JP3813782B2 - 車両用緩衝器の密封装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は二輪車等のフロントフォークに用いて好適な車両用緩衝器の密封装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、二輪車用フロントフォークの密封装置として、特開平9-287665号公報に記載の如く、アウタチューブのインナチューブが挿入される開口端に設けたオイルシールケース部の軸方向内側にオイルシールを装填し、該オイルシールケース部の軸方向外側にダストシールを装填するものが開示されている。この従来技術では、ダストシールの本体部(金属製補強環)に形成した係合部を、オイルシールケース部に設けた凹溝に係合することにより、ダストシールをオイルシールケース部に離脱することなく固定できる。また、ダストシールによりオイルシールを上から押さえ、オイルシールをストッパリング等の固定部材を用いずに固定できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術では、ダストシールとオイルシールが別体であり、この点において部品点数が多く、組付工数も多くなるため、製品コストが高い。
【0004】
本発明の課題は、アウタチューブの開口端にオイルシール機構とダストシール機構を設けるに際し、部品点数と組付工数を削減し、製品コストを低減することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、アウタチューブにインナチューブを摺動自在に挿入し、アウタチューブとインナチューブの内部に作動油を封入して構成され、アウタチューブのインナチューブが挿入される開口端に、第1の大径孔と、第1の大径孔より軸方向外側に設けられた該第1の大径孔より大内径の第2の大径孔と、第2の大径孔の内周に設けられた凹溝を備え、アウタチューブの上記開口端に装着される車両用緩衝器の密封装置であって、環状の本体部と、本体部の軸方向外側部から径方向外方に該本体部との間に隙間を介して折曲げ形成された、径方向に弾性的に拡縮して第2の大径孔に嵌合し得る環状の弾性部と、弾性部から径方向外方に折曲げ形成され、凹溝に係合し得る係合部と、本体部の軸方向内側部を該本体部の内周側に折曲げ形成した環状の支持部と、支持部に設けた、インナチューブの外周に摺接する内周側オイルシールリップ部と、本体部の軸方向内側の外周部に設けた、第1の大径孔に嵌合する外周側オイルシール部と、本体部の軸方向外側の内周部に設けた、インナチューブの外周に摺接する内周側ダストシールリップ部とを有してなるようにしたものである。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において更に、前記弾性部の外周部に設けた、第2の大径孔に嵌合する外周側ダストシール部を有してなるようにしたものである。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の本発明において更に、前記支持部が、軸方向に連続する本体部の中の軸方向内側中間部を、径方向内方に折曲げて形成されるようにしたものである。
【0011】
【作用】
請求項1の発明によれば下記(a) 、 (b)の作用がある。
(a)内周側オイルシールリップ部と外周側オイルシール部と内周側ダストシールリップ部を備えた密封装置を、アウタチューブの開口端に装着するに際し、弾性部の係合部をアウタチューブの第2の大径孔にあて、弾性部を縮径させた状態で、該係合部を第2の大径孔に滑らせて凹溝に係合させた後、弾性部を弾性的に復元させて拡径せしめることにより、この密封装置をストッパリング等の固定部材を用いることなく開口端から抜け止め可能として、強固に固定できる。
【0012】
(b)密封装置は、内周側オイルシールリップ部と外周側オイルシール部と内周側ダストシールリップ部を併せ備えるから、内周側オイルシールリップ部がインナチューブに液密に摺接し、外周側オイルシール部がアウタチューブの第1の大径孔に液密に嵌合するオイルシール機構と、内周側ダストシール部がインナチューブに摺接するダストシール機構とが別体になることなく、部品点数と組付工数を削減し、製品コストを低減できる。
【0013】
請求項2の発明によれば下記(c)の作用がある。
(c)密封装置は、外周側ダストシール部も併せ備え、この外周側ダストシール部がアウタチューブの第2の大径孔に摺接するダストシール機構も一体に具備できる。
【0018】
請求項3の発明によれば下記(d)の作用がある。
