JP4352421B2 - 耐震構造型マンホール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として下水道に設置され、通水路用管体との連結部分を耐震構造とした耐震構造型マンホールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水道等の管渠等に古くから設置されているマンホールは、管渠となる通水路用管体との連結部分がコンクリートによって固められた剛結合構造となっていたが、近年において、地震による管渠破損の教訓から、耐震性のマンホールが開発されている。
【0003】
この種の従来の耐震構造型マンホールは、例えば、図8〜図10に示すように、プレキャストコンクリ−ト製の上部ブロック1、中間ブロック2及び底部ブロック3を筒状に積み重ねて構成している。底部ブロック3は、円盤状の底盤部3aとその底盤部3aの外縁部から垂直に立ち上がった周壁3bとを備え、その周壁3bには通水路用管体4が挿入される管体挿入孔5が、通水路用管体4の外径及び設置される場所の管渠の構造等に対応して開口され、内側底部には現場打ちのインバ−トコンクリ−ト6が打設されている。
【0004】
インバ−トコンクリ−ト6の上面には流路となる溝部6a(インバ−ト)が、通水路用管体4が挿入された際に通水路用管体4と溝部6aとが連続配置となるように形成されている。
【0005】
管体挿入孔5の内面と通水路用管体4とは、ゴム状の弾性を有する可撓性継手7を介して連結され、これによって周壁3bと通水路用管体4との結合部分に生じる伸縮及び曲げが、その可撓性継手7によって吸収させる構造としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の耐震構造型マンホールにおいては、通水路用管体がマンホ−ルから抜出る方向、及び曲げ方向の相対動作のみが考慮され、通水路用管体がマンホ−ル側へ押し込まれる場合については考慮されていなかった。
【0007】
このため地震時に通水路用管体がマンホ−ル側に押し込まれた場合、インバ−トコンクリ−トと通水路用管体の接続部分が破壊されるか、又は通水路用管体の端部がインバ−トコンクリ−ト上に乗り上げることとなり、流下機能が著しく阻害されるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題に鑑み、地震時に通水路用管体が如何なる方向に移動した場合にもこれを弾性的に吸収し、破損を防止することができる耐震構造型マンホールの提供を目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための本発明の特徴は、底部にインバートコンクリートが設置され、該インバートコンクリートの上面に流路となる溝部を備え、周壁には前記インバ−トコンクリ−トの溝部と連続配置に通水路用管体がマンホ−ル周壁に対して移動可能に連結されてなる耐震構造型マンホールにおいて、前記インバ−トコンクリ−トと管体端面との間に衝撃吸収部材を介在させたことにある。
【0010】
尚、通水路用管体をマンホ−ル周壁に可撓性継手を介して取付けること、衝撃吸収部材は、インバートコンクリートの溝部の端部内面に形成した衝撃吸収部材収容溝内に嵌め込まれていること、衝撃吸収部材は脆性材をもって形成し、内部を空洞とすること、又はゴム状の弾性材をもって成形すること、更には、衝撃吸収部材収容溝のインバートコンクリート中央側の端面を斜め上側に向けた傾斜面となし、通水路用管体の押し込み方向の動作によって、衝撃吸収部材が前記傾斜面に沿って押し上げられるようにすることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面について説明する。
【0012】
図1〜図4は本発明の第1実施形態を示している。尚、前述した従来例と同じ部分については同一の符号を付して説明する。
【0013】
図において、Aは地中に埋設された耐震構造型マンホールであり、1はマンホ−ル本体を構成する上部コンクリートブロック、2は中間コンクリートブロック、3は底部ブロック、4はマンホールAの周壁を構成する底部ブロック3の周壁3bに連結された通水路用管体、6はマンホールAの内側底部に設置されたインバートコンクリート、7はマンホール周壁3bと通水路用管体4とを連結する可撓性継手、8は通水路用管体4の端部前面とインバートコンクリート6との間に介在する衝撃吸収部材である。
