JP3837689B2 - 光モジュール用試験機、調整装置及び調整方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野に利用される光モジュール用試験機及びその光軸調整方法に関し、特に、光導波路を形成した基板又は該基板を実装した光デバイスパッケージと、該基板又は光デバイスパッケージに光学的に接合される光ファイバホルダ又は光ファイバブロックとの間で、その接合面での光軸を調整して合わせ、伝送特性等の試験を行う光モジュール用試験機及びその光軸調整方法に関する。
【0002】
光デバイス技術の発展に伴い、平面実装型光デバイスやLN(ニオブ酸リチウム)外部変調器等の光導波路型光デバイスが多種開発されている。この光導波路型デバイスは部品の小型化やコストダウンが図れることから、今後主流となる光デバイスとして期待されている。
【0003】
図15はこれらの光デバイスと光ファイバとを接合した光モジュールの外観を示す図である。同図において、15−1は光導波路を形成した光導波路付基板、15−2は該光導波路付基板を実装したパッケージ、15−3は光ファイバ、15−4は複数の光ファイバを束ねた光ファイバブロック、15−5はパッケージの端子である。
【0004】
【従来の技術】
このパッケージ15−2の光導波路の光軸と光ファイバブロック15−4の光ファイバの光軸とが合致するように光軸調整して結合し、特性試験を行う場合、図16に示すような光軸調整機構を用いて試験を行っている。
【0005】
図16に示す従来の光軸調整機構は、前述の光導波路付基板パッケージ15−2を保持するパッケージ保持部16−1と、該パッケージ保持部16−1を搭載し、搭載面が自由に傾斜するジンバル機構部16−2と、それらを搭載するθ軸移動ステージ16−3と、XY軸移動ステージ16−4と、Z軸移動ステージ16−5とを備え、また、前述の光ファイバブロック15−4を保持する光ファイバブロック保持部16−6と、それらを搭載する防振台16−7とを備える。
【0006】
光軸調整試験手順について、LD(Laser Diode )等の光半導体素子を実装した平面実装型光デバイスのパッケージと光ファイバブロックとを接合した光モジュールの例について説明する。
【0007】
先ず、光デバイスのパッケージ15−2と光ファイバブロック15−4とを、それぞれ部品取付け部(パッケージ保持部16−1、光ファイバブロック保持部16−6)にクランプした後、光デバイスのパッケージ15−2と光ファイバブロック15−4との接合面を平行に合わせる面合わせを行う。
【0008】
面合わせは、Z軸移動ステージ16−5によりパッケージ保持部16−1を上昇させていき、光デバイスのパッケージ15−2を光ファイバブロック15−4に突き当て、ジンバル機構部16−2の圧力センサ(図示省略)により規定の圧力が加わったことを検出したところでジンバル機構部16−2の傾斜を固定し、光デバイスのパッケージ15−2の接合面を光ファイバブロック15−4の面と平行になるように合わせる。
【0009】
続いて、光デバイスパッケージ15−2の基板に実装されたLD素子にLD駆動電源16−8から給電することによりLD素子を発光させ、光ファイバからの受光量を光パワーメータ16−9で測定し、該測定値をデータ処理部16−10に出力し、データ処理部16−10は所定の調芯アルゴリズムに基づき、θ軸移動ステージ16−3、XY軸移動ステージ16−4及びZ軸移動ステージ16−5をステージ駆動部16−11により駆動し、光ファイバからの受光量が最大となるよう光デバイスのパッケージ15−2の位置を調整する。調芯終了後、所定の特性試験を行い、光軸調整を含む試験を完了する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の面合わせに使用しているジンバル機構部16−2は、2つの部品を押し当てて接合面が平行になるように傾斜を固定する機構を備える必要があるため、構造が複雑にならざるを得ず、また、部品固定の際に傾斜の位置ずれを起こしやすいという問題があった。
【0011】
更に、ますます部品の微細化が要求されている光デバイスに対する光軸調整において、部品形状が微細になるほど面合わせを精度良く行うことが困難となり、面の角度ずれ(傾斜)に起因する光の損失・反射等が発生し、特性試験精度が低下してしまう。
【0012】
また、部品形状の差異により回転中心(θ軸の位置)が変動し、部品毎の位置のバラツキが大きく、光軸調整の移動範囲を広くとらないと適正な調芯ができず、調芯に多くの時間が掛かるという問題があった。
【0013】
