JP5210909B2 - Pc壁体構造物の止水用パッキン、その施工方法およびその拘束用治具 - Google Patents

Pc壁体構造物の止水用パッキン、その施工方法およびその拘束用治具 Download PDF

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この発明は、PC壁体構造物の止水用パッキン、その施工方法およびその拘束用治具に関し、PC壁体やPC加圧矢板を用いて構築される河川護岸、調整池側壁、水路などのPC壁体構造物の接合隙間部のグラウト孔で止水および変位の吸収を可能とするものである。
最近、河川護岸、調整池側壁、水路などのPC壁体構造物の構築に、PC壁体やPC加圧矢板が用いられている。
PC壁体構造物に用いられるPC壁体は、断面形状が正方形で円形の中空部を有する土留め構造物用プレキャストコンクリート部材であり、プレストレストコンクリートであるため部材変位が小さく、同一壁体厚の鋼管矢板壁に比べて1.5倍以上の曲げ剛性があることなどの特徴がある。
また、PC加圧矢板は、プレストレストコンクリートを用いた加圧コンクリート矢板であり、従来のコンクリートに比較して強度が高く、広幅かつ長尺な矢板が製造可能であり、断面形状が平形、溝形および波形の3種類のものが規格され、大型の矢板壁などのPC壁体構造物の構築に用いられている。
例えば、PC壁体を用いて河川護岸を構築する場合には、特許文献1に開示されているものを図7に示すように、河川護岸1は、PC壁体2,2…を隣り合わせるように配列し、接合隙間部のグラウト溝3,3を対向させて形成されるグラウト孔(堤内側と側表側との間に2つ形成される)4を利用して止水することが行われている。
このグラウト溝3,3を対向させて形成されるグラウト孔4には、従来から用いられているモルタルグラウト材やウレタン系注入充填材などが袋詰めにして充填され、施工の際には、グラウト孔4を洗浄した後、止水範囲よりも2m程度長く切断したグラウト袋を用意しておき、これをグラウト孔4に挿入し、次いでモルタルなどを圧送して注入する。
また、PC加圧矢板を用いて河川護岸1を構築する場合にも、接合部を拡大した図8に示すように、PC加圧矢板6,6…を隣り合わせるように配列し、接合部の対向した溝7,7で構成されるグラウト孔8にモルタルなどを充填して止水することが行われている。
特開平11−36334号公報
ところが、PC壁体の場合のように、グラウト孔にモルタルやウレタン系の充填材を袋詰めにして充填するため、冬季工事においては、材料の硬化凍結が生じるなどその性能が変化するという問題があった。また、袋詰めの充填材を投入する場合に、袋が、グラウト孔に引っかかって投入が円滑にできなかったり、充填材の投入量の管理が適正にできず、グラウト材の不足などによる背面土の吸い出しが発生するなどの問題もあった。さらに、PC加圧矢板の場合のように、モルタルグラウト材の場合には、モルタルが固化してしまうと、地震時等の微小変位にも対応できず、止水性が損なわれるという問題もある。
また、PC壁体やPC加圧矢板によるPC構造物を新規に構築する場合に限らず、既設のPC構造物に対する止水性の向上および地震や温度変化などの変位への対応性の向上が望まれている。
この発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであって、季節や温度の影響を受けることなく施工でき、地震時等の微小変位にも対応できるとともに、既設のPC加圧矢板へも適用できるPC壁体構造物の止水用パッキン、その施工方法およびその拘束用治具を提供しようとするものである。
上記課題を解決するためこの発明の請求項1記載のPC壁体構造物の止水用パッキンは、隣接配設されたPC壁体間またはPC加圧矢板間に形成されるグラウト孔に縦方向に装着されるPC壁体構造物の止水用パッキンであって、ゴム・合成樹脂などの変形可能な材料からなり、前記グラウト孔の壁体外側に背部を位置させ開口部両端を壁体中央側に位置させて装着される中央湾曲部と、この中央湾曲部の開口部の両端に突出して設けられ前記中央湾曲部とともに両側を合わせるように拘束して装着され弾性復元力で前記グラウト孔の内壁に当接される板状リップ部とを備え、前記グラウト孔に装着されたこれら中央湾曲部および両側の板状リップ部の内側に充填部材を充填して前記グラウト孔に密着されて止水可能に構成してなることを特徴とするものである。
この発明の請求項2記載のPC壁体構造物の止水用パッキンは、請求項1記載の構成に加え、前記中央湾曲部が略半円形状とされ、その両端に径方向外側に突き出して前記板状リップ部が形成されて構成してあることを特徴とするものである。
この発明の請求項3記載のPC壁体構造物の止水用パッキンは、請求項1または2記載の構成に加え、前記板状リップ部の先端面を傾斜面で構成してあることを特徴とするものである。
この発明の請求項4記載のPC壁体構造物の止水用パッキンは、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記グラウト孔には、前記充填部材が予め計量された川砂等の細砂として構成されて充填してなることを特徴とするものである。
この発明の請求項5記載のPC壁体構造物の止水用パッキンは、請求項1〜4のいずれかに記載の構成に加え、前記グラウト孔が、PC壁体間またはPC加圧矢板間に形成された既設のグラウト孔に充填された充填部材を削工して形成されたものであることを特徴とするものである。
この発明の請求項6記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法は、PC壁体構造物の隣接配設されたPC壁体間またはPC加圧矢板間に形成されるグラウト孔に縦方向に止水用パッキンを装着・施工するに際し、前記止水用パッキンを、ゴム・合成樹脂などの変形可能な材料からなり、前記グラウト孔の壁体外側に背部を位置させ開口部両端を壁体中央側に位置させて装着される中央湾曲部と、この中央湾曲部の開口部の両端に突出して設けられ前記中央湾曲部とともに両側を合わせるように拘束して装着され弾性復元力で前記グラウト孔の内壁に当接される板状リップ部とで構成し、前記止水用パッキンの前記中央湾曲部とともに前記板状リップ部の両側を合わせるように拘束し前記グラウト孔に装着して上部を固定した後、当該止水用パッキンの拘束を開放して前記中央湾曲部および両側の前記板状リップ部の内側に充填部材を充填し前記グラウト孔に止水可能に密着させるようにしたことを特徴とするものである。
