JP3813010B2 - 発光ダイオード素子及び発光ダイオード素子アレイ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオード素子及び発光ダイオード素子アレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
発光ダイオード(light emitting diode:LEDという)素子は、発光が鮮やかであること、駆動電圧が低く周辺回路が容易になるなどの理由により従来より表示デバイスとして幅広く使用されている。
【0003】
従来、光プリンタに使用するLEDアレイは、例えば「光プリンタ設計;武木田義祐監修、トリケップス」に開示されているように、GaAsPをGaAs基板上にエピタキシャル成長させた基板(以下、GaAsP基板とよぶ)へZnを選択的に拡散して製造する。
【0004】
図10は従来のLEDの構造を模式的に示す図である。
【0005】
図10において、LEDは、n型GaAs基板11、n型GaAs基板11上にTeをドープしエピタキシャル成長させたn型GaAsPエピタキシャル層12、Znを拡散して形成されたp型GaAsPエピタキシャル層13、Zn拡散のマスク材となるSiN絶縁膜14、Al電極15及びAu−Ge電極16から構成され、n型GaAsP基板にp型不純物であるZnを拡散してpn接合を形成した構造である。この構造の接合は、一般的に、ホモ接合と呼ばれている。
【0006】
この構造のLEDは作製工程が比較的少なく容易に作製できる利点があるが、接合を通して注入された少数キャリアは多数キャリアと再結合する際に発生する光の波長が基板半導体のエネルギバンドギャップと等しいため、発生した光は光が通過するp型領域での光吸収が、大きく、発光効率が高くならないという問題点があった。
【0007】
上記ホモ接合によるLEDに対して、例えば、「発光ダイオード;奥野保男、産業図書、1994」に記載されているように、異なる結晶を接合して形成されたpn接合(以下、ヘテロ接合という)を用いたLEDがある。ヘテロ接合にすることによりホモ接合よりもLEDの発光効率を向上することができる。
【0008】
図11はへテロ構造を用いたLEDの構造及びそのエネルギバンドギャップの例を示す図であり、図11は一般的にシングルヘテロ構造(SH構造)と呼ばれるLEDの例を示す。
【0009】
図11のシングルヘテロ構造と呼ばれるLEDは、p型GaAs基板上にp型のAl0.35Ga0.65As層をエピタキシャル成長し、さらにその上にn型Al0.65Ga0.35As層をエピタキシャル成長した構造である。
【0010】
この構造では図11(b)に示すように、接合を通して注入された正孔はヘテロ接合界面でのエネルギ障壁によって拡散が阻止され再結の割合が増加する。また、発光波長は、Al0.35Ga0.65Asのエネルギバンドギャップと等しく、光の窓となるn型Al0.65Ga0.35Asのエネルギバンドギャップが、
Al0.35Ga0.65Asのエネルギバンドギャップよりも大きいので、発生した光は窓となる半導体領域では吸収されない。したがって、発光効率が増加する。
【0011】
上述したLEDを集積したLEDアレイは、例えばLEDプリンタの光源として使用される。ホモ接合でLEDアレイを作製する場合には、拡散マスク開口部を通して半導体へ拡散を行う選択拡散によってpn接合アレイを容易に作製することができる。この選択拡散によるLEDアレイの作製は工程が容易であり、例えば、1200dpiLEDアレイのような超高密度LEDアレイも作製可能である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のヘテロ構造のLEDでは、接合で発生した光に対して、光のエネルギよりもエネルギバンドギャップの大きい半導体層が窓となっているので、光の吸収はなく、外部への光の取り出し効率が向上するものの、この構造のLEDアレイでは各素子を素子分離する必要があるため、例えばメサエッチングによって各素子を分離する。したがって、LEDアレイの集積密度には限界があった。
【0013】
以上のように従来技術では、超高密度の集積化が可能な高発光効率のLEDアレイの製造技術はなかった。
【0014】
本発明は、低コスト高歩留りで量産可能な高発光効率の高密度発光ダイオード素子及び発光ダイオード素子アレイを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によるLEDアレイ用の発光ダイオード素子は、
