JPH0125735Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は車両のステアリングコラム用取付ブラ
ケツトに関する。

［従来の技術］ 周知の如く、キヤブオーバ型トラツク等の車両
においては、フレームに弾性部材を介してキヤブ
が装着されており、車両の走行時、特に悪路の走
行時にキヤブはフレームに対して上下方向に相対
変位するよう構成されている。上記キヤブにはス
テアリングコラムが装着され、そしてこのステア
リングコラムにステアリングシヤフトが回転自在
に軸支されている。一方ステアリングシヤフトの
下端部は、フレームに装着されたステアリングギ
アに連結されており、従つて、ステアリングシヤ
フト及びこれを軸支しているステアリングコラム
は、一般に、フレームの変位に追従する。

かくの通りであるので、キヤブに対するステア
リングコラムの装着は、前後及び左右方向に対し
ては充分に高い剛性を有するが、上下方向に対し
ては充分に低い剛性を有し、これによつてステア
リングコラムがフレームの変位に追従してキヤブ
に対して上下方向に相対的に変位することを許容
することが重要である。

然るに、前記キヤブに対するステアリングコラ
ムの装着に使用される従来のステアリングコラム
用取付ブラケツトは、一般に鋳物製または厚板製
の、前後及び左右方向にも上下方向にも剛性の高
いものであつた。

［考案が解決しようとする問題点］ しかし、上記従来のステアリングコラム用取付
ブラケツトでは、前記の要求、殊に上下方向に対
して充分に低い剛性を有せしめるという要求を満
足することができず、ステアリングコラムの破損
を生ずるおそれがあつた。

これに対し、上下方向に対して充分に低い剛性
を保持せしめるために、ゴムの如き柔軟な材料を
利用した取付ブラケツトは、前後及び左右方向に
対して充分に高い剛性を呈することができない。

他方、実公昭54−40582号公報には、ステアリ
ングシヤフト自体に上下方向の運動吸収特性を付
与し、かくしてステアリングコラムをキヤブに対
して上下方向に相対的に変位し得るようにせしめ
る必要性を回避することが開示されている。

しかしながら、ステアリングシヤフト自体に上
下方向の運動吸収特性を付与せしめるためには、
ステアリングシヤフトを上部と下部に２分割して
両者をスプライン連結することが必要であり、そ
れ故に、ステアリングシヤフトの回転にかなりの
ガタが生ずること、スプライン連結部の機械加工
に起因して製作コストが比較的高価になること、
ステアリング操作中はスプライン連結部に付加さ
れるトルクに起因してステアリングシヤフトの上
下方向の運動吸収特性が著しく阻害されること、
等の別個の諸問題が発生する。

また、実開昭57−47476号公報に開示されたス
テアリングポストの支持構造では、ステアリング
ポスト上部の支持剛性が高められ、ステアリング
ホイールの振動が抑制される反面、キヤブに対す
るステアリングコラムの上下方向における相対的
変位が許容されず、ステアリング取付部の損傷を
招くおそれがあつた。

本考案は上記事実に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするとこころは、前後及び左右方
向に対しては高い剛性を有するとともに、上下方
向に対しては低い剛性を有するようになして、車
両のフレームの変位に追従するステアリングコラ
ムをキヤブに対して上下方向に変位できるように
し、それによつてステアリングコラム取付部の損
傷を防止するとともに、プレート部材間の摩擦に
よりフレームとキヤブ間の振動を減衰させること
ができ、さらに、前記プレート部材を連続的に打
抜き可能な形状にすることによつて、製作が容易
で安価なステアリングコラム用取付ブラケツトを
提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 前記目的を達成するための本考案の構成は、同
一形状のばね鋼製プレート部材を複数枚積層して
構成し、その中央取付部をステアリングコラム側
固定ブラケツトに、また前記中央取付部より外方
に伸延する取付端部をキヤブ側固定ブラケツトに
夫々固着してなるものである。

［作用］ 上述の如くに装着された前記取付ブラケツト１
２は、フレーム２に対してキヤブ６が上下方向に
相対的に変位すると、前記プレート部材２４の中
央取付部２４ａの両端部及び取付端部２４ｃの内
側端部がねじれ作用を受け、傾斜部２４ｂが曲げ
作用を受ける故に、上下方向に対してはその剛性
が低いが、上下方向にプレート部材２４が積層さ
れている故に前後左右方向に対してはその剛性が
高い特性を有する。