また、多芯の光導波路型デバイスに対する試験の場合には、回転調整(θ軸を中心とする回転)を行うと接合面の回転角が変動するため、面合わせと回転調整を数回繰り返して行う必要があり、調芯に長時間を費やすという問題があった。
【0014】
本発明は光デバイスのパッケージ15−2と光ファイバブロック15−4との面合わせ精度良く行い、且つ、光軸合わせに部品形状の差異等による影響が少なく、精密にかつ短時間で光軸調整を行うことができる光モジュール用試験機及びその光軸調整方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の光モジュール用試験機は、(1)対向する接合面で光結合される二つの光モジュール部品をそれぞれ保持する部品保持部と、該部品保持部により保持された二つの光モジュール部品の接合面を撮像するCCDカメラと、前記部品保持部を搭載し、対向する接合面との相対的な位置ずれ、回転ずれ及び傾斜を補正する移動可能な移動ステージとを備え、前記部品保持部を搭載する移動ステージは、対向する部品の接合面に対して相対的に左右、上下及び前後方向に平行に移動する移動機構と、対向する部品の接合面に対して相対的に左右、上下及び前後方向の軸と平行な軸を中心として傾斜又は回転する移動機構を少なくとも有し、前記CCDカメラで撮像したそれぞれの部品の接合面の測定点の画像データと撮像対象に焦点が合う合焦距離とを基に、該接合面の3次元位置データを算出し、該3次元位置データを基に、対向する接合面の傾き及び光結合位置を算出する手段と、該算出データを基に部品保持部を搭載する移動ステージを駆動し、対向する接合面に傾き及び光結合位置を合致させて二つの光モジュール部品を接合する手段と、を備えたものである。
【0016】
また、(2)前記部品保持部により保持された二つの光モジュール部品の接合面が対向する位置の間に配置され、移動ステージ上に搭載されて配置されたプリズム又は反射鏡と、該プリズム又は反射鏡を介し、前記二つの部品の接合面を交互に撮像する1台のCCDカメラとを備え、該CCDカメラでそれぞれの部品の接合面の測定点を撮像した後に、前記移動ステージ上に搭載したプリズム又は反射鏡を、二つの部品の接合面が対向する位置から移動させて退避させる手段と、該CCDカメラで撮像した画像データと撮像対象に焦点が合う合焦距離とを基にした二つの部品の接合面の傾き及び光結合位置に応じて、部品保持部に設けた移動ステージを駆動し、対向する接合面に傾き及び光結合位置を合致させて二つの光モジュール部品を接合する手段と、を備えたものである。
【0017】
また、(3)光導波路と、光ファイバブロックと、該光導波路を保持する第1の保持部と、該光ファイバブロックを保持する第2の保持部と、該光導波路と該ファイバブロックとの接合面を直角プリズムを介して撮像する手段と、該第1、第2の保持部を搭載し、それぞれの接合面を平行にするため、該手段の撮像を基に位置補正するステージとを有し、接合面を平行に合わせる面合わせを行なうものである。
【0018】
また、(4)光導波路と光ファイバブロックとの接合面を直角プリズムを介して撮像し、それぞれの接合面が平行になるように、該光導波と該光ファイバブロックを位置補正することを特徴とする。
【0019】
また、(5)光ファイバブロックと、光デバイスパッケージと、該光ファイバブロックを保持する第1の保持部と、該光デバイスパッケージとを保持する第2の保持部と、該光ファイバブロックと光デバイスパッケージとの接合面を直角プリズムを介して撮像するCCDカメラと、該カメラにより画像処理してそれぞれの接合面を平行にする為に、該保持部を搭載し、位置補正するステージと有し、接合面を平行に合わせる面合わせを行なうものである。
【0020】
また、(6)光ファイバブロックと光デバイスパッケージとをそれぞれの保持部に取り付け、接合部品である該光ファイバブロックと光デバイスパッケージとの接合面を直角プリズムを介してCCDカメラで撮像して、該接合面の傾斜が平行になるように保持部の位置を補正することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の光モジュール用試験機の第1の実施形態を示す図である。同図において、15−2は光デバイスパッケージ、15−4は光ファイバブロック、1−1は光デバイスパッケージ保持部、1−2は光ファイバブロック保持部、1−31 ,1−32 はズームレンズ付CCDカメラ、1−41 ,1−42 はX軸移動ステージ、1−5はY軸移動ステージ、1−6はZ軸移動ステージ、1−7はα軸及びβ軸移動ステージ、1−8はθ軸移動ステージ、1−9は画像処理部、1−10は演算処理部、1−11はステージ駆動部、16−8はLD駆動電源、16−9は光パワーメータ、16−10はデータ処理部である。
