JP3577809B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のアンチスキッド制御装置に関し、特にABS制御中における各車輪のホイルシリンダ液圧を推定する4輪駆動車用のアンチスキッド制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、アンチスキッド制御装置では、車輪速度における車体速度に対する沈み込み量と車輪加減速度とで車輪のスキッド状況を検出し、これに応じてブレーキ液圧を適正なレベルに調圧制御するものである。これにより、車輪のスキッドが適切なレベル、すなわち路面の摩擦係数μがピーク近傍となる領域に維持されることから、制動距離が短縮され、更に車体安定性及び操縦安定性が高く確保されている。しかし、ブレーキ液圧を加減圧制御する際に、車輪や車体の挙動だけをみて判断すると、ブレーキ液圧を過減圧したり、過減圧した後の加圧操作が的確に行われずブレーキ液圧の不足状態が発生することがあった。
【0003】
また、ブレーキ液圧を制御する方法として、ON/OFF型の電磁弁が一般的に採用されており、該方法は、該電磁弁を用いてホイルシリンダ内のブレーキ液圧の加減圧を行うことによりブレーキ液圧を制御するものである。この場合、ブレーキ液圧の加減圧特性は、マスターシリンダ液圧又はホイルシリンダ液圧に依存して変化するため、正確なブレーキ液圧値を把握していなければ上記のような不具合が発生することがあった。
【0004】
上記問題を解決する方法として、ブレーキ液圧を直接制御するアクチュエータとして、サーボ機能を有するものを使用することが特公平2−171377号公報及び特公平3−92463号公報で開示されている。しかし、このようなアクチュエータは高価であるため、コスト面においてあまり望ましいものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、従来において、一般的なON/OFF型の電磁弁を有したアクチュエータを使用して、ABS制御中のホイルシリンダにおけるブレーキ液圧値を推定してブレーキ液圧制御を行っていたが、特に4輪駆動車において、制動路面が摩擦係数μの小さい低μ路であるにもかかわらず、摩擦係数μの大きい高μ路であると誤判定し、各車輪の車輪速度がほぼ揃って沈みつつある状態であるカスケード状態となってロック兆候を示しているにもかかわらず、ロック兆候を検出することができず、ブレーキ液圧減圧指令がより摩擦係数μの大きい路面を想定した少ないブレーキ液圧減圧値となり、車輪のロック及び不適切なスキッドが発生して車体安定性などが損なわれるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、路面が低μ路であることを確実に検出し、該低μ路でのカスケード状態の発生を防止することができる、ABS制御中の各車輪のホイルシリンダ液圧を推定する4輪駆動車用のアンチスキッド制御装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び効果】
本発明は、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪速度からABS制御中における各車輪のホイルシリンダ液圧を推定するアンチスキッド制御装置において、上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmax1と、最小値である最小車輪速度Vminを選定する選定手段と、該最大車輪速度Vmax1と最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以上であるか否かを判定する差速度判定手段と、上記各車輪速度から左右前輪の平均車輪速度と左右後輪の平均車輪速度との差ΔSaveを算出し、該差ΔSaveが所定値B以下であるか否かを判定する前後輪差速度判定手段と、所定の制御サイクルにおいて、上記差速度ΔSが所定値A以上であると上記差速度判定手段が判定し、かつ上記差ΔSaveが所定値B以下であると上記前後輪差速度判定手段が判定する頻度が所定値Z(>1)以上になると、車両が低μ路でのカスケード状態にあると判定するカスケード判定手段と、該カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定すると、低μ路に対応したABS制御である低μ制御を行うように設定するカスケード制御手段とを備えたことを特徴とするアンチスキッド制御装置を提供するものである。
【0008】
このように、上記差速度ΔSが所定値A以上であることを検出することにより上記各車輪速度のバラツキを検出し、かつ上記差ΔSaveが所定値B以下であることを検出することにより前後車輪間の車輪速度差ΔSaveがほぼ0であることを検出する頻度が所定値Z以上になったことを検出することにより、低μ路で各車輪における路面μにバラツキがある場合のカスケード状態を検出することができる。更に、このようなカスケード状態を検出すると、路面が低μ路であることから、低μ路に対応したABS制御を行うようにすることから、低μ路でのカスケード状態を防止することができる。これらのことから、車両、特に4輪駆動車において、各車輪間の路面μにバラツキがある低μ路で、高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0009】
本願の特許請求の範囲の請求項2に記載の発明において、上記請求項1のカスケード判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以上であると上記差速度判定手段が判定し、かつ上記差ΔSaveが所定値B以下であると上記前後輪差速度判定手段が判定した場合にカウントアップし、それ以外はカウントダウンを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が所定値α以上になると、車両が低μ路でのカスケード状態にあると判定することを特徴とする。
【0010】
このように、上記差速度ΔSが所定値A以上であることを検出することにより上記各車輪速度のバラツキを検出し、かつ上記差ΔSaveが所定値B以下であることを検出することにより前後車輪間の車輪速度差ΔSaveがほぼ0であることを検出した頻度を上記カウント手段を用いて測定することにより、低μ路で各車輪における路面μにバラツキがある場合のカスケード状態を検出することができる。このことから、車両、特に4輪駆動車において、各車輪間の路面μにバラツキがある低μ路で、高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0011】
本願の特許請求の範囲の請求項3に記載の発明において、上記請求項1の差速度判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以上であると判定するとフラグFsをセットし、上記請求項1の前後輪差速度判定手段は、上記差ΔSaveが所定値B以下であると判定するとフラグFaveをセットし、上記請求項1のカスケード判定手段は、フラグFs及びフラグFaveがすべてセットされるとカウントアップし、それ以外はカウントダウンを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が所定値α以上になるとフラグFcasをセットし、上記請求項1のカスケード制御手段は、該フラグFcasがセットされると上記低μ制御を行うように設定することを特徴とする。
【0012】
このように、上記フラグFs及び上記フラグFaveが共にセットされている状態を検出した頻度を上記カウント手段を用いて測定することにより、低μ路で各車輪における路面μにバラツキがある場合のカスケード状態を検出することができる。このことから、車両、特に4輪駆動車において、各車輪間の路面μにバラツキがある低μ路で、高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0013】
本願の特許請求の範囲の請求項4に記載の発明において、上記請求項1のカスケード判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以上であると上記差速度判定手段が判定し、かつ上記差ΔSaveが所定値B以下であると上記前後輪差速度判定手段が判定した場合にカウントダウンし、それ以外はカウントアップを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値β以下になると、車両が低μ路でのカスケード状態にあると判定することを特徴とする。
【0014】
このように、上記差速度ΔSが所定値A以上であることを検出することにより上記各車輪速度のバラツキを検出し、かつ上記差ΔSaveが所定値B以下であることを検出することにより前後車輪間の車輪速度差ΔSaveがほぼ0であることを検出した頻度を上記カウント手段を用いて測定することにより、低μ路で各車輪における路面μにバラツキがある場合のカスケード状態を検出することができる。このことから、車両、特に4輪駆動車において、各車輪間の路面μにバラツキがある低μ路で、高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0015】
本願の特許請求の範囲の請求項5に記載の発明において、上記請求項1の差速度判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以上であると判定するとフラグFsをセットし、上記請求項1の前後輪差速度判定手段は、上記差ΔSaveが所定値B以下であると判定するとフラグFaveをセットし、上記請求項1のカスケード判定手段は、フラグFs及びフラグFaveがすべてセットされるとカウントダウンし、それ以外はカウントアップを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値β以下になるとフラグFcasをセットし、上記請求項1のカスケード制御手段は、該フラグFcasがセットされると上記低μ制御を行うように設定することを特徴とする。
【0016】
このように、上記フラグFs及び上記フラグFaveが共にセットされている状態を検出した頻度を上記カウント手段を用いて測定することにより、低μ路で各車輪における路面μにバラツキがある場合のカスケード状態を検出することができる。このことから、車両、特に4輪駆動車において、各車輪間の路面μにバラツキがある低μ路で、高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0017】