エネルギバンドギャップが相対的に大きい半導体層と、該半導体層の下に設けられたエネルギバンドギャップが相対的に小さい第1導電型の半導体層と、前記エネルギバンドギャップが相対的に大きい半導体層上に設けられた半絶縁性又はノンドープの半導体層と、該半絶縁性又はノンドープの半導体層及びエネルギバンドギャップが相対的に大きい半導体層を貫通して選択的にアレイ状に複数設けられ、前記エネルギバンドギャップが相対的に小さい半導体層中に深さ方向の拡散フロントからなる半導体層面と略平行なpn接合面を有し、光放出面の平面形状が略矩形の島状となるように形成された第2導電型の選択拡散領域とを有し、
前記エネルギバンドギャップが相対的に小さい半導体層に設けられた前記拡散フロントから上面の放出領域から光を放出することを特徴とする。
【0019】
また別の発明によるLEDアレイ用の発光ダイオード素子は、
エネルギバンドギャップが相対的に大きい半導体層と、該半導体層の下に設けられたエネルギバンドギャップが相対的に小さい第1導電型の半導体層と、前記エネルギバンドギャップが相対的に大きい半導体層上に設けられた半絶縁性又はノンドープの半導体層と、前記エネルギバンドギャップが相対的に小さい第1導電型の半導体層の下に設けられた相対的にエネルギバンドギャップが大きい半導体層と、前記半絶縁性又はノンドープの半導体層及び前記エネルギバンドギャップが相対的に小さい第1導電型の半導体層上のエネルギバンドギャップが相対的に大きい半導体層を貫通して選択的にアレイ状に複数設けられ、前記エネルギバンドギャップが相対的に小さい第1導電型の半導体層中に深さ方向の拡散フロントからなる半導体層面と略平行なpn接合面を有し、光放出面の平面形状が略矩形の島状となるように形成された第2導電型の選択拡散領域とを有し、前記半絶縁性又はノンドープの半導体層における前記選択拡散領域はオーミックコンタクト層として各々電極層と接続し、エネルギバンドギャップが相対的に小さい前記第1導電型の半導体層に設けられた前記拡散フロントから上面の放出領域から光を放出することを特徴とする。
【0023】
更に別の発明による発光ダイオード素子アレイは、複数の発光ダイオード素子を所定列に配置した発光ダイオード素子アレイにおいて、この複数の発光ダイオード素子が上記した本発明による複数の発光ダイオード素子であることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係る発光ダイオード素子及び発光ダイオード素子アレイは、LEDアレイに適用することができる。
【0025】
第1の実施形態
図1は本発明の第1の実施形態に係るLEDアレイの構造を示す図、図2は図1のA−A′矢視断面図であり、多数のLEDを一列に配置したLEDアレイについて1素子に着目してその断面構造を模式的に示した図である。
【0026】
図1及び図2において、LED100は、n型GaAs基板101、n型GaAs基板101上に形成したn型のGaAsバッファ層102、GaAsバッファ層102上にエピタキシャル成長させたn型のAlzGa1-zAs層103、n型のAlyGa1-yAs層104、半絶縁性のAlxGa1-xAs層105、半絶縁性又はノンドープのGaAs層106、亜鉛(Ζn)を選択的に拡散して形成したΖn拡散領域107、AlyGa1-yAs層内に存在する基板の主面と略平行なpn接合面(拡散フロント)120、Ζn拡散の拡散マスク膜となるSiΝ膜からなる層間絶縁膜108、p側電極109及びn側電極110により構成される。図2で示したようにΖn拡散領域はGaAS層106、AlxGa1-xAs層105を経てAlyGa1-yAs層104に達している。
【0027】
LED100は、n型GaAs基板101の上にn型のGaAsバッファ層102を形成し、その上にn型のAlzGa1-zAs層103、n型のAlyGa1-yAs層104、半絶縁性のAlxGa1-xAs層105及び半絶縁性又はノンドープのGaAs層106を積層した構造である。この積層構造のAl混晶比x,y,zは、x>y,z>yなる関係を満たしており、
AlzGa1-zAs層103とAlxGa1-xAs層105のエネルギバンドギャップはAlyGa1-yAs層104のエネルギバンドギャップよりも少なくとも大きい。
【0028】