【0022】
図の(a)に示すようにこの実施形態の光モジュール用試験機は、光デバイスパッケージ保持部1−1と光ファイバブロック保持部1−2とを、それぞれ対向するX軸移動ステージ1−41 ,1−42 上の各移動ステージ上に搭載し、そして、光デバイスパッケージ保持部1−1及び光ファイバブロック保持部1−2に対向する位置に、それぞれズームレンズ付CCDカメラ1−31 ,1−32 を、各々のX軸移動ステージ1−42 ,1−41 上の移動ステージ上に配置する。
【0023】
ここで、光デバイスパッケージ保持部1−1及び光ファイバブロック保持部1−2の原点位置と、対向するズームレンズ付CCDカメラ1−32 ,1−31 の原点位置との距離を予め測定しておく。
【0024】
これは、後に光デバイスパッケージ15−2と光ファイバブロック15−4とを対向する位置に移動する際のシフト量として参照される。また、対向する移動ステージの原点位置も測定しておき、この値は接合位置補正時のオフセット量として設定しておく。
【0025】
光ファイバブロック保持部1−2は、X軸移動ステージ1−42 上に2軸回転ステージ(α軸及びβ軸移動ステージ1−7)と回転ステージ(θ軸移動ステージ1−8)とを組み合わせた移動ステージに配置し、光デバイスパッケージ保持部1−1は、X軸移動ステージ1−41 上に2軸移動ステージ(Y軸移動ステージ1−5及びZ軸移動ステージ1−6)上に配置した構成にする。
【0026】
ここで、X軸、Y軸及びZ軸は、図1の(b)に示すように、光デバイスパッケージと光ファイバブロックとが対向する方向をZ軸、光デバイスパッケージ及び光ファイバブロックが左右に移動する方向をX軸、光デバイスパッケージ及び光ファイバブロックが上下に移動する方向をY軸とする。
【0027】
また、Z軸と平行な回転軸をθ軸、X軸と平行な回転軸をα軸、Y軸と平行な回転軸をβ軸とする。光デバイスパッケージと光ファイバブロックとの接合面の回転ずれは、θ軸、α軸及びβ軸の回動により調整される。
【0028】
ズームレンズ付CCDカメラ1−31 ,1−32 は、それぞれ光ファイバブロック保持部1−2及び光デバイスパッケージ保持部1−1を搭載した移動ステージ上に配置され、光ファイバブロック15−4及び光デバイスパッケージ15−2の接合面に対向し、それらの形状を撮影する。
【0029】
各ズームレンズ付CCDカメラ1−31 ,1−32 により撮像した接合面の画像から、画像処理部1−9及び演算処理部1−11は、光デバイスパッケージ15−2及び光ファイバブロック15−4の接合面の平面絶対座標値(XY軸座標位置)を算出する。
【0030】
更に、各ズームレンズ付CCDカメラ1−31 ,1−32 で、光デバイスパッケージ15−2及び光ファイバブロック15−4の接合面を撮影したとき、画像のピントが合う合焦距離から該接合面のZ軸座標位置を算出する。
【0031】
本発明の光モジュール用試験機は、部品接合面をズームレンズ付CCDカメラ1−31 ,1−32 で撮影し、画像処理して得た3次元位置データを基に、接合面の傾きと光結合位置(光導波路部と光ファイバコア部の位置等)を算出し、この算出データより、部品保持部の一方又は両方に設けたメカニカル移動ステージを移動して面合わせと調芯を行うものである。
【0032】
即ち、本発明の光軸調整機構は、部品保持部を3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の平面移動と、回転移動(θ軸中心)及び回転移動(α軸及びβ軸中心)を含む少なくとも6軸上で移動する移動ステージ上に配置し、また、各々の部品保持部に保持される部品の接合面に対向する位置にズームレンズ付CCDカメラを配置し、該CCDカメラで撮像した接合面の画像処理データを基に移動ステージを駆動して面合わせ及び調芯行う構成を基本としている。
【0033】
光軸調整試験の手順は以下の通りである。先ず、光軸調整機構の部品保持部に取り付けた光デバイスパッケージ15−2と光ファイバブロック15−4の接合面を低倍率で撮像して画像認識し、光ファイバコア部と光導波路部等の光結合位置及び予め設定した接合面上の測定点(例えば、接合面の3隅の点)の座標値(X,Y,Z座標)を読み取り、各々の接合面の回転角と光結合位置とを算出する。
【0034】