本願の特許請求の範囲の請求項6に記載の発明は、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪速度からABS制御中における各車輪のホイルシリンダ液圧を推定するアンチスキッド制御装置において、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であるか否かを判定するABS判定手段と、上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmax1と、最小値である最小車輪速度Vminを選定する選定手段と、上記最大車輪速度Vmax1と最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値C以下であるか否かを判定するΔS判定手段と、上記各車輪速度から各車輪の加速度を算出し、該算出した各車輪加速度すべてが所定値D以下であるか否かを判定する車輪加速度判定手段と、上記各車輪速度から車体速度の推定値である推定車体速度を算出する推定車体速度算出手段と、該推定車体速度算出手段で算出された推定車体速度から、推定車体速度の下降速度が高μ路での値に相当する所定値E以上であるか否かを判定する車体減速度判定手段と、所定の制御サイクルにおいて、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であると上記ABS判定手段が判定し、かつ上記差速度ΔSが所定値C以下であると上記ΔS判定手段が判定し、かつ各車輪の車輪加速度すべてが所定値D以下であると上記車輪加速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度の下降速度が所定値E以上であると上記車体減速度判定手段が判定する時間が連続して所定値T以上になると、低μ路でのカスケード状態であると判定するカスケード判定手段と、該カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態であると判定すると、低μ路に対応したABS制御である低μ制御を行うように設定するカスケード制御手段とを備えたことを特徴とするアンチスキッド制御装置を提供するものである。
【0018】
このように、ABS制御中であることを検出し、かつ推定車体速度の下降速度が高μ路相当の値以上であることを検出し、かつ4輪すべてがスキッドせずに路面にグリップしている状況を検出しているときに、路面が低μ路でカスケード状態にある車輪の挙動を示すような車輪加速度が小さい状態を検出し、該状態が所定時間T以上連続したことを検出することにより、低μ路でのカスケード状態を検出することができ、車輪間の路面の摩擦係数μにバラツキがないような低μ路でのカスケード状態をも検出することができる。更に、このようなカスケード状態を検出すると、路面が低μ路であることから、低μ路に対応したABS制御を行うようにすることから、低μ路でのカスケード状態を防止することができる。これらのことから、車両、特に4輪駆動車において、各車輪間の路面μにバラツキがある低μ路で、高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0019】
本願の特許請求の範囲の請求項7に記載の発明において、上記請求項6のカスケード判定手段は、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であると上記ABS判定手段が判定し、かつ上記差速度ΔSが所定値C以下であると上記ΔS判定手段が判定し、かつ上記算出した各車輪加速度すべてが所定値D以下であると上記車輪加速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度の下降速度が高μ路での値に相当する所定値E以上であると上記車体減速度判定手段が判定した場合にカウントアップし、それ以外は初期値にリセットするカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が所定値γ以上になると、車両が低μ路でのカスケード状態にあると判定することを特徴とする。
【0020】
このように、ABS制御中であることを検出し、かつ推定車体速度の下降速度が高μ路相当の値以上であることを検出し、かつ4輪すべてがスキッドせずに路面にグリップしている状況を検出しているときに、路面が低μ路でカスケード状態にある車輪の挙動を示すような車輪加速度が小さい状態を検出し、該状態が所定時間T以上連続したことを上記カウント手段を用いて測定し検出することにより、低μ路でのカスケード状態を検出することができ、車輪間の路面の摩擦係数μにバラツキがないような低μ路でのカスケード状態をも検出することができる。このことから、車両、特に4輪駆動車において、低μ路を高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0021】
本願の特許請求の範囲の請求項8に記載の発明において、上記請求項6のABS判定手段は、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であると判定するとフラグFabsをセットし、上記請求項6のΔS判定手段は、差速度ΔSが所定値C以下であると判定するとフラグFs1をセットし、上記請求項6の車輪加速度判定手段は、算出した各車輪加速度すべてが所定値D以下であると判定するとフラグFaccをセットし、上記請求項6の車体減速度判定手段は、推定車体速度の下降速度が高μ路での値に相当する所定値E以上であると判定するとフラグFdecをセットし、上記請求項6のカスケード判定手段は、フラグFabs、フラグFs1、フラグFacc及びフラグFdecがすべてセットされるとカウントアップし、それ以外は初期値にリセットするカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が所定値γ以上になるとフラグFcasをセットし、上記請求項6のカスケード制御手段は、該フラグFcasがセットされると上記低μ制御を行うように設定することを特徴とする。
【0022】
このように、フラグFabs、フラグFs1、フラグFacc及びフラグFdecがすべてセットされている状態を検出し、該状態が所定時間T以上連続したことを上記カウント手段を用いて測定し検出することにより、低μ路でのカスケード状態を検出することができ、車輪間の路面の摩擦係数μにバラツキがないような低μ路でのカスケード状態をも検出することができる。このことから、車両、特に4輪駆動車において、低μ路を高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0023】
本願の特許請求の範囲の請求項9に記載の発明において、上記請求項6のカスケード判定手段は、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であると上記ABS判定手段が判定し、かつ上記差速度ΔSが所定値C以下であると上記ΔS判定手段が判定し、かつ上記算出した各車輪加速度すべてが所定値D以下であると上記車輪加速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度の下降速度が高μ路での値に相当する所定値E以上であると上記車体減速度判定手段が判定した場合にカウントダウンし、それ以外は初期値にリセットするカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値δ以下になると、車両が低μ路でのカスケード状態にあると判定することを特徴とする。
【0024】
このように、ABS制御中であることを検出し、かつ推定車体速度の下降速度が高μ路相当の値以上であることを検出し、かつ4輪すべてがスキッドせずに路面にグリップしている状況を検出しているときに、路面が低μ路でカスケード状態にある車輪の挙動を示すような車輪加速度が小さい状態を検出し、該状態が所定時間T以上連続したことを上記カウント手段を用いて測定し検出することにより、低μ路でのカスケード状態を検出することができ、車輪間の路面の摩擦係数μにバラツキがないような低μ路でのカスケード状態をも検出することができる。このことから、車両、特に4輪駆動車において、低μ路を高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0025】
本願の特許請求の範囲の請求項10に記載の発明において、上記請求項6のABS判定手段は、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であると判定するとフラグFabsをセットし、上記請求項6のΔS判定手段は、差速度ΔSが所定値C以下であると判定するとフラグFs1をセットし、上記請求項6の車輪加速度判定手段は、算出した各車輪加速度すべてが所定値D以下であると判定するとフラグFaccをセットし、上記請求項6の車体減速度判定手段は、推定車体速度の下降速度が高μ路での値に相当する所定値E以上であると判定するとフラグFdecをセットし、上記請求項6のカスケード判定手段は、フラグFabs、フラグFs1、フラグFacc及びフラグFdecがすべてセットされるとカウントダウンし、それ以外は初期値にリセットするカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値δ以下になるとフラグFcasをセットし、上記請求項6のカスケード制御手段は、該フラグFcasがセットされると上記低μ制御を行うように設定することを特徴とする。
【0026】
このように、フラグFabs、フラグFs1、フラグFacc及びフラグFdecがすべてセットされている状態を検出し、該状態が所定時間T以上連続したことを上記カウント手段を用いて測定し検出することにより、低μ路でのカスケード状態を検出することができ、車輪間の路面の摩擦係数μにバラツキがないような低μ路でのカスケード状態をも検出することができる。このことから、車両、特に4輪駆動車において、低μ路を高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0027】
本願の特許請求の範囲の請求項11に記載の発明において、上記請求項1から請求項10のカスケード制御手段は、上記カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定すると、上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度を基にして推定車体速度を算出するように設定し、上記カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定しなかった場合、上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度及び該最大車輪速度以外の車輪速度を基にして推定車体速度を算出するように設定することを特徴とする。
【0028】
このように、低μ路におけるカスケード状態を検出すると、路面が低μ路であることから、最大車輪速度を基にして推定車体速度Vrefを算出するように設定することにより、推定車体速度Vrefが過小に算出されないようにすることができ、低μ路でのカスケード状態を防止することができる。このことから、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0029】
本願の特許請求の範囲の請求項12に記載の発明において、上記請求項11のカスケード制御手段は、上記カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定しなかった場合、上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度及び該最大車輪速度の次に大きい値の車輪速度との平均値を基にして推定車体速度を算出するように設定することを特徴とする。
【0030】
このように、低μ路におけるカスケード状態を検出しなかった場合、最大車輪速度及び該最大車輪速度の次に大きい値の車輪速度との平均値を基にして推定車体速度Vrefを算出するように設定することにより、推定車体速度Vrefが過大に算出されないようにすることができ、高い制動性能を実現することができる。このことから、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0031】
