JP2015199841A - 透明部材形成用組成物、及びその硬化物からなる透明部材 - Google Patents

透明部材形成用組成物、及びその硬化物からなる透明部材 Download PDF

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Abstract

【課題】高い屈折率及び高いガラス転移温度を有する硬化物を与える透明部材形成用組成物、及びその硬化物からなる透明部材の提供。【解決手段】式(1)で表されるビニル基含有化合物と、1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物とを含有する透明部材形成用組成物。(W1及びW2は式(2)で表される基;式(4)で表される基;水酸基;又は(メタ)アクリロイルオキシ基;環Y1及び環Y2は芳香族炭化水素環;Rは単結合又は特定の二価基;R3a及びR3bはシアノ基、ハロゲン原子、又は1価炭化水素基;n1及びn2は0〜4の整数)【選択図】なし

Description

本発明は、透明部材形成用組成物、及びその硬化物からなる透明部材に関する。
プラスチックは、ガラスと比較して、軽く、割れにくく、かつ、染色等の加工が容易である。そのため、近年、透明部材の材料として、ポリエチレングリコールビスアリルカーボネート、ポリメチルメタクリレート、脂環式ポリオレフィン、ポリカーボネート等のプラスチックを使用することが主流になりつつある。例えば、特許文献1には、ポリエチレングリコールビスアリルカーボネートを含有するプラスチック光学材料用単量体組成物が開示されている。
特開2005−15670号公報
レンズ等の透明部材は、高屈折率であることが求められるとともに、使用温度範囲で変形しないように、高いガラス転移温度を有することも求められる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、高い屈折率及び高いガラス転移温度を有する硬化物を与える透明部材形成用組成物、及びその硬化物からなる透明部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、新規なビニル基含有フルオレン系化合物と特定のチオール基含有化合物とを併用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
本発明の第一の態様は、下記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物と、1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物とを含有する透明部材形成用組成物である。
Figure 2015199841
(式中、W及びWは独立に下記一般式(2)で表される基、下記一般式(4)で表される基、水酸基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、ただし、W及びWの少なくとも一方は上記一般式(2)で表される基であり、環Y及び環Yは同一の又は異なる芳香族炭化水素環を示し、Rは単結合、置換基を有してもよいメチレン基、置換基を有してもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、−O−で示される基、−NH−で示される基、又は−S−で示される基を示し、R3a及びR3bは独立にシアノ基、ハロゲン原子、又は1価炭化水素基を示し、n1及びn2は独立に0〜4の整数を示す。)
Figure 2015199841
(式中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Xは単結合又は−S−で示される基を示し、Rは単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Rは1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、スルホ基、又は1価炭化水素基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR4cで示される基、若しくは−N(R4dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、若しくはスルホ基で置換された基を示し、R4a〜R4dは独立に1価炭化水素基を示し、mは0以上の整数を示す。)
Figure 2015199841
(式中、環Z、X、R、R、及びmは上記の通りである。)
本発明の第二の態様は、上記透明部材形成用組成物の硬化物からなる透明部材である。
本発明によれば、高い屈折率及び高いガラス転移温度を有する硬化物を与える透明部材形成用組成物、及びその硬化物からなる透明部材を提供することができる。
<透明部材形成用組成物>
本発明に係る透明部材形成用組成物は、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物と、1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物とを含有する。以下、本発明に係る透明部材形成用組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
[一般式(1)で表されるビニル基含有化合物]
本発明に係る組成物に含有されるビニル基含有化合物は、下記一般式(1)で表されるものである。上記ビニル基含有化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
Figure 2015199841
上記一般式(1)において、W及びWは、独立に下記一般式(2)で表される基、下記一般式(4)で表される基、水酸基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、ただし、W及びWの少なくとも一方は前記一般式(2)で表される基である。W及びWのいずれもが下記一般式(2)で表される基であることがより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」という用語は、アクリロイルとメタクリロイルの両方を意味する。
Figure 2015199841
上記一般式(2)及び(4)において、環Zとしては、例えば、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。環Zは、ベンゼン環又はナフタレン環であるのが好ましく、ナフタレン環であるのがより好ましい。なお、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、Wに含まれる環ZとWに含まれる環Zとは、同一でも異なっていてもよく、例えば、一方の環がベンゼン環、他方の環がナフタレン環等であってもよいが、いずれの環もナフタレン環であることが特に好ましい。また、W及びWの両方が直結する炭素原子にXを介して結合する環Zの置換位置は、特に限定されない。例えば、環Zがナフタレン環の場合、上記炭素原子に結合する環Zに対応する基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基等であってもよい。
上記一般式(2)及び(4)において、Xは、独立に単結合又は−S−で示される基を示し、典型的には単結合である。
上記一般式(2)及び(4)において、Rとしては、例えば、単結合;メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基等の炭素数1〜4のアルキレン基が挙げられ、単結合;C2−4アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基等のC2−3アルキレン基)が好ましく、単結合がより好ましい。なお、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、Wに含まれるRとWに含まれるRとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記一般式(2)及び(4)において、Rとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、より好ましくはC1−6アルキル基等)、シクロアルキル基(シクロへキシル基等のC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、より好ましくはC5−6シクロアルキル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のC6−14アリール基、好ましくはC6−10アリール基、より好ましくはC6−8アリール基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等のC6−10アリール−C1−4アルキル基等)等の1価炭化水素基;水酸基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のC1−12アルコキシ基、好ましくはC1−8アルコキシ基、より好ましくはC1−6アルコキシ基等)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基等のC5−10シクロアルコキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等のC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等のC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)等の−OR4aで示される基[式中、R4aは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等のC1−12アルキルチオ基、好ましくはC1−8アルキルチオ基、より好ましくはC1−6アルキルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(シクロへキシルチオ基等のC5−10シクロアルキルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等のC6−10アリールチオ基)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基等のC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基)等の−SR4bで示される基[式中、R4bは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];アシル基(アセチル基等のC1−6アシル基等);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等のC1−4アルコキシ−カルボニル基等);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等);ニトロ基;シアノ基;メルカプト基;カルボキシル基;アミノ基;カルバモイル基;アルキルアミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基等のC1−12アルキルアミノ基、好ましくはC1−8アルキルアミノ基、より好ましくはC1−6アルキルアミノ基等)、シクロアルキルアミノ基(シクロへキシルアミノ基等のC5−10シクロアルキルアミノ基等)、アリールアミノ基(フェニルアミノ基等のC6−10アリールアミノ基)、アラルキルアミノ基(例えば、ベンジルアミノ基等のC6−10アリール−C1−4アルキルアミノ基)等の−NHR4cで示される基[式中、R4cは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等のジ(C1−12アルキル)アミノ基、好ましくはジ(C1−8アルキル)アミノ基、より好ましくはジ(C1−6アルキル)アミノ基等)、ジシクロアルキルアミノ基(ジシクロへキシルアミノ基等のジ(C5−10シクロアルキル)アミノ基等)、ジアリールアミノ基(ジフェニルアミノ基等のジ(C6−10アリール)アミノ基)、ジアラルキルアミノ基(例えば、ジベンジルアミノ基等のジ(C6−10アリール−C1−4アルキル)アミノ基)等の−N(R4dで示される基[式中、R4dは独立に1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];(メタ)アクリロイルオキシ基;スルホ基;上記の1価炭化水素基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR4cで示される基、若しくは−N(R4dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が上記の1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、若しくはスルホ基で置換された基[例えば、アルコキシアリール基(例えば、メトキシフェニル基等のC1−4アルコキシC6−10アリール基)、アルコキシカルボニルアリール基(例えば、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等のC1−4アルコキシ−カルボニルC6−10アリール基等)]等が挙げられる。
これらのうち、代表的には、Rは、1価炭化水素基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基等であってもよい。
好ましいRとしては、1価炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)等]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基等)等が挙げられる。特に、R2a及びR2bは、アルキル基[C1−4アルキル基(特にメチル基)等]、アリール基[例えば、C6−10アリール基(特にフェニル基)等]等の1価炭化水素基(特に、アルキル基)であるのが好ましい。
なお、mが2以上の整数である場合、Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、Wに含まれるRとWに含まれるRとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記一般式(2)及び(4)において、Rの数mは、環Zの種類に応じて選択でき、例えば、0〜4、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2であってもよい。なお、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、WにおけるmとWにおけるmとは、同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(1)において、環Y及び環Yとしては、例えば、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。環Y及び環Yは、ベンゼン環又はナフタレン環であるのが好ましい。なお、環Y及び環Yは、同一でも異なっていてもよく、例えば、一方の環がベンゼン環、他方の環がナフタレン環等であってもよい。
上記一般式(1)において、Rは単結合、置換基を有してもよいメチレン基、置換基を有してもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、−O−で示される基、−NH−で示される基、又は−S−で示される基を示し、典型的には単結合である。ここで、置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、1価炭化水素基[例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等のC1−6アルキル基)、アリール基(フェニル基等のC6−10アリール基)等]等が挙げられ、ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、珪素原子等が挙げられる。
