JP5589257B2 - ポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールおよびこれを用いた重合硬化物 - Google Patents

ポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールおよびこれを用いた重合硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、光学用樹脂として有用な原料であるポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオール及びそれを用いて得られる重合硬化物に関する。該重合硬化物は高屈折率で低分散を示すという優れた光学特性を有しており、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録用基板、着色フィルター、赤外線吸収フィルターなどに用いられる。
近年光学用途の材料として、ガラスに比べて軽量で割れにくく、染色が容易である点からプラスチックの使用が主流になりつつある。光学用途のプラスチック材料には、ポリエチレングリコールビスアリルカーボネートやポリメチルメタクリレート、脂環式ポリオレフィン、ポリカーボネート樹脂などが汎用的に用いられてきた。しかし、これら材料は屈折率が1.6以下であるため、高屈折率材料のコーティングや接着に使用する場合、被着体の特性を十分に生かすことができないという問題があり、光学レンズなどに使用する場合は肉厚が大きくなるという問題もあった。また、プラスチックは一般的に屈折率の高い材料ほどアッベ数が低く、色収差が大きい傾向にあるので、注視物に色がついてにじんで見えるようになるという問題も生じてくる。これらのことから、光学用樹脂として高屈折率で高アッベ数の材料が求められている。
このような光学用樹脂として特許文献1にポリチオールとポリイソシアネートを反応させて得られるポリチオウレタンが提案され、特許文献2にそのポリチオールとして硫黄原子の含有率を高めたものなどがさらに提案されている。これらのポリチオウレタンは概して屈折率が1.6以上と高くアッベ数も30以上と高いため、最近の薄型軽量光学レンズとして使用されるものが多くなっている。
さらに高い屈折率を有する材料が求められている中で、特許文献3および特許文献4などに記載されているポリエピスルフィドの開環重合体であるポリチオエーテルが提案された。ポリチオエーテルは屈折率が1.6台後半から1.7台と高く、アッベ数も30以上と高いため、光学レンズやプリズムなどの薄型化に貢献している。
しかしながら、ポリチオエーテルは前記のポリチオウレタンよりも曲げ強度及び曲げ破壊ひずみが小さく、割れ易いという傾向にあった。曲げ強度及び曲げ破壊ひずみを高めるために、ポリチオールやポリアミンなどを樹脂改質剤に用いてポリチオエーテルが製造されているが(特許文献5、6、7等)、耐熱性(ガラス転移温度;Tg)が低下するという問題があった。
一方、ポリチオエーテルの一部にポリチオウレタン構造を導入して前記問題を解決する試みも行われている。特許文献8および特許文献9などには、エピスルフィド化合物とポリイソ(チオ)シアネート化合物を混合して反応した重合硬化物が提案されている。この場合、エピスルフィド化合物の開環反応とポリイソ(チオ)シアネート化合物のポリチオウレタン化反応の反応性が異なるため、相分離により硬化物にくもりが発生する(透過率が低い)という問題があった。特許文献10には、チオウレタン構造を有するエピスルフィド化合物が提案されているが、製造時にエピスルフィド基が開環重合しやすいという問題があった。特許文献11には、エピスルフィド化合物の存在下でポリチオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られる重合性組成物が開示されているが、保存安定性に問題があった。
特公平4−58489号公報 特開平5−148340号公報 特開平9−71580号公報 特開平9−110979号公報 特開平9−255781号公報 特開平11−322930号公報 特開平11−258402号公報 特開平11−292950号公報 特開2000−256435号公報 特開2003−26674号公報 特開2004−2712号公報
本発明は、優れた光学的性能(高屈折率、高アッベ数、高透過率)に加えて、優れた力学的性能(高い曲げ強度、高い曲げ破壊ひずみおよび高いガラス転移温度)を有し、光学材料として優れた性質を示す重合組成物であるポリチオエーテルおよびポリチオエーテルを含む光学材料を製造するための保存安定性の高い原料を提供することを目的とする。
本発明は、成分(a):ポリチオカーボネートポリチオールのメルカプト基に対するポリイソ(チオ)シアネートのイソ(チオ)シアネート基のモル比が0を超え0.8未満になるように前記ポリチオカーボネートポリチオールと前記ポリイソ(チオ)シアネートとを混合し反応してなるポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオール、および成分(b):ポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールの末端メルカプト基と反応するポリエピスルフィド化合物を反応してなる重合硬化物である。
また、前記重合硬化物を含む光学材料である。
なお、本発明において、「ポリイソ(チオ)シアネート」とは、ポリイソシアネート又は/及びポリイソチオシアネートを指す。
本発明によれば、優れた光学的性能(高屈折率、高アッベ数、高透過率)に加えて、優れた力学的性能(高い曲げ強度、高い曲げ破壊ひずみおよび高いガラス転移温度)を有し、光学材料として優れた性質を示すポリチオエーテル、およびその製造のための保存安定性の高い原料を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明のポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールは、ポリチオカーボネートポリチオールとポリイソ(チオ)シアネートを反応させて得ることができる。ポリチオカーボネートポリチオールは、チオカーボネート構造「−Y−(C=Z)−Y−」(Y、Y、Zはそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子であり、少なくとも1つは硫黄原子)を有し、Y、Y及びZとしてはそれぞれ硫黄原子、硫黄原子及び酸素原子であることが好ましい。即ち、ポリチオカーボネートポリチオールは、チオカーボネート部分構造として、式(1):
Figure 0005589257
の構造を有することが好ましい。
ポリチオカーボネートポリチオール中で、式(1)のチオカーボネート部分構造は、2価以上であって、好ましくは8価以下、さらに好ましくは5価以下の多価炭化水素基に結合している。また、分子内に価数の異なる多価炭化水素基が含有されていても、同一の価数であっても炭素数又は構造の異なる多価炭化水素基が含有されていてもよい。多価炭化水素基は、目的の重合反応、例えばエピスルフィド化合物の開環反応に関与しない置換基を有していてもよく、その炭素鎖中にヘテロ原子または環構造を含有していてもよい。
多価炭化水素基が、例えば、2価の炭化水素基Rであれば、ポリチオカーボネートポリチオールは式(3)のような繰り返し単位を有する。
Figure 0005589257
また、例えば、2価の炭化水素基Rと3価の炭化水素基Rが同一の分子内に含まれるとき、ポリチオカーボネートポリチオールは、例えば式(4)のように3価の炭化水素基Rで分岐した構造を有する。
Figure 0005589257
3価以上の多価炭化水素基の含有量が増えると、分岐構造、架橋構造が発達する。本発明の好ましい1形態では、多価炭化水素基は2価の基であり、必要により3価以上の基を含有していてもよい。
