JPS6237811Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、特に三次衝突エネルギーを吸収す
るエネルギー吸収式ステアリング装置のステアリ
ングコラム支持構造に関するものである。

従来、この種のステアリングコラム支持構造は
第１図で示すようにステアリングユラム１の上部
にブレイクアウエイブラケツト５６が固定され、
このブレイクアウエイブラケツト５６が複数個の
カプセル７により、ボデイ４側のステアリングサ
ポートブラケツト５５に対して結合されている。

そして、この構造においては二次衝突時に上記
のカプセル７が剪断されブレイクアウエイブラケ
ツト５６がサポートブラケツト５５から切り離さ
れてステアリングコラム１が車両前方へ移動し、
もつてこの二次衝突エネルギーを吸収し得るよう
に機能する。このため、上記の両ブラケツト５
５，５６の結合剛性を確保することが困難とな
り、ステアリングコラム１に振動が生じやすい。
そこで、第１図で示すようにカプセル７の車幅方
向の配置をできるだけ広げ、広いスパンでステア
リングサポートブラケツト５５とブレイクアウエ
イブラケツト５６とを結合することにより、ステ
アリングコラム１の振動を低減している。しか
し、それでも第１図の二点鎖線で示すように両ブ
ラケツト５５，５６に振動が発生し、これがステ
アリングコラム周辺に伝わつて乗員に不快感を与
える場合があつた。

この考案の目的は、二次衝突による衝撃力がス
テアリングコラムに加わつたときに、所定の荷重
でステアリングコラムがボデイ側から確実に離脱
するとともに、通常時はステアリングコラム周辺
の振動を抑え、乗員に不快感を感じさせないよう
に配慮したステアリングコラムの支持構造を提供
することにある。

すなわち、この考案は、ボデイ側のステアリン
グサポートブラケツトと、ステアリングコラム側
のブレイクアウエイブラケツトとを結合した複数
個のカプセルから隔たつた個所において、これら
両ブラケツトの相対向面に一定の予圧をもつて互
いに当接する突起をそれぞれ形成したことを特徴
とするものである。

以下、この考案の実施例について、図面によつ
て説明する。

第２図〜第４図において、ステアリングコラム
１はその内部においてステアリングメインシヤフ
ト２及びこれに結合されたステアリングメインチ
ユーブ３を回転可能に軸支している。そして、こ
のステアリングコラム１の上部は、ボデイ側のイ
ンストルメントパネルレインフオースメント４に
対して以下のように固定されている。すなわち、
このインストルメントパネルレインフオースメン
ト４には、ステアリングサポートブラケツト５が
溶接によつて固定されている。また、このステア
リングサポートブラケツト５の下面には、後述す
るカプセル７の取付座面となる二本の突条８，８
が形成されている。しかも、これら突条８，８の
中間部分には、下方に向けて突出する突起９が形
成されており、この突起９の下面は当接面９ａと
なつている。

一方、ステアリングコラム１を上記ステアリン
グサポートブラケツト５に結合するためのブレイ
クアウエイブラケツト６はステアリングサポート
ブラケツト５の突起９と対応する位置において上
方へ突出する突起１０が加工されている。この突
起１０の上面は当接面１０ａであつて、ブレイク
アウエイブラケツト６とステアリングサポートブ
ラケツト５とを後述するように互いに結合した状
態では両突起９，１０の当接面９ａ，１０ａが一
定の予圧をもつて接するようになつている。この
ブレイクアウエイブラケツト６の下面中央部分に
は、コ字断面形状のコラム取付部１１が、その平
行部分を下方に下垂させた状態で溶接により、一
体に固定されている。そして、この取付部１１と
対応するステアリングコラム１の上部外側位置に
は、取付片１２が溶接固定されている。この取付
片１２とコラム取付部１１とを固定ボルト１３及
び固定ナツト１４とによつて結合することで、ス
テアリングコラム１とブレイクアウエイブラケツ
ト６との結合がなされている。

上記ブレイクアウエイブラケツト６は、ステア
リングサポートブラケツト５に対し、その突条
８，８に対応する位置において複数個（４個）の
カプセル７によつて結合されている。これらのカ
プセル７はステアリングサポートブラケツト５に
対し、ブレイクアウエイブラケツト６が車前方
（第３図の矢印方向）へ移動するときの荷動が一
定値を越えたときに剪断され、もつて両ブラケツ
ト５，６の結合が解除されるようになつている。

