JPS6321490Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ステアリング装置におけるステアリ
ングコラムチユーブの接合構造に関する。

〔従来技術とその問題点〕

一般に、ステアリングコラムチユーブの上部は
インストルメントパネルあるいはフロアパネルか
らの支持部材（ペダルブラケツト）により支持さ
れ、下部はフロアパネルに固定されるコラムホー
ルカバーにボルト締めされている。しかるに、キ
ヤブオーバー型の車では、フロアパネルと上部の
支持部材との距離が大きく、従つてステアリング
コラムチユーブの支持剛性を高くとることが難し
い。また、従来においては、フロアパネルと上部
の支持部材とのボデイ公差を逃げるために、ステ
アリングコラムチユーブを固定するためのボルト
径の寸法より大きな孔をコラムホールカバーに設
けることで、車両取付け時の不良を無くしていた
が、このような従来構造では、ステアリングコラ
ムチユーブの支持剛性を充分確保することが難し
く、従つて悪路走行時にステアリングホイールの
振れが問題となることがあつた。

なお、実開昭57−72371号公報のテレスコピツ
クステアリングのジヨイント部被覆装置に係わる
提案に見られるように、コラムカバーを上部コラ
ムカバーと下部コラムカバーに二分割し、上部コ
ラムカバーの下端と下部コラムカバーの上端をベ
ローズ状のゴム膜で形成したブーツで連結した構
造のものが知られているが、このような構造では
ステアリングチユーブの支持剛性を十分確保して
ステアリングホイールの振動を防止することが難
しいという問題がある。

また、特開昭57−15063号公報のステアリング
ハンドルのチルト装置に係わる提案に見られるよ
うに、上部ジヤケツトと下部ジヤケツトをチルト
操作部品であるボルトを介して連結した構造のも
のも知られているが、このような連結構造ではボ
デイの公差吸収ができず、したがつてこの装置で
は下部ジヤケツトの下端をフロアパネルに嵌挿し
ているが、このためフロアパネルからの支持剛性
を高めることができないという問題がある。

本考案は上述した問題点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、ボデイの公差吸収を可能とする
と共にステアリングコラムチユーブの支持剛性を
上げてステアリングホイールの振動を防止するよ
うにしたステアリングコラムチユーブの接合構造
を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するために本考案は、ステアリ
ングコラムチユーブの接合構造を、ペダルブラケ
ツト等の上部支持部材により支持されるアツパー
コラムチユーブと、一端をコラムホールカバー等
フロアパネル側に剛支持されるロアコラムチユー
ブより成るステアリングコラムチユーブのアツパ
ーコラムチユーブとロアコラムチユーブの接合部
において、一端が連係用長溝を有し、他端が該長
溝に係入する支持軸より成る構成としたものであ
る。

〔作用〕

かかる構成においては、ステアリングコラムチ
ユーブのアツパーコラムチユーブとロアコラムチ
ユーブの接合部を、一端が連係用長溝を有し、他
端が該長溝に係入する支持軸より成る構成として
接合の自由度をもたせたことにより、ボデイの公
差吸収が可能となる。また、ロアコラムチユーブ
がコラムホールカバー等フロアパネル側に剛支持
されることにより、フロアパネルからの支持を強
くしてステアリングコラム系の支持剛性を高める
ことが可能となり、これにより衝突安全性を何ら
損うことなく、悪路におけるステアリングホイー
ルの振動の抑制が図られる。

〔実施例〕

以下、図に示す実施例を用いて本考案の詳細を
説明する。なお、第１図は本考案に係わるステア
リングコラムチユーブの接合構造を備えたステア
リング系の概略構成図、第２図は第１図の一部を
拡大して示す一部拡大斜視図である。