上記一般式(1)において、R3a及びR3bとしては、通常、非反応性置換基、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、1価炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基等のC6−10アリール基)等]等が挙げられ、シアノ基又はアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等のC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)等が例示できる。なお、n1が2以上の整数である場合、R3aは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、n2が2以上の整数である場合、R3bは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。更に、R3aとR3bとが同一であってもよく、異なっていてもよい。また、環Y及び環Yに対するR3a及びR3bの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数n1及びn2は、0又は1、特に0である。なお、n1及びn2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(1)で表される化合物は、優れた光学的特性及び熱的特性を保持しつつ、ビニロキシ基及び/又は(メタ)アクリロイルオキシ基を有するため、高い反応性を有する。特に、環Y及び環Yがベンゼン環であり、Rが単結合である場合、上記一般式(1)で表される化合物は、フルオレン骨格を有し、光学的特性及び熱的特性に更に優れる。このような上記一般式(1)で表される化合物は、重合することができるため、重合性モノマーとして機能する。特に、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、上記一般式(1)で表される化合物は、カチオン重合することができるため、カチオン重合性モノマーとして機能する。一方、W及びWがいずれも(メタ)アクリロイルオキシ基である場合、上記一般式(1)で表される化合物は、ラジカル重合することができるため、ラジカル重合性モノマーとして機能する。また、上記一般式(1)で表される化合物は、W及びWが独立に上記一般式(2)で表される基又は(メタ)アクリロイルオキシ基である場合、ビニロキシ基及び/又は(メタ)アクリロイルオキシ基の形で含まれる2個のビニル基が別々の分子と反応することができるため、架橋剤として好適に用いることができる。更に、上記一般式(1)で表される化合物は、高い硬度を有する硬化物を与え、組成物中の基材成分として好ましい。加えて、上記一般式(1)で表される化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際には、良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。上記一般式(1)で表される化合物は、種々の用途、例えば、配向膜及び平坦化膜(例えば、液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等に用いられる配向膜及び平坦化膜);反射防止膜、層間絶縁膜、カーボンハードマスク等のレジスト下層膜;液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等のスペーサ及び隔壁;液晶表示ディスプレイのカラーフィルタの画素やブラックマトリクス;液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置;レンズ(例えば、マイクロレンズ等)、光ファイバー、光導波路、プリズムシート、ホログラム、高屈折フィルム、再帰反射フィルム等の光学部材;低透湿膜(例えば、水蒸気バリア層として用いられる低透湿膜);光学材料;半導体用材料に用いることができる。
上記一般式(1)で表される化合物のうち、特に好ましい具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015199841
上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物の含有量は、本発明に係る透明部材形成用組成物の全質量に対して、25〜99質量%であることが好ましく、50〜96質量%であることがより好ましい。上記ビニル基含有化合物の含有量が上記範囲内であると、得られる組成物の塗膜形成能が向上しやすく、高い屈折率及び高いガラス転移温度を有し、硬化性に優れた硬化物を得やすい。
[一般式(1)で表されるビニル基含有化合物の製造方法]
上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物は、例えば、下記の製造方法1〜3により製造することができる。
・製造方法1
上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物は、例えば、特開2008−266169号公報に記載の製造方法に従い、遷移元素化合物触媒及び無機塩基の存在下、下記一般式(13)で表されるビニルエステル化合物と、下記一般式(3)で表される水酸基含有化合物とを反応させることにより、合成することが可能である。上記無機塩基は、粒子径150μm未満の粒子を10重量%以上含有する固体の無機塩基であることが好ましい。具体的には、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物は、後述する合成例1〜3のようにして合成することが可能である。
−CO−O−CH=CH (13)
(式中、Rは、水素原子又は有機基を示す。)
Figure 2015199841
(式中、W及びWは独立に下記一般式(4)で表される基又は水酸基を示し、ただし、W及びWは同時に水酸基ではなく、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
Figure 2015199841
(式中、環Z、X、R、R、及びmは上記の通りである。)
なお、上記一般式(3)で表される化合物は、例えば、酸触媒の存在下、下記一般式(14)で表される化合物及び/又は下記一般式(15)で表される化合物と、下記一般式(16)で表される化合物とを反応させることにより、合成することができる。適宜、下記一般式(14)で表される化合物及び下記一般式(15)で表される化合物の組み合わせ方や添加量等を調整することにより、上記一般式(3)で表される所望の水酸基含有化合物を得ることができる。また、反応後に、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の分離方法により、目的とする水酸基含有化合物を分離してもよい。
Figure 2015199841
(上記一般式(14)、(15)、及び(16)中、環Y、環Y、環Z、R、R、R、R3a、R3b、m、n1、及びn2は上記の通りである。)
上記一般式(3)で表される化合物の合成に用いられる酸触媒、反応条件等としては、例えば、特開2011−201791号公報又は特開2002−255929号公報において、特許請求の範囲に記載されたフルオレン系化合物の製造方法に用いることができると記載されているものが挙げられる。
・製造方法2
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される水酸基含有化合物から、下記一般式(5)で表される脱離基含有化合物を経由して、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物を得ることを含む製造方法により、合成することも可能である。
Figure 2015199841
(式中、W及びWは独立に下記一般式(6)で表される基又は水酸基を示し、ただし、W及びWは同時に水酸基ではなく、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
Figure 2015199841
(式中、Eは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキシ基、又はベンゼンスルホニルオキシ基で置換された炭素数1〜4のアルキルオキシ基を示し、環Z、X、R、R、及びmは上記の通りである。)
上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される水酸基含有化合物と脱離基含有化合物とを反応させることにより、合成することができる。脱離基含有化合物としては、例えば、塩化チオニル、下記式で表される化合物等が挙げられる。また、反応温度としては、例えば、−20〜150℃、好ましくは−10〜140℃、より好ましくは30〜130℃が挙げられる。
Figure 2015199841
上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物は、例えば、上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物とビニル化剤とを反応させることにより、合成することができる。ビニル化剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロウンデセン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられ、好ましくはジアザビシクロウンデセン、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられ、より好ましくはカリウム−t−ブトキシドが挙げられる。また、反応温度としては、例えば、−20〜150℃、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜60℃が挙げられる。
・製造方法3
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば、下記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物から、上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物を経由して、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物を得ることを含む製造方法により、合成することも可能である。
Figure 2015199841
(式中、W及びWは独立に下記一般式(8)で表される基又は水酸基を示し、ただし、W及びWは同時に水酸基ではなく、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
Figure 2015199841
(式中、lは1〜4の整数を示し、環Z、X、R、R、及びmは上記の通りである。)
上記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物は、例えば、酸触媒の存在下、下記一般式(17)で表される化合物及び/又は下記一般式(18)で表される化合物と、上記一般式(16)で表される化合物とを反応させることにより、合成することができる。適宜、下記一般式(17)で表される化合物及び下記一般式(18)で表される化合物の組み合わせ方や添加量等を調整することにより、上記一般式(7)で表される所望のヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物を得ることができる。また、反応後に、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の分離方法により、目的とするヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物を分離してもよい。上記一般式(7)で表される化合物の合成に用いられる酸触媒、反応条件等としては、例えば、上記一般式(3)で表される化合物の合成方法の説明中で例示したものが挙げられる。
Figure 2015199841
(上記一般式(17)及び(18)中、環Z、R、R、及びmは上記の通りである。)
上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物は、例えば、上記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物と脱離基含有化合物とを反応させることにより、合成することができる。脱離基含有化合物及び反応温度としては、例えば、上記製造方法2について例示したものが挙げられる。
上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物は、例えば、上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物とビニル化剤とを反応させることにより、合成することができる。ビニル化剤及び反応温度としては、例えば、上記製造方法2について例示したものが挙げられる。
[1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物]
本発明に係る透明部材形成用組成物は、1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物を含有する。このチオール基含有化合物と上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物とが反応することで、高い屈折率及び高いガラス転移温度を有し、光学的特性及び耐熱性に優れる硬化物が形成される。上記チオール基含有化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物としては、特に限定されないが、好ましくは室温で液体のもの、例えば、1気圧における融点が30℃以下であるものが使用され、特に好ましくは、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物等の他成分との反応性及び相溶性が良好であり、本発明に係る透明部材形成用組成物の硬化物の屈折率及びガラス転移温度を高く維持できるような化合物が用いられる。1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物として、室温で液体のチオール基含有化合物を使用する場合、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物はこのようなチオール基含有化合物に溶解するため、実質的に溶剤を含有しない透明部材形成用組成物を調製することができる。実質的に溶剤を含有しない透明部材形成用組成物からは、特にレンズ等を好適に形成することができる。なお、本明細書において、「実質的に溶剤を含有しない」とは、本発明に係る透明部材形成用組成物の全質量に対して、溶剤の含有量が1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であることをいう。
上記チオール基含有化合物は、チオール基以外にスルフィド結合、ポリスルフィド結合、更には他の官能基を有してもよく、鎖状の化合物であっても環状の化合物であってもよい。上記チオール基含有化合物の具体例としては、下記の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラキス(メルカプトメチル)メタン等の脂肪族ポリチオール化合物。
1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等の芳香族ポリチオール化合物及びメルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール化合物。
ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、ビス(1,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等、並びにこれらのチオグリコール酸エステル及びメルカプトプロピオン酸エステル。
ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン、1,2,5−トリメルカプト−4−チアペンタン、3,3−ジメルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン、3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン、3−メルカプトメチルチオ−1,7−ジメルカプト−2,6−ジチアヘプタン、3,6−ジメルカプトメチル−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、3,7−ジメルカプトメチル−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、4,6−ジメルカプトメチル−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、3−メルカプトメチル−1,6−ジメルカプト−2,5−ジチアヘキサン、3−メルカプトメチルチオ−1,5−ジメルカプト−2−チアペンタン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,4,8,11−テトラメルカプト−2,6,10−トリチアウンデカン、1,4,9,12−テトラメルカプト−2,6,7,11−テトラチアドデカン、2,3−ジチア−1,4−ブタンジチオール、2,3,5,6−テトラチア−1,7−ヘプタンジチオール、2,3,5,6,8,9−ヘキサチア−1,10−デカンジチオール、4,5−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチオラン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−ビス(メルカプトメチルチオ)メチルー1,3−ジチエタン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン、2−メルカプトメチル−6−メルカプト−1,4−ジチアシクロヘプタン等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール化合物。
3,4−チオフェンジチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環化合物、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、2,4−ジメルカプトフェノール、3,4−ジメルカプト−2−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン等のメルカプト基以外にヒドロキシ基を含有する化合物。
2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(3−メルカプトプロピル)−1,4−ジチアン、2−(2−メルカプトエチル)−5−メルカプトメチル−1,4−ジチアン、2−(2−メルカプトエチル)−5−(3−メルカプトプロピル)−1,4−ジチアン、2−メルカプトメチル−5−(3−メルカプトプロピル)−1,4−ジチアン、2,4−ビス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、2−メルカプトメチル−5−メルカプト−1,3−ジチオラン、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、2−(3−メルカプトプロピル)−4−メルカプトメチル−1,3−ジチオラン、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3,5−トリチアン、2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、2,2−ビス(メルカプトメチル)−5−メルカプト−1,3−ジチオラン、2−(1,2−ジメルカプトエチル)−4−メルカプトメチル−1,3−ジチオラン、2−(1,2−ジメルカプトエチル)−4−メルカプト−1,3,5−トリチアン、2−(3−メルカプトプロピル)−4,5−ビス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、2,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、2−(1,2−ジメルカプトエチル)−4,5−ビス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン等の環状化合物が挙げられる。
1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物は、公知の方法で合成できる。具体的には、特開平7−252207号公報に記載された方法が挙げられる。
1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物の好ましい例としては、下記一般式(t1)で表されるチオール基含有化合物が挙げられる。
Figure 2015199841
(式中、Rt1は炭素鎖中に硫黄原子又は酸素原子を含有してもよい(k1+1)価の炭化水素基を示し、Rt2は炭素鎖中に硫黄原子又は酸素原子を含有してもよい(k2+1)価の炭化水素基を示し、k1及びk2は独立に1以上の整数を示す。Rt1及びRt2中の炭素原子が互いに結合して環が形成されていてもよい。)
t1としては、特に限定されず、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの2種以上の組み合わせであって、価数が(k1+1)価であり、炭素鎖中に硫黄原子又は酸素原子を含有してもよいものが挙げられる。また、Rt2としては、特に限定されず、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの2種以上の組み合わせであって、価数が(k2+1)価であり、炭素鎖中に硫黄原子又は酸素原子を含有してもよいものが挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数としては、例えば、1〜12が挙げられ、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましい。脂環式炭化水素基の炭素数としては、例えば、3〜12が挙げられ、3〜8が好ましく、3〜6がより好ましい。芳香族炭化水素基の炭素数としては、例えば、6〜18が挙げられ、6〜14が好ましく、6〜10がより好ましい。
k1及びk2は独立に1以上の整数を示し、好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくは1又は2である。
上記一般式(t1)で表されるチオール基含有化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015199841
1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物の他の好ましい例としては、下記一般式(t2)で表されるチオール基含有化合物が挙げられる。
Figure 2015199841
(式中、Rt3は炭素鎖中にヘテロ原子を含有してもよいk3価の炭化水素基を示し、Rt4はアルキレン基を示し、k3は2以上の整数を示す。)
t3としては、特に限定されず、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの2種以上の組み合わせであって、価数がk3価であり、炭素鎖中にヘテロ原子を含有してもよいものが挙げられる。脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基の炭素数は、Rt1及びRt2について説明したのと同様である。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられ、酸素原子はカルボニル基として炭素鎖中に含有されていてもよく、硫黄原子はチオカルボニル基として炭素鎖中に含有されていてもよい。
t4としては、例えば、炭素原子数1〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基が挙げられ、具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ジメチルメチレン基、ブチレン基等が挙げられる。
k3は2以上の整数を示し、好ましくは2〜6の整数であり、より好ましくは2〜4の整数である。
上記一般式(t2)で表されるチオール基含有化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015199841
Figure 2015199841
1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物の更に他の好ましい例としては、下記一般式(t3)で表されるチオール基含有化合物が挙げられる。
Figure 2015199841
(式中、Rt5は、2価の炭化水素基を表し、エピスルフィド系化合物の開環反応に関与しない置換基を有していてもよく、その炭素鎖中にヘテロ原子又は環構造を含有していてもよく、更にRt5は、1つの分子鎖内において、同一でも異なっていてもよい。k4は、式(t3)で表される化合物の数平均分子量が200〜2500となるように選ばれる数である。)
上記一般式(t3)で表されるチオール基含有化合物は、ポリチオカーボネートジチオールであり、1分子中に2個のチオール基を有する。このチオール基含有化合物は、通常、繰り返し単位数の異なる化合物の混合物として使用され、その数平均分子量は200〜2500である。
上記一般式(t3)で表されるチオール基含有化合物、即ち、ポリチオカーボネートジチオールは、カーボネート化合物とジチオール化合物を原料として、エステル交換触媒の存在下で、エステル交換反応させて製造することが好ましい。この場合、ポリチオカーボネートジチオール中の炭化水素基及び末端のチオール基は、使用する原料のジチオール化合物に由来する。したがって、ポリチオカーボネートジチオールについて、その製造方法を説明しながら説明する。
原料のカーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;及びメチルフェニルカーボネート等のアルキルアリールカーボネート等が挙げられる。これらカーボネート化合物の中では、ジアリールカーボネートが好ましく、中でもジフェニルカーボネートが特に好ましい。
原料のジチオール化合物(即ち、チオール基を2個以上有する化合物)としては、ポリカーボネートジオールの製造において使用されるジオール化合物に対応するジチオール化合物を使用することができる。具体的には、2価の炭化水素基にメルカプト基が結合した化合物が挙げられる。この炭化水素基は、脂肪族(脂環族を含む)炭化水素基(好ましくは炭素数2〜14)、芳香族(芳香脂肪族を含む)炭化水素基(好ましくは炭素数6〜14)のいずれでもよく、また、エピスルフィド系化合物の開環反応に関与しない置換基(アルキル基、アルコキシ基等)を有していてもよく、その炭素鎖中に、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子)、環構造(脂環構造、芳香環構造、複素環構造)等のエピスルフィド系化合物の開環反応に関与しない原子又は原子団を有していてもよい。2価の炭化水素基の中では脂肪族のものが好ましく、上記へテロ原子では硫黄原子又は酸素原子が好ましく、環構造では脂環構造又は飽和の複素環構造が好ましい。
上記炭化水素基が脂肪族炭化水素基であるジチオール化合物としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,12−ドデカンジチオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジチオール、3−メチル−1,5−ペンタンジチオール、2−メチル−1,8−オクタンジチオール等のアルカンジチオール;1,4−シクロヘキサンジチオール、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン等のシクロアルカンジチオール;
ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタンチオール等のヘテロ原子を有するアルカンジチオール;2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジオキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン等のヘテロ原子を有するシクロアルカンジチオール等が挙げられる。
また、上記炭化水素基が芳香族炭化水素基であるジチオール化合物としては、例えば、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、トルエン−3,4−ジチオール等のアレーンジチオール(芳香族ジチオール)が挙げられる。
ジチオール化合物は単独で使用してもよいが、複数種類(少なくとも2種)で使用してもよい。単独で使用した場合、得られるポリチオカーボネートジチオールは上記一般式(t3)で表される繰り返し単位を1種有するものであり、2種以上を使用した場合に得られるポリチオカーボネートジチオールは、上記一般式(t3)においてRt5が異なる複数(少なくとも2種)の繰り返し単位を有するもの(共重合物)である。複数のジチオール化合物を使用する場合、例えば、次のような組み合わせのジチオール化合物を使用すれば、低融点及び低結晶化温度であって40℃の温度で液状、好ましくは30℃の温度で液状のポリチオカーボネートジチオールを得ることができ、上記ジチオール化合物の中では、以下のような組み合わせがその例として挙げられる。なお、特定の実施形態においては、20℃の温度で液状のポリチオカーボネートジチオール、更には、10℃でも液状又は0℃でも液状のポリチオカーボネートジチオールも得ることが可能である。複数のジチオール化合物の使用割合は液状のポリカーボネートジチオールが得られる限り特に制限されない。このような液状のポリチオカーボネートジチオールは、室温下で注型重合が可能になる等、実用的に非常に有用である。
・炭素鎖の鎖長が異なる脂肪族直鎖ジチオールの組合せ:1,5−ペンタンジチオールと1,6−ヘキサンジチオールとの組合せ、ビス(メルカプトアルキル)スルフィド(例えばビス(2−メルカプトエチル)スルフィド)と1,6−ヘキサンジチオールとの組合せ等。
・脂肪族直鎖ジチオールと脂肪族分岐ジチオールとの組合せ:1,6−ヘキサンジチオールと3−メチル−1,5−ペンタンジチオールとの組合せ等。
・脂肪族直鎖ジチオール又は脂肪族分岐ジチオールと脂肪族炭化水素環を有するアルカンジチオールとの組合せ:1,6−ヘキサンジチオールと1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサンとの組合せ等。
・脂肪族直鎖ジチオール又は脂肪族分岐ジチオールとヘテロ原子及び脂肪族炭化水素環を有するアルカンジチオールとの組合せ:1,6−ヘキサンジチオールと2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンとの組合せ等。
ポリチオカーボネートジチオールの製造においては、カーボネート化合物(特にジアリールカーボネート)とジチオール化合物とをエステル交換触媒の存在下に副生するアルコール(特にアリールアルコール)を連続的に系外に抜き出しながらエステル交換反応させることが好ましい。このとき、ジチオール化合物の使用量は、得られるポリチオカーボネートジチオール分子鎖の末端の全部又はほぼ全部がメルカプト基となるように、カーボネート化合物に対して0.8〜3.0倍モル、更には0.85〜2.5倍モル、特に0.9〜2.5倍モルであることが好ましい。また、エステル交換触媒の使用量は、ジチオール化合物に対してモル基準で1〜5000ppm、更には10〜1000ppmであることが好ましい。
上記エステル交換反応においては、ジアリールカーボネートとしてジフェニルカーボネートを使用することが好ましく、炭化水素基Rt5の炭素数は4〜14であることが好ましい。炭化水素基Rt5の炭素数が4〜14であるジチオール化合物の使用量は、ジフェニルカーボネートに対して1.05〜3.0倍モル、特に1.1〜2.5倍モルであることが好ましい。このようにすると、末端基のうち、チオール基以外の末端基の割合が、5モル%以下、更には2モル%以下、特に1モル%以下にすることができる。なお、ジアリールカーボネート(例えばジフェニルカーボネート)を使用した場合には、チオール基以外の末端基はアリールオキシ基(例えばフェノキシ基)となる。このように条件を適切に選ぶことで、着色度が低く(即ち、APHAが60以下、更には40以下、特に20以下で)、分子鎖の末端の全部又はほぼ全部がメルカプト基であるポリチオカーボネートジチオールを得ることができる。末端基におけるアリールオキシ基の割合を制御することにより、光学特性に加えて機械的特性にも優れた透明部材を得ることができる。なお、APHAは加熱溶融時の色相を表し、アリールオキシ基の割合はモル基準(以下同様)である。
