JP4343080B2 - 連続地中壁 - Google Patents

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本発明は、地盤を掘削する際に山留めなどに使用される連続地中壁に関するものである。
従来、図6に示すような地盤1を掘削する際に山留めとして使用される柱列式の連続地中壁7が知られている(特許文献1など参照)。
この連続地中壁7は、地盤1を円柱状に掘削、撹拌しながらセメント系の固化材を添加して固化部2を形成すると共に、硬化する前の流動化した固化部2にH型鋼芯材3を挿入して構築する。
この固化部2は、隣接する円柱が重複するように連続して形成され、複数の円柱の略中央にH型鋼芯材3,・・・がそれぞれ埋設される。
このように構築された連続地中壁7は、山留め壁として使用される。まず、連続地中壁7の内側面に沿って掘削を行なって掘削部6を形成し、連続地中壁7の内側面側にH型鋼材製の腹起4を横架させる。
この腹起4は、同じくH型鋼材製の切梁5,・・・によって支持させる。この切梁5,・・は、通常、対面する山留め壁との間に介在させて、連続地中壁7を掘削部6側から支持する部材であり、切梁5,・・・に発生する軸方向の力によって掘削部6側への外側面側地盤1の移動が制限される。
さらに、油圧ジャッキを切梁5と腹起4との間に介在させて、変形が発生する前に予め油圧ジャッキを伸長させて、連続地中壁7に支圧力(プレロード)を与えて山留め壁の変形を抑える方法がある(特許文献2など参照)。
一方、地盤1に掘削した溝に鉄筋コンクリート製の剛性の高いコンクリート壁を構築して山留め壁とする場合もある。
また、掘削部6底盤となる地盤1を掘削する前に地盤改良をすることによって、山留め壁の倒壊や掘削部6底盤の盤膨れを防ぐ場合もある。さらに、連続地中壁7の根入れ部を地盤1の深部まで延長して山留め壁を安定させる場合もある。
特開平10−183607号公報(図8、0002段落) 特開平8−193330号公報(図7)
しかしながら、前記した従来の柱列式の連続地中壁7は、固化部2の中に不連続に埋設されるH型鋼芯材3,・・・と、地盤1と固化材を撹拌して形成された固化部2とによって構成されるため、比較的剛性が小さく、変形も大きくなる傾向にあるため、切梁5,・・・のサイズを大きくしたり、本数を増やしたりするなどして変形を抑える必要がある。
また、前記した油圧ジャッキを使用する方法では、切梁5,・・・毎に油圧ジャッキを設置する工程が発生し、手間がかかる。また、重量の大きな油圧ジャッキが掘削面の上空に配置されることになるため、安全面の配慮が必要である。
さらに、切梁5,・・・を掘削部6に配置する山留め工法では、切梁5,・・・が掘削部6内でのその後の作業の支障になるため、作業効率が低下する。
そして、前記したコンクリート壁を使用する場合であっても、変形がほとんど発生しない状態にするには、壁厚を相当程度厚くして剛性を高める必要があるので材料費などの工費が増加する。
また、予め地盤改良を行なう方法及び根入れ部を延長する方法では、地盤改良費用又は延長工事費用が別途、必要になる上に、工期が延長されることになり、工費及び工期が増加する。
そこで、本発明は、壁体に一体化された支持機能を設けることによって、壁体自体の安定性を向上させた連続地中壁を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、発明は、地盤と固化材が撹拌される又は掘削孔に液状固化材が充填されることによって形成される固化部と、その固化部に埋設される芯材部とによって形成され、地盤を掘削する際の山留めとして使用される連続地中壁であって、壁体の幅方向に間隔を置いて、その壁体の外側面側の地盤に向けた連結部を前記芯材部に設け、その連結部に鋼矢板を連結して前記壁体から突出する方向に該鋼矢板を壁状に延設させたことを特徴とする。
また、前記鋼矢板は、地盤と固化材が撹拌される又は掘削孔に液状固化材が充填されることによって形成される支持用固化部に埋設された構成とすることができる。
さらに、前記芯材部は、並列に立設された複数のH型鋼材によって形成され、前記壁体の内側面側の地盤を掘削した際に、複数のH型鋼材に跨る横材を前記内側面側に配置し、前記連結部を設けたH型鋼材と該横材とを接合させることもできる。
