JP3814889B2 - アンチロックブレーキ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の制動時の車輪ロックを防止するアンチロックブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアンチロックブレーキ制御装置としては、例えば、特開平2−3564号公報に記載されているものが知られている。
【0003】
この従来例は、車輪の速度を検出する車輪速度センサと、マスタシリンダと前記車輪のホイールシリンダとの間に設けられ、前記ホイールシリンダのブレーキ圧力を制御する圧力制御手段と、マスタシリンダのブレーキ圧力のみを検出する圧力検出手段と、車輪にスリップが発生したことを判断すると共に、車輪にスリップが発生したと判断すると圧力制御手段に対して前記ホイールシリンダのブレーキ圧力の制御を指令するスリップ制御手段と、このスリップ制御手段によって指令され、前記圧力制御手段によって前記ホイールシリンダのブレーキ圧力の制御が行われたとき、前記ホイールシリンダのブレーキ圧力の変化量を演算して、その変化量から前記ホイールシリンダのブレーキ圧力を推定する圧力推定手段と、この圧力推定手段によって推定される前記ホイールシリンダのブレーキ圧力と前記圧力検出手段によって検出されるマスタシリンダのブレーキ圧力とを比較する比較手段と、この比較手段によって行われる比較の結果、マスタシリンダのブレーキ圧力がホイールシリンダのブレーキ圧力より小さくなったときに、前記圧力制御手段によるホイールシリンダのブレーキ圧力の制御を終了させる終了手段とを備えた簡易型アンチスキッド制御装置であって、この構成を採用することにより、必要最小限の圧力センサ数でアンチスキッド制御を行うようにしている。
【0004】
そして、圧力制御手段によって、ホイールシリンダのブレーキ圧力は、減圧後の増圧時に初期状態で減圧時の総減圧量の半分を増圧し、その後増圧量を1/4,1/8……と小さくする緩増圧処理を行って減圧後のブレーキ力不足を解消して制動距離を短縮するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のアンチロックブレーキ制御装置にあっては、緩増圧処理によって緩増圧開始時の初期増圧量を大きくし、その後の緩増圧量を小さくすることにより、減圧後のブレーキ力不足を解消して制動距離を短縮することはできるが、この減速度不足とならないように緩増圧量を1/2n 分毎に低下させるようにしているので、制動初期時の初期増圧量を除く残りの緩増圧量が比較的大きい値となり、これによって生じる脈動も大きくなって結果的に作動音が大きくなるという未解決の課題がある。
【0006】
特に、低摩擦係数路面を走行しているときには、タイヤで発生するロードノイズが比較的小さいことから、乗員にとって、アクチュエータの作動音が耳障りなものとして聴取される。
【0007】
また、アクチュエータに対する駆動パルスの出力間隔は一定であり、作動音の音色は駆動パルス周期に依存するので、音色が一定となり、乗員の騒音感が助長される。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、低摩擦係数路面走行時における緩増圧処理時の作動音を抑制しながら、制動距離を短縮することができるアンチロックブレーキ制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係るアンチロックブレーキ制御装置は、マスタシリンダからのマスタシリンダ圧をもとに制御対象車輪に配設された制動用シリンダの流体圧を制御するアクチュエータと、前記制御対象車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、前記車輪速度検出手段の車輪速度検出値に基づいて車体速度を推定する車体速度推定手段と、前記車輪速度検出手段の車輪速度検出値及び車体速度推定手段の車体速度に基づいて目標増減圧量を算出し、当該目標増減圧量が減圧を示すときに減圧モードを設定し、前記目標増減圧量が増圧を示すときに緩増圧モードを設定し、前記緩増圧モードは1サイクルが第1回目の初期増圧量で増圧する初期増圧状態とこれに続く第2回目以降の複数の緩増圧量で増圧する緩増圧状態とで構成され、前記初期増圧量を第2回目以降の単位時間当たりの緩増圧量に比較して大きく設定され、前記減圧モードで前記アクチュエータを減圧制御し、前記緩増圧モードで前記アクチュエータを緩増圧制御する制動圧制御手段とを備えたアンチロックブレーキ制御装置において、路面摩擦係数を検出する路面摩擦係数検出手段を備え、前記制動圧制御手段は、前記路面摩擦係数検出手段で低路面摩擦係数を検出した場合に、前記緩増圧モードとなったとき前記初期増圧量を前記路面摩擦係数検出手段で高路面摩擦係数検出した場合の増圧量より大きくすると共に、前記第2回目以降の前記単位時間当たりの緩増圧量を前記路面摩擦係数検出手段で高路面摩擦係数を検出した場合の単位時間当たりの増圧量より小さく設定する低摩擦係数路面用補正手段を有することを特徴としている。
【0010】
また、請求項2に係るアンチロックブレーキ制御装置は、請求項1に係る発明において、前記アクチュエータは入力される増圧制御信号がオンの区間前記制動用シリンダを増圧するように構成され、前記低摩擦係数路面用補正手段は、前記路面摩擦係数検出手段で低路面摩擦係数を検出した場合に、前記初期増圧量に続く前記単位時間当たりの緩増圧量を、前記アクチュエータに対する増圧制御信号のオン時間を短く設定して抑制するように構成されていることを特徴としている。
【0011】
さらに、請求項3に係るアンチロックブレーキ制御装置は、請求項1に係る発明において、前記アクチュエータは入力される増圧制御信号がオンの区間前記制動用シリンダを増圧するように構成され、前記低摩擦係数路面補正手段は、前記路面摩擦係数検出手段で低路面摩擦係数検出した場合に、前記初期増圧量に続く前記単位時間当たりの緩増圧量を、前記アクチュエータに対する増圧制御信号の出力周期を長く設定して抑制するように構成されていることを特徴としている。
【0012】
さらにまた、請求項4に係るアンチロックブレーキ制御装置は、請求項1乃至3の何れか1つの発明において、前記制動圧制御手段は、前記緩増圧モードにおける第1回目からの増圧回数が所定値を越えたときに、前記低摩擦係数路面用補正手段による補正を解除する補正解除手段を有することを特徴としている。
【0013】
【発明の効果】
請求項1に係るアンチロックブレーキ制御装置によれば、低摩擦係数路面用補正手段で、摩擦係数検出手段で路面摩擦係数検出したときには、減圧モード後に緩増圧モードとなったときその1サイクルの第1回目の初期増圧量を高路面摩擦係数検出した場合の増圧量より大きくすると共に、第2回目以降の単位時間当たりの緩増圧量を高摩路面擦係数を検出した場合の増圧量より小さく設定するので、緩増圧モードの第1回目の初期増圧状態を除き、これに続く第2回目以降の緩増圧の単位時間当たりの変化量が小さくなり、アクチュエータで発生するブレーキ圧の脈動が小さくなって、作動音を抑制することができるという効果が得られる。
【0014】
また、請求項2に係るアンチロックブレーキ制御装置によれば、緩増圧モードの1サイクルにおける初期増圧後の緩増圧量をアクチュエータに対する増圧制御信号のオン時間を短く設定することにより抑制するので、緩増圧量の制御を容易確実に行うことができるという効果が得られる。
【0015】
さらに、請求項3に係るアンチロックブレーキ制御装置によれば、初期増圧後の緩増圧量をアクチュエータに対する増圧制御信号の出力周期を長く設定することにより抑制するので、作動音の音色も低くなることにより、より大きな作動音の低減効果を得ることができる。
【0016】
さらにまた、請求項4に係るアンチロックブレーキ制御装置によれば、緩増圧モードの1サイクルにおける第1回目からの増圧回数が所定値を越えたときに低摩擦係数路面用補正手段での補正を解除するので、路面摩擦係数が低摩擦係数から高摩擦係数に急変したときに、これに応じたアンチロックブレーキ制御を効果的に行うことが可能となるという効果が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すブロック図である。
【0018】
図中、1FL,1FRは前輪、1RL,1RRは後輪であって、後輪1RL,1RRにエンジンEGからの回転駆動力が変速機T、プロペラシャフトPS及びディファレンシャルギヤDGを介して伝達され、各車輪1FL〜1RRには、それぞれ制動用シリンダとしてのホイールシリンダ2FL〜2RRが取付けられ、さらに前輪1FL,1FRにこれらの車輪回転数に応じたパルス信号PFL,PFRを出力する車輪速度検出手段としての車輪速センサ3FL,3FRが取付けられ、プロペラシャフトPSに後輪の平均回転数に応じたパルス信号PR を出力する車輪速度検出手段としての車輪速センサ3Rが取付けられている。
【0019】
各前輪側ホイールシリンダ2FL,2FRには、ブレーキペダル4の踏込みに応じて前輪側及び後輪側の2系統のマスタシリンダ圧を発生するマスタシリンダ5からのマスタシリンダ圧が前輪側アクチュエータ6FL,6FRを介して個別に供給されると共に、後輪側ホイールシリンダ2RL,2RRには、マスタシリンダ5からのマスタシリンダ圧が共通の後輪側アクチュエータ6Rを介して供給され、全体として3センサ3チャンネルシステムに構成されている。
【0020】
アクチュエータ6FL〜6Rのそれぞれは、図2に示すように、マスタシリンダ5に接続される油圧配管7とホイールシリンダ2FL〜2RRとの間に介装された電磁流入弁8と、この電磁流入弁8と並列に接続された電磁流出弁9、油圧ポンプ10及び逆止弁11の直列回路と、流出弁9及び油圧ポンプ10間の油圧配管に接続されたアキュムレータ12とを備えている。
【0021】
そして、各アクチュエータ6FL〜6Rの電磁流入弁8、電磁流出弁9及び油圧ポンプ10は、車輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス信号PFL〜PR と、各マスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段としての圧力センサ13F及び13Rのマスタシリンダ圧検出値PMCF 及びPMCR と、ブレーキペダル4の踏込みを検出するブレーキスイッチ14からのブレーキペダル踏込時にオン状態となるブレーキスイッチ信号BSとが入力されるコントローラCRからの液圧制御信号EV、AV及びMRによって制御される。
【0022】