ポリチオカーボネートポリチオールは、分子末端にSH基を有しており、末端基のすべてがSH基であることが好ましいが、後述するように、SH基以外の末端基を少ない割合で含有することも許容される。
が2価の炭化水素基のときのポリチオカーボネートポリチオールの代表的な構造は次の式(5)で表される。
Figure 0005589257
通常は、繰り返し単位数の異なる化合物の混合物として得られ、式中、nは式(5)の化合物の数平均分子量が200以上2500未満となるように選ばれる数である。
ポリチオカーボネートポリチオールは、カーボネート化合物とポリチオール化合物を原料として、エステル交換触媒の存在下で、エステル交換反応させて製造することが好ましい。この場合、ポリチオカーボネートポリチオール中の炭化水素基および末端のSH基は、使用する原料のポリチオール化合物に由来する。従って、ポリチオカーボネートポリチオールについて、その製造方法を説明しながら説明する。
原料のカーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;およびメチルフェニルカーボネート等のアルキルアリールカーボネートなどが挙げられる。これらカーボネート化合物の中では、ジアリールカーボネートが好ましく、中でもジフェニルカーボネートが特に好ましい。
原料のポリチオール化合物(即ち、チオール基を2個以上有する化合物)としては、ポリカーボネートポリオールの製造において使用されるポリオール化合物に対応するポリチオール化合物を使用することができる。具体的には、多価(少なくとも2価)の炭化水素基にメルカプト基が結合した化合物が挙げられる。この炭化水素基は、脂肪族(脂環族を含む)炭化水素基(好ましくは炭素数2〜14)、芳香族(芳香脂肪族を含む)炭化水素基(好ましくは炭素数6〜14)のいずれでもよく、また、ウレタン化反応に関与しない置換基(アルキル基、アルコキシ基等)を有していてもよく、その炭素鎖中に、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子)、環構造(脂環構造、芳香環構造、複素環構造)等のウレタン化反応に関与しない原子又は原子団を有していてもよい。
多価の炭化水素基の中では、二価のものが好ましく、その中でも二価の脂肪族炭化水素基が特に好ましい。また、前記ヘテロ原子では硫黄原子又は酸素原子が好ましく、環構造では脂環構造又は飽和の複素環構造が好ましい。
前記炭化水素基が脂肪族炭化水素基であるポリチオール化合物としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,12−ドデカンジチオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジチオール、3−メチル−1,5−ペンタンジチオール、2−メチル−1,8−オクタンジチオール等のアルカンジチオール;1,4−シクロヘキサンジチオール、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン等のシクロアルカンジチオール;
ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタンチオール等のヘテロ原子を有するアルカンジチオール;2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジオキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン等のヘテロ原子を有するシクロアルカンジチオール;
1,1,1−トリス(メルカプトメチル)エタン、2−エチル−2−メルカプトメチル−1,3−プロパンジチオール等のアルカントリチオール;テトラキス(メルカプトメチル)メタン、3,3’−チオビス(プロパン−1,2−ジチオール)、2,2’−チオビス(プロパン−1,3−ジチオール)等のアルカンテトラチオールなどが挙げられる。
また、前記炭化水素基が芳香族炭化水素基であるポリチオール化合物としては、例えば、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、トルエン−3,4−ジチオール等のアレーンジチオール(芳香族ジチオール);および1,3,5−ベンゼントリチオール、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン等のアレーントリチオール(芳香族トリチオール)が挙げられる。
本発明では、ポリチオール化合物は単独で使用してもよいが、複数種類(少なくとも2種)で使用してもよい。ポリチオール化合物中の多価炭化水素基が2価の炭化水素基であれば、単独で使用した場合、得られるポリチオカーボネートポリチオールは前記式(3)で表される繰り返し単位を1種有するものであり、2種以上を使用した場合に得られるポリチオカーボネートポリチオールは、前記式(3)においてRが異なる複数(少なくとも2種)の繰り返し単位を有するもの(共重合物)である。複数のポリチオール化合物を使用する場合、例えば、次のような組み合わせのポリチオール化合物を使用すれば、低融点および低結晶化温度であって40℃の温度で液状、好ましくは30℃の温度で液状のポリチオカーボネートポリチオールを得ることができ、前記ポリチオール化合物の中では、以下のような組み合わせがその例として挙げられる。尚、特定の実施形態においては、20℃の温度で液状のポリチオカーボネートポリチオール、さらには、10℃でも液状または0℃でも液状のポリチオカーボネートポリチオールも可能である。複数のポリチオール化合物の使用割合は液状のポリチオカーボネートポリチオールが得られる限り特に制限されない。このような液状のポリチオカーボネートポリチオールは、液状のポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールを得るために有意であり、室温下で注型重合が可能になるなど、実用的に非常に有用である。
・炭素鎖の鎖長が異なる脂肪族直鎖ジチオールの組合せ:1,5−ペンタンジチオールと1,6−ヘキサンジチオールとの組合せ、ビス(メルカプトアルキル)スルフィド(例えばビス(2−メルカプトエチル)スルフィド)と1,6−ヘキサンジチオールとの組合せなど。
・脂肪族直鎖ジチオールと脂肪族分岐ポリチオールとの組合せ:1,6−ヘキサンジチオールと3−メチル−1,5−ペンタンジチオールとの組合せなど。
・脂肪族直鎖ジチオール又は脂肪族分岐ポリチオールと脂肪族炭化水素環を有するアルカンジチオールとの組合せ:1,6−ヘキサンジチオールと1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサンとの組合せなど。
・脂肪族直鎖ジチオール又は脂肪族分岐ポリチオールとヘテロ原子および脂肪族炭化水素環を有するアルカンジチオールとの組合せ:1,6−ヘキサンジチオールと2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンとの組合せなど。
また、複数種類のポリチオール化合物を使用するときに、価数の異なるポリチオール化合物を使用してもよく、例えばジチオールに加えてトリチオール、テトラチオール、およびペンタチオール等の3価以上のポリチオール化合物(即ち、ポリチオール化合物中の多価炭化水素基の価数が3価以上)を併用してもよい。この場合は、前記式(4)で示したような分岐構造を有する。3価以上のポリチオールを使用すると、ポリマー中に分岐および/または架橋構造が増えるので、得られるポリマーの物性を考慮して適宜選択することが好ましい。
ポリチオカーボネートポリチオールの製造においては、カーボネート化合物(特にジアリールカーボネート)とポリチオール化合物をエステル交換触媒の存在下に副生するアルコール(特にアリールアルコール)を連続的に系外に抜き出しながらエステル交換反応させることが好ましい。このとき、ポリチオール化合物の使用量は、得られるポリチオカーボネートポリチオール分子鎖の末端の全部又はほぼ全部がメルカプト基となるように、カーボネート化合物に対して0.8〜3.0倍モル、さらには0.85〜2.5倍モル、特に0.9〜2.5倍モルであることが好ましい。また、エステル交換触媒の使用量は、ポリチオール化合物に対してモル基準で1〜5000ppm、さらには10〜1000ppmであることが好ましい。
