JP5233282B2 - 重合性組成物およびポリチオカーボネートポリチオエーテル - Google Patents

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Description

本発明は、光学用樹脂として有用なポリチオエーテルおよびその製造のための組成物に関する。ポリチオエーテルは高屈折率で低分散を示すという優れた光学特性を有しており、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録用基板、着色フィルター、赤外線吸収フィルターなどに用いられる。
近年光学用途の材料として、ガラスに比べて軽量で割れにくく、染色が容易である点からプラスチックの使用が主流になりつつある。光学用途のプラスチック材料には、ポリエチレングリコールビスアリルカーボネートやポリメチルメタクリレート、脂環式ポリオレフィン、ポリカーボネート樹脂などが汎用的に用いられてきた。しかし、これら材料は屈折率が1.6以下であるため、高屈折率材料のコーティングや接着に使用する場合、被着体の特性を十分に生かすことができないという問題があり、光学レンズなどに使用する場合は肉厚が大きくなるという問題もあった。また、プラスチックは一般的に屈折率の高い材料ほどアッベ数が低く、色収差が大きい傾向にあるので、注視物に色がついてにじんで見えるようになるという問題も生じてくる。これらのことから、光学用樹脂として高屈折率で高アッベ数の材料が求められている。
このような光学用樹脂として特許文献1にポリチオールとポリイソシアネートを反応させて得られるポリチオウレタンが提案され、特許文献2にそのポリチオールとして硫黄原子の含有率を高めたものなどがさらに提案されている。これらのポリチオウレタンは概して屈折率が1.6以上と高くアッベ数も30以上と高いため、最近の薄型軽量光学レンズとして使用されるものが多くなっている。
さらに高い屈折率を有する材料が求められている中で、特許文献3および特許文献4などに記載されているポリエピスルフィドの開環重合体であるポリチオエーテルが提案された。ポリチオエーテルは屈折率が1.6台後半から1.7台と高く、アッベ数も30以上と高いため、光学レンズやプリズムなどの薄型化に貢献している。
しかしながら、ポリチオエーテルは曲げに対する歪量が小さく、割れ易いという傾向にあった。したがって、これら屈折率およびアッベ数の高い素材に曲げに対して撓み易い性質を付与した材料が求められていた。曲げに対して撓み易い性質を付与するために、ポリチオールやポリアミンなどを樹脂改質剤に用いてポリチオエーテルが製造されているが(特許文献5、6、7等)、耐熱性(ガラス転移温度)が低下するという問題があった。
特公平4−58489号公報 特開平5−148340号公報 特開平9−71580号公報 特開平9−110979号公報 特開平9−255781号公報 特開平11−322930号公報 特開平11−258402号公報
本発明は、優れた光学的性能(高屈折率、高アッベ数)に加えて、優れた力学的性能(曲げに対する高歪量および高いガラス転移温度)を有し、光学材料として優れた性質を示すポリチオエーテル、およびその製造のための重合性組成物を提供することを目的とする。
本発明は以下の事項に関する。
1. 成分(a):ポリチオカーボネートポリチオール、
成分(b):エピスルフィド化合物、および
成分(c):任意成分として、前記エピスルフィド化合物と反応する官能基を有する有機化合物
を含有することを特徴とする重合性組成物。
2. 前記成分(a)を1〜40重量%、前記成分(b)を50〜99重量%、および前記成分(c)を0〜20重量%の範囲で含有することを特徴とする上記1記載の重合性組成物。
3. 前記ポリチオカーボネートポリチオールが、
式(1):
Figure 0005233282
で示されるチオカーボネート部分構造と、
このチオカーボネート部分構造が結合している1種または2種以上の多価炭化水素基(ただし、この多価炭化水素基は、前記エピスルフィド化合物の開環反応に関与しない置換基を有していてもよく、その炭素鎖中にヘテロ原子または環構造を含有していてもよい。)と、
末端SH基
を有し、数平均分子量が200〜2500であることを特徴とする上記1または2記載の重合性組成物。
4. 前記ポリチオカーボネートポリチオールが、下記式(2):
Figure 0005233282
(式中、Rは、2価の炭化水素基を表し、エピスルフィド化合物の開環反応に関与しない置換基を有していてもよく、その炭素鎖中にヘテロ原子または環構造を含有していてもよく、さらにRは、1つの分子鎖内において、同一でも異なっていてもよい。)
で表される繰り返し単位を有し、数平均分子量が200〜2500であることを特徴とする上記3記載の重合性組成物。
5. 前記ポリチオカーボネートポリチオールが、温度40℃で液状であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の重合性組成物。
6. 前記ポリチオカーボネートポリチオールのAPHAが60以下であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の重合性組成物。
7. 前記ポリチオカーボネートポリチオールの末端基のうち、SH基以外の末端基の割合が5モル%以下であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の重合性組成物。
8. 前記ポリチオカーボネートポリチオールはエステル交換反応により合成され、エステル交換触媒の残存量がポリチオカーボネートポリチオールの重量基準で40ppm以下であることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の重合性組成物。
9. 前記エピスルフィド化合物が、分子中に少なくとも2個のエピスルフィド基を有することを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の重合性組成物。
10. 前記成分(c)の有機化合物が、チオール化合物、アミン化合物、アリル化合物、(メタ)アクリレート化合物、有機酸およびその無水物、メルカプト有機酸、メルカプトアミン、およびフェノール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の重合性組成物。
11. 硬化触媒として、塩基性触媒をさらに含む上記1〜10のいずれかに記載の重合性組成物。
12. 前記塩基性触媒が、三級アミン、三級ホスフィン、四級アンモニウム塩および四級ホスホニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記11記載の重合性組成物。
13. 上記1〜12のいずれかに記載の重合性組成物を硬化させて得られるポリチオカーボネートポリチオエーテル。
本発明によれば、優れた光学的性能(高屈折率、高アッベ数)に加えて、優れた力学的性能(曲げに対する高歪量および高いガラス転移温度)を有し、光学材料として優れた性質を示すポリチオエーテル、およびその製造のための重合性組成物を提供することができる。
本発明の重合性組成物は、前述のとおり、成分(a):ポリチオカーボネートポリチオール、成分(b):エピスルフィド化合物、および成分(c):任意成分、即ち存在していても存在しなくてもよい成分として、前記エピスルフィド化合物と反応する官能基を有する有機化合物を含有し、これを硬化させることで本発明のポリチオカーボネートポリチオエーテルが得られる。
成分(a):ポリチオカーボネートポリチオールは、チオカーボネート構造「−X−(C=O)−S−」(XはO又はS)を有し、Xとしては特にSが好ましい。即ち、成分(a)のポリチオカーボネートポリチオールは、チオカーボネート部分構造として、式(1):
Figure 0005233282
の構造を有することが好ましい。
成分(a)のポリチオカーボネートポリチオール中で、式(1)のチオカーボネート部分構造は、2価以上であって、好ましくは8価以下、さらに好ましくは5価以下の多価炭化水素基に結合している。また、分子内に価数の異なる多価炭化水素基が含有されていても、同一の価数であっても炭素数又は構造の異なる多価炭化水素基が含有されていてもよい。多価炭化水素基は、前記エピスルフィド化合物の開環反応に関与しない置換基を有していてもよく、その炭素鎖中にヘテロ原子または環構造を含有していてもよい。
多価炭化水素基が、例えば、2価の基Rであれば、ポリチオカーボネートポリチオールは次のような繰り返し単位を有する。
Figure 0005233282
また、例えば、2価の炭化水素基Rと3価の炭化水素基Rが同一の分子内に含まれるとき、ポリチオカーボネートポリチオールは、例えば次のように炭化水素基Rで分岐した構造を有する。
Figure 0005233282
3価以上の多価炭化水素基の含有量が増えると、分岐構造、架橋構造が発達する。本発明の好ましい1形態では、多価炭化水素基は2価の基であり、必要により3価以上の基を含有していてもよい。3価以上の炭化水素基が含有される場合、その割合は、全多価炭化水素基に対してモル基準で30%以内が好ましく、20%以内がより好ましい。
成分(a)のポリチオカーボネートポリチオールは、末端SH基を有しており、末端基のすべてがSH基であることが好ましいが、後述するように、SH基以外の末端基を少ない割合で含有することも許容される。
Rが2価の炭化水素基のときの代表的な構造は次の式(4)で表される。
Figure 0005233282
通常は、繰り返し単位数の異なる化合物の混合物として得られ、式中、pは式(4)の化合物の数平均分子量が200〜2500となるように選ばれる数である。
