JP3629896B2 - アンチロックブレーキ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両における制動時の車輪ロックを防止するアンチロックブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアンチロックブレーキ制御装置としては、例えば、特開平8−142849号公報(以下、第1従来例と称す)及び特開平7−117653号公報(以下、第2従来例と称す)に記載されているものが知られている。
【0003】
第1従来例では、減圧開始時に、推定車体速度(対地速度)と車輪速度とに基づく車輪スリップ量と車輪加減速度とに基づいて目標減圧時間を算出し、この目標減圧時間と予め設定した設定減圧時間との何れか小さい値を減圧時間として設定して減圧動作を行い、この減圧時間が経過したときに、所定時間が経過するまでの間は減圧を禁止して保持状態とし、所定時間が経過した後に減圧開始時からの経過時間に基づく最低減圧時間を算出し、前記目標減圧時間が最低減圧時間以上であるときにのみ再度減圧動作を行うようにして、過減圧を防止して正確なアンチロックブレーキ制御を行うようにしている。
【0004】
また、第2従来例では、ブレーキ液圧を制御する際に、目標車輪速度と実車輪速度との偏差を用いたPI制御又はPID制御によってアクチュエータをアンチロックブレーキ制御することを前提として、車輪速度と目標車輪速度とがひとしくなったら積分項を“0”として、過減圧現象をなくして、急制動時でも車輪速復帰後に過減圧現象による制動力が鈍ることを避けるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1従来例のアンチロックブレーキ制御装置にあっては、2回目の減圧を判断する最低減圧時間の設定によっては、頻繁に減圧動作を行って過減圧状態となったり、或いは2回目の減圧が禁止されることによる減圧不足によって車輪スリップ量が大きくなり、これによって減圧タイミングが遅れて減圧量が大きくなることにより車体減速度が低下してしまうという未解決の課題がある。
【0006】
また、第2従来例のアンチロックブレーキ制御装置にあっては、ブレーキ圧の制御量算出に積分項が含まれた形となるため、図9に示すように、車輪速度が目標車輪速度より低下している状態の面積Aと、車輪速度が目標車輪速度を上回っている状態の面積Aとが等しくなるように制御量を決定するので、車輪速度が車両の対地速度と略一致する時間が長くなって減速度不足が発生することになるが、車輪速度が目標車輪速度を上回った時点で積分ゲインを“0”とすることにより、非スリップ状態ではP制御又はPD制御として積分項を有する制御則固有の車輪速度の回復後の過減圧を防止するようにしているだけで、上記第1従来例のように、積分項を含まない制御による問題点を解決するものではない。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、過減圧を確実に防止して良好なアンチロックブレーキ制御を行うことができるアンチロックブレーキ制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係るアンチロックブレーキ制御装置は、複数の車輪の速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速検出手段の車輪速検出値から車輪加速度を演算する車輪加速度演算手段と、少なくとも前記車輪速度検出手段の車輪速度に基づいて車両の対地速度を検出する対地速度検出手段と、制御対象車輪の制動用シリンダの圧力を所定の指令信号に基づいて調整するアクチュエータと、前記車輪速度検出手段の車輪速度、前記車輪加速度演算手段の車輪加速度及び前記対地速度検出手段の対地速度に基づいて車両の制動状態に応じた前記指令信号を求めて出力する制動圧制御手段とを備えたアンチロックブレーキ制御装置において、前記制動圧制御手段は、前記車輪速度検出手段の車輪速度及び対地速度検出手段の対地速度に基づく車輪スリップ量と前記車輪加速度演算手段の車輪加速度とに基づいて各制御対象車輪の目標増減圧量を算出する目標増減圧量算出手段と、該目標増減圧量算出手段の目標増減圧量を実現するように前記アクチュエータのバルブ開時間を決定するバルブ開時間決定手段と、該バルブ開時間決定手段により決定されたバルブ開時間に従って前記アクチュエータに対する前記指令信号を出力する指令信号出力手段と、前記目標増減圧量算出手段で減圧量を算出して前記バルブ開時間決定手段で減圧バルブ開時間を設定し、前記指令信号出力手段で減圧指令信号を出力している状態で、車輪スリップの回復により目標増減圧量の算出値が零又は増圧量となったときに、前記減圧バルブ開時間の経過時間に拘わらず減圧指令信号の出力を中止する減圧中止手段とを備えていることを特徴としている。
【0009】
この請求項1に係る発明においては、目標増減圧量算出手段で算出される目標増減圧量が例えば負となって減圧量となるときに、この目標減圧量となるようにバルブ開時間決定手段で減圧バルブ開時間が決定され、この減圧バルブ開時間に従って指令信号出力手段でアクチュエータに対して減圧指令信号が出力されて、減圧モードに移行して、制動用シリンダの圧力が減圧される。
【0010】
この減圧モードにおいて、車輪スリップが回復して目標増減圧量が減圧量から零又は増圧量となったときには、車輪スリップが収まる方向であると判断して減圧バルブ開時間の経過時間に拘わらずアクチュエータに対する減圧指令信号の出力を中止させることにより、減圧モードから保持モード又は緩増圧モードに変更して、過減圧状態の発生を防止する。
【0011】
また、請求項2に係るアンチロックブレーキ制御装置は、複数の車輪の速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速検出手段の車輪速検出値から車輪加速度を演算する車輪加速度演算手段と、少なくとも前記車輪速度検出手段の車輪速度に基づいて車両の対地速度を検出する対地速度検出手段と、制御対象車輪の制動用シリンダの圧力を所定の指令信号に基づいて調整するアクチュエータと、前記車輪速度検出手段の車輪速度、前記車輪加速度演算手段の車輪加速度及び前記対地速度検出手段の対地速度に基づいて車両の制動状態に応じた前記指令信号を求めて出力する制動圧制御手段とを備えたアンチロックブレーキ制御装置において、前記制動圧制御手段は、前記車輪速度検出手段の車輪速度及び対地速度検出手段の対地速度に基づく車輪スリップ量と前記車輪加速度演算手段の車輪加速度とに基づいて各制御対象車輪の目標増減圧量を算出する目標増減圧量算出手段と、該目標増減圧量算出手段の目標増減圧量を実現するように前記アクチュエータのバルブ開時間を決定するバルブ開時間決定手段と、該バルブ開時間決定手段により決定されたバルブ開時間に従って前記アクチュエータに対する前記指令信号を出力する指令信号出力手段と、該指令信号出力手段で前記アクチュエータに対して減圧指令信号を出力している場合に、前記車輪加速度演算手段の車輪加速度の変化を監視し、その変化が減少方向から上昇方向に変わったときに実行中の減圧動作を中止させる減圧中止手段を備えていることを特徴としている。
【0012】
この請求項2に係る発明においては、上記請求項1の場合と同様に、目標増減圧量が例えば負となって減圧量となるときに、この目標減圧量となるようにバルブ開時間決定手段で減圧バルブ開時間が決定され、この減圧バルブ開時間に従って指令信号出力手段でアクチュエータに対して減圧指令信号が出力されて、減圧モードに移行して、制動用シリンダの圧力が減圧されるが、この減圧モードで車輪加速度が減少方向から上昇方向に転じた場合に、車輪スリップが収まる方向と判断して実行中の減圧動作を中止して、過減圧を防止する。
【0013】
また、請求項3に係るアンチロックブレーキ制御装置は、請求項2に係る発明において、前記減圧中止手段は、1制動サイクル中における減圧が2回目以降の場合に、車輪加速度の変化に応じて実行中の減圧動作を中止することを特徴としている。
【0014】
この請求項3に係る発明においては、1制動サイクルにおける最初の減圧動作は確実に実行されることにより、減圧不足に陥ることを確実に回避することができ、2回目以降の減圧動作について車輪加速度が加速方向に転じたときにその減圧動作を中止して、過減圧を防止する。
【0015】
さらに、請求項4に係るアンチロックブレーキ制御装置は、請求項2又は3に係る発明において、前記減圧中止手段は、減圧実行中の車輪加速度の変化が減少方向から上昇方向に変化して、減圧中止条件が成立したときに、車輪加速度が予め設定した減圧閾値より小さいか否かを判定し、車輪加速度が減圧閾値より大きいときには減圧動作を中止し、減圧閾値より小さいときには減圧動作を継続するように構成されていることを特徴としている。
【0016】
この請求項4に係る発明においては、減圧中止条件が成立したときに、車輪加速度が減圧閾値より小さいとき即ち車輪減速度が大きいときには、車輪のスリップがまだ大きく減圧を中止すると車輪速度の回復に時間がかかりアンチロックブレーキ制御性能が悪化するものと判断して、減圧動作を継続させて車輪速度の回復を早める。
【0017】
さらにまた、請求項5に係るアンチロックブレーキ制御装置は、請求項2又は3に係る発明において、前記減圧中止手段は、減圧実行中の車輪加速度の変化が減少方向から上昇方向に変化して、減圧中止条件が成立したときに、車輪スリップ量が予め設定した設定値より大きいか否かを判定し、車輪スリップ量が設定値より小さいときには減圧動作を中止し、設定値より大きいときには減圧動作を継続するように構成されていることを特徴としている。
【0018】
この請求項5に係る発明においても、減圧中止条件が成立したときに、車輪スリップ量が設定値より大きいときには、車輪速度の回復に時間がかかりアンチロックブレーキ制御性能が悪化するものと判断して、減圧動作を継続させて車輪速度の回復を早める。
【0019】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、目標増減圧量が例えば負となって減圧量となることにより、アクチュエータを制動用シリンダの圧力を減圧させる減圧モードとなったときに、車輪スリップが回復して目標増減圧量が減圧量から零又は増圧量となったときには、車輪スリップが収まる方向であると判断して減圧バルブ開時間の経過如何に拘わらずアクチュエータに対する減圧指令信号の出力を中止させることにより、減圧モードから保持モード又は緩増圧モードに変更されて、過減圧状態の発生を確実に防止することができ、良好なアンチロックブレーキ制御を行って、車体減速度を適正値に維持することができるという効果が得られる。
【0020】
また、請求項2に係る発明によれば、上記と同様減圧モードとなったときに、車輪加速度が減少方向から上昇方向に転じた場合に、車輪スリップが収まる方向と判断して実行中の減圧動作を中止することにより、過減圧状態の発生を確実に防止することができ、良好なアンチロックブレーキ制御を行って、車体減速度を適正値に維持することができるという効果が得られる。
