JP3838484B2 - 鋼管矢板の継手およびその施工法 - Google Patents

鋼管矢板の継手およびその施工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管矢板の継手に関し、特にCT形鋼とパイプを組合せた型の鋼管矢板の継手の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来埋立地の護岸壁、防波堤等を構築するために、複数本の鋼管を並列に連続して打設することにより構成する鋼管矢板が使用されている。鋼管矢板の隣合う鋼管を相互に接続する継手として、図2の平面図に示すように、隣合う1対の鋼管A,Bの対向面側において一方の鋼管Bには該鋼管に沿って延長するCT形鋼aが溶接固定され、他方の鋼管AにはCT形鋼挿入溝cが長手方向に形成されたパイプbが該鋼管Aに沿って延長するようにして溶接固定され、CT形鋼aがパイプb内に収容されてなる型のものがある。この継手のパイプb内にコンクリートdを流し込むことにより、CT形鋼aをパイプbに対し固定するとともに鋼管A,B間を遮水する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この継手においては、コンクリート凝固後の温度変化や地震や地盤の不等沈下等の外力による隣合う両鋼管の相対的変位によりコンクリートにヒビ割れeが生じ、このヒビ割れeを伝って埋立地側の有害な廃棄物浸出水が海側に流出するという問題を生じる。また、生コンクリート充填時に、CT形鋼挿入溝cから生コンクリートからの汚濁水が流出するという問題がある。
【0004】
本発明は、上記従来の鋼管矢板の継手の問題点にかんがみなされたものであって、継手のパイプ内に充填されるコンクリートのヒビ割れから生じる廃棄物浸出水の漏出や生コンクリート充填の際の汚濁水の流出を防止することができる継手およびその施工法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決する手段】
上記目的を達成する本発明の鋼管矢板の継手は、鋼管矢板の隣合う1対の鋼管を接続する継手であって、該1対の鋼管の対向面側において一方の鋼管には該鋼管に沿って延長するCT形鋼が固定され、他方の鋼管にはCT形鋼挿入溝が長手方向に形成されたパイプが該鋼管に沿って延長するようにして固定され、該CT形鋼が該パイプ内に収容されてなる継手において、ゴム・合成樹脂等の弾性体からなり、該パイプの内径よりも大きい幅を有し、一方の側面に長手方向に延長する複数条の止水用突条を備える止水板を、該複数条の止水用突条を該CT形鋼の外側の面に当接させるとともに該止水板の幅方向両端部を該突条が設けられた側と反対側に挿入に支障のない程度の反撥力で折り曲げるようにして該パイプ内に挿入することにより、該折り曲げられた両端部に作用する反撥力により該両端部を該パイプの内周面に圧接させたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明の一側面においては、2条の該止水用突条の間の止水板の面に該突条の高さよりも僅かに小さい厚みを有する水膨張ゴムを接着する。
【0007】
本発明の一側面においては、鋼管矢板の隣合う1対の鋼管を接続する継手であって、該1対の鋼管の対向面側の一方の鋼管には該鋼管に沿って延長するCT形鋼が固定され、他方の鋼管にはCT形鋼挿入溝が長手方向に形成されたパイプが該鋼管に沿って延長するようにして固定され、該CT形鋼が該パイプ内に収容されてなる継手の施工法において、ゴム・合成樹脂等の弾性体からなり、該パイプの内径よりも大きい幅を有し、一方の側面に長手方向に延長する複数条の止水用突条を備える止水板を、該複数条の止水用突条を該CT形鋼の外側の面に当接させるとともに該止水板の幅方向両端部を該突条が設けられた側と反対側に挿入に支障のない程度の反撥力で折り曲げるようにして該パイプ内に挿入することにより、該折り曲げられた両端部に作用する反撥力により該両端部を該パイプの内周面に圧接させたことを特徴とする鋼管矢板の継手の施工法が提供される。
【0008】
該施工法の1態様は、該隣合う1対の鋼管を打設した後、該止水板を該パイプ内に挿入し、次いで該止水板の該突条が形成された面と反対側の面と該止水板の幅方向両端の間の該パイプの内周面との間に画成される空間内にコンクリート等の充填材を充填することを特徴とする。
【0009】