エネルギバンドギャップ差は、注入したキャリアに対してその閉じ込めの効果が得られる程度の大きさが望ましく、約0.3eV以上とする。例えば、x,z=0.4,y=0.15とすれば、エネルギバンドギャップ差は約0.3eVである。積層構造には、選択的に形成したZn拡散領域107がある。Zn拡散領域107の深さ方向の拡散フロントすなわち積層構造の積層面と略平行なpn接合面は、n型AlyGa1-yAs層104層内にある。接合は横方向にも形成されるがpn接合はAlyGa1-yAs層104内にしか形成されていない。
【0029】
GaAs層106の上には、選択拡散のための拡散マスクとなる層間絶縁膜108がある。この拡散マスク108は層間絶縁膜としても機能している。拡散マスク108は、例えば、SiN膜を使用することができる。拡散が良好に制御できれば、その他の膜、例えば、Al23、AlN等の絶縁膜であってもよい。このLEDアレイは絶縁膜の下の半導体は半絶縁性又はノンドープのGaAs層で高抵抗層であるので、絶縁膜にピンホールや傷などの欠陥が多少あっても絶縁膜上に延在しているp側電極109とn側半導体層との絶縁は十分確保できる。
【0030】
層間絶縁膜108上には、Zn拡散領域107表面とオーミックコンタクトを有するp側電極109がある。p側電極109は例えばAl系の材料で形成できる。GaAs基板101の裏面にはn側電極110が共通電極として形成してある。n側電極は、例えばAu合金を使用することができる。
【0031】
以下、上述のように構成されたLEDアレイ100の動作を説明する。
【0032】
LEDアレイ100は、pn接合がAlyGa1-yAs層104のみにあるので、順方向の電流を流すとAl混晶比yに相当するエネルギの光が発生する。p型拡散層へ注入された電子はAlxGa1-xAs層105とAlyGa1-yAs層104の界面に形成されているバリアによってAlxGa1-xAs層105へは拡散できず、pn接合面と積層界面の間の狭い領域に閉じこめられる。したがって、注入された電子の密度が高くなり再結合確率が増加し発光効率が上昇する。また、AlzGa1-zAs層103とAlyGa1-yAs層104との界面にもバリアが存在するのでn層へ注入された正孔も狭い領域に閉じこめられ、発光効率上昇に寄与する。
【0033】
発生した光は、AlxGa1-xAs層105のエネルギバンドギャップが発光波長のエネルギよりも大きいので、AlxGa1-xAs層105では吸収されない。また、GaAs層106の層厚を薄くすれば、例えば500Åとすれば吸収量は非常に小さく外部への取り出し効率も向上する。
【0034】
半絶縁性又はノンドープGaAs層106のZn拡散領域は、オーミックコンタクト層として機能している。AlGaAsはAl混晶比が大きい場合にはAlの酸化によってオーミックコンタクトがとり難くなるが、Zn拡散によるP型GaAs領域121(すなわちGaAs層106内のZn拡散領域)があることによってAlxGa1-xAs層105のAl混晶比xによらず常にオーミックコンタクトが形成できる。
【0035】
半絶縁性又はノンドープGaAs層106を高抵抗(半絶縁性)半導体層として形成してあるので、Znを拡散しても半絶縁性又はノンドープGaAs層106にはZn拡散によるP型の導通層が形成されるだけでpn接合は形成されない。もしも、半絶縁性又はノンドープGaAs層106層が例えばn型層であれば、Ζn拡散によってpn接合が形成され、電流は表面GaAs層へ注入されて発光効率が減少する。同様にAlxGa1-xAs層105を半絶縁性としているので、Znを拡散しても導通層のみが形成されているので発光には寄与しない。したがって、AlyGa1-yAs層以外のAlyGa1-yAs層よりもバンドギャップの小さい層(本実施形態の例で最表面層が半絶縁性ではなく、n型GaAs層であった場合には、n型GaAs層)Zn選択拡散によって形成されたpn接合に電流が流れないような構造を設ける必要がないので、素子構造が簡単になる。したがって、作製プロセスも簡単になる。
【0036】
また、AlxGa1-xAs層とAlyGa1-yAs層の界面の障壁によってその界面とpn接合面(拡散フロント)の間に注入された電子を閉じこめることができるので、AlxGa1-xAs層とAlyGa1-yAs層の界面と深さ方向の拡散フロント間の距離を電子の平均自由工程よりも小さくとっても効率よく再結合させることがでる。したがって、各エピタキシャル層の厚さを小さくすることが可能である。