前記エステル交換反応においては、ジアリールカーボネートとしてジフェニルカーボネートを使用することが好ましく、その場合、ポリチオール化合物として多価炭化水素基が2価の炭化水素基であるものを使用するときには、2価の炭化水素基Rの炭素数は4〜14であることが好ましい。このとき、2価の炭化水素基Rの炭素数が4〜14であるポリチオール化合物の使用量は、ジフェニルカーボネートに対して1.05〜3.0倍モル、特に1.1〜2.5倍モルであることが好ましい。このようにすると、末端基のうち、SH基以外の末端基の割合が、5%以下、さらには2%以下、特に1%以下にすることができる。尚、ジアリールカーボネート(例えばジフェニルカーボネート)を使用した場合には、SH基以外の末端基はアリールオキシ基(例えばフェノキシ基)となる。このように条件を適切に選ぶことで、着色度が低く(即ち、APHAが60以下、さらには40以下、特に20以下で)、分子鎖の末端の全部又はほぼ全部がメルカプト基であるポリチオカーボネートポリチオールを得ることができる。末端基におけるアリールオキシ基の割合を制御することにより、光学的性能に加えて力学的性能にも優れたポリチオエーテルを得ることができる。なお、APHAは加熱溶融時の色相を表し、アリールオキシ基の割合はモル基準(以下同様)である。
前記エステル交換反応の条件(温度、圧力、時間)は、目的物を生成させることができるなら特に制限されないが、目的物を効率よく生成させることができるように、カーボネート化合物とポリチオール化合物を、エステル交換触媒の存在下、常圧又は減圧下に110〜200℃で1〜24時間程度、次いで減圧下に110〜240℃(特に140〜240℃)で0.1〜20時間程度反応させ、さらに同温度で徐々に真空度を高めながら最終的に20mmHg(2.7kPa)以下となる減圧下で0.1〜20時間程度反応させることが好ましい。なお、副生アルコールを抜き出すためには、反応器に蒸留装置を設けることが好ましく、さらに不活性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン等)流通下で反応させてもよい。
エステル交換触媒は前記エステル交換反応を触媒する化合物であれば特に制限されない。例えば、炭酸カリウム、ナトリウムアルコキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)、四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)などの塩基性化合物;四塩化チタン、テトラアルコキシチタン(テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等)などのチタン化合物;金属スズ、水酸化スズ、塩化スズ、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンオキシド、ブチルチントリス(2−エチルヘキサノエート)などのスズ化合物が挙げられる。
エステル交換触媒の中では、炭酸カリウム、ナトリウムアルコキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)、四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)などの塩基性化合物;およびテトラアルコキシチタン(テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等)が好ましい。
本発明では、ポリチオカーボネートポリチオールは、数平均分子量(Mn)が200以上2500未満、さらには400〜2000の範囲にあるものが好ましい。この分子量が範囲外である場合、ポリチオカーボネートポリチオールから得られるポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールの物性およびそれから得られる重合物の光学的あるいは力学的性能は不満足なものになり易い。即ち、数平均分子量が200より小さい場合、ポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールから得られる重合物は曲げ破壊ひずみが小さく、2500以上の場合は、ポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールの融点および結晶化温度が高くなるため、例えばエピスルフィド化合物等の重合性モノマーとの相溶性が低くなり、重合物の光の透過度が低下する。このため、目的の分子量となるようにカーボネート化合物とポリチオール化合物の使用量を調整するが、反応生成物の数平均分子量が目的値から外れる場合、即ち、分子量が小さい場合は減圧下でさらにポリチオール化合物を留出させながらエステル交換反応させ、分子量が大きい場合はポリチオール化合物を添加してさらにエステル交換反応させることによって分子量を調整することが好ましい。
分子量調整後、必要であれば、ポリチオカーボネートポリチオール中に残存するエステル交換触媒を不活性化しておくことが好ましい。エステル交換触媒の不活性化は、テトラアルコキシチタンを使用した場合は、リン系化合物(リン酸、リン酸ブチル、リン酸ジブチル等)を添加する公知の方法により行うことができ、塩基性化合物を使用した場合は、無機又は有機の酸(硫酸、パラトルエンスルホン酸等)を40℃〜150℃の加熱下で触媒と等モル量添加することにより行うことができる。なお、酸添加で不溶性の塩が析出するときは、これを水洗して除くことが好ましい。
前記ポリイソシアネートとしては、ポリウレタンの製造で通常使用されるポリイソシアネートを使用することができ、具体的には、多価(少なくとも二価)の炭化水素基の遊離末端にイソシアネート基が結合した化合物が挙げられる。この炭化水素基は、脂肪族(脂環式を含む)炭化水素基(好ましくは炭素数2〜14)、芳香族(芳香脂肪族を含む)炭化水素基(好ましくは炭素数6〜14)のいずれでもよく、また、ウレタン化反応に関与しない置換基(アルキル基、ニトロ基等)を有していてもよく、その炭素鎖中に、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子)を含有していてもよい。ポリイソチオシアネートとしては、ポリイソシアネートに対応するポリイソチオシアネートをそれぞれ挙げることができる。
ポリイソシアネートとしては、脂肪族又は芳香族の各種ポリイソシアネートが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとして、具体的には、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート等のアルカンポリイソシアネートや、
イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、1,3,5−トリス(イソシアノメチル)シクロヘキサン等のシクロアルカンポリイソシアネートや、
2,2’−ジエチルエーテルジイソシアネート、2,2’−ジエチルスルフィドジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート−ビウレット体、2−イソシアノエチルチオ−1,3−イソシアノプロパン、1,1−ビス(イソシアノメチルチオ)−4−イソシアノブタン、3,3−ビス(イソシアノエチルチオ)−1−イソシアノブタン、2,3−ビス(イソシアノエチルチオ)−1−イソシアノメチルチオプロパン等のヘテロ原子を有するアルカンポリイソシアネートや、