本願の特許請求の範囲の請求項13に記載の発明において、上記請求項11及び請求項12のカスケード制御手段は、上記カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定すると、更に、各車輪のロック兆候を検出しやすくするように、ロック兆候を検出する判断基準を設定すると共に、ホイルシリンダ液圧の減圧量が大きくなるように設定することを特徴とする。このように、低μ路におけるカスケード状態を検出すると、各車輪のロック兆候を検出しやすくするように、車輪がロック兆候であるという判断基準を設定すると共に、ホイルシリンダ液圧の減圧量を多くして、低μ路でのカスケード状態を防止することができる。これらのことから、車両、特に4輪駆動車において、該低μ路でのカスケード状態を検出して防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0032】
本願の特許請求の範囲の請求項14に記載の発明において、上記請求項13のカスケード制御手段は、上記カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定した場合、車輪加速度がしきい値TH3を超えるとホイルシリンダ液圧の加圧開始を行うという加圧開始条件において、低μ路でのカスケード状態にあると判定しなかった場合よりも該しきい値TH3を大きく設定することを特徴とする。このように、低μ路におけるカスケード状態を検出すると、路面が低μ路であることから、各車輪のロック兆候を検出しやすくするように、ロック兆候を検出する判断基準を設定すると共に、ホイルシリンダ液圧の減圧信号をより長い間継続させホイルシリンダ液圧の減圧量を多くして、低μ路でのカスケード状態を防止することができる。これらのことから、車両、特に4輪駆動車において、低μ路でのカスケード状態を検出して防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0033】
本願の特許請求の範囲の請求項15に記載の発明において、上記請求項13及び請求項14のカスケード制御手段は、上記カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定した場合、車輪加速度の微分値がしきい値TH4を超えるとホイルシリンダ液圧の加圧開始を行うという加圧開始条件において、低μ路でのカスケード状態にあると判定しなかった場合よりも該しきい値TH4を大きく設定することを特徴とする。このように、低μ路におけるカスケード状態を検出すると、路面が低μ路であることから、各車輪のロック兆候を検出しやすくするように、ロック兆候を検出する判断基準を設定すると共に、ホイルシリンダ液圧の減圧信号をより長い間継続させホイルシリンダ液圧の減圧量を多くして、低μ路でのカスケード状態を防止することができる。これらのことから、車両、特に4輪駆動車において、低μ路でのカスケード状態を検出して防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0034】
本願の特許請求の範囲の請求項16に記載の発明は、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪速度からABS制御中における各車輪のホイルシリンダ液圧を推定するアンチスキッド制御装置において、上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmax1と、最小値である最小車輪速度Vminを選定し、上記最大車輪速度Vmax1と最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以上であるか否かを判定し、上記各車輪速度から左右前輪の平均車輪速度と左右後輪の平均車輪速度との差ΔSaveを算出し、該差ΔSaveが所定値B以下であるか否かを判定し、所定の制御サイクルにおいて、上記差速度ΔSが所定値A以上であると判定し、かつ上記差ΔSaveが所定値B以下であると判定する頻度が所定値Z(>1)以上になると、車両が低μ路でのカスケード状態にあると判定し、低μ路でのカスケード状態にあると判定すると、低μ路に対応したABS制御である低μ制御を行うように設定することを特徴とするアンチスキッド制御装置を提供するものである。
【0035】
このように、上記差速度ΔSが所定値A以上であることを検出することにより上記各車輪速度のバラツキを検出し、かつ上記差ΔSaveが所定値B以下であることを検出することにより前後車輪間の車輪速度差ΔSaveがほぼ0であることを検出する頻度が所定値Z以上になったことを検出することにより、低μ路で各車輪における路面μにバラツキがある場合のカスケード状態を検出することができる。更に、このようなカスケード状態を検出すると、路面が低μ路であることから、低μ路に対応したABS制御を行うようにすることから、低μ路でのカスケード状態を防止することができる。これらのことから、車両、特に4輪駆動車において、各車輪間の路面μにバラツキがある低μ路で、高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0036】
本願の特許請求の範囲の請求項17に記載の発明は、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪速度からABS制御中における各車輪のホイルシリンダ液圧を推定するアンチスキッド制御装置において、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であるか否かを判定し、上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmax1と、最小値である最小車輪速度Vminを選定し、上記最大車輪速度Vmax1と最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値C以下であるか否かを判定し、上記各車輪速度から各車輪の加速度を算出し、該算出した各車輪加速度すべてが所定値D以下であるか否かを判定し、上記各車輪速度から車体速度の推定値である推定車体速度を算出し、該算出された推定車体速度から、推定車体速度の下降速度が高μ路での値に相当する所定値E以上であるか否かを判定し、所定の制御サイクルにおいて、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であると判定し、かつ上記差速度ΔSが所定値C以下であると判定し、かつ各車輪の車輪加速度すべてが所定値D以下であると判定し、かつ推定車体速度の下降速度が所定値E以上であると判定する時間が連続して所定値T以上になると、低μ路でのカスケード状態であると判定し、低μ路でのカスケード状態であると判定すると、低μ路に対応したABS制御である低μ制御を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置を提供するものである。
【0037】
このように、ABS制御中であることを検出し、かつ推定車体速度の下降速度が高μ路相当の値以上であることを検出し、かつ4輪すべてがスキッドせずに路面にグリップしている状況を検出しているときに、路面が低μ路でカスケード状態にある車輪の挙動を示すような車輪加速度が小さい状態を検出し、該状態が所定時間T以上連続したことを検出することにより、低μ路でのカスケード状態を検出することができ、車輪間の路面の摩擦係数μにバラツキがないような低μ路でのカスケード状態をも検出することができる。更に、このようなカスケード状態を検出すると、路面が低μ路であることから、低μ路に対応したABS制御を行うようにすることから、低μ路でのカスケード状態を防止することができる。これらのことから、車両、特に4輪駆動車において、各車輪間の路面μにバラツキがある低μ路で、高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明のアンチスキッド制御装置の第1の実施の形態を示す概略の制御系統図であり、図2は、本発明の装置の第1の実施の形態を示した概略ブロック図であり、最初に図1及び図2を用いて本発明の装置における第1の実施の形態の概略を説明する。
【0039】
図1及び図2に示す本発明の第1の実施の形態に係るアンチスキッド制御装置の制御対象は4輪駆動車であって、マスターシリンダ1とそれぞれ左右前輪及び左右後輪に対応するホイルシリンダ2A,2B,2C,2Dの間にON/OFF型電磁バルブからなるインレット・バルブ3A,3B,3C,3Dを配置する一方、ホイルシリンダ2A〜2DからON/OFF型電磁バルブよりなるアウトレット・バルブ4A,4B,4C,4D及びポンプ・モータ6を介してマスターシリンダ1に還流する還流ライン7を設けている。該還流ライン7のアウトレット・バルブ4A〜4Dとポンプ・モータ6との間にはバッファチャンバ8を配置している。なお、ホイルシリンダ、インレット・バルブ及びアウトレット・バルブを示す符号のA,B,C,Dは、それぞれ車両の左右前輪及び左右後輪を示している。
【0040】
車輪速度センサS0,S1,S2,S3は後述する信号処理装置10に接続されており、該車輪速度センサS0,S1,S2,S3は、左右前輪及び左右後輪のそれぞれの速度を検出し、該検出した速度を車輪速度信号として信号処理装置10に送る。
【0041】
信号処理装置10は、マイクロコンピュータからなり、図2に示すように基本制御量演算部11、差速度判定部12、前後輪差速度判定部13、フラグFcas操作部14、及びソレノイド指令出力部15を備え、上記車輪速度信号に所定の処理を行って、上記インレット・バルブ3A〜3D及びアウトレット・バルブ4A〜4Dを備えたアクチュエータACT0,ACT1,ACT2,ACT3に加減圧信号Siを出力する。なお、添字iはi=0,1,2,3であり、車輪速度センサ及びアクチュエータを示す符号の添字0、1、2、3と共にそれぞれ車両の左右前輪及び左右後輪を示している。また、図1においては、マスターシリンダ1及び信号処理装置10以外は、4輪自動車の4輪の内、任意の1輪を例にして図示したものであり、説明に必要なものは符号で4輪分を示している。
【0042】
上記車輪速度センサS0〜S3は上記基本制御量演算部11に接続され、基本制御量演算部11は差速度判定部12、前後輪差速度判定部13及びソレノイド指令出力部15に接続され、差速度判定部12及び前後輪差速度判定部13はフラグFcas操作部14に接続され、更に該フラグFcas操作部14はソレノイド指令出力部15に接続されている。
【0043】
上記基本制御量演算部11は、上記車輪速度センサS0〜S3から入力される車輪速度信号に基づいて、車輪及び車体挙動を表す各車輪の車輪速度SPEEDiを算出し、該算出した車輪速度SPEEDiをソレノイド指令出力部15に出力する。ここで、車輪速度SPEEDiを算出する方法は公知であり、車輪速度SPEEDiを算出する方法の一例として、所定時間Δt内に発生した車輪速度センサからのパルス信号の数mから、下記(1)式より算出する。
SPEEDi=m/Δt×a ………………………(1)
上記(1)式において、aは比例定数である。
また、上記基本制御量演算部11は、算出した各車輪の車輪速度SPEEDiを、更に上記差速度判定部12及び前後輪差速度判定部13に出力する。
【0044】
