JPH0134690Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車両用エンジンの構造、特にシリンダ
ブロツクの後端面に取付けられてミツシヨンケー
スが連結されるエンドプレート周辺の構造に関す
る。

（従来技術） 車両用エンジンにおいては、シリンダブロツク
の後端面にエンドプレートが取付けられ、このエ
ンドプレートを介してミツシヨンケースがシリン
ダブロツクに結合されると共に、該ミツシヨンケ
ース前部のフライホイールやクラツチが収納され
るクラツチハウジング部の前面下部が上記シリン
ダブロツクの下端より下方に突出するエンドプレ
ートの垂下部で閉鎖されるようになつている。

一方、車両用エンジンには、これを限られたス
ペースのエンジンルーム内に搭載する必要上、軸
方向寸法をできるだけ短縮したという要請があ
り、そのため上記エンドプレート周辺が次のよう
に構成されることがある。

つまり、第１図に示すように、クランク軸１の
後端に固着されたフライホイール２の前面内周部
にヌスミ部２ａを形成すると共に、エンドプレー
ト３を該フライホイール２の前面形状に対応する
ように、外周部３ａに対して内周部３ｂを後方に
段付状に突出させて、この内周部３ｂを上記フラ
イホイール２のヌスミ部２ａ内に収納させる。そ
して、オイルパン４の後部におけるフランジ４ａ
をエンドプレート３における後方に突出する内周
部３ｂ内に突入させる。このような構成によれ
ば、フライホイール２と、エンドプレート３と、
オイルパン４の後部フランジ４ａがクランク軸方
向に互いにオーバーラツプする状態となり、エン
ジンの軸方向寸法が短縮されることになる。

然るに上記のような構成によると、シリンダブ
ロツク５からオイルパン４を下方に取外す時に、
エンドプレート３における内、外周部３ｂ，３ａ
間の段付部３ｃの上方に該オイルパン４のフラン
ジ４ａが位置するため、該フランジ４ａと段付部
３ｃとが干渉してオイルパン４の下方への取出し
が妨げられることになる。特に、エンジン１を車
両に搭載した状態でオイルパン４を取外す場合に
は、該オイルパン４の周辺に当該車両の懸架装置
等が近接していて、該オイルパン４を前方へずら
すだけのスペースの余裕がないため、該オイルパ
ン４の取出しが著しく困難となる。

尚、オイルパンの後部形状に関しては、例えば
実開昭57−193910号公報に示されているが、これ
は第２図に示すように後部側面Ａが平面状とされ
たもので、これが一般的な形状である。

（考案の目的） 本考案はエンジンのエンドプレートないしオイ
ルパンの後部周辺における上記のような問題に対
処するもので、フライホイールと、エンドプレー
トとオイルパン後部のフランジとがクランク軸方
向にオーバーラツプされている構成において、オ
イルパンの取外し時にこれを下方にスムーズに取
出し得るようにし、これにより当該エンジンの点
検、修理時等におけるオイルパンの脱着性ないし
サービス性を改善することを目的とする。

（考案の構成） 即ち、本考案に係るエンジンは、シリンダブロ
ツクの後端面に取付けられるエンドプレートのシ
リンダブロツク下端より下方への垂下部にオイル
パンの後部が近接位置し、且つ上記エンドプレー
トにおける内周部が外周部に対して後方に段付状
に突出されて、この段付部の上方にオイルパン後
部のフランジが位置する構成において、該フラン
ジ下方におけるエンドプレートの段付部に後方へ
の円弧状膨出部を形成する。この膨出部は、オイ
ルパンを下方に取出す場合において、該オイルパ
ン後部のフランジがエンドプレートの段付部に当
接しようとした時に、該フランジを下方やや斜め
前方に案内して段付部からスムーズに脱出させる
作用を行う。これにより、該オイルパンの取出し
が容易化されることになる。

ところで、上記のようにエンドプレートの段付
部に後方への膨出部を形成すると、その前方に位
置するオイルパンの後部側面との間隙が拡大され
て、該間隙から上方に泥水等が侵入し易くなる。
そして、この泥水等がエンドプレートにおけるク
ランク軸貫通孔を通つて、該エンドプレートの垂
下部によつて閉鎖されているミツシヨンケースの
クラツチハウジング部内に溜まることになる。

そこで、本考案においては、上記の構成に加え
て、エンドプレートの段付部に形成した円弧状膨
出部に沿わせて、その前方に位置するオイルパン
の後部側面を後方に膨出する円弧面とする。これ
により、上記間隙が縮小され、泥水等が該間隙か
らエンドプレートのクランク軸貫通孔を通つてク
ラツチハウジング部内に侵入することが防止され
る。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第３図に示すように、エンジン本体となるシリ
ンダブロツク１１の後端面１１ａにはエンドプレ
ート１２を介してミツシヨンケース１３が取付け
られ、該エンドプレート１２のシリンダブロツク
下端より下方に突出する垂下部１２ａにより、ミ
ツシヨンケース１３の前部におけるクラツチハウ
ジング部１３ａの前面下半部を閉鎖するようにな
つている。このエンドプレート１２の中央部には
クランク軸貫通孔１２ｂが設けられ、第４図に示
すように該孔１２ｂを貫通して後方に突出するク
ランク軸１４の後端部に、上記クラツチハウジン
グ部１３ａ内に収納されたフライホイール１５が
固着されて、その前面とエンドプレート１２の後
面とが互いに近接されている。そして、該フライ
ホイール１５の前面内周部に後方へのヌスミ部１
５ａが設けられていると共に、これに対応させ
て、エンドプレート１２の内周部１２ｃが外周部
１２ｄより後方に段付状に突出され、該内周部１
２ｃがフライホイール１５のヌスミ部１５ａ内に
収納されている。