かくして、ステアリングコラム用取付ブラケツ
トの上述した要件を充分に満足し、上記相対的な
変位をプレート部材２４の曲げ及びねじれによつ
て吸収し、これによつてステアリングシヤフト１
８の上下方向の動きに対してステアリングコラム
１４を容易に追従せしめ、且つその振動伝播をプ
レート部材２４間の摩擦によつて減衰することが
できる。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を添付図面を参照して説
明する。

キヤブオーバ型トラツクである車両の一部の簡
略図である第１図において、フレーム２にスプリ
ングの如き弾性部材４を介してキヤブ６が装着さ
れている。

前記フレーム２には、更に、全体を番号８で示
すステアリング装置のステアリングギアボツクス
１０が固定されている。他方、キヤブ６には、取
付ブラケツト１２を介してステアリング装置８の
ステアリングコラム１４の上端部が固定されてい
る。また、前記ステアリングコラム１４の下端は
伸縮自在の支持部材１６を介してキヤブ６に支持
されている。

前記ステアリングコラム１４内には、図示しな
い軸受部材を介してステアリングシヤフト１８が
回転自在に支持されており、該ステアリングシヤ
フト１８の上端にはステアリングホイール２０が
固定されるとともに、その下端はユニバーサルジ
ヨイント２２を介してステアリングギヤボツクス
１０内の図示しないステアリングギヤに連結され
ている。

次に、第２図及び第３図を参照して、取付ブラ
ケツト１２について説明する。図示の取付ブラケ
ツト１２は、積層された複数枚のばね鋼製プレー
ト部材２４から構成されている。該プレート部材
２４の各々は同一形状であり、第３図に示す如
く、中央取付部２４ａ、その中央取付部２４ａの
両端から所定角度傾斜して両外方に延びている傾
斜部２４ｂ、及び各々の傾斜部２４ｂの外方端か
ら更に上記中央取付部２４ａに対して実質上平行
に延びている取付端部２４ｃを有している。

そして、中央取付部２４ａには間隔を置いて２
個の取付孔２６が形成され、取付端部２４ｃの
各々には１個の取付孔２８が形成されている。

前記ばね鋼製プレート部材２４は、プレス加工
の打抜きによつて形成されるが、この場合は同一
形状であるため、帯状のばね鋼板から連続的に形
成することが可能であり、製作が容易であると共
に材料であるばね鋼板を有効に利用して安価に提
供することができる。

前記プレート部材２４を複数枚、例えば４枚を
積層して構成される取付ブラケツト１２は、第２
図に示す如く、中央取付部２４ａの取付孔２６
と、ステアリングコラム１４の上方部に固定され
たステアリングコラム側固定ブラケツト３０に形
成されている孔３２とを通したボルト３４にナツ
ト３６を螺着することによつて、その中央取付部
２４ａがステアリングコラム１４に装着され、キ
ヤブ６に装着されたダツシユボード３８下面に固
定されたキヤブ側固定ブラケツト４０の一端部に
形成されている孔４０ａと、上記取付端２４ｃの
取付孔２８とを通したボルト４２にナツト４４を
螺着することによつて、その両端部がキヤブ６の
一部に所要の通りに装着される。

上述の如く装着された取付ブラケツト１２は、
フレーム２に対してキヤブ６が上下方向に相対的
に変位すると、プレート部材２４の中央取付部２
４ａの両端部及び取付端部２４ｃの内側端部がね
じれ作用を受け、傾斜部２４ｂが曲げ作用を受け
る故に、上下方向に対してはその剛性が低いが、
上下方向にプレート部材２４が積層されている故
に前後左右方向に対してはその剛性が高い特性を
有する。

かくして、ステアリングコラム用取付ブラケツ
トの上述した要件を充分に満足し、上記相対的な
変位をプレート部材２４の曲げ及びねじれによつ
て吸収し、これによつてステアリングシヤフト１
８の上下方向の動きに対してステアリングコラム
１４を容易に追従せしめ、且つその振動伝播をプ
レート部材２４間の摩擦によつて減衰することが
できる。

前記取付ブラケツト１２においては、容易に理
解される如く、プレート部材２４の厚さ、又は積
層される枚数を適宜設定することによつて上下方
向及び前後左右方向の剛性を調整することができ
る。