この発明の請求項7記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法は、請求項6記載の構成に加え、前記止水用パッキンの拘束を、拘束用治具に前記板状リップ部および前記中央湾曲部の開口部を挟み込んで行い、当該拘束用治具ごと前記グラウト孔に吊り下ろした後、止水用パッキンを固定し拘束用治具のみを引き上げて拘束を開放するようにしたことを特徴とするものである。
この発明の請求項8記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法は、請求項6記載の構成に加え、前記止水用パッキンの拘束を、前記板状リップ部および前記中央湾曲部の開口部を合わせて略環状となるようにして内側に合成樹脂板を湾曲させて当てるとともに、外側を粘着テープで押えるようにして行い、前記グラウト孔に装着した後、前記充填部材の充填により前記粘着テープを破断または剥がして拘束を開放するようにしたことを特徴とするものである。
この発明の請求項9記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法は、請求項6〜8のいずれかに記載の構成に加え、前記グラウト孔が、PC壁体間またはPC加圧矢板間に形成された既設のグラウト孔に充填された充填部材を削工して形成されたものであることを特徴とするものである。
この発明の請求項10記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法は、請求項6〜9のいずれかに記載の構成に加え、前記グラウト孔または前記削工して形成された既設のグラウト孔に、加圧水および加圧空気を供給噴射して内部洗浄および流入物排出を行いながら前記止水用パッキンを拘束して装着するようにしたことを特徴とするものである。
この発明の請求項11記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法は、請求項7記載の構成に加え、前記拘束用治具に、加圧水供給管と加圧空気供給管を設けて止水用パッキンを吊り下ろしながら下端部より加圧水および加圧空気を供給噴射して内部洗浄および流入物排出を行うようにしたことを特徴とするものである。
この発明の請求項12記載のPC壁体構造物の止水用パッキンの拘束用治具は、PC壁体構造物の隣接配設されたPC壁体間またはPC加圧矢板間に形成されるグラウト孔に縦方向に止水用パッキンを拘束して装着・施工する拘束用治具であって、前記グラウト孔内に挿脱し得る管状の治具本体の側部に、前記止水用パッキンの中央湾曲部とともに板状リップ部の両側を挟んで前記グラウト孔に挿入可能に拘束する切り欠き溝を備え、止水用パッキンの上部を押えて治具本体のみを引き抜き可能に構成してあることを特徴とするものである。
この発明の請求項13記載のPC壁体構造物の止水用パッキンの拘束用治具は、請求項12記載の構成に加え、前記切り欠き溝を、管状の治具本体の軸方向に沿って間隔をあけて形成してなることを特徴とするものである。
この発明の請求項14記載のPC壁体構造物の止水用パッキンの拘束用治具は、請求項12または13記載の構成に加え、前記治具本体の側部に、加圧水供給管と加圧空気供給管を設けるとともに、当該治具本体の下端部に噴射ノズルを設けて止水用パッキンを吊り下ろしながら加圧水および加圧空気を供給噴射して内部洗浄および流入物排出を可能に構成したことを特徴とするものである。
この発明の請求項15記載のPC壁体構造物の止水用パッキンの拘束用治具は、請求項12〜14のいずれかに記載の構成に加え、前記治具本体を吊り下ろすグラウト孔が、PC壁体間またはPC加圧矢板間に形成された既設のグラウト孔に充填された充填部材を削工して形成されたものであることを特徴とするものである。
なお、ここでPC壁体構造物とは、PC壁体で構成される構造物およびPC加圧矢板で構成される構造物をいい、PC壁体構造物に形成されるグラウト孔とは、PC壁体構造物を新設する場合に形成される場合と既設のPC壁体構造物に削工して形成する場合のいずれをも含むものである。
この発明の請求項1記載のPC壁体構造物の止水用パッキンによれば、隣接配設されたPC壁体間またはPC加圧矢板間に形成されるグラウト孔に縦方向に装着されるPC壁体構造物の止水用パッキンであって、ゴム・合成樹脂などの変形可能な材料からなり、前記グラウト孔の壁体外側に背部を位置させ開口部両端を壁体中央側に位置させて装着される中央湾曲部と、この中央湾曲部の開口部の両端に突出して設けられ前記中央湾曲部とともに両側を合わせるように拘束して装着され弾性復元力で前記グラウト孔の内壁に当接される板状リップ部とを備え、前記グラウト孔に装着されたこれら中央湾曲部および両側の板状リップ部の内側に充填部材を充填して前記グラウト孔に密着されて止水可能に構成したので、中央湾曲部とその両側の板状リップ部を備えたゴム・合成樹脂などの変形可能な材料の止水用パッキンを、グラウト孔に装着できるように拘束して装着し、拘束を開放して内部に充填部材を充填することで、グラウト孔のPC壁体内側やPC加圧矢板内側に位置させた中央湾曲部およびグラウト孔の中心側に向けた両側の板状リップ部をグラウト孔に密着させることで止水することができる。これにより、季節や温度の影響を受けることなく施工することができ、ゴム・合成樹脂などの変形可能な材料を用いることで、地震時等の微小変位にも対応することができる。