該施工法の他の態様は、該一方の鋼管に固定されたCT形鋼の外側の面に該複数の突条が当接するようにして該止水板を該CT形鋼の下端部にのみ固定し、該パイプが固定された鋼管を打設した後該CT形鋼を該パイプ内に止水板とともに引き込んで収容するようにして該CT形鋼が固定された鋼管を打設することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の側面においては、鋼管矢板の隣合う1対の鋼管を接続する継手であって、該1対の鋼管の対向面側において一方の鋼管には該鋼管に沿って延長するCT形鋼が固定され、他方の鋼管にはCT形鋼挿入溝が長手方向に形成されたパイプが該鋼管に沿って延長するようにして固定され、該CT形鋼が該パイプ内に収容されてなる継手の該パイプ内に挿入される止水板であって、ゴム・合成樹脂等の弾性体からなり、該パイプの内径よりも大きい幅を有し、一方の側面に該CT形鋼の外側の面に当接させるための長手方向に延長する複数条の止水用突条を備えることを特徴とする鋼管矢板の継手用止水板が提供される。
【0011】
本発明の一側面においては、該止水板の両端部は該止水用突条が設けられた側と反対側に傾斜しており、該両端部をさらに内側に折り曲げることによって生じる反撥力を調節するための1または複数の曲げ反撥力調節溝が長手方向に延長するようにして形成されていることを特徴とする鋼管矢板の継手用止水板が提供される。
【0012】
本発明の一側面においては、該止水板の両端部は該止水用突条が設けられた側と反対側に傾斜しており、該両端部をさらに内側に折り曲げることによって生じる反撥力を調節するため両端に向けて厚みが漸減するテーパ状に形成されていることを特徴とする鋼管矢板の継手用止水板が提供される。
【0013】
【作用】
本発明によれば、止水板の複数条の止水用突条をCT形鋼の外側の面に当接させるとともに止水板の幅方向両端部を該突条が設けられた側と反対側に折り曲げるようにしてパイプ内に挿入することにより、折り曲げられた両端部に作用する反撥力により両端部をパイプの内周面に圧接させるとともに該複数の突条を該CT形鋼の外側の面に圧接させ、これによって止水用突条とCT形鋼の外側の面との間、および止水板の幅方向両端部とパイプ内周面との間において止水が行なわれる。したがって、止水板の下端部をCT形鋼にボルト止め等により固定することにより止水板の折り曲げられた両端部に作用する反撥力が充分に強くても止水板をパイプ内に挿入することが可能なように設計すれば、パイプ内にコンクリート等の充填材を充填する必要はなく、また、止水板の突条をCT形鋼に対しより強く圧接するために充填材を充填する場合でも、止水板の突条が設けられた面と反対側だけのパイプ内に充填材を充填すれば足りるので、パイプのCT形鋼挿入溝から生コンクリートの汚濁水が流出するおそれがなく、また充填したコンクリートに後日ヒビ割れが生じたとしても、このヒビ割れを伝って廃棄物浸出水が海側に流出するおそれもない。
【0014】
また、本発明の1施工法においては、止水板のCT形鋼の突条が形成された面と反対側の面と止水板の幅方向両端の間のパイプの内周面との間に画成される空間内にコンクリート等の充填材を充填することにより、止水板の突条がCT形鋼の外側の面に対しより強く圧接され、止水機能を向上することができる。
【0015】
また、本発明の他の施工法においては、一方の鋼管に固定されたCT形鋼の外側の面に複数の突条が当接するようにして止水板をCT形鋼に固定し、パイプが固定された鋼管を打設した後、CT形鋼がパイプ内に収容されるようにしてCT形鋼が固定された鋼管を打設することにより、止水板の突条はCT形鋼の外側の面に対し強く圧接され、充分に止水機能を発揮するので、鋼管打設後にコンクリート等の充填材を充填する必要がない。したがって、隣合う鋼管が相対変位する場合に止水を損なうことなく両鋼管間の間隙の変化により大きく追随することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の実施の態様について説明する。
【0017】
図1および図3は本発明に係る鋼管矢板の継手の1実施態様を示すもので、図1はその概略を示す平面図、図3は止水板をその両端部を折り曲げない状態で示す拡大平面図である。
【0018】
