JPH09287665A - ダストシール及び二輪車用フロントフォークの密封構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボトムケースに強固に固定することの可能な
ダストシールの構成と、組立工数及び部品の削減を可能
とする二輪車用フロントフォークの密封構造を提供す
る。 【解決手段】 ボトムケース１０（外筒）の内周端部に
取付けられるダストシール１において、ダストシール１
の外周はめ合い部Ｇ１に露出した金属性の補強環２と、
この補強環２に形成され、ボトムケース１０の内周端部
に形成された凹溝部１１に掛合する掛合部２ａと、凹溝
部１１よりも外側の内周端部に当接する外周リップ部４
（シール手段）とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、二輪車用フロント
フォークの外筒の内周端部に取付けられるダストシール
及び二輪車用フロントフォークの密封構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来よりこの種のダストシールは、図４
に示されるような形態で使用されている。すなわち、こ
の図はオートバイ等の前輪サスペンションとなるフロン
トフォーク１０１のボトムケース１０２の上部の要部断
面図であり、ダストシール１０３が、ボトムケース１０
２の上端部のオイルシールケース部１０２ａの内周端に
嵌合固定されている。１０４は図において上側を不図示
のステアリングブリッジ等により固定されるフォークパ
イプである。

【０００３】そしてフロントフォーク１０１は、不図示
のばね及び減衰力発生機構を内蔵して、走行中にフロン
トホイールから入力される振動や衝撃をボトムケース１
０２がフォークパイプ１０４に対して往復移動すること
で、吸収させている。

【０００４】またフロントフォーク１０１は、このよう
な機能を長期間にわたり発揮する為に、ボトムケース１
０２とフォークパイプ１０４との間の摺動性や密封性及
び外部からのダストの侵入を考慮した構成を備えてい
る。

【０００５】図４において、１０２ｂはフォークパイプ
１０４の軸受部で、その摺動面にテフロンブッシュ１０
５が嵌合されている。オイルシールケース部１０２ａに
は、ダストシール１０３以外には、その内側にオイルシ
ール１０６が装填されており、オイルシールケース部１
０２ａの内周に形成された凹溝１０２ｃにスナップリン
グ１０７を嵌め込むことで固定されている。

【０００６】ダストシール１０３は、外部のダストや水
などがオイルシールケース部１０２ａ内部に侵入するこ
とを防止するもので、ゴム状弾性材からなっており、リ
ップ部１０３ａと、形状変形を抑える金属製の補強環１
０３ｂを備えている。

【０００７】このダストシール１０３のオイルシールケ
ース部１０２ａの内周端に固定する方法は、補強環１０
３ｂの外周にリップ部１０３ａと一体的に形成されたゴ
ム状弾性材によるはめ合い部１０３ｃを圧入して嵌合固
定している。従って、オイルシールケース部１０２ａの
内周端との密封性もはめ合い部１０３ｃにより発揮され
るものである。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成のダストシール１０３において、ダストシール１０３
の取付けが、ゴム状弾性材によるはめ合い部１０３ｃを
圧入することで行われることから、はめ合い部１０３ｃ
の成形寸法の誤差による嵌合力のばらつきが発生するこ
とがあり、緩く嵌合されたダストシールでは使用中には
ずれ易くなるという問題があった。

【０００９】また、ボトムケース１０２のオイルシール
ケース部１０２ａにオイルシール１０６を固定する際
に、まずオイルシール１０６を装填し、次にスナップリ
ング１０７を嵌め込み、最後にダストシール１０３を取
付けるという組立工程を行っており、組立工数の削減や
スナップリングの削除が要望されていた。

【００１０】本発明は上記従来技術の問題を解決するた
めになされたもので、その目的とするところは、ボトム
ケースに強固に固定することの可能なダストシールの構
成と、組立工数及び部品の削減を可能とする二輪車用フ
ロントフォークの密封構造を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にあっては、二輪車用フロントフォークの外筒
の内周端部に取付けられるダストシールにおいて、前記
ダストシールの外周はめ合い部に露出した金属性の補強
環と、この金属性の補強環に形成され、前記外筒の内周
端部に形成された凹溝部に掛合する掛合部と、前記凹溝
部よりも外側の内周端部に当接するシール手段とを備え
ることを特徴とする。

【００１２】これによると、ダストシールの二輪車用フ
ロントフォークの外筒に対して強固に固定され、離脱す
ることがなくなると共に、ダストシールの外周はめ合い
部のシール性が維持される。