このように構成された発明は、前記壁体の外側面側に、前記連結部を介して支持用芯材が連結され、その支持用芯材は前記壁体から突出する方向に延設されている。
ここで、前記壁体の外側面側に前記支持用芯材が延設されている場合は、その壁体は前記支持用芯材によって引き止められることになるため、掘削によって前記壁体に作用する土圧が増加しても壁体の変形を抑えることができる。
さらに、前記支持用芯材の周囲に生じる摩擦抵抗によって、その支持用芯材周囲の地盤の土圧が低減され、前記壁体に作用する土圧が低減されるので、壁体の変形を抑えることができる。
また、前記壁体の内側面側に前記支持用芯材が延設されている場合は、前記壁体の前面が前記支持用芯材によって支えられることになるため、掘削によって上方から徐々に前記支持用芯材が撤去されていったとしても、前記壁体の前面下部が支えられることによって前記壁体の転倒を防ぐことができる。
このように、前記壁体に一体化された支持機能を設けることによって連続地中壁の安定性を向上させることができる。
また、請求項2に記載されたものは、前記支持用芯材が支持用固化部に埋設されている。
このように前記支持用芯材と地盤との間に前記支持用固化部を介在させることで、前記支持用芯材の周囲の付着力が増加すると共に、前記地盤との接触面積も増加するため、間接的に前記支持用芯材の摩擦抵抗を増加させることができる。
このため、前記支持用芯材の前記壁体の変形を抑制する耐力が増加し、より大きな土圧に対しても前記壁体を安定させることができる。また、前記固化部と同じ方法によって支持用固化部を形成することができるので、施工機械を共用でき、作業の効率化、工費の削減を図ることができる。
さらに、請求項3に記載されたものは、前記芯材部が並列に立設された複数の柱状芯材によって形成されて、その内側面側に前記連結部を設けた柱状芯材と接合された横材が架け渡されている。
このため、前記支持用芯材と前記柱状芯材と前記横材が力学的に一体化されて土圧に対抗することになって、切梁を設置しなくとも前記壁体の変形を抑えることができる。この結果、掘削部に切梁が交錯することがなく、効率的に掘削部内での作業をおこなうことができる。
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
図1乃至図3は、本実施の形態による連続地中壁10の構成を示した図である。
まず、構成から説明すると、このような本実施の形態の連続地中壁10は、固化部12とその固化部12に埋設される芯材部としての柱状芯材13,・・・とによって形成される壁体11と、その壁体11の幅方向に間隔を置いて壁体11の外側面側から突出する方向に延設される支持体18,・・・とから主に構成される。
この連続地中壁10は、地盤1の掘削を行なう前に予め地中に構築される。そして、この壁体11は、壁体11の内側面側の掘削部6と外側面側の地盤1とを仕切るように境界部に形成され、その下端は図3に示すように掘削完了時の掘削底面6aの位置よりも深くして、前記壁体11が転倒することのないように構築される。
さらに、壁体11の固化部12は、オーガスクリュー等によって地盤1を円柱状に掘削、撹拌し、その際にセメント系の固化材を添加して撹拌を続けることによって形成される。この添加される固化材は、粉状又は液状であって、撹拌直後の固化部12は流動化している。
そこで、この固化部12が硬化する前に、柱状芯材13を円柱の略中央に挿入して埋設させる。この柱状芯材13には、例えばH型鋼材や鋼管等が使用される。
この円柱状の撹拌と柱状芯材13の挿入は、円柱の一部が重複するように連続して行なわれ、円柱を連ねた形状の固化部12が形成される。
また、この壁体11の幅方向に所定の間隔を置いた位置に埋設される柱状芯材13Aには、連結部14を設けておく。この連結部14は、一側端を柱状芯材13Aのフランジに溶接などによって接合させ、他側端には支持用芯材15を連結させるための継手部を設けておく。
本実施の形態の支持体18は、連結部14に連結させる支持用芯材15と、その支持用芯材15を埋設させる支持用固化部16とから構成される。
この支持用固化部16は、前記壁体11の固化部12と同様に地盤1と固化材とをオーガスクリューで撹拌することによって形成される。そして、円柱を連ねた形状の支持用固化部16が形成される。
また、支持用芯材15は、図1に示したように、断面ハット型の鋼矢板15aを、向きを反転させながら複数連結させて形成する。
