JP3830227B2 - 光学樹脂用組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高屈折率であり、透明性、光学歪、耐熱性、染色性、耐衝撃性等のバランスのとれた樹脂を与える光学樹脂用組成物、該組成物を重合硬化させて得られる光学樹脂、及び光学レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、眼鏡レンズ用途などに実用化されている熱硬化型の光学用樹脂及びそのモノマーは、2種類に大別される。1つはチオウレタン樹脂に代表される重縮合型のものであり、いま1つはアクリル、ビニル化合物に代表されるラジカル型のものである。
チオウレタン樹脂は、高屈折であること、耐衝撃性に優れること、などの長所があり、メガネレンズ用を中心に光学用樹脂として広く普及している。しかし、チオールとイソシアナートの縮合反応によりウレタン結合を生成させ樹脂を製造するため、光学的な均一性を保ちつつ重合を行うためには、例えば、24時間以上というような長時間を必要とする。従って、含硫ウレタン樹脂は、樹脂としての性能面では優れているが、生産性の面になお改良の余地を残していると考えられる。
【0003】
一方、(メタ)アクリレート樹脂は、モノマーをラジカル反応により高速重合することが可能であるため、生産性に優れている。しかし、樹脂としての物性面から見ると、耐衝撃性に劣るという致命的な欠点を有している上に、一部のチオアクリレートを用いた場合を除き、屈折率をあまり向上させることは出来ない。同様に、ポリエン−ポリチオール反応により得られる樹脂は、モノマーをラジカル反応により高速重合することも可能であるため、高生産性という一面を持つ。しかし、硬化時(重合時)の体積収縮率が大きく、精密な注型重合が難しいといった欠点も合わせ持っている。また、樹脂としての物性面から見ても、一般に脆いため、その用途には自ずと制限が加わる。また、樹脂の屈折率を向上するためには、モノマー中のチオールの含有率を高めなければならないが、チオール化合物の含有量を増やしていくと、重合して得られた樹脂はよりゴム状となり、光学製品に用いることは出来ない。
【0004】
すなわち、物性に優れるチオウレタン樹脂は生産性面に、生産性が高いラジカル重合型の樹脂は物性面に、問題を残していると言える。この樹脂の生産性(高速重合)と物性の両立のために、ウレタン結合とポリエン、(メタ)アクリレートやチオールのラジカル重合を組み合わせる手法が、既にいくつか報告されている。例えば、特公昭63−29692号公報には、ポリエン化合物のみからなる樹脂の脆さや重合時の体積収縮率の問題を解決するため、ポリチオール化合物とポリイソシアナートから得られるプレポリマーと、ポリエン化合物を含有する重合性の組成物が提案されている。しかし、この組成物は主としてエレクトロニクス用途のキャスティング材を提供するものであり、光学用途については記載がなく、光学的に均一であることが要求される高屈折率光学樹脂として用いることは困難である。例えば、該公報に例示されているイソシアナートのうちトリレンジイソシアナートを用いれば耐光性が不十分であり、その他の芳香族イソシアナートを用いればアッベ数が不足し、ヘキサメチレンジイソシアナートを用いたのでは屈折率が低くなり、また、該公報中で最適と推奨されているメルカプトカルボン酸エステルをチオール化合物に用いた場合も屈折率が低くなり、高屈折率光学用樹脂を実現するには問題がある。
【0005】
さらに、SH基とNCO基の当量比についても、1.5〜50としか記載がなく、特段の配慮は認められない。しかし、この当量比こそが、プレポリマーの性質を左右する重要なパラメータであり、厳密な管理が必要である。すなわち、この比が小さすぎると得られるプレポリマーは極めて高粘度となり、他のポリエン化合物と混合できなくなるし、大きすぎる場合には充分なプレポリマー効果が得られない。さらに余剰SH基と不飽和基の比率についても1:1が一般的と記載されているが、不飽和基の方が充分過剰になっていないと得られた樹脂はゴム状になり易い。従って、光学樹脂製造にプレポリマー化チオールを用いる場合には、この余剰SH基と不飽和基の比率についても十分に適正な値を選択しなければならない。結局、適切なモノマー化合物とその比率を選択しなければ、高い屈折率と高いアッベ数を有し、硬度や耐衝撃性にも優れた光学用樹脂を得ることは出来ない。
【0006】
また、特開昭63−199210号公報、63−207805号公報には、ウレタン結合を有するポリエン化合物とポリチオール化合物のラジカル重合による光学樹脂の製造が開示されている。しかし一般に、ポリエンとポリチオール反応では、ポリチオールの比率を上げると得られる樹脂がゴム状になり易い傾向がある。それ故、ウレタン結合を含有するポリエン化合物に、ポリチオールを反応させて充分な強度を有する樹脂を得ようと思えば、樹脂全体に占めるポリチオールの割合は、相当低く抑えざるを得ない。従って、得られる樹脂の硫黄含有量は低く、高屈折率樹脂(屈折率約1.6)を実現することは困難である。
【0007】
一方、特開平5−25240号公報には、ポリイソシアネートとポリチオールの混合物とラジカル重合性不飽和化合物とからなる高屈折率光学樹脂用組成物が開示されている。しかし、該公報には全くプレポリマー化の重要性への配慮がなされていない。このことは、得られた樹脂の耐衝撃性が21g〜31g(落球試験)と低いことからも明らかである。充分なプレポリマー化効果を得るためには、単にポリイソシアナートとポリチオールを混合するだけでは不十分であり、SH基とNCO基が反応するための明確な条件が選択されなければならない。