コントローラCRは、車輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス信号PFL〜PR が入力され、これらと各車輪1FL〜1RRの回転半径とから車輪の周速度でなる車輪速度VwFL〜VwR を演算する車輪速演算回路15FL〜15Rと、これら車輪速演算回路15FL〜15Rの車輪速度VwFL〜VwR が入力され、これらに対して時間制限フィルタ処理を行う車輪速フィルタ18FL〜18Rと、圧力センサ13A,13Bのマスタシリンダ圧検出値PMCF,MCR とが入力され、これらに基づいて推定車体速度VX 、車体速度勾配VXK及び目標増減圧量ΔP* FL〜ΔP* R を算出すると共に、推定ホイールシリンダ圧PFL〜PR を算出し、これらに基づいてアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EV,AV,MRを出力するマイクロコンピュータ20とを備えており、マイクロコンピュータ20から出力される制御信号が駆動回路22aFL〜22aR 、22bFL〜22bR 、22cFL〜22cR を介してアクチュエータ6FL〜6Rに供給される。
【0023】
ここで、車輪速フィルタ18FL〜18Rの夫々は、図3に示すように、車輪速Vwi (i=FL,FR,R)を車輪速サンプリング値VS として保持するサンプルホールド回路181と、オペアンプで構成され入力電圧Eを積分する積分回路182と、この積分回路182の積分出力Ve とサンプルホールド回路181の車輪速サンプリング値VS とを加算してフィルタ出力Vfi を算出する加算回路183と、車輪速度Vwi がフィルタ出力Vfi に対して予め設定した所定の不感帯幅内即ちVfi −1km/h<Vwi <Vfi +1km/hであるか否かを検出し、Vfi −1km/h<Vwi <Vfi +1km/hであるときに出力C1 及びC2 を共に低レベルとし、Vwi ≧Vfi +1km/hであるときに、出力C1 を高レベルとし、Vwi ≦Vfi −1km/hであるときに出力C2 を高レベルとする不感帯検出回路184と、この不感帯検出回路184で車輪速度Vwi が不感帯内となったとき及びイグニッションスイッチのオン信号IGが入力されたときに、前記サンプルホールド回路181で車輪速度Vwi を保持させると共に、積分回路182をリセットするリセット信号SRを出力するリセット回路185と、車輪速度Vwi が不感帯幅内にあるとき及び不感帯幅外となってからオフディレータイマ186で設定された所定時間T3 の間積分入力電圧Eとして零電圧を積分回路182に供給し、Vwi >Vfi +1km/hとなってから所定時間T3 経過後に非アンチロックブレーキ制御中は+0.4Gに対応する負の電圧を、アンチロックブレーキ制御中は+10Gに対応する負の電圧をそれぞれ積分入力電圧Eとして積分回路182に供給し、さらにVwi <Vfi −1km/hとなってから所定時間T3 経過後に−1.2Gに対応する正の電圧を積分入力電圧Eとして積分回路182に供給する選択回路187とを備えている。
【0024】
さらに、マイクロコンピュータ20は、図1に示すように、例えばA/D変換機能を有する入力インタフェース回路20a、出力インタフェース回路20d、演算処理装置20b及び記憶装置20cを少なくとも有し、演算処理装置20bで推定車体速度VX をもとに目標車輪速度Vw* を算出すると共に、車輪速度VwFL〜VwR を微分して車輪加速度VwFL′〜VwR ′を算出し、車輪速度VwFL〜VwR 、車輪加速度VwFL′〜VwR ′及び目標車輪速度Vw* に基づいて目標増減圧量ΔP* FL〜ΔP* R を算出し、且つマスタシリンダ圧検出値PMCF,MCR 、車体速度勾配VXk及びアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号AV,EVをもとに推定ホイールシリンダ圧PFL〜PR を算出し、これら推定ホイールシリンダ圧PFL〜PR と目標シリンダ圧P* FL〜P* R とが一致するようにアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号AVFL〜AVR ,EVFL〜EVR ,MRFL〜MRR を出力する。
【0025】
次に、上記実施例の動作をマイクロコンピュータ20の制御処理を示す図4〜図8を伴って説明する。
図4の制御処理は所定時間(例えば10msec) 毎のメインプログラムに対するタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で、圧力センサ13F及び13Rのマスタシリンダ圧(M/C圧)検出値PMCF 及びPMCR と、各車輪速演算回路15FL〜15Rの車輪速度VwFL〜VwR と、各車輪速フィルタ18FL〜18Rのフィルタ出力VfFL〜VfR とを読込むと共に、車輪速度VwFL〜VwR を微分して車輪加速度VwFL′〜VwR ′を算出し、これらを記憶装置20cの所定記憶領域に更新記憶する。
【0026】
次いで、ステップS2に移行して、フィルタ出力VfFL〜VfR をもとに車体速度勾配VXk及び推定車体速度VX を算出する車体速度演算処理を実行し、次いでステップS3に移行して、マスタシリンダ圧検出値PMCF,MCR と前回のアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EVFL〜EVE ,AVFL〜AVR とをもとに各ホイールシリンダ2FL〜2RRの現在のホイールシリンダ圧(W/C圧)を推定する推定ホイールシリンダ圧PFL〜PR を算出する推定ホイールシリンダ圧演算処理を実行する。
【0027】
次いで、ステップS4に移行して、各ホイールシリンダ2FL〜2Rに対する目標増減圧量ΔPi を算出する目標増減圧量演算処理を実行する。
次いで、ステップS5に移行して、目標増減圧量ΔPi に基づいてアクチュエータ6FL〜6Rを制御するアクチュエータ制御処理を実行してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0028】
ここで、ステップS2の車体速度演算処理は、図5に示すように、先ず、ステップS7で、ブレーキスイッチ14のブレーキスイッチ信号BSがオフ状態であるか否かを判定し、これがオフ状態であるときには非制動状態であると判断してステップS8に移行し、下記(1)式に示すように、フィルタ出力VfFL, VfFR及びVfR のうち最も小さい値をセレクトロー車輪速度VwL として算出し、次いでステップS9に移行して、算出したセレクトロー車輪速度VwL を推定車体速度VX として設定しこれを記憶装置20cに形成した推定車体速度記憶領域に更新記憶し、次いでステップS10に移行して、車体速度勾配VXKとして予め設定された後述する推定ホイールシリンダ圧演算処理における上限値制御マップの設定勾配VXK2 以上の値でなる設定値VXK0 を設定し、これを記憶装置20cに形成した車体速度勾配記憶領域に更新記憶してからてからサブルーチン処理を終了して、図4におけるステップS3の推定ホイールシリンダ圧演算処理に移行する。
【0029】
X =MIN(VfFL, VfFR,VfR ) …………(1)
一方、ステップS7の判定結果が、ブレーキスイッチ信号BSがオン状態であるときには、制動状態であると判断してステップS11に移行し、下記(2)式に示すように、フィルタ出力VfFL, VfFR及びVfR の何れか大きい値をセレクトハイ車輪速度VwH として選択し、これを記憶装置20cに形成したセレクトハイ車輪速度記憶領域に更新記憶する。
【0030】
X =MAX(VfFL, VfFR,VfR ) …………(2)
次いで、ステップS12に移行して、セレクトハイ車輪速度VwH を微分してセレクトハイ車輪速度VwH の加減速度VwH ′を算出する。
【0031】
次いで、ステップS13に移行して、セレクトハイ車輪加減速度VwH ′が予め設定した設定減速度−DS に達する制動状態となったか否かを表す制動状態フラグF1が“1”であるか否かを判定し、これが“0”にリセットされているときには非制動状態である判断してステップS14に移行する。
【0032】
このステップS14では、セレクトハイ車輪加減速度VwH ′が設定減速度−DS 以下であるか否かを判定し、設定減速度−DS より大きいときには制動初期状態であると判断してそのままS15に移行して、セレクトハイ車輪速度VwH を推定車体速度VX として記憶装置20cの所定記憶領域に更新記憶してから車体速度演算処理を終了してステップS3の推定ホイールシリンダ圧演算処理に移行し、設定減速度−DS 以下となったときにはステップS16に移行する。
【0033】
このステップS16では、現在のセレクトハイ車輪速度VwH を現在サンプリング車輪速度Vs(n) として記憶装置20cに形成した現在値記憶領域に更新記憶し、次いでステップS17に移行して経過時間を計数するタイマTを“0”にクリアし、次いでステップS18に移行して制動状態フラグFを“1”にセットしてから前記ステップS15に移行する。
【0034】
一方、前記ステップS13の判定結果が、制動状態フラグFが“1”にセットされているものであるときには、ステップS19に移行して、後述するアクチュエータ制御処理においてアンチロックブレーキ制御中を表すブレーキ制御状態フラグASが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“1”にセットされているときには、ステップS20に移行する。
【0035】
このステップS20では、アンチスキッド制御処理を開始した後の処理状態を表す制御フラグF2を“1”にセットし、次いでステップS21に移行して、減速開始状態を表す制御フラグF3が“1”にセットされているか否かを判定し、制御フラグF3が“0”にリセットされているときには、ステップS21aに移行して、制御フラグF4が“1”にセットされているか否かを判定し、F4=1であるときにはそのままステップS22に移行し、F4=0であるときにはステップS21bに移行して、セレクトハイ車輪速度VwH の加減速度VwH ′が正であるか否かを判定し、VwH ′≦0であるときにはそのまま後述するステップS28に移行し、VwH ′>0であるときにはステップS21cに移行して制御フラグF4を“1”にセットしてから後述するステップS28に移行する。
【0036】
ステップS22では、前述したステップS14と同様にセレクト車輪減速度VwH ′が設定減速度−DS 以下であるか否かを判定し、VwH ′>−DS であるときにはそのまま後述するステップS28に移行し、VwH ′≦−DS であるときには、ステップS23に移行して、記憶装置20cの現在値記憶領域に記憶されている前回のサンプリング車輪速度を前回サンプリング車輪速度Vs(n-1) として前回値記憶領域に更新記憶すると共に、現在のセレクトハイ車輪速度VwH を現在サンプリング車輪速度Vs(n) として現在値記憶領域に更新記憶する。
【0037】
次いで、ステップS24に移行して、現在サンプリング車輪速度Vs(n) 及び前回サンプリング車輪速度Vs(n-1) に基づいて下記(3)式の演算を行って車体速度勾配VXkを算出する。
【0038】
Xk=(Vs(n-1) −Vs(n) )/T+VXOF …………(3)