ポリチオカーボネートポリチオールは、カーボネート化合物とポリチオール化合物を原料として、エステル交換触媒の存在下で、エステル交換反応させて製造することが好ましい。この場合、ポリチオカーボネートポリチオール中の炭化水素基および末端のSH基は、使用する原料のポリチオール化合物に由来する。従って、ポリチオカーボネートポリチオールについて、その製造方法を説明しながら説明する。
原料のカーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;およびメチルフェニルカーボネート等のアルキルアリールカーボネートなどが挙げられる。これらカーボネート化合物の中では、ジアリールカーボネートが好ましく、中でもジフェニルカーボネートが特に好ましい。
原料のポリチオール化合物(即ち、チオール基を2個以上有する化合物)としては、ポリカーボネートポリオールの製造において使用されるポリオール化合物に対応するポリチオール化合物を使用することができる。具体的には、多価(少なくとも2価)の炭化水素基にメルカプト基が結合した化合物が挙げられる。この炭化水素基は、脂肪族(脂環族を含む)炭化水素基(好ましくは炭素数2〜14)、芳香族(芳香脂肪族を含む)炭化水素基(好ましくは炭素数6〜14)のいずれでもよく、また、エピスルフィド化合物の開環反応に関与しない置換基(アルキル基、アルコキシ基等)を有していてもよく、その炭素鎖中に、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子)、環構造(脂環構造、芳香環構造、複素環)等の反応に関与しない原子又は原子団を有していてもよい。
多価の炭化水素基の中では、二価のものが好ましく、その中でも二価の脂肪族炭化水素基が特に好ましい。また、前記ヘテロ原子では硫黄原子又は酸素原子が好ましく、環構造では脂環構造又は飽和の複素環構造が好ましい。
前記炭化水素基が脂肪族炭化水素基であるポリチオール化合物としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,12−ドデカンジチオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジチオール、3−メチル−1,5−ペンタンジチオール、2−メチル−1,8−オクタンジチオール等のアルカンジチオール;1,4−シクロヘキサンジチオール、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン等のシクロアルカンジチオール;
ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタンチオール等のヘテロ原子を有するアルカンジチオール;2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジオキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン等のヘテロ原子を有するシクロアルカンジチオール;
1,1,1−トリス(メルカプトメチル)エタン、2−エチル−2−メルカプトメチル−1,3−プロパンジチオール、1,8−メルカプト−4−メルカプトメチル−3,6−チアオクタン等のアルカントリチオール;テトラキス(メルカプトメチル)メタン、3,3’−チオビス(プロパン−1,2−ジチオール)、2,2’−チオビス(プロパン−1,3−ジチオール)等のアルカンテトラチオールなどが挙げられる。
また、前記炭化水素基が芳香族炭化水素基であるポリチオール化合物としては、例えば、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、トルエン−3,4−ジチオール等のアレーンジチオール(芳香族ジチオール);および1,3,5−ベンゼントリチオール、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン等のアレーントリチオール(芳香族トリチオール)が挙げられる。
本発明では、ポリチオール化合物は単独で使用してもよいが、複数種類(少なくとも2種)で使用してもよい。ポリチオール化合物中の多価炭化水素基が2価の炭化水素基であれば、単独で使用した場合、得られるポリチオカーボネートポリチオールは前記式(2)で表される繰り返し単位を1種有するものであり、2種以上を使用した場合に得られるポリチオカーボネートポリチオールは、前記式(2)においてRが異なる複数(少なくとも2種)の繰り返し単位を有するもの(共重合物)である。複数のポリチオール化合物を使用する場合、例えば、次のような組み合わせのポリチオール化合物を使用すれば、低融点および低結晶化温度であって40℃の温度で液状、好ましくは30℃の温度で液状のポリチオカーボネートポリチオールを得ることができ、前記ポリチオール化合物の中では、以下のような組み合わせがその例として挙げられる。尚、特定の実施形態においては、20℃の温度で液状のポリチオカーボネートポリチオール、さらには、10℃でも液状または0℃でも液状のポリチオカーボネートポリチオールも可能である。複数のポリチオール化合物の使用割合は液状のポリチオカーボネートポリチオールが得られる限り特に制限されない。このような液状のポリチオカーボネートポリチオールは、室温下で注型重合が可能になるなど、実用的に非常に有用である。
・炭素鎖の鎖長が異なる脂肪族直鎖ジチオールの組合せ:1,5−ペンタンジチオールと1,6−ヘキサンジチオールとの組合せ、ビス(メルカプトアルキル)スルフィド(例えばビス(2−メルカプトエチル)スルフィド)と1,6−ヘキサンジチオールとの組合せなど。
・脂肪族直鎖ジチオールと脂肪族分岐ポリチオールとの組合せ:1,6−ヘキサンジチオールと3−メチル−1,5−ペンタンジチオールとの組合せなど。
・脂肪族直鎖ジチオール又は脂肪族分岐ポリチオールと脂肪族炭化水素環を有するアルカンジチオールとの組合せ:1,6−ヘキサンジチオールと1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサンとの組合せなど。
・脂肪族直鎖ジチオール又は脂肪族分岐ポリチオールとヘテロ原子および脂肪族炭化水素環を有するアルカンジチオールとの組合せ:1,6−ヘキサンジチオールと2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンとの組合せなど。
また、複数種類のポリチオール化合物を使用するときに、価数の異なるポリチオール化合物を使用してもよく、例えばジチオールに加えてトリチオール、テトラチオール、およびペンタチオール等の3価以上のポリチオール化合物(即ち、ポリチオール化合物中の多価炭化水素基の価数が3価以上)を併用してもよい。この場合は、前記式(3)で示したような分岐構造を有する。3価以上のポリチオールを使用すると、ポリマー中に分岐および/または架橋構造が増えるので、得られるポリチオカーボネートポリチオールの物性を考慮して適宜選択することが好ましい。3価以上のポリチオールの使用量は、全ポリチオール化合物の使用量に対して、モル基準で30%以内が好ましく、20%以内が特に好ましい。
ポリチオカーボネートポリチオールの製造においては、カーボネート化合物(特にジアリールカーボネート)とポリチオール化合物をエステル交換触媒の存在下に副生するアルコール(特にアリールアルコール)を連続的に系外に抜き出しながらエステル交換反応させることが好ましい。このとき、ポリチオール化合物の使用量は、得られるポリチオカーボネートポリチオール分子鎖の末端の全部又はほぼ全部がメルカプト基となるように、カーボネート化合物に対して0.8〜3.0倍モル、さらには0.85〜2.5倍モル、特に0.9〜2.5倍モルであることが好ましい。また、エステル交換触媒の使用量は、ポリチオール化合物に対してモル基準で1〜5000ppm、さらには10〜1000ppmであることが好ましい。
前記エステル交換反応においては、ジアリールカーボネートとしてジフェニルカーボネートを使用することが好ましく、その場合、ポリチオール化合物として多価炭化水素基が2価の炭化水素基であるものを使用するときには、2価の炭化水素基Rの炭素数は4〜14であることが好ましい。このとき、2価の炭化水素基Rの炭素数が4〜14であるポリチオール化合物の使用量は、ジフェニルカーボネートに対して1.05〜3.0倍モル、特に1.1〜2.5倍モルであることが好ましい。このようにすると、末端基のうち、SH基以外の末端基の割合が、5%以下、さらには2%以下、特に1%以下にすることができる。尚、ジアリールカーボネート(例えばジフェニルカーボネート)を使用した場合には、SH基以外の末端基はアリールオキシ基(例えばフェノキシ基)となる。このように条件を適切に選ぶことで、着色度が低く(即ち、APHAが60以下、さらには40以下、特に20以下で)、分子鎖の末端の全部又はほぼ全部がメルカプト基であるポリチオカーボネートポリチオールを得ることができる。末端基におけるアリールオキシ基の割合を制御することにより、光学的性能に加えて力学的性能にも優れたポリチオカーボネートポリチオエーテルを得ることができる。なお、APHAは加熱溶融時の色相を表し、アリールオキシ基の割合はモル基準(以下同様)である。
前記エステル交換反応の条件(温度、圧力、時間)は、目的物を生成させることができるなら特に制限されないが、目的物を効率よく生成させることができるように、カーボネート化合物とポリチオール化合物を、エステル交換触媒の存在下、常圧又は減圧下に110〜200℃で1〜24時間程度、次いで減圧下に110〜240℃(特に140〜240℃)で0.1〜20時間程度反応させ、さらに同温度で徐々に真空度を高めながら最終的に20mmHg(2.7kPa)以下となる減圧下で0.1〜20時間程度反応させることが好ましい。また、ポリチオール化合物を複数で使用する場合は、カーボネート化合物とポリチオール化合物を同様の条件でエステル交換反応させて対応するポリチオカーボネートポリチオールを生成させ、これに別のポリチオール化合物を反応させてもよい。このとき、カーボネート化合物がジフェニルカーボネートであれば、ジフェニルカーボネートとRの炭素数が4〜14であるポリチオール化合物をエステル交換反応させ、次いで生成するポリチオカーボネートポリチオールとRの炭素数が2〜4であるポリチオール化合物を反応させて目的物を製造することが好ましい。なお、副生アルコールを抜き出すためには、反応器に蒸留装置を設けることが好ましく、さらに不活性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン等)流通下で反応させてもよい。