上記エステル交換反応の条件(温度、圧力、時間)は、目的物を生成させることができるなら特に制限されないが、目的物を効率よく生成させることができるように、カーボネート化合物とジチオール化合物を、エステル交換触媒の存在下、常圧又は減圧下に110〜200℃で1〜24時間程度、次いで減圧下に110〜240℃(特に140〜240℃)で0.1〜20時間程度反応させ、更に同温度で徐々に真空度を高めながら最終的に20mmHg(2.7kPa)以下となる減圧下で0.1〜20時間程度反応させることが好ましい。また、ジチオール化合物を複数で使用する場合は、カーボネート化合物とジチオール化合物を同様の条件でエステル交換反応させて対応するポリチオカーボネートジチオールを生成させ、これに別のジチオール化合物を反応させてもよい。このとき、カーボネート化合物がジフェニルカーボネートであれば、ジフェニルカーボネートとRt5の炭素数が4〜14であるジチオール化合物をエステル交換反応させ、次いで生成するポリチオカーボネートジチオールとRt5の炭素数が2〜4であるジチオール化合物を反応させて目的物を製造することが好ましい。なお、副生アルコールを抜き出すためには、反応器に蒸留装置を設けることが好ましく、更に不活性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン等)流通下で反応させてもよい。
エステル交換触媒は上記エステル交換反応を触媒する化合物であれば特に制限されない。例えば、炭酸カリウム、ナトリウムアルコキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)、四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)等の塩基性化合物;四塩化チタン、テトラアルコキシチタン(テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等)等のチタン化合物;金属スズ、水酸化スズ、塩化スズ、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンオキシド、ブチルチントリス(2−エチルヘキサノエート)等のスズ化合物が挙げられる。
エステル交換触媒の中では、炭酸カリウム、ナトリウムアルコキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)、四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)等の塩基性化合物;及びテトラアルコキシチタン(テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等)が好ましい。エステル交換触媒は、脱COS反応、着色度、及び残存触媒量を硬化物(即ち、透明部材)の光学特性及び機械的特性を高水準に維持できる範囲に制御できるものであればよいが、その中でも、塩基性化合物は、反応速度を速くすることができる上に、APHAが60以下で着色度が低くしかもチオカーボネート構造(−S−(C=O)−S−)部分での脱COS反応により生成するチオエーテル構造(−Rt5−S−Rt5−)の割合がモル基準(以下同様)で残存チオカーボネート構造と当該チオエーテル構造の合計の3モル%以下である高品質のポリチオカーボネートジチオールを与えることができるので特に好ましい。塩基性化合物では、四級アンモニウム塩(特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)が、APHA60以下で当該チオエーテル構造の割合も1モル%以下である、金属成分が含有されることもないポリチオカーボネートジチオールを与えるので更に好ましい。このように脱COS反応を制御することにより、ポリチオカーボネートジチオールのS含量及びチオカーボネート構造を高水準に維持できるようになる。なお、残存チオカーボネート構造は脱COS反応を受けていないチオカーボネート構造をいう。
本発明では、ポリチオカーボネートジチオールは、数平均分子量(Mn)が200〜2500、更には400〜2000の範囲にあるものが好ましい。数平均分子量がこの範囲内である場合、得られる硬化物の光学特性及び機械的特性は満足なものになりやすい。即ち、数平均分子量が200以上である場合、硬化物のあおり強度が大きくなりやすく、2500以下である場合、融点及び結晶化温度が高くなりすぎず、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物等の他の成分との相溶性が良好に維持され、硬化物(即ち、透明部材)の光の透過度が向上しやすい。このため、目的の分子量となるようにカーボネート化合物とジチオール化合物の使用量を調整するが、反応生成物の数平均分子量が目的値から外れる場合、即ち、分子量が小さい場合は減圧下で更にジチオール化合物を留出させながらエステル交換反応させ、分子量が大きい場合はジチオール化合物を添加して更にエステル交換反応させることによって分子量を調整することが好ましい。
分子量調整後、必要であれば、ポリチオカーボネートジチオール中に残存するエステル交換触媒を不活性化しておくことが好ましい。エステル交換触媒の不活性化は、テトラアルコキシチタンを使用した場合は、リン系化合物(リン酸、リン酸ブチル、リン酸ジブチル等)を添加する公知の方法により行うことができ、塩基性化合物を使用した場合は、無機又は有機の酸(硫酸、パラトルエンスルホン酸等)を40℃〜150℃の加熱下で触媒と等モル量添加することにより行うことができる。なお、酸添加で不溶性の塩が析出するときは、これを水洗して除くことが好ましい。
なお、得られたポリチオカーボネートジチオールを水洗してその着色度(APHA)を更に低くすることができる。例えば、エステル交換触媒としてテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを使用した場合、得られるポリチオカーボネートジチオールのAPHAは既に60以下であるが、水洗により40以下、更には20以下(10以下)まで低下させることができる。触媒がチタン化合物である場合も、ポリチオカーボネートジチオールのAPHA(100を越える)を同様にして低下させることができる。なお、水洗は、ポリチオカーボネートジチオールを塩化メチレン等の良溶媒に溶解させ、適量の水を加えて均一に混合又は撹拌することにより行うことができる。この操作は必要に応じて複数回行ってもよい。また、エステル交換触媒として塩基性化合物又はチタン化合物を使用すれば、水洗により、ポリチオカーボネートジチオール中の残存触媒量も質量基準(以下同様)で10ppm以下(更には2ppm以下)に低減させることができる。このように残存触媒量を制御することにより、硬化物(即ち、透明部材)の光学特性及び機械的特性を高水準に維持できる。
なお、上記一般式(t3)で表されるチオール基含有化合物、即ち、ポリチオカーボネートジチオールは、その配合量の範囲内で必要に応じてポリチオカーボネートポリチオールを含有していてもよい。ポリチオカーボネートポリチオールは前述のジチオール化合物に代えて3価以上のポリチオール化合物を用いて製造され、ポリチオール化合物としては、例えば、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)エタン、2−エチル−2−メルカプトメチル−1,3−プロパンジチオール等のアルカントリチオール;テトラキス(メルカプトメチル)メタン、3,3’−チオビス(プロパン−1,2−ジチオール)、2,2’−チオビス(プロパン−1,3−ジチオール)等のアルカンテトラチオール;及び1,3,5−ベンゼントリチオール、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン等のアレーントリチオール(芳香族トリチオール)等が挙げられる。ただし、ポリチオール化合物を使用するとポリマー中の分岐及び/又は架橋構造が増えるので、得られるポリチオカーボネートポリチオールの物性を考慮して適宜選択使用することが好ましい。
1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物の含有量は、本発明に係る透明部材形成用組成物の全質量に対して、1〜75質量%が好ましく、より好ましくは4〜50質量%である。上記チオール基含有化合物の含有量が上記範囲内であると、高い屈折率及び高いガラス転移温度を有する硬化物を得やすい。
[エピスルフィド系化合物]
本発明に係る透明部材形成用組成物は、エピスルフィド系化合物を含有してもよい。エピスルフィド系化合物は、透明部材の高屈折率と高アッベ数との良好なバランスを発現させるものであり、下記一般式(u1)で表される構造を1分子中に1個以上有するものであれば特に限定されない。エピスルフィド系化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
Figure 2015199841
式中、Ru1は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Ru2、Ru3、及びRu4は互いに独立してそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基又は水素を表し、JはO、S、Se、又はTeを表し、s=0〜5の整数、t=0又は1、u=1〜5の整数である。
u1の炭素数1〜10の炭化水素基としては、メチレン、エチレン等のアルキレン基が挙げられる。Ru2、Ru3、及びRu4の炭素数1〜10の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基が挙げられる。Jは、O、S、Se、又はTeを表し、より高屈折率を志向するのであれば、S、Se、又はTeが好ましい。uは1〜5の整数を表し、好ましくは1又は2、より好ましくは1である。sは0〜5の整数を表し、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは0又は1である。tは0又は1を表し、好ましくは1である。
エピスルフィド系化合物は、上記一般式(u1)で表される構造を1分子中に1個以上有する化合物を全て包含するが、このうち好ましい化合物の具体例としては、(a)エピチオ基を有する有機化合物、(b)エピチオアルキルオキシ基を有する有機化合物、(c)エピチオアルキルチオ基を有する有機化合物、(d)エピチオアルキルセレノ基を有する有機化合物、(e)エピチオアルキルテルロ基を有する有機化合物が挙げられる。
上記(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の有機化合物は、鎖状化合物、分岐状化合物、脂肪族環状化合物、芳香族化合物、又は窒素、酸素、硫黄、セレン、及び/若しくはテルル原子を含むヘテロ環化合物を主骨格とするものであり、エピチオ基、エピチオアルキルオキシ基、エピチオアルキルチオ基、エピチオアルキルセレノ基、及びエピチオアルキルテルロ基の少なくとも2種を1分子中に同時に有してもかまわない。更にこれらの化合物は、分子内に、スルフィド、セレニド、テルリド、エーテル、スルフォン、ケトン、エステル、アミド、ウレタン等の結合を含んでもよい。
(a)エピチオ基を1個以上有する有機化合物の好ましい具体例は、エポキシ基(グリシジル基ではない)を有する化合物のエポキシ基の1個以上をエピチオ基に置換した化合物を代表例として挙げることができ、より具体的には、以下の化合物を代表例として挙げることができる。
鎖状脂肪族骨格を有する有機化合物:1,1−ビス(エピチオエチル)メタン、1−(エピチオエチル)−1−(β−エピチオプロピル)メタン、1,1−ビス(β−エピチオプロピル)メタン、1−(エピチオエチル)−1−(β−エピチオプロピル)エタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピル)エタン、1−(エピチオエチル)−3−(β−エピチオプロピル)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピル)プロパン、1−(エピチオエチル)−4−(β−エピチオプロピル)ペンタン、1,4−ビス(β−エピチオプロピル)ブタン、1−(エピチオエチル)−5−(β−エピチオプロピル)ヘキサン、1−(エピチオエチル)−2−(γ−エピチオブチルチオ)エタン、1−(エピチオエチル)−2−〔2−(γ−エピチオブチルチオ)エチルチオ〕エタン、テトラキス(β−エピチオプロピル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピル)プロパン、1,3−ビス(β−エピチオプロピル)−1−(β−エピチオプロピル)−2−チアプロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピル)−2,4−ビス(β−エピチオプロピル)−3−チアペンタン等が挙げられる。
脂肪族環状骨格を有する化合物:1,3又は1,4−ビス(エピチオエチル)シクロヘキサン、1,3又は1,4−ビス(β−エピチオプロピル)シクロヘキサン、2,5−ビス(エピチオエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピル)−1,4−ジチアン、4−エピチオエチル−1、2−シクロヘキセンスルフィド、4−エポキシ−1、2−シクロヘキセンスルフィド等の脂肪族環状構造を1個有する化合物や、2,2−ビス〔4−(エピチオエチル)シクロヘキシル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピル)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(エピチオエチル)シクロヘキシル〕メタン、ビス〔4−(β−エピチオプロピル)シクロヘキシル〕メタン、ビス〔4−(β−エピチオプロピル)シクロヘキシル〕スルフィド、ビス〔4−(エピチオエチル)シクロヘキシル〕スルフィド等の脂肪族環状構造を2個有する化合物が挙げられる。
芳香族骨格を有する化合物:1,3又は1,4−ビス(エピチオエチル)ベンゼン、1,3又は1,4−ビス(β−エピチオプロピル)ベンゼン等の芳香族骨格を1個有する化合物や、ビス〔4−(エピチオエチル)フェニル〕メタン、ビス〔4−(β−エピチオプロピル)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(エピチオエチル)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピル)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(エピチオエチル)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(β−エピチオプロピル)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(エピチオエチル)フェニル〕スルフォン、ビス〔4−(β−エピチオプロピル)フェニル〕スルフォン、4,4’−ビス(エピチオエチル)ビフェニル、4,4’−ビス(β−エピチオプロピル)ビフェニル等の芳香族骨格を2個有する化合物が挙げられる。更には、これらの化合物のエピチオ基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物も挙げられる。