また、この発明の請求項2記載のPC壁体構造物の止水用パッキンによれば、前記中央湾曲部が略半円形状とされ、その両端に径方向外側に突き出して前記板状リップ部が形成されて構成してあるので、略Ω状の形状とすることで、グラウト孔への密着性を高めて止水および変位の吸収ができ、止水用パッキン自体の製作も容易に行うことができる。
さらに、この発明の請求項3記載のPC壁体構造物の止水用パッキンによれば、前記板状リップ部の先端面を傾斜面で構成したので、傾斜面とすることで先端部が肉薄となって密着性を高めることができるとともに、充填部材との接触面積の拡大により一層先端の密着性を向上することができる。
また、この発明の請求項4記載のPC壁体構造物の止水用パッキンによれば、前記グラウト孔には、前記充填部材が予め計量された川砂等の細砂として構成されて充填するので、これまでのグラウト材に比べ季節や温度の影響を受けることなく施工することができ、充填量の管理も容易となるとともに、モルタルのように固化せず、微小変位などへの追従性も向上することができる。
さらに、この発明の請求項5記載のPC壁体構造物の止水用パッキンによれば、前記グラウト孔が、PC壁体間またはPC加圧矢板間に形成された既設のグラウト孔に充填された充填部材を削工して形成されたものであるので、PC壁体間またはPC加圧矢板間に削工して形成したグラウト孔であっても止水用パッキンを装着することができ、これにより、既設のPC壁体構造物であっても季節や温度の影響を受けることなく施工することができ、ゴム・合成樹脂などの変形可能な材料を用いることで、地震時等の微小変位にも対応することができる。
また、この発明の請求項6記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法によれば、PC壁体構造物の隣接配設されたPC壁体間またはPC加圧矢板間に形成されるグラウト孔に縦方向に止水用パッキンを装着・施工するに際し、前記止水用パッキンを、ゴム・合成樹脂などの変形可能な材料からなり、前記グラウト孔の壁体外側に背部を位置させ開口部両端を壁体中央側に位置させて装着される中央湾曲部と、この中央湾曲部の開口部の両端に突出して設けられ前記中央湾曲部とともに両側を合わせるように拘束して装着され弾性復元力で前記グラウト孔の内壁に当接される板状リップ部とで構成し、前記止水用パッキンの前記中央湾曲部とともに前記板状リップ部の両側を合わせるように拘束し前記グラウト孔に装着して上部を固定した後、当該止水用パッキンの拘束を開放して前記中央湾曲部および両側の前記板状リップ部の内側に充填部材を充填し前記グラウト孔に止水可能に密着させるようにしたので、中央湾曲部とその両側の板状リップ部を備えたゴム・合成樹脂などの変形可能な材料の止水用パッキンを、グラウト孔に装着できるように拘束して装着し、拘束を開放して内部に充填部材を充填することで、グラウト孔のPC壁体内側やPC加圧矢板内側に位置させた中央湾曲部およびグラウト孔の中心側に向けた両側の板状リップ部をグラウト孔に密着させることで、簡単かつ確実に止水のための施工を行うことができる。これにより、季節や温度の影響を受けることなく施工でき、ゴム・合成樹脂などの変形可能な材料を用いることで、地震時等の微小変位にも対応できる止水用パッキンを施工することができる。
さらに、この発明の請求項7記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法によれば、前記止水用パッキンの拘束を、拘束用治具に前記板状リップ部および前記中央湾曲部の開口部を挟み込んで行い、当該拘束用治具ごと前記グラウト孔に吊り下ろした後、止水用パッキンを固定し拘束用治具のみを引き上げて拘束を開放するようにしたので、止水用パッキンを拘束用治具に装着して施工することで、簡単かつ確実にグラウト孔に装着でき、拘束用治具だけを引き上げることで拘束状態の開放も簡単にでき、一層短時間に効率よく止水用パッキンを施工することができる。
また、この発明の請求項8記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法によれば、前記止水用パッキンの拘束を、前記板状リップ部および前記中央湾曲部の開口部を合わせて略環状となるようにして内側に合成樹脂板を湾曲させて当てるとともに、外側を粘着テープで押えるようにして行い、前記グラウト孔に装着した後、前記充填部材の充填により前記粘着テープを破断または剥がして拘束を開放するようにしたので、内側の合成樹脂板と外側の粘着テープで押えることで、グラウト孔に装着できる拘束状態にでき、装着状態の開放も充填部材を充填するだけで良く、特別に治具を用意しなくとも簡単に施工することができる。
さらに、この発明の請求項9記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法によれば、前記グラウト孔が、PC壁体間またはPC加圧矢板間に形成された既設のグラウト孔に充填された充填部材を削工して形成されたものであるので、PC壁体間またはPC加圧矢板間に削工して形成したグラウト孔であっても止水用パッキンを装着することができ、これにより、既設のPC壁体構造物であっても季節や温度の影響を受けることなく施工することができ、ゴム・合成樹脂などの変形可能な材料を用いることで、地震時等の微小変位にも対応することができる。
また、この発明の請求項10記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法によれば、前記グラウト孔または前記削工して形成された既設のグラウト孔に、加圧水および加圧空気を供給噴射して内部洗浄および流入物排出を行いながら前記止水用パッキンを拘束して装着するようにしたので、止水用パッキン装着前にグラウト孔内の砂などを加圧水で洗浄排出するようにするが、洗浄から装着までに時間が空くと、再びグラウト孔に砂などが流入し止水用パッキンの施工が困難となるが、グラウト孔の洗浄と排出を行いながら止水用パッキンを装着でき、流入する砂などの影響を受けずに止水用パッキンを装着することができる。