上記差速度判定部12は、上記基本制御量演算部11から入力された各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmax1と最小値である最小車輪速度Vminを選定し、該最大車輪速度Vmax1と最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以上である場合、例えば2km/h以上である場合、差速度ΔSが所定値A以上であることを示す差速度判定フラグFsをセットする。4輪駆動車においては、4輪間が拘束されており低μ路でカスケード状態になった場合、4輪がほぼ同一速度になる。しかし、各車輪における路面μにバラツキがあると、デファレンシャルギアの影響で各車輪間の車輪速度にバラツキが生じる。そこで、差速度判定部12は、上記のように、車輪速度のバラツキを検出して、低μ路で各車輪における路面μにバラツキがある場合のカスケード状態を検出する。
【0045】
上記前後輪差速度判定部13は、上記基本制御量演算部11から入力された各車輪速度から、前輪の平均車輪速度と後輪の平均車輪速度をそれぞれ算出し、該算出した平均車輪速度の差であるΔSaveを下記(2)式より算出する。
ΔSave=|(SPEED0+SPEED1)/2−(SPEED2+SPEED3)/2| …………………………(2)
なお、SPEED0は左前輪の車輪速度であり、SPEED1は右前輪の車輪速度であり、SPEED2は左後輪の車輪速度であり、SPEED3は右後輪の車輪速度である。
【0046】
上記(2)式で算出されたΔSaveが所定値B以下である場合、例えば2km/h以下である場合、ΔSaveが所定値B以下であることを示す前後輪差速度判定フラグFaveをセットする。4輪駆動車においては、摩擦係数μの低い路面でカスケード状態にある場合、前後車輪間の車輪速度差はほぼ0であるという特徴があり、前後車輪間にLSDが装備されている場合は、特に該特徴が顕著に現れる。そこで、前後輪差速度判定部13は、上記のように、前後車輪間の車輪速度差ΔSaveがほぼ0であることを検出して、低μ路でのカスケード状態を検出する。
【0047】
上記フラグFcas操作部14は、上記差速度判定フラグFs及び上記前後輪差速度判定フラグFaveがすべてセットされていることを検出した場合、内蔵する検出カウンタCTR1をインクリメントし、それ以外の場合、すなわち差速度判定フラグFs及び前後輪差速度判定フラグFaveのいずれか1つでもセットされていないことを検出した場合、上記検出カウンタCTR1をデクリメントする。このようにして、フラグFcas操作部14は、上記差速度判定フラグFs及び上記前後輪差速度判定フラグFaveがすべてセットされた状態を検出した頻度を上記検出カウンタCTR1を用いて測定する。
【0048】
また、フラグFcas操作部14は、上記検出カウンタCTR1のカウンタ値が所定値α以上、例えば制御サイクルが8msecの場合、該カウンタ値が0.2secを示す25以上になる、すなわち差速度判定フラグFs及び前後輪差速度判定フラグFaveがすべてセットされた状態を検出した頻度が所定値Z以上になると、車両が低μ路でカスケード状態にあると判断して、カスケード判定フラグFcasをセットする。更に、フラグFcas操作部14は、上記ソレノイド指令出力部15から算出された推定車体速度Vrefを入力し、前回の制御サイクルにおける推定車体速度(Vref)n−1が0であるとカスケード判定フラグFcasをリセットする。このように、上記フラグFcas操作部14は、該カスケード判定フラグFcasをセットすることにより、後述する低μ路を想定したABS制御である低μ制御を上記ソレノイド指令出力部15に対して行わせる。
【0049】
ソレノイド指令出力部15は、上記基本制御量演算部11から入力された車輪速度SPEEDiから推定車体速度Vrefを算出する。ここで、推定車体速度Vrefを算出する方法は公知であり、推定車体速度Vrefを算出する方法の一例として、各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmax1にローパスフィルタをかけた値で推定車体速度Vrefを算出する方法が知られており、下記(3)式より算出する。
(Vref)=(Vref)n−1+K×{Vmax1−(Vref)n−1} ……………(3)
上記(3)式において、Kはフィルタ時数(K<1)であり、(Vref)は今回の制御サイクルでのVref値であり、(Vref)n−1は前回の制御サイクルでのVref値である。
【0050】
更に、上記ソレノイド指令出力部15は、上記基本制御量演算部11から入力された車輪速度SPEEDiと上記算出した推定車体速度Vrefから、例えばVref−SPEEDi≧TH1=(3+Vref/32)km/hであり、かつd/dt(SPEEDi)≦−TH2=−1.5g(以下、gは重力加速度を示す)であれば、ロック兆候検出であると判断し、各アクチュエータACT0〜ACT3に対してブレーキ液圧を減圧するように加減圧信号Siを設定して出力し、それ以外のロック兆候が検出されない場合には、ブレーキ液圧を加圧又は保持するように加減圧信号Siを設定して出力する。なお、上記TH1は、ロック兆候であると判断するための上記(Vref−SPEEDi)に対するしきい値であり、TH1>0である。上記TH2は、ロック兆候であると判断するための上記{d/dt(SPEEDi)}に対するしきい値であり、TH2>0である。
【0051】
ソレノイド指令出力部15からの加減圧信号Siが「減圧」であれば、アクチュエータACT0〜ACT3のアウトレット・バルブ4A〜4Dは開弁すると共にインレット・バルブ3A〜3Dは閉弁し、上記ソレノイド指令出力部16からの加減圧信号Siが「保持」であれば、アウトレット・バルブ4A〜4D及びインレット・バルブ3A〜3Dは閉弁し、上記ソレノイド指令出力部16からの加減圧信号Siが「加圧」であれば、インレット・バルブ3A〜3Dは開弁すると共にアウトレット・バルブ4A〜4Dは閉弁する。
【0052】
ここで、上記ソレノイド指令出力部15には、上記カスケード判定フラグFcasがセットされたか否かを監視し、該カスケード判定フラグFcasがセットされると、上記低μ制御を行うような設定に切り換えるCAS制御部16を備えている。
【0053】
該CAS制御部16は、カスケード判定フラグFcasがセットされていない場合、例えば基本制御量演算部11から入力された車輪速度SPEEDiのうち最大値である最大車輪速度Vmax1と、該Vmax1の次に大きい車輪速度Vmax2を選定し、該Vmax1とVmax2の平均値を基にして推定車体速度Vrefを算出するように、例えば、上記(3)式において、Vmax1を(Vmax1+Vmax2)/2に置き換えて、推定車体速度VrefをVmax1及びVmax2の関数f(Vmax1,Vmax2)として算出するように設定する。また、ロック兆候であると判断するための上記しきい値TH1を、例えば上記のように(3+Vref/32)に、同じく上記しきい値TH2を、例えば上記のように1.5gに設定する。
【0054】
これに対して、カスケード判定フラグFcasがセットされると、路面が低μ路であると考えられるため、推定車体速度Vrefが過小に算出されないように最大車輪速度Vmax1を基にして推定車体速度VrefをVmax1の関数f(Vmax1)として算出するように、例えば上記(3)式を用いて算出するように設定し、ロック兆候であると判断するための上記しきい値TH1を、例えば(3+Vref/32)から(2+Vref/32)にするというように小さくし、同じく上記しきい値TH2を、例えば1.5gから1.2gに小さくして、各車輪のロック兆候を検出しやすくするように、ロック兆候を検出する判断基準を設定する。
【0055】
ここで、一般的に、車輪のスキッド状態から回復する途上において、車輪加速度が小さいときには加減圧信号Siにおける減圧信号又は保持信号を延長することが行われており、前回の制御サイクルにおける加減圧信号Siが減圧信号又は保持信号であり、かつd/dt(SPEEDi)≦TH3であり、かつd/dt(SPEEDi)≦TH4のとき、減圧信号又は保持信号を継続的に出力する。なお、上記TH3はTH3>0であり、上記TH4はTH4>0である。
【0056】
そこで、上記CAS制御部16は、カスケード判定フラグFcasがセットされていない場合、例えば上記TH3を2gとし、上記TH4を(0.5g/1制御サイクル時間)とすると、カスケード判定フラグFcasがセットされている場合、例えば上記TH3を3gとし、上記TH4を(1g/1制御サイクル時間)に設定して、ホイルシリンダ液圧の減圧信号を長い間継続させて、ホイルシリンダ液圧の減圧量が多くなるように設定する。
【0057】
なお、上記差速度判定部12は選定手段及び差速度判定手段をなし、上記前後輪差速度判定部13は前後輪差速度判定手段をなし、上記フラグFcas操作部14は請求項1から請求項5に記載のカスケード判定手段をなし、上記検出カウンタCTR1は請求項2から請求項5に記載のカウント手段をなし、上記CAS制御部16はカスケード制御手段をなす。
【0058】
次に、図3及び図4は、上記図2で示したアンチスキッド制御装置の動作例を示したフローチャートであり、図3及び図4を用いて本発明の第1の実施の形態の装置における動作例を説明する。
図3において、基本制御量演算部11は、最初にステップS1で、各車輪の車輪速度SPEEDiを算出して、該算出した車輪速度SPEEDiを差速度判定部12、前後輪差速度判定部13及びソレノイド指令出力部15に出力する。
【0059】
差速度判定部12は、ステップS2で、基本制御量演算部11から入力された車輪速度SPEEDiのうち最大値である最大車輪速度Vmax1と最小値である最小車輪速度Vminを選定し、ステップS3で、上記差速度ΔSを算出し、該算出した差速度ΔSが2km/h以上であるか否かを調べ、2km/h以上である場合(YES)、ステップS5に進み、ステップS5で、差速度ΔSが所定値A以上であることを示す差速度判定フラグFsをセットした後、ステップS6に進む。また、ステップS3で、ΔSが2km/h以上でない場合(NO)、ステップS4に進み、ステップS4で、差速度判定フラグFsをリセットした後、ステップS6に進む。
【0060】
ステップS6において、前後輪差速度判定部13は、上記基本制御量演算部11から入力された各車輪速度SPEEDiから、前輪の平均車輪速度(SPEED0+SPEED1)/2と後輪の平均車輪速度(SPEED2+SPEED3)/2をそれぞれ算出し、該算出した平均車輪速度の差であるΔSaveを上記(2)式より算出し、該算出したΔSaveが2km/h以下である場合(YES)、ステップS8で、前後輪差速度判定部13は、ΔSaveが所定値B以下であることを示す前後輪差速度判定フラグFaveをセットした後、ステップS9に進む。また、ステップS6で、ΔSaveが2km/h以下でない場合(NO)、ステップS7で、前後輪差速度判定部13は上記前後輪差速度判定フラグFaveをリセットして、ステップS9に進む。
【0061】
ステップS9において、フラグFcas操作部14は、上記差速度判定フラグFs及び上記前後輪差速度判定フラグFaveがすべてセットされているか否かを調べ、すべてセットされていることを検出した場合(YES)、ステップS11に進み、ステップS11で、フラグFcas操作部14は、推定車体速度Vrefが過小に算出されていると判断して、上記検出カウンタCTR1をインクリメントした後、ステップS12に進む。また、ステップS9で、差速度判定フラグFs及び前後輪差速度判定フラグFaveのいずれか1つでもセットされていないことを検出した場合(NO)、ステップS10に進み、ステップS10で、フラグFcas操作部14は、推定車体速度Vrefが過小に算出されていないと判断して、上記検出カウンタCTR1をデクリメントして、ステップS12に進む。
【0062】
