JPH057882Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車が急停車時あるいは衝突時に
乗員の下半身、特に膝を保護するために設けられ
た自動車のニープロテクタ取付構造に関するもの
である。

（従来技術） 従来から、自動車の前部席に座つている乗員の
膝を保護するニープロテクタとして、例えば実開
昭59−23454号公報に示されるようなものがある。
このようなニープロテクタは、インストルメント
パネルの下に、車両のほぼ全長に亘つて延在して
設けられている。

ところで、上記ニープロテクタは、急停車時な
どにおける膝を保護するために板厚を適度に薄く
する設定する方がよく、またこれによつて車両の
軽量化を図ることができることになる。ところ
で、ニープロテクタの中間付近の剛性は、膝から
の衝撃に対して両サイドの剛性に比べ弱くなる傾
向がある。そこで、ニープロテクタの中間付近の
剛性を適度に高めるため、板厚を中間付近で厚く
することも考えられる。しかし、上記中間付近の
板厚を厚くすると重量が増加するので車両の軽量
化に対しては好ましくない。

（考案の目的） 本考案は、上記従来の問題点に鑑みてなされた
ものであり、ニープロテクタの剛性を任意に設定
することができ、膝の衝撃を効果的に吸収するこ
とができる自動車のニープロテクタ取付構造を提
供するものである。

（考案の構成） 本考案は、車幅方向に延びるニープロテクタの
一端を車体の一方サイドに、他端を車体中央もし
くは車体の他方サイドに接合すると共に、上記ニ
ープロテクタの上方で車幅方向に延びるように設
置されてステアリングシヤフトを支持するステア
リング支持メンバーを有する自動車のニープロテ
クタ取付構造であつて、上記ステアリングシヤフ
トをステアリング支持メンバの下部に支持させる
と共に、上記ステアリングシヤフトの設置部の両
サイドにおいてニープロテクタの上部をステアリ
ングシヤフトに近接させると共に、ジヨイントメ
ンバーによつてステアリング支持メンバーに連結
し、かつニープロテクタの下部をステアリングシ
ヤフトから離間させた位置に配設したものであ
る。

このようにジヨイントメンバーを用いた構成に
よれば、ニープロテクタの車幅方向中間付近の剛
性が適正に設定され、ニープロテクタによつて膝
が適正に保護される。そして、急停車時等に膝か
らニープロテクタに入力される衝撃が所定値以上
になると、このニープロテクタがつぶれるの同時
に、ジヨイントメンバーが座屈変形することによ
り、上記衝撃が吸収されることになる。

（実施例） 以下、第１図〜第３図を参照して本考案に係る
自動車のニープロテクタ取付構造の実施例を説明
する。

上記ニープロテクタ１は、インストルメントパ
ネルアツパーａ１の下方において、車幅方向に延
びるように設置され、乗員の膝を保護するように
構成されている。そして上記ニープロテクタ１の
一端部が車体２の一方サイド３ａに接合され、他
端部が車体の中央部のパネル３ｂ（第１図にのみ
図示）に接合されている。また、上記中央部のパ
ネル３ｂの下方部は、車体フロアの前後方向に形
成されたトンネル部（図示せず）に接続されてい
る。

運転席に設けられたステアリングシヤフト４
は、その中間部がステアリングコラム５に回動自
在に支持され、上端にハンドル４ａが取付けられ
ている。上記ステアリングコラム５は、ニープロ
テクタ１の上方において車幅方向に延びるように
設置されたステアリング支持メンバー６の下部
に、取付部材５ａ，５ｂを介して取付けられてい
る。

上記ニープロテクタ１の上部１ａは、ステアリ
ングシヤフト４に近接した位置に設置されると共
に、上記ステアリングシヤフト４の両サイドに設
置されたジヨイントメンバー７を介してステアリ
ング支持メンバー６に連結されている。また、上
記ニープロテクタ１の下部はステアリングシヤフ
ト４から離間した位置に配設され、これによつて
ニープロテクタ１の設置角度がステアリングシヤ
フト４に比べて起立した状態となるように設定さ
れている。