ここで、取得した3次元位置データを基に、光デバイスパッケージと光ファイバブロックの接合面が平行になるように、かつ光導波路と光ファイバの光軸方向及びその光軸位置が一致するように移動ステージを駆動して光導波路と光ファイバコアの光軸位置の粗調整を行う(粗調芯)。なお、この段階の画像処理時に部品形状の画像判定を行うことにより、光軸調整前に部品の良否判定を行うことができる。
【0035】
更に、ズームレンズ付CCDカメラ1−31 ,1−32 の倍率を上げて、光デバイスパッケージ15−2と光ファイバブロック15−4の接合面を同様に撮像し、画像処理により光導波路と光ファイバコア部の光軸位置を算出し、より精密な光軸位置の微調整を行う(微調芯)。
【0036】
そして、精緻な調芯の終了後に光モジュールの特性試験を行う。このような試験機により、面合わせ精度を高く維持し、部品形状の差異に影響されず精密に且つ安定的に光軸調整が行われ、精度の良い光モジュール特性試験が可能となる。
【0037】
次に、本発明における光結合位置の算出手法について説明する。図2はCCDカメラによって撮像した光導波路又は光ファイバコアの光結合位置の算出の説明図である。同図に示すように、光デバイスパッケージ又は光ファイバブロック2−1の接合面をズームレンズ付CCDカメラ2−2により撮影する。
【0038】
ズームレンズ付CCDカメラ2−2により撮影した画像から、光導波路又は光ファイバコア部2−3のX,Y座標値a(x1 ,y1 )、b(x2 ,y2 )を算出する。また、多芯光導波路型デバイスの光導波路又は光ファイバコア部の間隔はミクロン精度で作製されており、任意の2点の光導波路又は光ファイバコア部2−3のX,Y座標値a(x1 ,y1 )、b(x2 ,y2 )から、光導波路又は光ファイバコア部2−3のθ軸を中心とする回転ずれ角θs が、θs =tan ―1{(y1 −y2 )/(x1 −x2 )}として算出される。
【0039】
そして、これらの算出データを基に一方の部品の光結合位置及び回転角を基準に他方の部品の光結合位置と回転角とを合わせる。その後、ズームレンズ付CCDカメラ2−2の倍率を上げて再度画像認識を行い、同様の処理を行って光軸をより正確に合わせる補正を行う
【0040】
図3及び図4はCCDカメラによって撮像した光デバイスパッケージ又は光ファイバブロック接合面の回転角の算出の説明図である。先ず、図3に示すように、部品保持部3−1に保持された光デバイスパッケージ又は光ファイバブロック3−2の上端測定点AをCCDカメラ3−3で撮影し、CCDカメラ3−3を搭載したZ軸移動ステージ3−4をZ軸方向に移動させ、撮影画像のピントが部品の上端測定点Aに合ったときのZ軸移動ステージ3−4の原点位置からの移動距離(合焦距離)z1 を測定し、また、部品の上端測定点Aの高さ、即ちY座標位置y1 を撮影した画像から算出する。
【0041】
次に、図4に示すように、部品保持部3−1に保持された光デバイスパッケージ又は光ファイバブロック3−2の下端測定点BをCCDカメラ3−3で撮影し、同様にCCDカメラ3−3を搭載したZ軸移動ステージ3−4をZ軸方向に移動させ、撮影画像のピントが部品の下端測定点Bに合ったときのZ軸移動ステージ3−4の原点位置からの移動距離を測定し、また、部品の下端測定点Bの高さ、即ちY座標位置y2 を撮影した画像から算出する。
【0042】
なお、図3及び図4において、CCDカメラ3−3のレンズの焦点距離は固定とし、CCDカメラ3−3をZ軸方向に移動させて撮像対象に対して焦点を合わせるものとしているため、焦点が合う撮像対象とCCDカメラとの距離Lは、図3に示す測定点Aを測定した場合と図4に示す測定点Bを測定した場合のいずれの場合でも等しい。なお、合焦距離は、CCDカメラのレンズの焦点距離を可変とし、撮像対象にピントが合う焦点距離から算出する構成とすることもできる。
【0043】
光デバイスパッケージ又は光ファイバブロック3−2の接合面の傾き(α軸を中心とする回転ずれ)αs は、上記移動距離z1 ,z2 及びY座標位置y1 ,y2 から、αs =tan-1{(z1 −z2 )/(y1 −y2 )}として算出される。この算出データを基に、一方の部品を基準に他方の部品の接合面が平行となるようにα軸移動ステージを移動させ、回転ずれを調整する。
【0044】
同様に、部品接合面の左端測定点と右端測定点のX座標位置x1 ,x2 とその合焦距離から算出されるZ座標位置z1 ,z2 とから、β軸を中心とする回転ずれβs が、βs =tan -1{(z1 −z2 )/(x1 −x2 )}として算出され、この算出データを基に、一方の部品を基準に他方の部品の接合面が平行となるようにβ軸移動ステージを移動させ、回転ずれを調整する。
【0045】