【0021】
さらに、請求項3に係る発明によれば、1制動サイクルにおける最初の減圧動作は確実に実行されることにより、減圧不足に陥ることを確実に回避することができ、2回目以降の減圧動作について車輪加速度が加速方向に転じたときにその減圧動作を中止して過減圧状態の発生を防止し、良好なアンチロックブレーキ制御を行うことができるという効果が得られる。
【0022】
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、減圧中止条件が成立したときに、車輪加速度が減圧閾値より小さいとき即ち車輪減速度が大きいときには、減圧動作を継続させることにより、車輪速度の回復を早めてアンチロックブレーキ制御性能が悪化することを確実に防止することができるという効果が得られる。
【0023】
なおさらに、請求項5に係る発明によれば、上記と同様に、減圧中止条件が成立したときに、車輪スリップ量が設定値より大きいときには、減圧動作を継続させることにより、車輪速度の回復を早めてアンチロックブレーキ制御性能が悪化することを確実に防止することができるという効果が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明をFR(前置きエンジン後輪駆動)車に適用した場合の一実施形態を示す概略構成図である。
【0025】
図中、1FL,1FRは前輪、1RL,1RRは後輪であって、後輪1RL,1RRにエンジンEGからの回転駆動力が変速機T、プロペラシャフトPS及びディファレンシャルギヤDGを介して伝達され、各車輪1FL〜1RRには、それぞれ制動用シリンダとしてのホイールシリンダ2FL〜2RRが取付けられ、さらに前輪1FL,1FRにこれらの車輪回転数に応じたパルス信号PFL,PFRを出力する車輪速度検出手段としての車輪速センサ3FL,3FRが取付けられ、プロペラシャフトPSに後輪の平均回転数に応じたパルス信号Pを出力する車輪速度検出手段としての車輪速センサ3Rが取付けられている。
【0026】
各前輪側ホイールシリンダ2FL,2FRには、ブレーキペダル4の踏込みに応じて前輪側及び後輪側の2系統のマスタシリンダ圧を発生するマスタシリンダ5からのマスタシリンダ圧が前輪側アクチュエータ6FL,6FRを介して個別に供給されると共に、後輪側ホイールシリンダ2RL,2RRには、マスタシリンダ5からのマスタシリンダ圧が共通の後輪側アクチュエータ6Rを介して供給され、全体として3センサ3チャンネルシステムに構成されている。
【0027】
アクチュエータ6FL〜6Rのそれぞれは、図2に示すように、マスタシリンダ5に接続される油圧配管7とホイールシリンダ2FL〜2RRとの間に介装された電磁流入弁8と、この電磁流入弁8と並列に接続された電磁流出弁9、油圧ポンプ10及び逆止弁11の直列回路と、流出弁9及び油圧ポンプ10間の油圧配管に接続されたアキュムレータ12とを備えている。
【0028】
そして、各アクチュエータ6FL〜6Rの電磁流入弁8、電磁流出弁9及び油圧ポンプ10は、車輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス信号PFL〜Pと、各マスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段としての圧力センサ13F及び13Rのマスタシリンダ圧検出値PMCF 及びPMCR と、ブレーキペダル4の踏込みを検出するブレーキスイッチ14からのブレーキペダル踏込時にオン状態となるブレーキスイッチ信号BSとが入力されるコントローラCRからの液圧制御信号EV、AV及びMRによって制御される。
【0029】
コントローラCRは、図1に示すように、車輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス信号PFL〜Pが入力され、これらと各車輪1FL〜1RRの回転半径とから車輪の周速度でなる車輪速度VwFL〜Vwを演算する車輪速演算回路15FL〜15Rと、これら車輪速演算回路15FL〜15Rの車輪速度VwFL〜Vwが入力され、これらに対してその勾配を車体減速度を考慮した比較的小さい値に制限する時間制限フィルタ処理を行う車輪速フィルタ18FL〜18Rと、車輪速演算回路15FL〜15Rの車輪速度VwFL〜Vw、車輪速フィルタ18FL〜18Rのフィルタ出力VfFL〜Vf及び圧力センサ13A,13Bのマスタシリンダ圧検出値PMCF,MCR が入力され、これらに基づいて対地速度Vを算出し、且つ目標ホイールシリンダ圧P FL〜P を算出すると共に、推定ホイールシリンダ圧PFL〜Pを算出し、両者が一致するようにアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EV,AV,MRを出力するマイクロコンピュータ20とを備えており、マイクロコンピュータ20から出力される制御信号が駆動回路22aFL〜22a、22bFL〜22b、22cFL〜22cを介してアクチュエータ6FL〜6Rに供給される。
【0030】
また、マイクロコンピュータ20は、図1に示すように、例えばA/D変換機能を有する入力インタフェース回路20a、出力インタフェース回路20d、演算処理装置20b及び記憶装置20cを少なくとも有し、演算処理装置20bでフィルタ出力Vfに基づいて対地速度Vを算出し、対地速度Vをもとに目標車輪速度Vwを算出すると共に、車輪速度VwFL〜Vwを微分して車輪加速度VwFL′〜Vw′を算出し、車輪速度VwFL〜Vw、車輪加速度VwFL′〜Vw′及び目標車輪速度Vwに基づいて目標ホイールシリンダ圧P FL〜P を算出し、且つマスタシリンダ圧検出値PMCF,MCR 、車体速度勾配VXk及びアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号AV,EVをもとに推定ホイールシリンダ圧PFL〜Pを算出し、これら推定ホイールシリンダ圧PFL〜Pと目標シリンダ圧P FL〜P とが一致するようにアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号AVFL〜AV,EVFL〜EV,MRFL〜MRを出力する。
【0031】
次に、上記実施形態の動作をマイクロコンピュータ20の制御処理を示す図3〜図6を伴って説明する。
図3のアンチロックブレーキ制御処理は所定時間(例えば10msec) 毎のメインプログラムに対するタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で、圧力センサ13F及び13Rのマスタシリンダ圧検出値PMCF 及びPMCR と、各車輪速演算回路15FL〜15Rの車輪速度VwFL〜Vwと、各車輪速フィルタ18FL〜18Rのフィルタ出力VfFL〜Vfとを読込むと共に、車輪速度VwFL〜Vwを微分して車輪加速度VwFL′〜Vw′を算出し、これらを記憶装置20cの所定記憶領域に更新記憶する。
【0032】
次いで、ステップS2に移行して、フィルタ出力VfFL〜Vfをもとに対地速度Vを算出する対地速度演算処理を実行する。この対地速度演算処理としては、例えば特開平8−133062号公報に記載されているように、非制動時には各フィルタ出力VfFL〜Vfの内の一番小さい値を選択するセレクトロー車輪速度Vwを算出してこれを対地速度Vとし、制動時には逆にフィルタ出力VfFL〜Vfの内の一番大きい値を選択してセレクトハイ車輪速度Vwを算出すると共に、このセレクトハイ車輪速度Vwを微分処理して車輪減速度Vw′を算出し、制動開始直後における車輪速度減少時には車輪減速度Vw′が減速度閾値以下となったときのセレクトハイ車輪速度Vwを減速開始車輪速度VS0として設定すると共に、現在の対地速度Vから予め設定した車体速度勾配VXK0 に経過時間を乗算した値を減算することにより対地速度Vを算出し、2回目以降の車輪速度減少時には車輪減速度Vw′が減速度閾値以下となったときに減速開始車輪速度VS0と現在の車輪速度Vwとから対地速度勾配VXKP を算出し、この対地速度勾配VXKP に経過時間を乗算した値を対地速度Vから減算することにより対地速度Vを算出する。
【0033】
次いで、ステップS3に移行して、マスタシリンダ圧検出値PMCF,MCR と前回のアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EVFL〜EV,AVFL〜AVとをもとに各ホイールシリンダ2FL〜2RRの現在のホイールシリンダ圧を推定する推定ホイールシリンダ圧PFL〜Pを算出する推定ホイールシリンダ圧演算処理を実行する。
【0034】
次いで、ステップS4に移行して、下記(1)式の演算を行って目標車輪速度Vwを算出してこれを記憶装置20cに形成した目標車輪速度記憶領域に更新記憶する。
【0035】
Vw=0.8×V …………(1)
次いで、ステップS4aに移行して、目標車輪速度Vwが車輪速度Vwより大きいか否かを判定し、Vw>Vwであるときには、ステップS4bに移行して目標車輪減速度Vw′を“0”に設定してこれを記憶装置20cに形成した目標車輪減速度記憶領域に更新記憶してからステップS5に移行し、Vw≦Vwであるときには、ステップS4cに移行して目標車輪減速度Vw′を予め設定された負の設定値Vw′に設定してこれを目標車輪減速度記憶領域に更新記憶してからステップS5に移行する。
【0036】
ステップS5では、各ホイールシリンダ2FL〜2Rに対する目標ホイールシリンダ圧P FL〜P を算出する目標ホイールシリンダ圧演算処理を実行する。
【0037】
次いで、ステップS6に移行して、推定ホイールシリンダ圧PFL〜Pと目標ホイールシリンダ圧P FL〜P との偏差に応じたアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EV,AV,MRを決定し、これを出力するアクチュエータ制御処理を実行してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0038】
ここで、ステップS3のホイールシリンダ圧推定値演算処理は、図4に示すように、先ずステップS41で、後述するアクチュエータ制御処理における前回のアクチュエータ制御信号を読込み、次いでステップS42に移行して、読込んだアクチュエータ制御信号の状態からホイールシリンダ2j(j=FL,FR,RL,RR)が増圧状態、減圧状態、保持状態の何れであるかを判定し、増圧状態であるときには、ステップS43に移行し、記憶装置20cに形成された推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) を読出し、これと今回マスタシリンダ圧PMCとをもとに記憶装置20cに予め記憶されたこのステップS43内に図示した推定増圧量算出制御マップを参照して推定増圧量ΔPiAを算出する。