また、SH基とNCO基の比率を0.5〜2としているが、もしこの比率で充分なプレポリマー化を行った場合、得られたプレポリマーは極めて高粘度となり、その後の不飽和重合性基を持つ化合物との混合は困難である。従って、必然的に、該組成物は、単なるイソシアナートとチオールと不飽和基を有するモノマーの単なる混合物と判断せざるを得ない。
【0008】
その場合、該組成物はラジカル反応とウレタン縮合という全く異なるタイプの反応を同時に行って硬化させねばならない。それ故、重合して得られた樹脂中のウレタン結合の比率を常に一定に保つためには、重合反応を厳密に管理することが必須となる。つまり、重合条件によっては、反応の遅いウレタン結合生成反応が取り残され、ラジカル付加によってSH基が先に消費されてしまう。その結果、未反応のイソシアナートが樹脂中に残留することが懸念される。もしイソシアナート基が残留すれば、樹脂切削加工者の健康上の問題や、レンズ後加工(コートや染色のむら)への影響など重大な問題を生じる。
また、わずかな重合条件の振幅によって、樹脂中の化学結合の存在比も変動することが考えられる。すなわち、重合条件の管理が不十分であると、樹脂製品の物性がばらつくことが懸念される。また、重合時に別々の反応が同時に進行するので、重合して出来た樹脂の光学歪みや光学的な不均一にも充分留意する必要がある。また、注型重合時にウレタン縮合反応を行うため離型剤も必要となる。
【0009】
さらに特開平7−228659号公報には、ポリチオールとポリイソシアネートの混合物、および1分子中に水酸基またはメルカプト基と(メタ)アクリル等の不飽和基の両方を有する化合物からなる重合性組成物が開示されている。ここで例示されているような高い硫黄含有率を持つポリチオールを用いれば、確かに高屈折率樹脂を得ることが可能になる。しかし、該公報でも明確なプレポリマー化は提案されておらず、重合反応を厳密に制御する必要性は残っている。さらに不飽和結合基を有するモノマーが、同時にチオール基または水酸基を同時に具有するため、樹脂の耐熱性は高くなるものの、染色性は低下する傾向がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、(1) 加熱や光により短時間に重合が可能で、樹脂の高い生産性を可能にすること、(2) 屈折率が高く、透明性、耐熱性、染色性、耐衝撃性に優れ、光学歪みや不均一の極めて少ない樹脂を製造すること、(3) 安定した品質で、かつ、残留モノマーも少ないレンズを容易に生産すること、等である。
すなわち、物性的に、且つ、生産性にも優れた光学樹脂、そのための光学樹脂用組成物、及びそれを用いたレンズを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、特定構造のポリチオール化合物をポリイソシアネート化合物でプレポリマー化して得られた成分、特定構造の(メタ)アクリレート化合物からなる成分、及びそれらと共重合可能な化合物からなる成分を含有してなる組成物を重合硬化して得られる樹脂が、高屈折率光学樹脂として好適に用いられ、該樹脂が光学レンズに好適であること、また該組成物の硬化には加熱による短時間の硬化や、紫外線による光重合が可能であることを見出し本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明は、▲1▼下記A成分を10〜50重量%、B成分を35〜70重量%、およびC成分を5〜30重量%含有してなる光学樹脂用組成物に関するものである。
A成分:分子内にスルフィド結合を有する3官能以上のポリチオール化合物と、ポリイソシアネート化合物とを、−SH/−NCOモル比が3.0〜7.0の範囲で反応させて得られたチオウレタンプレポリマー化合物、
B成分:少なくとも1種の2官能以上の(メタ)アクリレート化合物、
C成分:A成分およびB成分とラジカル共重合可能な化合物
【0013】
また、本発明は、▲2▼A成分の調製で用いられるポリチオール化合物が下記式(1)又は式(2)(化4)で表される化合物である光学樹脂用組成物、
▲3▼B成分が一般式(3)(化5)で表される化合物を含有するものである光学樹脂用組成物に関するものである。
さらにまた、本発明は、▲4▼C成分がジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、スチレン、核置換スチレン、単官能(メタ)アクリレート化合物のいずれかである光学樹脂用組成物、
▲5▼上記各種の組成物を重合硬化して得られる屈折率(nd )1.58以上を有する高屈折率光学樹脂、および光学レンズに関する。
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
(式中、R1 は水素原子またはメチル基を表し、R2 は−CH2 −、−C(CH3)2−または−SO2 −を表し、m、nはそれぞれ0〜4の整数を表し、m+nは0〜4である)
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光学樹脂用組成物は、A成分として、分子内にスルフィド結合を有する3官能以上のポリチオール化合物と、ポリイソシアネート化合物とを、−SH/−NCOモル比が3.0〜7.0の範囲で反応させて得られたチオウレタンプレポリマー化合物を10〜50重量%、
B成分として、少なくとも1種の2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を35〜70重量%、および、
C成分として、A成分およびB成分とラジカル共重合可能な化合物を5〜30重量%、含有するものである。
【0017】