【００１３】前記ダストシールの掛合部はねじ山を備
え、前記外筒の内周端部に形成されたねじ溝に螺合する
ことも好ましい。

【００１４】これによると、ダストシールは二輪車用フ
ロントフォークの外筒に螺合されるので、取付けた後の
取り外しを行うことが可能となる。

【００１５】また、二輪車用フロントフォークの密封構
造において、二輪車用フロントフォークの外筒に嵌め込
まれ、内筒との隙間を密封する密封装置と、この密封装
置の端面に当接し、該密封装置を前記外筒に固定するダ
ストシールと、を備える。

【００１６】これによると、密封装置がダストシールに
より二輪車用フロントフォークの外筒に固定される。

【００１７】

【発明の実施の形態】

（実施の形態１）以下に本発明を適用したダストシール
の第１の実施の形態としてその要部断面図を図１に示
す。このダストシール１は、従来技術の項で説明したよ
うにオートバイ等の二輪車の前輪サスペンションとなる
フロントフォークのボトムケースの上部に装着されるも
のである。

【００１８】図１（ａ）において、ダストシール１の特
徴的な構成を説明する。このダストシール１は、外周側
に、外周はめ合い部Ｇ１を備えている。２は外周はめ合
い部Ｇ１に露出する金属製の補強環であり、ダストシー
ル１の形状の変形を抑えて形状を維持すると共に、後述
するように、ダストシール１を外筒としてのボトムケー
ス１０の内周端部に取付けられる時の掛合部となる折返
し片２ａを備え、強固な結合を達成するものである。

【００１９】２ｂは、補強環２の折返し片２ａの形成作
業（プレス成形時の加工性を向上させる。）と、補強環
２の端部全周に複数個の折返し片２ａを形成すること
で、各々の折返し片２ａが独立的にボトムケース１０の
内周端部に作用することで、安定した結合を得られるよ
うにする溝部である。

【００２０】３はゴム状弾性材からなるシール部であ
り、不図示のフォークパイプの摺動表面に接触するダス
トリップ３ａを備えている。

【００２１】また４は、シール部３と一体的に形成され
たシール手段としての外周リップ部である。

【００２２】このダストリップ１は、図１（ｂ）に示さ
れる二輪車用フロントフォークの密封構造に使用され
る。

【００２３】１０はフロントフォークのボトムケースで
ある。このボトムケース１０には、密封装置としてのオ
イルシール１５を装填するオイルシールケース部１０ａ
が上部に備えられている。

【００２４】ボトムケース１０の内周端部（オイルシー
ルケース部１０ａの図においてオイルシール１５が装填
される位置より上側）には、ダストシール１の補強環２
の折返し片２ａと掛合する凹溝部１１が形成されてい
る。

【００２５】オイルシールケース部１０ａには、オイル
シール１５を装填した後に、ダストリップ１をボトムケ
ース１０の開口端部から軸方向に押圧して取付ける。ボ
トムケース１０の凹溝部１１には、折返し片２ａが掛合
する。具体的には、凹溝部１１の開口側の端面１１ａに
折返し片２ａの端面が当接して抜けないようになってい
る。

【００２６】また、補強環２の軸方向の端面部２ｃはオ
イルシール１５の端面２０ａと当接し、オイルシール１
５がオイルシールケース部１０ａから抜けないように押
さえている。

【００２７】そして、外周リップ部４がボトムケース１
０の開口端面１０ｂに当接して外部のダストや水などが
オイルシールケース部１０ａへと侵入することを防止可
能としている。

【００２８】従って、ダストシール１がボトムケース１
０に対して強固に固定され、離脱することがなくなると
共に、ダストシール１の外周はめ合い部Ｇ１のシール性
が維持される。

【００２９】また、ダストシール１によりオイルシール
１５を、オイルシールケース部１０ａにスナップリング
等の特別な固定部材を使用せずに固定することができ
る。

【００３０】補強環２の材料としては、バネ性を備える
ことで、折返し片２ａの開きが維持され、ガタ等の発生
が少ないものとすることが可能である。また、外周リッ
プ部４は、ボトムケース１０の開口端面１０ｂに当接す
るものではなく、ボトムケース１０の内周端面に当接す
るものであっても、シール性が維持されるものであれば
問題ない。

【００３１】（実施の形態２）図２は、本発明を適用し
たダストリップ２１の第２の実施の形態を示す図であ
る。この図において、ダストリップ１と同じ構成部分に
関しては同一の符号を付してその説明を省略する。

