JP4254397B2 - 車両スリップ判定装置および走行状態制御装置 - Google Patents

車両スリップ判定装置および走行状態制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両のスリップ状態を判定する車両スリップ判定装置に関するものであり、4輪駆動車両、アンチロックブレーキ制御装置(以下、ABS制御装置という)やトラクション制御装置に用いて好適である。
従来、ABS制御装置を備える車両において、前後輪の速度差を演算し、その速度差の変化率が所定値以上となったときの時間勾配より、そのときの路面μを推定演算するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
例えば4輪駆動車両の場合、極低μ路では路面反力が小さいため4輪拘束力(または前後輪の拘束力)の方が打ち勝ち、4輪同時に速度が落ち込む現象が起こる。この現象により、前後輪速度差が発生しないまま4輪がロックする場合がある。このような状態の場合、上記従来技術のように前後輪速度差を用いた路面μ判定方法では路面μを正しく推定することができなかった。
これに対し、4輪駆動車両において、推定車体減速度が所定値より大きく前後車軸の回転数差が所定範囲内にあるときに4輪ともロックした状態にあると判断するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平7−159308号公報 特開平10−6964号公報
しかしこの従来技術では、推定車体減速度が予め決められた所定値を超えたら前後の車輪速差を算出してこの車輪速差が所定の範囲内に入るかどうかでカスケードロックを判定しているため、推定車体減速度が予め決められた所定値を超える前、すなわち、4輪ロックに至るよりも前の推定車体減速度が小さい段階で4輪がスリップ状態に陥っていることを判定することはできなかった。
本発明は上記点に鑑みて、4輪ロックに至る前に4輪がスリップ状態に陥っていることを判定することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両における各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段(71、72、73、74)と、各車輪の車輪速度に基づき前輪および後輪の速度差を演算する前後輪速度差演算手段(11)と、車両の制動状態に応じて速度差下限値を設定するとともに、速度差下限値以上を判定範囲として設定する判定条件設定手段(11)と、前後輪速度差が設定された判定範囲外である場合に車両スリップ状態と判定するスリップ判定手段(11)と、各車輪の車輪速度に基づき車体速度を演算する車体速度演算手段(11)と、車体速度の時間変化より制動状態としての車体減速度を演算する車体減速度演算手段(11)とを備え、判定条件設定手段は車体減速度に応じて速度差下限値を設定しており、速度差下限値を車体減速度の増加に応じて増加するよう設定していることを特徴とする。
この発明によれば、速度差下限値以上を判定範囲として設定し、前後輪の車輪速度の差(前後輪速度差)がこの判定範囲外である場合、すなわち前後輪速度差が速度差下限値より小さい場合に車両スリップ状態であると判定するので、前後輪速度差が発生しないまま、車両スリップ状態としての4輪がスリップ状態に陥った状態を、4輪ロックに至る前に確実に判定できる。しかも、判定範囲を定める速度差下限値を制動状態に応じて設定するので、制動状態が変化しても判定範囲がそれに応じて変化し、正しく車両スリップ状態にあることを判定できる。
この場合、例えば請求項に記載のように車体減速度に関する一次関数値として設定すること可能である。
請求項に記載の発明は、判定条件設定手段は、さらに、制動状態に応じて速度差下限値よりも大きな速度差上限値を設定するとともに、判定範囲を速度差上限値と速度差下限値との間に設定することを特徴とする。
この発明によれば、制動状態に応じた所定値としての速度差下限値およびそれよりも大きい速度差上限値からなる判定範囲を設定することにより、車体減速度がこの判定範囲外、すなわち車体減速度が速度差下限値より小さい場合、または、速度差上限値より大きい場合のいずれかで、車両スリップ状態と判定することができる。これにより、車両の種々の制動状態において発生しうる車両スリップ状態を的確に判定することができる。
この速度差上限値は、速度差下限値と同様、請求項に記載のように、判定条件設定手段が、車体減速度の増加に応じて、増加するよう設定することも、あるいは、請求項に記載のように、車体減速度に関する一次関数値として設定することも、いずれも可能である。