ここで、Tは前回のサンプリング時からの経過時間、VXOF は車体速度勾配不足による推定車体速度のずれを補償するオフセット値である。
【0039】
次いで、ステップS25に移行して、経過時間Tを計数するタイマを“0”にクリアし、次いでステップS26に移行して減速開始状態を表す制御フラグF3を“1”にセットすると共に、制御フラグF4を“0”にリセットしてから前述したステップS15に移行する。
【0040】
一方、ステップS19での判定で、ブレーキ制御状態フラグASが“0”にリセットされているときには、ステップS27に移行して、制御フラグF2が“1”にセットされているか否かを判定する。この判定は、アンチスキッド制御を開始した後であるか否かを判定するものであり、制御フラグF2が“0”にリセットされているときには、アンチスキッド制御を開始する直前であると判断してステップS28に移行して、車速勾配演算のための経過時間を計数するタイマのカウント値Tを“1”だけインクリメントしてからステップS29に移行する。
【0041】
このステップS29では、セレクトハイ車輪速度VwH が推定車体速度VX より小さいか否かを判定し、VwH <VX であるときには、ステップS30に移行して現在の推定車体速度VX から記憶装置20cの所定記憶領域に更新記憶されている車体速度勾配VXkを減算した値を新たな推定車体速度VX として記憶装置20cの所定記憶領域に更新記憶してからサブルーチン処理を終了して図4のステップS3の推定ホイールシリンダ圧演算処理に移行し、VwH ≧VX であるときにはステップS31に移行して、制御フラグF3を“0”にリセットしてから前記ステップS15に移行する。
【0042】
さらに、前記ステップS21の判定結果が制御フラグF3が“1”にセットされているときには前記ステップS28に移行し、前記ステップS27の判定結果が、制御フラグF2が“1”にセットされているときには、ステップS33に移行して、各制御フラグF1,F2,F3及びF4を夫々“0”にリセットし、次いでステップS34に移行して、現在のセレクトハイ車輪速度VwH を推定車体速度VX として設定してから車体速度演算処理を終了してステップS3の推定ホイールシリンダ圧演算処理に移行する。
【0043】
また、前記ステップS29の判定結果がVwH ≧VX −1であるときには前記ステップS34に移行する。
この図5の処理において、ステップS15,S30,S34の処理が推定車体速度算出手段に対応し、ステップS14,S16〜S28の処理が車体速度勾配算出手段に対応している。
【0044】
さらに、図4におけるステップS3のホイールシリンダ圧推定値演算処理は、前輪側については図6に示すように、先ずステップS41で、後述するアクチュエータ制御処理における前回のアクチュエータ制御信号を読込み、次いでステップS42に移行して、読込んだアクチュエータ制御信号の状態からホイールシリンダ2j(j=FL,FR,RL,RR)が増圧状態、減圧状態、保持状態の何れであるかを判定し、増圧状態であるときには、ステップS43に移行し、記憶装置20cに形成された推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている前回推定ホイールシリンダ圧Pi (n-1) を読出し、これと今回マスタシリンダ圧PMCとをもとに記憶装置20cに予め記憶されたこのステップS43内に図示した推定増圧量算出制御マップを参照して推定増圧量ΔPiZを算出する。ここで、推定増圧量算出制御マップは、マスタシリンダ圧PMCを一定としたときに前回ホイールシリンダ圧Pi (n-1) の増加によって推定増圧量ΔPiZが増加し、且つマスタシリンダ圧PMCの増加によって推定増加量ΔPiZの最大値が増加するように設定されている。
【0045】
次いで、ステップS44に移行して、下記(4)式に示すように、推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている前回推定ホイールシリンダ圧Pi (n-1) と推定増圧量ΔPiZとを加算して今回の推定ホイールシリンダ圧Pi (n) を算出し、これを今回ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶する。
【0046】
i (n) =Pi (n-1) +ΔPiZ …………(4)
次いで、ステップS46に移行して、前述した図5の車体速度演算処理で算出した車体速度勾配VXkを読込み、これをもとに、予め記憶装置20cに記憶されたステップS46内に図示の車体速度勾配VXkと推定ホイールシリンダ圧上限値PMAX との関係を表す前輪側上限値算出制御マップを参照して推定ホイールシリンダ圧上限値PMAX を算出する。
【0047】
ここで、前輪側上限値算出制御マップは、車体速度勾配VXkが零のときに比較的小さい推定ホイールシリンダ圧上限値PL に設定し、これより車体速度勾配VXkが設定値VXk1 に達するまでの間は車体速度勾配VXKの増加に応じて上限値PMAX が比較的緩やかな勾配で増加し、車体速度勾配VXkが設定値VXk1 及びこれより大きな設定値VXk2 までの間は比較的急峻な勾配で増加し、設定値VXk2 以上では、最大値PHFに固定されるように設定されている。
【0048】
なお、後輪側については、ステップS46で参照される後輪側上限値算出制御マップが図9に示すように、実際の車両における制動力配分を考慮して、上限値PMAX が車体速度勾配VXKが設定値VXK1 に達するまでの間は、車体速度勾配VXKの増加に応じて前輪側上限値算出制御マップの設定値VXK1 までの勾配よりやや緩い勾配で増加し、車体速度勾配VXKが設定値VXK1 及びVXK2 間であるときには車体速度勾配VXKの増加に応じて設定値VXK1 までの勾配に比較して急となるが前輪側上限値算出制御マップの設定値VXk1 及びVXK2 間の勾配に比較しては緩やかな勾配で増加し、車体速度勾配VXKが設定値VXK2 以上では、前輪側上限値算出制御マップにおける最大値PHFの半分程度の最大値PHRに固定されるように設定されている。
【0049】
次いで、ステップS47に移行して、後述するアクチュエータ制御処理で緩増圧時にカウントアップされる緩増圧回数NZ が記憶される記憶装置20cに形成された緩増圧回数記憶領域を参照して緩増圧回数NZ が設定値NS (例えば“8”)以上であるか否かを判定し、緩増圧回数NZ が設定値NS 未満であるときには、ステップS48に移行して、下記(5)式に示すように、今回推定ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶されている今回推定ホイールシリンダ圧Pi (n) とステップS46で算出した推定ホイールシリンダ圧上限値PMAX とを比較して、何れか小さい値を今回推定ホイールシリンダ圧Pi (n) として決定してこれを今回推定ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶し、次いでステップS49に移行して、下記(6)式に示すように、今回推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている今回推定ホイールシリンダ圧Pi (n) を読出し、これと現在のマスタシリンダ圧PMCとを比較し、何れか小さい値を今回推定ホイールシリンダ圧Pi (n) として推定ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶してからサブルーチン処理を終了してステップS6のアクチュエータ制御処理に移行する。
【0050】
i (n) =min{Pi (n) ,PMAX } …………(5)
i (n) =min{Pi (n) ,PMC} …………(6)
また、ステップS42の判定結果が、ホイールシリンダ2j(j=FL,FR,RL,RR)が保持状態であるときには直接前記ステップS46に移行し、減圧状態であるときにはステップS50に移行して推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている前回推定ホイールシリンダ圧Pi (n-1) を読出し、これをもとに記憶装置20cに予め記憶された前回推定ホイールシリンダ圧Pi (n-1) と推定減圧量ΔPiGとの関係を表す図6のステップS50内に図示の制御マップを参照して推定減圧量ΔPiGを算出してからステップS51に移行する。ここで、推定減圧量算出制御マップは、前回推定ホイールシリンダ圧Pi (n-1) の増加に比例して推定減圧量ΔPiGが増加するように設定されている。
【0051】
ステップS51では、下記(7)式に示すように、推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている前回推定ホイールシリンダ圧Pi (n-1) から推定減圧量ΔPiGを減算して今回の推定ホイールシリンダ圧Pi (n) を算出する。
【0052】
i (n) =Pi (n-1) −ΔPiG …………(7)
次いで、ステップS52に移行して、下記(8)式に示すように、算出した今回推定ホイールシリンダ圧Pi (n) と“0”とを比較し、何れか大きい値を今回推定ホイールシリンダ圧Pi (n) として前記今回ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶してから前記ステップS46に移行する。
【0053】
i (n) =max{Pi (n) ,0} …………(8)
この図6の処理において、ステップS41〜S44及びステップS50〜S52の処理が制動用シリンダ圧推定手段を構成し、ステップS46〜S48の処理が車体速度勾配規制手段を構成している。
【0054】
さらに、図4におけるステップS4の目標増減圧量演算処理は、図7に示すように、先ず、ステップS61で、下記(9)式の演算を行って目標車輪速度Vw* を算出してこれを記憶装置20cに形成した目標車輪速度記憶領域に更新記憶する。
【0055】
Vw* =0.8VX …………(9)
次いで、ステップS62に移行して、目標車輪速度Vw* が車輪速度Vwi より大きいか否かを判定し、Vw* >Vwi であるときには、ステップS63に移行して目標車輪減速度Vw* ′を“0”に設定してこれを記憶装置20cに形成した目標車輪減速度記憶領域に更新記憶し、Vw* ≦Vwi であるときには、ステップS64に移行して下記(10)式の演算を行って目標車輪減速度Vw* ′を算出する。
【0056】
Vw* ′=−Vw0 ′ …………(10)
ここで、Vw0 ′は予め設定された設定値である。
次いで、ステップS65に移行して車輪速度Vwi 、目標車輪速度Vw* 、車輪加減速度Vwi ′及び目標車輪加減速度Vw* ′に基づいて下記(11)式の演算を行うことにより、比例・微分制御(PD制御)による目標増減圧量ΔP* i を算出し、これを記憶装置20cの目標増減圧量記憶領域に更新記憶する。
【0057】
ΔP* i =K1(Vwi −Vw* )+K2(Vwi ′−Vw* ′)……(11)