【0037】
半導体積層構造の層厚を薄くして、選択拡散深さを浅くすることによって、容易にお互いに絶縁され電気的に独立した素子配列を形成でき、超高密度LEDアレイ、例えば、1200DPI(ピッチ間隔=21.2ミクロン)の作製が可能である。
【0038】
以上説明したように、第1の実施形態に係るLEDアレイは、n型GaAs基板101の上にn型のGaAsバッファ層102を形成し、その上にn型のAlzGa1-zAs層103、n型のAlyGa1-yAs層104、半絶縁性のAlxGa1-xAs層105及び半絶縁性又はノンドープのGaAs層106を積層した構造を備え、AlzGa1-zAs層103とAlxGa1-xAs層105のエネルギバンドギャップはAlyGa1-yAs層104のエネルギバンドギャップよりも少なくとも大きくし、エネルギバンドギャップの大きい半導体層に挟まれたエネルギバンドギャップの小さい半導体層内に深さ方向の拡散フロントを有する選択拡散によるpn接合を形成し、オーミックコンタクトを形成する最表面層を半絶縁性又はノンドープGaAs層にZnを拡散して形成したP型GaAs領域としたので、素子構造が簡単で高発光効率の超高密度LEDアレイが可能である。
【0039】
本実施形態では、AlxGa1-xAs層105を半絶縁性半導体層としたが、図3に示すようにn型層とすることもできる。
【0040】
図3は半絶縁性AlxGa1-xAs層105を、n型AlxGa1-xAs層201に代えた場合のLEDアレイの構造を示す断面図である。n型AlxGa1-xAs層201にしてもAlyGa1-yAs層よりもエネルギバンドギャップが大きいために主として、電子はAlyGa1-yAs層内に形成されたpn接合を通してAlyGa1-yAs層104のZn拡散領域へ注入されるので、AlxGa1-xAs層は発光には寄与せず、発光波長はAlyGa1-yAs層104のエネルギバンドギャップによって決まる。
【0041】
図4はn側電極を基板表面に形成した場合のLEDアレイの構造を示す断面図である。図4に示すように、n側電極210をn型のAlyGa1-yAs層とオーミックコンタクトをとるように基板表面に形成することも可能である。また、n型GaAs基板101の代わりにn型のSi基板を使用することも可能である。
【0042】
第2の実施形態
図5は本発明の第2の実施形態に係るLEDアレイの1素子について構造を模式的に示す図である。本実施形態に係るLEDの構造の説明にあたり前記図1〜図4と同一構成部分には同一符号を付している。
【0043】
図5において、LED300は、半絶縁性又はノンドープGaAs基板301、半絶縁性又はノンドープGaAs基板301上に形成した半絶縁性又はノンドープGaAsバッファ層302、半絶縁性又はノンドープバッファ層302上にエピタキシャル成長させた半絶縁性又はノンドープAlzGa1-zAs層303、n型のAlyGa1-yAs層104、半絶縁性AlxGa1-xAs層105、半絶縁性又はノンドープGaAs層106、Znを拡散して形成されたZn拡散領域107、Zn拡散のマスク材となる例えばSiN絶縁膜からなる層間絶縁膜108、p側電極109及びn側電極210により構成される。
【0044】
LED300は、半絶縁性又はノンドープGaAs基板301の上に半絶縁性又はノンドープGaAsバッファ層302を形成し、その上に半絶縁性又はノンドープAlzGa1-zAs層303、n型のAlyGa1-yAs層104、半絶縁性AlxGa1-xAs層105及び半絶縁性又はノンドープGaAs層106を積層した構造である。積層構造のAl混晶比x,y,zは、x>y,z>yなる関係を満たしており、AlzGa1-zAs層303とAlxGa1-xAs層105のエネルギバンドギャップはAlyGa1-yAs層104のエネルギバンドギャップよりも少なくとも大きい。
【0045】
エネルギバンドギャップ差は注入したキャリアに対してその閉じこめの効果が得られる程度の大きさが望ましく、約0.3eV以上とする。例えば、x,z=0.4,y=0.15とすれば、エネルギバンドギャップ差は約0.3eVである。積層構造には、選択的に形成したZn拡散領域107がある。
【0046】
Zn拡散領域107の深さ方向の拡散フロントすなわち積層構造の積層面に略平行なpn接合面は、n型AlyGa1-yAs層104層内にある。接合は横方向にも形成されるがpn接合はAlyGa1-yAs層104内にしか形成されていない。