ステップS12において、フラグFcas操作部14は、上記検出カウンタCTR1のカウンタ値を調べ、該カウンタ値が所定値α以上、例えば制御サイクルを8msecとした場合、該カウンタ値が0.2secを示す25(検出カウンタCTR1のカウンタ値の最大値を255とし、最小値を0とする)以上になると(YES)、ステップS13に進み、ステップS13で、フラグFcas操作部14は、車両が低μ路でカスケード状態にあると判断して、低μ路でのカスケード状態を検出したことを示すカスケード判定フラグFcasをセットした後、ステップS14に進む。また、ステップS12で、カウンタ値が25以上でない場合(NO)、ステップS14に進む。
【0063】
ステップS14において、フラグFcas操作部14は、前回の制御サイクルでソレノイド指令出力部15によって算出された推定車体速度(Vref)n−1が0であるか否かを調べ、該(Vref)n−1が0であるならば(YES)、ステップS15で、フラグFcas操作部14はカスケード判定フラグFcasをリセットした後、図4のステップS16に進む。また、ステップS14で、上記(Vref)n−1が0でない場合(NO)、図4のステップS16に進む。
【0064】
図4のステップS16において、CAS制御部16は、カスケード判定フラグFcasがセットされているか否かを調べ、カスケード判定フラグFcasがセットされていなければ(NO)、ステップS17に進み、CAS制御部16は、ステップS17で、基本制御量演算部11から入力された車輪速度SPEEDiのうち最大値である最大車輪速度Vmax1と、該Vmax1の次に大きい車輪速度Vmax2を選定し、該Vmax1とVmax2の平均値を基にして推定車体速度Vrefを算出するように、例えば、上記(3)式において、Vmax1を(Vmax1+Vmax2)/2に置き換えて推定車体速度Vrefを算出する。次にCAS制御部16は、ステップS18で、ロック兆候であると判断するための上記しきい値TH1を(3+Vref/32)に設定し、ステップS19で、上記しきい値TH2を1.5gに設定して、ステップS23に進む。
【0065】
また、ステップS16で、カスケード判定フラグFcasがセットされていれば(YES)、ステップS20に進み、CAS制御部16は、ステップS20で、基本制御量演算部11から入力された車輪速度SPEEDiのうち最大値である最大車輪速度Vmax1を選定し、該Vmax1を基にして推定車体速度Vrefを算出する。次にCAS制御部16は、ステップS21で、上記しきい値TH1を(2+Vref/32)に設定し、ステップS22で、上記しきい値TH2を1.2gに設定して、ステップS23に進む。
【0066】
ステップS23で、ソレノイド指令出力部15は、ロック兆候が検出されたか否かを調べ、ロック兆候が検出された場合(YES)、ステップS24に進み、ステップS24で、ソレノイド指令出力部15は、減圧又は保持信号SiをアクチュエータACTiに出力して本フローは終了する。また、ステップS23で、ロック兆候が検出されなかった場合(NO)、ステップS25に進み、CAS制御部16は、ステップS25で、カスケード判定フラグFcasがセットされているか否かを調べ、カスケード判定フラグFcasがセットされていなければ(NO)、ステップS26に進み、CAS制御部16は、ステップS26で、上記しきい値TH3を2gに設定し、ステップS27で、上記しきい値TH4を(0.5g/1制御サイクル時間)に設定して、ステップS30に進む。
【0067】
また、ステップS25で、カスケード判定フラグFcasがセットされていれば(YES)、ステップS28に進み、CAS制御部16は、ステップS28で、上記しきい値TH3を3gに設定し、ステップS29で、上記しきい値TH4を(1g/1制御サイクル時間)に設定した後、ステップS30に進む。
【0068】
ソレノイド指令出力部15は、ステップS30で、前回の制御サイクルにおける加減圧信号Siが減圧信号又は保持信号であり、かつd/dt(SPEEDi)≦TH3であり、かつd/dt(SPEEDi)≦TH4であって、減圧又は保持信号Siを継続的に出力して延長するか否かを調べ、減圧又は保持信号Siを継続的に出力して延長しない場合(NO)、ステップS31に進み、ステップS31で、加圧信号SiをアクチュエータACTiに出力して本フローは終了する。ステップS30で、減圧又は保持信号Siを継続的に出力して延長する場合(YES)、ステップS32に進み、ステップS32で、ソレノイド指令出力部15は、減圧又は保持信号SiをアクチュエータACTiに出力して本フローは終了する。
【0069】
このように、本発明の第1の実施の形態における装置においては、4輪駆動車においては、4輪間が拘束されており低μ路でカスケード状態になった場合、4輪がほぼ同一速度になるが、各車輪における路面μにバラツキがあると、デファレンシャルギアの影響で各車輪間の車輪速度にバラツキが生じる。また、摩擦係数μの低い路面でカスケードしている場合、前後車輪間の車輪速度差はほぼ0であるという特徴があり、上記車輪速度のバラツキを検出して、低μ路で各車輪における路面μにバラツキがある場合のカスケード状態を検出することができ、前後車輪間の車輪速度差ΔSaveがほぼ0であることを検出して、低μ路でのカスケード状態を検出することができる。
【0070】
更に、上記のような低μ路におけるカスケード状態を検出すると、路面が低μ路であることから、推定車体速度Vrefが過小に算出されないように最大車輪速度Vmax1を基にして推定車体速度Vrefを算出するように設定し、各車輪のロック兆候を検出しやすくするように、ロック兆候を検出する判断基準を設定すると共に、ホイルシリンダ液圧の減圧信号をより長い間継続させホイルシリンダ液圧の減圧量を多くする低μ制御を行い、低μ路でのカスケード状態を防止することができる。これらのことから、車両、特に4輪駆動車において、各車輪間の路面μにバラツキがある低μ路で、高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を検出して防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0071】
ここで、上記第1の実施の形態のアンチスキッド制御装置において、検出カウンタCTR1は、差速度判定フラグFs及び前後輪差速度判定フラグFaveがすべてセットされた状態を検出するとインクリメントしてカウントアップし、差速度判定フラグFs及び前後輪差速度判定フラグFaveのうち1つでもセットされていない状態を検出するとデクリメントしてカウントダウンしたが、差速度判定フラグFs及び前後輪差速度判定フラグFaveがすべてセットされた状態を検出するとデクリメントしてカウントダウンし、差速度判定フラグFs及び前後輪差速度判定フラグFaveのうち1つでもセットされていない状態を検出するとインクリメントしてカウントアップするようにしてもよい。
【0072】
この場合、フラグFcas操作部14は、上記検出カウンタCTR1のカウンタ値が該検出カウンタCTR1の初期値よりも小さい値である所定値β以下、すなわち差速度判定フラグFs及び前後輪差速度判定フラグFaveがすべてセットされた状態を検出した頻度が所定値Z以上になると、車両が低μ路でカスケード状態にあると判断して、カスケード判定フラグFcasをセットする。
【0073】
次に、上記第1の実施の形態におけるアンチスキッド制御装置においては、車輪間の路面の摩擦係数μにバラツキがあるような低μ路でのカスケード状態を検出することができたが、車輪間の路面の摩擦係数μにバラツキがないような低μ路でのカスケード状態を検出することができない。そこで、車輪間の路面の摩擦係数μにバラツキがないような低μ路でのカスケード状態をも検出することができる本発明の第2の実施の形態におけるアンチスキッド制御装置について説明する。
【0074】
図5は、本発明における第2の実施の形態のアンチスキッド制御装置を示した概略ブロック図であり、図5を用いて本発明のアンチスキッド制御装置における第2の実施の形態の概略を説明する。なお、本第2の実施の形態のアンチスキッド制御装置を示した概略の制御系統図は、信号処理装置10を信号処理装置30にした以外は上記図2と同じであるので省略する。また、図5において、上記図2と同じものは同じ符号で示しており、ここではその説明を省略すると共に、上記図2との相違点のみ説明する。
【0075】
図5における図2との相違点は、図2の信号処理装置10から、差速度判定部12及び前後輪差速度判定部13をなくして、4輪が共にスキッドせずにグリップしている状態を検出するためのΔS判定部31と、スキッド状態から回復する途上の車輪加速度から、路面が低μ路であり車両がカスケード状態にあるか否かを判定する車輪加速度判定部32と、推定車体速度Vrefの傾きが高μ路相当以上の沈み込みであるか否かを判定する車体減速度判定部33と、ABS制御中であるか否かを判定するABS判定部34とを追加したことにある。
【0076】
更に、図5における図2との相違点は、図2のフラグFcas操作部14が、上記ΔS判定部31の判定と、上記車輪加速度判定部32の判定と、上記車体減速度判定部33の判定と、上記ABS判定部34の判定とから低μ路でのカスケード状態を検出するようにし、これによって、図2のフラグFcas操作部14をフラグFcas操作部35とする。また、図2のソレノイド指令出力部15が、算出した推定車体速度Vrefを上記車体減速度判定部33に出力し、加減圧信号SiをアクチュエータACTiに出力すると共にABS判定部34へも出力するようにしたことから、図2のソレノイド指令出力部15をソレノイド指令出力部36とする。これらに伴って、図2の信号処理装置10を信号処理装置30としたことにある。
【0077】
図5において、信号処理装置30は、マイクロコンピュータからなり、基本制御量演算部11、ΔS判定部31、車輪加速度判定部32、車体減速度判定部33、ABS判定部34、フラグFcas操作部35及びソレノイド指令出力部36を備え、上記車輪速度信号に所定の処理を行って、上記インレット・バルブ3A〜3D及び上記アウトレット・バルブ4A〜4Dを備えた上記アクチュエータACT0,ACT1,ACT2,ACT3に上記加減圧信号Siを出力する
【0078】
上記車輪速度センサS0〜S3は上記基本制御量演算部11に接続され、基本制御量演算部11はΔS判定部31、車輪加速度判定部32及びソレノイド指令出力部36に接続され、ΔS判定部31、車輪加速度判定部32、車体減速度判定部33及びABS判定部34はフラグFcas操作部35に接続され、更に該フラグFcas操作部35はソレノイド指令出力部36に接続されている。また、ソレノイド指令出力部36は車体減速度判定部33及びABS判定部34に接続されている。
【0079】
上記基本制御量演算部11は、算出した各車輪の車輪速度SPEEDiを、上記ΔS判定部31、車輪加速度判定部32及びソレノイド指令出力部36に出力する。
上記ΔS判定部31は、上記基本制御量演算部11から入力された各車輪速度SPEEDiのうち最大値である最大車輪速度Vmax1と最小値である最小車輪速度Vminを選定し、該最大車輪速度Vmax1と最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値C以下である場合、例えば2km/h以下である場合、差速度ΔSが所定値C以下であることを示すΔS判定フラグFs1をセットする。このように、ΔS判定部31は、4輪自動車における4輪すべてがスキッドせずに路面にグリップしている状況を検出するために、4輪の各車輪速度が所定の範囲内にあることを検出する。