,4−ジチアン−2,5−ジイソシアネート、2,3−ビス(イソシアノメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアノメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアノエチル)−1,4−ジチアン、シクロペンタン−1,3−ジスルフィド−4,5−ジイソシアネート、4,5−ビス(イソシアノメチル)シクロペンタン−1,3−ジスルフィド、2−メチル−4,5−ビス(イソシアノメチル)シクロペンタン−1,3−ジスルフィド、2,2−ビス(イソシアノプロピル)シクロペンタン−1,3−ジスルフィド、テトラヒドロチオフェン−2,5−ジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアノメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソシアノメチル)テトラヒドロチオフェン等のヘテロ原子を有するシクロアルカンポリイソシアネートなどが挙げられる。
また、芳香族ポリイソシアネートとして、具体的には、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3,3’−メチレンジトリレン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1,3,5−トリス(イソシアノメチル)ベンゼン、トリイソシアネートフェニルチオホスフェート等が挙げられる。
本発明において、ポリイソ(チオ)シアネートは、多価炭化水素基にイソ(チオ)シアネート基が結合した化合物であるが、多価炭化水素基は8価以下、好ましくは5価以下であり、特に好ましくは2価である。これら炭化水素基が3価以上のものを使用すると、架橋構造が発達するので、得られるポリマーの物性を考慮しながら適宜選択することが必要である。
本発明では、ポリイソ(チオ)シアネートは単独で使用してもよいが、複数(少なくとも二種)で使用してもよい。好ましい形態は、ポリチオール化合物を複数使用したものであるが、さらに好ましい形態は、ポリチオール化合物に加えてポリイソ(チオ)シアネートも複数使用したものである。この形態においては、ポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールの室温下での粘度が低く、より注型重合が容易になる。
前記ポリイソ(チオ)シアネートの中では、以下のような組合せがその例として挙げられる。
・炭素鎖の鎖長が異なる脂肪族直鎖ジイソ(チオ)シアネートの組合せ:1,3−トリメチレンジイソシアネートと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとの組合せなど。
・脂肪族直鎖ジイソ(チオ)シアネートと脂肪族分岐ジイソ(チオ)シアネートとの組合せ:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとの組合せなど。
・脂肪族直鎖ジイソ(チオ)シアネート又は脂肪族分岐ジイソ(チオ)シアネートと脂肪族炭化水素環を有するジイソ(チオ)シアネートとの組合せ:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートとの組合せなど。
・脂肪族炭化水素環を有するジイソ(チオ)シアネートと芳香族炭化水素環を有するジイソ(チオ)シアネートとの組合せ:イソホロンジイソシアネートとキシリレンジイソシアネートとの組合せなど。
ポリチオカーボネートポリチオールとポリイソ(チオ)シアネートの反応は、無溶剤下でも、メルカプト基及びイソ(チオ)シアネート基に対して不活性な溶剤の存在下でも行うことができる。無溶剤下の反応の場合、前記ポリチオカーボネートポリチオールにポリイソ(チオ)シアネートを混合して全量を一段階で反応させるか、或いは、前記ポリチオカーボネートポリチオールにポリイソ(チオ)シアネートを滴下させながら混合・反応させることにより行うことができる。無溶剤下の場合の反応温度は20〜150℃であることが好ましい。
溶剤存在下の反応の場合、前記ポリチオカーボネートポリチオールを溶剤に溶解した後、これにポリイソ(チオ)シアネートを混合して全量を一段階で反応させるか、或いは、前記ポリチオカーボネートポリチオールを溶剤に溶解し、これにポリイソ(チオ)シアネートを滴下させながら混合・反応させることにより行うことができる。溶剤存在下の場合の反応温度は20〜100℃であることが好ましい。なお、溶剤としては、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが代表的なものである。
ポリチオカーボネートポリチオールのメルカプト基に対するポリイソ(チオ)シアネートのイソ(チオ)シアネート基のモル比が0を超え0.8未満、好ましくは0.2〜0.7になるように使用することが好ましい。前記メルカプト基に対する前記イソ(チオ)シアネート基のモル比が、0.8以上となると、粘度が非常に高くなったり、25℃で固化してしまい、取り扱い性が悪くなるため、本発明では、前記モル比が0.8未満であることが必要である。
なお、ポリチオカーボネートポリチオールとポリイソ(チオ)シアネートの反応においては、反応促進のため、通常のポリウレタン化反応で使用される公知のアミン系又はスズ系の触媒を使用してもよい。
本発明のポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールは、分子末端の95%以上がメルカプト基であり、数平均分子量が200〜2500の範囲に入るものが好ましい。メルカプト基が分子末端の95%未満であると、重合硬化物において高いガラス転移温度を維持することができない場合があり、数平均分子量が上記範囲から外れると、ポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールの物性および重合物の物性に悪影響をもたらす場合がある。即ち、数平均分子量が200未満であると、エピスルフィド化合物との重合物において、曲げ強度および曲げ破壊ひずみを満足することができない場合が多く、数平均分子量が2500を越える場合は、結晶性が大きくなるため、エピスルフィド化合物との相溶性が悪くなる場合が多い。このため、数平均分子量が200〜2500の範囲に入るようにポリチオカーボネートポリチオールとポリイソ(チオ)シアネートの反応における両者の混合比率を調整するのが好ましい。
本発明のポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールの好ましい態様は、ポリチオカーボネートポリチオールを構成するポリチオール化合物が2価であり、ポリイソ(チオ)シアネートが2価である場合であり、式(2)で表される繰り返し単位を有する。
Figure 0005589257
(ただし、R、Rは二価の炭化水素基を表し、ウレタン化反応に関与しない置換基を有していてもよく、その炭素鎖中にヘテロ原子または環構造を含有していてもよく、Xは酸素原子及び/または硫黄原子を表す。)
本発明のポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオール(以下、成分(a)と記す。)は、成分(b):前記ポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールの末端メルカプト基と反応して硬化物を与える化合物を重合反応に付すことによって透明な硬化物を与えることができる。成分(b)としてエピスルフィド化合物を使用すれば、優れた光学的性能に加えて優れた力学的性能を有するポリチオエーテルを与えることができる。エピスルフィド化合物としては、分子中に少なくとも2個のエピスルフィド基を有する化合物を使用するのが好ましい。