このような調整機構により、多芯光導波路型デバイスであっても容易に光結合位置を算出して光軸を合わせることができ、調芯時間の短縮化が図れると共に、メカニカルステージの駆動のみにより面合わせと調芯を行うことができるため、調整機構の簡略化を図ることができる。
【0046】
図5及び図6は本発明の光軸調整手順のフロー図であり、以下にそのフローを説明する。先ず、従来と同様に光デバイスパッケージ及び光ファイバブロックを光モジュール用試験機の各部品保持部に保持する。また、光ファイバの光出力端を光パワーメータに接続し、光デバイスパッケージのLD駆動端子部を電源端子に接続しておく(5−1)。
【0047】
光軸調整は、先ず互いに対向したCCDカメラを低倍率にして、光デバイスパッケージ及び光ファイバブロックの各接合面全体を撮像する(5−2)。撮像した画像データより、各接合面の3隅の測定点と光導波路又は光ファイバコア部のXY座標値[ 光デバイスパッケージの3隅の測定点:A(xA ,yA ),B(xB ,yB ),C(xC ,yC )、光ファイバブロックの3隅の測定点:a(xa ,ya ),b(xb ,yb ),c(xc ,yc )、光導波路部:D(xD ,yD ),E(xE ,yE )、光ファイバコア部:d(xd ,yd ),e(xe ,ye )] (図7参照)を読み取って測定する(5−3)。
【0048】
ここで、測定した座標値と部品仕様寸法との比較を行い、部品の良否判定を自動的に行う(5−4)。部品不良と判定された場合は、その旨を表示し、自動的に又は試験者により部品を交換する。
【0049】
続いて、CCDカメラのズームレンズの倍率を例えば5倍程度上げ(5−5)、接合面の3隅等の任意の測定点が画像認識範囲内に入るようにCCDカメラを移動し、各測定点で焦点が合うCCDカメラの移動距離から各測定点のZ軸座標値[光デバイスパッケージの3隅の測定点:A(zA ),B(zB ),C(zC )、光ファイバブロックの3隅の測定点:a(za ),b(zb ),c(zc )]を、Z軸移動ステージの移動量と画像鮮明度を示す画像認識データとを基に測定する(5−6)。
【0050】
この測定点座標値データを基に接合面の回転角(αs ,βs )を算出する(5−7)(図8参照)。そして、回転角算出データ(αs ,βs )を基に、光ファイバブロックが光デバイスパッケージ面と平行になるように、α軸及びβ軸移動ステージを用いて光ファイバブロック保持部の回転を補正する(5−8)。
【0051】
その後、再度光デバイスパッケージ及び光ファイバブロックの接合面を撮像し、任意の3点の測定点の位置座標と合焦距離とを測定し(5−9)、接合面の回転ずれを算出する(5−10)。このとき、光ファイバブロックの接合面の回転角と光デバイスパッケージの接合面の回転角とが等しいか、即ち接合面が平行であるか否かを判定し(6−1)、平行でない場合は再度回転補正を行った後に接合面の回転角が等しくなったかどうかを判定する。
【0052】
次に、光導波路部及び光ファイバコア部のXY平面座標値を高倍率レンズにより測定し(6−2)、それぞれの接合面の回転角を算出する(6−3)。この回転角を基に光ファイバコア部と光導波部との接合面の回転角が同じになるように光ファイバブロック保持部のθ軸移動ステージを回転させる(6−4)。
【0053】
接合面の回転角補正後、光導波路部及び光ファイバコア部を撮像して画像認識し(6−5)、その平面座標値と回転角を算出し(6−6)、光導波路部と光ファイバコア部の回転角が等しいかどうかを判定し(6−7)、等しくない場合は再び光ファイバブロック保持部θ軸移動ステージを回転させ、光導波路部と光ファイバコア部の回転角が等しくなるように調整する。
【0054】
光導波路部と光ファイバコア部の結合位置の一致を確認した後、図9に示すように光ファイバブロック保持部をX軸移動ステージにより光デバイスパッケージ保持部と対向する位置に移動する(6−8)。このときの移動量は先に述べた部品保持部とCCDカメラの間隔分である。
【0055】
次に、光導波路部及び光ファイバコア部の平面座標値より算出した光結合位置データより光デバイスパッケージ保持部のX軸移動ステージ及びY軸移動ステージを移動させ、光結合がとれる位置に位置補正する(6−9)。
【0056】
そして、光デバイスパッケージ保持部のZ軸移動ステージにより光ファイバブロックとの間隔が約5μmとなるように光デバイスパッケージ保持部を移動させる(6−10)。
【0057】
最後に、光デバイスパッケージのLDにLD駆動電源16−8から給電し、光ファイバから出力される受光量を光パワーメータ16−9により測定し、光ファイバ端の受光量が最大となるように微調芯を行う(6−11)。