【0014】
このマンホールAは、前述した従来例と同様、底部ブロック3は円盤状の底盤部3aとその底盤部3aの外周縁部から垂直に立ち上がった周壁3bとを有し、周壁3bには通水路用管体4が挿入される管体挿入孔5が通水路用管体4の外径より稍大きく開口され、マンホールAの内側底部には、インバ−トコンクリ−ト6が現場打ちにより設置されている。
【0015】
インバートコンクリート6には、その上面に、流路となる溝部6aが通水路用管体4と連続配置となるように形成され、溝部6aの管体端部前面に、衝撃吸収部材8が収容される衝撃吸収部材収容溝9が形成されている。
【0016】
衝撃吸収部材8は、図3〜図4に示すように、円弧状をした正面部10aおよび背面部10bと、円弧状の外側面を成形する外周面部11と、円弧状の内側面を成形する内周面部12と、円弧状の両端部の端面部13,13とが硬質プラスチック等の脆性材により一体に形成され、各部に囲まれる部分が空洞部14となり、その円弧状の内周径は溝部の流路径と同径に、外周径は通水路用管体4の外径より稍大きく形成されている。
【0017】
衝撃吸収部材収容溝9は、衝撃吸収部材8の内周面部11が溝部6aと連続配置となる位置に、前記衝撃吸収部材8の外周面部10が下向きに嵌り合う形状に形成され、管体側に向かって開口されている。
【0018】
通水路用管体4は、円筒状に形成され、マンホールAに挿入される側の端部はマンホールAの周壁内周面に沿ってはつり取られている。
【0019】
可撓性継手7は、テーパ筒状のゴムソケット15、拡張バンド16及び締付けバンド17,17…から構成され、ゴムソケット15の一方の端部が拡張バンド16により管体挿入孔5の内面に押圧し固定され、他方の端部が締付けバンド17,17…により通水路用管体の外周面を締付け固定されて通水路用管体4をマンホ−ル周壁3aに対して、移動可能に連結し、且つ止水性も確保している。
【0020】
このような耐震構造型マンホールの施工は、まず、各管体収容孔5に可撓性継手7をとりつけたマンホールAを設置し、現場打ちでインバートコンクリート6を形成する。そして、インバートコンクリート6の上面に形成された衝撃吸収部材収容溝9に衝撃吸収部材8をその背面部10b、外周面部11をインバートコンクリート6に当接させて収容する。ここで、通水路用管体4を可撓性継手7の一方から挿入し、衝撃吸収部材8の正面部10aに通水路用管体4の端面を当接させる。そして、衝撃吸収部材8と通水路用管体4の端面との間の隙間部分をモルタル等の充填材18で埋めることで、溝部6aと通水路用管体4と衝撃吸収部材8とが連続して配置されるようになっている。
【0021】
また、既設の耐震構造型マンホールについて実施する場合には、マンホールA内において、衝撃吸収部材8を設置するのに必要な衝撃吸収部材収容溝9を確保するために通水路用管体4の端部前面のインバ−トコンクリ−ト6を衝撃吸収部材の形状に合せてはつり取って、溝部6aの端部内面に衝撃吸収部材収容溝9を形成し、その溝9内に衝撃吸収部材8を設置し、更に、通水路用管体4の端面と衝撃吸収部材8との間にできた隙間をモルタル等の充填材18で埋めることにより設置する。
【0022】
上述の第1実施形態では、衝撃吸収部材8は、肉厚内部を空洞としたプラスチック等の脆性材をもって形成したものを示しているが、これに代えて図5に示す如き、中空構造ではなく、全体をゴム等の弾性材をもって形成したものを使用してもよい。
【0023】
図6、図7は本発明の更に他の実施形態を示しており、この例では、衝撃吸収部材収容溝9のインバートコンクリート中央側の端面、即ち通水路用管体4とは反対側の面を斜め上方に向けた傾斜面20となし、その衝撃吸収部材収容溝9の内面に合成樹脂シート等の滑りやすい材料からなる縁切り層21を設置し、その上に、ブロック状の衝撃吸収部材22を嵌め込み、通水路用管体4が押し込み方向に動作して衝撃吸収部材22に押し込み方向の外力が加わった際に、図7に示すように衝撃吸収部材22が傾斜面20に沿って押し上げられるようにし、これによって衝撃を吸収するようにしている。
【0024】
この実施形態で使用する衝撃吸収部材22はゴム等の弾性材であってもよく、硬質プラスチックのような剛性の脆性材料であってもよい。
【0025】
尚、上述の各実施形態では、マンホールAの周壁と通水路用管体4との接合部分にテーパ筒状のゴムソケットを用いた可撓性継手を介在させたものを示しているが、管体挿入孔5と通水路用管体4との隙間に弾性シーリング材等を充填し、可撓性を持たせてもよい。