本発明で使用されるエピスルフィド化合物としては、例えば、ビス(β―エピチオプロピル)エーテル、ビス(β―エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β―エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β―エピチオプロピルオキシ)メタン、ビス(β―エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)エタン、1,2−ビス(β―エピチオプロピルチオ)エタン、1,2−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,2−ビス(β―エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,3−ビス(β―エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β―エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1−(β―エピチオプロピルオキシ)−2−(β−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1,3−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,4−ビス(β―エピチオプロピルチオ)ブタン、1,4−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,3−ビス(β―エピチオプロピルチオ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−3−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ブタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)ペンタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルチオ)ペンタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ペンタン、1,6−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)ヘキサン、1,6−ビス(β―エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ヘキサン、1,6−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−2−メチルヘキサン、3,8−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−3,6−ジチアオクタン、テトラキス(β−エピチオプロピルオキシメチル)メタン、1,1,1−トリス(β―エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1,2,3−トリス(β―エピチオプロピルチオ)プロパン、2,2−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−1,3−ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)プロパン、2,2−ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)−1−(β―エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)−2−(β―エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−2−(β―エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)−2,4−ビス(β―エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(β―エピチオプロピルオキシ)−2,2−ビス(β―エピチオプロピルオキシメチル)−4−チアヘキサン、1−(β―エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β―エピチオプロピルオキシ)−4−ビス(β―エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−5−[2−(β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシメチル]−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5,6−ビス[(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシ]−3,6,9−トリチアデカン、1,1,1−トリス[{2−(β−エピチオプロピルチオ)エチル}チオメチル]−2−(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[{2−(β−エピチオプロピルチオ)エチル}チオメチル]エタン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族エピスルフィド化合物;
1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、ビス[4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル]メタン、2,2−ビス[4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル]プロパン、ビス[4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル]スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシエチルオキシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[{2−(β−エピチオプロピルチオ)エチル}チオメチル]−1,4−ジチアン等の環状脂肪族エピスルフィド化合物;
1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス{4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル}メタン、2,2−ビス{4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル}プロパン、ビス{4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル}スルフォン、4,4’―ビス(β−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族エピスルフィド化合物;
3−メルカプトプロピレンスルフィド、4−メルカプトブテンスルフィド等のメルカプト基含有エピスルフィド化合物が挙げられる。また、エピスルフィド化合物はこれら例示化合物のみに限定されるものではなく、また単独で使用しても複数で使用してもよい。エピスルフィド化合物では、前述のような鎖状又は環状の各種脂肪族エピスルフィド化合物が好ましい。
また、任意成分として、前記エピスルフィド化合物と反応する官能基を有する有機化合物をさらに混合させて重合硬化させることも可能であり、得られるポリチオエーテルの光学的性能や力学的性能を調整することができる。