エステル交換触媒は前記エステル交換反応を触媒する化合物であれば特に制限されない。例えば、炭酸カリウム、ナトリウムアルコキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)、四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)などの塩基性化合物;四塩化チタン、テトラアルコキシチタン(テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等)などのチタン化合物;金属スズ、水酸化スズ、塩化スズ、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンオキシド、ブチルチントリス(2−エチルヘキサノエート)などのスズ化合物が挙げられる。
エステル交換触媒の中では、炭酸カリウム、ナトリウムアルコキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)、四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)などの塩基性化合物;およびテトラアルコキシチタン(テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等)が好ましい。エステル交換触媒は、脱COS反応、着色度、および残存触媒量をポリチオカーボネートポリチオエーテルの光学的および力学的性能を高水準に維持できる範囲に制御できるものであればよいが、その中でも、塩基性化合物は、反応速度を速くすることができる上に、APHAが60以下で着色度が低くしかもチオカーボネート構造(−S−(C=O)−S−)部分での脱COS反応により生成するチオエーテル構造(二価の炭化水素基Rを有するジチオールを用いた場合であれば、−R−S−R−)の割合がモル基準(以下同様)で残存チオカーボネート構造と当該チオエーテル構造の合計の3%以下である高品質のポリチオカーボネートポリチオールを与えることができるので特に好ましい。塩基性化合物では、四級アンモニウム塩(特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)が、APHA60以下で当該チオエーテル構造の割合も1%以下である、金属成分が含有されることもないポリチオカーボネートポリチオールを与えるのでさらに好ましい。このように脱COS反応を制御することにより、ポリチオカーボネートポリチオールのS含量およびチオカーボネート構造を高水準に維持できるようになる。なお、残存チオカーボネート構造は脱COS反応を受けていないチオカーボネート構造をいう。
本発明では、ポリチオカーボネートポリチオールは、数平均分子量(Mn)が200〜2500、さらには400〜2000の範囲にあるものが好ましい。この分子量が範囲外である場合、ポリチオカーボネートポリチオールから得られるポリチオカーボネートポリチオエーテルの光学的あるいは力学的性能は不満足なものになり易い。即ち、数平均分子量が200より小さい場合、ポリチオカーボネートポリチオエーテルは曲げ破壊ひずみが小さく、2500より大きい場合は、融点および結晶化温度が高くなるため、エピスルフィド化合物との相溶性が低くなり、ポリチオカーボネートポリチオエーテルの光の透過度が低下する。このため、目的の分子量となるようにカーボネート化合物とポリチオール化合物の使用量を調整するが、反応生成物の数平均分子量が目的値から外れる場合、即ち、分子量が小さい場合は減圧下でさらにポリチオール化合物を留出させながらエステル交換反応させ、分子量が大きい場合はポリチオール化合物を添加してさらにエステル交換反応させることによって分子量を調整することが好ましい。
分子量調整後、必要であれば、ポリチオカーボネートポリチオール中に残存するエステル交換触媒を不活性化しておくことが好ましい。エステル交換触媒の不活性化は、テトラアルコキシチタンを使用した場合は、リン系化合物(リン酸、リン酸ブチル、リン酸ジブチル等)を添加する公知の方法により行うことができ、塩基性化合物を使用した場合は、無機又は有機の酸(硫酸、パラトルエンスルホン酸等)を40℃〜150℃の加熱下で触媒と等モル量添加することにより行うことができる。なお、酸添加で不溶性の塩が析出するときは、これを水洗して除くことが好ましい。
なお、得られたポリチオカーボネートポリチオールを水洗してその着色度(APHA)をさらに低くすることができる。例えば、エステル交換触媒としてテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを使用した場合、得られるポリチオカーボネートポリチオールのAPHAは既に60以下であるが、水洗により40以下、さらには20以下(10以下)まで低下させることができる。触媒がチタン化合物である場合も、ポリチオカーボネートポリチオールのAPHA(100を越える)を同様にして低下させることができる。なお、水洗は、ポリチオカーボネートポリチオールを塩化メチレン等の良溶媒に溶解させ、適量の水を加えて均一に混合又は撹拌することにより行うことができる。この操作は必要に応じて複数回行ってもよい。また、エステル交換触媒として塩基性化合物又はチタン化合物を使用すれば、水洗により、ポリチオカーボネートポリチオール中の残存触媒量も重量基準(以下同様)で10ppm以下(さらには2ppm以下)に低減させることができる。このように残存触媒量を制御することにより、ポリチオカーボネートポリチオエーテルの光学的および力学的性能を高水準に維持できる。
次に、成分(b):エピスルフィド化合物は、分子中に少なくとも2個のエピスルフィド基を有する化合物が好ましい。
本発明で使用されるエピスルフィド化合物としては、例えば、ビス(β―エピチオプロピル)エーテル、ビス(β―エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β―エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β―エピチオプロピルオキシ)メタン、ビス(β―エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)エタン、1,2−ビス(β―エピチオプロピルチオ)エタン、1,2−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,2−ビス(β―エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,3−ビス(β―エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β―エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1−(β―エピチオプロピルオキシ)−2−(β−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1,3−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,4−ビス(β―エピチオプロピルチオ)ブタン、1,4−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,3−ビス(β―エピチオプロピルチオ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−3−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ブタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)ペンタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルチオ)ペンタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ペンタン、1,6−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)ヘキサン、1,6−ビス(β―エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ヘキサン、1,6−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−2−メチルヘキサン、3,8−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−3,6−ジチアオクタン、テトラキス(β−エピチオプロピルオキシメチル)メタン、1,1,1−トリス(β―エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1,2,3−トリス(β―エピチオプロピルチオ)プロパン、2,2−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−1,3−ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)プロパン、2,2−ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)−1−(β―エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)−2−(β―エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−2−(β―エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルオキシ)−2,4−ビス(β―エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β―エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(β―エピチオプロピルオキシ)−2,2−ビス(β―エピチオプロピルオキシメチル)−4−チアヘキサン、1−(β―エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β―エピチオプロピルオキシ)−4−ビス(β―エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−5−[2−(β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシメチル]−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5,6−ビス[(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシ]−3,6,9−トリチアデカン、1,1,1−トリス[{2−(β−エピチオプロピルチオ)エチル}チオメチル]−2−(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[{2−(β−エピチオプロピルチオ)エチル}チオメチル]エタン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族エピスルフィド化合物;
1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、ビス[4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル]メタン、2,2−ビス[4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル]プロパン、ビス[4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル]スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシエチルオキシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[{2−(β−エピチオプロピルチオ)エチル}チオメチル]−1,4−ジチアン等の環状脂肪族エピスルフィド化合物;
1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス{4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル}メタン、2,2−ビス{4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル}プロパン、ビス{4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル}スルフォン、4,4’―ビス(β−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族エピスルフィド化合物;
3−メルカプトプロピレンスルフィド、4−メルカプトブテンスルフィド等のメルカプト基含有エピスルフィド化合物が挙げられる。また、エピスルフィド化合物はこれら例示化合物のみに限定されるものではなく、また単独で使用しても複数で使用してもよい。エピスルフィド化合物では、前述のような鎖状又は環状の各種脂肪族エピスルフィド化合物が好ましい。
次に、成分(c):前記エピスルフィド化合物と反応する官能基を有する有機化合物は、任意成分であって、組成物中に存在してもしていなくても良いが、組成物を硬化して得られるポリチオカーボネートポリチオエーテルの光学的性能や力学的性能を調整するために、樹脂改質剤として単独または複数の種類の化合物を存在させることができる。
成分(c)の有機化合物(以下、樹脂改質剤ともいう。)は、エピスルフィド化合物中のエピスルフィド基と反応する官能基を少なくとも1個有し、特に低分子化合物が好ましい。例えば、具体的には、チオール化合物、アミン化合物、アリル化合物、(メタ)アクリレート化合物、有機酸およびその無水物、メルカプト有機酸、メルカプトアミン、フェノール化合物等が挙げられる。チオール化合物等の樹脂改質剤は、特開平11−258402に記載されているように、加熱による黄変を抑制する成分として使用されてきたが、ガラス転移温度(Tg)を低下させ耐熱性を低下させる。本発明において、成分(a)のポリチオカーボネートポリチオールを配合することは、成分(c)の樹脂改質剤の一部または全部を成分(a)で置き換えるという意味あいも有している。
成分(c)に使用されるチオール化合物としては、SH基を1個または2個以上有する化合物が挙げられる。通常は、SH基は8個以下、好ましくは6個以下である。このような化合物として、例えばメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,12−ドデカンジチオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジチオール、3−メチル−1,5−ペンタンジチオール、2−メチル−1,8−オクタンジチオール、1,4−シクロヘキサンジチオール、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジオキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)エタン、2−エチル−2−メルカプトメチル−1,3−プロパンジチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、3,3’−チオビス(プロパン−1,2−ジチオール)、2,2’−チオビス(プロパン−1,3−ジチオール)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)等の脂肪族チオール化合物;およびベンジルメルカプタン、チオフェノール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,3,5−ベンゼントリチオール、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、トルエン−3,4−ジチオール等の芳香族チオール化合物などが挙げられる。
成分(c)に使用されるアミン化合物としては、少なくとも1個のアミノ基を有する化合物が挙げられ、例えばエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、3−ペンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチルヘキシルアミン、アミノメチルビシクロヘプタン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,7−ジアミノフルオレン等の1級脂肪族アミン化合物;アニリン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、メタ(又はパラ)キシリレンジアミン、1,5−、1,8−、あるいは2,3−ジアミノナフタレン、2,3−、2,6−、あるいは3,4−ジアミノピリジン等の1級芳香族アミン化合物;ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、1,1−ジ(4−ピペリジル)メタン、1,2−(4−ピペリジル)エタン、1,3−(4−ピペリジル)プロパン、1,4−ジ(4−ピペリジル)ブタン等の2級脂肪族アミン化合物;およびジフェニルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン等の2級芳香族アミン化合物が挙げられる。
成分(c)に使用されるアリル化合物としては、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリルアミン、ジアリルアミン、N−メチルアリルアミン等が挙げられる。
成分(c)に使用される(メタ)アクリレート化合物としては、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
成分(c)に使用される有機酸およびその無水物としては、チオジグリコール酸、ジチオジプロピオン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルノルボルネン酸無水物、メチルナルボルナン酸無水物、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
成分(c)に使用されるメルカプト有機酸としては、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオ酢酸、チオ乳酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸等が挙げられる。
成分(c)に使用されるメルカプトアミンとしては、アミノエチルメルカプタン、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール等が挙げられる。