さらに、この発明の請求項11記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法によれば、前記拘束用治具に、加圧水供給管と加圧空気供給管を設けて止水用パッキンを吊り下ろしながら下端部より加圧水および加圧空気を供給噴射して内部洗浄および流入物排出を行うようにしたので、拘束用治具に設けた加圧水供給管と加圧空気供給管で止水用パッキンを拘束して吊り下ろしながら下端部からの加圧水および加圧空気でグラウト孔の内部洗浄および流入物排出ができ、流入する砂などの影響を受けずに短時間に止水用パッキンを装着することができる。
また、この発明の請求項12記載のPC壁体構造物の止水用パッキンの拘束用治具によれば、PC壁体構造物の隣接配設されたPC壁体間またはPC加圧矢板間に形成されるグラウト孔に縦方向に止水用パッキンを拘束して装着・施工する拘束用治具であって、前記グラウト孔内に挿脱し得る管状の治具本体の側壁部に、前記止水用パッキンの中央湾曲部とともに板状リップ部の両側を挟んで前記グラウト孔に挿入可能に拘束する切り欠き溝を備え、止水用パッキンの上部を押えて治具本体のみを引き抜き可能に構成したので、環状の治具本体の側壁に切り欠き溝を形成することで、止水用パッキンを簡単に装着して拘束でき、引き抜くようにすることで、簡単に開放することができる。また、拘束用治具自体の製作も市販パイプへの溝加工だけで良く簡単に行うことができる。
さらに、この発明の請求項13記載のPC壁体構造物の止水用パッキンの拘束用治具によれば、前記切り欠き溝を、管状の治具本体の軸方向に沿って間隔をあけて形成したので、グラウト孔への装着後の引き抜き抵抗を小さくでき、一層容易に拘束を開放して施工することができる。
また、この発明の請求項14記載のPC壁体構造物の止水用パッキンの拘束用治具によれば、前記治具本体の側部に、加圧水供給管と加圧空気供給管を設けるとともに、当該治具本体の下端部に噴射ノズルを設けて止水用パッキンを吊り下ろしながら加圧水および加圧空気を供給噴射して内部洗浄および流入物排出を可能に構成したので、拘束用治具の側部に設けた加圧水供給管と加圧空気供給管の下端部の噴射ノズルから、止水用パッキンを拘束した状態で吊り下ろしながら加圧水および加圧空気を噴射してグラウト孔の内部洗浄および流入物排出ができ、流入する砂などの影響を受けずに短時間に止水用パッキンを装着することができる。
さらに、この発明の請求項15記載のPC壁体構造物の止水用パッキンの拘束用治具によれば、前記治具本体を吊り下ろすグラウト孔が、PC壁体間またはPC加圧矢板間に形成された既設のグラウト孔に充填された充填部材を削工して形成されたものであるので、PC壁体間またはPC加圧矢板間に削工して形成したグラウト孔であっても止水用パッキンを拘束用治具で拘束して装着することができ、これにより、既設のPC壁体構造物であっても季節や温度の影響を受けることなく施工することができる。
この発明のPC壁体構造物の止水用パッキンの一実施の形態にかかり、(a)は端面図、(b)および(c)はPC壁体構造物への取り付け状態の端面図およびその拡大図である。 この発明のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法およびその拘束治具の一実施の形態にかかり、(a)および(b)は止水用パッキンを拘束した状態の拘束治具の斜視図および横断面図、(c)はグラウト孔へ装着して拘束を開放した状態の端面図である。 この発明のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法の他の一実施の形態にかかり、(a)および(b)は止水用パッキンを拘束した状態の斜視図および横断面図である。 この発明のPC壁体構造物への止水用パッキンの拘束用治具の他の一実施の形態にかかり、(a)止水用パッキンを拘束した状態の拘束用治具の斜視図、(b)は拘束治具で止水用パッキンを拘束した状態の端面図である。 この発明のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法の他の一実施の形態にかかり、(a)は拘束用治具で止水用パッキンを拘束して挿着した状態の端面図、(b)はグラウト孔へ装着して拘束を開放した状態の端面図である。 この発明のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法のさらに他の一実施の形態にかかり、(a)は既設のグラウト孔に削工した新たなグラウト孔の端面図、(b)は削工したグラウト孔への止水用パッキンの施工完了状態の端面図である。 この発明が適用されるPC壁体およびPC壁体構造物の部分斜視図である。 この発明が適用されるPC加圧矢板を用いたPC壁体構造物の接合部の拡大図である。
以下、この発明を実施するための形態について、図面に基づき詳細に説明する。
このPC壁体構造物の止水用パッキン10は、図1(a)に示すように、例えばPC壁体2,2,…の縦長のグラウト溝3,3を対向させることで形成される略円形のグラウト孔4に縦方向に装着し、充填部材30の充填によりグラウト孔4に密着させて止水および微小変位の吸収を行うものであったり、後述するPC加圧矢板6,6を並べることで隣接するPC加圧矢板6,6の溝7,7間に形成されるグラウト孔8や既設のPC加圧矢板6,6のモルタルなどが充填されたグラウト孔8を削工して形成したグラウト孔9に同様に適用できるものである。
この止水用パッキン10は、グラウト孔4の半径と同等の半径の半円筒状の中央湾曲部11と、この中央湾曲部11の開口部の両端である開口部両端に連続して半径方向外側に突き出した板状の板状リップ部12、12とが一体にゴムあるいは合成樹脂などの弾性変形可能な材料で成形され、横断面形状が略Ω状となっている。そして、この板状リップ部12,12は、先端角部14をグラウト孔4に当てることでシール性を高めるとともに、板状リップ部12,12の先端部には、中央湾曲部11の半円状の開口部を上方にした状態で、外側(半径方向先端側)が低く、内側(半径方向基端側)が高い傾斜面13,13が形成してあり、先端ほど弾性変形し易くして角部14の密着性を高め、しかも後述する充填部材30による受圧面積を大きくできるようにしてある。