【0026】
【発明の効果】
上述のように、本発明に係る耐震構造型マンホールにおいては、通水路用管体の端面とインバ−トコンクリ−トとの間に衝撃吸収部材を介在させ、通水路用管体とマンホ−ルとを可撓性継手を介して連結させたことにより、通水路用管体がマンホ−ルに対して引き抜かれた場合のみならず、マンホ−ル側に押し込まれた場合にも、可撓性継手及び衝撃吸収部材が衝撃を吸収し、インバ−トコンクリ−ト及び通水路用管体の破損、及び、通水路用管体の端部がインバ−トコンクリ−トの溝部に乗り上げること等の変動が防止され、流下機能が阻害されない。
【0027】
また、衝撃吸収部材をインバートコンクリートの溝部の端部内面に形成した衝撃吸収部材収容溝内に嵌め込むようにすることにより、最終工程で施工されるインバートコンクリートの形状をこれに対応した形状とすることのみで容易に施工でき、且つ、衝撃吸収部材の交換が容易となり、更に、既設のマンホールに対しても容易に施工することができる。
【0028】
また、衝撃吸収部材を、脆性材をもって形成し、内部を空洞とすることにより、通水路用管体の強度より弱くし、該管体が破損する前に衝撃吸収部材が破損する構造とすることが設計上容易となる。
【0029】
また、衝撃吸収部材を、ゴム状の弾性材をもって成形することにより、通水路用管体の押し込み動作に追随して変形することとなって、破損が防止され、地震後の取り換えが不要な場合が多くなる。
【0030】
また、衝撃吸収部材収容溝のインバートコンクリート中央側の端面を斜め上側に向けた傾斜面となし、通水路用管体の押し込み方向の動作によって、衝撃吸収部材が前記傾斜面に沿って押し上げられるようにすることにより、衝撃吸収部材が地震時に除去されることとなり、通水路用管体の許容移動量を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐震構造型マンホールの一例の通水路用管体連結状態を示す縦断面図である。
【図2】図1中のA−A線断面図である。
【図3】(A)は、図1に示す耐震構造型マンホールに使用している衝撃吸収部材の形状を示す平面図、(B)は同正面図である。
【図4】図3中のB−B線断面図である。
【図5】(A)は、図1に示す耐震構造型マンホールに使用する衝撃吸収部材の他の例の縦断面図、(B)は同横断面図である。
【図6】本発明に係る耐震構造型マンホールの他の例の通水路用管体連結状態を示す縦断面図である。
【図7】同上の衝撃吸収部材の動作状態を示す部分拡大断面図である。
【図8】従来の耐震構造型マンホールの一例を示す縦断面図である。
【図9】図8中のC−C線断面図である。
【図10】同D−D線断面図である。
【符号の説明】
A 耐震構造型マンホール
1 上部ブロック
2 中間ブロック
3 底部ブロック
4 通水路用管体
5 管体挿入孔
6 インバートコンクリート
6a 溝部
7 可撓性継手
8 衝撃吸収部材
9 衝撃吸収部材収容溝
10a 正面部
10b 背面部
11 外周面部
12 内周面部
13 端面部
14 空洞部
15 ゴムソケット
16 拡張バンド
17 締付けバンド
18 充填材
20 傾斜面
21 縁切り層
22 衝撃吸収部材
Claims (4)
- 底部にインバートコンクリートが設置され、該インバートコンクリートの上面に流路となる溝部を備え、周壁には前記インバ−トコンクリ−トの溝部と連続配置に通水路用管体がマンホ−ル周壁に対して移動可能に連結されてなる耐震構造型マンホールにおいて、
前記インバ−トコンクリ−トと通水路用管体端面との間に衝撃吸収部材を介在させ、該衝撃吸収部材は、インバートコンクリートの溝部の端部内面に形成した衝撃吸収部材収容溝内に嵌め込まれ、該衝撃吸収部材収容溝のインバートコンクリート中央側の端面を斜め上側に向けた傾斜面となし、通水路用管体の押し込み方向の動作によって、衝撃吸収部材が前記傾斜面に沿って押し上げられるようにしたことを特徴としてなる耐震構造型マンホール。 - 管体をマンホ−ル周壁に可撓性継手を介して取付けてなる請求項1に記載の耐震構造型マンホール。
- 衝撃吸収部材は、脆性材をもって形成されている請求項1又は2の何れか1に記載の耐震構造型マンホール。
- 衝撃吸収部材は、ゴム状の弾性材をもって成形してなる請求項1又は2の何れか1に記載の耐震構造型マンホール。
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