【0039】
ここで、推定増圧量算出制御マップは、マスタシリンダ圧PMCを一定としたときに前回ホイールシリンダ圧P(n−1) の増加によって推定増圧量ΔPiAが増加し、且つマスタシリンダ圧PMCの増加によって推定増加量ΔPiAの最大値が増加するように設定されている。
【0040】
次いで、ステップS44に移行して、下記(2)式に示すように、推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) と推定増圧量ΔPiAとを加算して今回の推定ホイールシリンダ圧P(n) を算出する。
【0041】
(n) =P(n−1) +ΔPiA …………(2)
次いで、ステップS45に移行して、下記(3)式に示すように、算出した今回推定ホイールシリンダ圧P(n) と現在のマスタシリンダ圧PMCとを比較し、何れか小さい値を今回推定ホイールシリンダ圧P(n) として前記推定ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶してからサブルーチン処理を終了して図3におけるステップS4の目標車輪速度算出処理に移行する。
【0042】
(n) =min{P(n) ,PMC} …………(3)
また、ステップS42の判定結果が、ホイールシリンダ2j(j=FL,FR,RL,RR)が保持状態であるときにはそのままサブルーチン処理を終了して図3におけるステップS4の目標車輪速度算出処理に移行し、減圧状態であるときにはステップS48に移行して推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) を読出し、これをもとに記憶装置20cに予め記憶された前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) と推定減圧量ΔPiDとの関係を表す図4のステップS48内に図示の制御マップを参照して推定減圧量ΔPiDを算出してからステップS49に移行する。ここで、推定減圧量算出制御マップは、前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) の増加に比例して推定減圧量ΔPiDが増加するように設定されている。
【0043】
ステップS49では、下記(4)式に示すように、推定ホイールシリンダ圧記憶領域に記憶されている前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) から推定減圧量ΔPiDを減算して今回の推定ホイールシリンダ圧P(n) を算出する。
【0044】
(n) =P(n−1) −ΔPiD …………(4)
次いで、ステップS50に移行して、下記(5)式に示すように、算出した今回推定ホイールシリンダ圧P(n) と“0”とを比較し、何れか大きい値を今回推定ホイールシリンダ圧P(n) として前記推定ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶してからサブルーチン処理を終了して図3におけるステップS4の目標車輪速度算出処理に移行する。
【0045】
(n) =max{P(n) ,0} …………(5)
この図4の処理において、ステップS41〜ステップS45の処理が制動用シリンダ圧推定手段を構成している。
【0046】
さらに、前記図3におけるステップS5の目標ホイールシリンダ圧演算処理は、図5に示すように、先ず、ステップS51で、車輪速度Vw、目標車輪速度Vw、車輪加減速度Vw′及び目標車輪加減速度Vw′に基づいて下記(6)式の演算を行うことにより、比例・微分制御(PD制御)による目標増減圧量ΔPを算出し、これを記憶装置20cの目標増減圧量記憶領域に更新記憶する。
【0047】
ΔP=K(Vw−Vw)+K(Vw′−Vw′)……(6)
この(6)式において、右辺第1項が比例制御項であり、右辺第2項が微分制御項であり、Kは比例ゲイン、Kは微分ゲインである。
【0048】
次いで、ステップS52に移行して、目標車輪速度Vwが車輪速度Vwより大きく且つ目標増減圧量ΔPが正であるか否かを判定し、Vw>Vw且つΔP>0であるときには、ステップS53に移行して、目標増減圧量ΔPを“0”として目標増減圧量記憶領域に更新記憶してからステップS55に移行し、そうでないときにはステップS54に移行する。
【0049】
このステップS54では、目標車輪速度Vwが車輪速度Vw以下で且つ目標増減圧量ΔPが負であるか否かを判定し、Vw≦Vw且つΔP<0であるときには前記ステップS53に移行し、そうでないときにはステップS55に移行する。
【0050】
ステップS55では、後述する図6のアクチュエータ制御処理における目標シリンダ圧P と実際のシリンダ圧Pとの誤差を修正するための増減圧周期mが“1”であるか否かを判定し、m≠1であるときにはそのままサブルーチン処理を終了して図3におけるステップS6のアクチュエータ制御処理に移行し、m=1であるときにはステップS56aに移行する。
【0051】
このステップS56aでは、前記ステップS51で算出した目標増減圧量ΔPが予め設定した所定値Pより小さいか否かを判定し、ΔP<Pであるときには、そのまま後述するステップS57にジャンプし、ΔP≧PであるときにはステップS56bに移行して総減圧量に応じた増圧量の設定を許可するか否かを表す初期緩増圧許可フラグFが“1”にセットされているか否かを判定し、F=1であるときには、そのまま後述するステップS57に移行し、F=0であるときには、ステップS56cに移行する。
【0052】
このステップS56cでは、初期緩増圧許可フラグFを“1”にセットしてからステップS56dに移行する。
このステップS56dでは、下記(7)式に示すように、ステップS51で算出した目標増減圧量ΔPと前回減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧PPEAKから現在の推定ホイールシリンダ圧Pを減算した値を2で除した値(PPEAK−P)/2とを比較し、何れか大きい値を目標増減圧量ΔPとして設定し、これを目標増減圧量記憶領域に更新記憶してからステップS57に移行する。
【0053】
ΔP=max{ΔP,(PPEAK−P)/2} …………(7)
このステップS57では、下記(8)式に示すように、“0”と推定ホイールシリンダ圧Pに目標増減圧量ΔPを加算した加算値(P+ΔP)とを比較し、何れか大きい値を目標ホイールシリンダ圧P として算出し、次いでステップS58に移行して、下記(9)式に示すように、マスタシリンダ圧PMCと目標ホイールシリンダ圧P とを比較して、何れか小さい値を目標ホイールシリンダ圧P として決定し、これを記憶装置20cの目標ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶してからサブルーチン処理を終了して図3におけるステップS6のアクチュエータ制御処理に移行する。
【0054】
=MAX(0,P+ΔP) …………(8)
=MIN(PMC,P ) …………(9)
さらにまた、図3におけるステップS6のアクチュエータ制御処理は、図7に示すように、先ず、ステップS61で、前述した目標シリンダ圧演算処理で算出された目標シリンダ圧P FLがマスタシリンダ圧PMCと一致しているか否かを判定し、両者が一致しているときには、ステップS62に移行して、アンチロックブレーキ制御中を表すブレーキ制御フラグASを“0”にリセットし、次いでステップS63に移行して、出力する制御信号のオン時間を表す増減圧時間Tを増圧時間を表す“1”に設定し、これを記憶装置30cに形成した増減圧時間記憶領域に更新記憶し、次いでステップS63aに移行して減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧PPEAKを“0”に設定すると共に、初期増圧判断フラグFを“1”に設定し、次いでステップS64に移行して目標シリンダ圧P FLと実際のシリンダ圧PFLとの誤差を監視する周期を表す増減圧周期mを“1”に設定してからステップS65に移行する。
【0055】
このステップS65では、増減圧時間Tが正であるか、“0”であるか、さらには負であるかを判定し、T>0であるときには、増圧モードであるものと判断してステップS66に移行し、増減圧時間Tから“1”を減算した値を新たな増減圧時間Tとし、これを前記増減圧時間記憶領域に更新記憶し、次いでステップS67に移行して共に論理値“0”の制御信号EV及びAVを増圧信号として駆動回路22a及び22bに出力し、次いでステップS67aに移行して、減圧状態フラグFを“0”にクリアしてからサブルーチン処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0056】
また、ステップS65の判定結果がT=0であるときには、ステップS68に移行して論理値“1”の制御信号EV及び論理値“0”の制御信号AVを保持信号として駆動回路22a及び22bに出力してからサブルーチン処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0057】
さらに、ステップS65の判定結果がT<0であるときには、ステップS69に移行してアンチスキッド制御フラグASを“1”にセットし、次いでステップS70に移行して、増減圧時間Tに“1”を加算した値を新たな増減圧時間Tとしてこれを増減圧時間記憶領域に更新記憶し、次いでステップS71に移行して、共に論理値“1”の制御信号EV及びAVを駆動回路22a及び22bに出力し、次いでステップS71aに移行して、減圧状態フラグFが“0”にクリアされているか否かを判定し、F=1であるときにはそのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、F=0であるときにはステップS71bに移行して減圧状態フラグFを“1”に設定し、このときの推定ホイールシリンダ圧Pを減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧PPEAKとして設定し、さらに初期増圧判断フラグFを“0”にリセットしてからサブルーチン処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0058】
また、前記ステップS61の判定結果が目標シリンダ圧P FLとマスタシリンダ圧PMCとが不一致であるときには、ステップS72に移行し、増減圧周期mから“1”を減算した値を新たな増減圧周期mとして増減圧周期記憶領域に更新記憶してからステップS73に移行する。
【0059】
このステップS73では、増減圧周期mが正であるか否かを判定し、m=0であるときには、ステップS74に移行する。
このステップS74では、目標ホイールシリンダ圧P と推定ホイールシリンダ圧検出値Pとの誤差Perr (=P −P)を算出してからステップS75に移行する。