また、この止水用パッキン10は、中央湾曲部11および両端の板状リップ部12,12を引き伸ばした長さが、図1(c)に示すように、グラウト孔4の内周の長さの略2/3程度となるようにしてある。そして、グラウト孔4への装着は、中央湾曲部11の開口部をPC壁体構造物1の壁体中央部側に位置させて半円状の背面部が接合隙間部5の壁体内側をシールするようにし、両端の板状リップ部12,12が接合隙間部5の壁体内側に配置されて装着される。
このような止水用パッキン10では、装着するグラウト孔4に対して両端の板状リップ部12,12が中央湾曲部11から外側に突き出す形状であることから、グラウト孔4とほぼ同一半径の中央湾曲部11を備える止水用パッキン10を縦方向に長い(深い)グラウト孔4に簡単に装着することができない。
そこで、この止水用パッキン10のPC壁体構造物への施工方法として、図2に示すように、拘束用治具20が用いられる。
この止水用パッキン10の拘束用治具20は、中央湾曲部11の両端部および板状リップ部12,12を、図2(b)に示すように、重ねるように合わせてグラウト孔4に装着できる状態に弾性変形させて拘束するものであり、拘束用治具20を取り除いて開放することで、弾性復元力で復元させるものである。
この拘束用治具20は、環状の治具本体21を備えており、金属製や合成樹脂製などのパイプで構成されており、この治具本体21の側部に管軸方向に沿って切り欠き溝22が形成してある。この拘束用治具20では、治具本体21および切り欠き溝22の寸法は、図2(b)に示すように、止水用パッキン10の中央湾曲部11および両側の板状リップ部12,12を治具本体21内に入れて切り欠き溝22で挟むように取り付けたときに、グラウト孔4に挿入可能な状態まで押し縮めて拘束できるように治具本体21の直径や切り欠き溝22の幅が設定される。なお、治具本体21に形成する切り欠き溝22は、管軸方向に間隔をあけて形成し、切り欠き溝22以外の残りの部分をさらに大きく切り欠くことで、拘束用治具20を引き抜くようにする場合の引き抜き力を小さくすることが可能となる。また、切り欠き溝22の両端縁にワセリンなどの潤滑剤を塗布することで、摩擦を低減するようにしても良い。
さらに、治具本体21の上端面には、当て板を介して吊りフック用の孔があけられた吊下げ用ブラケット23が取り付けてある。なお、この吊下げ用ブラケット23に代え、アイボルトなどを取り付けるようにしても良い。
次に、このように構成した止水用パッキン10の拘束用治具20を用いて行うこの発明のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法について説明する。
まず、止水用パッキン10の拘束用治具20で、図2(a),(b)に示すように、治具本体21の切り欠き溝22に、両側から押し縮めた止水用パッキン10を板状リップ部12の先端から治具本体21内に挿入し、切り欠き溝22の内側縁で復元することを拘束する。これにより、止水用パッキン10をPC壁体2,2のグラウト孔4に拘束用治具20ごと挿入できる状態にすることができる。
この後、拘束用治具20の吊下げ用ブラケット23にクレーンなどのフックを掛けて吊り上げた後、PC壁体構造物1のグラウト孔4に止水用パッキン10と拘束用治具20を一体にしたまま吊り下げるなどで装着する。この止水用パッキン10は、例えば河川護岸の場合には、川床面より深い位置まで挿入するなど止水の必要な範囲まで装着する。
こうしてグラウト孔4内に拘束用治具20ごと止水用パッキン10を装着した後、止水用パッキン10の上端部をPC壁体2,2などに固定し、拘束用治具20をクレーンなどで吊り上げるようにして引き抜く。
すると、止水用パッキン10がグラウト孔4に残されるとともに、拘束が開放され、完全に拘束用治具20を引き抜くことで、図2(c)に示すように、止水用パッキン10がグラウト孔4の所定位置に装着され、中央湾曲部11の外側が接合隙間部5の外側を塞ぎ、接合隙間部5の中央側に中央湾曲部11およびその両端の板状リップ部12,12が開口した状態となっている。
こうして止水用パッキン10をグラウト孔4に装着した後、止水用パッキン10の内側に充填部材30として川砂等の細砂が充填される。この充填部材30は、予め充填量を定めて計量しておくことで、過不足なくグラウト孔4に充填することができ、必要に応じて、充填時に転圧するようにしても良い。
こうして取り付けられた止水用パッキン10は、図1に示すように、中央湾曲部11がグラウト孔4の内面に沿って密着するとともに、板状リップ部12,12の先端角部が充填部材30によってグラウト孔4の内面に押し付けられて密着する。したがって、PC壁体構造物1の接合隙間部5に2つ形成されるグラウト孔4,4にそれぞれ止水用パッキン10を対向するように装着して充填部材30を充填することで、接合隙間部5を完全に止水することができる。
また、グラウト孔4,4には、ゴムや合成樹脂製の止水用パッキン10を装着し、充填部材30として川砂等の細砂を計量して充填してあるので、従来のモルタルをグラウト材とする場合のように完全固化することがなく、季節や温度の影響を受けることなく施工することができるとともに、PC壁体2,2の地震時等の微小変位に追従でき、止水状態を維持することができる。
次に、この発明のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法の他の一実施の形態について、図3を参照して説明する。
この止水パッキンの施工方法では、止水用パッキン10をグラウト孔4に挿入できるようにする拘束・開放方法が異なるものである。
この止水用パッキンの施工方法では、止水用パッキン10を拘束するため、板状リップ部12,12を先端を突き合わせるようにして略円筒状に弾性変形させ、板状リップ部12,12の突合せ部の内側に沿って合成樹脂の薄板41を当てるように入れるとともに、外側を管軸方向に間隔をあけて粘着テープ42で貼り付けるようにして拘束する。