【0080】
上記車輪加速度判定部32は、上記基本制御量演算部11から入力された各車輪速度SPEEDiをそれぞれ微分して車輪加速度ACCELiを算出し、該車輪加速度ACCELiが所定値D以下である場合、例えば5g以下である場合、車輪加速度ACCELiが所定値D以下であることを示す車輪加速度判定フラグFaccをセットする。路面が高μ路のとき、車輪がスキッド状態から回復途上における車輪加速度は大きいが、路面が低μ路でカスケード状態にある車輪の挙動は、車輪加速度が小さく、路面μが小さいためスキッドからの回復が遅いという特徴がある。このことから、車輪加速度判定部32は、上記算出した車輪加速度ACCELiが小さい状態を検出する。
【0081】
上記車体減速度判定部33は、上記ソレノイド指令出力部36から入力された前回のサイクルにおける推定車体速度Vrefを微分して車体減速度を算出し、該算出した車体減速度が高μ路に相当する所定値E以上である場合、例えば加速方向を正の値とし、減速方向を負の値としたときに−0.6g以下である場合、車体減速度の絶対値が所定値E以上であることを示す車体減速度判定フラグFdecをセットする。このように、車体減速度判定部33は、上記車体減速度で示した推定車体速度Vrefの下降速度が高μ路相当の値E以上であることを検出する。
【0082】
上記ABS判定部34は、上記ソレノイド指令出力部36からアクチュエータACTiのいずれかに減圧信号Siが出力されたことを検出し、該減圧信号Siの出力を検出すると、内蔵するタイマカウンタTMRのカウンタ値を所定の初期値φ、例えば2秒に相当する250に設定した後、該タイマカウンタTMRをデクリメントする。また、上記ソレノイド指令出力部36からアクチュエータACTiのいずれかにも減圧信号Siが出力されなかった場合、上記タイマカウンタTMRをデクリメントする。そして、ABS判定部34は、タイマカウンタTMRのカウンタ値が0でない場合、ABS制御中であることを示すABS判定フラグFabsをセットする。ソレノイド指令出力部36から出力された最新の減圧信号Siからある所定の時間内はABS制御中であると判定することができる。このことから、ABS判定部34は、4輪すべてに対していずれの車輪においても減圧が発生してから所定時間内はABS制御中であると判断する。
【0083】
上記フラグFcas操作部35は、上記ΔS判定フラグFs1、上記車輪加速度判定フラグFacc、上記車体減速度判定フラグFdec及び上記ABS判定フラグFabsがすべてセットされていることを検出した場合、内蔵する検出カウンタCTR2をインクリメントし、それ以外の場合、すなわち上記ΔS判定フラグFs1、上記車輪加速度判定フラグFacc、上記車体減速度判定フラグFdec及び上記ABS判定フラグFabsのいずれか1つでもセットされていないことを検出した場合、上記検出カウンタCTR2を初期値である0にリセットする。このようにして、フラグFcas操作部35は、ΔS判定フラグFs1、車輪加速度判定フラグFacc、車体減速度判定フラグFdec及びABS判定フラグFabsがすべてセットされた状態を連続して検出した時間を上記検出カウンタCTR2を用いて測定する。
【0084】
また、フラグFcas操作部35は、上記検出カウンタCTR2のカウンタ値が所定時間Tを示す所定値γ以上、例えば制御サイクルが8msecの場合、該カウンタ値が0.2secを示す25以上になる、すなわちΔS判定フラグFs1、車輪加速度判定フラグFacc、車体減速度判定フラグFdec及びABS判定フラグFabsがすべてセットされた状態を連続して検出した時間が所定値T以上になると、車両が低μ路でカスケード状態にあると判断して、カスケード判定フラグFcasをセットする。
【0085】
更に、フラグFcas操作部35は、上記ソレノイド指令出力部36から算出された推定車体速度Vrefを入力し、前回の制御サイクルにおける推定車体速度(Vref)n−1が0であるか、又は上記ABS判定フラグFabsがリセットされるとカスケード判定フラグFcasをリセットする。このように、上記フラグFcas操作部35は、該カスケード判定フラグFcasをセットすることにより、上記第1の実施の形態で示した低μ路を想定したABS制御である低μ制御を上記ソレノイド指令出力部36に対して行わせる。
【0086】
ソレノイド指令出力部36は、算出した推定車体速度Vrefを上記車体減速度判定部33に出力し、上記加減圧信号SiをABS判定部34へも出力する以外は、上記CAS制御部16を備えた上記第1の実施の形態のソレノイド指令出力部15と同様である。
【0087】
なお、上記ΔS判定部31はΔS判定手段をなし、上記車輪加速度判定部32は車輪加速度判定手段をなし、上記車体減速度判定部33は車体減速度判定手段をなし、上記ABS判定部34はABS判定手段をなし、上記フラグFcas操作部35は、請求項6から請求項10に記載のカスケード判定手段をなし、上記ソレノイド指令出力部36は推定車体速度算出手段をなす。
【0088】
次に、図6及び図7は、上記図5で示したアンチスキッド制御装置の動作例の前半部分を示したフローチャートである。上記図5で示したアンチスキッド制御装置の動作例の後半部分を示したフローチャートは、上記第1の実施の形態における図4のフローチャートにおいてソレノイド指令出力部15をソレノイド指令出力部36に置き換えた以外は同じであるので省略し、図6及び図7を用いて本発明の第2の実施の形態の装置における動作例を説明する。
図6において、基本制御量演算部11は、最初にステップS50で、各車輪の車輪速度SPEEDiを算出して、該算出した車輪速度SPEEDiをΔS判定部31、車輪加速度判定部32及びソレノイド指令出力部36に出力する。
【0089】
次に、ABS判定部34は、ステップS51で、前回の制御サイクルでソレノイド指令出力部36からアクチュエータACTiのいずれかに対して、減圧信号Siを出力する減圧要求があったか否かを調べ、減圧要求があった場合(YES)、ステップS52で、タイマカウンタTMRを初期値である250に設定した後、ステップS53に進む。また、ステップS51で、減圧要求がなかった場合(NO)、ステップS53に進む。ステップS53で、ABS判定部34は、上記タイマカウンタTMRのカウンタ値(タイマカウンタTMRのカウンタ値の最小値を0とする)をデクリメントして、ステップS54に進む。
【0090】
ABS判定部34は、ステップS54において、タイマカウンタTMRのカウンタ値が0でないか否かを調べ、0の場合(NO)、ステップS55で、ABS制御中でないと判断し、上記ABS判定フラグFabsをリセットした後、ステップS57に進む。ステップS54で、0でない場合(YES)、ステップS56で、ABS制御中であると判断して、上記ABS判定フラグFabsをセットした後、ステップS57に進む。
【0091】
ステップS57において、車体減速度判定部33は、ソレノイド指令出力部36で前回の制御サイクルに算出された推定車体速度Vrefを微分して車体減速度を算出し、該車体減速度d/dt(Vref)が、減速方向を負の値とした場合−0.6g以下であるか否かを調べ、−0.6g以下でない場合(NO)、ステップS58で、車体減速度判定部33は上記車体減速度判定フラグFdecをリセットして、ステップS60に進む。また、ステップS57で、−0.6g以下である場合(YES)、ステップS59で、車体減速度判定部33は上記車体減速度判定フラグFdecをセットして、ステップS60に進む。
【0092】
次に、ΔS判定部31は、ステップS60において、基本制御量演算部11から入力された車輪速度SPEEDiのうち最大値である最大車輪速度Vmax1と最小値である最小車輪速度Vminを選定し、ステップS61で、上記差速度ΔSを算出し、該算出した差速度ΔSが2km/h以下であるか否かを調べ、ΔSが2km/h以下でない場合(NO)、ステップS62に進み、ステップS62で、差速度ΔSが所定値C以下であることを示すΔS判定フラグFs1をリセットした後、ステップS64に進む。また、ステップS61で、2km/h以下である場合(YES)、ステップS63に進み、ステップS63で、ΔS判定部31は、上記ΔS判定フラグFs1をセットした後、ステップS64に進む。
【0093】
次に、車輪加速度判定部32は、ステップS64で、上記基本制御量演算部11から入力された車輪速度SPEEDiを微分して車輪加速度ACCELiを算出し、該算出した車輪加速度ACCELiが5g以下であるか否かを調べ、5g以下でない場合(NO)、ステップS65で、車輪加速度判定フラグFaccをリセットした後、図7のステップS67に進む。また、ステップS64で、5g以下の場合(YES)、ステップS66で、上記車輪加速度判定フラグFaccをセットして、図7のステップS67に進む。
【0094】
図7のステップS67において、フラグFcas操作部35は、上記ABS判定フラグFabs、上記車体減速度判定フラグFdec、上記ΔS判定フラグFs1及び上記車輪加速度判定フラグFaccがすべてセットされているか否かを調べ、ABS判定フラグFabs、車体減速度判定フラグFdec、ΔS判定フラグFs1及び車輪加速度判定フラグFaccのいずれか1つでもセットされていないことを検出した場合(NO)、ステップS68に進み、ステップS68で、フラグFcas操作部35は、上記検出カウンタCTR2を初期値である0にリセットして、ステップS70に進む。また、ステップS67で、すべてセットされていることを検出した場合(YES)、ステップS69に進み、ステップS69で、フラグFcas操作部35は、上記検出カウンタCTR2をインクリメントした後、ステップS70に進む。
【0095】
ステップS70において、フラグFcas操作部35は、上記検出カウンタCTR2のカウンタ値を調べ、該カウンタ値が所定時間Tを示す所定値γ以上、例えば制御サイクルを8msecとした場合、該カウンタ値が0.2secを示す25(検出カウンタCTR2のカウンタ値の最大値を255とし、最小値を0とする)以上になると(YES)、ステップS71に進み、ステップS71で、フラグFcas操作部35は、車両が低μ路でカスケード状態にあると判断して、低μ路でのカスケード状態を検出したことを示すカスケード判定フラグFcasをセットした後、ステップS72に進む。また、ステップS70で、カウンタ値が25以上でない場合(NO)、ステップS72に進む。
【0096】
ステップS72において、フラグFcas操作部35は、前回の制御サイクルでソレノイド指令出力部36によって算出された推定車体速度(Vref)n−1が0であるか否か、又はABS判定フラグFabsがリセットされているか否かを調べ、上記(Vref)n−1が0であるか、又はABS判定フラグFabsがリセットされている場合(YES)、ステップS73に進み、ステップS73で、フラグFcas操作部35は、カスケード判定フラグFcasをリセットした後、上記図4のステップS16以降の処理を行う。また、ステップS72で、上記(Vref)n−1が0でなく、かつABS判定フラグFabsがリセットされていない場合(NO)、上記図4のステップS16以降の処理を行う。なお、本第2の実施の形態の場合、図4のステップS16以降の処理は、上記図4のソレノイド指令出力部15をソレノイド指令出力部36に置き換えて行うものである。
【0097】