【0060】
このステップS75では、誤差Perr が零を含む正であるか負であるかを判定し、Per≧0であるときにはステップS76に移行して誤差Perr を基準値Pで除算した値を四捨五入する下記(10)式に従って増減圧時間Tを算出してからステップS78に移行する。
【0061】
=INT(Perr /P) …………(10)
また、ステップS75の判定結果がPerr <0であるときには、ステップS77aに移行して、減圧状態フラグFが“1”にセットされているか否かを判定し、F=0であるときには第1回目の減圧状態であるものと判断してステップS77bに移行し、減圧回数Nを“1”に設定し、これを記憶装置20cに形成した減圧回数記憶領域に更新記憶してからステップS77dに移行し、F=1であるときには第2回目以降の減圧状態であるものと判断してステップS77cに移行し、減圧回数Nを“1”だけインクリメントしてからステップS77dに移行する。
【0062】
ステップS77dでは、誤差Perr に定数K乗じた値を推定ホイールシリンダ圧Pと基準値Pとの和で除算した値を四捨五入する下記(11)式に従って増減圧時間Tを算出してからステップS78に移行する。
【0063】
=INT{K・Perr /(P+P)} …………(11)
ステップS78では、増減圧時間記憶領域に記憶されている増減圧時間Tが“0”であるか否かを判定し、T=0であるときには、ステップS79に移行して増減圧周期mを“1”に設定しこれを増減圧周期記憶領域に更新記憶してから前記ステップS65に移行し、T≠0であるときにはステップS80に移行して増減圧周期mを正の所定値m(例えばm=5)に設定しこれを増減圧周期記憶領域に更新記憶してから前記ステップS65に移行する。
【0064】
一方、前記ステップS73の判定結果が、増減圧周期mが正の値であるときには、緩増圧状態又は減圧状態を継続しているものと判断してステップS81に移行する。
【0065】
このステップS81では、増減圧時間記憶領域に記憶されている増減圧時間Tが負であるか否かを判定し、T>0であるときには緩増圧状態であると判断してそのまま前記ステップS65に移行し、T<0であるときには減圧状態であると判断してステップS82に移行する。
【0066】
このステップS82では、前述した図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理で算出される増減圧量ΔPが零又は正であるか否かを判定し、ΔP≧0であるときには、車輪速度Vwが回復傾向にあるものと判断してステップS83に移行し、増減圧時間Tを“0”に設定し、これを増減圧時間記憶領域に更新記憶してから前記ステップS65に移行し、ΔP<0であるときには、車輪速度Vwが減少傾向を継続しているものと判断してステップS84に移行する。
【0067】
このステップS84では、今回の制御対象車輪が前輪1FL,1FR側であるか否かを判定し、制御対象車輪が後輪側であるときには、前記ステップS65に移行し、前輪側であるときにはステップS85に移行する。
【0068】
このステップS85では、車輪速度Vwが予め設定した停車寸前の設定値例えば2km/hを越えているか否かを判定し、Vw≦2km/hであるときには前記ステップS65に移行し、Vw>2km/hであるときにはステップS86に移行する。
【0069】
このステップS86では、減圧回数記憶領域に記憶されている減圧回数Nが“2”以上であるか否かを判定し、N<2であるときには、第1回目の減圧状態であると判断して前記ステップS65に移行し、N≧2であるときには、第2回目以降の減圧状態であると判断してステップS87に移行する。
【0070】
このステップS87では、今回の車輪加減速度Vw′(n) が前回の車輪加減速度Vw′(n−1) より大きい値となっているか否かを判定し、Vw′(n) ≦Vw′(n−1) であるときには車輪速度が減少傾向を継続して車輪スリップが増大する傾向にあるものと判断して前記ステップS65に移行し、Vw′(n) >Vw′(n−1) であるときには車輪速度の減少傾向が弱まって車輪スリップが収まる傾向にあるものと判断してステップS88に移行する。
【0071】
このステップS88では、車輪加減速度Vw′が予め設定された設定値−10Gより大きい値即ち車輪加減速度Vw′の絶対値が設定値“10”より小さく減速度が小さい値であるか否かを判定し、Vw′<−10Gであるときには、車輪減速度が大きく減圧状態を維持する必要があるものと判断して前記ステップS65に移行し、Vw′≧−10Gであるときには車輪減速度が小さく減圧状態を維持する必要がないものと判断してステップS89に移行する。
【0072】
このステップS89では、目標車輪速度Vwが予め設定した設定車速15km/hを越えているか否かを判定し、Vw≦15km/hであるときには減圧状態を解消可能な状態であると判断して前記ステップS83に移行し、Vw>15km/hであるときにはステップS90に移行する。
【0073】
このステップS90では、車輪速度Vwが目標車輪速度Vwから予め設定された設定値15km/hを減算した値より小さいか否かを判定し、Vw≧Vw−15km/hであるときには車輪スリップ量が適度であって、減圧状態を解消可能な状態であると判断して前記ステップS83に移行し、Vw<Vw−15km/hであるときには車輪スリップ量が大きすぎて減圧状態を維持する必要があると判断して前記ステップS65に移行する。
【0074】
ここで、図6の処理において、ステップS75,S76,S77a〜S77dの処理がバルブ開時間決定手段に対応し、ステップS65〜S67,S67a,S68〜S71,S71a,S71bの処理が指令信号出力手段に対応し、ステップS81〜S90の処理が減圧中止手段に対応している。
【0075】
したがって、車両が乾燥した舗装路等の比較的摩擦係数の高い良路を非制動状態で定速走行している状態では、ブレーキスイッチ14がオフ状態であるので、図3の対地速度演算処理が実行されたときに、車輪速度VwFL〜Vwのフィルタ出力VfFL〜Vfのうちの最も小さい値をセレクトロー車輪速度Vwとして選択し、選択されたセレクトロー車輪速度Vwを対地速度Vとして対地速度記憶領域に更新記憶する。このように、セレクトロー車輪速度Vwを対地速度Vとして設定することにより、駆動輪となる後輪1RL及び1RRでスリップを生じて車輪速度Vwが増加した場合でも、対地速度に対応している非駆動輪となる前輪1FL及び1FRの車輪速度VwFL及びVwFRの何れか小さい方が選択され、駆動輪でのスリップの影響を受けない正確な対地速度Vを算出することができる。
【0076】
次いで、図4の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されると、車両が非制動状態であるので、後述するアクチュエータ制御処理でアクチュエータ6iに対する制御信号EVi,AVi,MRを共に論理値“0”とする増圧信号を出力しているので、ステップS42からステップS43に移行し、定速走行状態を継続していることにより、前回の推定ホイールシリンダ圧P(n−1) が零であり、ブレーキペダル4を踏込んでいないので、今回のマスタシリンダ圧PMCF,MCR も零であるので、推定増圧量ΔPiAも零となり、したがって、ステップS44,S45で算出される今回の推定ホイールシリンダ圧P(n) も零となる。
【0077】
さらに、図3のステップS4で算出される目標車輪速度Vwは図7(a)で一点鎖線図示のように対地速度Vの80%に設定されるので、実際の車輪速度Vwより低い値となり、ステップS4aからステップS4cに移行して目標車輪減速度Vw′が図7(b)に示すように所定値−Vw′に設定される。
【0078】
この結果、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS51で算出される目標増減圧量ΔPは、図7(c)に示すように、Vw≦Vwであり、車輪加減速度Vw′が零、目標車輪減速度Vw′が負の所定値−Vw′であることにより、正の比較的大きな値となる。このため、ステップS54からステップS55に移行し、後述するように図6のアクチュエータ制御処理で緩増減圧周期mが“1”にセットされていることにより、ステップS56aに移行して、目標増減圧量ΔPが所定値より大きいので、ステップS56bに移行し、後述するアクチュエータ制御処理で初期増圧判断フラグFが“1”にセットされていることにより、ステップS57に移行して、推定ホイールシリンダ圧Pが零であるが目標増減圧量ΔPが正の値であることにより、目標ホイールシリンダ圧P としてP+ΔP=ΔPが選択されるが、ステップS58でマスタシリンダ圧PMCF,MCR が零であることにより、最終的に目標ホイールシリンダ圧P は零に設定され、これが目標ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶される。
【0079】
次いで、図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、目標ホイールシリンダ圧P 及びマスタシリンダ圧PMCF,MCR が共に零であることにより、両者が一致するため、ステップS61からステップS62に移行して、ブレーキ制御フラグASが非制御中を表す“0”にリセットされ、次いでステップS63で増減圧時間Tが“1”にセットされ、次いでステップS63aで前回減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧PPEAKが“0”にクリアされると共に、初期増圧判断フラグFが“1”にセットされ、さらにステップS64で緩増減圧周期mが“1”に設定される。
【0080】
そして、ステップS65でT>0であるので、ステップS66に移行して、増減圧時間Tが零となり、次いでステップS67に移行して、共に論理値“0”の制御信号EV及びAVを増圧信号としてアクチュエータ6iに出力することにより、前輪及び後輪側のホイールシリンダ2FL,2FR及び2RL,2RRがマスターシリンダ5と連通状態に制御される。
【0081】
このとき、ブレーキペダル4は踏込まれていないので、マスターシリンダ5から出力されるシリンダ圧力は零となっているので、各ホイールシリンダ2FL〜2RRのシリンダ圧力も零となっており、制動力を発生することはなく、非制動状態を継続する。
【0082】
この定速走行状態から、図7の時点tでブレーキペダル4を踏込んで制動状態とすると、図6の車体速度演算処理が実行されたときに、セレクトハイ車輪速度Vwが算出され、これに基づいて対地速度Vの算出が行われセレクトハイ車輪速度Vwの低下に応じて算出する対地速度Vが減少する。
【0083】