この(11)式において、右辺第1項が比例制御項であり、右辺第2項が微分制御項であり、K1 は比例ゲイン、K2 は微分ゲインである。
【0058】
次いで、ステップS66に移行して、目標車輪速度Vw* が車輪速度Vwi より大きく且つ目標増減圧量ΔP* i が正であるか否かを判定し、Vw* >Vwi 且つΔP* i >0であるときには、ステップS67に移行して、目標増減圧量ΔP* i を“0”に設定して目標増減圧量記憶領域に更新記憶してから処理を終了して図4のステップS5に移行し、そうでないときにはステップS68に移行する。
【0059】
このステップS68では、目標車輪速度Vw* が車輪速度Vwi 以下で且つ目標増減圧量ΔP* i が負であるか否かを判定し、Vw* ≦Vwi 且つΔP* i <0であるときには前記ステップS67に移行し、そうでないときには処理を終了して図4のステップS5に移行する。
【0060】
また、図4のステップS5のアクチュエータ制御処理は、図8に示すように、先ず、ステップS71で、車体速度VX が停止近傍の速度となったとき、ブレーキスイッチ14のスイッチ信号がオフ状態となったとき等の所定の制御終了条件を満足したか否かを判定し、制御終了条件を満足したときにはステップS72に移行して、後述するアンチロックブレーキ制御処理中であるか否かを表すブレーキ制御状態フラグASを“0”にリセットしてからステップS73に移行し、アクチュエータ6iに対する制御信号EVi ,AVi 及びMRi を全てオフ状態としてアクチュエータ6iをマスタシリンダ圧PMCがそのままホイールシリンダ2iに供給される急増圧状態に制御してから処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0061】
また、ステップS71の判定結果が制御終了条件を満足していないものであるときにはステップS74に移行して、前述した目標増減圧量演算処理で更新記憶された目標増減圧量ΔP* i を目標増減圧量記憶領域から読出し、次いでステップS75に移行して制御モードが減圧モード、保持モード、緩増圧モードの何れであるかを判定する。
【0062】
この判定は、図7の目標増減圧量演算処理で算出された目標増減圧量ΔP* i の符号を判定することにより行い、目標増減圧量ΔP* i が負であるとき(ΔP* i <0)には減圧モードであると判定し、目標増減圧量ΔP* i が“0”であるとき(ΔP* i =0)には保持モードであると判定し、目標増減圧量ΔP* i が正であるとき(ΔP* i >0)には増圧モードであると判定する。
【0063】
そして、このステップS75の判定結果が減圧モードであるときには、ステップS76に移行して、ブレーキ制御状態フラグASを“1”にセットし、次いでステップS77に移行して、減圧モード状態を表す減圧モード状態フラグFG が“1”にセットされているか否かを判定し、これが“0”にリセットされているときには、減圧モードの開始時点であるものと判断してステップS78に移行して、そのときの推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている推定ホイールシリンダ圧Pi を減圧開始時ホイールシリンダ圧PGIiとして記憶する。
【0064】
次いで、ステップS79に移行して、減圧モード状態フラグFG を減圧モード状態であることを表す“1”にセットし、次いでステップS80に移行して、緩増圧周期を表すプリセットダウンカウント値TZ を“0”にクリアし、これらを記憶装置20cに形成された緩増圧回数記憶領域及びカウント値記憶領域に更新記憶してからステップS81に移行する。
【0065】
このステップS81では、上述した目標増減圧量演算処理で更新記憶された目標増減圧量ΔP* i を目標増減圧量記憶領域から読出し、この目標増減圧量ΔP* i と予め設定された減圧量上限値ΔPG0とをもとに下記(12)式の演算を行って、何れか小さい方を選択し、これを目標減圧量ΔPGi として減圧量記憶領域に更新記憶する。
【0066】
ΔPGi =min〔ΔP* i ,ΔPG0〕 …………(12)
次いで、ステップS82に移行して、減圧量記憶領域に記憶されている目標減圧量ΔPGi に応じた減圧を行うように、目標減圧量ΔPGi に応じた減圧時間だけ制御信号AVi のみをオン状態とし、アクチュエータ6iを減圧制御してから処理を終了して、所定のメインプログラムに復帰する。
【0067】
また、前記ステップS75の判定結果が、保持モードである場合には、ステップS83に移行して、減圧モード状態フラグFG を“0”にリセットすると共に、プリセットダウンカウント値TZ を“0”にクリアしてからステップS84に移行し、アクチュエータ6iに対する制御信号EVi のみをオン状態とし、これによって、アクチュエータ6iの流入弁8が閉状態となると共に、流出弁9は閉状態を維持するので、ホイールシリンダ2iとマスタシリンダ5との間が遮断されて、ホイールシリンダ2iのシリンダ圧が一定値に維持する保持モードに設定してからそのまま処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0068】
さらに、前記ステップS75の判定結果が、増圧モードであるときには、ステップS85に移行して、ブレーキ制御状態フラグASが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“0”にリセットされているときには、ステップS86に移行して前述したステップS73と同様にアクチュエータ6iに対する制御信号EVi ,AVi 及びMRi を全てオフ状態としてアクチュエータ6iを急増圧状態に制御してから処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、ブレーキ制御状態フラグASが“1”にセットされているときには、ステップS87aに移行する。
【0069】
このステップS87aでは、前回のモードが増圧モード以外の保持モード及び減圧モードの何れかであったか否かを判定し、増圧モード以外のモードであるときには、緩増圧モードの初期状態であると判断してステップS87bに移行し、緩増圧回数NZ を“0”にリセットしてからステップS87cに移行し、前回も増圧モードであるときには緩増圧モードを継続しているものと判断して直接ステップS87cに移行する。
【0070】
このステップS87cでは、減圧モード状態フラグFG を“0”にリセットし、次いでステップS88に移行して、緩増圧周期を決定するプリセットダウンカウント値TZ が“0”であるか否かを判定し、TZ >0であるときには、ステップS89に移行してカウント値TZ をデクリメントすることによりカウントダウンしてから処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、TZ =0である時にはステップS90に移行する。
【0071】
このステップS90では、記憶装置20cの所定記憶領域に形成された緩増圧回数記憶領域に記憶されている緩増圧回数NZ を読出し、これに“1”を加算した値を新たな緩増圧回数NZ として緩増圧回数記憶領域に更新記憶してからステップS91に移行する。
【0072】
このステップS91では、緩増圧回数NZ が“1”であるか否かを判定し、NZ =1であるときには緩増圧モードの初期状態であると判断して、ステップS92に移行し、前記ステップS78で記憶された減圧開始時ホイールシリンダ圧PGIiを読出すと共に、現在の推定ホイールシリンダ圧Pi を読出し、これらをもとに下記(13)式の演算を行って減圧モード時の総減圧量ΔPGTiを算出する。
【0073】
ΔPGTi=PGIi−Pi …………(13)
次いで、ステップS93aに移行して、例えば雪路、凍結路、降雨路等の低摩擦係数路面を走行しているか否かを判定する。この判定は、前後加速度センサ17の加速度検出値XG を読込み、これが予め設定された路面摩擦係数μが0.1〜0.2程度を表す減速度閾値XS 以下であるか否かを判定し、XG ≦XS であるときには走行路面が低摩擦係数路面であると判断し、XG >XS であるときには走行路面が乾燥した舗装路等の高摩擦係数路面であると判断する。
【0074】
このステップS93aの判定結果が低摩擦係数路面であるときにはステップS93bに移行して、前記ステップS92で算出した総減圧量ΔPGTiをもとに下記(14)式の演算を行って初回増圧量ΔPZ0iを算出し、これを増圧量ΔPZi として増圧量記憶領域に更新記憶してからステップS94aに移行する。
【0075】
ΔPZ0i=0.8×ΔPGTi …………(14)
このステップS94aでは、前述したステップS87で判定する緩増圧周期を表すプリセットダウンカウント値TZ として比較的長周期を表す例えば100msecに相当するプリセット値TPHを設定し、これをカウント値記憶領域に更新記憶してからステップS95に移行して、増圧量記憶領域に記憶されている増圧量ΔPZi に対応した増圧時間だけ制御信号EVi のみをオン状態とし、アクチュエータ6iを緩増圧制御してから処理を終了して、所定のメインプログラムに復帰する。
【0076】
また、ステップS93aの判定結果が、高摩擦係数路面であるときには、ステップS93cに移行して、前記ステップS92で算出した総減圧量ΔPGTiをもとに下記(15)式の演算を行って初回増圧量ΔPZ0iを算出し、これを増圧量ΔPZi として増圧量記憶領域に更新記憶してからステップS94bに移行する。
【0077】
ΔPZ0i=0.5×ΔPGTi …………(15)
このステップS94bでは、前述したステップS87で判定する緩増圧周期を表すプリセットダウンカウント値TZ として比較的短周期を表す例えば60msecに相当するプリセット値TPLを設定し、これをカウント値記憶領域に更新記憶してから前記ステップS95に移行する。
【0078】
一方、前記ステップS91の判定結果が、緩増圧回数NZ が“2”以上であるときには、ステップS98に移行して、前述したステップS93aと同様に、低摩擦係数路面を走行しているか否かを判定し、低摩擦係数路面を走行しているときにはステップS99に移行して、下記(16)式の演算を行って目標増減圧量ΔP* i と予め設定された比較的小さい低摩擦係数路面用上限値ΔPZ0L との何れか大きい方を増圧量ΔPZi として算出し、これを増圧量記憶領域に更新記憶してからステップS100に移行する。
【0079】
ΔPZi =max〔ΔP* i ,ΔPZ0L 〕 …………(16)
このステップS100では、緩増圧回数NZ が“4”を越えたか否かを判定し、NZ ≦4であるときには、低摩擦係数路面の走行を継続する可能性が大きいと判断して前記ステップS94aに移行し、NZ >4であるときには、低摩擦係数路面から高摩擦係数路面を走行する可能性が大きいと判断して前記ステップS94bに移行する。
【0080】