成分(c)に使用されるフェノール化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3−メトキシフェノール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロール等が挙げられる。
成分(c)として使用されるこれらの有機化合物のなかでも、チオール化合物、アミン化合物、メルカプトアミンおよびフェノール化合物が好ましく、特に屈折率の点でチオール化合物が好ましい。これら化合物の中では、脂肪族のものがさらに好ましい。
成分(c)は、成分(a)〜(c)の全量に対して、0〜20重量%の範囲で存在することができるが、多すぎるとTgが低下することがあるので、好ましくは7重量%以下である。
本発明の組成物中における前記成分(a)、(b)および(c)の含有割合に関しては、前述のとおり、前記成分(a)を1〜40重量%、前記成分(b)を50〜99重量%、および前記成分(c)を0〜20重量%の範囲で含有することが好ましく、前記成分(a)を5〜35重量%、前記成分(b)を65〜95重量%、および前記成分(c)を0〜7重量%の範囲で含有することがさらに好ましい。
特に、SH基/エピスルフィド基の割合(モル基準)は、0.3以下、好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.15以下、最も好ましくは0.1以下であり、通常0.001以上、好ましくは0.003以上、さらに好ましくは0.005以上である。成分(c)がチオール化合物の場合、成分(a)のポリチオカーボネートポリチオール中のSH基のモル数及び成分(c)のチオール化合物中のSH基モル数の合計が、この範囲を満たすことが好ましい。また、成分(a)を使用する効果が明確に現れるためには、成分(a)に基づくSH基と成分(c)に基づくSH基の合計に対して、成分(a)に基づくSH基の割合が少なくとも10モル%以上が好ましく、好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上である。成分(c)が存在しないときは、100モル%である。
本発明の重合性組成物は、実質的に成分(a)〜(c)よりなるが、その他に、目的に応じて問題のない範囲で、内部離型剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、塗料、充填剤等を加えてもよい。
本発明のポリチオカーボネートポリチオエーテルは、以上のような重合性組成物を硬化反応させて得られる硬化物である。
重合性組成物の硬化反応は、硬化触媒(即ち、重合触媒)の存在下又は非存在下で組成物を−100〜120℃、好ましくは−10〜80℃、より好ましくは0〜50℃で0.1〜72時間混合して予備重合した後、ガラスや金属製の型に注入し、6〜72時間かけて10〜200℃、好ましくは10〜160℃、より好ましくは10〜130℃で徐々に昇温しながら加熱することによって行うことができる。触媒は硬化反応を制御できる範囲で必要に応じて適宜使用すればよく、その使用量は重合性組成物に対して例えば5重量%以下(さらには1重量%以下)であればよい。
成分(a)〜(c)および触媒は同時に混合しても、段階的に混合してもよい。例えば、成分(a)のポリチオカーボネートポリチオールと成分(b)のエピスルフィド化合物と成分(c)の有機化合物(樹脂改質剤)を混合して予備重合した後で触媒を加えて高分子量化することができる。この他、最初にポリチオカーボネートポリチオールとエピスルフィド化合物を予備重合した後で、その他のチオール化合物等の成分(c)の有機化合物(樹脂改質剤)を添加・混合することもできる。尚、硬化触媒を含む形態も、本発明の重合性組成物の1形態である。
重合反応に使用する触媒としては、アミン類、ホスフィン類、四級アンモニウム塩類、四級ホスホニウム塩類、三級スルホニウム塩類、二級ヨードニウム塩類、鉱酸類、ルイス酸類、有機酸類、ケイ酸類、四フッ化ホウ酸類等が挙げられる。中でも、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン等の三級アミン類、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の三級ホスフィン類、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の四級アンモニウム塩類、テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムクロライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の四級ホスホニウム塩類が重合反応を制御し易いため、好ましい。
硬化反応後に得られるポリチオカーボネートポリチオエーテルは、分子内にポリチオカーボネート構造が導入された結果、以下の実施例に示すように優れた力学的性能(曲げに対する高歪量および高いガラス転移温度)を示し、さらに光学的性能(高屈折率、高アッベ数)も優れているために光学材料として極めて有用である。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、ポリチオカーボネートポリチオールおよびポリチオカーボネートポリチオエーテルの物性は、下記の方法によりそれぞれ測定した。
〔ポリチオカーボネートポリチオールの物性〕
1.メルカプト基価(SH価;mgKOH/g):
100mL(ミリリットル)サンプル瓶に試料を秤量し(重量はグラム単位で小数点以下4桁まで正確に読み取る)、無水酢酸-テトラヒドロフラン溶液(溶液100ml中に無水酢酸4gを含む)5mLと4-ジメチルアミノピリジン-テトラヒドロフラン溶液(溶液100mL中に4-ジメチルアミノピリジン1gを含む)10mLを正確に加えて試料を完全に溶解させた後、室温で1時間放置し、次いで超純水1mLを正確に加えて時々攪拌しながら室温で30分放置して、0.25M水酸化カリウム-エタノール溶液で滴定した(指示薬:フェノールフタレイン)。SH価は次式により算出した。
SH価(mgKOH/g)=14.025×(B−A)×f/S
(但し、式中、Sは試料採取量(g)、Aは試料の滴定に要した0.25M水酸化カリウム−エタノール溶液の量(mL)、Bは空試験に要した0.25M水酸化カリウム−エタノール溶液の量(mL)、fは0.25M水酸化カリウム−エタノール溶液のファクターを表す。)
2.数平均分子量(Mn):次式により算出した。
Mn=112200/SH価
3.酸価(mgKOH/g):試料をトルエン−エタノール溶液(等容混合溶液)200mLに溶解して0.1M水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定した(指示薬:フェノールフタレイン)。酸価は次式により算出した。
酸価(mgKOH/g)=5.61(C−D)f’/S’
(但し、式中、S’は試料採取量(g)、Cは試料の滴定に要した0.1M水酸化カリウム−エタノール溶液の量(ml)、Dは空試験に要した0.1M水酸化カリウム−エタノール溶液の量(ml)、f’は0.1M水酸化カリウム−エタノール溶液のファクターを表す。)
4.融点(℃)および結晶化温度(℃):示差走査熱量計(島津製作所製;DSC−50)を使用して、窒素ガス雰囲気中、−100〜100℃の範囲にて、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で測定した。
5.粘度(mPa・sec):E型回転粘度計(ブルックフィールド製;プログラマブルデジタル粘度計DV−II+)を用いて100℃で測定した。
6.色相(APHA):JIS−K1557に準拠して測定した。
7.末端基におけるアリールオキシ基の割合(%):H−NMRの積分値から全末端基に対するフェノキシ基の割合(モル基準)を求めた。
8.チオエーテル構造(脱COS反応により生成する)の割合(%):H−NMRの積分値から残存チオカーボネート構造と脱COS反応で生成したチオエーテル構造の合計量(モル)を求め、この合計量に対する当該チオエーテル構造の割合(モル基準)を求めた。
9.残存触媒量(ppm;重量基準):ポリチオカーボネートポリチオールの30重量%クロロホルム溶液を調整し、同容量の水で該溶液中のテトラブチルアンモニウムヒドロキシドを抽出して高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの物性〕
1.屈折率(n):屈折率計(アタゴ製アッベ屈折率計;MR−04)を使用して、e線(λ=546nm)を照射したときの屈折率を測定した。
2.アッベ数(ν):上記屈折率計を使用し、e線(λ=546nm)、F’線(λ=480nm)、C’線(λ=644nm)を照射したときの屈折率(ne、nF’、nC’)をそれぞれ測定して、次式により算出した。
νe=(ne−1)/(nF’−nC’)
3.曲げ特性:JIS−K7171に準拠して、三点曲げ試験機(オリエンテック製;テンシロンUCT−5T)を用いて、23℃、50%RHにおいて測定し、曲げ弾性率、曲げ強度、および曲げ破壊ひずみを求めた。試験片の大きさは幅25mm、長さ40mm、厚さ1mmとし、支持台間距離を32mm、圧子および支持台の半径をそれぞれ5.0mmおよび2.0mmとした。
4.ガラス転移温度(Tg;℃):示差走査熱量計(Perkin Elmer製;PYRIS Diamond DSC)を使用して、窒素ガス雰囲気中、−100℃〜250℃の範囲にて、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で測定した。
<実施例1>
〔ビス(β−エピチオプロピル)エーテルの製造〕