一方、図4の推定ホイールシリンダ圧演算処理においては、マスタシリンダ圧PMCF,MCR が急増することにより、これと前回推定ホイールシリンダ圧Pとによって推定増圧量ΔPiAが決定されるが、前回の推定ホイールシリンダ圧Pが零であるので、推定増圧量ΔPiAはマスタシリンダ圧PMCF,MCR のみに依存する値となるので、今回の推定ホイールシリンダ圧P(n) がマスタシリンダ圧PMCF,MCR に一致することになる。
【0084】
このため、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、車輪加減速度Vw′が負方向に増加するが、目標増減圧量ΔPは図7(c)に示すように依然として正の値を継続し、且つ推定ホイールシリンダ圧Pが増加したことにより、ステップS57で算出される目標ホイールシリンダ圧P がマスタシリンダ圧PMCF,MCR より大きな値となるが、ステップS58でマスタシリンダ圧PMCF,MCR が目標ホイールシリンダ圧P として決定され、これが目標ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶される。
【0085】
したがって、図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、目標ホイールシリンダ圧P とマスタシリンダ圧PMCF,MCR とが一致するので、アクチュエータ6iに対する増圧状態を継続し、これによってホイールシリンダ2iのホイールシリンダ圧が図7(g)に示すように急増する。このため、各車輪1iの車輪速度Vwが図7(a)に示すように、時点tから減少し始める。
【0086】
なお、図7では、説明を簡単にするために、対地速度Vを直線的に表しているが、実際には、各車輪速度VwFL, VwFR及びVwのフィルタ出力VfFL〜Vfのセレクトハイ車輪速度をもとに算出するので、セレクトハイ車輪速度のピークを通る折れ線状となる。
【0087】
その後、時点tで図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理におけるステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが図7(c)に示すように“0”となると、目標ホイールシリンダ圧P と推定ホイールシリンダ圧Pとが等しい値となって、目標ホイールシリンダ圧P の増加が停止される。
【0088】
このように、目標ホイールシリンダ圧P の増加が停止されるが、マスタシリンダ圧PMCF,MCR は、図7(g)で破線図示のように増加を継続するので、図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、目標ホイールシリンダ圧P とマスタシリンダ圧PMCF,MCR とが不一致となり、このためステップS61からステップS72に移行し、前回の処理時に増減圧周期mが“1”に設定されているので、この増減圧周期mから“1”を減算するので、増減圧周期mが“0”となる。
【0089】
このため、ステップS73からステップS74に移行して、目標ホイールシリンダ圧P と推定ホイールシリンダ圧Pとの誤差Perr を算出したときに、目標ホイールシリンダ圧P と推定ホイールシリンダ圧Pとが等しいので、誤差Perr は“0”となるため、ステップS75からステップS76に移行して、前記(10)式の演算を行うことにより、増減圧時間Tが“0”に設定され、これに応じてステップS78からステップS79に移行して、増減圧周期mが再度“1”にセットされてからステップS65を経てステップS68に移行する。
【0090】
この結果、論理値“1”の制御信号EV及び論理値“0”の制御信号AVが保持信号としてアクチュエータ6iに出力され、これに応じて流入弁8が閉状態となると共に、流出弁9は閉状態を維持するので、ホイールシリンダ2iとマスターシリンダ5との間が遮断されて、ホイールシリンダ2iのシリンダ圧が図7(g)に示すように一定値に維持される保持モードとなる。
【0091】
このように、ホイールシリンダ2iのシリンダ圧が一定値に保持される保持モードとなると、図4の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS42からそのままサブルーチン処理を終了することになり、前回の推定ホイールシリンダ圧Pが保持される。
【0092】
一方、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、そのステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが図7(c)に示すように、負方向に増加することになるが、目標車輪速度Vwが車輪速度Vw以下の状態を継続しているので、ステップS54からステップS53に移行して、目標増減圧量ΔPが図7(d)に示すように“0”に制限され、前回の図6のアクチュエータ制御処理において、緩増減圧周期mが“1”にセットされているので、ステップS55からステップS56aに移行して、目標増減圧量ΔPが設定値Pより小さいので、ステップS57に移行して、前回の推定ホイールシリンダ圧P(n−1) を保持する現在の推定ホイールシリンダ圧P(n) をそのまま目標ホイールシリンダ圧P として設定し、且つマスタシリンダ圧PMCF,MCR が増加状態を継続していることから設定された目標ホイールシリンダ圧P がそのまま更新記憶される。
【0093】
このため、図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、前回の処理時と同様に、ステップS68に移行して、アクチュエータ6iの保持モードが継続される。
【0094】
その後、車輪速度Vwが減少して、時点tで目標車輪速度Vw以下となると、図3の処理が実行されたときには、そのステップS4aからステップS4bに移行して、目標車輪減速度Vw′が“0”に設定される。この状態で、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されると、そのステップS51で算出される目標増減圧量ΔPは、図7(c)に示すように、負方向への増加を継続しており、目標車輪速度Vwが車輪速度Vw以上となるので、ステップS52,S54,S55を経てステップS56aに移行し、目標増減圧量ΔPが設定値Pより小さいので、そのままステップS57に移行し、目標ホイールシリンダ圧P が推定ホイールシリンダ圧Pから目標増減圧量ΔPを減算した値に設定される。
【0095】
このため、図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS74で算出する誤差Perr が負の値となるため、ステップS75からステップS77aに移行し、減圧状態フラグFが“0”にリセットされているので、ステップS77bに移行して、減圧回数Nを第1回目を表す“1”に設定してからステップS77dに移行して、前記(11)式の演算を行って減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧Pに応じた減圧時間即ち流出バルブ9の開時間を表す負の増減圧時間Tが図7(f)に示すように設定され、次いでステップS78からステップS80に移行して、緩増減圧周期mを図7(e)に示すように所定値mに設定してからステップS65を経てステップS69に移行し、ブレーキ制御フラグASを“1”にセットし、次いでステップS70に移行して、増減圧時間Tに“1”を加算した値を新たな増減圧時間Tとして更新記憶し、次いでステップS71に移行して共に論理値“1”の制御信号EV、AV及びMRを減圧信号としてアクチュエータ6iに出力する。このため、アクチュエータ6iの流入弁8が閉状態を維持するが、流出弁9が開状態となると共に、ポンプ10が回転駆動されて、ホイールシリンダ2i内の作動油がマスタシリンダ5側に排出され、これによってホイールシリンダ2iのシリンダ圧が図7(g)に示すように減圧開始される。
【0096】
このとき、前回処理時に減圧状態フラグFが“0”にクリアされているので、ステップS71aからステップS71bに移行して、減圧状態フラグFが“1”にセットされ、減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧PPEAKとしてそのときの推定ホイールシリンダ圧Pが設定され、且つ初期増圧判断フラグFが図7(h)に示すように“0”にリセットされる。
【0097】
このように減圧状態となると、図4の推定ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS42からステップS48に移行して、前回の推定ホイールシリンダ圧P(n−1) に基づいて推定減圧量ΔPiDが算出され、次いでステップS49で前回推定ホイールシリンダ圧P(n−1) から推定減圧量ΔPiDを減算した値が今回推定ホイールシリンダ圧P(n) として設定され、これが更新記憶される。
【0098】
また、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理では、前回のアクチュエータ制御処理において、初期増圧判断フラグFが“0”にリセットされ、且つ減圧開始直前の推定ホイールシリンダ圧PPEAKとしてそのときの推定ホイールシリンダ圧Pがセットされているが、ステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが図7(c)に示すように負であるため、ΔP<Pとなり、ステップS56aからそのままステップS57に移行して、推定ホイールシリンダ圧Pに負の目標増減圧量ΔPを加算した値即ち推定ホイールシリンダ圧Pが前回値より目標増減圧量ΔPだけ小さい目標ホイールシリンダ圧P が設定され、これが目標ホイールシリンダ圧記憶領域に更新記憶され、初期増圧判断フラグFの判断が省略される。
【0099】
一方、ブレーキ制御フラグASが“1”にセットされたことにより、図3の対地速度演算処理が実行されたときに、対地速度Vから対地速度勾配VXKを減算した値を新たな対地速度Vとして更新記憶することにより、算出される対地速度Vが減少する。
【0100】
その後、時点tで、次回の図6のアクチュエータ制御処理が実行されると、前回の処理時に、増減圧周期mが設定値mに設定されているので、ステップS72で増減圧周期mがデクリメントされても“0”より大きい値であるので、ステップS73からステップS81に移行し、増減圧時間Tが負の値であるので、ステップS82に移行する。
【0101】
このとき、目標増減圧量ΔPは、図7(c)に示すように負の値であり、ΔP<0であるので、ステップS84に移行し、例えば制御対象車輪が前輪であるときには、ステップS85に移行し、車輪速度Vwが高速であるので、ステップS86に移行し、減圧回数Nが前回の処理時に“1”にセットされているので、そのままステップS65に移行して、減圧処理を継続する。
【0102】