(d)密封装置は、本体部の軸方向内側中間部の折曲げ成形により、簡易に支持部を形成できる。
【0019】
図1はフロントフォークを示す全体断面図、図2はフロントフォークの下部拡大断面図、図3はフロントフォークの上部拡大断面図、図4はアウタチューブの開口端に設けた密封装置を拡大して示す断面図、図5は中空パイプの取付部を拡大して示す断面図、図6は中空パイプのピストン部の製造手順を示す模式図、図7はインナチューブのピストン部のチェック弁の動作を示す模式図、図8は本発明の第1変形例を示す断面図である。
【0020】
フロントフォーク10(車両用緩衝器)は、図1〜図3に示す如く、車輪側の、一端が閉じ、他端が開口するアウタチューブ11に車体側のインナチューブ12を挿入し、両チューブ11、12を伸縮自在に摺動可能としている。アウタチューブ11のインナチューブ12が挿入される開口端には密封装置13が装着されている。アウタチューブ11とインナチューブ12の摺動構造と、密封装置13の構成については、それぞれ後に詳述する。
【0021】
アウタチューブ11の底部には、ボルト21が挿入され、中空パイプ22がこのボルト21により固定されてアウタチューブ11の内部に立設されている。ボルト21による中空パイプ22の固定構造については後に詳述する。中空パイプ22の後述するピストン部32(又は中空パイプ22の上端面)と、インナチューブ12の上端部に設けられているばねシート23との間には、懸架スプリング24が介装されている。ばねシート23は、インナチューブ12の上端側内径部にOリング25を介して封着され、ストッパリング26で保持されている。
【0022】
インナチューブ12の下端内径部には、中空パイプ22の外周に臨むピストン部31が加締め保持され、また中空パイプ22の先端部には、インナチューブ12の内周に臨むピストン部32が設けられている。
【0023】
そして、フロントフォーク10にあっては、インナチューブ12と中空パイプ22とピストン部31とピストン部32により、インナチューブ12が上昇する伸長行程時に減衰力を発生させる上油室33を構成している。また、フロントフォーク10は、ピストン部31の下部のアウタチューブ11と中空パイプ22との間に下油室34を構成し、中空パイプ22の内径部とこれに連通するインナチューブ12の内部をリザーバ室35とし、下油室34とリザーバ室35とを連通する複数の通孔36を中空パイプ22に設けている。リザーバ室35には作動油が充填されており、図1は、空車1G状態での油面Lを示している。インナチューブ12の内部で、リザーバ室35の上部空間は気体室37である。
【0024】
このとき、インナチューブ12の他端内径部のピストン部31は、バルブハウジング41とワッシャ42をインナチューブ12に加締め保持され、バルブハウジング41の内部で中空パイプ22に摺接して上下動できるチェック弁43を内蔵し、(a)圧縮行程時にはチェック弁43を上動(上油室33が下油室34より低圧になること、及び中空パイプ22のインナチューブ12に対する相対的な上向き移動につれて上動する)させて下油室34から上油室33への油の通過をチェック弁43の上端溝43Aにより許容する(図7(A))とともに、(b)伸長行程時にはチェック弁43を下動(上油室33が高圧になること、及び中空パイプ22のインナチューブ12に対する相対的な下向き移動につれて下動する)させてチェック弁43の下端面をワッシャ42に当てて上油室33から下油室34への油の通過を阻止する(図7(B))。また、中空パイプ22のピストン部32は、油の通過を常時阻止する。そして、フロントフォーク10は、上油室33とリザーバ室35を連通するオリフィス38を中空パイプ22に設け、伸長行程時に、このオリフィス38を用いて、上油室33からリザーバ室35に移動する油の通路抵抗に基づき、伸長行程時の減衰力を発生する。この伸長行程時の減衰力発生手段はピストン部32に設けても良い。
【0025】
尚、フロントフォーク10では、インナチューブ12に設けたピストン部31と、中空パイプ22に設けたピストン部32の間に、最大伸長時のリバウンドスプリング39を設けている。
【0026】
また、フロントフォーク10では、中空パイプ22のピストン部32を図6に示す如くに構成している。中空パイプ22は、直管パイプ51の上端部を薄肉部52としておき、この薄肉部52に上下2枚の各皿状ピストン片53、54を背中合せで嵌挿し(図6(A)、(B))、薄肉部52の先端部を加締め加工してそれらのピストン片53、54を保持する(図6(C))。そして、両ピストン片53、54の外周の間に形成されるリング溝55Aに樹脂製ピストンリング55を装填する(図6(D))。ピストンリング55は、周方向の一部に切り口を持つ弾性リングからなり、切り口を閉じた状態でアウタチューブ12の内周に密着する真円をなすものであり、リング溝55Aに装填された後、押し縮められた状態でインナチューブ12の内径に嵌め込まれて用いられる。