鋼管矢板の隣合う1対の鋼管A,Bを接続する継手1において、該1対の鋼管A,Bの対向面側において一方の鋼管Bには該鋼管に沿って延長するCT形鋼2が基部2aの端部において溶接固定され、他方の鋼管AにはCT形鋼挿入溝4が長手方向に形成されたパイプ3が、該CT形鋼挿入溝4が鋼管Bに面するようにして、鋼管Aに沿って延長するように配置されて溶接固定され、CT形鋼2はその基部2aがCT形鋼挿入溝4に挿入された状態でパイプ3内に収容されている。
【0019】
止水板5は、ゴム・合成樹脂等の弾性体からなり、鋼管A,B中、止水が必要な部分の長さに相当する長さと、パイプ3の内径よりも所定の寸法だけ大きい幅を有し、一方の側面に長手方向に延長する複数条(図示の例では2条)の止水用突条6を備えている。止水板5は,これら複数条の止水用突条6がCT形鋼2の外側の面2bに当接するとともに止水板5の幅方向両端部5aが突条6が設けられた側と反対側に折り曲げられてパイプ3内に挿入されており、折り曲げられた両端部5aに作用する反撥力により両端部5aがパイプ3の内周面に圧接されるとともに、突条6がCT形鋼2の外側の面2bに圧接されている。
【0020】
図示の実施形態において、止水板5の両端部5aは、図3に示すように、複数の突条6が設けられた中央部5bと同じ厚みを有し、中央部5bの両端から突条6が設けられた側と反対側に約60度傾斜している。両端部5aの中央部の内側には、両端部5aをさらに内側に折り曲げることによって生じる反撥力をパイプ3内への挿入に支障のない程度の所望の値に調整するための曲げ反撥力調節溝5cが長手方向に延長するようにして設定されている。
【0021】
2条の突条6の間の止水板5の面には、止水板5の止水機能をさらに高めるため水膨張ゴム7が接着されている。この水膨張ゴム7の厚みは止水用突条6の高さよりも僅かに小さい値に形成されている。
【0022】
この継手1を施工するには、まず鋼管Aを打設した後、鋼管Bを、CT形鋼2の基部2aがパイプ3のCT形鋼挿入溝4に挿入されるようにして吊降すことによってCT形鋼2がパイプ3内に収容される状態で打設する。次に、止水板5を、複数条の止水用突条6がCT形鋼2の外側の面2bに当接するようにして、かつ止水板5の幅方向両端部5aを曲げ反撥力調節溝5が形成された部分において図3の状態から内側に折り曲げるようにして該両端部を該パイプ内に押し込み挿入する。次いで止水板5の突条6が形成された面と反対側の面5dと止水板5の幅方向両端5e(図3)の間のパイプ3の内周面との間に画成される空間内にコンクリート、砂、アスフアルト等の充填材8を充填し、養生することにより施工を完了する。この実施形態においては、止水板5の押し込みが容易なように曲げ反撥力調節溝5cの深さを調節して曲げ反撥力を調節することにより、施工を簡単で容易にすることができる。この場合曲げ反撥力の弱さは充填材の充填により補うことができる。
【0023】
次に、この継手の動作について説明する。
【0024】
施工時において、充填材としてコンクリートを充填する場合に、コンクリートは止水板5の突条6が形成された面と反対側の面5dと止水板5の幅方向両端5eの間のパイプ3の内周面との間に画成される空間内にのみ充填され、パイプ3のCT形鋼挿入溝4側には充填されないので、生コンクリートがCT形鋼挿入溝4とCT形鋼2の基部2aの間の隙間から流出することはない。
【0025】
施工後においては、止水板5の折り曲げられた両端部5aに作用する反撥力により両端部5aがパイプ3の内周面に圧接されるとともに複数の突条6がCT形鋼2の外側の面2bに圧接され、これによって突条6とCT形鋼2の外側の面2bとの間、および止水板5の幅方向両端部5aとパイプ3の内周面との間において止水が行なわれる。充填材8はその押圧力により止水板5の両端部5aをパイプ3の内周面に対しいっそう強く圧接するとともに、突条6をCT形鋼2の外側の面2bに対しいっそう強く圧接する。
【0026】
また、施工後の鋼管A,B間の相対変位により充填材8のコンクリートにヒビ割れが生じたとしても、止水板5の両端部5aおよび突条6における止水は損なわれないので、このヒビ割れを伝って廃棄物浸出水が埋立地側から海側に流出するおそれもない。
【0027】
また、鋼管A,B間の相対変位に対しては、止水板5の突条6および水膨張ゴム7が追従して伸縮するので、止水を維持することができる。
【0028】
図4は、上記実施形態において使用される止水板の変更例を示す平面図である。なお、この変更例および以下説明する各実施形態において、図1および図3の実施形態と同一の構成要素は同一符号で表し、説明を省略する。
【0029】