【００３２】ダストリップ２１の特徴は、補強環２２に
現れている。第１の実施の形態では、補強環２が折返し
片２ａを備えていたが、この実施の形態では、補強環２
２の挿入方向端部に掛合部としてのはめ合い部２２ａを
形成した。

【００３３】はめ合い部２２ａは、補強環２２の筒部２
２ｄの外周径よりも若干大きな外周径を有するものであ
り、筒部２２ｄとはめ合い部２２ａとの接続部に肩部２
２ｃが形成され、この肩部２２ｃがボトムケース１０の
凹溝部１１の開口側の端面１１ａに掛合して抜けないよ
うになっている。２２ｂは、２ｂと同様の機能を備えた
溝部である。

【００３４】（実施の形態３）第１及び第２の実施の形
態によるダストリップが、ボトムケース１０の凹溝部１
１に掛合する掛合部を備えているものに対し、第３の実
施の形態では、ダストシール３１の補強環３２がねじ山
３２ｂを外周に備えた掛合部３２ａを備え、ボトムケー
ス４０の内周端部に形成されたねじ溝４０ａに螺合する
ものである。尚３３ａは、不図示の回転治具等が係合す
る係合段部であり、回転治具等の爪が係合段部３３ａに
引っかかり、ダストシール３１を螺合させるために回転
させるものである。

【００３５】ダストシール３１は、ねじ溝４０ａに螺合
することで固定され、ボトムケース４０に対して強固に
固定され、離脱することがなくなると共に、ダストシー
ル３１の外周はめ合い部のシール性は外周リップ部３４
により維持される。

【００３６】また、ダストシール３１によりオイルシー
ル１５を、オイルシールケース部４０ａにスナップリン
グ等の特別な固定部材を使用せずに固定可能である。

【００３７】さらに、ダストシール３１は螺合によりボ
トムケース４０に対して固定されているので、オイルシ
ール１５を交換する必要が生じた場合に、容易に交換可
能とし、保守性や整備性をも向上させることが可能であ
る。

【００３８】

【発明の効果】本発明は以上の構成および作用を有する
もので、ダストシールは二輪車用フロントフォークの外
筒に対して強固に固定され、離脱することがなくなると
共に、ダストシールの外周はめ合い部のシール性が維持
される。

【００３９】密封装置を前記外筒に固定するダストシー
ルにより固定することで、スナップリング等の固定部材
が不要になり、作業性も向上する。

【００４０】ねじによるダストシールの掛合を行うと、
ダストシールを外筒に螺合した後の取り外しを行うこと
が可能となり、保守性や整備性の向上を図ることが可能
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（ａ）は本発明を適用したダストシールの
断面説明図であり、図１（ｂ）は二輪車用フロントフォ
ークの密封構造の図である。（実施の形態１）

【図２】図２は本発明を適用したダストシールの断面説
明図（実施の形態２）。

【図３】図３は本発明を適用したダストシールの断面説
明図（実施の形態３）。

【図４】図４は従来のダストシールの使用形態を説明す
る図。

【符号の説明】

１，２１，３１ ダストシール ２ 補強環 ２ａ 折返し片（掛合部） ２ｂ 溝部 ２ｃ 端面部 ３ シール部 ３ａ ダストリップ ４ 外周リップ部（シール手段） １０ ボトムケース（外筒） １０ａ オイルシールケース部 １０ｂ 開口端面 １１ 凹溝部 １１ａ 端面 １５ オイルシール（密封装置） Ｇ１ 外周はめ合い部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 二輪車用フロントフォークの外筒の内周
   端部に取付けられるダストシールにおいて、 前記ダストシールの外周はめ合い部に露出した金属性の
   補強環と、 この金属性の補強環に形成され、前記外筒の内周端部に
   形成された凹溝部に掛合する掛合部と、 前記凹溝部よりも外側の内周端部に当接するシール手段
   とを備えることを特徴とするダストシール。
2. 【請求項２】 前記ダストシールの掛合部はねじ山を備
   え、前記外筒の内周端部に形成されたねじ溝に螺合する
   ことを特徴とする請求項１に記載のダストシール。
3. 【請求項３】 二輪車用フロントフォークの外筒に嵌め
   込まれ、内筒との隙間を密封する密封装置と、 この密封装置の端面に当接し、該密封装置を前記外筒に
   固定する上記請求項１または２のいずれか１項に記載の
   ダストシールと、を備えたことを特徴とする二輪車用フ
   ロントフォークの密封構造。