【0027】
フロントフォーク10にあっては、車輪が受ける衝撃を懸架スプリング24と、気体室37の空気ばねによって吸収して緩和し、この衝撃の吸収に伴う懸架スプリング24の振動を上油室33、下油室34で生ずる減衰力によって抑制する。
【0028】
即ち、フロントフォーク10は以下の如くに減衰作用を行なう。
(圧縮行程)
フロントフォーク10の圧縮行程時には、インナチューブ12が下降して下油室34の圧力が上昇し、インナチューブ12の断面積×ストローク分の油が下油室34から通孔36を通ってリザーバ室35へ移動し、この通孔36の通路抵抗による圧側減衰力を得ることで、懸架スプリング24のひずみ速度を制御する。
【0029】
また、この圧縮時には、ピストン部31のチェック弁43の前述(a)の開動作により下油室34の油が上油室33に入り、且つ中空パイプ22のオリフィス38を通ってリザーバ室35の油が上油室33に入る。これにより、インナチューブ12が路面の凹凸によって高速度で下降する圧縮時にも、上油室33には下油室34、リザーバ室35から充分な油が供給されて負圧化することがなく、この圧縮行程に続く、伸び行程で減衰力を発生しなくなることを防止する。
【0030】
(伸縮行程)
フロントフォーク10の伸縮行程時には、インナチューブ12が上昇して上油室33の圧力が上昇し、上油室33の油がオリフィス38を通ってリザーバ室35へ移動し、このオリフィス38の通路抵抗による大きな伸び側減衰力を得ることで、懸架スプリング24の共振を防止する。
【0031】
また、この伸長時には、インナチューブ12の断面積×ストローク分の油がリザーバ室35から通孔36を通って下油室34へ移動し、ロッド体積分の作動油が下油室34に補償される。
【0032】
尚、この伸長時に、ピストン部31のチェック弁43は前述(b)の閉動作により上油室33と下油室34の連通を遮断し、上述の伸び側減衰力の発生に影響を及ぼさない。
【0033】
然るに、フロントフォーク10にあっては、下記(A)〜(C)の構成を具備する。
(A)アウタチューブ11とインナチューブ12の摺動構造(図1〜図3)
アウタチューブ11の開口端寄りの内周面をインナチューブ12が摺接する第1ガイド部61(長さL1)とし、閉塞端寄りの内周面をインナチューブ12が摺接する第2ガイド部62(長さL2)とし、第1ガイド部61と第2ガイド部62の間の内周面をインナチューブ12が摺接しない大内径の肉抜き部63とする。
【0034】
このとき、第2ガイド部62はアウタチューブ11の中間部から閉塞端部まで連続して形成される。
【0035】
アウタチューブ11はアルミ等の軽合金を鋳造して製作でき、肉抜き部63は鋳抜き(中子に予め減肉相当部を付与し、この中子を用いて鋳抜き成形する)により形成し、第1ガイド部61、第2ガイド部62はBTA工具等を用いて形成できる。
【0036】
インナチューブ12は冷間引抜き鋼管又は冷間押出し鋼管を用いて、それらの引抜き鋼管又は押出し鋼管の表面を研磨後、クロームメッキ等を施したものをアウタチューブ11の第1ガイド部61、第2ガイド部62との摺接面とすることができる。
【0037】
従って、フロントフォーク10によれば、以下の作用がある。
▲1▼インナチューブ12は、アウタチューブ11の第1ガイド部61と第2ガイド部62により長手方向の長いスパンを支持され、安定的に摺動できる。
【0038】
▲2▼アウタチューブ11は第1ガイド部61と第2ガイド部62の間を肉抜き部63とされたから、アウタチューブ11の軽量化、ひいてはフロントフォーク10の軽量化を実現し、車両の走行性能を向上できる。
【0039】
▲3▼アウタチューブ11とインナチューブ12の摺動のために、ブッシュを用いる必要がなくなって部品点数を削減でき、これに伴う組付工数及び加工工数を削減できる。
【0040】
(B)密封装置13の構成(図4)
アウタチューブ11は、図4に示す如く、インナチューブ12が挿入される開口端に、第1の大径孔71と、第1の大径孔71より軸方向外側に設けられた、第1の大径孔71より大内径の第2の大径孔72と、第2の大径孔72の内周に設けられた凹溝73を備える。
【0041】