一方、前記ステップS98の判定結果が高摩擦係数路面であるときには、ステップS101に移行して、下記(17)式の演算を行って目標増減圧量ΔP* i と予め設定された前記低摩擦係数路面用上限値ΔPZ0L よりは大きい値の高摩擦係数路面用上限値ΔPZ0H との何れか大きい方を増圧量ΔPZi として算出し、これを増圧量記憶領域に更新記憶してから前記ステップS94bに移行する。
【0081】
ΔPZi =max〔ΔP* i ,ΔPZ0H 〕 …………(17)
この図7の処理において、ステップS90の処理及び記憶装置20cが増圧回数記憶手段に対応している。
【0082】
したがって、車両が平坦な良路であって雪路、凍結路等の低摩擦係数路を非制動状態で定速走行している状態では、ブレーキスイッチ14がオフ状態であると共に、ブレーキ制御状態フラグASが“0”にリセットされている。
【0083】
この非制動状態での定速走行状態では、図5の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS7からステップS8〜S10に移行することにより、車輪速度VwFL〜VwR のフィルタ出力VfFL〜VfR のうちの最も小さい値をセレクトロー車輪速度VwL として選択し、選択されたセレクトロー車輪速度VwL を推定車体速度VX として推定車体速度記憶領域に更新記憶すると共に、車体速度勾配VXKとして設定値VXK0 を設定し、これを車体速度勾配記憶領域に更新記憶する。このように、セレクトロー車輪速度VwL を推定車体速度VX として設定することにより、駆動輪となる後輪1RL及び1RRでスリップを生じて車輪速度VwR が増加した場合でも、車体速度に対応している非駆動輪となる前輪1FL及び1FRの車輪速度VwFL及びVwFRの何れか小さい方が選択され、駆動輪でのスリップの影響を受けない正確な推定車体速度VX を算出することができる。このとき、車体速度勾配VXKとしては、高摩擦係数路面に相当する比較的大きな初期値VXK0 が設定されている。
【0084】
次いで、図6の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されると、車両が非制動状態であるので、後述するアクチュエータ制御処理でアクチュエータ6iに対する制御信号EVi,AVi,MRi を共に論理値“0”とする増圧信号を出力しており、ステップS42からステップS43に移行し、定速走行状態を継続していることにより、前回の推定ホイールシリンダ圧Pi (n-1) が零であり、ブレーキペダル4を踏込んでいないので、今回のマスタシリンダ圧PMCF,MCR も零であるので、推定増圧量ΔPiZも零となる。一方、ステップS46で算出される推定ホイールシリンダ圧上限値PMAX は車体速度勾配VXKとして比較的大きな初期値VXK0 が設定されていることにより、略最大値PFH及びPRHとなっているが、ステップS46,S47では夫々“0”の推定ホイールシリンダ圧Pi (n) と上限値PMAX 及びマスタシリンダ圧PMCとの小さい方が選択されることにより、推定ホイールシリンダ圧Pi (n) は“0”に設定される。
【0085】
さらに、図7のステップS61で算出される目標車輪速度Vw* は図10(a)に示すように推定車体速度VX の80%であるため、セレクトロー車輪速度VwS より低くなり、したがって、実際の車輪速度Vwi より低い値となるので、ステップS62からステップS64に移行して目標車輪減速度Vw* ′が図10(b)に示すように所定値−Vw0 ′に設定される。
【0086】
この結果、ステップS65で算出される目標増減圧量ΔP* i は、図10(c)に示すように、Vw* ≦Vwi であり、車輪加減速度Vwi ′が零、目標車輪減速度Vw* ′が負の所定値−Vw0 ′であることにより、正の値となる。
【0087】
しかしながら、図8のアクチュエータ制御処理が実行されると、非制動中であって、ブレーキ制御終了条件を満足するので、ステップS71からステップS72に移行して、ブレーキ制御状態フラグASを“0”にリセットすると共に、ステップS73に移行して、アクチュエータ6iに対する制御信号EVi ,AVi及びMRi が全てオフ状態に制御されるので、アクチュエータ6iの流入弁8のみが開状態となり、前輪及び後輪側のホイールシリンダ2FL,2FR及び2RL,2RRがマスタシリンダ5と連通状態となっている。このとき、ブレーキペダル4を踏込んでいないので、マスタシリンダ5から出力されるシリンダ圧力は零となっているので、各ホイールシリンダ2FL〜2RRのシリンダ圧力も零となっており、制動力を発生することはなく、非制動状態を継続する。
【0088】
この良路の低摩擦係数路を定速走行している状態から、時点t1 でブレーキペダル4を踏込んで制動状態とすると、図5の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS7からステップS11に移行することにより、セレクトハイ車輪速度VwH が算出され、これに基づいて車体速度勾配VXK及び推定車体速度VX の算出が行われることになり、制動時の車体速度勾配VXK及び推定車体速度VX の算出を正確に行うことができる。
【0089】
すなわち、制動直後では制御フラグF1が“0”にリセットされていることにより、ステップS13からステップS14に移行し、セレクトハイ車輪速度VwH の減速度VwH ′が設定減速度−DS に達していないので、ステップS15に移行してセレクトハイ車輪速度VwH をそのまま推定車体速度VX として設定し、これを推定車体速度記憶領域に更新記憶する。
【0090】
一方、図6の推定ホイールシリンダ圧演算処理においては、マスタシリンダ圧PMCF,MCR が急増することにより、これと前回推定ホイールシリンダ圧Pi とによって推定増圧量ΔPiZが決定されるが、前回の推定ホイールシリンダ圧Pi が零であるので、推定増圧量ΔPiZはマスタシリンダ圧PMCF,MCR のみに依存する値となると共に、車体速度勾配VXKが比較的大きな値の設定値VXK0 に設定されているので、推定ホイールシリンダ圧上限値PMAX が最大値PH に設定されてこれによる制限がないので、今回の推定ホイールシリンダ圧Pi (n) がマスタシリンダ圧PMCF,MCR に一致することになる。
【0091】
このため、図7の目標増減圧量演算処理が実行されたときに、車輪加減速度Vwi ′が負方向に増加するが、目標増減圧量ΔP* i は図10(c)に示すように依然として正の値を継続する。
【0092】
したがって、図8のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、制御終了条件を満足しないことにより、ステップS71からステップS74に移行して、目標増減圧量ΔP* i を読込み、これが正であるので増圧モードであると判断されて、ステップS75からステップS84に移行し、ブレーキ制御状態フラグASが“0”にリセットされたままであるので、ステップS85に移行して、アクチュエータ6iを急増圧状態に維持し、マスタシリンダ圧PMCF,MCR の増加に応じてホイールシリンダ圧を増加させて制動状態となる。
【0093】
このため、各車輪1iの車輪速度Vwi が図10(a)に示すように、時点t1 から減少し始める。なお、図10では、説明を簡単にするために、各車輪1iが同時に減速を開始し、それらの車輪速度Vwi が互いに等しく、したがってセレクトハイ車輪速度VwH と車輪速度VwFL, VwFR及びVwR とが一致しているものとして表されている。
【0094】
その後、時点t2 でセレクトハイ車輪速度VwH の減速度VwH ′が設定減速度−DS に達すると、図5の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS14からステップS16〜S18に移行して、この時点でのセレクトハイ車輪速度VwH が現在サンプリング車輪速度Vs(n) として現在値記憶領域に更新記憶され、且つ経過時間Tが“0”にクリアされると共に、制御フラグF1が“1”にセットされ、次いでステップS15に移行して、推定車体速度VX をセレクトハイ車輪速度VwH に維持する。
【0095】
このため、次に図5の車体速度演算処理が実行されたときに、制御フラグF1が“1”にセットされていることにより、ステップS13からステップS19に移行し、図8のアクチュエータ制御処理においてブレーキ制御状態フラグASが“0”にリセットされた状態が維持されていることにより、ステップS27に移行し、制御フラグF2が“0”にリセットされているので、ステップS28に移行して、経過時間Tを“1”だけインクリメントしてからステップS29に移行し、セレクトハイ車輪速VwH が推定車体速度VX から“1”を減算した値より小さいので、ステップS30に移行して、現在の推定車体速度VX (=VwH )から設定値VXK0 に設定された車体速度勾配VXKを減算した値を新たな推定車体速度VX として更新記憶する。したがって、推定車体速度VX は図10(a)で破線図示のように、設定値VXK0 の勾配で順次減少することになり、これに応じて目標車輪速度Vw* も減少し、さらに車輪加減速度Vwi ′も図10(b)に示すように負方向に増加する。
【0096】
したがって、図7の目標増減圧演算処理が実行されたときに、そのステップS65で算出される目標増減圧量ΔP* i が、図10(c)に示すように、減少し始め時点t3 で零となり、その後負方向に増加する。
【0097】
この間、図5の車体速度演算処理が実行される毎に、ステップS13,S19,S27〜S31の処理を行うので、推定車体速度VX が車体速度勾配VXK0 つ減少される状態を継続する。
【0098】
そして、時点t3 で、図7の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、目標増減圧量ΔP* i が零となることにより、図8のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS75で保持モードであると判断されてステップS83に移行し、減圧モード状態フラグFG を“0”にリセットすると共に、緩増圧回数NZ 及びプリセットダウンカウント値TZ を共に“0”にクリアしてからステップS84に移行して、アクチュエータ6iに対する制御信号EVi のみがオン状態とされ、これによって、アクチュエータ6iの流入弁8が閉状態となると共に、流出弁9は閉状態を維持するので、ホイールシリンダ2iとマスタシリンダ5との間が遮断されて、ホイールシリンダ2iのシリンダ圧が一定値に維持される保持モードに転換される。
【0099】
このように、ホイールシリンダ2iのシリンダ圧が一定値に保持される保持モードとなると、図6の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS42から直接ステップS46に移行することになり、全体の推定ホイールシリンダ圧Pi が保持される。一方、図7の目標増減圧量演算処理が実行されたときに、そのステップS65で算出される目標増減圧量ΔP* i が図10(c)に示すように、負方向に増加することになるが、目標車輪速度Vw* が車輪速度Vwi 以下の状態を継続しているので、ステップS68からステップS67に移行して、図10(d)に示すように目標増減圧量ΔP* i が“0”に制限される。