【0047】
GaAs層106の上には、選択拡散のための拡散マスク108がある。この拡散マスク108は層間絶縁膜としても機能している。拡散マスク108は例えば、SiN膜を使用することができる。拡散が良好に制御できれば、その他の膜、例えば、Al2Ο3、AlN等の絶縁膜であってもよい。
【0048】
このLEDアレイは絶縁膜の下の半導体は半絶縁性又はノンドープGaAs層であるので、絶縁膜にピンホールや傷などの欠陥が多少あっても絶縁膜上に延在しているp側電極109とn側半導体層との絶縁は十分確保できる。
【0049】
絶縁膜108上には、Zn拡散領域107表面とオーミックコンタクトを有するp側電極109がある。p側電極109は半絶縁性又はノンドープGaAs層内のZn拡散領域表面とオーミックコンタクトを形成している。p側電極109は例えばAl系の材料で形成できる。
【0050】
本実施形態では、前記第1の実施形態の変形例と同様に半絶縁性AlxGa1-xAs層105の代わりにn型AlxGa1-xAs層とすることもできる。
【0051】
n型AlyGa1-yAs層104の表面の一部の領域にはn側電極210を共通電極として形成してある。n側電極210は、例えばAu合金を使用することができる。n型電極210は基板最表面層の半絶縁又はノンドープGaAs層106をエッチングしてn型AlxGa1-xAs層105表面にコンタクトをとる、あるいは、半絶縁又はノンドープGaAs層106とn型AlxGa1-xAs層105の一部の領域をエッチング除去してn型AlyGa1-yAs層104表面にコンタクトをとることができる。
【0052】
以上説明した基板構造をとるLEDアレイにおいても、発光効率に対して前記第1の実施形態で説明した効果と同様な効果を得ることができる。
【0053】
特に、第2の実施形態では、第1実施形態におけるGaAs基板、GaAバッファ層を半絶縁性とし、AlzGa1-zAs層を半絶縁性又はノンドープ又はn型にすることにより、マトリクス駆動が可能な高発光効率の超高密発光素子アレイができる。
【0054】
ここで、上記各実施形態に係るLEDアレイに素子分離領域を形成することもできる。
【0055】
図6は素子分離領域を形成したLEDアレイの構造を示す図、図7は図6のB−B′矢視断面図であり、前記図1〜図5と同一構成部分には同一符号を付している。
【0056】
図6及び図7において、401は半絶縁性又はノンドープGaAs基板、402は半絶縁性又はノンドープGaAsバッファ層、403は半絶縁性又はノンドープ又はn型AlzGa1-zAs層、404はn型AlyGa1-yAs層、405は半絶縁性又はn型AlxGa1-xAs層、406は半絶縁性又はノンドープGaAs層、407は層間絶縁膜、408は素子の分離領域である。分離領域408は、例えば図6に示すような単位ブロック410毎に形成される。分離領域は少なくとも半絶縁性又はノンドープGaAsバッファ層に達している。
【0057】
図6に示すように半絶縁性又はノンドープAlzGa1-zAs層、半絶縁性又はノンドープGaAsバッファ層及び半絶縁性又はノンドープGaAs基板に達する素子分離領域408を設けて、n型AlyGa1-yAs層404を複数のpn接合を含むブロックに分割することによって、マトリクス駆動が可能な発光素子アレイを作製することが可能である。この素子分離領域は少なくとも表面の半絶縁性又はノンドープGaAs層406からn型AlyGa1-yAs層404を超えて半絶縁性又はノンドープのGaAs(バッファ)層に達するものである。
【0058】
また、n型電極をn型AlyGa1-yAs層でオーミックコンタクトをとれば、AlxGa1-xAs層は半絶縁層とすることも可能である。また、半絶縁性又はノンドープGaAs基板101の代わりに高抵抗Si基板を使用することも可能である。
【0059】
第3の実施形態
図8は本発明の第3の実施形態に係る発光ダイオード素子の基本構造を示す図である。本実施形態の説明にあたり前記図5と同一構成部分には同一符号を付している。
【0060】
本実施形態では、半絶縁性GaAs基板301の上に半絶縁性のGaAsバッファ層302、p型AlzGa1-zAs層801、n型AlyGa1-yAs層104、n型のAlxGa1-xAs層802及び半絶縁性又はノンドープGaAs層106を有する積層構造へΖnを選択的に拡散して形成したΖn拡散領域を備え、拡散領域の深さ方向の拡散フロントがAlyGa1-yAs層104内に存在する。
