JP3814829B2 - 自動車のインストルメントパネル構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車室の前部に設置される自動車のインストルメントパネル構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば実開昭63−87128号公報に示されるように、ポリプロピレン複合材等からなるパネル本体の表面にパッド材が固着されてなるインストルメントパネルを車室の前部に設置することが行われている。この自動車のインストルメントパネルは、車室内を装飾する内装材として機能を有するとともに、車両の衝突時に作用する衝撃荷重から乗員を保護する保護部材としての機能を兼ね備えたものであり、ある程度の剛性と弾力性とを有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記インストルメントパネルは、例えば自動車の衝突時に乗員が前方に付勢された場合に、この乗員の膝部等を支持しつつ塑性変形することにより、衝撃を緩和して衝突時の衝撃荷重から乗員を保護するように構成されている。このため、上記インストルメントパネルが塑性変形する際に、その前方にイグニッションキーシリンダ等の剛性の高い装備品がレイアウトされていると、上記インストルメントパネルの変形が阻害されて上記衝撃の緩和作用が不十分となり易いという問題がある。
【0004】
すなわち、上記イグニッションキーシリンダは、その盗難を防止するため、通常ステアリングシャフト等の剛性の高い部材に取り付けられ、大きな荷重が作用した場合においても、その設置位置が変位することがないように支持されている。したがって、衝突時に乗員の膝部等によって押動されたインストルメントパネルがイグニッションキーシリンダに当接した時点で、上記インストルメントパネルの移動が急激に阻止されるため、この時点において乗員に作用する衝撃を緩和する作用が損なわれることになる。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、簡単な構成で衝突時に作用する衝撃荷重から乗員を効果的に保護することができる自動車のインストルメントパネル構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、車室の前部に位置するインストルメントパネルに、乗員の膝部に対向して車体の前部外方側に伸びる左右一対の傾斜面と、その左右に一体に連設された側方部とを設け、上記傾斜面をステアリングシャフトの設置部を挾むように配設するとともに、左右の傾斜面の間に位置する中央部とこの傾斜面との連結部の近傍であってその裏面側にイグニッションキーシリンダからなる剛性の高い装備品をレイアウトし、かつインストルメントパネルをステアリング支持メンバに取り付ける取付プレートに、上記傾斜面を支持する支持部材を設けたものである。
【0007】
【作用】
上記請求項1記載の発明によれば、自動車の衝突時に作用する衝撃荷重に応じて乗員が前方に付勢されてその膝部がインストルメントパネルに当接すると、この膝部がインストルメントパネルに形成された傾斜面に沿って側方に摺動し、その裏面側に位置する剛性の高い装備品の設置部から離間した位置に上記乗員の膝部が案内されることになる。そして、自動車の衝突時に作用する衝撃荷重に応じて運転者の膝部が前方に付勢されてインストルメントパネルに当接すると、このインストルメントパネルに形成された傾斜面に沿って運転者の膝部がイグニッションキーシリンダの設置部の側方に案内されるとともに、自動車の衝突時に作用する衝撃荷重に応じて乗員の膝部がインストルメントパネルの傾斜面に当接した場合に、この部分に作用する衝撃荷重が上記連結部材を介してステアリング支持メンバに伝達され、このステアリング支持メンバによって上記衝撃荷重が支持されることにより、上記傾斜面の変形が抑制されることになる。
【0008】
【実施例】
図1は、左ハンドル用の自動車に適用される本発明に係るインストルメントパネル構造の実施例を示している。このインストルメントパネルは、運転席の前方に位置するステアリングハンドル1の設置部、コンビネーションメータ2の設置部および助手席の前方に位置するグローブボックス3の設置部等を備えたアッパメンバ4と、上記ステアリングハンドル1の設置部の前部下方に配設されたロアメンバ5とを有している。
【0009】
上記インストルメントパネルの裏面側、つまり車体の前方側には、図2に示すように、後述のステアリングシャフトを支持するステアリング支持メンバ6が設置されている。このステアリング支持メンバ6は、車幅方向に伸びるように設置される丸パイプ材からなっている。このステアリング支持メンバ6の左右両端部には、車体の側辺部に固着される取付ブラケット7が取り付けられるとともに、中央部には、車体のフロアパネル上に立設される左右一対の支持ブラケット8が取り付けられている。
【0010】
また、上記ステアリング支持メンバ6の右方側、つまり助手席側には、グローブボックス3の取付ブラケット10と、ストライカ11の支持ブラケット12と、エアバッグの取付ブラケット13とが取り付けられている。さらに、上記ステアリング支持メンバ6の左方側、つまり運転席側には、ステアリングシャフト用の支持ブラケット14が取り付けられるとともに、上記ロアメンバ5の取付プレート15が斜め下方に向けて突設されている。
【0011】
上記取付プレート15は、左端部がブラケット16によってステアリング支持メンバ6に支持されるとともに、右端部がブラケット17によって上記支持ブラケット8の側面に支持されている。また、上記取付プレート15の中央部には、車体の後方側に突出する膨出部18が形成され、その左右両側面には車体の前部外方に向けて伸びる先広がりの傾斜面19がそれぞれ形成されるとともに、この傾斜面19が連結部材20を介して上記ステアリング支持メンバ6に連結されている。
【0012】
上記取付プレート15に取り付けられるロアメンバ5は、プラスチック製のプレート材からなり、その中央部に上記取付プレート15の膨出部18および傾斜面19に対応する膨出部21および傾斜面22が形成されるとともに、その上部にステアリングシャフト設置用の切欠き23と、イグニッションキーシリンダ設置用の切欠き24とが形成されている。