【0100】
このため、図8のアクチュエータ制御処理において、ステップS75で保持モードと判断されてステップS84に移行し、アクチュエータ6iを保持状態に維持する。
【0101】
その後、車輪速度Vwi が減少して、時点t4 で目標車輪速度Vw* より小さい値となると、図7の目標増減圧量演算処理が実行されたときには、そのステップS62からステップS63に移行して、目標車輪減速度Vw* ′が“0”に設定される。このときステップS65で算出される目標増減圧量ΔP* i は、図10(c)に示すように、負方向への増加を継続しており、目標車輪速度Vw* が車輪速度Vwi より大きくなるので、ステップS66,S68を経て処理を終了することにより、目標増減圧量ΔP* i の制限が解除され、目標減圧量記憶領域に更新記憶される目標増減圧量ΔP* i は図10(d)に示すように、負の値となる。
【0102】
このため、図8のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS75で減圧モードであると判断されてステップS76に移行し、ブレーキ制御状態フラグASを“1”にセットし、次いでステップS77に移行して、減圧モード状態フラグFG が前回の保持モードで“0”にリセットされているので、減圧開始状態であると判断してステップS78に移行し、このときの推定ホイールシリンダ圧Pi を減圧直前推定ホイールシリンダ圧PGIiとして記憶し、次いで減圧モード状態フラグFG を“1”にセットし(ステップS79)、次いで緩増圧回数NZ 及びプリセットダウンカウント値TZ を共に“0”にクリアする(ステップS80)。
【0103】
次いで、目標増減圧量ΔP* i (ΔP* i <0)と予め設定した負の上限値ΔPG0の何れか小さい方を目標減圧量ΔPGi として選択してこれを減圧量記憶領域に更新記憶し(ステップS81)、この目標減圧量ΔPGi に応じた減圧を行うように、目標減圧量ΔPGi に応じた減圧時間だけ制御信号AVi のみをオン状態とすると共に、制御信号Mi を所定時間オン状態とする(ステップS82)。このため、アクチュエータ6iの流入弁8は閉状態を維持するが、流出弁9が目標減圧量ΔPGi に応じた時間だけ開状態となると共に、ポンプ10が回転駆動されて、ホイールシリンダ2i内の作動油がマスタシリンダ5側に排出され、これによってホイールシリンダ2iのシリンダ圧が図10(f)に示すように減圧開始される。
【0104】
このように減圧状態となると、図6のホイールシリンダ圧推定処理が実行されたときに、ステップS42からステップS50に移行して、前回の推定ホイールシリンダ圧Pi (n-1) に基づいて推定減圧量ΔPiGが算出され、次いでステップS51で前回推定ホイールシリンダ圧Pi (n-1) から推定減圧量ΔPiGを減算した値が今回推定ホイールシリンダ圧Pi (n) として設定され、これが更新記憶される。
【0105】
一方、ブレーキ制御状態フラグASが“1”にセットされたことにより、図5の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS19からステップS20に移行して制御フラグF2が“1”にセットされ、次いでステップS21に移行して、制御フラグF3が“0”にリセットされていることにより、ステップS21aに移行し、制御フラグF4が“0”にリセットされているので、ステップS21bに移行し、セレクトハイ車輪速度VwH の加減速度VwH ′が負であるのでステップS28に移行して、経過時間Tのインクリメントを継続し、次いでステップS29に移行して、セレクトハイ車輪速度VwH が推定車体速度VX より小さいので、ステップS30に移行して、推定車体速度VX から車体速度勾配VXKを減算した値を新たな推定車体速度VX として更新記憶する。
【0106】
この減圧状態を継続することにより、図10(a)に示すように、車輪速度Vwi が回復することになり、時点t5 で、図7の目標増減圧量演算処理が実行されたときに、目標増減圧量ΔP* i が図10(c)に示すように再度“0”となり、これに応じて図8のアクチュエータ制御処理が実行されたときにステップS75で保持モードと判断されて、ステップS83に移行して減圧モード状態フラグFG を“0”にリセットすると共に、緩増圧回数NZ 及びプリセットダウンカウント値TZ が“0”にクリアしてからアクチュエータ6iが保持状態に制御され、これによってホイールシリンダ2iのシリンダ圧が図10(f)に示すように、一定値に保持される。
【0107】
この保持モードとなると、前述したように図6の推定ホイールシリンダ圧演算処理で推定ホイールシリンダ圧Pi が保持され、且つ図7の目標増減圧量演算処理では、目標増減圧量ΔP* i が図10(c)に示すように、正方向に増加しているが、目標車輪速度Vw* が車輪速度Vwi より大きいので、ステップS66からステップS67に移行して、目標増減圧量ΔP* i が図10(d)に示すように“0”に制限される。
【0108】
その後、時点t6 で、目標車輪速度Vw* と車輪速度Vwi とが一致すると、図7の目標増減圧量演算処理が実行されたときにステップS65からステップS66,S68を経て処理を終了することにより、目標増減圧量ΔP* i の制限が解除されて目標増減圧量記憶領域に更新記憶されている目標増減圧量ΔP* i が図10(d)で正方向の大きな値となる。
【0109】
したがって、図8のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS75で増圧モードと判断されてステップS85に移行し、ブレーキ制御状態フラグASが“1”にセットされていることから緩増圧モードであると判断してステップS87に移行し、減圧モード状態フラグFG を“0”にリセットしてからステップS88に移行する。
【0110】
このとき、前回の保持モードにおけるステップS83でプリセットダウンカウント値TZ が“0”にクリアされているので、ステップS90に移行し、同様に“0”にクリアされている緩増圧回数NZ をインクリメントして“1”とする。
【0111】
このため、ステップS91で最初の緩増圧であると判断してステップS92に移行し、前記減圧モード開始時に記憶した減圧直前推定ホイールシリンダ圧PGi と現在の推定ホイールシリンダ圧Pi とをもとに前記(13)式の演算を行って総減圧量ΔPGTiを算出し、次いでステップS93aに移行して、低摩擦係数路面を走行しているので、ステップS93bに移行し、総減圧量ΔPGTiをもとに前記(14)式の演算を行って総減圧量ΔPGTiの80%に相当する初期緩増圧量ΔPZ0iを算出する。
【0112】
次いで、ステップS94aに移行して、緩増圧周期を決定するプリセットダウンカウント値TZ を長周期となる100msecに相当するプリセット値TPHにセットしてからステップS95に移行して、初期緩増圧量ΔPZ0iに相当する増圧時間だけ制御信号EVi をオン状態とすることにより、アクチュエータ6iが緩増圧状態に制御されて、ホイールシリンダ圧が図10(f)で一点鎖線図示のように総減圧量の半分程度まで急増される。
【0113】
そして、車輪速度Vwi の回復により、車輪速フィルタ18iから出力されるフィルタ出力Vfi が車輪速度Vwi と略一致すると、この状態では制御信号MRi が論理値“1”であることにより、選択回路187でオフディレータイマ186で設定された遅延時間が経過した後に「+10g」に対応する電圧が選択され、これが積分回路182に供給されることにより、フィルタ出力Vfi は図10(a)で一点鎖線図示のように、急峻に増加し、これがセレクトハイ車輪速度VwH として選択されているので、図5の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS21bからステップS21cに移行して制御フラグF4が“1”にセットされる。このため、次に図5の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS21aからステップS22に移行し、セレクトハイ車輪速度VwH の加減速度VwH ′が設定減速度−DS 以下となったか否かを判定し、VwH ′>−DS であるので、ステップS28に移行して、前述した推定車体速度VX の減算処理を継続する。
【0114】
その後、時点t7 でセレクトハイ車輪速度VwH が推定車体速度VX 以上となると、図5の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS21a,S22,S28を経てステップS29に移行し、VwH ≧VX であるので、ステップS31に移行して、制御フラグF3を“0”にリセットしてからステップS15に移行して、このときのセレクトハイ車輪速度VwH が推定車体速度VX として設定され、これによって推定車体速度VX が増加する。
【0115】
その後、目標増減圧量記憶領域に更新記憶される目標増減圧量ΔP* i は正の値を継続するが、図8の処理が実行されたときに、プリセットダウンカウント値TZ がプリセット値TP にセットされていることにより、ステップS88からステップS89に移行して、カウント値TZ のダウンカウントのみが行われ、このカウント値TZ が“0”となる時点t7 ′でステップS88からステップS90に移行し、緩増圧回数NZ が“2”となり、このためステップS91からステップS98に移行して、低摩擦係数路面を走行しているので、ステップS99に移行して、現在の目標増減圧量ΔP* i と低摩擦係数路面用上限値ΔPZ0L との何れか大きい方を緩増圧量ΔPZi として選択し、次いでステップS100に移行して、緩増圧回数NZ が“2”であり、“4”を越えていないので、引き続きステップS94aに移行して、長周期に相当するプリセット値TPHを設定してからステップS95で選択された緩増圧量ΔPZi に応じた緩増圧制御が行われ、ホイールシリンダ圧PRiが図10(f)示すように緩増圧される。
【0116】
一方、ホイールシリンダ2iの増圧によって車輪速度Vwi は、図10(a)に示すように、再度減少し始め、時点t8 でセレクトハイ車輪速度VwH の加減速度VwH ′が設定減速度−DS 以下となると、図5の車体速度演算処理が実行されたときに、ステップS22からステップS23に移行して、現在値記憶領域に記憶されている時点t2 でのセレクトハイ車輪速度VwH でなる前回サンプリング車輪速度が前回値記憶領域に前回サンプリング車輪速度Vs(n-1) として更新記憶され、且つ減算値記憶領域に現在のセレクトハイ車輪速度VwH が今回サンプリング車輪速度Vs(n) として更新記憶される。そして、ステップS24で前記(5)式の演算を行って車体速度勾配VXKが算出されてこれがステップS25で更新記憶され、次いでステップS26で制御フラグF3が“1”にセットされ且つ制御フラグF4が“0”にリセットされる。