前記エピスルフィド化合物と反応する官能基を有する有機化合物(以下、樹脂改質剤ともいう。)は、エピスルフィド化合物中のエピスルフィド基と反応する官能基を少なくとも1個有し、特に低分子化合物が好ましい。例えば、具体的には、チオール化合物、アミン化合物、アリル化合物、(メタ)アクリレート化合物、有機酸およびその無水物、メルカプト有機酸、メルカプトアミン、フェノール化合物等が挙げられる。チオール化合物等の樹脂改質剤は、特開平11−258402に記載されているように、加熱による黄変を抑制する成分として使用されてきたが、ガラス転移温度(Tg)を低下させ耐熱性を低下させる。本発明において、成分(a)のポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールを配合することは、樹脂改質剤の一部または全部を成分(a)で置き換えるという意味あいも有している。
樹脂改質剤に使用されるチオール化合物としては、SH基を1個または2個以上有する化合物が挙げられる。通常は、SH基は8個以下、好ましくは6個以下である。このような化合物として、例えばメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,12−ドデカンジチオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジチオール、3−メチル−1,5−ペンタンジチオール、2−メチル−1,8−オクタンジチオール、1,4−シクロヘキサンジチオール、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジオキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)エタン、2−エチル−2−メルカプトメチル−1,3−プロパンジチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、3,3’−チオビス(プロパン−1,2−ジチオール)、2,2’−チオビス(プロパン−1,3−ジチオール)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)等の脂肪族チオール化合物;およびベンジルメルカプタン、チオフェノール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,3,5−ベンゼントリチオール、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、トルエン−3,4−ジチオール等の芳香族チオール化合物などが挙げられる。
樹脂改質剤に使用されるアミン化合物としては、少なくとも1個のアミノ基を有する化合物が挙げられ、例えばエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、3−ペンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチルヘキシルアミン、アミノメチルビシクロヘプタン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,7−ジアミノフルオレン等の1級脂肪族アミン化合物;アニリン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、メタ(又はパラ)キシリレンジアミン、1,5−、1,8−、あるいは2,3−ジアミノナフタレン、2,3−、2,6−、あるいは3,4−ジアミノピリジン等の1級芳香族アミン化合物;ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、1,1−ジ(4−ピペリジル)メタン、1,2−(4−ピペリジル)エタン、1,3−(4−ピペリジル)プロパン、1,4−ジ(4−ピペリジル)ブタン等の2級脂肪族アミン化合物;およびジフェニルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン等の2級芳香族アミン化合物が挙げられる。
樹脂改質剤に使用されるアリル化合物としては、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリルアミン、ジアリルアミン、N−メチルアリルアミン等が挙げられる。
樹脂改質剤に使用される(メタ)アクリレート化合物としては、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
樹脂改質剤に使用される有機酸およびその無水物としては、チオジグリコール酸、ジチオジプロピオン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルノルボルネン酸無水物、メチルナルボルナン酸無水物、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
樹脂改質剤に使用されるメルカプト有機酸としては、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオ酢酸、チオ乳酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸等が挙げられる。
樹脂改質剤に使用されるメルカプトアミンとしては、アミノエチルメルカプタン、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール等が挙げられる。
樹脂改質剤に使用されるフェノール化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3−メトキシフェノール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロール等が挙げられる。
樹脂改質剤として使用されるこれらの有機化合物のなかでも、チオール化合物、アミン化合物、メルカプトアミンおよびフェノール化合物が好ましく、特に屈折率の点でチオール化合物を使用するのが好ましい。これら化合物の中では、脂肪族のものがさらに好ましい。
樹脂改質剤は、全量に対して、0〜20重量%の範囲で存在することができるが、多すぎるとTgが低下することがあるので、好ましくは7重量%以下である。
本発明の重合硬化物の組成物中における前記成分(a)、(b)および樹脂改質剤の含有割合に関しては、前記成分(a)を1〜40重量%、前記成分(b)を50〜99重量%、および樹脂改質剤を0〜20重量%の範囲で含有することが好ましく、前記成分(a)を5〜35重量%、前記成分(b)を65〜95重量%、および樹脂改質剤を0〜7重量%の範囲で含有することがさらに好ましい。
特に、SH基/エピスルフィド基の割合(モル基準)は、0.3以下、好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.15以下、最も好ましくは0.1以下であり、通常0.001以上、好ましくは0.003以上、さらに好ましくは0.005以上である。
本発明の重合性組成物は、実質的に成分(a)、(b)および樹脂改質剤よりなるが、その他に、目的に応じて問題のない範囲で、内部離型剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、塗料、充填剤等を加えてもよい。
本発明の重合硬化物の一形態であるポリチオエーテルは、以上のような重合性組成物を重合反応させて得られる硬化物である。
重合性組成物の硬化反応は、硬化触媒(即ち、重合触媒)の存在下又は非存在下で組成物を−100〜120℃、好ましくは−10〜80℃、より好ましくは0〜50℃で0.1〜72時間混合して予備重合した後、ガラスや金属製の型に注入し、6〜72時間かけて10〜200℃、好ましくは10〜160℃、より好ましくは10〜130℃で徐々に昇温しながら加熱することによって行うことができる。触媒は硬化反応を制御できる範囲で必要に応じて適宜使用すればよく、その使用量は重合性組成物に対して例えば5重量%以下(さらには1重量%以下)であればよい。