このように、増減圧周期mが“0”より大きい値である間は、ステップS73からステップS81に移行することになり、この間に増減圧時間Tの演算は行われることがないので、増減圧周期mが“0”となるまでは減圧解除条件が成立しない限り減圧状態が維持され、ホイールシリンダ圧Pが図7(g)に示すように減少を継続する。
【0103】
一方、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理においても、増減圧周期mが“1”となるまでの間は、ステップS55からそのまま処理を終了するので、目標ホイールシリンダ圧Pは変更されることなく前回値を維持する。
【0104】
そして、時点tで増減圧周期mが“1”となると、次の演算周期となる時点tで図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理において、ステップS55からステップS56aに移行するが、この時点ではステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが“0”であり、設定値Pより小さいのでステップS56aからステップS57に移行して、目標ホイールシリンダ圧Pを算出する。
【0105】
このとき、目標増減圧量ΔPが“0”であるので、目標ホイールシリンダ圧Pも前回のホイールシリンダ圧Pを維持することになる。
このため、図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS72で増減圧周期mが“0”となるので、ステップS73からステップS74に移行し、誤差Perr が“0”となるので、ステップS76に移行し、増減圧時間Tが“0”となり、ステップS78からステップS79に移行して増減圧周期mを“1”に設定してからステップS65を経てステップS68に移行して、アクチュエータ6iを保持モードに制御し、ホイールシリンダ圧Pが図7(g)に示すように一定値に保持される。
【0106】
このように、保持モードとなると、増減圧周期mが“1”に設定されることにより、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行される毎にステップS55からステップS56aに移行して、目標ホイールシリンダ圧Pの算出が行われると共に、図6の処理が実行される毎にステップS72で増減圧周期mがデクリメントされて“0”となるので、ステップS73からステップS74に移行して、増減圧時間Tの演算処理が行われる。
【0107】
そして、時点tで図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理におけるステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが図7(c)に示すように設定値P以上となるが、この時点tでは目標車輪速度Vwが車輪速度Vwより大きく且つ目標増減圧量ΔPが正であるので、ステップS52からステップS53に移行して、目標増減圧量ΔPが図7(d)に示すように“0”に設定されることにより、ステップS56bからステップS57に移行して、保持モードを継続する。
【0108】
その後、時点tで車輪速度Vwが図7(a)に示すように目標車輪速度Vw以上となると、このときの図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理におけるステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが図7(c)に示すように設定値Pより大きい正であるので、ステップS52,S54を経てステップS55に移行し、前回までの保持モードで増減圧周期mが“1”にセットされているので、ステップS56aに移行し、ΔP≧Pであるので、ステップS56bに移行し、初期増圧判断フラグFが図7(h)に示すように“0”にリセットされているので、ステップS56cに移行して、初期増圧判断フラグFを“1”にセットしてからステップS56dに移行し、減圧開始時におけるホイールシリンダ圧PPEAKと現在の推定ホイールシリンダ圧Pとの減算値の半分の初期増圧量とステップS51で算出した目標増減圧量ΔPとを比較し、初期増圧量の方が大きい値となるので、これが目標増減圧量ΔPとして設定され、この目標増減圧量ΔPが現在ホイールシリンダ圧Pに加算されて目標ホイールシリンダ圧P が算出される。
【0109】
したがって、図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS72,S73,S75を経てステップS76に移行し、図7(f)に示すように初期増圧量に基づく目標増減圧量ΔPに応じた正の増減圧時間Tが設定される。
【0110】
このため、ステップS78からステップS80に移行して、増減圧周期mを設定値mに設定してからステップS65に移行し、増減圧時間Tが正であるので、ステップS66に移行して増減圧時間TをデクリメントしてからステップS67に移行して、流入弁8を開状態とする論理値“0”のEV信号及び流出弁9を閉状態とする論理値“0”のAV信号をアクチュエータ6iに出力してからステップS67aに移行し、減圧状態フラグFを“0”にリセットする。
【0111】
このため、ホイールシリンダ圧Pが図7(g)に示すように、前回の減圧モードにおける総減圧量の半分程度まで急増圧され、時点tで増減圧量Tが零となっていることにより、ステップS65からステップS68に移行して、保持状態となる。
【0112】
その後時点t10で前回のアクチュエータ制御処理で増減圧周期mが“1”となっていることにより、図5の目標ホイールシリンダ圧制御処理が実行されたときに、ステップS55からステップS56aを経てステップS56bに移行し、初期増圧判断フラグFが図7(h)に示すように“1”にセットされていることより、直接ステップS57に移行して、ステップS51で算出される目標増減圧量ΔPがホイールシリンダ圧Pに加算されて目標ホイールシリンダ圧P が算出される。
【0113】
このため、続いて図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS72で増減圧周期mが“0”となることにより、ステップS73からステップS74を経てステップS75に移行し、誤差Perr が正の値であるので、ステップS76に移行し、増減圧時間Tを図7(f)に示すように例えば正の整数“1”に設定し、次いでステップS80に移行して増減圧周期mを設定値mに設定してからステップS65に移行し、T=1>0であるので、ステップS66に移行して、増減圧時間Tを“0”としてからステップS67に移行して、増圧モードに設定する。
【0114】
このため、図6のアクチュエータ制御処理の制御1周期分だけ流入弁8が開状態となることにより、ホイールシリンダ圧Pが図7(g)に示すようにステップ状に増加することになる。
【0115】
そして、この緩増圧モードが時点t11及びt12で繰り返された後、時点t13で図6のアクチュエータ制御処理におけるステップS72で算出される増減圧周期mが“1”となることにより、次の演算周期となる時点t14で図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理におけるステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが“0”となり設定値Pより小さくなるので、ステップS56aから直接ステップS57に移行して、推定ホイールシリンダ圧Pと等しい目標ホイールシリンダ圧P が設定される。
【0116】
続いて、図6のアクチュエータ制御処理が実行されることにより、そのステップS72で増減圧周期mが“0”となるため、ステップS73からステップS74に移行し、誤差Perr が“0”となるので、ステップS76に移行して増減圧時間Tが“0”に設定されると共に、ステップS79で増減圧周期mが“1”に設定される。
【0117】
このため、ステップS65からステップS68に移行して、アクチュエータ6iが保持モードに制御される。
この保持モードでも車輪速度Vwは減少傾向を維持し、時点t15で車輪速度Vwが目標車輪速度Vw以下となると、図3のステップS4aからステップS4bに移行して、目標車輪加速度Vw′が“0”に設定されるので、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理におけるステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが図7(c)に示すように負の大きな値となり、これに応じてステップS57で算出される目標ホイールシリンダ圧P が減少する。
【0118】
このため、図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS72で算出される増減圧周期mが“0”となるので、ステップS73からステップS74に移行し、誤差Perr が負の大きな値となるので、ステップS77aに移行する。
【0119】
このとき、減圧状態フラグFは前述した時点tにおける緩増圧処理におけるステップS67aで“0”にリセットされていることにより、ステップS77bに移行して、減圧回数Nが“1”に設定され、次いでステップS77dに移行して、図7(f)に示すように、減圧開始時の推定ホイールシリンダ圧Pに依存する負の大きな値となる増減圧時間Tが算出され、次いでステップS80に移行して増減圧周期mが図7(e)に示すように設定値mに設定される。
【0120】
このため、ステップS65、S69,S70を経てステップS71に移行し、前述した時点tと同様にアクチュエータ6iが減圧モードに設定され、ホイールシリンダ圧Pが図7(g)に示すように減少を開始する。
【0121】
このホイールシリンダ圧Pの減少によって、車輪速度Vwが回復傾向となり、減圧モードを維持している間即ち増減圧時間Tが負で且つ増減圧周期mが“2”以上である間の時点t16で図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理におけるステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが“0”となると、図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS73からステップS81を経てステップS82に移行し、ΔP=0であるので、ステップS83に移行し、増減圧時間Tが“0”にクリアされる。
【0122】
このため、ステップS65からステップS68に移行することになり、減圧モードから保持モードに切換えられ、車輪速度Vwが回復傾向となったときの過減圧を確実に防止することができる。
【0123】