すると、止水用パッキン10は、その幅方向長さがグラウト孔4の内周の略2/3程度としてあるので、合成樹脂の薄板41と粘着テープ42とで略円筒状に拘束された状態では、その略円筒の止水用パッキン10の直径がグラウト孔4の直径に比べて十分に小さくなって拘束されることになる。
したがって、このような合成樹脂の薄板41と粘着テープ42とで略円筒状に拘束した止水用パッキン10をクレーンなどで吊り下げてPC壁体構造物1のグラウト孔4に吊り下ろすなどで装着し、止水用パッキン10の上部をPC壁体2,2に固定する。
この後、グラウト孔4に装着されて拘束状態の止水用パッキン10の内側に、川砂等の細砂を充填部材30として予め計量して充填する。
すると、充填部材30の充填により、止水用パッキン10の外側を拘束している粘着テープ42が剥がれたり、破断されて拘束が開放される。これによって、すでに説明した拘束用治具20による拘束を開放した状態と同様に、止水用パッキン10がグラウト孔4に装着されると同時に、内周に密着される。
このような止水用パッキンの施工方法によってもPC壁体構造物1の接合隙間部5を2つのグラウト孔4,4に装着し、充填部材30を充填することで止水および微小変位への対応が可能となるとともに、季節や温度の影響を受けることなく施工することができる。
次ぎに、この止水用パッキン10のPC壁体構造物への施工方法の他の形態について説明する。
通常、止水用パッキン10の施工前には、グラウト孔4,8,9内の砂などを加圧水で洗浄排出するようにするが、洗浄から装着までに時間が空くと、再びグラウト孔4,8や削工したグラウト孔9に砂などが流入し止水用パッキン10の施工が困難となる。
そこで、止水用パッキン10の拘束用治具50を用いることで、加圧水と加圧空気によってグラウト孔4,8,9の洗浄と流入する砂などの排出を行いながら止水用パッキン10を装着できるようにする。
この止水用パッキン10の拘束用治具50は、図4(a),(b)に示すように、中央湾曲部11の両端部および板状リップ部12,12を重ねるように合わせてグラウト孔4、8,9に装着できる状態に弾性変形させて拘束するものであり、拘束用治具50を挿入すると同時に、加圧水と加圧空気によってグラウト孔4,8,9の洗浄と砂などの排出を行いながら止水用パッキン10を挿入した後、拘束用治具50だけを取り除いて開放することで、弾性復元力で復元させて装着するものである。
この拘束用治具50は、既に説明した拘束用治具20と同様に、環状の治具本体51を備えており、金属製や合成樹脂製などのパイプで構成されており、この治具本体51の側部に管軸方向に沿って切り欠き溝52が形成してある。この拘束用治具50では、治具本体51および切り欠き溝52の寸法は、図4(b)に示すように、止水用パッキン10の中央湾曲部11および両側の板状リップ部12,12を治具本体51内に入れて切り欠き溝52で挟むように取り付けたときに、グラウト孔4などに挿入可能な状態まで押し縮めて拘束できるように治具本体51の直径や切り欠き溝52の幅が設定される。なお、治具本体51に形成する切り欠き溝52は、管軸方向に間隔をあけて形成し、切り欠き溝52以外の残りの部分をさらに大きく切り欠くことで、拘束用治具50を引き抜くようにする場合の引き抜き力を小さくすることが可能となる。また、切り欠き溝52の両端縁にワセリンなどの潤滑剤を塗布することで、摩擦を低減するようにしても良い。
さらに、治具本体51の上端面には、当て板を介して吊りフック用の孔があけられた吊下げ用ブラケット53が取り付けてある。なお、この吊下げ用ブラケット53に代え、アイボルトなどを取り付けるようにしても良い。
この拘束用治具50には、加圧水と加圧空気によって洗浄および砂などの排出を行うため、治具本体51の切り欠き溝52と反対の内側に管軸方向に沿って加圧空気供給管54が治具本体51の全長に取り付けられ、下端部には、図示しない噴射ノズルが取り付けてあり、上端部には、高圧ホース55を介してエアーコンプレッサーなどの加圧空気供給源に接続できるようにしてある。加圧空気の場合は噴射ノズル無しでもよい。
また、治具本体51の切り欠き溝52の先端部外側には、それぞれ加圧水供給管56,56が管軸方向に沿って治具本体51の全長に取り付けてあり、下端部に噴射ノズル57、57が取り付けられ、上端部にポンプなどの加圧水供給源と高圧ホース58,58で接続できるようにしてある。
そして、これら加圧空気供給管54および加圧水供給管56,56は、治具本体51で止水用パッキン10を拘束状態とする場合やグラウト孔4などへの挿入の場合にもに支障がないようにしてある。
次に、このように構成した止水用パッキン10の拘束用治具50を用いて行うこの発明のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法をPC加圧矢板6,6による河川護岸1などのPC壁体構造物に適用した例で説明する。
まず、止水用パッキン10の拘束用治具50で、図4(a),(b)に示すように、治具本体51の切り欠き溝52に、両側から押し縮めた止水用パッキン10を板状リップ部12の先端から治具本体51内に挿入し、切り欠き溝52の内側縁で復元することを拘束する。そして、加圧空気供給管54および2本の加圧水供給管56,56にそれぞれ高圧ホース55,58,58を接続し、加圧空気と加圧水を供給できるようにする。
この後、拘束用治具50の吊下げ用ブラケット53にクレーンなどのフックを掛けて吊り上げた後、図5(a)に示すように、PC壁体構造物である河川護岸1を構成するPC加圧矢板6,6のグラウト孔8に止水用パッキン10と拘束用治具50を一体にしたまま吊り下げるなどで挿入する。この止水用パッキン10は、例えば河川護岸の場合には、川床面より深い位置まで挿入するなど止水の必要な範囲まで装着する。