成分(a)、(b)、樹脂改質剤および触媒は同時に混合しても、段階的に混合してもよい。例えば、成分(a)のポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールと成分(b)のエピスルフィド化合物と樹脂改質剤を混合して予備重合した後で触媒を加えて高分子量化することができる。この他、最初にポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールとエピスルフィド化合物を予備重合した後で、樹脂改質剤を添加・混合することもできる。
重合反応に使用する触媒としては、アミン類、ホスフィン類、四級アンモニウム塩類、四級ホスホニウム塩類、三級スルホニウム塩類、二級ヨードニウム塩類、鉱酸類、ルイス酸類、有機酸類、ケイ酸類、四フッ化ホウ酸類等が挙げられる。中でも、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン等の三級アミン類、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の三級ホスフィン類、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の四級アンモニウム塩類、テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムクロライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の四級ホスホニウム塩類が重合反応を制御し易いため、好ましい。
硬化反応後に得られる重合硬化物であるポリチオエーテルは、分子内にチオカーボネート構造及びチオウレタン構造が導入された結果、以下の実施例に示すように優れた力学的性能(高い曲げ強度、高い曲げ破壊ひずみおよび高いガラス転移温度)を示し、さらに光学的性能(高屈折率、高アッベ数、高透過率)も優れているために光学材料として極めて有用である。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、ポリチオカーボネートポリチオール、ポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールおよび重合硬化物の物性は、下記の方法によりそれぞれ測定した。
〔ポリチオカーボネートポリチオールおよびポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールの物性〕
1.イソシアネート基消費率(NCO消費率;%)
反応混合物を200mL(ミリリットル)三角フラスコに秤量し、0.5Mジ−n−ブチルアミン−テトラヒドロフラン溶液10mLに溶解させ、さらにテトラヒドロフラン50mLを混合した。この溶液を0.5M塩酸で滴定した(指示薬:フェノールフタレイン)。
イソシアネート基消費率(%)={C/D−(B−A)/S××10−4 ×f}/(C/D)
(但し、式中、Aは試料の滴定に要した0.5M塩酸の量(mL)、Bは空試験に要した0.5M塩酸の量(mL)、Sは試料採取量(g)、fは0.5M塩酸のファクター、Cはポリイソシアネートの仕込み時のイソシアネート基のモル量、Dは仕込み時の総重量(g)を表す。)
2.メルカプト基価(SH価;mgKOH/g):
100mLサンプル瓶に試料を秤量し(重量はグラム単位で小数点以下4桁まで正確に読み取る)、無水酢酸-テトラヒドロフラン溶液(溶液100ml中に無水酢酸4gを含む)5mLと4-ジメチルアミノピリジン-テトラヒドロフラン溶液(溶液100mL中に4-ジメチルアミノピリジン1gを含む)10mLを正確に加えて試料を完全に溶解させた後、室温で1時間放置し、次いで超純水1mLを正確に加えて時々攪拌しながら室温で30分放置して、0.25M水酸化カリウム-エタノール溶液で滴定した(指示薬:フェノールフタレイン)。SH価は次式により算出した。
SH価(mgKOH/g)=14.025×(F−E)×f’/S’
(但し、式中、S’は試料採取量(g)、Eは試料の滴定に要した0.25M水酸化カリウム−エタノール溶液の量(mL)、Fは空試験に要した0.25M水酸化カリウム−エタノール溶液の量(mL)、f’は0.25M水酸化カリウム−エタノール溶液のファクターを表す。)
3.数平均分子量(Mn):次式により算出した。
Mn=112200/SH価
4.酸価(mgKOH/g):試料をトルエン−エタノール溶液(等容混合溶液)200mLに溶解して0.1M水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定した(指示薬:フェノールフタレイン)。酸価は次式により算出した。
酸価(mgKOH/g)=5.61(G−H)f’’/S’’
(但し、式中、S’’は試料採取量(g)、Gは試料の滴定に要した0.1M水酸化カリウム−エタノール溶液の量(ml)、Hは空試験に要した0.1M水酸化カリウム−エタノール溶液の量(ml)、f’’は0.1M水酸化カリウム−エタノール溶液のファクターを表す。)
5.融点(℃)、結晶化温度(℃)およびガラス転移温度(℃):示差走査熱量計(島津製作所製;DSC−50)を使用して、窒素ガス雰囲気中、−100〜100℃の範囲にて、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で測定した。ガラス転移温度に関しては、昇温過程において測定した。
6.粘度(mPa・sec):E型回転粘度計(ブルックフィールド製;プログラマブルデジタル粘度計DV−II+)を用いて100℃で測定した。
7.色相(APHA):JIS−K1557に準拠して測定した。
〔重合硬化物の物性〕
1.屈折率(n):屈折率計(アタゴ製アッベ屈折率計;MR−04)を使用して、e線(λ=546nm)を照射したときの屈折率を測定した。
2.アッベ数(ν):上記屈折率計を使用し、e線(λ=546nm)、F’線(λ=480nm)、C’線(λ=644nm)を照射したときの屈折率(n、nF’、nC’)をそれぞれ測定して、次式により算出した。
ν=(n−1)/(nF’−nC’
3.透過率(%):UV計(島津製作所製;UV2400PC)を使用し、550nmの光を照射したときの透過率を測定した。
4.曲げ特性:JIS−K7171に準拠して、三点曲げ試験機(オリエンテック製;テンシロンUCT−5T)を用いて、23℃、50%RHにおいて測定し、曲げ弾性率、曲げ強度、および曲げ破壊ひずみを求めた。試験片の大きさは幅25mm、長さ40mm、厚さ1mmとし、支持台間距離を32mm、圧子および支持台の半径をそれぞれ5.0mmおよび2.0mmとした。
5.ガラス転移温度(Tg;℃):示差走査熱量計(Perkin Elmer製;PYRIS Diamond DSC)を使用して、窒素ガス雰囲気中、−100℃〜250℃の範囲にて、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で測定した。
<実施例1>
〔ポリチオカーボネートポリチオールの製造〕
撹拌機、温度計、蒸留塔(分留管、還流ヘッド、コンデンサーを塔頂部に備える)を設置した内容積500mLのガラス製反応器に、1,6−ヘキサンジチオール90.1g(0.599モル)、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド77.2g(0.500モル)、ジフェニルカーボネート155g(0.725モル)、および10重量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド−メタノール溶液(触媒)0.861g(0.332ミリモル)を仕込み、200mmHg(27kPa)、160℃で還流させながら1時間保持した。次いで、フェノールを留去しながら、6時間かけて50mmHgまで徐々に減圧した後、フェノールが留出しなくなったところで圧力を30mmHg(4.0kPa)から15mmHg(2.0kPa)まで3時間かけて徐々に減圧し、フェノールと1,6−ヘキサンジチオールおよびビス(2−メルカプトエチル)スルフィドの混合物を留出させながら反応させて、目的のポリチオカーボネートポリチオールを得た。