第１図において、符号１はステアリングホイー
ル２の操作力をステアリングギヤボツクス（図示
せず）に伝えるステアリングシヤフトで、上部に
ステアリングホイール２が、下部にステアリング
ギヤボツクスが取り付けられている。また、符号
３はステアリングシヤフト１の周囲に配設された
ステアリングコラムチユーブで、該ステアリング
コラムチユーブ３はアツパーコラムチユーブ４と
のロアコラムチユーブ５とに二分割された構造と
なつており、これらアツパーコラムチユーブ４と
ロアコラムチユーブ５とは、第２図に詳細に示す
ように、ロアコラムチユーブ５の上端部に装着さ
れたブラケツト６に設けられた連係用長溝６ａ
に、アツパーコラムチユーブ４に溶接されたスタ
ツドボルト７からなる支持軸を嵌め込み、該スタ
ツドボルト７にナツト８を螺合させることによつ
て接合されている。なお、前記スタツドボルト７
が係入する長溝６ａは、フロアパネル９とペダル
ブラケツト１０の公差吸収のため、ロアコラムチ
ユーブ５の軸方向に沿うように形成されている。
また、前記ロアコラムチユーブ５の下端部は、フ
ロアペネル９に強固に固定されたコラムホールカ
バー１１に溶接により剛支持されており、これに
よつてフロアパネル９からの支持剛性を高めて、
ステアリングホイール２の共振を防いている。ま
た、例えば、ステアリング振動が起こるアイドリ
ング時の振動は一般に26Hz付近であるが、以上の
ようにコラムホールカバー１１とフロアコラムチ
ユーブ５を溶接することにより、ステアリングコ
ラムチユーブ３の固有振動数を23Hzから29Hzに高
めることができた。また、前記アツパーコラムチ
ユーブ４とロアコラムチユーブ５との接合部に
は、外部からゴムカバー１２が取り付けられてお
り、外気との遮断、車外騒音の室内流入を防止し
ている。

一方、アツパーコラムチユーブ４はブラケツト
１４を介してペダルブラケツト１０に結合されて
おり、各々の支持力により支持剛性が決定される
ように構成されている。

なお、前記アツパーコラムチユーブ４とロアコ
ラムチユーブ５とは、衝突時にあつては簡単に解
除されるような接合構造となつており、またロア
コラムチユーブ５も大きな荷重のもとでは変形す
る構造となつているため、従来と同様に、ステア
リングシヤフト１、アツパーコラムチユーブ４等
が軸方向に移動することによつて、衝突時におけ
る安全性の確保を図つている。

〔考案の効果〕

本考案によれば、ステアリングコラムチユーブ
のアツパーコラムチユーブとロアコラムチユーブ
の接合部を、一端が連係用長溝を有し、他端が該
長溝に係入する支持軸より成る構成として接合の
自由度をもたせたことによりボデイの公差吸収が
可能となると共に、ロアコラムチユーブがコラム
ホールカバー等フロアパネル側に剛支持されるこ
とにより、フロアパネルからの支持を強くしてス
テアリングコラム系の支持剛性を高めることがで
き、これにより衝突安全性を何ら損うことなく、
悪路におけるステアリングホイールの振動を抑制
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係わるステアリングコラムチ
ユーブの接合構造を備えたステアリング系の概略
構成図、第２図は第１図の一部を拡大して示す一
部拡大斜視図である。 ３……ステアリングコラムチユーブ、４……ア
ツパーコラムチユーブ、５……ロアコラムチユー
ブ、６ａ……連係用長溝、７……支持軸（スタツ
ドボルト）、９……フロアパネル、１０……ペダ
ルブラケツト、１１……コラムホールカバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ペダルブラケツト等の上部支持部材により支持
   されるアツパーコラムチユーブと、一端をコラム
   ホールカバー等フロアパネル側に剛支持されるロ
   アコラムチユーブとより成るステアリングコラム
   チユーブのアツパーコラムチユーブとロアコラム
   チユーブの接合部において、一端が連係用長溝を
   有し、他端が該長溝に係入する支持軸より成るス
   テアリングコラムチユーブの接合構造。