【0058】
以上の手順により調芯が完了した後、光デバイスパッケージと光ファイバブロックとの間隔が約1μmとなるまで光デバイスパッケージ保持部をZ軸移動ステージの移動により近づけ、特性確認の試験を行い(6−12)、調整試験完了後に部品を取り外す(6−13)。
【0059】
図10及び図11は本発明の光モジュール用試験機の第2の実施形態を示す図である。この実施形態は、接合する2つの部品15−2,15−4の接合面とプリズム10−1とを同軸の一直線上に配置し、2つの部品の接合面を交互にプリズムを介してズームレンズ付CCDカメラ10−2で撮像する構成とし、一台のズームレンズ付CCDカメラ10−2により画像処理して光軸調整をするようにしたものである。
【0060】
この実施例では、部品の接合面とプリズム10−1と間の距離を約15mmとし、プリズムとズームレンズ付CCDカメラ10−2と間の距離を約20mmとした。ここで、プリズム10−1は、直交する2面で反射する直角プリズムを用い、直角度90度±1分以内、面精度0.15μm、直交2面外形寸法15mm程度のものを使用することができる。また、プリズムに代えて、反射鏡を用いることもできる。
【0061】
また、ズームレンズ付CCDカメラ部10−2は二つの部品を接合したときに退避できるよう、X軸移動ステージ10−3上に配置し、更にズームレンズ付CCDカメラ10−2は位置調整のためZ軸移動ステージ10−5上に取り付ける。
【0062】
光軸調整の手順は以下の通りである。先ず、光ファイバブロック15−4と光デバイスパッケージ15−2をそれぞれの保持部に取り付ける。次に接合部品のどちらか一方(例えば、光ファイバブロック)を撮像し、接合面の3隅と光結合位置(光ファイバコア部)を前述の第1の実施形態と同様に画像認識して3次元位置データを算出する。
【0063】
次にもう一方の接合面(光デバイスパッケージ)を撮像できる位置にズームレンズ付CCDカメラ10−2をZ軸移動ステージ10−5により移動し、同様に接合面の3隅と光結合位置(光導波路)の3次元位置データを算出する。
【0064】
この位置データを基にそれぞれの接合面を平行にするため、接合部品の移動ステージ(光ファイバブロック側:α・β・θ軸移動ステージ、光デバイスパッケージ側:X・Y・Z軸移動ステージ)により位置補正を行う。
【0065】
位置補正後に再度接合部品位置を確認して、接合面の傾斜が平行となるまで上記動作を繰り返し、接合位置をより精密に合わせ込んでいく。そして、接合面の回転ずれがなくなり平行となったところで光結合位置データを再度確認する。
【0066】
光結合位置確認後、ズームレンズ付CCDカメラ部10−2を部品接合エリアの外に退避させるようにX軸移動ステージ10−3により移動し、その後、算出データを基に、光ファイバブロック15−4と光デバイスパッケージ15−2の接合面間の距離が約5μmとなるように、光ファイバブロック保持部を光デバイスパッケージ保持部に近づけると共に、光導波路部と光ファイバコア部との回転ずれを調整し、光結合位置を補正する(図11参照)。
【0067】
最後に、光デバイスパッケージのLDを駆動し、光ファイバ端からの受光量が最大となるように微調芯を行う。以上の手順により調芯を完了した後、光デバイスパッケージと光ファイバの接合面間の距離を約1μmに近づけて、特性確認を行い、特性試験を完了する。
【0068】
図12乃至図14は本発明による光導波路型光デバイスの挿入損失光軸調整試験機の説明図である。この光軸調整試験機は、光導波路基板12−1の保持部とズームレンズ付CCDカメラ12−21 とを同一の移動ステージ12−3上に配置した機構部と、光ファイバブロック保持部12−4とズームレンズ付CCDカメラ12−22 とを同一移動ステージ12−5上に配置した機構部と、レンズ12−6を介した受光器12−7と可視光光源12−8とを同一移動ステージ上に配置した機構部の三つの機構部から構成される。
【0069】
ここで、可視光光源12−8は光導波路基板12−1の光導波路位置を測定するときに使用し、受光器12−7は位置補正できるよう、XY軸移動ステージ12−9上に配置する。また、光ファイバブロック保持部は6軸(XYZ−αβ−θ)ステージ12−10上に配置している。
【0070】
光軸調整の手順は以下の通りである。先ず、図13に示すように、光ファイバブロック12−11からレンズ12−6を通して直接受光器12−7に光を入射する位置に受光器12−7のステージ12−9を移動して受光量の測定を行い、リファレンスデータを測定する。
【0071】