その後、時点t17で車輪速度Vwが図7(a)に示すように目標車輪速度Vw以上となると共に、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理におけるステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが正の大きな値となり、しかも前回の演算周期で増減圧周期mが“1”となっていることにより、ステップS55からステップS56aを経てステップS56bに移行し、初期増圧判断フラグFが図7(h)に示すように時点t15での減圧モード開始時に“0”にリセットされているので、ステップS56cに移行して、初期増圧判断フラグFを“1”にセットし、次いでステップS56dで減圧開始時のホイールシリンダ圧PPEAKから現在のホイールシリンダ圧Pを減算した値の半分でなる初期増圧量を目標増減圧量ΔPとして設定し、ステップS57で設定された目標増減圧量ΔPを現在ホイールシリンダ圧Pに加算して目標ホイールシリンダ圧P として設定する。
【0124】
このため、図6のアクチュエータ制御処理が実行されることにより、ホイールシリンダ圧Pが図7(g)に示すように前回の総減圧量の半分程度急増圧され、その後時点t19でステップ状に増加される。
【0125】
このように、上記実施形態によると、減圧モードが設定されて、増減圧周期mが“2”以上であって増減圧時間Tが負値である減圧途中で、車輪速度Vwが回復傾向となることにより、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理におけるステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが零又は正値となると、図6のアクチュエータ制御処理においてステップS82からステップS83に移行して、増減圧時間Tが強制的に“0”にクリアされることにより、減圧モードから保持モードに切換えられ、車輪速度Vwが回復傾向にあるときの過減圧を確実に防止して、車両の減速度の変動を抑制して良好なアンチロックブレーキ制御性能を発揮することができる。
【0126】
因みに、従来例では、図6のアクチュエータ制御処理において、ステップS73で増減圧周期mが“0”でないと判断されたときには直接ステップS65に移行するようにしているので、増減圧周期mが“0”となるまでの間は減圧モードを維持することになり、図7(g)で破線図示のように、ホイールシリンダ圧Pの低下が大きくなると共に、緩増圧開始タイミングも時点t18となって遅れることにより、車輪速度Vwが図7(a)で破線図示のように回復が遅れることになる。
【0127】
しかも、増減圧周期mが“1”となった後に図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、ステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが負であるときには、これに続く図6のアクチュエータ制御処理で第2回目の減圧モードが設定されてさらに減圧過剰状態となり、制動距離が長くなる。このため、増減圧周期mの設定値mを小さい値に設定すると、第2回目以降の減圧モードが頻繁に行われることになり、過減圧状態を解消することはできない。
【0128】
一方、比較的高速走行時におけるアンチロックブレーキ制御中に、図8に示すように、車輪速度Vwが目標車輪速度Vwを大きく下回って車輪スリップ率が大きく低下する場合には、第1回目の減圧モードを終了した後に第2回目以降の減圧モードが実行されることになる。
【0129】
すなわち、図8における時点t21で緩増圧モードから保持モードに移行して、ホイールシリンダ圧Pが一定値に保持され、その後、時点t22で車輪速度Vwが目標車輪速度Vwと等しくなることにより、前述した図7の場合と同様に減圧モードが設定される。
【0130】
この時点t22では、車輪速度Vwと目標車輪速度Vwとが等しいので、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理が実行されたときに、そのステップS51で算出される目標増減圧量ΔPは、比例項が“0”となるため、車輪加速度Vw′及び目標車輪加速度Vw′とによって算出される微分項のみによって決定される。
【0131】
このとき、車輪加速度Vw′が図8(b)に示すように比較的小さいので、算出される目標増減圧量ΔPも負の小さい値となり、図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときに、ステップS72で減算される増減圧周期mが“0”となってステップS73からステップS74に移行したときに算出される誤差Perr も小さい負の値となるので、ステップS75からステップS77aに移行し、減圧状態フラグFが前回の緩増圧モードの開始時点で“0”にリセットされているので、ステップS77bに移行して、減圧回数Nが“1”に設定され、次いでステップS77dで算出される増減圧時間Tも増減圧周期mの設定値mより小さい負値に設定されてからステップS80に移行して、増減圧周期mが設定値mに設定される。
【0132】
このため、ステップS65からステップS69、S70を経てステップS71に移行して、アクチュエータ6iが減圧モードに制御され、次いでステップS71aで減圧状態フラグFが“0”にリセットされているので、ステップS71bに移行し、減圧状態フラグFが“1”にセットされると共に、減圧開始時の推定ホイールシリンダ圧Pが減圧開始時圧PPEAKとして設定され、さらに初期増圧判断フラグFが“0”にリセットされる。
【0133】
そして、次に図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときには、ステップS73からステップS81に移行し、増減圧時間Tが負値であるので、ステップS82に移行し、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理のステップS51で算出される目標増減圧量ΔPが負であるので、ステップS84に移行し、制御対象車輪が前輪1FL,1FRであるものとすると、ステップS85に移行し、車輪速度Vwが比較的高速であるので、ステップS86に移行し、減圧回数Nが“1”であるので、そのままステップS65に移行して、増減圧時間Tをデクリメントしながら減圧モードを継続する。
【0134】
そして、増減圧周期mが例えば“3”であって減圧モードを継続している状態で、時点t23で前回のアクチュエータ制御処理において、増減圧時間Tが“0”となっていると、ステップS65からステップS68に移行して、アクチュエータ6iが減圧モードから保持モードに転換され、ホイールシリンダ圧Pが図8(c)に示すように一定値に保持される。
【0135】
その後、時点t24で前回のアクチュエータ制御処理で増減圧周期mが“1”に減少していると、ステップS72で算出される増減圧周期mが“0”となり、ステップS73からステップS74に移行する。
【0136】
このとき、車輪速度Vwは図8(a)に示すように減少を続けており、車輪加速度Vw′も負方向に増加しているので、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理で算出される目標増減圧量ΔPも負の大きな値となっており、図6のアクチュエータ制御処理におけるステップS74で算出される誤差Perr も負の大きな値となり、ステップS75からステップS77aに移行する。
【0137】
このとき、減速状態フラグFが前述した時点t22で“1”にセットされているので、ステップS77cに移行して現在の減圧回数N=1に“1”を加算して減圧回数Nを“2”に設定し、次いでステップS77dに移行して、増減圧時間Tを比較的大きな負値に設定し、さらにステップS80で増減圧周期mを設定値mに設定してからステップS65に移行する。
【0138】
このため、ステップS65から再度ステップS69、S70を経てステップS71に移行して、アクチュエータ6iが第2回目の減圧モードに制御され、ホイールシリンダ圧Pが図8(c)に示すように再度減少を開始する。
【0139】
このため、次に図6のアクチュエータ制御処理が実行されたときには、m>0であるので、ステップS73からステップS81に移行し、増減圧時間Tが負であるので、ステップS82に移行し、目標増減圧量ΔPが負であるので、ステップS84に移行し、制御対象車輪が前輪1FL又は1FRであるので、ステップS85に移行し、車輪速度Vwが比較的高いので、ステップS86に移行する。
【0140】
このステップS86では、減圧回数Nが“2”に設定されているので、ステップS87に移行し、車輪加速度Vw′が減少傾向を継続していることにより、今回値Vw′(n) が前回値Vw′(n−1) より小さい値となることにより、そのままステップS65を介してステップS71に移行して、アクチュエータ6iの減圧モードを継続する。
【0141】
この減圧モードを継続している状態で、時点t26で、車輪速度Vwの減少傾向が弱まって、車輪加速度Vw′が回復傾向となると、図6のアクチュエータ制御処理において、ステップS87での判定結果がVw′(n) >Vw′(n−1) となり、ステップS88に移行する。
【0142】
このとき、車輪加速度Vw′は設定値−10Gより大きい即ち絶対値が“10”より小さいので、ステップS89に移行し、目標車輪速度Vwが設定値15km/hより大きいものとすると、ステップS90に移行し、車輪速度Vwが図8(a)に示すように目標車輪速度Vwから設定値15km/hを減算した値より大きいので、ステップS83に移行して増減圧時間Tを“0”にクリアする。このため、ステップS65からステップS68に移行して、アクチュエータ6iが減圧モードから保持モードに変更され、車輪速度Vwが回復傾向を示しているときに過減圧状態となることを確実に防止することができる。
【0143】
その後、時点t27で車輪速度Vwが目標車輪速度Vw以上となることにより、アクチュエータ6iが緩増圧モードに制御される。
このように、減圧回数Nが“2”以上即ち第2回目以降の減圧モードでは、その途中で車輪スリップが収まる方向即ち車輪加速度Vw′が負のピークを越える状態となったときに、減圧モードから保持モードに変更することにより、過剰減圧状態の発生を確実に防止することができ、車両の減速度変動を抑制して良好なアンチロックブレーキ制御性能を発揮することができる。
【0144】
因みに、従来例では、前述した図7の場合と同様に、増減圧周期mが経過するまでの間は減圧モードが継続されることになり、ホイールシリンダ圧Pが図8(c)で破線図示のように減少を継続することになって減圧過剰となる。このため、車輪速度Vwが図8(a)で破線図示のように減少傾向を継続することになり、車輪速度Vwの回復が遅れて、減速度変動を生じて乗員に違和感を与えるが、本実施形態では、上記のように車輪加速度Vw′に基づいて車輪スリップが収まることを検出したときに減圧モードを中止して保持モードに移行することにより、減圧過剰状態を確実に回避することができる。
【0145】