次に、この連続地中壁10の構築方法について説明する。
まず、山留め壁となる壁体11を構築する位置の地盤1を、オーガスクリューによって掘削、撹拌しながら固化材を添加して、固化部12を形成する。この撹拌直後の流動化した固化部12には、柱状芯材13を挿入する。
さらに、この柱状芯材13を所定の本数挿入する毎に、連結部14を設けた柱状芯材13Aを、連結部14が壁体11の外側面側に向くようにして挿入する。ここで、この連結部14が配置される壁体11の外側面側には、壁体11の幅方向と直交する方向に支持用固化部16,・・・を延設する。
そして、連結部14の鉤型の継手部と、支持用芯材15を構成する一本目の鋼矢板15aの鉤型の継手部を噛み合わせて連結させる。二本目以降の鋼矢板15a,・・・は、順次向きを反転させて支持用固化部16に挿入しながら連結していく。
また、この支持体18,・・・を設けた側と反対側の壁体11の内側面側には、横材17を設置する。この横材17を設置するために、まず所定の深さまで掘削部6を形成した後に一旦掘削を中断し、柱状芯材13,・・・の内側面側のフランジが露出するように固化部12を削り取る。
さらに、露出した複数の柱状芯材13,・・・の前面にH型鋼材製の横材17を配置し、連結部14を設けた柱状芯材13Aの内側面側に接合する。この接合は、図3に示したように、横材17の上縁と下縁に溶接などによって接合部17a,17aを設けることによっておこなう。
そして、掘削と横材17の配置を繰り返し、所定の深さの掘削部6を形成する。図3は、3段の横材17,17,17を配置した掘削部6の断面図である。
次に、本実施の形態の連続地中壁10を使用した山留め工法について説明すると共に、その作用について説明する。
図3は、掘削が掘削底面6aまで完了して掘削部6が形成された状態の断面図である。本実施の形態の山留め工法では、この状態に至るまでに、地盤1を掘削し、横材17を一段ずつ設置する作業を繰り返す。
このような山留め工法では、掘削が進行すると、連続地中壁10に作用する土圧が徐々に増加する。
本実施の形態の連続地中壁10の構成によれば、支持体18,・・・周辺の土圧は、支持体18,・・・との摩擦によって低減されるため、壁体11の外側面側に作用する土圧も低減される。図4に二点鎖線で示した放物線は、支持体18,18間に発生する土圧1aの想定線であるが、この支持体18がなければ放物線の頂点以上の大きさの土圧が壁体11全面に作用することになるので、この支持体18,・・・によって壁体11に作用する土圧を大幅に低減できたものといえる。
また、壁体11の外側面側に作用した土圧は、壁体11内部を伝達して横材17に伝わり、そこから接合部17aを介して柱状芯材13Aに伝達される。
この柱状芯材13Aには、連結部14を介して支持用芯材15が連結されている。この支持用芯材15に掘削部6方向の引張力が作用すると、支持用芯材15の表面と支持用固化部16との付着による摩擦抵抗によって支持用芯材15は引き止められる。
さらに、支持用芯材15を引き止める支持用固化部16は、その外周面と地盤1との付着による摩擦抵抗によって引き抜きが防止される。特に支持用固化部16の外周面は、円弧が連続した波状に形成されているため、地盤1との間の抵抗を高めることができる。
このため、支持体18は、掘削部6方向の引張力が壁体11から伝達されても、移動することがほとんどなく、壁体11の変形を効果的に抑制することができる。
このように構成された連続地中壁10を山留め壁として使用することで、山留め壁の支持部材として従来使用されてきた切梁5を省略、又は削減することができるので、交錯する切梁5が掘削や躯体の構築作業の支障となることがほとんどなく、作業効率を向上させることができる。
以下、前記した実施の形態の参考の実施例について説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
前記実施の形態では、支持体18,・・・を壁体11の外側面側に設けた場合について説明したが、この実施例では、支持体22を壁体11の内側面側(掘削部6側)に設けた場合について図5に基づいて説明する。
この実施例の連続地中壁23は、固化部12とその固化部12に埋設される芯材部としての柱状芯材13,・・・とによって形成される壁体11と、その壁体11の幅方向に間隔を置いて壁体11の内側面側から突出する方向に延設される支持体22,・・・とから主に構成される。