【0061】
この素子形態は前記図6及び図7で示した素子分離領域を有するLEDアレイを作製することが可能である。
【0062】
図9は本素子形態と素子分離領域を備えたLEDアレイの断面図で、前記図6の矢視B−B′と同等の位置の断面図である。本実施形態の素子形態を備えたLEDアレイでは、図9に示すように最表面の半絶縁性又はノンドープGaAs層から少なくともp型AlzGa1-zAs層801に達する素子分離領域を備えている。
【0063】
半絶縁性又はノンドープGaAs基板とn型エピタキシャル層の間にp型のエピタキシャル層を設けることによって、p型エピタキシャル層に達する素子分離領域によってn型エピタキシャル層を適当な数の複数のpn接合を含むブロックに分離することができる。したがって、マトリクス駆動が可能なLEDアレイが作製できる。
【0064】
p型AlzGa1-zAs層は、ノンドープのAlzGa1-zAs層とすることも可能である。例えば、ΜOCVD法によって形成されたAlzGa1-zAs層はΑl組成が大きい場合には、p型となるので効果は前記p型とした場合と同様である。また、他の材料の場合でノンドープによって半絶縁性半導体層が得られる半導体材料の場合には、前記第2の実施形態と同等の形態となる。
【0065】
以上説明したように第3の実施形態では、半絶縁性又はノンドープGaAs基板301の上に半絶縁性又はノンドープのGaAsバッファ層302、AlzGa1-zAs層801、n型AlyGa1-yAs層104、n型のAlxGa1-xAs層802及び半絶縁性又はノンドープGaAs層106を有する積層構造へZnを選択的に拡散して形成したΖn拡散領域を備え、拡散領域の深さ方向の拡散フロントがAlyGa1-yAs層104内に存在する構造で、AlzGa1-zAs層801をp型または、ノンドープとした構造なので、p型エピタキシャル層に達する素子分離領域によってn型エピタキシャル層を適当な数の複数のpn接合を含むブロックに分離することができる。したがって、マトリクス駆動が可能な高発光効率のLEDアレイが作製できる効果が得られる。
【0066】
第3の実施形態例では半絶縁性又はノンドープGaAs基板を使用する例について説明したが、第2の実施形態と同様に高抵抗Si基板を使用することも可能である。
【0067】
また、上記各実施形態では、発光ダイオード素子アレイとして、AlxGa1-xAsを用いたLEDアレイに適用した例であるが、第1導電型のエネルギバンドギャップの異なる少なくとも2層のエピタキシャル層へ第2導電型の不純物を選択的に拡散させて作製した発光素子アレイであればどのような発光ダイオード素子にも適用できることは言うまでもない。
【0068】
また、上記各実施形態に係る発光ダイオード素子アレイが、上述した構造をとるものであれば、どのような構成でもよく、その製造プロセス、基板の種類、アレイ等の個数、配置状態等は上記各実施形態に限定されない。
【0069】
【発明の効果】
本発明に係る発光ダイオード素子及び発光ダイオード素子アレイは、少なくともエネルギバンドギャップが相対的に大きい半導体層とエネルギバンドギャップが相対的に小さい半導体層の積層構造を有する基板を備え、相対的にエネルギバンドギャップが小さい半導体層に選択的に基板面と略平行なpn接合面が形成されている発光ダイオード素子であって、基板と略平行なpn接合が形成されている半導体層は第1導電型であり、該半導体層を含む半導体積層構造に少なくとも1層の半絶縁性又はノンドープの半導体層を有するように構成したので、低コスト高歩留りで量産可能な高発光効率の高密度発光ダイオード素子及び発光ダイオード素子アレイが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態に係る発光ダイオード素子アレイの基本構造を示す図である。
【図2】図1のA−A´矢視断面図である。
【図3】上記発光ダイオード素子アレイの変形例を示す断面図である。
【図4】上記発光ダイオード素子アレイの変形例を示す断面図である。
【図5】本発明を適用した第2の実施形態に係る発光ダイオード素子アレイの基本構造を示す図である。
【図6】上記発光ダイオード素子アレイの変形例を示す図である。
【図7】図6のB−B´矢視断面図である。
【図8】本発明を適用した第3の実施形態に係る発光ダイオード素子の基本構造を示す図である。