図4の例において、止水板5の両端部5aはその厚みが基部においては中央部5bと同一であるが、両端5eに向けて漸減するテーパ状に形成されており、図3の止水板5の曲げ反撥力調節溝5cは設けられていない。この止水板5は、両端部5aの曲げ反撥力はテーパの度合いによって調節される。すなわち、両端部5aの厚みを両端5eに向けて小さくすれば曲げ反撥力は小さく、厚みを大きくすれば曲げ反撥力は大きい。
【0030】
図5は、図3の止水板5の変更例を示す平面図で、この例においては、曲げ反撥力調節溝5cを4条形成するほかに反対側の面にも曲げ反撥力調節溝5fを4条形成することにより止水板5を押し込み易くしている。
【0031】
図13は図1〜図3の実施形態の1変更例を示すもので、止水板5の下端部および中間部の正面図である。この例においては、止水板5の中央部5bの下端部、および必要に応じ下端部に加えて中間部に、所望の重量の鋼板11がボルト12により取付けられており、この鋼板11は錘として止水板5をパイプ3内に挿入することを容易にする機能を果たすものである。また、この変更例においては、同様に止水板5のパイプ3内への挿入を容易にするために、止水板5の下端部にテーパ13がつけられている。
【0032】
図6〜図8は、本発明の他の実施形態を示すもので、図6はその概略を示す平面図、図7は止水板のCT形鋼に対する取付状態を拡大して示す平面図、図8は止水板をその両端部を折り曲げない状態で示す拡大平面図である。
【0033】
この実施形態において、止水板5はその中央部5bの一端部(図示の例においては図中左側の部分)において上下方向下端部の1箇所または数箇所のみにボルト挿通孔5f(図8)が形成されており、一方CT形鋼2の下端部の対応する箇所にもボルト挿通孔(図示せず)が形成されている。止水板5は、これら止水板5とCT形鋼2のボルト挿通孔に挿通されたボルト9によりCT形鋼2に固定されている。
【0034】
ボルト9による固定箇所の止水板幅方向両側には1対の止水用突条6が止水板5の長手方向に延長するようにして設けられている。
【0035】
この継手を施工する場合は、予め工場において、鋼管Bに固定されたCT形鋼2の外側の面6に突条6が当接するようにして止水板5をCT形鋼2の下端部にボルト止めし、パイプ3が固定された鋼管Aを打設した後、CT形鋼2がパイプ3内に引き込まれて収容されるようにし、かつ止水板5の両端部5aが内側に折り曲げられるようにしてCT形鋼2が固定された鋼管Bを打設する。なお、図示の例においては、ボルト止めは止水板5の中央部5bの図中左側だけで行っているが、左右両側の下端部で行ってもよい。
【0036】
止水板5の海底に面する下端部は、めくれないようにガイド板を取付けるか、挿入長さを考慮して止水板5の長さを短くする等の配慮が必要である。
【0037】
図1に示す実施形態においては、止水板5をパイプ3内に押し込み挿入する際に止水板5の幅を狭めて挿入する動作は主として止水板5の自重により行なうので、止水板5の反撥力をあまり大きくすると止水板5の幅を狭めることが困難となるため止水板5の反撥力を比較的に小さく設計せざるを得ないが、図6〜図8の実施形態においては、止水板5を予め鋼管に固定されたCT形鋼に取付けるので、止水板5をパイプ3内に押し込み挿入する動作は止水板5の自重よりもはるかに大きい鋼管の自重により強制的に行なわれるので、止水板5の反撥力を大きく設計しても止水板5の幅を容易に狭めながら止水板5を挿入することができる。したがって、この実施形態においては、止水板5の幅方向端部とパイプ3内周面との間のシールを確実に行なうことができ、また止水用突条とCT形鋼の外側の面との間のシールは止水板5をCT形鋼2にボルト止めすることにより充分達成されているので、止水板5の突条が設けられた面と反対側のパイプ3内の空間に充填材を充填する必要がない。ただし、止水板5による止水機能をさらに向上させるためこの空間に充填材を充填してもよい。
【0038】
また、図6〜図8の実施形態においては、止水板5のパイプ3内への押し込みを容易にするため止水板5をその下端部のみにおいてCT形鋼2にボルト止めしているので、止水板5をその全長にわたりCT形鋼2にボルト止めする場合に比べてはるかに取付けの手間が省ける一方止水板5の押し込みに鋼管の自重を利用できるので止水板5の反撥力を充分大きくとることができ止水機能を高めることができる。
【0039】