請求項に記載の発明は、前後輪速度差演算手段は、車輪のうちの左前後輪の速度差および車輪のうちの右前後輪の速度差のそれぞれを所定時間毎に演算し、スリップ判定手段は、左前後輪の速度差および右前後輪の速度差の少なくとも一方の速度差が判定範囲外となる演算回数と、左前後輪の速度差および右前後輪の速度差がともに判定範囲内となる演算回数との差が、所定値を超えたときに車両スリップ状態と判定することを特徴とする。
この発明によれば、車両の左側および右側のそれぞれの前後輪速度差を所定時間ごとに演算し、左前後輪速度差および右前後輪速度差が判定範囲内か判定範囲外かを調べ、少なくとも一方が判定範囲外であるとみなされた回数(演算回数)と、左右の前後輪速度差のいずれもが判定範囲内であるとみなされた回数との差を算出する。そして、その差の回数が所定値を超えたときに、車両スリップ状態と判定するものである。したがって、路面状態や車両の制動状態などの変化により前後輪速度差の大きさが変化するような状況でも、安定して車両スリップ状態を判定することができる。
なお、判定条件設定手段は、請求項に記載のように、制動状態としての車輪減速度に応じて判定範囲を設定することが可能である。
本発明の車両スリップ判定装置は、請求項に記載のように、4輪駆動車両に適用可能である。
また、本発明の車両スリップ判定装置の判定結果に基づき、請求項に記載のように、アンチロックブレーキ制御装置(11)により車輪のロック状態を回避する制動制御を行うことができ、あるいは、請求項10に記載のように、トラクション制御装置(11)により駆動輪のスリップ状態を回避するトラクション制御を行うことができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の車両スリップ判定装置を適用した実施形態について、図面を参照して説明する。図1は本実施形態のブレーキ装置の全体構成を示した図である。
図1に示すように、ブレーキペダル1は倍力装置2を介してマスタシリンダ(以下、M/C)3に連結されている。ブレーキペダル1の踏み込みによりM/C3に油圧が発生する。この油圧は、M/C3にX配管として接続された第1配管系統31および第2配管系統32を介して、各車輪(左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RR)に設けられたホイールシリンダ(以下、W/C)51、53、54、52に与えられる。なお、第1配管系統31および第2配管系統32の構成は同一であり、以下、第1配管系統31に関して説明する。
M/C3とW/C51、52との間には、増圧弁41、42がそれぞれ設けられている。これら増圧弁41、42は、電子制御装置(以下、ECU)11により、連通・遮断状態を制御できる常開型の2位置弁として構成されている。そして、これら増圧弁41、42が連通状態に制御されているときには、ブレーキ液の流動によりブレーキ液圧を各W/C51、52に加えることができる。なお、ABS制御などが行われていないノーマルブレーキ時には、これら増圧弁41、42は常時連通状態とされている。
増圧弁41、42と各W/C51、52との間にそれぞれ管路が接続され、この管路はともにリザーバ8aへ接続されている。各W/C51、52とリザーバ8aとの間の各管路に、ECU11により連通・遮断状態を制御できる常閉型の減圧弁61、62がそれぞれ配設されている。そして、この2位置弁が連通状態に制御されているときには、W/C51、52よりブレーキ液がリザーバ8aに排出され、W/C51、52のW/C圧は減圧する。なお、ノーマルブレーキ時には、これら減圧弁61、62は常時遮断状態とされている。
M/C3とリザーバ8aとを結ぶ管路には回転式ポンプ9aが配設されている。この回転式ポンプ9aには、ECU11により制御されるモータ10が接続され、モータ10によって回転式ポンプ9aが駆動されるようになっている。
各車輪には、車輪速度センサ71、72が備えられており、この車輪速度センサ71、72から車輪の回転に応じた検出信号がECU11へ出力される。
ECU11には、配管系統各部の圧力を検出する各圧力センサ(図示せず)からの検出信号や車輪速度センサ71、72からの検出信号が入力され、これらの検出信号に基づいて、ECU11は車両における車体速度や車体減速度の演算および車両スリップ判定のほか、ABS制御における各部の駆動信号の演算を行っている。そして、ECU11での演算結果に基づいて、各種電磁弁41、42、61、62の駆動や、モータ10の駆動制御が行われる。