【図9】上記発光ダイオード素子の変形例を示す図である。
【図10】従来のLEDの構造を模式的に示す図である。
【図11】従来のシングルへテロ構造を用いたLEDの構造及びそのエネルギバンドギャップの例を示す図である。

Claims (9)

  1. エネルギバンドギャップが相対的に大きい半導体層と、
    該半導体層の下に設けられたエネルギバンドギャップが相対的に小さい第1導電型の半導体層と、
    前記エネルギバンドギャップが相対的に大きい半導体層上に設けられた半絶縁性又はノンドープの半導体層と、
    該半絶縁性又はノンドープの半導体層及びエネルギバンドギャップが相対的に大きい半導体層を貫通して選択的にアレイ状に複数設けられ、前記エネルギバンドギャップが相対的に小さい半導体層中に深さ方向の拡散フロントからなる半導体層面と略平行なpn接合面を有し、光放出面の平面形状が略矩形の島状となるように形成された第2導電型の選択拡散領域とを有し、
    前記エネルギバンドギャップが相対的に小さい半導体層に設けられた前記拡散フロントから上面の放出領域から光を放出することを特徴とするLEDアレイ用の発光ダイオード素子。
  2. 前記第1導電型はn型であり、第2導電型はp型であることを特徴とする請求項1記載の発光ダイオード素子。
  3. 前記半絶縁性又はノンドープの半導体層はGaAs層であることを特徴とする請求項1記載の発光ダイオード素子。
  4. 前記半導体層は、エピタキシャル化合物半導体層であることを特徴とする請求項1、2又は3の何れかに記載の発光ダイオード素子。
  5. 前記半導体層は、AlxGa1-xAs層(x≧0)であることを特徴とする請求項1、2又は3の何れかに記載の発光ダイオード素子。
  6. エネルギバンドギャップが相対的に大きい半導体層と、
    該半導体層の下に設けられたエネルギバンドギャップが相対的に小さい第1導電型の半導体層と、
    前記エネルギバンドギャップが相対的に大きい半導体層上に設けられた半絶縁性又はノンドープの半導体層と、
    前記エネルギバンドギャップが相対的に小さい第1導電型の半導体層の下に設けられた相対的にエネルギバンドギャップが大きい半導体層と、
    前記半絶縁性又はノンドープの半導体層及び前記エネルギバンドギャップが相対的に小さい第1導電型の半導体層上のエネルギバンドギャップが相対的に大きい半導体層を貫通して選択的にアレイ状に複数設けられ、前記エネルギバンドギャップが相対的に小さい第1導電型の半導体層中に深さ方向の拡散フロントからなる半導体層面と略平行なpn接合面を有し、光放出面の平面形状が略矩形の島状となるように形成された第2導電型の選択拡散領域とを有し、
    前記半絶縁性又はノンドープの半導体層における前記選択拡散領域はオーミックコンタクト層として各々電極層と接続し、
    エネルギバンドギャップが相対的に小さい前記第1導電型の半導体層に設けられた前記拡散フロントから上面の放出領域から光を放出することを特徴とするLEDアレイ用の発光ダイオード素子。
  7. 前記相対的にエネルギバンドギャップが大きい半導体層が相対的にエネルギバンドギャップが小さい半導体層と同一導電型の半導体層であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6の何れかに記載の発光ダイオード素子。
  8. 前記エネルギバンドギャップが相対的に小さい半導体層とそのエネルギバンドギャップが相対的に小さい半導体層の上に形成した相対的にエネルギバンドギャップが大きい半導体層は第1導電型であり、エネルギバンドギャップが相対的に小さい半導体層の下に形成した相対的にエネルギバンドギャップが大きい半導体層はノンドープ半導体層、半絶縁性半導体層、または、第2導電型半導体層であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6の何れかに記載の発光ダイオード素子。
  9. 複数の発光ダイオード素子を所定列に配置した発光ダイオード素子アレイにおいて、前記複数の発光ダイオード素子は、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8の何れかに記載の複数の発光ダイオード素子であることを特徴とする発光ダイオード素子アレイ。
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