図9はこの実施形態において使用される止水板の変更例を示す平面図で、図4の例と同様に止水板5の両端部5aの厚みを中央部5bの厚みよりも両端5eに向けて漸減するように形成したものである。曲げ反撥力はテーパの度合いを調節することにより調節することができる。
【0040】
図10および図11は止水板をCT形鋼に予め固定する実施形態の変更例を示すもので、図10は止水板のCT形鋼に対する取付状態を拡大して示す平面図、図11は止水板をその両端部を折り曲げない状態で示す拡大平面図である。
【0041】
この変更例においては、ボルト止めではなく、面フアスナー10を使用して止水板5をCT形鋼2に取付け固定している。その施工法および動作は図7〜図10の実施形態と同様である。
【0042】
上記止水板をCT形鋼に固定する型の実施形態において、止水板をCT形鋼に取付け固定する手段としては種々のものがあり、固定手段には特に限定はない。
【0043】
上記各実施形態においては、止水板5はいずれも両端部5aが中央部5bの両端から突条6が設けられた面と反対側に傾斜するように形成されているが、これに限らず、図12に示すように、止水板5を直線状に形成することもできる。ただし両端部5aを傾斜させた方がパイプ3内に挿入する際に折り曲げやすいので好ましい。
【0044】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、止水板の複数条の止水用突条をCT形鋼の外側の面に当接させるとともに止水板の幅方向両端部を該突条が設けられた側と反対側に折り曲げるようにしてパイプ内に挿入することにより、折り曲げられた両端部に作用する反撥力により両端部をパイプの内周面に圧接させるとともに該複数の突条を該CT形鋼の外側の面に圧接させ、これによって止水用突条とCT形鋼の外側の面との間、および止水板の幅方向両端部とパイプ内周面との間において止水が行なわれる。したがって、止水板の下端部をCT形鋼にボルト止め等により固定することにより止水板の折り曲げられた両端部に作用する反撥力が充分に強くても止水板をパイプ内に挿入することが可能なように設計すれば、パイプ内にコンクリート等の充填材を充填する必要はなく、また、止水板の突条をCT形鋼に対しより強く圧接するために充填材を充填する場合でも、止水板の突条が設けられた面と反対側だけのパイプ内に充填材を充填すれば足りるので、パイプのCT形鋼挿入溝から生コンクリートの汚濁水が流出するおそれがなく、また充填したコンクリートに後日ヒビ割れが生じたとしても、このヒビ割れを伝って廃棄物浸出水が海側に流出するおそれもない。
【0045】
また、本発明の1施工法においては、止水板のCT形鋼の突条が形成された面と反対側の面と止水板の幅方向両端の間のパイプの内周面との間に画成される空間内にコンクリート等の充填材を充填することにより、止水板の突条がCT形鋼の外側の面に対しより強く圧接され、止水機能を向上することができる。
【0046】
また、本発明の他の施工法においては、一方の鋼管に固定されたCT形鋼の外側の面に複数の突条が当接するようにして止水板をCT形鋼に固定し、パイプが固定された鋼管を打設した後CT形鋼がパイプ内に収容されるようにしてCT形鋼が固定された鋼管を打設することにより、止水板の突条はCT形鋼の外側の面に対し強く圧接され、充分に止水機能を発揮するので、鋼管打設後にコンクリート等の充填材を充填する必要がない。したがって、隣合う鋼管が相対変位する場合に止水を損なうことなく両鋼管間の間隙の変化により大きく追随することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鋼管矢板の継手の1実施形態を示す平面図である。
【図2】従来の鋼管矢板の継手を示す平面図である。
【図3】上記本発明の実施形態において使用する止水板の拡大平面図である。
【図4】止水板の変更例を示す平面図である。
【図5】止水板の変更例を示す平面図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す平面図である。
【図7】止水板のCT形鋼に対する取付状態の1例を示す平面図である。
【図8】同実施形態において使用する止水板の拡大平面図である。
【図9】同実施形態において使用する止水板の変更例を示す平面図である。
【図10】止水板のCT形鋼に対する取付状態の他の例を示す平面図である。
【図11】同変更例において使用する止水板の拡大平面図である。
【図12】止水板の他の変更例を示す平面図である。