【0117】
このとき、ステップS24で算出される車体速度勾配VXKは、図10(e)に示すように、実際の低摩擦係数路面走行時における車体速度の減少度に応じた値となるので、設定値VXK0 より小さい値となる。このため、図6の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS46で算出される推定ホイールシリンダ圧上限値PMAX が図10(f)で破線図示のように、車体速度勾配VXKに応じた小さい値に変更される。
【0118】
この状態では、図6の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、前回の制御信号が増圧状態であり、しかも前回の推定ホイールシリンダ圧Pi が比較的大きな値であり、且つマスタシリンダ圧PMCF,MCR が大きな値を継続しているので、推定増圧量ΔPiZも所定値となるため、図10(f)で実線図示のように、推定ホイールシリンダ圧Pi が保持と増圧を繰り返す緩増圧状態となる。
【0119】
この緩増圧状態を繰り返して、時点t9 で図6の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、算出される推定ホイールシリンダ圧Pi がステップS46で算出される推定ホイールシリンダ圧上限値PMAX を越える状態となると、推定ホイールシリンダ圧Pi が上限値PMAX で制限されるので、図10(f)で実線図示のように、推定ホイールシリンダ圧Pi の増加が停止されて上限値PMAX に保持される。
【0120】
その後、時点t10で、図7の目標増減圧量演算処理が実行されたときに、そのステップS65で算出される目標増減圧量ΔP* i が“0”となることにより、前述した時点t3 と同様に保持モードとなり、時点t11で目標車輪速度Vw* より車輪速度Vwi が小さくなることにより、前述した時点t4 と同様に減圧状態となる。
【0121】
その後、時点t12で保持状態、時点t13で緩増圧状態、時点t14で車体速度勾配VXKを再度算出してこれを更新記憶し、次いで時点t15で推定ホイールシリンダ圧Pi が上限値PMAX に制限され、次いで時点t16で保持状態、時点t17で減圧状態を順次繰り返して、推定車体速度VX が減少する。
【0122】
このように、低摩擦係数路面での制動状態では、推定ホイールシリンダ圧Pi が上限値PMAX で制限されることにより、緩増圧回数NZ は多くても4回程度に制限され、図10(f)で実線図示のように推定ホイールシリンダ圧Pi が一点鎖線図示の実際のホイールシリンダ圧PRiに近い値を推移することになる。
【0123】
また、初期増圧量ΔPZ0iが総減圧量ΔPGTiの80%程度と大きな値に設定され、その後の緩増圧量ΔPZi が低摩擦係数路面用上限値ΔPZ0L に制限され且つ緩増圧周期が長く設定されるので、単位時間当たりの緩増圧量が小さくなって増圧勾配が小さなるため、アクチュエータ6iでの脈動の発生が抑制されて作動音が低下されると共に、低い音色に抑制されて、乗員に不快感を与えることを確実に抑制することができる。
【0124】
ところが、上記のように低摩擦係数路面での制動状態を継続していて、例えば図11に示すように、時点t21で緩増圧回数NZ が“4”を越える状態となると、図8のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS100からステップS94bに移行することになり、緩増圧周期を表すプリセット値TZ が高摩擦係数路を走行する際の緩増圧周期に対応する比較的短周期の60msecに相当する設定値TPLに設定され、これによって次回からの緩増圧周期が短縮され、結果的に単位時間当たりの緩増圧量が増加して、走行摩擦係数が低い状態から高い状態に急変する場合に事前に対処することができる。
【0125】
その後、図11の時点t22で走行路面が低摩擦係数路面から乾燥した舗装路等の高摩擦係数路面に変更されることにより、路面摩擦係数が低い状態から高い状態に急変されると、路面の摩擦係数が大きくなるが、実際のホイールシリンダ圧PRiは図11(b)で実線図示のように低いので、車輪速度Vwi は図11(a)で実線図示のように殆ど変化することはない。このため、図5の推定車体速度演算処理で算出される図11(a)で一点鎖線図示の推定車体速度VX 及び図11(c)で実線図示の車体速度勾配VXKも殆ど変化せず、緩増圧状態が継続される。
【0126】
しかしながら、図8のアクチュエータ制御処理が実行されると、ステップS98で高摩擦係数路面であると判断されるため、ステップS101に移行して、高摩擦係数路面用上限値ΔPZOHが緩増圧量ΔPZi として選択されることにより、低摩擦係数路面走行時の緩増圧量に比較して大きな値となり、単位時間当たりの緩増圧量がより多くなる。
【0127】
このため、ホイールシリンダ2iの実際のホイールシリンダ圧の増加勾配が図11(b)に示すように大きくなり、大きな制動力を発揮することになる。
そして、高摩擦係数路面の走行状態を継続して、図8のアクチュエータ制御処理において、緩増圧モードが継続されて、その緩増圧回数NZ が“8”となると、次に図6の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行された時点t23でステップS46で推定ホイールシリンダ圧上限値PMAX を算出した後に、ステップS47からステップS48に移行することなく直接ステップS49に移行することになる。
【0128】
このため、ステップS48での現在の推定ホイールシリンダ圧Pi (n) と上限値PMAX との何れか小さい方を推定ホイールシリンダ圧Pi (n) とする制限処理が行われず、ステップS49での現在の推定ホイールシリンダ圧Pi (n) とマスタシリンダ圧PFMC,RMC との何れか小さい方を選択する処理のみが行われることになる。この結果、推定ホイールシリンダ圧上限値PMAX として、現在のマスタシリンダ圧PFMC,RMC が選定されたことと等価となり、推定ホイールシリンダ圧の上限側の制限が解除される。
【0129】
したがって、推定ホイールシリンダ圧Pi (n) が図11(b)で破線図示のように増加する。
その後、時点t24で図8のアクチュエータ制御処理を行うことにより、緩増圧回数NZ が制御終了条件である“10”に達すると、ステップS95でアクチュエータ6iの緩増圧制御を行った後に、ステップS96からステップS97に移行して、ブレーキ制御状態フラグASを“0”にリセットしてから処理を終了する。
【0130】
このため、次に図4の処理が実行されたときに、ステップS2に対応する図5の処理で、ブレーキ制御状態フラグASが“0”にリセットされたことにより、ステップS19からステップS27を経てステップS33に移行し、これによってフラグF1,F2及びF3が全て“0”にリセットされた後にステップS34に移行して現在のセレクトハイ車輪速VwH が推定車体速度VX として設定される。
【0131】
このため、推定車体速度VX が図11(a)で一点鎖線図示の如く低下してセレクトハイ車輪速VwH と一致し、これと同時に目標車輪速度Vw* も低下する。
【0132】
しかしながら、車体速度勾配VXKについては、図5の処理において、ステップS24の処理が実行されないことにより、図11(c)に示すように、前回の低摩擦係数路走行時の車体速度勾配VXKを維持する。
【0133】
一方、図7の推定ホイールシリンダ圧演算処理では、ステップS65で算出される目標増減圧量ΔP* i が正の状態を維持することから、図8のアクチュエータ制御処理では、ステップS75のモード判定処理で、増圧モードと判断されてステップS85に移行し、ブレーキ制御状態フラグASが“0”にリセットされているので、ステップS86に移行して、アクチュエータ6iを急増圧モードに制御する。
【0134】
このため、ホイールシリンダ2iのホイールシリンダ圧PRiが図11(b)で実線図示のように急増し、マスタシリンダ圧PMCF,MCR に近づき、その後時点t25で図7のステップS65で算出される目標増減圧量ΔP* i が負で且つ目標車輪速Vw* が車輪速Vwi より低い状態となって、目標増減圧量ΔP* i が“0”に制限される。
【0135】
このため、図8のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS75で保持モードと判定されて、アクチュエータ6iが保持モードに設定され、ホイールシリンダ2iのホイールシリンダ圧PRiが図11(b)で実線図示のように保持される。
【0136】
その後、時点t26で目標車輪速度Vw* が車輪速Vwi より大きくなると、図7のホイールシリンダ圧演算処理で負の目標増減圧量ΔP* i がそのまま設定されるので、図8のアクチュエータ制御処理におけるステップS75で減圧モードと判断されてブレーキ制御状態フラグASを“1”にセットすると共に、そのときの推定ホイールシリンダ圧Pi (n) を減圧直前推定ホイールシリンダ圧PGIiとして記憶してからアクチュエータ6iを減圧制御し、これによってホイールシリンダ2iの圧力が図11(b)で実線図示のように急激に低下する。
【0137】
ここで、急増圧モード、保持モード、及び減圧モードでは、図8のアクチュエータ制御処理で、緩増圧回数NZ は“0”にクリアされることはないので、この間に図7の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されても、緩増圧回数NZ が前回の緩増圧モードでの最終値NZ =10に維持されていることからステップS47から直接ステップS49に移行することになり、推定ホイールシリンダ圧上限値PMAX の制限が解除された状態が維持される。
【0138】
その後、時点t27で保持モードに移行した後、時点t28で前記減圧モードでブレーキ制御状態フラグASが“1”にセットされているので緩増圧モードに移行することになる。
【0139】
この緩増圧モードでは、ステップS87aで前回が保持モードであるので、緩増圧の初期状態であると判断されて、ステップS87bに移行して、緩増圧回数NZ が“0”にクリアされ、前記減圧モードでプリセットダウンカウント値TZ が“0”にクリアされているので、ステップS87c,S88,S90及びS91を経てステップS92に移行する。
【0140】
このとき、前述したように、図6の推定ホイールシリンダ圧演算処理では、緩増圧回数NZ が所定値NS (=8)以上となった時点で、推定ホイールシリンダ圧上限値PMAX による制限が解除されて、この状態が維持されていることにより、減圧直前推定ホイールシリンダ圧PGIiが実際のホイールシリンダ圧PRiの増加に応じて増加しているので、総減圧量ΔPGTiが実際の減圧量に近い値となる。