A成分の調製で用いられるポリチオール化合物は、チオウレタンプレポリマー化合物として用いられるので、高屈折率で、且つ低粘度であることが好ましく、また、得られた樹脂の耐熱性を確保するために、3官能以上のポリチオール化合物であることが好ましい。この目的に適したポリチオール化合物としては、分子中のスルフィド結合により屈折率を増大させた3官能以上のポリチオール化合物が好適に用いられる。例えば、2−メルカプト−3−チアヘキサン−1,6−ジチオール、5,5−ビス(メルカプトメチル)−3,7−ジチアノナン−1,9−ジチオール、2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、5−(2−メルカプトエチル)−3,7−ジチアノナン−1,9−ジチオール、前記式(1)または(2)で表される化合物が挙げられ、前記式(1)又は式(2)で表される化合物がより好適に用いられる。
【0018】
式(1)で表されるポリチオール化合物は、特開平2−270859号公報に記載の方法、即ち、エピハロヒドリンと2−メルカプトエタノールを反応させ、ついでチオ尿素を反応させる方法により容易に製造される。
また、式(2)で表されるポリチオール化合物は、特開平7−252207号公報に記載の方法、即ち、エピクロルヒドリンと2−メルカプトエタノールを反応させ、得られたジオール体を、さらに硫化ナトリウムと反応させてテトラオール体を得、次いで、このテトラオール体を塩酸中、チオ尿素と反応させ、アンモニア水で加水分解する方法により容易に製造される。
【0019】
また、A成分の調製で用いられるポリイソシアネート化合物は、分子中にチオール基と反応可能なイソシアネート基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定されることなく使用可能である。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI(H−XDI)、水添MDI(H−MDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等の脂肪族、脂環族ポリイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等の芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。ここで用いられるイソシアナートは最終的な樹脂の物性向上の観点から3量化や多量化などの変性を受けた物が選択される場合もある。
またこれらのイソシアナート化合物の中では得られる樹脂の耐候性やアッベ数等から、脂肪族、脂環族ポリイソシアネートがより好適に用いられ、さらに樹脂の屈折率をも考慮すれば、XDI、NBDI、TMXDI、H−MDIなどが最も好適である。
【0020】
A成分は、上記のポリチオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、−SH/−NCOモル比が3.0〜7.0、好ましくは3.5〜6.5、さらに好ましくは4.0〜6.0の範囲で反応させて得られるチオウレタンプレポリマー化合物である。−SH/−NCOのモル比が3.0より小さいと、得られるプレポリマーの粘度が大きすぎて取り扱いが困難となり易く、極端な場合には他のモノマー化合物と混合できなくなったり結晶を生じたりする場合もある。また、−SH/−NCOのモル比が7.0より大きいと、プレポリマー中に含まれるチオウレタン結合の濃度が低すぎて、最終硬化物において、プレポリマーとした効果が充分発現しない傾向がある。ポリチオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応は、例えば、公知のウレタン化反応により行う。その際には、不活性ガス中で、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド等の錫系、または、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジ−n−ブチルエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン系、等の反応触媒を用い、反応温度を40℃以上に上げて充分な時間をかけて行うことが好ましい。
【0021】
プレポリマー化反応の終了は、例えば、反応物の一部を採取して、充分な感度が得られるまで積算されたFT−IRスペクトルを測定し、NCO基の吸収が消失することなどの方法で確認することが出来る。また、得られたプレポリマー中の遊離SH基の当量数は、正確に秤量されたプレポリマーを、適当な溶媒に溶解し、ヨウ素標準液で滴定する方法などによって決定することが可能である。また、その屈折率はアッベ屈折計などで測定することができる。
【0022】
B成分は、ラジカル共重合可能で、且つA成分のチオール基がラジカル付加可能である少なくとも1種の2官能以上の(メタ)アクリレート化合物である。ここで、ラジカル付加とはポリエン化合物や(メタ)アクリル化合物の不飽和結合に対するチオールの付加反応を、またラジカル共重合とは不飽和結合同士の付加反応を意味する。
具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス〔(メタ)アクリロキシエチル〕イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,1,3,3,5,5−ヘキサ〔(メタ)アクリロキシ〕シクロトリホスフォゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ〔(メタ)アクリロキシエチレンジオキシ〕シクロトリホスフォゼン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、下記一般式(3)(化6)で表される化合物等が挙げられる。