European Jornal of Organic Chemistry,2001,875に従い、3−エポキシプロピルオキシプロペンを原料に用いてビス(β−エポキシプロピル)エーテルを製造し、特開2000−336087に従い、ビス(β−エポキシプロピル)エーテルを原料に用いてビス(β−エピチオプロピル)エーテルを製造した。
〔ポリチオカーボネートポリチオールの製造〕
撹拌機、温度計、蒸留塔(分留管、還流ヘッド、コンデンサーを塔頂部に備える)を設置した内容積500mL(ミリリットル)のガラス製反応器に、1,6−ヘキサンジチオール90.1g(0.599モル)、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド77.2g(0.500モル)、ジフェニルカーボネート155g(0.725モル)、および10重量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド−メタノール溶液(触媒)0.861g(0.332ミリモル)を仕込み、200mmHg(27kPa)、160℃で還流させながら1時間保持した。次いで、フェノールを留去しながら、6時間かけて50mmHgまで徐々に減圧した後、フェノールが留出しなくなったところで圧力を30mmHg(4.0kPa)から15mmHg(2.0kPa)まで3時間かけて徐々に減圧し、フェノールと1,6−ヘキサンジチオールおよびビス(2−メルカプトエチル)スルフィドの混合物を留出させながら反応させて、目的のポリチオカーボネートポリチオールを得た。
このポリチオカーボネートポリチオールに前記触媒と等モルのp−トルエンスルホン酸1水和物を加え、130℃で2時間撹拌して触媒を不活性化させた。次いで、塩化メチレン430gを添加してポリチオカーボネートポリチオールを溶解させ、その溶液を同量の水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、固形物を濾過して除き、塩化メチレンを留去した。最終的に得られたポリチオカーボネートポリチオール(A)の物性を表1に示す。
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの製造〕
撹拌子を装着した内容積30mLのガラス製反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオール(A)0.914g(1.72ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル8.47g(52.2ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.017gを添加して2時間反応させた。厚さ1mmのシリコンゴムスペーサーを2枚のガラス板で挟んだ型の中に反応液を流し込み、室温(25℃)で12時間放置した。これを30℃から100℃まで27時間かけて昇温し、得られた重合硬化物を離型した。得られたポリチオカーボネートポリチオエーテル(I)の組成を表2に記す。
ポリチオカーボネートポリチオエーテル(I)を所定の大きさに切断して、光学物性および力学物性を測定した。その結果を表3に記す。
<実施例2>
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオール(A)0.680g(1.28ミリモル)およびビス(2−メルカプトエチルスルフィド)0.0847g(0.549ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル8.24g(50.8ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.031gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、目的のポリチオカーボネートポリチオエーテル(II)を得た。ポリチオカーボネートポリチオエーテル(II)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<実施例3>
〔ポリチオカーボネートポリチオールの製造〕
実施例1と同様の反応器に、1,6−ヘキサンジチオール105g(0.700モル)、ビス(2−メルカプトエチルスルフィド)61.7g(0.400モル)、ジフェニルカーボネート155g(0.725モル)、および10重量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド−メタノール溶液(触媒)0.861g(0.332ミリモル)を仕込み、得られた混合液に実施例1と同様の操作を施すことによって、フェノールと1,6−ヘキサンジチオールおよびビス(2−メルカプトエチル)スルフィドの混合物を留出させた。引き続き、7〜5mmHg(0.93〜0.67kPa)で3時間かけて1,6−ヘキサンジチオールおよびビス(2−メルカプトエチル)スルフィドの混合物を留出させながら反応させ、目的のポリチオカーボネートポリチオールを得た。
次いで、実施例1と同様に、触媒の不活性化、塩化メチレン添加、水洗、乾燥、濾過、塩化メチレン留去を行った。最終的に得られたポリチオカーボネートポリチオール(B)の物性を表1に示す。
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオール(B)0.990g(0.523ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル8.24g(50.8ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.031gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、目的のポリチオカーボネートポリチオエーテル(III)を得た。ポリチオカーボネートポリチオエーテル(III)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<実施例4>
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオール(B)2.61g(1.38ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル6.45g(39.7ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.034gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、目的のポリチオカーボネートポリチオエーテル(IV)を得た。ポリチオカーボネートポリチオエーテル(IV)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<実施例5>
〔ポリチオカーボネートポリチオールの製造〕
実施例1と同様の反応器に、1,6−ヘキサンジチオール93.4g(0.622モル)、3−メチル−1,5−ペンタンジチオール93.4g(0.622モル)、ジフェニルカーボネート182g(0.850モル)、および10重量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド−メタノール溶液(触媒)3.07g(1.18ミリモル)を仕込み、得られた混合液に実施例1と同様の操作を施すことによって、フェノールと1,6−ヘキサンジチオールおよび3−メチル−1,5−ペンタンジチオールの混合物を留出させながら反応させ、目的のポリチオカーボネートポリチオールを得た。
次いで、実施例1と同様に、触媒の不活性化、塩化メチレン添加、水洗、乾燥、濾過、塩化メチレン留去を行った。最終的に得られたポリチオカーボネートポリチオール(C)の物性を表1に示す。
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオール(C)0.926g(1.43ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル8.24g(50.8ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.031gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、目的のポリチオカーボネートポリチオエーテル(V)を得た。ポリチオカーボネートポリチオエーテル(V)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<実施例6>
〔ポリチオカーボネートポリチオールの製造〕
実施例1と同様の反応器に、1,6−ヘキサンジチオール114g(0.761モル)、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン76.7g(0.435モル)、ジフェニルカーボネート160g(0.747モル)、および10重量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド−メタノール溶液(触媒)0.908g(0.350ミリモル)を仕込み、得られた混合液に実施例1と同様の操作を施すことによって、フェノールと1,6−ヘキサンジチオールおよび1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサンの混合物を留出させながら反応させ、目的のポリチオカーボネートポリチオールを得た。
次いで、実施例1と同様に、触媒の不活性化、塩化メチレン添加、水洗、乾燥、濾過、塩化メチレン留去を行った。最終的に得られたポリチオカーボネートポリチオール(D)の物性を表1に示す。