こうしてグラウト孔8内に拘束用治具50ごと止水用パッキン10を挿入すると同時に、下端部の加圧空気用および加圧水用の噴射ノズル57,57から加圧空気と加圧水を噴射させながら吊下ろすなどで挿入する。これにより、グラウト孔8の洗浄が行われるとともに、残留した砂などがグラウト孔8の上端部および接合隙間部5から排出され、例え、洗浄から止水用パッキン10の装着までに時間が空いても、止水用パッキン10の挿入と同時に、再びグラウト孔8に流入した砂などを排出することができ、止水用パッキン10を何ら支障なく施工することが可能となる。
こうして止水用パッキン10をグラウト孔8に装着した後、加圧空気と加圧水の供給を停止し、止水用パッキン10の上端部をPC加圧矢板6,6などに固定し、拘束用治具50をクレーンなどで吊り上げるようにして引き抜く。
すると、止水用パッキン10がグラウト孔8に残されるとともに、拘束が開放され、完全に拘束用治具50を引き抜くことで、図5(b)に示すように、止水用パッキン10がグラウト孔8の所定位置に装着され、中央湾曲部11の外側が接合隙間部の外側を塞ぎ、接合隙間部の中央側に中央湾曲部11およびその両端の板状リップ部12,12が開口した状態となっている。
こうして止水用パッキン10をグラウト孔8に装着した後、止水用パッキン10の内側に、図示省略したが充填部材として川砂等の細砂が充填される。この充填部材は、既に説明したように、予め充填量を定めて計量しておくことで、過不足なくグラウト孔8に充填することができ、必要に応じて、充填時に転圧するようにしても良い。
こうして取り付けられた止水用パッキン10は、中央湾曲部11がグラウト孔4の内面に沿って密着するとともに、板状リップ部12,12の先端角部が充填部材によってグラウト孔8の内面に押し付けられて密着され、これによって、PC壁体構造物である河川護岸1の接合隙間部に形成されるグラウト孔8を完全に止水することができる。
また、グラウト孔8には、ゴムや合成樹脂製の止水用パッキン10を装着し、充填部材として川砂等の細砂を計量して充填することで、従来のモルタルをグラウト材とする場合のように完全固化することがなく、季節や温度の影響を受けることなく施工することができるとともに、PC加圧矢板6,6の地震時等の微小変位に追従でき、止水状態を維持することができる。
次に、この拘束用治具50を用いて行う既設のPC壁体構造物のモルタルなどが充填されたグラウト孔8を削工して新たに形成したグラウト孔9に止水用パッキン10を施工する場合について、図6により説明する。
まず、PC壁体構造物である河川護岸1などのPC加圧矢板6,6のグラウト孔8に充填硬化されているモルタルにボーリング工にて、図6(a)に示すように、円形のグラウト孔9を削工する。このボーリングにより削工するグラウト孔9は、例えば河川護岸の場合には、川床面より深い位置までなど止水の必要な範囲までの深さとする。
こうして新たなグラウト孔9を削工した後、拘束用治具50に止水用パッキン10を装着して拘束するとともに、加圧空気と加圧水を供給できるように高圧ホースを接続しておく。
そして、拘束用治具50の吊下げ用ブラケット53にクレーンなどのフックを掛けて吊り上げた後、PC加圧矢板6,6のグラウト孔9に止水用パッキン10と拘束用治具50を一体にしたまま吊り下げるなどで挿入すると同時に、下端部の加圧空気用および加圧水用の噴射ノズル57,57から加圧空気と加圧水を噴射させながら挿入する。これにより、グラウト孔9の洗浄が行われるとともに、残留した砂などがグラウト孔9の上端部から排出され、止水用パッキン10の挿入と同時に、グラウト孔9の洗浄および流入した砂などの排出が行われ、止水用パッキン10を削工したグラウト孔9に何ら支障なく施工することができる。
こうして止水用パッキン10をグラウト孔9に装着した後、加圧空気と加圧水の供給を停止し、止水用パッキン10の上端部をPC加圧矢板6,6などに固定し、拘束用治具50をクレーンなどで吊り上げるようにして引き抜く。
すると、止水用パッキン10がグラウト孔9に残されるとともに、拘束が開放され、完全に拘束用治具50を引き抜くことで、図6(b)に示すように、止水用パッキン10がグラウト孔9の所定位置に装着され、中央湾曲部11の外側が接合隙間部の外側を塞ぎ、接合隙間部の中央側に中央湾曲部11およびその両端の板状リップ部12,12が開口した状態となる。
そして、グラウト孔9に装着した止水用パッキン10の内側に、充填部材30として川砂等の細砂が充填され、止水用パッキン10の装着が完了する。
このようにPC加圧矢板6,6間に削工して形成したグラウト孔9であっても止水用パッキン10を装着することができ、これにより、既設のPC壁体構造物であっても季節や温度の影響を受けることなく施工することができ、モルタルなどに代えてゴム・合成樹脂などの変形可能な材料の止水用パッキン10を装着することで、地震時等の微小変位にも対応することができる。
なお、この実施の形態では、PC加圧矢板によるPC壁体構造物に対して新たなグラウト孔を削工して止水用パッキン10を装着する場合について説明したが、これに限らず、PC壁体の場合にも同様に適用できるものである。
また、加圧空気および加圧水を噴射させながら止水用パッキンを挿入する拘束用治具は、削工したグラウト孔に限らず、PC壁体やPC加圧矢板を新設することで形成されるグラウト孔にも同様に使用することができ、独立した工程で洗浄することなく、止水用パッキンの挿入・装着と同時に洗浄することができる。
1 PC壁体構造物(河川護岸)
2 PC壁体
3 グラウト溝
4 グラウト孔
5 接合隙間部
6 PC加圧矢板
7 溝
8 グラウト孔
9 削工したグラウト孔
10 PC壁体構造物の止水用パッキン
11 中央湾曲部
12 板状リップ部
13 傾斜面
14 角部
20 拘束用治具
21 治具本体
22 切り欠き溝
23 吊下げ用ブラケット
30 充填部材(川砂等の細砂)
41 合成樹脂薄板
42 粘着テープ
50 拘束用治具
51 治具本体
52 切り欠き溝
53 吊下げ用ブラケット
54 加圧空気供給管
55 高圧ホース
56 加圧水供給管
57 噴射ノズル
58 高圧ホース

Claims (15)

  1. 隣接配設されたPC壁体間またはPC加圧矢板間に形成されるグラウト孔に縦方向に装着されるPC壁体構造物の止水用パッキンであって、