得られる樹脂の総合的な物性バランスを考慮すれば、B成分は、一般式(3)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0023】
【化6】
(式中、R1 は水素原子またはメチル基を表し、R2 は−CH2 −、−C(CH3)2−または−SO2 −を表し、m、nはそれぞれ0〜4の整数を表し、m+nは0〜4である〕
【0024】
一般式(3)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシフェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシフェニル〕スルフォン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル〕スルフォン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル〕スルフォン等が挙げられる。
【0025】
C成分は、A成分およびB成分とラジカル共重合可能な化合物であれば特に限定されない。モノマーの粘度や最終的な樹脂の屈折率の観点からは、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、スチレン、核置換スチレン、単官能(メタ)アクリレート等が好ましい。具体的には、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼン、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等を例示できるが、なかでもジビニルベンゼンがより好適に用いられる。
【0026】
本発明の光学樹脂用組成物におけるA成分、B成分、およびC成分の各成分の割合は、各成分の屈折率や粘度、得られる樹脂の各種物性等により、一様に決められないが、A成分を10〜50重量%、B成分を35〜70重量%、C成分を5〜30重量%の範囲、好ましくは、A成分を15〜35重量%、B成分を45〜65重量%、C成分を10〜25重量%の範囲で混合することが好ましい。
さらに、本発明の光学樹脂用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、黄変防止剤、ブルーイング剤、顔料、染料、機能性色材、離型剤等の各種の添加剤を配合して所望の物性や機能を発現させることもできる。
【0027】
本発明の高屈折率光学樹脂は、本発明の光学樹脂用組成物を重合硬化して得られるものであり、屈折率(nd )1.58以上を有する。
硬化方法は、例えば、公知のラジカル重合を用いた注型重合により行われる。
具体的には、本発明の光学樹脂用組成物に、例えば、ラジカル重合開始剤、光重合開始剤等のラジカル発生剤を添加し、よく混合した後、濾過し、さらに減圧下で十分に脱泡した後に、モールド中に注入してラジカル重合を行う。
モールドは、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニール等からなるガスケットを介した鏡面研磨した二枚の鋳型により構成される。ここで、鋳型としては、ガラスとガラス、ガラスとプラスチック板、ガラスと金属板等の組合せの鋳型がある。また、ガスケットとしては、上記した軟質熱可塑性樹脂を用いる他、2枚の鋳型をポリエステル粘着テープ等で固定しても良い。また、鋳型に離型処理などを行なってもよい。
【0028】
熱重合におけるラジカル発生剤、即ち、ラジカル重合開始剤は、特に限定されず、公知の過酸化ベンゾイル、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジーt−ブチルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどの過酸化物およびアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が用いられる。これらの1種または2種以上の混合物は、A成分、B成分、およびC成分の混合物の合計100重量部に対し、0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部の割合で用いられる。熱重合法によって硬化する場合の重合温度、重合時間は、使用するラジカル重合開始剤、硬化物の大きさ等により決められる。
【0029】
紫外線による光重合におけるラジカル発生剤、即ち、光重合開始剤は、特に限定されず、公知の4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、 1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2(o−エトキシカルボニル)オキシム、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルヒスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、4’,4’’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が用いられる。
これらの1種または2種以上の混合物は、A成分、B成分、およびC成分の混合物の合計100重量部に対し、0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部の割合で用いられる。さらに上記光重合開始剤に前述のラジカル重合開始剤を併用することもできる。