このように、本発明の第2の実施の形態における装置においては、路面が高μ路のとき、車輪がスキッド状態から回復途上における車輪加速度は大きいのに対して、路面が低μ路でカスケード状態にある車輪の挙動は、車輪加速度が小さく、路面μが小さいためスキッドからの回復が遅い。このことから、ABS制御中であることを検出し、かつ推定車体速度Vrefの下降速度が高μ路相当の値以上であることを検出し、かつ4輪すべてがスキッドせずに路面にグリップしている状況を検出しているときに、路面が低μ路でカスケード状態にある車輪の挙動を示すような車輪加速度ACCELiが小さい状態を検出し、該状態が所定時間T以上連続したことを検出することにより、低μ路でのカスケード状態を検出することができる。このようにして、車輪間の路面の摩擦係数μにバラツキがないような低μ路でのカスケード状態をも検出することができる。
【0098】
更に、上記のような低μ路におけるカスケード状態を検出すると、路面が低μ路であることから、推定車体速度Vrefが過小に算出されないように最大車輪速度Vmax1を基にして推定車体速度Vrefを算出するように設定し、各車輪のロック兆候を検出しやすくするように、ロック兆候を検出する判断基準を設定すると共に、ホイルシリンダ液圧の減圧信号をより長い間継続させホイルシリンダ液圧の減圧量を多くする上記低μ制御を行い、低μ路でのカスケード状態を防止することができる。これらのことから、車両、特に4輪駆動車において、各車輪間の路面μにバラツキがある低μ路で、高μ路であると誤判断することを防止することができると共に、該低μ路でのカスケード状態を検出して防止し、車輪のロックを防止してスキッドを適切に発生させることができるため、ABS制御の性能及び信頼性を向上させることができる。
【0099】
ここで、上記第2の実施の形態のアンチスキッド制御装置において、検出カウンタCTR2は、ABS判定フラグFabs、ΔS判定フラグFs1、車輪加速度判定フラグFacc及び車体減速度判定フラグFdecがすべてセットされた状態を検出するとインクリメントしてカウントアップし、ABS判定フラグFabs、ΔS判定フラグFs1、車輪加速度判定フラグFacc及び車体減速度判定フラグFdecのうち1つでもセットされていない状態を検出すると初期値である0にリセットしたが、ABS判定フラグFabs、ΔS判定フラグFs1、車輪加速度判定フラグFacc及び車体減速度判定フラグFdecがすべてセットされた状態を検出するとデクリメントしてカウントダウンし、ABS判定フラグFabs、ΔS判定フラグFs1、車輪加速度判定フラグFacc及び車体減速度判定フラグFdecのうち1つでもセットされていない状態を検出すると所定の初期値にリセットするようにしてもよい。
【0100】
この場合、フラグFcas操作部35は、上記検出カウンタCTR2のカウンタ値が該検出カウンタCTR2の初期値よりも小さい値である所定値δ以下、すなわちABS判定フラグFabs、ΔS判定フラグFs1、車輪加速度判定フラグFacc及び車体減速度判定フラグFdecがすべてセットされた状態を連続して検出した時間が所定値T以上になると、車両が低μ路でカスケード状態にあると判断して、カスケード判定フラグFcasをセットする
【0101】
なお、上記第1及び第2の実施の形態において、CAS制御部16は、カスケード判定フラグFcasがセットされていない場合、上記車輪速度Vmax2又は上記最大車輪速度Vmax1よりも小さい車輪速度を基にして推定車体速度Vrefを算出するように設定してもよい。また、上記しきい値TH1及びTH2は、車両等にあわせて自由に設定することができ、推定車体速度Vrefに対して非線形に設定してもよい。このように、本発明は、様々な変形例が考えられ、本発明の範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定められるべきものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンチスキッド制御装置の第1の実施の形態を示す概略の制御系統図である。
【図2】本発明のアンチスキッド制御装置の第1の実施の形態を示した概略ブロック図である。
【図3】図2で示したアンチスキッド制御装置の動作例を示したフローチャートである。
【図4】図2で示したアンチスキッド制御装置の動作例を示したフローチャートである。
【図5】本発明のアンチスキッド制御装置の第2の実施の形態を示した概略ブロック図である。
【図6】図5で示したアンチスキッド制御装置の動作例を示したフローチャートである。
【図7】図5で示したアンチスキッド制御装置の動作例を示したフローチャートである。
【符号の説明】
10,30 信号処理装置
11 基本制御量演算部
12 差速度判定部
13 前後輪差速度判定部
14,35 フラグFcas操作部
15 ソレノイド指令出力部
16 CAS制御部
31 ΔS判定部
32 車輪加速度判定部
33 車体減速度判定部
34 ABS判定部
S0,S1,S2,S3 車輪速度センサ
ACT0,ACT1,ACT2,ACT3 アクチュエータ
CTR1,CTR2 検出カウンタ
TMR タイマカウンタ

Claims (17)

  1. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪速度からABS制御中における各車輪のホイルシリンダ液圧を推定するアンチスキッド制御装置において、
    上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmax1と、最小値である最小車輪速度Vminを選定する選定手段と、
    上記最大車輪速度Vmax1と最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以上であるか否かを判定する差速度判定手段と、
    上記各車輪速度から左右前輪の平均車輪速度と左右後輪の平均車輪速度との差ΔSaveを算出し、該差ΔSaveが所定値B以下であるか否かを判定する前後輪差速度判定手段と、
    所定の制御サイクルにおいて、上記差速度ΔSが所定値A以上であると上記差速度判定手段が判定し、かつ上記差ΔSaveが所定値B以下であると上記前後輪差速度判定手段が判定する頻度が所定値Z(>1)以上になると、車両が低μ路でのカスケード状態にあると判定するカスケード判定手段と、
    該カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定すると、低μ路に対応したABS制御である低μ制御を行うように設定するカスケード制御手段とを備えたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 請求項1に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記カスケード判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以上であると上記差速度判定手段が判定し、かつ上記差ΔSaveが所定値B以下であると上記前後輪差速度判定手段が判定した場合にカウントアップし、それ以外はカウントダウンを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が所定値α以上になると、車両が低μ路でのカスケード状態にあると判定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  3. 請求項1に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記差速度判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以上であると判定するとフラグFsをセットし、上記前後輪差速度判定手段は、上記差ΔSaveが所定値B以下であると判定するとフラグFaveをセットし、上記カスケード判定手段は、フラグFs及びフラグFaveがすべてセットされるとカウントアップし、それ以外はカウントダウンを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が所定値α以上になるとフラグFcasをセットし、上記カスケード制御手段は、該フラグFcasがセットされると上記低μ制御を行うように設定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  4. 請求項1に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記カスケード判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以上であると上記差速度判定手段が判定し、かつ上記差ΔSaveが所定値B以下であると上記前後輪差速度判定手段が判定した場合にカウントダウンし、それ以外はカウントアップを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値β以下になると、車両が低μ路でのカスケード状態にあると判定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  5. 請求項1に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記差速度判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以上であると判定するとフラグFsをセットし、上記前後輪差速度判定手段は、上記差ΔSaveが所定値B以下であると判定するとフラグFaveをセットし、上記カスケード判定手段は、フラグFs及びフラグFaveがすべてセットされるとカウントダウンし、それ以外はカウントアップを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値β以下になるとフラグFcasをセットし、上記カスケード制御手段は、該フラグFcasがセットされると上記低μ制御を行うように設定することを特徴とするアンチスキッド制御装置
  6. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪速度からABS制御中における各車輪のホイルシリンダ液圧を推定するアンチスキッド制御装置において、
    少なくとも1つの車輪がABS制御状態であるか否かを判定するABS判定手段と、
    上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmax1と、最小値である最小車輪速度Vminを選定する選定手段と、
    上記最大車輪速度Vmax1と最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値C以下であるか否かを判定するΔS判定手段と、
    上記各車輪速度から各車輪の加速度を算出し、該算出した各車輪加速度すべてが所定値D以下であるか否かを判定する車輪加速度判定手段と、
    上記各車輪速度から車体速度の推定値である推定車体速度を算出する推定車体速度算出手段と、
    該推定車体速度算出手段で算出された推定車体速度から、推定車体速度の下降速度が高μ路での値に相当する所定値E以上であるか否かを判定する車体減速度判定手段と、
    所定の制御サイクルにおいて、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であると上記ABS判定手段が判定し、かつ上記差速度ΔSが所定値C以下であると上記ΔS判定手段が判定し、かつ各車輪の車輪加速度すべてが所定値D以下であると上記車輪加速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度の下降速度が所定値E以上であると上記車体減速度判定手段が判定する時間が連続して所定値T以上になると、低μ路でのカスケード状態であると判定するカスケード判定手段と、