なお、第2配管系統32においても、上記第1配管系統31と同様の構成を備えている。すなわち、増圧弁43、44は増圧弁41、42に、W/C53、54はW/C51、52に、減圧弁63、64は減圧弁61、62に、リザーバ8bはリザーバ8aに、そして回転式ポンプ9bは回転式ポンプ9aに、それぞれ対応している。また、第2配管系統32の各車輪には車輪速度センサ73、74が配設されており、この車輪速度センサ73、74は車輪速度センサ71、72に対応している。したがって、これらの作動は前述の第1配管系統31における対応する各部の作動と同じであるので、説明を省略する。
次に、上記構成のECU11によって行われる車両スリップ状態の判定について説明する。まず、本実施形態における、車両のスリップ状態について説明する。車両スリップ状態とは、制動時、4輪とも各車輪速度と真の車体速度との間に差が生ずるスリップ状態にあって、4輪がロックに至る傾向(ロック傾向)にある状態である。例えば、この4輪のスリップ状態が続くと最終的に4輪がロック(スリップ率=100%)となるような状態である。なお、ここでのスリップ率は、真の車体速度と車輪速度との差の割合をいう。
また、車両グリップ状態とは、少なくともいずれかの車輪がグリップしている状態である。
図2(A)〜(C)は、車両制動時の前輪および後輪の車輪速度VWf、VWrや推定車体速度VBおよび真の車体速度V0の時間変化の典型的な例を示したものである。なお、推定車体速度VBは、後述するように各輪の車輪速度のうち最大値を採用している。
図2(A)は、車両グリップ状態の一例として、路面μが中程度以上となる比較的高μ路で、例えば前輪駆動車を制動したときの様子を示している。この場合、前輪は若干スリップ状態にあるものの後輪はグリップしている。また、後述するように、推定車体速度VBを各輪の車輪速度のうち最も大きい車輪速度に等しくしていることから、転動輪である後輪の車輪速度VWrは推定車体速度VBと同等であり、また、真の車体速度V0と推定車体速度VBとはほぼ同等の値となっている。したがって、車輪速度VWf、VWrおよび真の車体速度V0はほぼ同時に0になり、4輪がロック状態に陥ることなく車両は停止状態となる。
図2(B)は、車両スリップ状態の一例として、低μ路で、例えば2輪駆動車や4輪駆動車のうち前後結合力の比較的弱い車両などを制動したときの様子を示している。この場合には、前輪も後輪もともにスリップしている。しかも、前輪と後輪との間の拘束力が無い、または小さいために、前後輪間で車輪速度に差(VWf<VWr)が生じている。推定車体速度VBは最も大きな値の後輪の車輪速度VWrと同等となる。一方、前後輪ともスリップしているため真の車体速度V0の減速度は小さい。このため、VWf<VWr=VB≪V0の関係となる。したがって、VWr=0となった時点で4輪はロック状態に陥る。
図2(C)は、車両スリップ状態の別の例として、低μ路で、例えば4輪駆動車のうち前後結合力の強い車両を制動したときの様子を示している。この場合は、前輪も後輪もともにスリップしており、さらに、前後輪の拘束力が強いため、前後輪間で車輪速度に差がない(VWf=VWr)状態となっている。推定車体速度VBは前後輪の車輪速度VWf、VWrと同等となっている。一方、前後輪ともスリップしているため真の車体速度V0の減速度は小さい。このため、VWf=VWr=VB≪V0の関係となる。したがって、VWf=VWr=0となった時点で4輪はロック状態に陥る。
なお、上記において、図2(B)に示した車両スリップ状態は2輪駆動車や4輪駆動車のうち前後結合力の比較的弱い車両に生ずる例として、また、図2(C)に示した車両スリップ状態は4輪駆動車のうち前後結合力の強い車両に生ずる例として、それぞれ説明したがそれに限らない。すなわち、これらの図2(B)、(C)に示した車両スリップ状態は、車両の駆動形式によらず、同一の車両においても、路面状態(路面μ、路面勾配など)や車両状態(制動力、速度、重量配分など)に応じて、図2(B)、(C)のいずれの状態も採りうる。
このような車両スリップ状態および車両グリップ状態について、種々の路面状態や車両状態に関して調べた結果を図3に示す。
図3は、横軸を推定車体減速度DVB、縦軸を左右それぞれの前後輪の車輪速度差ΔVR、ΔVLとして表している。なお、推定車体減速度DVBは、減速時に推定車体速度が所定範囲の時間勾配で変化すると仮定するときの、この推定車体速度VBの時間変化量(微分値)である。
図3に示すように、推定車体減速度DVBと左右それぞれの前後輪速度差ΔVR(またはΔVL)との関係は、図2(B)で示される車両スリップ状態に該当する領域1、図2(A)で示される車両グリップ状態に該当する領域2および図2(C)で示される車両スリップ状態に該当する領域3の3つの領域に区分けされた。すなわち、図3の領域1および領域3における推定車体減速度DVBおよび前後輪速度差ΔVR(またはΔVL)では、車両は4輪ともスリップ状態となっている車両スリップ状態にあり、領域2における推定車体減速度DVBおよび前後輪速度差ΔVR(またはΔVL)では車両は、例えば、前輪がスリップ状態で、かつ、後輪がグリップ状態にあるような車両グリップ状態にあることが把握される。