【0141】
しかも、ステップS93aで高摩擦係数路面であると判断されて、ステップS93cに移行するので、初期増圧量ΔPZ* 0iが総減圧量ΔPGTiの50%に抑制されると共に、ステップS94bに移行して短い緩増圧周期を表すプリセット値TPLが設定され、これに応じてアクチュエータ6iが初期増圧処理されることにより、ホイールシリンダ2iの圧力が図11(b)で実線図示のように大きく増加することになり、低摩擦係数路面走行時から高摩擦係数路面走行時に変わった直後のホイールシリンダ圧の圧力制御を適確に行うことができ、車両の減速度が大きな変動を伴うことなく円滑に高摩擦係数路面に応じた大きな減速度となる。
【0142】
その後、時点t29でセレクトハイ車輪速VwH が所定値−DS 以下となることにより、図5の車輪速度演算処理でステップS22からステップS23を経てステップS24に移行して、新たな高摩擦係数路面に対応した車体速度勾配VXKが演算され、これが図11(c)に示すように増加する。
【0143】
続いて、図6の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されるが、このときに車体速度勾配VXKが高摩擦係数路面に応じた大きな値となっていることにより、ステップS46で算出される推定ホイールシリンダ圧上限値PMAX は最大値PFH及びPRH近傍の値となる。
【0144】
そして、ステップS47に移行したときに、前回における図8のアクチュエータ制御処理で、緩増圧回数NZ が“1”となっているので、ステップS48に移行し、推定ホイールシリンダ圧上限値PMAX による制限状態を復帰させる。
【0145】
その後、緩増圧状態を継続することにより、車輪速Vwi が回復すると、保持モードに移行し、以後順次減圧モード、保持モード、緩増圧モードが繰り返されて高摩擦係数路面での良好なアンチロックブレーキ制御が行われる。
【0146】
そして、ブレーキスイッチ14がオフ状態となったり、車輪速Vwi が停止近傍の速度まで低下することにより、制御終了条件を満足すると、図8のアクチュエータ制御処理でステップS71からステップS72に移行してブレーキ制御状態フラグASを“0”にリセットしてからステップS73に移行してアクチュエータ6iを急増圧状態に制御して、最初の非制動時の状態に復帰する。
【0147】
なお、上記実施形態においては、単位時間当たりの緩増圧量を変更する場合に緩増圧周期を変更するようにした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、緩増圧周期を固定して、アクチュエータ6iの流入弁8に対する駆動パルスのオン時間即ち流入弁8の開時間を制御することにより一回の緩増圧量を変更して単位時間当たりの緩増圧量を変更するようにしてもよい。
【0148】
また、上記実施形態においては、低摩擦係数路面での緩増圧モードにおける初期増圧量ΔPZ0iを総減圧量の80%に設定した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車両の諸元に応じて任意に変更することができると共に、緩増圧量ΔPZi や緩増圧周期TZ についても任意に変更することができ、さらにはこれら初期増圧量ΔPZ0i及び緩増圧量ΔPZi や緩増圧周期TZ を車体減速度などによって可変することもできる。
【0149】
さらに、上記実施形態においては、車輪速演算回路15FL〜15Rの出力側に車輪速フィルタ18FL〜18Rを接続し、これらのフィルタ出力に基づいて車体速度勾配VXK及び推定車体速度VX を算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車輪速フィルタ18FL〜18Rを省略して、車輪速演算回路15FL〜15Rから出力される車輪速度VwFL〜VwR に基づいて車体速度勾配VXK及び推定車体速度VX を算出するようにしてもよく、さらに、車体速度勾配VXK及び推定車体速度VX は演算処理によって求める場合に代えて例えば特開昭61−285163号公報に記載されているように、サンプルホールド回路、微分回路、減算回路、除算回路、傾き発生回路、乗算回路等の電子回路を組み合わせて構成することもできる。
【0150】
さらにまた、上記実施形態においては、マスタシリンダ5から出力される前輪側及び後輪側マスタシリンダ圧を圧力センサ13F,13Rで検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、圧力センサ13F,13Rを省略して制動開始時の車体減速度からマスタシリンダ圧を推定するようにしてもよく、この場合には圧力センサの省略によるコスト低減を図ることができる。
【0151】
なおさらに、上記実施形態においては、後輪側の車輪速度を共通の車輪速センサ3Rで検出するようにした3チャンネルアンチスキッド制御装置について説明したが、これに限らず後輪側の左右輪についても個別に車輪速センサを設け、これに応じて左右のホイールシリンダに対して個別のアクチュエータを設ける所謂4チャンネルのアンチスキッド制御装置にも本発明を適用し得ることは言うまでもない。
【0152】
また、上記実施形態においては、コントローラCRとしてマイクロコンピュータ20を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、比較回路、演算回路、論理回路、関数発生器等の電子回路を組み合わせて構成することもできる。
【0153】
さらに、上記実施形態においては、後輪駆動車に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず前輪駆動車や4輪駆動車にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンチロックブレーキ制御装置の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1のアンチロックブレーキ制御装置に適用し得るアクチュエータの一例を示す構成図である。
【図3】図1のアクチュエータ制御装置に適用し得る車輪速フィルタの一例を示すブロック図である。
【図4】図1に示すアンチスキッド制御装置で実行されるアンチロックブレーキ制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図4の車体速度演算処理のサブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図6】図4の推定ホイールシリンダ圧演算処理のサブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図7】図4の目標増減圧量演算処理のサブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図8】図4のアクチュエータ制御処理のサブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図9】図6における後輪側の推定ホイールシリンダ圧上限値を算出する場合の車体速度勾配と上限値との関係を示す制御マップを表す説明図である。
【図10】第1の実施形態における動作の説明に供するタイムチャートである。
【図11】路面摩擦係数が低い状態から高い状態に変化したときの動作の説明に供するタイムチャートである。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪
2FL〜2RR ホイールシリンダ
3FL〜3R 車輪速センサ
4 ブレーキペダル
5 マスタシリンダ
6FL〜6R アクチュエータ
CR コントローラ
13F,13R 圧力センサ
18FL〜18R 車輪速フィルタ
20 マイクロコンピュータ

Claims (4)

  1. マスタシリンダからのマスタシリンダ圧をもとに制御対象車輪に配設された制動用シリンダの流体圧を制御するアクチュエータと、前記制御対象車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、前記車輪速度検出手段の車輪速度検出値に基づいて車体速度を推定する車体速度推定手段と、前記車輪速度検出手段の車輪速度検出値及び車体速度推定手段の車体速度に基づいて目標増減圧量を算出し、当該目標増減圧量が減圧を示すときに減圧モードを設定し、前記目標増減圧量が増圧を示すときに緩増圧モードを設定し、前記緩増圧モードは1サイクルが第1回目の初期増圧量で増圧する初期増圧状態とこれに続く第2回目以降の複数の緩増圧量で増圧する緩増圧状態とで構成され、前記初期増圧量を第2回目以降の単位時間当たりの緩増圧量に比較して大きく設定され、前記減圧モードで前記アクチュエータを減圧制御し、前記緩増圧モードで前記アクチュエータを緩増圧制御する制動圧制御手段とを備えたアンチロックブレーキ制御装置において、路面摩擦係数を検出する路面摩擦係数検出手段を備え、前記制動圧制御手段は、前記路面摩擦係数検出手段で低路面摩擦係数を検出した場合に、前記緩増圧モードとなったとき前記初期増圧量を前記路面摩擦係数検出手段で高路面摩擦係数検出した場合の増圧量より大きく補正すると共に、前記第2回目以降の前記単位時間当たりの緩増圧量を前記路面摩擦係数検出手段で高路面摩擦係数を検出した場合の単位時間当たりの増圧量より小さく補正する低摩擦係数路面用補正手段を有することを特徴とするアンチロックブレーキ制御装置。
  2. 前記アクチュエータは入力される増圧制御信号がオンの区間前記制動用シリンダを増圧するように構成され、前記低摩擦係数路面用補正手段は、前記路面摩擦係数検出手段で低路面摩擦係数を検出した場合に、前記初期増圧量に続く前記単位時間当たりの緩増圧量を、前記アクチュエータに対する増圧制御信号のオン時間を短く設定して抑制するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のアンチロックブレーキ制御装置。
  3. 前記アクチュエータは入力される増圧制御信号がオンの区間前記制動用シリンダを増圧するように構成され、前記低摩擦係数路面補正手段は、前記路面摩擦係数検出手段で低路面摩擦係数検出した場合に、前記初期増圧量に続く前記単位時間当たりの緩増圧量を、前記アクチュエータに対する増圧制御信号の出力周期を長く設定して抑制するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のアンチロックブレーキ制御装置。
  4. 前記制動圧制御手段は、前記緩増圧モードにおける第1回目からの増圧回数が所定値を越えたときに、前記低摩擦係数路面用補正手段による補正を解除する補正解除手段を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のアンチロックブレーキ制御装置。
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