(b)エピチオアルキルオキシ基を1個以上有する有機化合物の好ましい具体例は、エピハロヒドリンから誘導されるエポキシ化合物のグリシジル基の1個以上をエピチオアルキルオキシ基(チオグリシジル基)に置換した化合物を代表例として挙げることができる。該エポキシ化合物の具体例としては、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールスルフォン、ビスフェノールエーテル、ビスフェノールスルフィド、ハロゲン化ビスフェノールA、ノボラック樹脂等の多価フェノール化合物とエピハロヒドリンとの縮合により製造されるフェノール系エポキシ化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトール、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド付加物等の多価アルコール化合物とエピハロヒドリンとの縮合により製造されるアルコール系エポキシ化合物;アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘット酸、ナジック酸、マレイン酸、コハク酸、フマール酸、トリメリット酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等の多価カルボン酸化合物とエピハロヒドリンとの縮合により製造されるグリシジルエステル系エポキシ化合物;エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、ビス−(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス−(3−アミノプロポキシ)−2,2’−ジメチルプロパン、1,2−、1,3−又は1,4−ビスアミノシクロヘキサン、1,3−又は1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−又は1,4−ビスアミノエチルシクロヘキサン、1,3−又は1,4−ビスアミノプロピルシクロヘキサン、水添4,4’−ジアミノジフェニルメタン、イソホロンジアミン、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン、m−又はp−フェニレンジアミン、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、m−又はp−キシリレンジアミン、1,5−又は2,6−ナフタレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−(4,4’−ジアミノジフェニル)プロパン等の一級ジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−あるいは2,6−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、1,1−ジ−(4−ピペリジル)−メタン、1,2−ジ−(4−ピペリジル)−エタン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)−プロパン、1,4−ジ−(4−ピペリジル)−ブタン等の二級ジアミンとエピハロヒドリンとの縮合により製造されるアミン系エポキシ化合物、上述の多価アルコール、フェノール化合物とジイソシアネート及びグリシドール等とから製造されるウレタン系エポキシ化合物等を挙げることができる。
(b)エピチオアルキルオキシ基を1個以上有する有機化合物として、より具体的には以下の化合物を代表例として挙げることができる。
鎖状脂肪族骨格を有する有機化合物:ビス(β−エピチオプロピル)エーテル、ビス(β−エピチオプロピルオキシ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−(β−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−3−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−5−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシエチル〕オキシ]エタン、テトラキス(β−エピチオプロピルオキシメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,5ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等が挙げられる。
脂肪族環状骨格を有する化合物:1,3又は1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,3又は1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシエチルオキシメチル)−1,4−ジチアン等が挙げられる。
芳香族骨格を有する化合物:1,3又は1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,3又は1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、等の芳香族骨格を1個有する化合物や、ビス〔4−(β−エピチオプロピル)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフォン、4,4’−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族骨格を2個有する化合物が挙げられる。更には、これらの化合物のエピチオ基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物も例示できる。
(c)エピチオアルキルチオ基を1個以上有する有機化合物の好ましい具体例は、メルカプト基を有する化合物とエピハロヒドリンとから誘導されるエポキシ化合物のエポキシアルキルチオ基(具体的には、β−エポキシプロピルチオ基)の1個以上をエピチオアルキルチオ基に置換した化合物を代表例として挙げることができる。より具体的には以下の化合物を代表例として挙げることができる。
鎖状脂肪族骨格を有する有機化合物:ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)トリスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、ビス(β−エピチオプロピルジチオ)メタン、ビス(β−エピチオプロピルジチオ)エタン、ビス(β−エピチオプロピルジチオエチル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピルジチオエチル)ジスルフィド、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−3−(β−エピチオプロピルチオメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオエチル〕チオ]エタンテトラキス(β−エピチオプロピルチオメチル)メタン、テトラキス(β−エピチオプロピルジチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,2,3−トリス(β−エピチオプロピルジチオ)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルジチオメチル)−2−(β−エピチオプロピルジチオエチルチオ)−4−チアヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等が挙げられる。
エステル基とエピチオアルキルチオ基とを有する鎖状化合物:テトラ〔2−(β−エピチオプロピルチオ)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エピチオプロピルチオ)アセチルメチル〕プロパン、テトラ〔2−(β−エピチオプロピルチオメチル)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エピチオプロピルチオメチル)アセチルメチル〕プロパン等が挙げられる。
脂肪族環状骨格を有する化合物:1,3又は1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3又は1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルジチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアン等の脂肪族環状骨格を1個有する化合物や、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド等の脂肪族環状骨格を2個有する化合物が挙げられる。
芳香族骨格を有する化合物:1,3又は1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3又は1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,3又は1,4−ビス(β−エピチオプロピルジチオメチル)ベンゼン等の芳香族骨格を1個有する化合物や、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフォン、4,4’−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族骨格を2個有する化合物が挙げられる。更には、これらの化合物のβ−エピチオプロピル基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物も具体例として挙げられる。
(d)エピチオアルキルセレノ基を有する有機化合物の好ましい具体例は、金属セレン、アルカリ金属セレニド、アルカリ金属セレノール、アルキル(アリール)セレノール、セレン化水素等のセレン化合物とエピハロヒドリンとから誘導されるエポキシ化合物のエポキシアルキルセレノ基(具体的には、β−エポキシプロピルセレノ基)の1個以上をエピチオアルキルセレノ基に置換した化合物を代表例として挙げることができる。より具体的には、以下のものを代表例として挙げることができる。
鎖状脂肪族骨格を有する有機化合物:ビス(β−エピチオプロピル)セレニド、ビス(β−エピチオプロピル)ジセレニド、ビス(β−エピチオプロピル)トリセレニド、ビス(β−エピチオプロピルセレノ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルセレノ)−2−(β−エピチオプロピルセレノメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルセレノ)−3−(β−エピチオプロピルセレノメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルセレノ)−4−(β−エピチオプロピルセレノメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルセレノ)−5−(β−エピチオプロピルセレノメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルセレノ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルセレノエチル)チオ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルセレノ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルセレノエチル)セレノエチル〕チオ]エタン、テトラキス(β−エピチオプロピルセレノメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルセレノメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)−2−(β−エピチオプロピルセレノメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルセレノメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルセレノ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルセレノメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルセレノ)−4−(β−エピチオプロピルセレノメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)−4−(β−エピチオプロピルセレノメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)−4,5ビス(β−エピチオプロピルセレノメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルセレノメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルセレノメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルセレノメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)−5−(β−エピチオプロピルセレノメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルセレノエチル)セレノメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルセレノエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルセレノメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルセレノメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルセレノエチル)セレノメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルセレノメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラ〔2−(β−エピチオプロピルセレノ)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エピチオプロピルセレノ)アセチルメチル〕プロパン、テトラ〔2−(β−エピチオプロピルセレノメチル)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エピチオプロピルセレノメチル)アセチルメチル〕プロパン、ビス(5,6−エピチオ−3−セレノヘキシル)セレニド、2,3−ビス(6,7−チオエポキシ−1−セレナ−4−セレノヘプチル)−1−(3,4−チオエポキシ−1−セレノブチル)プロパン、1,1,3,3,−テトラキス(4,5−チオエポキシ−2−セレノペンチル)−2−セレナプロパン、ビス(4,5−チオエポキシ−2−セレノペンチル)−3,6,9−トリセレナウンデカン−1,11−ビス(3,4−チオエポキシ−1−セレノブチル)、1,4−ビス(3,4−チオエポキシ−1−セレノブチル)−2,3−ビス(6,7−チオエポキシ−1−セレナ−4−セレノヘプチル)ブタン、トリス(4,5−チオエポキシ−2−セレノペンチル)−3−セレナ−6−チアオクタン−1,8−ビス(3,4−チオエポキシ−1−セレノブチル)、ビス(5,6−エピチオ−3−セレノヘキシル)テルリド、2,3−ビス(6,7−チオエポキシ−1−テルラ−4−セレノヘプチル)−1−(3,4−チオエポキシ−1−セレノブチル)プロパン、1,1,3,3,−テトラキス(4,5−チオエポキシ−2−セレノペンチル)−2−テルラプロパン、ビス(4,5−チオエポキシ−2−セレノペンチル)−3,6,9−トリテレラウンデカン−1,11−ビス(3,4−チオエポキシ−1−セレノブチル)、1,4−ビス(3,4−チオエポキシ−1−セレノブチル)−2,3−ビス(6,7−チオエポキシ−1−テルラ−4−セレノヘプチル)ブタン、トリス(4,5−チオエポキシ−2−セレノペンチル)−3−テルラ−6−チアオクタン−1,8−ビス(3,4−チオエポキシ−1−セレノブチル)等が挙げられる。