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオール(D)0.919g(1.71ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル8.23g(50.7ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.033gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、目的のポリチオカーボネートポリチオエーテル(VI)を得た。ポリチオカーボネートポリチオエーテル(VI)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<実施例7>
〔ポリチオカーボネートポリチオールの製造〕
実施例1と同様の反応器に、1,6−ヘキサンジチオール49.8g(0.331モル)、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン40.2g(0.189モル)、ジフェニルカーボネート67.5g(0.315モル)、および10重量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド−メタノール溶液(触媒)0.423g(0.163ミリモル)を仕込み、得られた混合液に実施例1と同様の操作を施すことによって、フェノールと1,6−ヘキサンジチオールおよび2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンの混合物を留出させながら反応させ、目的のポリチオカーボネートポリチオールを得た。
次いで、実施例1と同様に、触媒の不活性化、塩化メチレン添加、水洗、乾燥、濾過、塩化メチレン留去を行った。最終的に得られたポリチオカーボネートポリチオール(E)の物性を表1に示す。
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオール(E)0.901g(1.57ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル8.24g(50.8ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.031gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、目的のポリチオカーボネートポリチオエーテル(VII)を得た。ポリチオカーボネートポリチオエーテル(VII)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<比較例1>
〔ポリチオエーテルの製造〕
撹拌子を装着した内容積30mLのガラス製反応器中で、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.286g(1.85ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル8.77g(54.1ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.0087gを添加して2時間反応させた。厚さ1mmのシリコンゴムスペーサーを2枚のガラス板で挟んだ型の中に反応液を流し込み、室温(25℃)で12時間放置した。これを30℃から100℃まで27時間かけて昇温した後で重合硬化物を離型した。得られたポリチオエーテル(VIII)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<比較例2>
〔ポリチオエーテルの製造〕
比較例1と同様の反応器中で、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.934g(6.05ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル8.30g(51.2ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.0346gを添加して2時間反応させた。比較例1と同様にして、ポリチオエーテル(IX)を得た。ポリチオエーテル(IX)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<実施例8>
〔2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアンの製造〕
特開平9−255781に従って、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアンを製造した。
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオール(A)0.930g(1.75ミリモル)および2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン3.30g(9.27ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル5.07g(31.2ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.017gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、目的のポリチオカーボネートポリチオエーテル(X)を得た。ポリチオカーボネートポリチオエーテル(X)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<実施例9>
〔1,2−ビス(β−エピチオプロピオキシ)エタンの製造〕
公知の方法により、1,2−ビス(β−エポキシプロピオキシ)エタンから1,2−ビス(β−エピチオプロピオキシ)エタンを製造した。
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオール(A)1.80g(3.39ミリモル)を1,2−ビス(β−エピチオプロピオキシ)エタン16.4g(79.3ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.033gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、目的のポリチオカーボネートポリチオエーテル(XI)を得た。ポリチオカーボネートポリチオエーテル(XI)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<比較例3>
〔ポリチオエーテルの製造〕
比較例1と同様の反応器中で、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.266g(1.73ミリモル)を1,2−ビス(β−エピチオプロピオキシ)エタン8.75g(42.4ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.033gを添加して2時間反応させた。比較例1と同様にして、目的のポリチオエーテル(XII)を得た。ポリチオエーテル(XII)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<実施例10>
〔ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドの製造〕
公知の方法により、β−エポキシプロピルクロリドをメルカプトナトリウムによりビス(β−エポキシプロピル)スルフィドとし、チオ尿素を用いてビス(β−エピチオプロピル)スルフィドを製造した。
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオール(A)1.01g(1.91ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)スルフィド8.03g(45.0ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.016gを添加して1時間反応させた。実施例1と同様にして、目的のポリチオカーボネートポリチオエーテル(XIII)を得た。ポリチオカーボネートポリチオエーテル(XIII)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<比較例4>
〔ポリチオエーテルの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.287g(1.86ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)スルフィド8.72g(48.9ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.016gを添加して1時間反応させた。比較例1と同様にして、目的のポリチオエーテル(XIV)を得た。ポリチオエーテル(XIV)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<実施例11>
〔ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドの製造〕
特開2000−281787号公報に従い、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドを製造した。
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオール(A)1.00g(1.88ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド8.23g(39.1ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.016gを添加して1時間反応させた。実施例1と同様にして、目的のポリチオカーボネートポリチオエーテル(XV)を得た。ポリチオカーボネートポリチオエーテル(XV)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<比較例5>