上記ジヨイントメンバー７は、金属材料からな
り、ニープロテクタ１の中間付近を支持すること
により、その剛性を向上させるように構成されて
いる。例えば、膝からの衝撃が第３図の矢印Ａに
示す方向に、ニープロテクタ１の中間付近に対し
て与えられると、その衝撃力が所定値以上になつ
た時点でニープロテクタ１がつぶれ、これと同時
にジヨイントメンバー７が座屈変形し、これによ
つて上記衝撃が吸収されるようになつている。

したがつて、ジヨイントメンバー７が設けられ
ていない従来例のように、ニープロテクタが急激
につぶされて十分な衝撃吸収作用が得られなくな
るという事態が生じることはなく、上記ニープロ
テクタ１によつて膝に与えられる衝撃を効果的に
吸収することができる。

また、上記ジヨイントメンバー７は、ステアリ
ングシヤフト４の設置部の両サイドに配設されて
いるので、自動車の衝突時等に作用する衝撃力に
応じて上記ニープロテクタ１の中央部が適度につ
ぶされることとなり、このニープロテクタ１の上
部１ａが前方に大きく移動するのを防止すること
ができる。したがつて、上記ニープロテクタの上
部１がステアリングシヤフト４に干渉するのを効
果的に防止し、これによつて膝に大きな衝撃が作
用するのを防ぐことができる。上記のようにニー
プロテクタ１の上部と、ステアリングシヤフト１
とが干渉するのを、より効果的に防止するために
は、上記ジヨイントメンバー７をステアリングシ
ヤフト４にできるだけ、近付けることが望まし
い。

しかも、ニープロテクタ４の下部をステアリン
グシヤフト４から離間した位置に配設したため、
このステアリングシヤフト４に当接させることな
く、上記ニープロテクタ４の下部を十分に変形さ
せて衝突時の荷重を効果的に吸収することができ
る。

上記インストルメントパネルａは、インストル
メントパネルアツパーａ１とインストルメントパ
ネルロアａ２とからなり、この両部材ａ１，ａ２
の間には、インストルメントパネルパツドａ３が
設けられている。

なお、上記実施例では、ニープロテクタ１の他
端部を車体２の中央部のパネル３ｂに接合した例
について説明したが、これに限らず、上記ニープ
ロテクタの他端部を車体２の他方サイドに接合し
た構造としてもよい。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、ステアリ
ングシヤフトの設置部の両サイドにおいてニープ
ロテクタの上部をジヨイントメンバーによりステ
アリング支持メンバーに連結したため、膝への衝
撃を効果的に低減できるように、ニープロテクタ
の中間付近における剛性を上記ジヨイントメンバ
の支持強度に応じて任意、かつ適正に設定するこ
とができる。したがつて、自動車の急停止時など
における膝からニープロテクタに与えられる衝撃
力に応じ、このニープロテクタを適度に座屈変形
させることにより、上記衝撃を効果的に吸収して
膝を保護することができるという利点がある。

また、自動車の衝突時等に、上記ニープロテク
タが前方に移動してその上方に設置されたステア
リングシヤフトに干渉するのを防止することがで
きるため、膝に対して衝撃が作用するのを、より
効果的に防ぐことができると利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るニープロテクタ取付構造
の実施例を示す概略斜視図、第２図は上記ニープ
ロテクタ取付構造の要部を示す正面図、第３図は
第２図の−線断面図である。 １……ニープロテクタ、２……車体、３ａ……
一方サイド、３ｂ……パネル（車体中央パネル）、
４……ステアリングシヤフト、６……ステアリン
グ支持メンバー、７……ジヨイントメンバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車幅方向に延びるニープロテクタの一端を車体
   の一方サイドに、他端を車体中央もしくは車体の
   他方サイドに接合すると共に、上記ニープロテク
   タの上方で車幅方向に延びるように設置されてス
   テアリングシヤフトを支持するステアリング支持
   メンバーを有する自動車のニープロテクタ取付構
   造であつて、上記ステアリングシヤフトをステア
   リング支持メンバの下部に支持させると共に、上
   記ステアリングシヤフトの設置部の両サイドにお
   いてニープロテクタの上部をステアリングシヤフ
   トに近接させると共に、ジヨイントメンバーによ
   つてステアリング支持メンバーに連結し、かつニ
   ープロテクタの下部をステアリングシヤフトから
   離間させた位置に配設したことを特徴とする自動
   車のニープロテクタ取付構造。