一方、上記シリンダブロツク１１の下面にはオ
イルパン１６が取付けられている。このオイルパ
ン１６の上面周囲には、第３図に示すように上記
シリンダブロツク１１の下端面への取付けフラン
ジ１６ａが設けられていると共に、後部側面１６
ｂの上部には、クランク軸１４の後端部外周囲に
装着されるオイルシール１７の下半部を収納する
ための半円状の凹部１６ｃが設けられている。そ
して、該凹部１６ｃに沿つて後方に突出する後部
フランジ１６ｂが、第４，５図に示すように上記
エンドプレート１２における後方に膨出した内周
部１２ｃ内に突入され、該内周部１２ｃと外周部
１２ｄとの間の段付部１２ｅの上方に位置してい
る。

然して、エンドプレート１２における上記段付
部１２ｅには、第６図に示すように、該段付部１
２ｅの角部を斜め後方に窪ませてなる後方への円
弧状膨出部１２ｆが設けられていると共に、第７
図に示すように該膨出部１２ｆの前方に対向位置
するオイルパン１６の後部側面１６ｂが該膨出部
１２ｆに沿つて後方に膨出する円弧面とされてい
る。

上記の構成によれば、フライホイール１５の前
面内周部に設けられたヌスミ部１５ａ内にその前
方に位置するエンドプレート１２の後方に突出す
る内周部１２ｃが収納されていると共に、該内周
部１２ｃ内にオイルパン１６の後部フランジ１６
ｄが突入され、これらが軸方向にオーバーラツプ
する構成とされていることにより、当該エンジン
のクランク軸方向の寸法が短縮されている。

一方、エンジンの点検、修理等に際してオイル
パン１６をシリンダブロツク１１から取外す場
合、特に該エンジンを車両に搭載した状態で取外
す場合は、該オイルパン１６を略真下方向に取出
すことになるが、この時、該オイルパン１６の後
部フランジ１６ｄがその下方に位置するエンドプ
レート１２の段付部１２ｅに干渉することにな
る。しかし、この段付部１２ｅには該段付部１２
ｅの角部を斜め後方に窪ませてなる円弧状膨出部
１２ｆが形成されているため、上記後部フランジ
１６ｄが該膨出部１２ｆの前面の円弧状傾斜面に
当接して、該面に沿つて下方やや斜め前方に案内
されることになる。これにより、該オイルパン１
６を特に前方にずらすことなく、略真下方向に引
き出すだけで容易且つスムーズに取出されること
になる。

一方、オイルパン１６をシリンダブロツク１１
に取付けた状態においては、該オイルパン１６の
後部側面１６ｂが上記エンドプレート１２の膨出
部１２ｆに沿う円弧面とされているため、エンド
プレート１２に後方への膨出部１２ｆを形成した
にも拘らず、第４図及び第７図に示すようにオイ
ルパン１６の後部側面１６ｂとエンドプレート１
２（膨出部１２ｆ）との間の間隙Ｘが狭くされて
いる。そのため、雨天走行時等において下方から
泥水等が第４図の矢印Ｙ方向に飛び跳ねて来ても
上記間隙Ｘより上方に侵入することが阻止され、
ひいてはエンドプレート１２におけるクランク軸
貫通孔１２ｂを通つてクラツチハウジング部１３
ａ内の底部Ｚに溜まることが防止される。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、エンジンのクラ
ンク軸方向寸法の短縮のため、エンドプレートの
内周部を外周部より後方に段付状に突出させると
共に、該内周部内にオイルパンの後部フランジを
突入させた構成のエンジンにおいて、上記エンド
プレートの段付部に後方への円弧状膨出部を設け
たので、オイルパンの取外し時に後部フランジが
エンドプレートの段付部に干渉することなく、限
られたスペース内においてもスムーズに取出すこ
とが可能となる。これにより、エンジンの点検、
修理時等におけるオイルパンの脱着性ないしサー
ビス性が改善されることになる。また、オイルパ
ンの後部側面を上記エンドプレートの膨出部に沿
う円弧面としたので、該膨出部を設けたにも拘ら
ず、該膨出部とオイルパンの後部側面との間の間
隙が狭くなり、これにより下方から該間隙を通つ
てエンドプレートのクランク軸貫通孔からクラツ
チハウジング内に泥水等が侵入することが防止さ
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の問題点を示すエンドプレート周
辺の概略縦断側面図、第２図はオイルパンの従来
例を示す斜視図、第３図は本考案の実施例におけ
る主たる構成メンバを示す分解斜視図、第４図は
該実施例における組付状態の縦断側面図、第５図
はオイルパン後部とエンドプレートの位置関係を
示す平面図、第６図はエンドプレートの要部斜視
図、第７図は第４図−線で切断した要部横断
平面図である。 １１……シリンダブロツク、１２……エンドプ
レート、１２ａ……垂下部、１２ｂ……内周部、
１２ｃ……外周部、１２ｅ……段付部、１２ｆ…
…膨出部、１３……ミツシヨンケース、１６……
オイルパン、１６ｂ……後部側面、１６ｄ……フ
ランジ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツクの後端面に取付けられてミツ
   シヨンケースを連結させるエンドプレートのシリ
   ンダブロツク下端より下方への垂下部にオイルパ
   ンの後部が近接されていると共に、上記エンドプ
   レートの垂下部における内周部が外周部に対して
   後方に段付状に突出されて、この段付部の上方に
   オイルパン後部のフランジが位置する構成におい
   て、該フランジの下方におけるエンドプレートの
   段付部に後方への円弧状膨出部を形成すると共
   に、オイルパンの後部側面をこの膨出部に沿つて
   後方に膨出する円弧面としたことを特徴とする車
   両用エンジン。