    該カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態であると判定すると、低μ路に対応したABS制御である低μ制御を行うように設定するカスケード制御手段とを備えたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  7. 請求項6に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記カスケード判定手段は、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であると上記ABS判定手段が判定し、かつ上記差速度ΔSが所定値C以下であると上記ΔS判定手段が判定し、かつ上記算出した各車輪加速度すべてが所定値D以下であると上記車輪加速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度の下降速度が高μ路での値に相当する所定値E以上であると上記車体減速度判定手段が判定した場合にカウントアップし、それ以外は初期値にリセットするカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が所定値γ以上になると、車両が低μ路でのカスケード状態にあると判定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  8. 請求項6に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記ABS判定手段は、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であると判定するとフラグFabsをセットし、上記ΔS判定手段は、差速度ΔSが所定値C以下であると判定するとフラグFs1をセットし、上記車輪加速度判定手段は、算出した各車輪加速度すべてが所定値D以下であると判定するとフラグFaccをセットし、上記車体減速度判定手段は、推定車体速度の下降速度が高μ路での値に相当する所定値E以上であると判定するとフラグFdecをセットし、上記カスケード判定手段は、フラグFabs、フラグFs1、フラグFacc及びフラグFdecがすべてセットされるとカウントアップし、それ以外は初期値にリセットするカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が所定値γ以上になるとフラグFcasをセットし、上記カスケード制御手段は、該フラグFcasがセットされると上記低μ制御を行うように設定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  9. 請求項6に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記カスケード判定手段は、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であると上記ABS判定手段が判定し、かつ上記差速度ΔSが所定値C以下であると上記ΔS判定手段が判定し、かつ上記算出した各車輪加速度すべてが所定値D以下であると上記車輪加速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度の下降速度が高μ路での値に相当する所定値E以上であると上記車体減速度判定手段が判定した場合にカウントダウンし、それ以外は初期値にリセットするカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値δ以下になると、車両が低μ路でのカスケード状態にあると判定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  10. 請求項6に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記ABS判定手段は、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であると判定するとフラグFabsをセットし、上記ΔS判定手段は、差速度ΔSが所定値C以下であると判定するとフラグFs1をセットし、上記車輪加速度判定手段は、算出した各車輪加速度すべてが所定値D以下であると判定するとフラグFaccをセットし、上記車体減速度判定手段は、推定車体速度の下降速度が高μ路での値に相当する所定値E以上であると判定するとフラグFdecをセットし、上記カスケード判定手段は、フラグFabs、フラグFs1、フラグFacc及びフラグFdecがすべてセットされるとカウントダウンし、それ以外は初期値にリセットするカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値δ以下になるとフラグFcasをセットし、上記カスケード制御手段は、該フラグFcasがセットされると上記低μ制御を行うように設定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれかに記載のアンチスキッド制御装置にして、上記カスケード制御手段は、上記カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定すると、上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度を基にして推定車体速度を算出するように設定し、上記カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定しなかった場合、上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度及び該最大車輪速度以外の車輪速度を基にして推定車体速度を算出するように設定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  12. 請求項11に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記カスケード制御手段は、上記カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定しなかった場合、上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度及び該最大車輪速度の次に大きい値の車輪速度との平均値を基にして推定車体速度を算出するように設定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  13. 請求項11又は請求項12のいずれかに記載のアンチスキッド制御装置にして、上記カスケード制御手段は、上記カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定すると、更に、各車輪のロック兆候を検出しやすくするように、ロック兆候を検出する判断基準を設定すると共に、ホイルシリンダ液圧の減圧量が大きくなるように設定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  14. 請求項13に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記カスケード制御手段は、上記カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定した場合、車輪加速度がしきい値TH3を超えるとホイルシリンダ液圧の加圧開始を行うという加圧開始条件において、低μ路でのカスケード状態にあると判定しなかった場合よりも該しきい値TH3を大きく設定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  15. 請求項13又は請求項14のいずれかに記載のアンチスキッド制御装置にして、上記カスケード制御手段は、上記カスケード判定手段が低μ路でのカスケード状態にあると判定した場合、車輪加速度の微分値がしきい値TH4を超えるとホイルシリンダ液圧の加圧開始を行うという加圧開始条件において、低μ路でのカスケード状態にあると判定しなかった場合よりも該しきい値TH4を大きく設定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  16. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪速度からABS制御中における各車輪のホイルシリンダ液圧を推定するアンチスキッド制御装置において、
    上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmax1と、最小値である最小車輪速度Vminを選定し、
    上記最大車輪速度Vmax1と最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以上であるか否かを判定し、
    上記各車輪速度から左右前輪の平均車輪速度と左右後輪の平均車輪速度との差ΔSaveを算出し、該差ΔSaveが所定値B以下であるか否かを判定し、
    所定の制御サイクルにおいて、上記差速度ΔSが所定値A以上であると判定し、かつ上記差ΔSaveが所定値B以下であると判定する頻度が所定値Z(>1)以上になると、車両が低μ路でのカスケード状態にあると判定し、
    低μ路でのカスケード状態にあると判定すると、低μ路に対応したABS制御である低μ制御を行うように設定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  17. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪速度からABS制御中における各車輪のホイルシリンダ液圧を推定するアンチスキッド制御装置において、
    少なくとも1つの車輪がABS制御状態であるか否かを判定し、
    上記各車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmax1と、最小値である最小車輪速度Vminを選定し、
    上記最大車輪速度Vmax1と最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値C以下であるか否かを判定し、
    上記各車輪速度から各車輪の加速度を算出し、該算出した各車輪加速度すべてが所定値D以下であるか否かを判定し、
    上記各車輪速度から車体速度の推定値である推定車体速度を算出し、
    該算出された推定車体速度から、推定車体速度の下降速度が高μ路での値に相当する所定値E以上であるか否かを判定し、
    所定の制御サイクルにおいて、少なくとも1つの車輪がABS制御状態であると判定し、かつ上記差速度ΔSが所定値C以下であると判定し、かつ各車輪の車輪加速度すべてが所定値D以下であると判定し、かつ推定車体速度の下降速度が所定値E以上であると判定する時間が連続して所定値T以上になると、低μ路でのカスケード状態であると判定し、
    低μ路でのカスケード状態であると判定すると、低μ路に対応したABS制御である低μ制御を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
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