像を用いて抽出しようとする部分を前記抽出領域として設定すると、設定された抽出領域に対応する選択抽出画像を表す選択抽出画像データを前記フレームメモリに書き込み、
    表示倍率を設定すると、設定した表示倍率で前記選択抽出画像データを拡大または縮小処理するとともに、拡大または縮小された前記選択抽出画像データを前記フレームメモリに書き込み、
    所望の前記表示倍率を決定すると、前記所望の表示倍率で拡大または縮小処理された選択抽出画像データを前記抽出画像メモリに記憶することを特徴とする投写型表示装置。
  2. 請求項1記載の投写型表示装置であって、
    前記画像抽出部は、前記抽出画像を抽出するための所定の抽出枠を表示し、
    前記所定の抽出枠は、第1の黒線枠と前記第1の黒線枠の内側に設けられた第2の黒線枠とを含み、前記第1の黒線枠と前記第2の黒線枠との間の領域は白色画像である、投写型表示装置。
  3. 請求項1または2記載の投写型表示装置であって、
    前記抽出画像メモリは、複数種類の抽出画像を表す複数種類の抽出画像データを記憶し、
    前記特定画像表示制御部は、前記特定の動作条件であることが検出された場合に、前記複数の抽出画像の中から選択された少なくとも1つの抽出画像を含む特定画像を前記表示画面に表示する、投写型表示装置。
  4. 請求項3記載の投写型表示装置であって、
    前記特定画像表示制御部は、前記複数の抽出画像のうち少なくとも2つの抽出画像を選択して順に表示する、投写型表示装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の投写型表示装置であって、
    前記動作条件判定部は、前記投写型表示装置に入力される画像信号が無入力状態であること、および、前記投写型表示装置が起動後の所定の期間内の状態であることの少なくとも一方を前記特定の動作条件として検出する、投写型表示装置。
  6. 画像を表示する画像表示装置であって、
    表示する画像を画像データとして記憶するフレームメモリと、
    前記フレームメモリに記憶した前記画像データに基づいて画像表示信号を生成する画像表示信号生成部と、
    前記画像表示信号に応じて画像を形成する光を射出する電気光学装置と、
    を備え、
    前記画像表示装置は、さらに、
    外部から入力された画像の中から任意に選択した抽出対象画像の少なくとも一部を抽出画像として抽出する画像抽出部と、
    前記抽出画像を表す抽出画像データを記憶する抽出画像メモリと、
    前記画像表示装置における特定の動作条件を判別する動作条件判定部と、
    前記動作条件判定部によって前記特定の動作条件であることが検出された場合に、前記抽出画像メモリに記憶した前記抽出画像データを含む特定画像データの表す特定画像を表示画面に表示する特定画像表示制御部と、
    を備え、
    前記画像抽出部は、
    前記抽出画像を抽出するための抽出条件として少なくとも抽出領域および表示倍率を設定する抽出画像設定画面を表示させ、
    前記抽出領域を設定するための抽出領域指定画像を前記抽出対象画像に重ねて表示させ、
    前記抽出領域指定画像を用いて抽出しようとする部分を前記抽出領域として設定すると、設定された抽出領域に対応する選択抽出画像を表す選択抽出画像データを前記フレームメモリに書き込み、
    表示倍率を設定すると、設定した表示倍率で前記選択抽出画像データを拡大または縮小処理するとともに、拡大または縮小された前記選択抽出画像データを前記フレームメモリに書き込み、
    所望の前記表示倍率を決定すると、前記所望の表示倍率で拡大または縮小処理された選択抽出画像データを前記抽出画像メモリに記憶することを特徴とする画像表示装置。
  7. 投写型表示装置を用いて画像を表示する方法であって、
    入力される抽出対象画像の少なくとも一部を抽出画像として抽出する工程と、
    前記抽出画像を表す抽出画像データを準備する工程と、
    前記投写型表示装置における特定の動作条件を判定する工程と、
    前記判定工程において前記特定の動作条件であることが検出された場合に、前記抽出画像データを含む特定画像データの表す特定画像を表示画面に表示する工程と、
    を備え、
    前記抽出工程は、
    前記抽出画像を抽出するための抽出条件として少なくとも抽出領域および表示倍率を設定する抽出画像設定画面を表示させ、
    前記抽出領域を設定するための抽出領域指定画像を前記抽出対象画像に重ねて表示させ、
    前記抽出領域指定画像を用いて抽出しようとする部分を前記抽出領域として設定すると、設定された抽出領域に対応する選択抽出画像を表す選択抽出画像データを表示させ、
    表示倍率を設定すると、設定した表示倍率で前記選択抽出画像データを拡大または縮小処理するとともに、拡大または縮小された前記選択抽出画像データを表示させ、
    所望の前記表示倍率を決定すると、前記所望の表示倍率で拡大または縮小処理された選択抽出画像データを記憶する工程を含むことを特徴とする表示方法。
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