〔ポリチオエーテルの製造〕
比較例1と同様の反応器中で、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.297g(1.92ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド8.77g(41.7ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.016gを添加して1時間反応させた。比較例1と同様にして、ポリチオエーテル(XVI)を得た。ポリチオエーテル(XVI)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<実施例12>
〔ポリチオカーボネートポリチオールの製造〕
実施例1と同様の反応器に、1,6−ヘキサンジチオール15.0g(0.0995モル)、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド76.6g(0.496モル)、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン87.6g(0.497モル)、ジフェニルカーボネート142g(0.662モル)、および10重量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド−メタノール溶液(触媒)0.880g(0.339ミリモル)を仕込み、得られた混合液に実施例1と同様の操作を施すことによって、フェノールと1,6−ヘキサンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィドおよび1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサンの混合物を留去させながら反応させ、目的のポリチオカーボネートポリチオールを得た。
次いで、実施例1と同様に、触媒の不活性化、塩化メチレン添加、水洗、乾燥、濾過、塩化メチレン留去を行った。最終的に得られたポリチオカーボネートポリチオール(F)の物性を表1に示す。
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオール(F)1.72g(3.54ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル15.5g(95.6ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.034gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、目的のポリチオカーボネートポリチオエーテル(XVII)を得た。ポリチオカーボネートポリチオエーテル(XVII)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
<実施例13>
〔ポリチオカーボネートポリチオールの製造〕
実施例1と同様の反応器に、1,6−ヘキサンジチオール33.3g(0.222モル)、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド29.2g(0.189モル)、1,8−メルカプト−4−メルカプトメチル−3,6−チアオクタン24.6g(0.0943モル)、ジフェニルカーボネート68.0g(0.321モル)、および10重量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド−メタノール溶液(触媒)0.438g(0.169ミリモル)を仕込み、得られた混合液に実施例1と同様の操作を施すことによって、フェノールと1,6−ヘキサンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィドおよび1,8−メルカプト−4−メルカプトメチル−3,6−チアオクタンの混合物を留去させながら反応させ、目的のポリチオカーボネートポリチオールを得た。
次いで、実施例1と同様に、触媒の不活性化、塩化メチレン添加、水洗、乾燥、濾過、塩化メチレン留去を行った。最終的に得られたポリチオカーボネートポリチオール(G)の物性を表1に示す。
〔ポリチオカーボネートポリチオエーテルの製造〕
実施例1と同様の反応器中で、ポリチオカーボネートポリチオール(G)0.921g(1.75ミリモル)をビス(β−エピチオプロピル)エーテル8.20g(50.6ミリモル)に室温(25℃)で完全に溶解させ、この温度でN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.033gを添加して2時間反応させた。実施例1と同様にして、目的のポリチオカーボネートポリチオエーテル(XVIII)を得た。ポリチオカーボネートポリチオエーテル(XVIII)について、組成を表2に記し、光学物性および力学物性を表3に記す。
Figure 0005233282
Figure 0005233282
Figure 0005233282
本発明の重合性組成物を硬化して得られるポリチオカーボネートポリチオエーテルは、高屈折率で低分散を示すという優れた光学的特性、および曲げに対する高い歪量と高いガラス転移温度を持つという力学的性能を有し、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記憶用基盤、着色フィルター、赤外線吸収フィルター、光学フィルム、接着剤などの光学材料への利用が期待できる。

Claims (12)

  1. 成分(a):カーボネート化合物とポリチオール化合物をエステル交換反応させて得られたポリチオカーボネートポリチオール、
    成分(b):分子中に少なくとも2個のエピスルフィド基を有するエピスルフィド化合物、および
    成分(c):任意成分として、前記エピスルフィド化合物と反応する官能基を有する有機化合物であって、チオール化合物、アミン化合物、アリル化合物、(メタ)アクリレート化合物、有機酸およびその無水物、メルカプト有機酸、メルカプトアミン、およびフェノール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂改質剤
    を含有することを特徴とする重合性組成物。
  2. 前記成分(a)を5〜35重量%、前記成分(b)を65〜95重量%、および前記成分(c)を0〜20重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1記載の重合性組成物。
  3. 前記ポリチオカーボネートポリチオールが、
    式(1):
    Figure 0005233282
    で示されるチオカーボネート部分構造と、
    このチオカーボネート部分構造が結合している1種または2種以上の多価炭化水素基(ただし、この多価炭化水素基は、前記エピスルフィド化合物の開環反応に関与しない置換基を有していてもよく、その炭素鎖中にヘテロ原子または環構造を含有していてもよい。)と、
    末端SH基
    を有し、数平均分子量が200〜2500であることを特徴とする請求項1または2記載の重合性組成物。
  4. 前記ポリチオカーボネートポリチオールが、下記式(2):
    Figure 0005233282
    (式中、Rは、2価の炭化水素基を表し、エピスルフィド化合物の開環反応に関与しない置換基を有していてもよく、その炭素鎖中にヘテロ原子または環構造を含有していてもよく、さらにRは、1つの分子鎖内において、同一でも異なっていてもよい。)
    で表される繰り返し単位を有し、数平均分子量が200〜2500であることを特徴とする請求項3記載の重合性組成物。
  5. 前記ポリチオカーボネートポリチオールが、温度40℃で液状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の重合性組成物。
  6. 前記ポリチオカーボネートポリチオールのAPHAが60以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の重合性組成物。
  7. 前記ポリチオカーボネートポリチオールの末端基のうち、SH基以外の末端基の割合が5モル%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の重合性組成物。
  8. 前記ポリチオカーボネートポリチオールはエステル交換反応により合成され、エステル交換触媒の残存量がポリチオカーボネートポリチオールの重量基準で40ppm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の重合性組成物。
  9. 前記エピスルフィド化合物が、分子中に少なくとも2個のエピスルフィド基を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の重合性組成物。
  10. 硬化触媒として、塩基性触媒をさらに含む請求項1〜9のいずれかに記載の重合性組成物。
  11. 前記塩基性触媒が、三級アミン、三級ホスフィン、四級アンモニウム塩および四級ホスホニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項10記載の重合性組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の重合性組成物を硬化させて得られるポリチオカーボネートポリチオエーテル。
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