次に、光導波路基板12−1を試験機の保持部12−12に取付け、図12に示す位置に、移動ステージを移動させ、可視光光源12−8を光導波路基板12−1に入射してCCDカメラ12−22 にて基板接合面を撮像する。これは、可視光を入射すると光導波路位置を明瞭に撮像できるためである。
【0072】
また、並行して光ファイバブロック接合面をCCDカメラ12−21 で撮像し、前述の第1の実施形態と同様の処理を行い、接合面の回転角と光結合位置を算出する。この算出データを基に光ファイバブロック保持部の6軸移動ステージ12−10を移動して接合面の回転角と光結合位置を合わせ込む。
【0073】
次に図14に示すように、光導波路基板保持部12−12を光ファイバブロック12−11と対向する位置に移動させ、更に光ファイバブロック12−11をZ軸移動ステージにて光導波路基板12−1との間隔が約1μmとなるように移動させる。
【0074】
最後に、光ファイバ端から光を入射した状態で受光器12−7のXY軸移動ステージ12−9を調芯して受光量が最大となる位置に合わせ込み、挿入損失を測定する。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光モジュール部品の接合面をCCDカメラで撮像し互いの接合面の回転、光結合位置を画像データから算出し、該算出データを基にそれらの部品を搭載した移動ステージを駆動して面合わせ及び光結合位置を合わせることにより、部品形状や部品取付のばらつきによる影響が少なく、安定した面合わせを行うことができる。
【0076】
また、移動ステージは並行移動、回転移動を各軸独立に移動する機構とすることにより、面合わせ及び光結合位置合わせの機構を簡略化することができ、多芯光導波路型デバイスであっても容易に調芯が可能となり、調芯時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光モジュール用試験機の第1の実施形態を示す図である。
【図2】本発明のCCDカメラによって撮像した部品接合面の光結合位置の算出の説明図である。
【図3】 本発明のCCDカメラによって撮像した部品接合面の回転角算出の説明図である。
【図4】 本発明のCCDカメラによって撮像した部品接合面の回転角算出の説明図である。
【図5】本発明の光軸調整手順のフロー図である。
【図6】本発明の光軸調整手順のフロー図である。
【図7】本発明の接合面の画像処理測定位置を示す図である。
【図8】 本発明の接合面の回転角算出の説明図である。
【図9】本発明により光軸調整した光ファイバブロック及び光デバイスパッケージを接合させた状態を示す図である。
【図10】本発明の光モジュール用試験機の第2の実施形態を示す図である。
【図11】本発明の光モジュール用試験機の第2の実施形態を示す図である。
【図12】本発明による光導波路型光デバイスの挿入損失光軸調整試験機の説明図である。
【図13】本発明による光導波路型光デバイスの挿入損失光軸調整試験機の説明図である。
【図14】本発明による光導波路型光デバイスの挿入損失光軸調整試験機の説明図である。
【図15】光デバイスと光ファイバとを接合した光モジュールの外観を示す図である。
【図16】従来の光軸調整機構を示す図である。
【符号の説明】
1−1 光デバイスパッケージ保持部
1−2 光ファイバブロック保持部
1−31 ,1−32 ズームレンズ付CCDカメラ
1−41 ,1−42 X軸移動ステージ
1−5 Y軸移動ステージ
1−6 Z軸移動ステージ
1−7 α軸及びβ軸移動ステージ
1−8 θ軸移動ステージ
1−9 画像処理部
1−10 演算処理部
1−11 ステージ駆動部
15−2 光デバイスパッケージ
15−4 光ファイバブロック
16−8 LD駆動電源
16−9 光パワーメータ
16−10 データ処理部
Claims (4)
- 対向する接合面で光結合される二つの光モジュール部品をそれぞれ保持する部品保持部と、該部品保持部により保持された二つの光モジュール部品の接合面を撮像するCCDカメラと、前記部品保持部を搭載し、対向する接合面で光結合される二つの光モジュール部品のうち、一方の部品を基準にして対向する接合面の相対的な位置ずれ、左右方向の軸と平行な軸及び上下方向の軸と平行な軸を中心とする回転ずれ及び前後方向の軸と平行な軸を中心とする回転ずれを補正する移動可能な移動ステージとを備え、