【図13】止水板の他の変更例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 鋼管矢板の継手
2 CT形鋼
3 パイプ
4 CT形鋼挿入溝
5 止水板
5a 止水板の両端部
6 止水用突条
7 水膨張ゴム
8 充填材
9 ボルト
10 面フアスナー

Claims (9)

  1. 鋼管矢板の隣合う1対の鋼管を接続する継手であって、該1対の鋼管の対向面側において一方の鋼管には該鋼管に沿って延長するCT形鋼が固定され、他方の鋼管にはCT形鋼挿入溝が長手方向に形成されたパイプが該鋼管に沿って延長するようにして固定され、該CT形鋼が該パイプ内に収容されてなる継手において、ゴム・合成樹脂等の弾性体からなり、該パイプの内径よりも大きい幅を有し、一方の側面に長手方向に延長する複数条の止水用突条を備える止水板を、該複数条の止水用突条を該CT形鋼の外側の面に当接させるとともに該止水板の幅方向両端部を該突条が設けられた側と反対側に挿入に支障のない程度の反撥力で折り曲げるようにし該パイプ内に挿入することにより、該折り曲げられた両端部に作用する反撥力により該両端部を該パイプの内周面に圧接させたことを特徴とする鋼管矢板の継手。
  2. 2条の該止水用突条の間の止水板の面に該突条の高さよりも僅かに小さい厚みを有する水膨張ゴムを接着したことを特徴とする請求項1記載の鋼管矢板の継手。
  3. 鋼管矢板の隣合う1対の鋼管を接続する継手であって、該1対の鋼管の対向面側において一方の鋼管には該鋼管に沿って延長するCT形鋼が固定され、他方の鋼管にはCT形鋼挿入溝が長手方向に形成されたパイプが該鋼管に沿って延長するようにして固定され、該CT形鋼が該パイプ内に収容されてなる継手の施工法において、ゴム・合成樹脂等の弾性体からなり、該パイプの内径よりも大きい幅を有し、一方の側面に長手方向に延長する複数条の止水用突条を備える止水板を、該複数条の止水用突条を該CT形鋼の外側の面に当接させるとともに該止水板の幅方向両端部を該突条が設けられた側と反対側に挿入に支障のない程度の反撥力で折り曲げるようにして該両端部を該パイプ内に挿入することにより、該折り曲げられた両端部に作用する反撥力により該両端部を該パイプの内周面に圧接させることを特徴とする鋼管矢板の継手の施工法。
  4. 該隣合う1対の鋼管を打設した後、該止水板を該パイプ内に挿入し、次いで該止水板の該突条が形成された面と反対側の面と該止水板の幅方向両端の間の該パイプの内周面との間に画成される空間内にコンクリート等の充填材を充填することを特徴とする請求項3記載の鋼管矢板の継手の施工法。
  5. 該止水板の少なくとも下端部に錘を取付けたことを特徴とする請求項4記載の鋼管矢板の継手の施工法。
  6. 該一方の鋼管に固定されたCT形鋼の外側の面に該複数の突条が当接するようにして該止水板を該CT形鋼の下端部のみに固定し、該パイプが固定された鋼管を打設した後該CT形鋼を該パイプ内に止水板とともに引き込んで収容するようにして該CT形鋼が固定された鋼管を打設することを特徴とする請求項3記載の鋼管矢板の継手の施工法。
  7. 鋼管矢板の隣合う1対の鋼管を接続する継手であって、該1対の鋼管の対向面側において一方の鋼管には該鋼管に沿って延長するCT形鋼が固定され、他方の鋼管にはCT形鋼挿入溝が長手方向に形成されたパイプが該鋼管に沿って延長するようにして固定され、該CT形鋼が該パイプ内に収容されてなる継手の該パイプ内に挿入される止水板であって、ゴム・合成樹脂等の弾性体からなり、該パイプの内径よりも大きい幅を有し、一方の側面に該CT形鋼の外側の面に当接させるための長手方向に延長する複数条の止水用突条を備えることを特徴とする鋼管矢板の継手用止水板。
  8. 該止水板の両端部は該止水用突条が設けられた側と反対側に傾斜しており、該両端部をさらに内側に折り曲げることによって生じる反撥力を調節するための1または複数の曲げ反撥力調節溝が長手方向に延長するようにして形成されていることを特徴とする請求項7記載の鋼管矢板の継手用止水板。
  9. 該止水板の両端部は該止水用突条が設けられた側と反対側に傾斜しており、該両端部をさらに内側に折り曲げることによって生じる反撥力を調節するため両端に向けて厚みが漸減するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項7記載の鋼管矢板の継手用止水板。
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