ガンマー線による重合では、ラジカル重合開始剤等は必要としない。
硬化終了後、冷却した後に、鋳型を離型させて樹脂を取り出す。
取り出した樹脂は、必要に応じて、内部の応力を取り除くためのアニール処理を行っても良い。
【0030】
本発明の光学レンズは、本発明の光学樹脂用組成物を前記と同様の方法で重合硬化させて得られるもので、屈折率(nd)は1.58以上である。
なお、本発明のレンズは、レンズ用モールドを用いて注型重合して製造してもよく、重合硬化させて得られた塊状の光学樹脂を研削する方法で製造してもよい。注型重合する場合には、硬化後、必要に応じて、アニール処理を行ってもよい。また、本発明の光学レンズは、必要に応じ、反射防止、高硬度付与、あるいはファション性付与等の改良を行うため、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理等の物理的あるいは化学的処理を施すことができる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれによりなんら制限されるものではない。なお、実施例中に示す部はすべて重量部である。
実施例、比較例において、樹脂およびレンズの物性評価は、以下に記載する方法により行った。
(1)透明性:目視により観察し、色、濁り、歪みの無いものを良好とした。
(2)屈折率、アッベ数:プルフリヒ屈折計により測定した。ただし、プレポリマーの屈折率はアッベ屈折計により測定した。
(3)耐衝撃性:中心厚1.5mmのレンズを67gの鋼球を用いた落球(FDA規格に従う)試験を行い、合格するものを○、合格しないものを×とした。
(4)耐熱性:針入法によるTMAを測定し、80℃以下に変形点があるものを
×、80℃以上であるものを○とした。
(5)染色性:染色浴中で、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂と、同時に染色を行い、目視により同等もしくはそれ以上に染色されているものを○、劣っているものを×とした。
【0032】
実施例1
前記式(1)で表されるトリチオール化合物78.1部(0.300モル)に、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート21.9部(0.090モル)を加え混合した。これを攪拌しながら、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.1部を、窒素雰囲気下、40℃にて加え混合した。
反応温度を60℃まで昇温し、6時間攪拌を行い反応させ、無色透明粘稠液体として、チオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−1)を得た。この化合物のIRスペクトルを測定したところ、イソシアネート基の吸収は消失しており、反応は完結していることを確認した。またこのプレポリマー約5gを正確に秤り取り、クロロホルム:メタノール=1:1溶液50mlに溶解し、1規定ヨウ素標準液の滴定により遊離メルカプト基を定量したところ7.2ミリ当量/gであった。また、このプレポリマー化合物の屈折率は1.63であった。
【0033】
実施例2
実施例1において、トリチオール化合物78.1部を前記式(2)で表されるテトラチオール化合物80.7部(0.220モル)に、また、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート21.9部を水添MDI19.3部(0.074モル)に代える以外は同様に行い、無色透明粘稠液体として、チオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−2)を得た。またこのプレポリマー約5gを正確に秤り取り、クロロホルム:メタノール=1:1溶液50mlに溶解し、1規定ヨウ素標準液の滴定により遊離メルカプト基を定量したところ7.3ミリ当量/gであった。また、屈折率は1.62であった。
【0034】
実施例3
前記式(1)で表されるトリチオール化合物78.2部(0.30モル)にジブチル錫ジクロライド0.1部を加え溶解させる。これを攪拌しながらキシリレンジイソシアネート20.8部(0.11モル)を窒素雰囲気下、40℃にて15分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を60℃まで昇温し、6時間攪拌を行い反応させ、無色透明粘ちゅう液体として、チオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−3)を得た。この化合物のIRスペクトルを測定したところ、イソシアネート基の吸収は消失しており、反応は完結していることを確認した。またこのプレポリマー約5gを正確に秤り取り、クロロホルム:メタノール=1:1溶液50mlに溶解し、1規定ヨウ素標準液の滴定により遊離メルカプト基を定量したところ6.9ミリ当量/gであった。屈折率は1.64であった。
【0035】
実施例4
実施例3において、トリチオール化合物78.2部を、前記式(2)で表されるテトラチオール化合物76.5部(0.21モル)に、キシリレンジイソシアネート20.8部を、水添MDI23.5部(0.09モル)に代える以外は同様に行い、無色透明粘ちゅう液体として、チオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−4)を得た。またこのプレポリマー約5gを正確に秤り取り、クロロホルム:メタノール=1:1溶液50mlに溶解し、1規定ヨウ素標準液の滴定により遊離メルカプト基を定量したところ6.6ミリ当量/gであった。