密封装置13は、図4に示す如く、ばね材等の金属製の補強環81に、ゴム状弾性体等からなる内周側オイルシールリップ部82、外周側オイルシール部83、内周側ダストシールリップ部84、内周側サブダストシールリップ部85、外周側ダストシール部86を接合一体化されて備える。
【0042】
このとき、密封装置13の補強環81は、環状の本体部81Aと、本体部81Aの軸方向外側部から径方向外方に該本体部81Aとの間に隙間を介して折曲げ形成され、径方向に弾性的に拡縮して第2の大径孔72に嵌合し得る環状の弾性部81Bと、弾性部81Bから径方向外方に折曲げ形成され、凹溝73に係合し得る係合部81Cと、本体部81Aの軸方向内側部を該本体部81Aの内周側に折曲げ形成した環状の支持部81Dとを備える。支持部81Dは、本体部81Aの軸方向内側端を、該本体部81Aの内周に接するように折曲げ、その折曲げの先端部を径方向内方に折曲げて形成される。
【0043】
そして、内周側オイルシールリップ部82は、補強環81の支持部81Dに設けられ、スプリング87により縮径習性を付与されてインナチューブ12の外周に液密に摺接する。外周側オイルシール部83は、補強環81の本体部81Aの軸方向内側の外周部に設けられ、第1の大径孔71に液密に嵌合する。
【0044】
また、内周側ダストシールリップ部84は、補強環81の本体部81Aの軸方向外側の内周部に設けられ、インナチューブ12の外周に摺接する。内周側サブダストシールリップ部85は、補強環81の支持部81Dにおいて、内周側オイルシールリップ部82の外側(且つ内周側ダストシールリップ部84の内側)に設けられ、インナチューブ12の外周に摺接する。外周側ダストシール部86は、補強環81の弾性部81Bの外周部に設けられ、第2の大径孔72に嵌合する。
【0045】
尚、内周側オイルシールリップ部82と内周側サブダストシールリップ部85は一体化され、内周側ダストシールリップ部84と外周側ダストシール部86は一体化されて良い。
【0046】
従って、フロントフォーク10によれば、以下の作用がある。
▲1▼内周側オイルシールリップ部82と外周側オイルシール部83と内周側ダストシールリップ部84と内周側サブダストシールリップ部85と外周側ダストシール部86を備えた密封装置13を、アウタチューブ11の開口端に装着するに際し、弾性部81Bの係合部81Cをアウタチューブ11の第2の大径孔72にあて、弾性部81Bを縮径させた状態で、該係合部81Cを第2の大径孔72に滑らせて凹溝73に係合させた後、弾性部81Bを弾性的に復元させて拡径せしめることにより、この密封装置13をストッパリング等の固定部材を用いることなく開口端から抜け止め可能として、強固に固定できる。
【0047】
▲2▼密封装置13は、内周側オイルシールリップ部82と外周側オイルシール部83と内周側ダストシールリップ部84と内周側サブダストシールリップ部85と外周側ダストシール部86を併せ備えるから、内周側オイルシールリップ部82がインナチューブ12に液密に摺接し、外周側オイルシール部83がアウタチューブ11の第1の大径孔71に液密に嵌合するオイルシール機構と、内周側ダストシールリップ部84及び内周側サブダストシールリップ部85がインナチューブ12に摺接し、外周側ダストシール部86がアウタチューブ11の第2の大径孔72に摺接するダストシール機構とが別体になることがなく、部品点数と組付工数を削減し、製品コストを低減できる。
【0048】
▲3▼密封装置13は、補強環81の本体部81Aの軸方向内側端の折曲げ成形により、簡易に支持部81Dを形成できる。
【0049】
(C)ボルト21による中空パイプ22の固定構造(図5)
アウタチューブ11の底部に取付孔91を設け、中空パイプ22の基端部に小径部92を設け、中空パイプ22の小径部92をアウタチューブ11の取付孔91に嵌挿し、アウタチューブ11の底部に外方から係着されるボルト21の先端ねじ部まわりに樹脂等からなるシール剤を塗布した上で、該ボルト21の先端ねじ部を中空パイプ22の小径部92の内径のねじ部92Aに螺着する。これにより、中空パイプ22の基端部の側の外周面93をアウタチューブ11の底部の側の内周面94に衝合して該中空パイプ22を引寄せ固定する。
【0050】
このとき、アウタチューブ11は前述の如くアルミ(例えば表1のAC2B−F)の軽合金にて構成し、中空パイプ22は鋼管等(例えば表1のSTKM11A)にて構成することにより、アウタチューブ11の硬度を例えば表1の如くに中空パイプ22より軟質となる材料にて構成し、更に、中空パイプ22の外周面93とアウタチューブ11の内周面94とを互いにくさび結合(テーパ結合)するテーパ面とする。
【0051】
【表1】
【0052】