脂肪族環状骨格を有する化合物:(1,3又は1,4)−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)シクロヘキサン、(1,3又は1,4)−ビス(β−エピチオプロピルセレノメチル)シクロヘキサン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルセレノ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルセレノ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルセレノ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルセレノメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルセレノエチルチオメチル)−1,4−ジチアン、(2,3又は2,5又は2,6)−ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)−1,4−ジセレナン、(2,3又は2,5又は2,6)−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル)−1,4−ジセレナン、(2,4又は2,5又は5,6)−ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)−1,3−ジセレナン、(2,4又は2,5又は5,6)−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル)−1,3−ジセレナン、(2,3又は2,5又は2,6又は3,5)−ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)−1−チア−4−セレナン、(2,3又は2,5又は2,6又は3,5)−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル)−1−チア−4−セレナン、(2,4又は4,5)−ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)−1,3−ジセレノラン、(2,4又は4,5)−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル)−1,3−ジセレノラン、(2,4又は2,5又は4,5)−ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)−1−チア−3−セレノラン、(2,4又は2,5又は4,5)−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル)−1−チア−3−セレノラン、2,6−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル−1,3,5−トリセレナン、ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)トリシクロセレナオクタン、ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)ジシクロセレナノナン、(2,3又は2,4又は2,5又は3,4)−ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)セレノファン、(2,3又は2,4又は2,5又は3,4)−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル)セレノファン、2−(4,5−チオエポキシ−2−セレノペンチル)−5−(3,4−チオエポキシ−1−セレノブチル)−1−セレナシクロヘキサン、(2,3又は2,4又は2,5又は2,6又は3,4又は3,5又は4,5)−ビス(3,4−チオエポキシ−1−セレノブチル)−1−セレナシクロヘキサン、(2,3又は2,4又は2,5又は2,6又は3,4又は3,5又は4,5)−ビス(4,5−チオエポキシ−2−セレノペンチル)−1−セレナシクロヘキサン、(2,3又は2,5又は2,6)−ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)−1,4−ジテルラン、(2,3又は2,5又は2,6)−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル)−1,4−ジテルラン、(2,4又は2,5又は5,6)−ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)−1,3−ジテルラン、(2,4又は2,5又は5,6)−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル)−1,3−ジテルラン、(2,3又は2,5又は2,6又は3,5)−ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)−1−チア−4−テルラン、(2,3又は2,5又は2,6又は3,5)−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル)−1−チア−4−テルラン、(2,4又は4,5)−ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)−1,3−ジテルロラン、(2,4又は4,5)−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル)−1、3−ジテルロラン、(2,4又は2,5又は4,5)−ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)−1−チア−3−テルロラン、(2,4又は2,5又は4,5)−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル)−1−チア−3−テルロラン、2,6−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル−1,3,5−トリテルラン、ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)トリシクロテルラオクタン、ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)ジシクロテルラノナン、(2,3又は2,4又は2,5又は3,4)−ビス(3,4−エピチオ−1−セレノブチル)テルロファン、(2,3又は2,4又は2,5又は3,4)−ビス(4,5−エピチオ−2−セレノペンチル)テルロファン、2−(4,5−チオエポキシ−2−セレノペンチル)−5−(3,4−チオエポキシ−1−セレノブチル)−1−テルラシクロヘキサン、(2,3又は2,4又は2,5又は2,6又は3,4又は3,5又は4,5)−ビス(3,4−チオエポキシ−1−セレノブチル)−1−テルラシクロヘキサン、(2,3又は2,4又は2,5又は2,6又は3,4又は3,5又は4,5)−ビス(4,5−チオエポキシ−2−セレノペンチル)−1−テルラシクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族骨格を有する化合物:(1,3又は1,4)−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)ベンゼン、(1,3又は1,4)−ビス(β−エピチオプロピルセレノメチル)ベンゼン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルセレノ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルセレノ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルセレノ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(β−エピチオプロピルセレノ)フェニル〕スルフォン、4,4’−ビス(β−エピチオプロピルセレノ)ビフェニル等が挙げられる。更には、これらの化合物のβ−エピチオプロピル基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物も具体例として挙げられる。
(e)エピチオアルキルテルロ基を有する有機化合物の好ましい具体例は、金属テルル、アルカリ金属テルリド、アルカリ金属テルロール、アルキル(アリール)テルロール、テルル化水素等のテルル化合物とエピハロヒドリンとから誘導されるエポキシ化合物のエポキシアルキルテルロ基(具体的には、β−エポキシプロピルテルロ基)の1個以上をエピチオアルキルテルロ基に置換した化合物を代表例としてあげることができる。より具体的には、以下の化合物を代表例として挙げることができる。
鎖状脂肪族骨格を有する有機化合物:ビス(β−エピチオプロピル)テルリド、ビス(β−エピチオプロピル)ジテルリド、ビス(β−エピチオプロピル)トリテルリド、ビス(β−エピチオプロピルテルロ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルテルロ)−2−(β−エピチオプロピルテルロメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルテルロ)−3−(β−エピチオプロピルテルロメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルテルロ)−4−(β−エピチオプロピルテルロメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルテルロ)−5−(β−エピチオプロピルテルロメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルテルロ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルテルロエチル)チオ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルテルロ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルテルロエチル)テルロエチル〕チオ]エタン、テトラキス(β−エピチオプロピルテルロメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルテルロメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)−2−(β−エピチオプロピルテルロメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルテルロメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルテルロ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルテルロメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルテルロ)−4−(β−エピチオプロピルテルロメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)−4−(β−エピチオプロピルテルロメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)−4,5ビス(β−エピチオプロピルテルロメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルテルロメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルテルロメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルテルロメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)−5−(β−エピチオプロピルテルロメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルテルロエチル)セレノメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルテルロエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルテルロメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルテルロメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルテルロエチル)セレノメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルテルロメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラ〔2−(β−エピチオプロピルテルロ)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エピチオプロピルテルロ)アセチルメチル〕プロパン、テトラ〔2−(β−エピチオプロピルテルロメチル)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エピチオプロピルテルロメチル)アセチルメチル〕プロパン、ビス(5,6−エピチオ−3−テルロヘキシル)セレニド、2,3−ビス(6,7−チオエポキシ−1−セレナ−4−テルロヘプチル)−1−(3,4−チオエポキシ−1−テルロブチル)プロパン、1,1,3,3,−テトラキス(4,5−チオエポキシ−2−テルロペンチル)−2−セレナプロパン、ビス(4,5−チオエポキシ−2−テルロペンチル)−3,6,9−トリセレナウンデカン−1,11−ビス(3,4−チオエポキシ−1−テルロブチル)、1,4−ビス(3,4−チオエポキシ−1−テルロブチル)−2,3−ビス(6,7−チオエポキシ−1−セレナ−4−テルロヘプチル)ブタン、トリス(4,5−チオエポキシ−2−テルロペンチル)−3−セレナ−6−チアオクタン−1,8−ビス(3,4−チオエポキシ−1−テルロブチル)、ビス(5,6−エピチオ−3−テルロヘキシル)テルリド、2,3−ビス(6,7−チオエポキシ−1−テルラ−4−テルロヘプチル)−1−(3,4−チオエポキシ−1−テルロブチル)プロパン、1,1,3,3,−テトラキス(4,5−チオエポキシ−2−テルロペンチル)−2−テルラプロパン、ビス(4,5−チオエポキシ−2−テルロペンチル)−3,6,9−トリテレラウンデカン−1,11−ビス(3,4−チオエポキシ−1−テルロブチル)、1,4−ビス(3,4−チオエポキシ−1−テルロブチル)−2,3−ビス(6,7−チオエポキシ−1−テルラ−4−テルロヘプチル)ブタン、トリス(4,5−チオエポキシ−2−テルロペンチル)−3−テルラ−6−チアオクタン−1,8−ビス(3,4−チオエポキシ−1−テルロブチル)等が挙げられる。
脂肪族環状骨格を有する化合物:(1,3又は1,4)−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)シクロヘキサン、(1,3又は1,4)−ビス(β−エピチオプロピルテルロメチル)シクロヘキサン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルテルロ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルテルロ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルテルロ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルテルロメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルテルロエチルチオメチル)−1,4−ジチアン、(2,3又は2,5又は2,6)−ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)−1,4−ジセレナン、(2,3又は2,5又は2,6)−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル)−1,4−ジセレナン、(2,4又は2,5又は5,6)−ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)−1,3−ジセレナン、(2,4又は2,5又は5,6)−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル)−1,3−ジセレナン、(2,3又は2,5又は2,6又は3,5)−ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)−1−チア−4−セレナン、(2,3又は2,5又は2,6又は3,5)−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル)−1−チア−4−セレナン、(2,4又は4,5)−ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)−1,3−ジセレノラン、(2,4又は4,5)−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル)−1,3−ジセレノラン、(2,4又は2,5又は4,5)−ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)−1−チア−3−セレノラン、(2,4又は2,5又は4,5)−