また、屈折率は1.62であった。
【0036】
合成例1
実施例1において、トリチオール化合物78.1部をペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート88.6部(0.181モル)に、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート21.9部をキシリレンジイソシアネート11.4部(0.061モル)に代える以外は、同様に行い、無色透明粘稠液体として、チオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−5)を得た。またこのプレポリマー約5gを正確に秤り取り、クロロホルム:メタノール=1:1溶液50mlに溶解し、1規定ヨウ素標準液の滴定により遊離メルカプト基を定量したところ6.0ミリ当量/gであった。
また、屈折率は1.58であった。
【0037】
合成例2
実施例3において、トリチオール化合物78.2部を、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート86.7部(0.18モル)に、キシリレンジイソシアネート20.8部を、13.4部(0.07モル)に代える以外は同様に行い、無色透明粘稠液体として、チオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−6)を得た。またこのプレポリマー約5gを正確に秤り取り、クロロホルム:メタノール=1:1溶液50mlに溶解し、1規定ヨウ素標準液の滴定により遊離メルカプト基を定量したところ5.8ミリ当量/gであった。
また、屈折率は1.58であった。
【0038】
実施例5
実施例1のチオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−1)20.0部、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)メタン45.0部、トリメチロールプロパントリメタクリレート15.0部、ジビニルベンゼン20.0部をよく混合し、ラジカル重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.2部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えて混合、脱泡し、光学樹脂用組成物を得た。
この組成物を、ガラスモールドとガスケットよりなる、外径80mm、中心厚1.5mm、コバ厚10mmの凹レンズモールドに注入し、50℃から130℃まで3時間かけて昇温硬化させた後、更に130℃で1時間加熱硬化させた。
室温まで放冷した後、ガラス型からレンズを離型して、無色透明の凹レンズを得た。このレンズの物性測定の結果を表−1(表1)に示した。
【0039】
実施例6
実施例2のチオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−2)30.0部、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン20.0部、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート30.0部、ジビニルベンゼン20.0部をよく混合し、ラジカル重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.2部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えて混合、脱泡し、光学樹脂用組成物を得た。この組成物を、実施例5と同様にして硬化させ、無色透明の凹レンズを得た。このレンズの物性測定の結果を表−1に示した。
【0040】
実施例7
実施例1のチオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−1)20.0部、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)メタン45.0部、トリエチレングリコールジアクリレート15.0部、ジビニルベンゼン20.0部をよく混合し、ラジカル重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド0.2部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えて混合、脱泡し、光学樹脂用組成物を得た。
この組成物を、実施例5と同様にして硬化させ、無色透明の凹レンズを得た。このレンズの物性測定の結果を表−1に示した。
【0041】
実施例8
実施例3のチオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−3)32.0部、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート58.0部、ジビニルベンゼン10.0部をよく混合し、ここに光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.04部を加えて混合、脱泡し、光学樹脂用組成物を得た。
この組成物を、2枚のガラス型とポリエステル製粘着テープとで構成された、外径80mm、中心厚1.5mm、コバ厚10mmの凹レンズモールドに注入し、80w/cmの高圧水銀灯の光を、15cmの距離で5分間照射し硬化させた。室温まで放冷した後、粘着テープを剥離し、ガラス型からレンズを離型して、無色透明の凹レンズを得た。このレンズの物性測定の結果を表−1に示した。