このポリチオカーボネートポリチオールに前記触媒と等モルのp−トルエンスルホン酸1水和物を加え、130℃で2時間撹拌して触媒を不活性化させた。次いで、塩化メチレン430gを添加してポリチオカーボネートポリチオールを溶解させ、その溶液を同量の水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、固形物を濾過して除き、塩化メチレンを留去した。最終的に得られたポリチオカーボネートポリチオール(a)の物性を下記に示す。
SH価:211.4mgKOH/g、Mn:531、酸価:0.04mgKOH/g、融点:9.7℃、結晶化温度:−19.8℃、ガラス転移温度:なし、粘度:114mPa・sec、色相(APHA):10。
〔ポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールの製造〕
撹拌機、温度計、滴下漏斗を設置した内容積300mL(ミリリットル)のガラス製反応器に、ポリチオカーボネートポリチオール(a)30.0g(56.5ミリモル、メルカプト基のモル数:113ミリモル)、およびジブチルチンジラウレート9.3mgを仕込み、窒素雰囲気下で60℃に加熱した。滴下漏斗にキシリレンジイソシアネート2.75g(14.6ミリモル)およびイソホロンジイソシアネート3.21g(14.4ミリモル)の混合物(イソシアネート基のモル数:58.0ミリモル)を注入して、反応混合物中に1時間かけて滴下した(メルカプト基に対するイソシアネート基の比:0.513)。温度を80℃として3時間反応させた後、温度を100℃としてイソシアネート基が完全に消費されるまで(32時間)反応を続けた。イソシアネート基の消費率は100%であった。得られたポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオール(A)の物性を表1に記す。実施例1で得られたポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオール(A)は、25℃において液状であった。
〔重合硬化物の製造〕
撹拌子を装着した内容積30mLのガラス製反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオール(A)0.917g(0.741ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル8.10g(49.9ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.011gを添加して2時間反応させた。厚さ1mmのシリコンゴムスペーサーを2枚のガラス板で挟んだ型の中に反応液を流し込み、室温(25℃)で12時間放置した。これを30℃から100℃まで27時間かけて昇温し、得られた重合硬化物を離型した。得られた重合硬化物(I)の組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<実施例2>
〔重合硬化物の製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオール(A)1.82g(1.47ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル7.20g(44.4ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.017gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、重合硬化物(II)を得た。得られた重合硬化物(II)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<比較例1>
〔重合硬化物の製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.286g(1.85ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル8.77g(54.1ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.017gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、重合硬化物(III)を得た。得られた重合硬化物(III)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<比較例2>
〔重合硬化物の製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.934g(6.05ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル8.30g(51.2ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.017gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、重合硬化物(IV)を得た。重合硬化物(IV)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<比較例3>
〔重合硬化物の製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.558g(3.62ミリモル)およびキシリレンジイソシアネート0.237g(1.26ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル7.20g(44.4ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.0093gおよびジブチルチンジラウレート0.0048gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、重合硬化物(V)を得た。重合硬化物(V)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。この硬化物は白濁していた。
Figure 0005589257
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本発明のポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールは、室温下(25℃)で液状かつ保存安定性が良好であり、これを用いて得られる重合硬化物、特にエピスルフィド化合物との重合硬化物において、透明かつ高屈折率で低分散を示すという優れた光学的特性、および高い曲げ強度、高い曲げ破壊ひずみと高いガラス転移温度を持つという優れた力学的性能を有し、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記憶用基盤、着色フィルター、赤外線吸収フィルター、光学フィルム、接着剤などの光学材料への利用が期待できる。

Claims (2)

  1. 成分(a):ポリチオカーボネートポリチオールのメルカプト基に対するポリイソ(チオ)シアネートのイソ(チオ)シアネート基のモル比が0を超え0.8未満になるように前記ポリチオカーボネートポリチオールと前記ポリイソ(チオ)シアネートとを混合し反応してなるポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオール、および成分(b):前記ポリチオカーボネートポリチオウレタンポリチオールの末端メルカプト基と反応するポリエピスルフィド化合物を反応してなる重合硬化物。
  2. 請求項1に記載の重合硬化物を含む光学材料。
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