    ゴム・合成樹脂などの変形可能な材料からなり、
    前記グラウト孔の壁体外側に背部を位置させ開口部両端を壁体中央側に位置させて装着される中央湾曲部と、
    この中央湾曲部の開口部の両端に突出して設けられ前記中央湾曲部とともに両側を合わせるように拘束して装着され弾性復元力で前記グラウト孔の内壁に当接される板状リップ部とを備え、
    前記グラウト孔に装着されたこれら中央湾曲部および両側の板状リップ部の内側に充填部材を充填して前記グラウト孔に密着されて止水可能に構成してなることを特徴とするPC壁体構造物の止水用パッキン。
  2. 前記中央湾曲部が略半円形状とされ、その両端に径方向外側に突き出して前記板状リップ部が形成されて構成してあることを特徴とする請求項1記載のPC壁体構造物の止水用パッキン。
  3. 前記板状リップ部の先端面を傾斜面で構成してあることを特徴とする請求項1または2記載のPC壁体構造物の止水用パッキン。
  4. 前記グラウト孔には、前記充填部材が予め計量された川砂等の細砂として構成されて充填してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のPC壁体構造物の止水用パッキン。
  5. 前記グラウト孔が、PC壁体間またはPC加圧矢板間に形成された既設のグラウト孔に充填された充填部材を削工して形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のPC壁体構造物の止水用パッキン。
  6. PC壁体構造物の隣接配設されたPC壁体間またはPC加圧矢板間に形成されるグラウト孔に縦方向に止水用パッキンを装着・施工するに際し、
    前記止水用パッキンを、
    ゴム・合成樹脂などの変形可能な材料からなり、
    前記グラウト孔の壁体外側に背部を位置させ開口部両端を壁体中央側に位置させて装着される中央湾曲部と、
    この中央湾曲部の開口部の両端に突出して設けられ前記中央湾曲部とともに両側を合わせるように拘束して装着され弾性復元力で前記グラウト孔の内壁に当接される板状リップ部とで構成し、
    前記止水用パッキンの前記中央湾曲部とともに前記板状リップ部の両側を合わせるように拘束し前記グラウト孔に装着して上部を固定した後、
    当該止水用パッキンの拘束を開放して前記中央湾曲部および両側の前記板状リップ部の内側に充填部材を充填し前記グラウト孔に止水可能に密着させるようにしたことを特徴とするPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法。
  7. 前記止水用パッキンの拘束を、拘束用治具に前記板状リップ部および前記中央湾曲部の開口部を挟み込んで行い、当該拘束用治具ごと前記グラウト孔に吊り下ろした後、止水用パッキンを固定し拘束用治具のみを引き上げて拘束を開放するようにしたことを特徴とする請求項6記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法。
  8. 前記止水用パッキンの拘束を、前記板状リップ部および前記中央湾曲部の開口部を合わせて略環状となるようにして内側に合成樹脂板を湾曲させて当てるとともに、外側を粘着テープで押えるようにして行い、前記グラウト孔に装着した後、前記充填部材の充填により前記粘着テープを破断または剥がして拘束を開放するようにしたことを特徴とする請求項6記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法。
  9. 前記グラウト孔が、PC壁体間またはPC加圧矢板間に形成された既設のグラウト孔に充填された充填部材を削工して形成されたものであることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法。
  10. 前記グラウト孔または前記削工して形成された既設のグラウト孔に、加圧水および加圧空気を供給噴射して内部洗浄および流入物排出を行いながら前記止水用パッキンを拘束して装着するようにしたことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法。
  11. 前記拘束用治具に、加圧水供給管と加圧空気供給管を設けて止水用パッキンを吊り下ろしながら下端部より加圧水および加圧空気を供給噴射して内部洗浄および流入物排出を行うようにしたことを特徴とする請求項7記載のPC壁体構造物への止水用パッキンの施工方法。
  12. PC壁体構造物の隣接配設されたPC壁体間またはPC加圧矢板間に形成されるグラウト孔に縦方向に止水用パッキンを拘束して装着・施工する拘束用治具であって、
    前記グラウト孔内に挿脱し得る管状の治具本体の側部に、前記止水用パッキンの中央湾曲部とともに板状リップ部の両側を挟んで前記グラウト孔に挿入可能に拘束する切り欠き溝を備え、止水用パッキンの上部を押えて治具本体のみを引き抜き可能に構成してあることを特徴とするPC壁体構造物の止水用パッキンの拘束用治具。
  13. 前記切り欠き溝を、管状の治具本体の軸方向に沿って間隔をあけて形成してなることを特徴とする請求項12記載のPC壁体構造物の止水用パッキンの拘束用治具。
  14. 前記治具本体の側部に、加圧水供給管と加圧空気供給管を設けるとともに、当該治具本体の下端部に噴射ノズルを設けて止水用パッキンを吊り下ろしながら加圧水および加圧空気を供給噴射して内部洗浄および流入物排出を可能に構成したことを特徴とする請求項12または13記載のPC壁体構造物の止水用パッキンの拘束用治具。
  15. 前記治具本体を吊り下ろすグラウト孔が、PC壁体間またはPC加圧矢板間に形成された既設のグラウト孔に充填された充填部材を削工して形成されたものであることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載のPC壁体構造物の止水用パッキンの拘束用治具。
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