【0042】
実施例9
実施例3のチオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−3)33.0部、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート57.0部、エチレングリコールジメタクリレート5.0部、ジビニルベンゼン5.0部をよく混合し、ここに光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.04部を加えて混合、脱泡し、光学樹脂用組成物を得た。
この組成物を、実施例8と同様にして硬化させ、無色透明の凹レンズを得た。
このレンズの物性測定の結果を表−1に示した。
【0043】
実施例10
実施例4のチオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−4)45.0部、トリメチロールプロパントリアクリレート35.0部、ジビニルベンゼン20.0部をよく混合し、ここに光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.04部を加えて混合、脱泡し、光学樹脂用組成物を得た。この組成物を、実施例8と同様にして硬化させ、無色透明の凹レンズを得た。このレンズの物性測定の結果を表−1に示した。
【0044】
実施例11
実施例3のチオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−3)20.0部、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)メタン45.0部、エチレングリコールジメタクリレート15.0部、ジビニルベンゼン20.0部をよく混合し、ここに、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.10部を加えて混合、脱泡し、光学樹脂用組成物を得た。
この組成物を、実施例8と同様にして硬化させ、無色透明の凹レンズを得た。
このレンズの物性測定の結果を表−1に示した。
【0045】
比較例1
合成例1のチオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−5)30.0部、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン20.0部、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート30.0部、ジビニルベンゼン20.0部をよく混合し、ラジカル重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.2部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えて混合、脱泡し、光学樹脂用組成物を得た。
この組成物を、実施例5と同様にして硬化させ、無色透明の凹レンズを得た。
このレンズの物性測定の結果を表−2(表2)に示した。
【0046】
比較例2
実施例1のチオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−1)20.0部を前記式(1)で表されるトリチオール化合物20.0部に代える以外は、実施例5と同様にして硬化させ、無色透明の凹レンズを得た。
このレンズの物性測定の結果を表−2に示した。
【0047】
比較例3
実施例1のチオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−1)20.0部を前記式(1)で表されるトリチオール化合物15.6部(0.06モル)に代え、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート4.4部(0.018モル)、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)メタン45.0部、トリメチロールプロパントリメタクリレート15.0部、ジビニルベンゼン20.0部をよく混合し、ラジカル重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.2部とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部、ウレタン反応触媒としてジブチル錫ジクロライド0.03部、内部離型剤としてジオクチル酸性燐酸エステル0.1部を加えて混合、脱泡した。
この組成物を、実施例5と同様にして硬化させ無色透明の凹レンズを得た。
このレンズの物性測定の結果を表−2に示した。
【0048】
比較例4
合成例2のチオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−6)45.0部、トリメチロールプロパントリアクリレート35.0部、ジビニルベンゼン20.0部をよく混合し、ここに光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.04部を加えて混合、脱泡し、光学樹脂用組成物を得た。この組成物を、実施例8と同様にして硬化させ、無色透明の凹レンズを得た。このレンズの物性測定の結果を表−2に示した。
【0049】
比較例5
実施例3のチオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−3)32.0部を、前記式(1)で表されるトリチオール化合物32.0部に代える以外は、実施例8と同様にして硬化させ、無色透明の凹レンズを得た。