そして、これら3つの領域のうち、領域2と領域1とは推定車体減速度DVBとともに増加するしきい値としての速度差上限値JVUPにより区分けされ、領域2と領域3とは推定車体減速度DVBとともに増加するしきい値としての速度差下限値JVLOにより区分けされる。そして、速度差上限値JVUPおよび速度差下限値JVLO(なお、JVLO<JVUP)はともに、近似的に、推定車体減速度DVBに関する一次関数として表される。
したがって、図3より、制動状態としての推定車体減速度DVBに関する一次関数値として速度差上限値JVUPおよび速度差下限値JVLOを設定し、速度差上限値JVUPと速度差下限値JVLOとの間の範囲を判定範囲とする。そして、推定車体減速度DVBと前後輪速度差ΔVRまたはΔVLとの関係が、この判定範囲内にあるか否かを判定し、判定範囲外にある場合を、車両が前後輪ともすなわち4輪ともスリップしている状態である車両スリップ状態にあること、換言すれば、前後輪をスリップさせるような低い路面μに対して制動力が強い状態であると判定することができる。
さらに、前述のように同一駆動形式の車両においても、制動状態等の変化に応じて、図3に示される領域1の車両スリップ状態と領域3の車両スリップ状態とのいずれの状態にもなりうる。したがって、上述した本実施形態の判定ロジックにより、2輪駆動車、前後結合力の弱いまたは強い4輪駆動車などのいずれの車両形式においても、車両スリップ状態の判定を行うことができる。
次に、ECU11により実行されるスリップ状態判定およびABS制御について、図4のメインルーチンを表すフローチャートに基づき説明する。なお、この処理は図示しないイグニッションスイッチがオンされるとともに開始される。
まずステップS100にて、各種フラグや各種カウンタの初期設定が行われる。次のステップS102では、タイマによりメインルーチンの演算周期としての演算間隔時間τ(例えば、τ=8ms)経過したか否かが判定される。演算間隔時間τ経過したらステップS104へ移行する。
ステップS104では、各車輪速度センサ71〜74からの検出信号に基づき、それぞれ左前輪FL、右後輪RR、右前輪FR、左後輪RLの各車輪速度VWFL、VWRR、VWFR、VWRLが演算される。次のステップS106で、推定車体速度VB(n)を、各車輪速度VWFL、VERR、VWFR、VWRLのうち最も大きい車輪速度とする。ただし、nは演算回数を表す。
次に、ステップS108で、推定車体減速度DVB(n)が、前回の推定車体速度VB(n−1)から今回の推定車体速度VB(n)までの時間変化量として、数式1に基づき演算される。
(数1)
DVB(n)=−(VB(n)−VB(n−1))/τ
ステップS110では、各車輪速度VWFL、VWRR、VWFR、VWRLおよび推定車体減速度DVBに基づき車両スリップ状態の判定演算が行われる。そして、ステップS112では、車両スリップ状態にあると判定された場合にABS制御を行うべく、各車輪の目標制動力が演算される。
次に、ステップS110で行われる車両スリップ状態の判定演算について、図5のフローチャートに基づき説明する。まず、ステップS200で右前後輪の車輪速度差ΔVRおよび左前後輪の車輪速度差ΔVLが、数式2に基づいて演算される。
(数2)
ΔVR=|VWFR−VWRR|
ΔVL=|VWFL−VWRL|
ステップS202では、現在の推定車体減速度DVBに対して車両グリップ状態を判定するための速度差上限値JVUPおよび速度差下限値JVLOが数式3に基づいて演算される。
(数3)
JVUP=KU・DVB+CU
JVLO=KL・DVB−CL
ただし、推定車体減速度DVBの単位はGであり、KUおよびKLはそれぞれ定数(たとえば、2および0.5)であり、CUおよびCLはそれぞれ定数(例えば、2km/hおよび0.1km/h)である。また、JVLO<0のときは、JVLO=0(km/h)とする。
ステップS204では、右側前後輪速度差ΔVRが速度差上限値JVUPより大きいかが判定され、YESならばステップS214へ、NOならばステップS206へ移行する。
ステップS206では、左側前後輪速度差ΔVLが速度差上限値JVUPより大きいかが判定され、YESならばステップS214へ、NOならばステップS208へ移行する。
ステップS208では、右側前後輪速度差ΔVRが速度差下限値JVLOより小さいかが判定され、YESならばステップS214へ、NOならばステップS210へ移行する。
ステップS210では、左側前後輪速度差ΔVLが速度差下限値JVLOより小さいかが判定され、YESならばステップS214へ、NOならばステップS212へ移行する。