また、制御対象車輪が後輪であるときには、ステップS84から減圧中止判断を行うことなく、直接ステップS65に移行し、車輪ロックを防止して操縦安定性を確保する意味から減圧モードを継続させるようにしている。特に、制動力全体に対して前輪側の制動力の占める割合が後輪側の制動力に比較して高く、液圧変動が直接車体の減速度に影響するため、前輪の液圧変動をできるだけ抑える必要があるが、後輪側の制動力については、制動力全体に占める割合が前輪側ほど高くないこともあり、車両安定性という面から比較的しっかり車輪を復帰させる制御を行うようにしている。
【0146】
同様に、車輪速度Vwが設定値2km/h以下となったときには、車輪ロック状態と判断し、ステップS85から減圧中止判断を行うことなく直接ステップS65に移行し、車輪速度の回復を促すために、減圧モードを中止することなく継続させる。
【0147】
さらに、減圧回数Nが“1”であるときには、第1回目の減圧モードであり、所定の制動力を発生させるために、ステップS86から減圧中止判断を行うことなく直接ステップS65に移行して、減圧モードを増減圧時間Tが“0”となるまで継続させる。
【0148】
さらにまた、車輪加速度Vw′が設定加速度−10Gより小さいとき即ち車輪加速度Vw′の絶対値が“10”より大きいときには、急速に車輪ロック状態に向かっており、減圧モードを中止すると車輪速度Vwの回復に時間がかかりアンチロックブレーキ制御の性能が悪化するものと判断して、これを回避するために、ステップS88から減圧中止判断を行うことなく直接ステップS65に移行して、減圧モードを増減圧時間Tが“0”となるまで継続させる。
【0149】
なおさらに、車輪加速度Vw′が上向きに転じて車輪スリップが収束する方向となったときに、目標車輪速度Vwが設定値15km/h以下となったときにはステップS89からステップS83に移行して減圧モードを中止するが、設定値15km/hを越えているときには、車輪スリップが大きいとき即ち車輪速度Vwが目標車輪速度Vwから設定値15km/hを減算した値を下回ったときにはステップS90からステップS83に移行することなくステップS65に移行して減圧モードを中止することなく継続し、車輪スリップが小さいときにはステップS83に移行して、減圧モードを中止して過減圧を防止する。
【0150】
なお、上記実施形態では、車輪速演算回路15FL〜15Rの出力側に車輪速フィルタ18FL〜18Rを接続し、これらのフィルタ出力に基づいて車体速度勾配VXK及び対地速度Vを算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車輪速フィルタ18FL〜18Rを省略して、車輪速演算回路15FL〜15Rから出力される車輪速度VwFL〜Vwに基づいて対地速度Vを算出するようにしてもよい。
【0151】
また、上記実施形態では、ホイールシリンダ2FL〜2RRのホイールシリンダ圧を図7の推定ホイールシリンダ圧演算処理で推定するようにした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、各ホイールシリンダ2FL〜2RRのホイールシリンダ圧を圧力センサで直接検出し、検出したホイールシリンダ圧と目標ホイールシリンダ圧とに基づいてアクチュエータ6FL〜6Rを制御するようにしてもよい。
【0152】
さらに、上記実施形態では、アンチロックブレーキ制御にPD制御を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車輪スリップ率と車輪減速度とに基づいてアンチロックブレーキ制御を行う場合にも適用し得るものである。
【0153】
さらにまた、上記実施形態では、後輪側の車輪速度を共通の車輪速センサ3Rで検出するようにした3チャンネルアンチスキッド制御装置について説明したが、これに限らず後輪側の左右輪についても個別に車輪速センサを設け、これに応じて左右のホイールシリンダに対して個別のアクチュエータを設ける所謂4チャンネルのアンチスキッド制御装置にも本発明を適用し得ることは言うまでもない。
【0154】
なおさらに、上記実施形態では、コントローラCRとしてマイクロコンピュータ20を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、比較回路、演算回路、論理回路、関数発生器等の電子回路を組み合わせて構成することもできる。
【0155】
また、上記実施形態では、後輪駆動車に本発明を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前輪駆動車や4輪駆動車にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンチロックブレーキ制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1のアンチロックブレーキ制御装置に適用し得るアクチュエータの一例を示す構成図である。
【図3】図2に示すアンチスキッド制御装置で実行されるアンチロックブレーキ制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】図3の推定ホイールシリンダ圧演算処理のサブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図5】図3の目標ホイールシリンダ圧演算処理のサブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図6】図3のアクチュエータ制御処理のサブルーチン処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の車輪スリップが少ない状態でのアンチロックブレーキ制御動作の説明に供するタイムチャートである。
【図8】本発明の車輪スリップが大きい状態でのアンチロックブレーキ制御動作の説明に供するタイムチャートである。
【図9】従来例のアンチロックブレーキ制御動作の説明に供するタイムチャートである。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪
2FL〜2RR ホイールシリンダ
3FL〜3R 車輪速センサ
4 ブレーキペダル
5 マスタシリンダ
6FL〜6R アクチュエータ
CR コントローラ
15FL〜15R 車輪速度演算回路
20 マイクロコンピュータ

Claims (5)

  1. 複数の車輪の速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速検出手段の車輪速検出値から車輪加速度を演算する車輪加速度演算手段と、少なくとも前記車輪速度検出手段の車輪速度に基づいて車両の対地速度を検出する対地速度検出手段と、制御対象車輪の制動用シリンダの圧力を所定の指令信号に基づいて調整するアクチュエータと、前記車輪速度検出手段の車輪速度、前記車輪加速度演算手段の車輪加速度及び前記対地速度検出手段の対地速度に基づいて車両の制動状態に応じた前記指令信号を求めて出力する制動圧制御手段とを備えたアンチロックブレーキ制御装置において、
    前記制動圧制御手段は、前記車輪速度検出手段の車輪速度及び対地速度検出手段の対地速度に基づく車輪スリップ量と前記車輪加速度演算手段の車輪加速度とに基づいて各制御対象車輪の目標増減圧量を算出する目標増減圧量算出手段と、該目標増減圧量算出手段の目標増減圧量を実現するように前記アクチュエータのバルブ開時間を決定するバルブ開時間決定手段と、該バルブ開時間決定手段により決定されたバルブ開時間に従って前記アクチュエータに対する前記指令信号を出力する指令信号出力手段と、前記目標増減圧量算出手段で減圧量を算出して前記バルブ開時間決定手段で減圧バルブ開時間を設定し、前記指令信号出力手段で減圧指令信号を出力している状態で、車輪スリップの回復により目標増減圧量の算出値が零又は増圧量となったときに、前記減圧バルブ開時間の経過時間に拘わらず減圧指令信号の出力を中止する減圧中止手段とを備えていることを特徴とするとアンチロックブレーキ制御装置。
  2. 複数の車輪の速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速検出手段の車輪速検出値から車輪加速度を演算する車輪加速度演算手段と、少なくとも前記車輪速度検出手段の車輪速度に基づいて車両の対地速度を検出する対地速度検出手段と、制御対象車輪の制動用シリンダの圧力を所定の指令信号に基づいて調整するアクチュエータと、前記車輪速度検出手段の車輪速度、前記車輪加速度演算手段の車輪加速度及び前記対地速度検出手段の対地速度に基づいて車両の制動状態に応じた前記指令信号を求めて出力する制動圧制御手段とを備えたアンチロックブレーキ制御装置において、
    前記制動圧制御手段は、前記車輪速度検出手段の車輪速度及び対地速度検出手段の対地速度に基づく車輪スリップ量と前記車輪加速度演算手段の車輪加速度とに基づいて各制御対象車輪の目標増減圧量を算出する目標増減圧量算出手段と、該目標増減圧量算出手段の目標増減圧量を実現するように前記アクチュエータのバルブ開時間を決定するバルブ開時間決定手段と、該バルブ開時間決定手段により決定されたバルブ開時間に従って前記アクチュエータに対する前記指令信号を出力する指令信号出力手段と、該指令信号出力手段で前記アクチュエータに対して減圧指令信号を出力している場合に、前記車輪加速度演算手段の車輪加速度の変化を監視し、その変化が減少方向から上昇方向に変わったときに実行中の減圧動作を中止させる減圧中止手段を備えていることを特徴とするアンチロックブレーキ制御装置。
  3. 前記減圧中止手段は、1制動サイクル中における減圧が2回目以降の場合に、車輪加速度の変化に応じて実行中の減圧動作を中止することを特徴とする請求項2記載のアンチロックブレーキ制御装置。
  4. 前記減圧中止手段は、減圧実行中の車輪加速度の変化が減少方向から上昇方向に変化して、減圧中止条件が成立したときに、車輪加速度が予め設定した減圧閾値より小さいか否かを判定し、車輪加速度が減圧閾値より大きいときには減圧動作を中止し、減圧閾値より小さいときには減圧動作を継続するように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のアンチロックブレーキ制御装置。
  5. 前記減圧中止手段は、減圧実行中の車輪加速度の変化が減少方向から上昇方向に変化して、減圧中止条件が成立したときに、車輪スリップ量が予め設定した設定値より大きいか否かを判定し、車輪スリップ量が設定値より小さいときには減圧動作を中止し、設定値より大きいときには減圧動作を継続するように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のアンチロックブレーキ制御装置。
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