このレンズの物性測定の結果を表−2に示した。
【0050】
比較例6
実施例3のチオウレタンプレポリマー化合物(TUPP−3)30.0部、2,2−ビス[4−(メタクリロイロキシジエトキシ)フェニル]プロパン70.0部、をよく混合し、ここに光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.04部を加えて混合、脱泡した。
この組成物を、実施例8と同様にして硬化させた後、粘着テープを剥離し、水冷したが樹脂がゴム状で離型しなかった。
比較例7
前記式(1)で表されるトリチオール化合物26.1部、キシリレンジイソシアネート6.9部、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート57.0部、エチレングリコールジメタクリレート5.0部、ジビニルベンゼン5.0部をよく混合し、ここに光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.04部、ウレタン反応触媒としてジブチル錫ジクロライド0.03部、内部離型剤としてジオクチル酸性燐酸エステル0.1部を加えて混合、脱泡した。
この組成物を、実施例8と同様にして硬化させた後、粘着テープを剥離し、楔を打ち離型させた。得られたレンズは表面が未だ柔らかかった。
このレンズの物性測定の結果を表−2に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
表−1、表−2の説明:チオカルボン酸エステル型のチオールから得られるプレポリマーを用いて熱重合により得られた比較例1の樹脂は、本願の樹脂に比べ、屈折率が低く不十分である。トリチオール化合物をプレポリマー化することなく直接用いて熱重合により得られた比較例2の樹脂は、耐熱性が不足している。イソシアナート化合物、チオール化合物およびポリエン化合物を同時に反応させて熱重合により得られた比較例3の樹脂では、脈理が確認され、また、耐熱性が不足していた。
また、光重合して得られた比較例4〜7の樹脂についても同様の結果であった。すなわち、比較例4の樹脂では屈折率が不十分である。比較例5の樹脂は耐熱性が不足である。比較例7の樹脂は硬化が不十分であり、耐衝撃性および耐熱性が不足している。
【0053】
【発明の効果】
本発明の組成物は、加熱または紫外線により短時間で硬化が可能な樹脂組成物であり、該組成物を硬化させることにより、高屈折率で、透明性、光学歪、耐熱性、染色性、耐衝撃性等のバランスに優れた光学樹脂、及び優れた性能をもつ光学レンズを提供することを可能にするものである。
Claims (11)
- 下記のA成分10〜50重量%、B成分35〜70重量%、および、C成分を5〜30重量%を含有してなる光学樹脂用組成物。
A成分:2−メルカプト−3−チアヘキサン−1,6−ジチオール、5,5−ビス(メルカプトメチル)−3,7−ジチアノナン−1,9−ジチオール、2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、5−(2−メルカプトエチル)−3,7−ジチアノナン−1,9−ジチオール、下記式(1)または(2)(化1)で表される分子内にスルフィド結合を有する3官能以上のポリチオール化合物と、ポリイソシアネート化合物とを、−SH/−NCOモル比が3.0〜7.0の範囲で反応させて得られたチオウレタンプレポリマー化合物
B成分:少なくとも1種の2官能以上の(メタ)アクリレート化合物
C成分:A成分およびB成分とラジカル共重合可能な化合物
- A成分のポリチオール化合物が、式(1)または(2)で表される化合物である請求項1に記載の光学樹脂用組成物
- C成分が、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、スチレン、核置換スチレン、または単官能(メタ)アクリレート化合物のいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載の光学樹脂用組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を重合硬化して得られる屈折率(nd )1.58以上を有する高屈折率光学樹脂。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を紫外線を用いた光重合により重合硬化させることを特徴とする屈折率(nd )1.58以上を有する高屈折率光学樹脂の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を重合硬化して得られる屈折率(nd )1.58以上を有する光学レンズ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物をレンズ鋳型に注入した後、紫外線を用いた光重合により重合硬化させることを特徴とする屈折率(nd )1.58以上の光学レンズの製造方法。
- ポリチオール化合物が、式(1)または(2)で表される化合物である請求項9に記載のチオウレタンプレポリマー化合物。
- ポリイソシアネート化合物が、α,α,α',α' −テトラメチルキシリレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、水添MDIおよびノルボルネンジイソシアナートから選択される少なくとも1種である請求項9または10に記載のチオウレタンプレポリマー化合物。
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