ステップS212ではカウンタ値CNを1減少させ、ステップS214ではカウンタ値CNを1増加させる。そして、ステップS216でカウンタ値CNが、予め設定した所定値KNを超えたと判定された場合に、ステップS220で車両スリップ状態であると判定される。また、カウンタ値CNが所定値KNを超えるまでは車両スリップ状態とは判定しない(S218)。なお、カウンタ値CNは負の値とならないよう、最小値を0とするよう保護されている。したがって、走行中に車両グリップ状態が続く場合は、ステップS212の処理によりカウンタ値CNは0が維持される。
すなわち、演算間隔時間τ毎に行われるステップS204〜S210の判定により、右側または左側のいずれかの前後輪速度差が速度差上限値および速度差下限値により設定される判定範囲の外にある場合にはカウンタ値CNを増加させるとともに、右側および左側の前後輪速度差がいずれも上記判定範囲内にある場合にカウンタ値CNを減少させる。
したがって、カウンタ値CNは、実質的に、前後輪速度差ΔVLまたはΔVRが判定範囲外となる演算回数と左側前後輪速度差ΔVLおよび右側の前後輪速度差ΔVRがともに判定範囲内となる演算回数との差に相当する。
そして、このカウンタ値CNが所定値KNを超えたときに車両スリップ状態と判定するので、例えば路面状態や車両の制動状態などの変化により前後輪速度差の大きさが変化して、前後輪速度差が判定範囲内に単に1度入っただけでは車両スリップ状態と判定しないので、安定した車両スリップ状態判定を行うことができる。
以上のような判定処理による車両スリップ状態の判定例について説明する。図6は、図3における領域1での車両スリップ状態の判定例を示す各パラメータの時間線図である。なお、ここでは右側前後輪の車輪速度VWFR、VWRRを判定に用いた例を示している。領域1において、制動により発生する前後輪速度差が大きく(VWFR<VWRR)、かつ、推定車体速度VB≒右後輪車輪速度VWRR≪真の車体速度V0の状態で、それぞれ時間とともに減少している。右側前後輪速度差ΔVR=|VWFR−VWRR|が増加し、推定車体減速度DVBに応じて算出された速度差上限値JVUPを超えると、カウンタ値CNはカウントアップされる。ΔVRがJVUPを越えている間はカウンタ値CNは増加し続ける。カウンタ値CNが所定値KNを超えた時点で車両スリップ状態との判定フラグが立てられる。こうして、4輪がロック状態となる前に、カウンタ値CNがカウントアップされて所定値KNを越えた時点で、車両スリップ状態と判定することができる。
図7は、図3における領域3での車両スリップ状態の判定例を示す各パラメータの時間線図である。ここでも、右側前後輪の車輪速度VWFR、VWRRを判定に用いた例を示している。領域3において、制動により発生する前後輪速度差がきわめて小さく(VWFR≒または<VWRR)、かつ、推定車体速度VB≒右後輪車輪速度VWRR≪真の車体速度V0の状態で、それぞれ時間とともに減少している。右側前後輪車輪速度差ΔVR=|VWFR−VWRR|は、極めて小さく、推定車体減速度DVBに応じて算出された速度差下限値JVLOを越えることはない。したがって、カウンタ値CNはΔVRがJVLOを下回っている間はカウントアップされ、増加する。カウンタ値CNが所定値KNを超えた時点で車両スリップ状態との判定フラグが立てられる。こうして、4輪がロック状態となる前に、カウンタ値CNがカウントアップされて所定値KNを越えた時点で、車両スリップ状態と判定することができる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、判定範囲の上限値、下限値を設定するに当たり、制動状態を反映するパラメータとして演算された車体減速度である推定車体減速度に応じて設定する例を示したが、これに限らず、車輪減速度に応じて設定してもよい。すなわち、車輪減速度DVWは、数式1と同様、前回の車輪速度VWFR(n−1)、VWRR(n−1)、・・・からの時間変化量として演算できる。そして、車輪速度VWFR、VWRR、・・・は、図2に示すように、推定車体速度VBとほぼ一致することから、車輪減速度DVWも推定車体減速度DVBと近似的に等しいとみなすことができる。
上記実施形態の車両スリップ判定装置は、車両の駆動形式を問わず、2輪駆動車(前輪駆動車、または後輪駆動車)でも、あるいは、前後輪の結合力が強い4輪駆動車または結合力が弱い4輪駆動車のいずれにも適用可能である。
上記実施形態では、ECU11が車両スリップ判定装置として判定した車両スリップ状態において、ABS制御を行う例を示したが、これに限らず、駆動輪のスリップ状態を回避するために、例えば駆動輪の制動力を増加するトラクション制御を行うようにしてもよい。