前記CCDカメラで撮像したそれぞれの部品の接合面の測定点の画像データと撮像対象に焦点が合う合焦距離とを基に、該接合面の測定点の3次元位置データを算出し、該3次元位置データを基に、二つの光モジュール部品の接合面の左右方向の軸と平行な軸及び上下方向の軸と平行な軸を中心とする回転角、前後方向の軸と平行な軸を中心とする回転角及び光結合位置をそれぞれ算出し、得られた算出データを基に部品保持部を搭載する移動ステージを駆動して二つの光モジュール部品の接合面の左右、上下、前後方向の軸と平行な軸を中心とする回転角及び光結合位置を合致させるステージ駆動部と、を備えたことを特徴とする光モジュール用試験機。 - 前記部品保持部により保持された二つの光モジュール部品の間に配置され、前記請求項1に記載の移動ステージとは別体の移動ステージ上に搭載された直角プリズム若しくは反射鏡並びにCCDカメラと、
一方の光モジュール部品、直角プリズム若しくは反射鏡及び他方の光モジュール部品をこの順序で同軸の一直線上に配置し、該直角プリズム若しくは反射鏡の直交する2面で反射した光を、CCDカメラを移動させながら交互に受光することで、二つの光モジュール部品の接合面の測定点を該CCDカメラで撮像した後に、前記請求項1に記載の移動ステージとは別体の移動ステージ上に搭載した直角プリズム若しくは反射鏡並びにCCDカメラを、前記一方の光モジュール部品、直角プリズム若しくは反射鏡及び他方の光モジュール部品をこの順序で同軸の一直線上に配置した位置から移動させて退避させる、前記請求項1に記載の移動ステージとは別体の移動ステージを駆動するステージ駆動部と、
該CCDカメラで撮像した画像データと撮像対象に焦点が合う合焦距離とを基にした二つの部品の接合面の回転角及び光結合位置に応じて、部品保持部に設けた前記請求項1に記載の移動ステージを駆動し、二つの光モジュール部品の接合面の左右方向の軸と平行な軸及び上下方向の軸と平行な軸を中心とする回転角、前後方向の軸と平行な軸を中心とする回転角及び光結合位置をそれぞれ合致させて二つの光モジュール部品を接合する前記請求項1に記載のステージ駆動部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光モジュール用試験機。 - 光導波路と、光ファイバブロックと、該光導波路を保持する第1の保持部と、該光ファイバブロックを保持する第2の保持部と、光導波路と直角プリズム若しくは反射鏡と光ファイバブロックとをこの順序で同軸の一直線上に配置し、該直角プリズム若しくは反射鏡の直交する2面で反射した光を、CCDカメラを移動させながら交互に受光することで、光導波路及び光ファイバブロックの接合面を撮像するCCDカメラを搭載し、該光導波路及び光ファイバブロックの接合面を撮像した後に、前記光導波路と直角プリズム若しくは反射鏡と光ファイバブロックとをこの順序で同軸の一直線上に配置した位置から、前記直角プリズム若しくは反射鏡並びにCCDカメラが退避する位置に移動する第1の移動ステージと、
前記CCDカメラで撮像した前記光導波路及び光ファイバブロックのそれぞれの接合面の測定点の画像データと撮像対象に焦点が合う合焦距離とを基に、対向する接合面の左右方向の軸と平行な軸及び上下方向の軸と平行な軸を中心とする回転角、前後方向の軸と平行な軸を中心とする回転角及び光接合位置をそれぞれ算出し、得られた算出データを基に前記第1又は第2の保持部を搭載する第2の移動ステージを駆動し、二つの光モジュール部品の接合面の左右方向の軸と平行な軸及び上下方向の軸と平行な軸を中心とする回転角、前後方向の軸と平行な軸を中心とする回転角及び光結合位置を合致させるステージ駆動手段と、
を備えたことを特徴とする調整装置。 - 光導波路と直角プリズムとファイバブロックとをこの順序で同軸の一直線上に配置し、光導波路及び光ファイバブロックのそれぞれの接合面を、第1の移動ステージに搭載された直角プリズムの直交する2面で反射した光を、CCDカメラを移動させながら交互に受光することで、該第1の移動ステージに搭載されたCCDカメラにより撮像し、該撮像の後、前記光導波路と直角プリズムとファイバブロックとをこの順序で同軸の一直線上に配置した位置から、該直角プリズム及び該CCDカメラを退避させ、該CCDカメラで撮像した前記それぞれの接合面の測定点の画像データと撮像対象に焦点が合う合焦距離とを基に、対向する接合面の左右方向の軸と平行な軸及び上下方向の軸と平行な軸を中心とする回転角、前後方向の軸と平行な軸を中心とする回転角及び光接合位置をそれぞれ算出し、得られた算出データを基に前記光導波路又は光ファイバブロックを搭載する第2の移動ステージを駆動し、該接合面の左右方向の軸と平行な軸及び上下方向の軸と平行な軸を中心とする回転角、前後方向の軸と平行な軸を中心とする回転角及び光結合位置を合致させることを特徴とする調整方法。
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