なお、既に述べたように、ステアリングサポー
トブラケツト５の突起９とブレイクアウエイブラ
ケツト６の突起１０との各当接面９ａ，１０ａの
位置は、原則的にはこれらの突起９，１０がない
場合に最も振動の振幅の大きい位置として定めら
れるものであり、本実施例においては４個のカプ
セル７からほぼ等しく隔たつた中間の位置に設け
られている。また、これら当接面９ａ，１０ａに
与えられる前記の予圧についても同様の場合に生
じる振動の最大振幅を考慮して定められる。さら
に、両当接面９ａ，１０ａは第３図で明らかなよ
うにカプセル７の取付面に対し、車前方がやや上
つた傾斜角となつている。

以上の構成においては、ステアリングサポート
ブラケツト５とブレイクアウエイブラケツト６と
のカプセル７による結合位置のほぼ中間位置で、
これら両ブラケツト５，６に形成されている突起
９，１０の当接面９ａ，１０ａが一定の予圧をも
つて当接しているため、両ブラケツト５，６の取
り付け剛性が向上するとともに、これら当接面９
ａ，１０ａの当接部分で両ブラケツト５，６の単
独の振動が抑制され、ステアリングコラム１の振
動レベルが著しく低下する。また、これらの当接
面９ａ，１０ａは、二次衝突の際にカプセル７が
剪断してブレイクアウエイブラケツト６がステア
リングサポートブラケツト５から離脱する方向
（カプセル７の取付面と平行な方向）に対して前
方上りの傾きをもつので、僅かな離脱が生じると
当接面９ａ，１０ａの当接状態が解除される。こ
のため、当接部分の摩擦力等により、ステアリン
グコラム１の移動を妨げてエネルギー吸収特性に
悪影響を及ぼすようなことが避けられる。

なお、以上の実施例においては、当接面９ａ，
１０ａをカプセル７の中間に１個所設けたが、カ
プセル７の取付位置の配置やパターンに応じて当
接面９ａ，１０ａを複数個所に設けてもよいこと
は言うまでもない。

以上のように本考案は、ボデイ側に固定された
ステアリングサポートブラケツトとステアリング
コラム側に固定されたブレイクアウエイブラケツ
トとを結合している各カプセルから隔たつた個所
におけるこれら両ブラケツトの相対向面に一定の
予圧をもつて互いに当接する突起をそれぞれ形成
するとともに、これら各突起の当接面に上記の各
カプセルの取付面と比べて車前方に向かつて上が
る傾斜をもたせたことにより、両突起の個所にお
いてブレイクアウエイブラケツトの振動が抑制さ
れ、しかもステアリングコラムに車前方への衝撃
荷重が作用してカプセルが剪断され、ブレイクア
ウエイブラケツトがステアリングサポートブラケ
ツトに対して僅かでも車前方へ移動すると、両突
起の当接状態が直ちに解除されることとなる。し
たがつて、これら両突起における当接面の摩擦等
によつて上記の衝撃荷重に対するエネルギー吸収
特性に悪影響を及ぼすことなく、ステアリングコ
ラム及びその周辺の振動を著しく低減させ、乗員
に不快感を与えないという効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術によるステアリングコラム支
持構造を示す断面図、第２図はこの考案の実施例
によるステアリングコラム上部の支持構造を説明
する部分斜視図、第３図はその拡大縦断面図、第
４図は第３図の−線断面図である。 １……ステアリングコラム、４……インストル
メントパネルレインフオースメント、５……ステ
アリングサポートブラケツト、６……ブレイクア
ウエイブラケツト、７……カプセル、９ａ，１０
ａ……当接面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボデイ側に固定されたステアリングサポートブ
   ラケツトと、ステアリングコラム側に固定された
   ブレイクアウエイブラケツトとを複数個のカプセ
   ルによつて結合してなるステアリングコラム支持
   構造であつて、前記の各カプセルから隔たつた個
   所におけるステアリグサポートブラケツトとブレ
   イクアウエイブラケツトとの相対向面に一定の予
   圧をもつて互いに当接する突起をそれぞれ形成
   し、しかもこれら各突起の当接面に前記の各カプ
   セルの取付面と比べて車前方に向かつて上る傾斜
   をもたせたことを特徴とするステアリングコラム
   の支持構造。