本発明の実施形態のブレーキ装置の全体構成を示す図である。 (A)は領域2における車両グリップ状態の時間変化の例を示す図、(B)は領域1における車両スリップ状態の時間変化の例を示す図、および(C)は領域3における車両スリップ状態の時間変化の例を示す図である。 推定車体減速度と前後輪車輪速度差との関係を示す線図である。 本実施形態のメインルーチンを表すフローチャートである。 車両スリップ状態判定を行うためのサブルーチンを表すフローチャートである。 本実施形態における車両スリップ状態の判定例を示す時間線図である。 本実施形態における車両スリップ状態の判定例を示す時間線図である。
符号の説明
1…ブレーキペダル、3…マスタシリンダ、9a、9b…回転ポンプ、
11…ECU、51、52、53、54…ホイールシリンダ、
71、72、73、74…車輪速度センサ。

Claims (10)

  1. 車両における各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段(71、72、73、74)と、
    前記各車輪の車輪速度に基づき前記各車輪のうちの前輪と後輪との速度差を演算する前後輪速度差演算手段(11)と、
    前記車両の制動状態に応じて速度差下限値を設定するとともに、前記速度差下限値以上を判定範囲として設定する判定条件設定手段(11)と、
    前記前後輪速度差が前記設定された判定範囲外である場合に車両スリップ状態と判定するスリップ判定手段(11)と、
    前記各車輪の車輪速度に基づき車体速度を演算する車体速度演算手段(11)と、前記車体速度の時間変化より前記制動状態としての車体減速度を演算する車体減速度演算手段(11)とを備え、
    前記判定条件設定手段は前記車体減速度に応じて前記速度差下限値を設定しており、前記速度差下限値を車体減速度の増加に応じて増加するよう設定していることを特徴とする車両スリップ判定装置。
  2. 前記判定条件設定手段は、前記速度差下限値を、前記車体減速度に関する一次関数値として設定することを特徴とする請求項に記載の車両スリップ判定装置。
  3. 前記判定条件設定手段は、さらに、制動状態に応じて前記速度差下限値よりも大きな速度差上限値を設定するとともに、前記判定範囲を前記速度差上限値と速度差下限値との間に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の車両スリップ判定装置。
  4. 前記判定条件設定手段は、前記車体減速度の増加に応じて、前記速度差上限値が増加するよう設定することを特徴とする請求項に記載の車両スリップ判定装置。
  5. 前記判定条件設定手段は、前記速度差上限値を、前記車体減速度に関する一次関数値として設定することを特徴とする請求項に記載の車両スリップ判定装置。
  6. 前記前後輪速度差演算手段は、前記車輪のうちの左前後輪の速度差および前記車輪のうちの右前後輪の速度差のそれぞれを所定時間毎に演算し、
    前記スリップ判定手段は、前記左前後輪の速度差および右前後輪の速度差の少なくとも一方の速度差が前記判定範囲外となる演算回数と、前記左前後輪の速度差および右前後輪の速度差がともに前記判定範囲内となる演算回数との差が、所定値を超えたときに前記車両スリップ状態と判定することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両スリップ判定装置。
  7. 前記判定条件設定手段は、前記制動状態としての車輪減速度に応じて前記判定範囲を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両スリップ判定装置。
  8. 前記車両が4輪駆動車両であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両スリップ判定装置。
  9. 請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両スリップ判定装置により判定された車両スリップ状態において、前記車輪のロック状態を回避する制動制御を行うアンチロックブレーキ装置(11)を備えることを特徴とする車両の走行状態制御装置。
  10. 請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両スリップ判定装置により判定された車両スリップ状態において、前記車輪のうち駆動輪のスリップ状態を回避するトラクション制御を行うトラクション制御装置(11)を備えることを特徴とする車両の走行状態制御装置。
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