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル)−1−チア−3−セレノラン、2,6−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル−1,3,5−トリセレナン、ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)トリシクロセレナオクタン、ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)ジシクロセレナノナン、(2,3又は2,4又は2,5又は3,4)−ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)セレノファン、(2,3又は2,4又は2,5又は3,4)−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル)セレノファン、2−(4,5−チオエポキシ−2−テルロペンチル)−5−(3,4−チオエポキシ−1−テルロブチル)−1−セレナシクロヘキサン、(2,3又は2,4又は2,5又は2,6又は3,4又は3,5又は4,5)−ビス(3,4−チオエポキシ−1−テルロブチル)−1−セレナシクロヘキサン、(2,3又は2,4又は2,5又は2,6又は3,4又は3,5又は4,5)−ビス(4,5−チオエポキシ−2−テルロペンチル)−1−セレナシクロヘキサン、(2,3又は2,5又は2,6)−ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)−1,4−ジテルラン、(2,3又は2,5又は2,6)−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル)−1,4−ジテルラン、(2,4又は2,5又は5,6)−ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)−1,3−ジテルラン、(2,4又は2,5又は5,6)−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル)−1,3−ジテルラン、(2,3又は2,5又は2,6又は3,5)−ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)−1−チア−4−テルラン、(2,3又は2,5又は2,6又は3,5)−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル)−1−チア−4−テルラン、(2,4又は4,5)−ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)−1,3−ジテルロラン、(2,4又は4,5)−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル)−1,3−ジテルロラン、(2,4又は2,5又は4,5)−ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)−1−チア−3−テルロラン、(2,4又は2,5又は4,5)−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル)−1−チア−3−テルロラン、2,6−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル−1,3,5−トリテルラン、ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)トリシクロテルラオクタン、ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)ジシクロテルラノナン、(2,3又は2,4又は2,5又は3,4)−ビス(3,4−エピチオ−1−テルロブチル)テルロファン、(2,3又は2,4又は2,5又は3,4)−ビス(4,5−エピチオ−2−テルロペンチル)テルロファン、2−(4,5−チオエポキシ−2−テルロペンチル)−5−(3,4−チオエポキシ−1−テルロブチル)−1−テルラシクロヘキサン、(2,3又は2,4又は2,5又は2,6又は3,4又は3,5又は4,5)−ビス(3,4−チオエポキシ−1−テルロブチル)−1−テルラシクロヘキサン、(2,3又は2,4又は2,5又は2,6又は3,4又は3,5又は4,5)−ビス(4,5−チオエポキシ−2−テルロペンチル)−1−テルラシクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族骨格を有する化合物:(1,3又は1,4)−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)ベンゼン、(1,3又は1,4)−ビス(β−エピチオプロピルテルロメチル)ベンゼン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルテルロ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルテルロ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルテルロ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(β−エピチオプロピルテルロ)フェニル〕スルフォン、4,4’−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)ビフェニル等が挙げられる。更には、これらの化合物のβ−エピチオプロピル基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物も具体例として挙げられる。
更に、上述の(a)〜(e)の有機化合物は、不飽和基を有するものであってもよく、これらの好ましい具体的例示としては、ビニルフェニルチオグリシジルエーテル、ビニルベンジルチオグリシジルエーテル、チオグリシジルメタクリレート、チオグリシジルアクリレート、アリルチオグリシジルエーテル等を挙げることができる。
以上の中でより好ましいのは、(b)エピチオアルキルオキシ基を有する有機化合物、(c)エピチオアルキルチオ基を有する有機化合物、(d)エピチオアルキルセレノ基を有する有機化合物、(e)エピチオアルキルテルロ基を有する有機化合物であり、特に好ましいのは、(c)エピチオアルキルチオ基を有する有機化合物、(d)エピチオアルキルセレノ基を有する有機化合物である。特に好ましいものの具体例は、上述の具体的例示であるβ−エピチオプロピルチオ基又はβ−エピチオプロピルセレノ基を有する鎖状化合物、分岐状化合物、脂肪族環状化合物、芳香族化合物、及びヘテロ環化合物である。
本発明で使用する一般式(u1)で表される構造を1分子中に1個以上有する化合物は、公知の方法で合成できる。具体的には、特開平9−71580号、特開平9−110979号、特開平9−255781号、特開2000−281787号、特開2000−186086号、特開2000−186087号、特開2000−309584号、特開2001−163871号、特開2001−163872号、特開2001−163874号の各公報に記載された方法が挙げられる。
本発明に係る透明部材形成用組成物がエピスルフィド系化合物を含有する場合、エピスルフィド系化合物の含有量は、上記透明部材形成用組成物の全質量に対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは1〜20質量%である。エピスルフィド系化合物の含有量が上記範囲内であると、高い屈折率及び高いガラス転移温度を有し、耐光性が良好に維持された硬化物を得やすい。
[硫黄原子及び/又はセレン原子を有する無機物質]
本発明に係る透明部材形成用組成物は、硫黄原子及び/又はセレン原子を有する無機物質を含有してもよい。上記無機物質は、硫黄単体、セレン単体、並びに硫黄原子及び/又はセレン原子を有する無機化合物からなる。本明細書において、無機化合物とは、「標準化学用語辞典」(日本化学会編(1991)丸善)に記載されている通りの化合物であり、炭素を含まない化合物及び炭素を含んでいても比較的簡単な化合物を指す。例えば、炭素を含む比較的簡単な化合物である二硫化炭素、チオシアン酸カリウム等は無機化合物として扱う。本発明に係る透明部材形成用組成物においては、上記無機物質の含有量を増加させることにより、硬化物を更に高屈折率化することが可能になる。上記無機物質は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
硫黄原子及び/又はセレン原子を有する無機物質は、硫黄原子及びセレン原子を合計で1個以上有する全ての無機物質を包含するが、無機物質中の硫黄原子及びセレン原子の合計の量が30質量%以上であることが好ましい。この量が30質量%以上であると、この量が30質量%未満である場合と比較して、透明部材形成用組成物に上記無機物質を添加した場合に、当該組成物中の硫黄原子及びセレン原子の合計質量の上昇分がより大きくなるため、硬化物の高屈折率化の効果が向上しやすい。
硫黄原子を有する無機物質の具体例としては、硫黄、硫化水素、二硫化炭素、セレノ硫化炭素、硫化アンモニウム、硫黄酸化物(例えば、二酸化硫黄、三酸化硫黄等)、チオ炭酸塩、硫酸及びその塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、過硫酸塩、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩、硫黄ハロゲン化物(例えば、二塩化硫黄、塩化チオニル、チオホスゲン等)、硫化硼素、硫化窒素、硫化珪素、硫化リン、硫化砒素、金属硫化物、金属水硫化物等が挙げられる。中でも、硫黄、二硫化炭素、硫化リン、硫化セレン、金属硫化物、及び金属水硫化物が好ましく、より好ましくは硫黄、二硫化炭素、及び硫化セレンであり、特に好ましくは硫黄である。
セレン原子を有する無機物質の具体例としては、硫黄原子を有する無機物質の具体例として挙げたセレノ硫化炭素と硫化セレンを除き、セレン、セレン化水素、二酸化セレン、二セレン化炭素、セレン化アンモニウム、セレン酸化物(例えば、二酸化セレン等)、セレン酸及びその塩、亜セレン酸及びその塩、セレン酸水素塩、セレノ硫酸及びその塩、セレノピロ硫酸及びその塩、セレンハロゲン化物(例えば、四臭化セレン、オキシ塩化セレン等)、セレノシアン酸塩、セレン化硼素、セレン化リン、セレン化砒素、金属のセレン化物等が挙げられる。中でも、セレン、二セレン化炭素、セレン化リン、及び金属のセレン化物が好ましく、特に好ましくはセレン及び二セレン化炭素である。
本発明に係る透明部材形成用組成物が硫黄原子及び/又はセレン原子を有する無機物質を含有する場合、上記無機物質の含有量は、上記透明部材形成用組成物の全質量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。上記無機物質の含有量が上記範囲内であると、得られる組成物の粘度が上昇しにくく、高い屈折率及び高いガラス転移温度を有し、耐光性が良好に維持された硬化物を得やすい。
[触媒]
本発明に係る透明部材形成用組成物は、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物と1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物との反応の速度を速くするために、触媒を含有してもよい。触媒は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。触媒としては、テトラブチルホスホニウムブロマイド等の第4級オニウム塩;硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジウム、三フッ化ホウ素等の酸触媒;又は3級アミン等のアミン化合物等の塩基触媒が挙げられる。これらの中でも、特に、塩酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジウム等が好ましく用いられる。触媒の使用量は、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物に対して、好ましくは0.01〜10モル%であり、より好ましくは0.05〜5モル%である。
[調整剤]
本発明に係る透明部材形成用組成物は、ポットライフの延長や重合発熱の分散化等を目的として、調整剤を含有してもよい。調整剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。調整剤としては、ジブチルスズジクロライド、ジメチルスズジクロライド、ジブチルスズジラウレート等のスズ化合物が挙げられる。調整剤の使用量は、本発明に係る透明部材形成用組成物において、好ましくは0.005〜10質量%であり、より好ましくは0.01〜5質量%である。
[溶剤]
本発明に係る透明部材形成用組成物は、溶剤を含有してもよい。溶剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。溶剤としては、公知の溶剤が挙げられる。上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物等の反応物や後述する触媒等との副反応を抑制するという観点からは、これらの物質に対して反応性を有しない溶剤を用いることが好ましい。具体的には、テトラヒドロフラン、シクロシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭化水素系溶剤(例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤)等が挙げられる。
ただし、例えば、透明部材としてレンズ等を形成する場合、本発明に係る透明部材形成用組成物は、実質的に溶剤を含有しないことが好ましい。1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物として、室温で液体のチオール基含有化合物を使用する場合、上記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物はこのようなチオール基含有化合物に溶解するため、実質的に溶剤を含有しない透明部材形成用組成物を調製することができる。特にレンズ等は、実質的に溶剤を含有しない透明部材形成用組成物から好適に形成することができる。
溶剤を使用する場合、溶剤の含有量は、本発明に係る組成物における溶剤以外の成分の濃度が合計で1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
[その他の成分]
本発明に係る透明部材形成用組成物は、必要に応じて、初期色調不良又は光照射による黄変又は赤変の低減のための染料及び/又は顔料を含有してもよい。初期色調不良又は光照射による黄変又は赤変の低減のための染料及び/又は顔料としては、特に限定されないが、現時点で透明部材に使用されている染料が好適に使用できる。具体的には眼鏡レンズ材料用に市販されているブルーイング剤等が挙げられる。
更に、本発明に係る透明部材形成用組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、内部離型剤又は内部密着性改良剤、公知の性能向上添加剤等を含有してもよい。
<透明部材>
本発明に係る透明部材は、本発明に係る透明部材形成用組成物の硬化物からなる。この硬化物は、高い屈折率及び高いガラス転移温度を有し、光学的特性及び耐熱性に優れるため、本発明に係る透明部材も、同様に、光学的特性及び耐熱性に優れる。透明部材としては、例えば、レンズ(例えば、マイクロレンズ等)、光ファイバー、光導波路、プリズムシート、ホログラム、高屈折フィルム、再帰反射フィルム等の光学部材;液晶表示ディスプレイのカラーフィルタの画素;LED、半導体レーザー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、CCD等の光学素子の封止部材が挙げられ、特にレンズが好ましい。
本発明に係る透明部材は、例えば、必要に応じて触媒を含有する本発明の透明部材形成用組成物を、ガラス製若しくは金属製の型に注入して、又は、透明部材を形成させる対象物(例えば、光学素子)に塗布して、好ましくは−20〜200℃、より好ましくは−10〜160℃の温度で硬化させることにより、得ることができる。硬化時間は、適宜、設定すればよく、例えば、5分〜100時間程度である。特に、レンズは、実質的に溶剤を含有しない本発明の透明部材形成用組成物から得ることができる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