また、取付ブラケツト１２の組付性を考慮し
て、例えば、剛性を損なわずにプレート部材２４
の中央取付部２４ａを２個所程度点溶接して一体
となるように構成するか、或いは接着力の弱い接
着剤を使用して一体とし、その後の相対的な移動
によつてこれらが分離するように構成するのが好
ましい。

次に、第４図及び第５図を参照して本考案の変
形例について説明する。

図示の取付ブラケツト１２′は、複数枚の同一
形状のばね鋼製プレート部材４６ａ及び４６ｂの
一端部を重ね合わせることによつて得られるＶ字
状のプレート体４６の中央取付部、即ちプレート
部材４６ａ及び４６ｂの一端部の重ね合わされた
部分には２個の取付孔４８が形成され、且つ取付
端部となる他端部、即ちプレート部材４６ａ及び
４６ｂの他端部には、１個の取付孔５０が形成さ
れている。上記取付ブラケツト１２′は、第４図
に示す如く、上述のように構成されたプレート体
４６を上下方向に複数枚、例えば３枚積み重ね、
隣接するプレート体４６間、即ち隣接するプレー
ト部材４６ａの他端部間と隣接するプレート部材
４６ｂの他端部間にプレート状のスペーサ５２を
介在させることによつて構成される。

上述した取付ブラケツト１２′は、第１図乃至
第３図に示したものと同様に、その中央取付部が
ステアリングコラムに固定された図示しないステ
アリングコラム側固定ブラケツトに装着され、そ
の他端部である取付端部がダツシユボードに固定
されたキヤブ側固定ブラケツト５４に装着されて
いる。

上述した取付ブラケツト１２′においては、プ
レート部材４６ａ及び４６ｂが曲げ作用を受ける
故に上下方向に対しては剛性が低く、且つそれら
が積層されている故に前後左右方に対しては剛性
が高い特性を有するが、上下方向の相対的変位に
対しては曲げ作用のみを受けるので、その相対的
な変位量の小さい場合に適用される。

前記の如き変形例においては、組付性を考慮し
て、スペーサ５２を接着剤を用いて隣接するプレ
ート体４６間に固着するのが好ましい。

［考案の効果］ 以上記載した通り、本考案のステアリングコラ
ム用取付ブラケツトは、同一形状のばね鋼製プレ
ート部材を複数枚積層して構成し、その中央取付
部をステアリングコラム側固定ブラケツトに、ま
た前記中央取付部より外方に伸延する取付端部を
キヤブ側固定ブラケツトに夫々固着してなるの
で、前後方向及び左右方向に対しては高い剛性を
有してキヤブに対する前記ステアリングコラムの
支持剛性を向上させることができ、且つ上下方向
に対しては低い剛性を有して車両のフレームの変
位に追従する前記ステアリングコラムを前記キヤ
ブに対して上下方向に相対的に変位できるように
なり、それによつてステアリングコラム取付部の
損傷が防止されるとともに、前記プレート部材間
の摩擦により前記フレームと前記キヤブ間の振動
伝播を減衰させることができ、さらに、前記プレ
ート部材が連続的に打抜き可能となり、製作が容
易で安価なステアリングコラム用取付ブラケツト
を提供できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に従つて構成された取付ブラ
ケツトを備えた車両の一部を示す簡略断面図、第
２図は、本考案に従つて構成された取付ブラケツ
ト及びその近傍を示す一部切欠いた拡大断面図、
第３図は、第２図の取付ブラケツトのプレート部
材を示す平面図、第４図は、取付ブラケツトの変
形例を示す正面図、第５図は、第４図の取付ブラ
ケツトのプレート体を示す平面図である。 ２……フレーム、６……キヤブ、８……ステア
リング装置、１２及び１２′……取付ブラケツト、
１４……ステアリングコラム、２４，４６ａ及び
４６ｂ……プレート部材、３０……ステアリング
コラム側固定ブラケツト、４０……キヤブ側固定
ブラケツト、４６……プレート体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 同一形状のばね鋼製プレート部材を複数枚積層
   して構成し、その中央取付部をステアリングコラ
   ム側固定ブラケツトに、また前記中央取付部より
   外方に伸延する取付端部をキヤブ側固定ブラケツ
   トに夫々固着してなるステアリングコラム用取付
   ブラケツト。