図5に示すように、支持体22を連結させる柱状芯材13Bには、壁体11の内側面側に連結部19を設けておく。この連結部19には、断面ハット型の鋼矢板を複数連結させて形成される支持用芯材20を連結させる。
また、支持用芯材20は、地盤1と固化材を撹拌して形成された支持用固化部21に埋設される。
次に、本実施例の連続地中壁23を使用した山留め工法について説明すると共に、その作用について説明する。
この実施例では、掘削部6側の地盤1に支持体22が構築されているので、地盤1を掘削すると共に、掘削深さに相当する部分の支持体22(図5の二点鎖線部)の撤去もおこなう。
通常、掘削部6の底盤の地盤が弱いと、壁体11の下部が掘削部6方向に押されて転倒する場合がある。また、掘削底面6aに作用する水圧によって掘削底面6aが膨れ上がる場合(盤膨れ)もある。
このような地盤であっても、壁体11の内側面側に幅方向に間隔を置いて複数の支持体22,・・・を設けたことで、掘削部6の地盤が補強され、壁体11の転倒や盤膨れを抑えることができるので、連続地中壁23を安定させることができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態及び実施例では、地盤と固化材を撹拌して固化部12又は支持用固化部16,21を形成したが、これに限定されるものではなく、例えば地盤1に掘削孔としての溝を掘削して、その中に液状固化材を充填することによって固化部を形成してもよい。
また、前記実施の形態及び実施例では、柱状芯材13は、隣接するもの同士で互いに連結させることなく固化部12に埋設させたが、これに限定されるものではなく、例えば両側面に継手部を有する鋼管を柱状芯材として使用し、隣接するもの同士で互いに連結させながら柱状芯材を埋設させることで、一体の芯材部を形成することもできる。さらに、板状又はパネル状の幅方向に連続した芯材部を使用することもできる。
そして、前記実施の形態及び実施例では、支持用芯材15,20を複数の鋼矢板を連結させることによって形成したが、これに限定されるものではなく、例えば両側面に継手部を有する鋼管を連結させたものや、波型に一体成形された部材を支持用芯材とすることができる。
また、前記実施の形態及び実施例では、硬化する前の支持用固化部16,21に支持用芯材15,20を挿入して設置したが、これに限定されるものではなく、支持用芯材15,20を地盤1に直接、圧入して設置することもできる。
本発明の最良の実施の形態の連続地中壁の構成を説明する斜視図である。 本発明の最良の実施の形態の連続地中壁の構成を説明する平面図である。 本発明の最良の実施の形態の連続地中壁を使用した山留め工法を説明する断面図である。 本発明の最良の実施の形態の連続地中壁に作用する土圧を説明する平面図である。 実施例の連続地中壁の構成を説明する断面図である。 従来の柱列式の連続地中壁を使用した山留め工法を説明する平面図である。
符号の説明
1 地盤
10,23 連続地中壁
11 壁体
12 固化部
13 柱状芯材(芯材部)
14,19 連結部
15,20 支持用芯材
16,21 支持用固化部
17 横材
17a 接合部
18,22 支持体

Claims (3)

  1. 地盤と固化材が撹拌される又は掘削孔に液状固化材が充填されることによって形成される固化部と、その固化部に埋設される芯材部とによって形成され、地盤を掘削する際の山留めとして使用される連続地中壁であって、
    壁体の幅方向に間隔を置いて、その壁体の外側面側の地盤に向けた連結部を前記芯材部に設け、その連結部に鋼矢板を連結して前記壁体から突出する方向に該鋼矢板を壁状に延設させたことを特徴とする連続地中壁。
  2. 前記鋼矢板は、地盤と固化材が撹拌される又は掘削孔に液状固化材が充填されることによって形成される支持用固化部に埋設されたことを特徴とする請求項1に記載の連続地中壁。
  3. 前記芯材部は、並列に立設された複数のH型鋼材によって形成され、前記壁体の内側面側の地盤を掘削した際に、複数のH型鋼材に跨る横材を前記内側面側に配置し、前記連結部を設けたH型鋼材と該横材とを接合させたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の連続地中壁。
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