<上記一般式(1)で表される化合物、及び比較化合物>
上記一般式(1)で表される化合物としては、下記式で表される化合物1〜3を準備した。また、比較のため、下記式で表される比較化合物1を準備した。
Figure 2015199841
Figure 2015199841
化合物1〜3の合成法を下記に示す(合成例1〜3)。合成例で用いた材料は下記の通りである。
[無機塩基]
(1)軽灰炭酸ナトリウム
粒子径分布:250μm以上;3重量%
150μm以上250μm未満;15重量%
75μm以上150μm未満;50重量%
75μm未満;32重量%
なお、上記の粒子径分布は、60メッシュ(250μm)、100メッシュ(150μm)、200メッシュ(75μm)のふるいを用いて仕分けた後、最終的に得られた篩上成分及び篩下成分各々の重量を測定することにより算出した。
[遷移元素化合物触媒]
(1)ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I):[Ir(cod)Cl]
[ヒドロキシ化合物]
(1)9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン
(2)9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン
[ビニルエステル化合物]
(1)プロピオン酸ビニル
[合成例1]化合物1の合成
冷却管、及び、凝縮液を分液させて有機層を反応容器に戻し水層を系外に排出するためのデカンターを取り付けた1000ml反応容器に、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)[Ir(cod)Cl](839mg、1.25mmol)、軽灰炭酸ナトリウム(12.7g、0.12mol)、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン(225g、0.5mol)、プロピオン酸ビニル(125g、1.25mol)、及びトルエン(300ml)を仕込んだ後、表面積が10cmの撹拌羽根を用い回転数を250rpmに設定し、撹拌しながら徐々に温度を上げて還流させた。還流下、副生する水をデカンターで除去しながら、5時間反応させた。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンの転化率は100%であり、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンを基準として9,9’−ビス(6−ビニロキシ−2−ナフチル)フルオレン(化合物1)が81%、ビス6−ナフトールフルオレンモノビニルエーテルが4%の収率で生成していた。
H−NMR(CDCl):4.47(dd、2H、J=1.5Hz、5.0Hz)、4.81(dd、2H、J=3.5Hz、12.0Hz)、6.71(dd、2H、J=6.0Hz)、7.12−7.82(m、20H)
[合成例2]化合物2の合成(単離)
合成例1で得られた反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して分離精製を実施し、ビス6−ナフトールフルオレンモノビニルエーテル(化合物2)を単離した。
H−NMR(CDCl):4.55(dd、1H、J=6.0Hz)、4.88(dd、1H、J=3.5Hz)、6.79(dd、1H、J=6.0Hz、14.0Hz)、7.20−7.89(m、20H)
[合成例3]化合物3の合成
冷却管、及び、凝縮液を分液させて有機層を反応容器に戻し水層を系外に排出するためのデカンターを取り付けた1000ml反応容器に、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)[Ir(cod)Cl](839mg、1.25mmol)、軽灰炭酸ナトリウム(12.7g、0.12mol)、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(186g、0.5mol)、プロピオン酸ビニル(125g、1.25mol)、及びトルエン(300ml)を仕込んだ後、表面積が10cmの撹拌羽根を用い回転数を250rpmに設定し、撹拌しながら徐々に温度を上げて還流させた。還流下、副生する水をデカンターで除去しながら、5時間反応させた。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの転化率は100%であり、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを基準として、9,9’−ビス(4−ビニロキシフェニル)フルオレン(化合物3)が72%、ビス4−フェノールフルオレンモノビニルエーテルが9%の収率で生成していた。
H−NMR(CDCl):4.47(dd、2H)、4.81(dd、2H)、6.71(dd、2H)、7.12−7.82(m、16H)
<チオール基含有化合物>
チオール基含有化合物1:ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド(下記式で表される、1分子中に2個のチオール基を有するチオール基含有化合物)
チオール基含有化合物2:4,7−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン(下記式で表される、1分子中に4個のチオール基を有するチオール基含有化合物)
Figure 2015199841
チオール基含有化合物3:ポリカーボネートジチオール(合成例4で得られた、1分子中に2個のチオール基を有するチオール基含有化合物)
[合成例4]ポリカーボネートジチオールの合成
撹拌機、温度計、蒸留塔(分留管、還流ヘッド、コンデンサーを塔頂部に備える)を設置した内容積500mLのガラス製反応器に、1,6−ヘキサンジチオール90.1g(0.599モル)、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド77.2g(0.500モル)、ジフェニルカーボネート155g(0.725モル)、及び10質量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド−メタノール溶液(触媒)0.861g(0.332ミリモル)を仕込み、200mmHg(27kPa)、160℃で還流させながら1時間保持した。次いで、フェノールを留去しながら、6時間かけて50mmHgまで徐々に減圧した後、フェノールが留出しなくなったところで圧力を30mmHg(4.0kPa)から15mmHg(2.0kPa)まで3時間かけて徐々に減圧し、フェノールと1,6−ヘキサンジチオールとビス(2−メルカプトエチル)スルフィドとの混合物を留出させながら反応させて、目的のポリチオカーボネートジチオールを得た。
このポリチオカーボネートジチオールに上記触媒と等モルのp−トルエンスルホン酸1水和物を加え、130℃で2時間撹拌して触媒を不活性化させた。次いで、塩化メチレン430gを添加してポリチオカーボネートジチオールを溶解させ、その溶液を同量の水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、固形物を濾過して除き、塩化メチレンを留去した。最終的に得られたポリチオカーボネートジチオールの物性を表1に示す。表1中、チオエーテル構造は脱COS反応により生成したものを表す。
Figure 2015199841
なお、表1中の物性は次の測定法に従った。
1.メルカプト基価(SH価;mgKOH/g):100mLサンプル瓶に試料を秤量し(質量はグラム単位で小数点以下4桁まで正確に読み取る)、無水酢酸−テトラヒドロフラン溶液(溶液100ml中に無水酢酸4gを含む)5mLと4−ジメチルアミノピリジン−テトラヒドロフラン溶液(溶液100mL中に4−ジメチルアミノピリジン1gを含む)10mLを正確に加えて試料を完全に溶解させた後、室温で1時間放置し、次いで超純水1mLを正確に加えて時々撹拌しながら室温で30分放置して、0.25M水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定した(指示薬:フェノールフタレイン)。SH価は次式により算出した。
SH価(mgKOH/g)=14.025×(B−A)×f/S
(式中、Sは試料採取量(g)、Aは試料の滴定に要した0.25M水酸化カリウム−エタノール溶液の量(mL)、Bは空試験に要した0.25M水酸化カリウム−エタノール溶液の量(mL)、fは0.25M水酸化カリウム−エタノール溶液のファクターを表す。)
2.数平均分子量(Mn):次式により算出した。
Mn=112200/SH価
3.酸価(mgKOH/g):試料をトルエン−エタノール溶液(等容混合溶液)200mLに溶解して0.1M水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定した(指示薬:フェノールフタレイン)。酸価は次式により算出した。
酸価(mgKOH/g)=5.61(C−D)f’/S’
(式中、S’は試料採取量(g)、Cは試料の滴定に要した0.1M水酸化カリウム−エタノール溶液の量(ml)、Dは空試験に要した0.1M水酸化カリウム−エタノール溶液の量(ml)、f’は0.1M水酸化カリウム−エタノール溶液のファクターを表す。)
4.粘度(mPa・sec):E型回転粘度計(商品名:プログラマブルデジタル粘度計DV−II+、ブルックフィールド製)を用いて100℃で測定した。
5.融点(℃)及び結晶化温度(℃):示差走査熱量計(商品名:DSC−50、島津製作所製)を使用して、窒素ガス雰囲気中、−100〜100℃の範囲にて、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で測定した。
6.色相(APHA):JIS−K1557に準拠して測定した。
7.末端基におけるアリールオキシ基の割合(モル%):1H−NMRの積分値から全末端基に対するフェノキシ基の割合(モル基準)を求めた。
8.チオエーテル構造(脱COS反応により生成する)の割合(モル%):1H−NMRの積分値から、残存チオカーボネート構造と脱COS反応で生成したチオエーテル構造との合計量(モル)を求め、この合計量に対する当該チオエーテル構造の割合(モル基準)を求めた。
9.残存触媒量(質量ppm):ポリチオカーボネートジチオールの30質量%クロロホルム溶液を調製し、同容量の水で該溶液中のテトラブチルアンモニウムヒドロキシドを抽出して高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
チオール基含有化合物4:1−ドデカンチオール(1分子中に1個のチオール基を有するチオール基含有化合物)
<エピスルフィド系化合物>
エピスルフィド系化合物1:下記式で表されるエピスルフィド系化合物
Figure 2015199841
<硫黄原子及び/又はセレン原子を有する無機物質>
S:硫黄単体
<触媒>
テトラブチルホスホニウムブロマイド
<調整剤>
ジブチルスズジクロライド
<透明部材形成用組成物及びその硬化物の調製>
表2に示す材料を表2に示す量(単位:質量%)で混合して混合物を得、この混合物に触媒と調整剤とを添加して、均一な液体として透明部材形成用組成物を得た。なお、触媒の量及び調整剤の量は、上記混合物に対し、いずれも0.02質量%であった。
600Paにて0.5時間、上記透明部材形成用組成物を脱気した。脱気終了後、1μmテフロン(登録商標)フィルターにて上記透明部材形成用組成物を濾過した。テープでガラス部材を固定して組み立てたガラスモールド中に、常温環境下(20℃)で、濾過した上記透明部材形成用組成物を注入した。このガラスモールドをオーブンへ投入し、24時間かけて20℃から100℃まで昇温し、その後、100℃で5時間、上記透明部材形成用組成物を硬化させた。硬化終了後、オーブンからガラスモールドを取り出し、ガラスモールドからの離型と120℃での30分間のアニーリングとを行い、無色透明の硬化物を得た。
<屈折率の測定>
得られた硬化物の屈折率は、プルフリッヒ屈折計を用い、20℃で測定した。結果を表2に示す。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
得られた硬化物のガラス転移温度は、TMA法を用いて測定した。結果を表2に示す。
Figure 2015199841
表1から分かるように、上記一般式(1)で表される化合物と1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物とを含有する実施例1〜9の組成物から得られた硬化物は、高い屈折率及び高いガラス転移温度を有しており、光学的特性及び耐熱性に優れていた。また、実施例7及び8では、組成物に無機物質として硫黄を添加することで、屈折率が更に向上した。
一方、1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物を含有するものの、上記一般式(1)で表される化合物を含有しない比較例1及び2の組成物から得られた硬化物は、ガラス転移温度が低く、耐熱性に劣っていた。また、1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物を含有するものの、上記一般式(1)で表される化合物の代わりに、エポキシ基含有化合物である比較化合物1を含有する比較例3の組成物から得られた硬化物は、屈折率及びガラス転移温度がいずれも低く、光学的特性及び耐熱性に劣っていた。更に、上記一般式(1)で表される化合物を含有するものの、1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物の代わりに、1分子中に1個のチオール基を有するチオール基含有化合物を含有する比較例4の組成物は硬化せず、屈折率及びガラス転移温度を評価することができなかった。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表されるビニル基含有化合物と、1分子中に少なくとも2個のチオール基を有するチオール基含有化合物とを含有する透明部材形成用組成物。
    Figure 2015199841
    (式中、W及びWは独立に下記一般式(2)で表される基、下記一般式(4)で表される基、水酸基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、ただし、W及びWの少なくとも一方は前記一般式(2)で表される基であり、環Y及び環Yは同一の又は異なる芳香族炭化水素環を示し、Rは単結合、置換基を有してもよいメチレン基、置換基を有してもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、−O−で示される基、−NH−で示される基、又は−S−で示される基を示し、R3a及びR3bは独立にシアノ基、ハロゲン原子、又は1価炭化水素基を示し、n1及びn2は独立に0〜4の整数を示す。)
    Figure 2015199841
    (式中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Xは単結合又は−S−で示される基を示し、Rは単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Rは1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、スルホ基、又は1価炭化水素基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR4cで示される基、若しくは−N(R4dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、若しくはスルホ基で置換された基を示し、R4a〜R4dは独立に1価炭化水素基を示し、mは0以上の整数を示す。)
    Figure 2015199841
    (式中、環Z、X、R、R、及びmは前記の通りである。)
  2. 環Zがベンゼン環又はナフタレン環である請求項1に記載の透明部材形成用組成物。
  3. が単結合である請求項1又は2に記載の透明部材形成用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明部材形成用組成物の硬化物からなる透明部材。
  5. レンズである請求項4に記載の透明部材。
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