【0013】
そして、図3および図4に示すように、上記支持ブラケット14にステアリングシャフト25をボトル止め等の手段で取り付けるとともに、上記インストルメントパネルのロアメンバ5を取付プレート15に取り付けることにより、このロアメンバ5および取付プレート15の傾斜面19,22が、上記ステアリングシャフト25の設置部を挾むように配設されて運転者の膝部26に対向することになる。
【0014】
また、上記のようにして設置されたロアメンバ5の左右一対の傾斜面22のうち、右方に位置する傾斜面22と、上記膨出部21からなる中央部との連結部の近傍であって、その裏面側には、ステアリングシャフト25にブラケット27によって固着されたイグニッションキーシリンダ28からなる装備品がレイアウトされている。
【0015】
このようにインストルメントパネルのロアメンバ5に、車体の前部外方に向けて伸びる左右一対の傾斜面22を形成し、この両傾斜面22をステアリングシャフト25の設置部を挾むように配設することにより、上記傾斜面22を運転者の膝部26に対向させるとともに、この傾斜面22の裏面側にイグニッションキーシリンダ28をレイアウトしたため、自動車の衝突時に作用する衝撃荷重から運転者を効果的に保護することができる。
【0016】
すなわち、衝突時に作用する衝撃荷重に応じて乗員が車体の前方側に付勢されると、その膝部26が上記ロアメンバ5の傾斜面22に当接し、この傾斜面22に沿って摺動することにより、上記膝部26が図4の矢印に示すように、車体の前部外方側に案内され、上記イグニッションキーシリンダ28の設置部から離れた位置においてロアメンバ5に圧接されることになる。
【0017】
したがって、上記ロアメンバ5を介して運転者の膝部26が剛性の高い上記イグニッションキーシリンダ28に当接するという事態の発生が防止される。そして、上記ロアメンバ5の側方部によって運転者の膝部26を安定状態で支持しつつ、このロアメンバ5の側方部を塑性変形させることにより、上記衝撃荷重を効果的に吸収して運転者に作用する衝撃を緩和することができる。
【0018】
また、上記のようにロアメンバ5の取付プレート15に上記傾斜面22に対応する傾斜面19を形成するとともに、この傾斜面19と、ステアリング支持メンバ6とを連結する連結部材20を設けたため、この連結部材20からなる支持部材を介して上記取付プレート15および上記ロアメンバ5の傾斜面19,22が上記ステアリング支持部材6に支持されることになる。
【0019】
したがって、自動車の衝突時に、運転者の膝部26が上記傾斜面22に当接した場合に作用する荷重が、上記連結部材(支持部材)20を介して上記ステアリング支持メンバ6に伝達されて支持され、これによって上記傾斜面22が前方に押動されて変形することが防止される。この結果、上記傾斜面22がイグニッションキーシリンダ28に当接して運転者の膝部28に衝撃荷重が作用したり、上記傾斜面22による膝部26の案内作用が損なわれたりするという事態の発生を確実に防止することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、車室の前部に位置するインストルメントパネルに、乗員の膝部に対向して車体の前部外方側に伸びる左右一対の傾斜面と、その左右に一体に連設された側方部とを設け、上記傾斜面をステアリングシャフトの設置部を挾むように配設するとともに、この傾斜面の裏面側にイグニッションキーシリンダからなる剛性の高い装備品をレイアウトし、かつインストルメントパネルをステアリング支持メンバに取り付ける取付プレートに、上記傾斜面を支持する支持部材を設けたため、衝突時に作用する衝撃荷重に応じて乗員が前方に付勢された場合に、乗員の膝部を上記傾斜面に沿って側方に摺動させて上記装備品の設置部から離間した位置に案内することができる。したがって、上記傾斜面を介して乗員の膝部が上イグニッションキーシリンダからなる記装備品に当接するのを防止し、乗員を安定状態で支持しつつ、上記衝撃荷重から乗員を効果的に保護することができるという利点がある。
【0022】
さらに、インストルメントパネルに形成された傾斜面を支持する支持部材をステアリング支持メンバに設けたため、衝突時の衝撃荷重に応じて運転者の膝部が上記傾斜面に当接した場合に、この傾斜面が前方に押圧されて変形することを効果的に防止し、これによって上記傾斜面がイグニッションキーシリンダ等に当接して運転者の膝部に衝撃荷重が作用したり、上記傾斜面による膝部の案内作用が損なわれたりするという事態の発生を確実に防止できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る自動車のインストルメントパネル構造の実施例を示す斜視図である。
【図2】 上記インストルメントパネルの支持部の構成を示す斜視図である。
【図3】 上記インストルメントパネル構造の側面断面図である。
【図4】 上記インストルメントパネル構造の平面断面図である。
【符号の説明】
4 インストルメントパネルのアッパメンバ
5 インストルメントパネルのロアメンバ
6 ステアリング支持メンバ
20 連結部材(支持部材)
22 傾斜面
25 ステアリングシャフト
28 イグニッションキーシリンダ

Claims (1)

  1. 車室の前部に位置するインストルメントパネルに、乗員の膝部に対向して車体の前部外方側に伸びる左右一対の傾斜面と、その左右に一体に連設された側方部とを設け、上記傾斜面をステアリングシャフトの設置部を挾むように配設するとともに、左右の傾斜面の間に位置する中央部とこの傾斜面との連結部の近傍であってその裏面側にイグニッションキーシリンダからなる剛性の高い装備品をレイアウトし、かつインストルメントパネルをステアリング支持メンバに取り付ける取付プレートに、上記傾斜面を支持する支持部材を設けたことを特徴とする自動車のインストルメントパネル構造。
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