従って、フロントフォーク10によれば以下の作用がある。
▲1▼アウタチューブ11における中空パイプ22の取付部では、ボルト21の締結力により、中空パイプ22のテーパ状外周面93がアウタチューブ11のテーパ状外周面94にテーパ嵌合して強固にくさび結合する。
【0053】
▲2▼アウタチューブ11のテーパ状内周面94は中空パイプ22のテーパ状外周面93より軟質であり、両者は上述▲1▼の強固なくさび結合下で良くなじんで密着し、パッキン類を用いることを必須としない簡易な構成でも、一定のシール作用を確保し、アウタチューブ11の内部の油室34を確実にシールできる。尚、中空パイプ22の内部のリザーバ室35はボルト21の先端ねじ部まわりのシール材によりシールされる。
【0054】
尚、フロントフォーク10にあっては、アウタチューブ11おける中空パイプ22の上述の取付部において、ボルト21の首下部に銅パッキン等を嵌挿し、ボルト21の頭部とアウタチューブ11の取付孔91の周囲の外側端面との間でその銅パッキン等を挟むことにより、アウタチューブ11の内部の油室34をより確実にシールできる。
【0055】
図8の第1変形例が図4の実施例と異なる点は、密封装置13を構成する補強環81の支持部81Dが、本体部81Aの軸方向内側中間部を、径方向内方に折曲げて形成されたことにある。それによれば、密封装置13は、本体部81Aの軸方向内側中間部の折曲げ成形により、簡易に支持部81Dを形成できる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0065】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、アウタチューブの開口端にオイルシール機構とダストシール機構を設けるに際し、部品点数と組付工数を削減し、製品コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はフロントフォークを示す全体断面図である。
【図2】 図2はフロントフォークの下部拡大断面図である。
【図3】 図3はフロントフォークの上部拡大断面図である。
【図4】 図4はアウタチューブの開口端に設けた密封装置を拡大して示す断面図である。
【図5】 図5は中空パイプの取付部を拡大して示す断面図である。
【図6】 図6は中空パイプのピストン部の製造手順を示す模式図である。
【図7】 図7はインナチューブのピストン部のチェック弁の動作を示す模式図である。
【図8】 図8は本発明の第1変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 フロントフォーク(車両用緩衝器)
11 アウタチューブ
12 インナチューブ
13 密封装置
71 第1の大径孔
72 第2の大径孔
73 凹溝
81A 本体部
81B 弾性部
81C 係合部
81D 支持部
82 内周側オイルシールリップ部
83 外周側オイルシール部
84 内周側ダストシールリップ部
86 外周側ダストシール部
Claims (3)
- アウタチューブにインナチューブを摺動自在に挿入し、アウタチューブとインナチューブの内部に作動油を封入して構成され、
アウタチューブのインナチューブが挿入される開口端に、第1の大径孔と、第1の大径孔より軸方向外側に設けられた該第1の大径孔より大内径の第2の大径孔と、第2の大径孔の内周に設けられた凹溝を備え、
アウタチューブの上記開口端に装着される車両用緩衝器の密封装置であって、
環状の本体部と、
本体部の軸方向外側部から径方向外方に該本体部との間に隙間を介して折曲げ形成された、径方向に弾性的に拡縮して第2の大径孔に嵌合し得る環状の弾性部と、
弾性部から径方向外方に折曲げ形成され、凹溝に係合し得る係合部と、
本体部の軸方向内側部を該本体部の内周側に折曲げ形成した環状の支持部と、
支持部に設けた、インナチューブの外周に摺接する内周側オイルシールリップ部と、
本体部の軸方向内側の外周部に設けた、第1の大径孔に嵌合する外周側オイルシール部と、
本体部の軸方向外側の内周部に設けた、インナチューブの外周に摺接する内周側ダストシールリップ部とを有してなる車両用緩衝器の密封装置。 - 前記弾性部の外周部に設けた、第2の大径孔に嵌合する外周側ダストシール部を有してなる請求項1記載の車両用緩衝器の密封装置。
- 前記支持部が、軸方向に連続する本体部の中の軸方向内側中間部を、径方向内方に折曲げて形成された請求項1又は2に記載の車両用緩衝器の密封装置。
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