JP3290672B2 - 半導体発光ダイオード - Google Patents

半導体発光ダイオード

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JP3290672B2
JP3290672B2 JP5135891A JP5135891A JP3290672B2 JP 3290672 B2 JP3290672 B2 JP 3290672B2 JP 5135891 A JP5135891 A JP 5135891A JP 5135891 A JP5135891 A JP 5135891A JP 3290672 B2 JP3290672 B2 JP 3290672B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化合物半導体材料を用
いた半導体発光ダイオードに係わり、特に活性層にIn
GaAlP系材料を用いた半導体発光ダイオードに関す
る。
【0002】
【従来の技術】LED(発光ダイオード)は、低消費電
力,高効率,高信頼性の得られる光源として、光通信や
光情報処理等の各種の分野での応用に用いられている。
特に、可視波長域では発光層材料として、GaP
(緑),GaAsP(黄色,橙色,赤色),GaAlA
s(赤色)等の化合物半導体が用いられている。
【0003】しかし、GaP,GaAsPは間接遷移型
の半導体であり、その発光効率は透明な基板を用い、吸
収の影響をなくしても0.5%程度以下と極めて低いも
のである。また、GaAlAsは660nmでは8%程
度の効率が得られるものの、これより短波長ではやはり
間接遷移の影響により、635nmでの効率は1%程度
である。
【0004】人間の目の視感度を考慮すると、GaAl
As系では660nmで3cd(カンデラ)、635n
mで1cdに相当する。一方、GaPでは0.5cd以
下、GaAsPでは0.3cd以下のものしか実現され
ておらず、橙色,黄色,緑色の領域での高輝度のLED
の開発が強く嘱望されていた。
【0005】InGaAlP混晶は、窒化物を除く −
族化合物半導体混晶中で最大の直接遷移型エネルギー
ギャップを有し、0.5〜0.6μm帯の発光素子材料
として注目されている。特にGaAsを基板とし、これ
に格子整合するInGaAlPによるLEDは、緑色か
ら赤色までの高輝度の発光の可能性を持っている。しか
しながら、この種のLEDにあっても、短波長の領域で
の発光効率は必ずしも十分高いとは言えなかった。
【0006】図30に、InGaAlP発光部を有する
従来のLEDの素子構造断面図を示す。図中1はn−G
aAs基板、2はn−InGaAlPクラッド層、3は
InGaAlP活性層、4はp−InGaAlPクラッ
ド層、5はp−GaAlAs電流拡散層、6はp−Ga
Asコンタクト層、7はAuZnからなるp側電極、8
はAuGeからなるn側電極である。
【0007】InGaAlP活性層3のエネルギーギャ
ップは、クラッド層2,4のそれより小さくなるように
混晶組成が設定されており、光及びキャリアを活性層3
に閉じ込めるダブルヘテロ構造をなしている。また、p
−GaAlAs電流拡散層5の組成は、InGaAlP
活性層3からの発光波長に対し略透明になるように設定
されている。
【0008】図30の構造において、活性層3を厚さ
0.2μmのアンドープのIn0.5 (Ga1-X AlX
0.5 P(x=0.4)とした場合、その導電型はn型で
あり、濃度は1〜5×1016cm-3程度であった。この
とき、発光波長は565nm(緑)、発光効率はDC2
0mAで0.07%程度であった。また、x=0.3と
したとき、発光波長は585nm(黄)、発光効率はD
C20mAで0.4%程度と低く、GaP,GaAsP
系に対する特性的なメリットは必ずしも見られなかっ
た。一方、x=0.2としたとき、発光波長は620n
m(橙色),発光効率はDC20mAで1.5%程度で
あり、発光波長に対し吸収体となるGaAs基板1を特
に除去することなくGaAlAs系を上回る発光効率が
得られた。
【0009】このような発光効率の組成依存性の原因に
ついて本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、n伝導型に
おける移動度と強い相関があることが判った。即ち、移
動度はAl組成x=0.3程度で急激に低下した。ま
た、これに合わせてドナーレベルが深くなることも観測
された。これらは、n伝導型における深い準位の発生が
非発光再結合を来たし、発光効率の低下につながってい
ると考えられた。また、活性層3のAl組成xが高く発
光波長が短い場合、クラッド層2,4とのエネルギーギ
ャップ差を十分にとることができず、特に有効質量の小
さい電子のp型クラッド層4へのオーバーフローが顕著
になり、これが発光効率の低下につながっていることも
考えられた。
【0010】一方、図30の構成では電流拡散層5を設
けて電極7から注入された電流を広げているが、電流拡
散層5を設けない場合、次のような理由により注入電流
の広がりが小さくなり、発光領域は電極直下付近のみと
なる。即ち、クラッド層2,4のAl組成は、活性層3
とのバンドギャップ差を持たせるために活性層3のそれ
よりも十分大きくする必要がある。pクラッド層4にお
いては、Al組成が大きいと、キャリア濃度を高くする
ことはできず抵抗が大きくなる。このため、pクラッド
層4における電流の広がりは小さく、電極直下付近のみ
が発光領域となる。この場合、光を上から取り出す構成
においては、電極7が発光領域からの光を遮ることにな
り、光取り出し効率の低下を招く。
【0011】また、InGaAlP系材料を用いた半導
体発光素子においては、より短波長の発光を得るために
活性層のAl組成を大きくすると、活性層の非発光セン
ターが増加して非発光再結合が増えるために、発光効率
が低下するという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来のI
nGaAlP系によるLEDでは、特に黄色,緑色での
高効率の発光を得ることは困難であった。また、発光部
における電極下の電流集中が生じ、光取り出し効率の低
下や、活性層中の非発光再結合の増加のために、高輝度
化を実現することは困難であった。
【0013】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、その目的とするところは、黄色,緑色等の短波長
領域でも高効率の発光が可能な半導体発光ダイオード
提供することにある。
【0014】また、本発明の他の目的は、発光部におけ
る電流分布を改善することができ、光取り出し効率及び
輝度の向上をはかり得る半導体発光ダイオードを提供す
ることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の骨子は、InG
aAlPからなる活性層を有し、半導体基板と反対側の
発光面上の一部に形成された電極以外の面上から光を取
り出す半導体発光ダイオードにおいて、活性層のキャリ
ア濃度及び膜厚を最適化することにより、発光効率の向
上をはかることにある。
【0016】即ち本発明は、InGaAlP材料からな
る活性層をInGaAlP材料からなるクラッド層で挟
んだダブルヘテロ構造部と、このダブルヘテロ構造部上
の一部に形成された第1の電極と、前記ダブルヘテロ構
造部の第1の電極と反対側面に形成された第2の電極と
を具備し、少なくとも第1の電極側から光を取り出す半
導体発光ダイオードであって、前記活性層はキャリア濃
度1×10 17 cm -3 以下のp型であり、前記活性層の厚
さを0.15〜0.75μmの範囲に設定し、前記ダブ
ルヘテロ構造部を構成するクラッド層のうち、p型クラ
ッド層のキャリア濃度を5×10 17 cm -3 〜2×10 18
cm -3 の範囲に設定してなることを特徴とするものであ
る。
【0017】より望ましくは本発明は、半導体基板とし
てGaAsを用い、この基板の面方位を(100)から
[011]方向に10〜20度傾斜させる。半導体基板
とダブルヘテロ構造部との間に、基板側から反射層及び
透明バッファ層を形成し、且つ透明バッファ層の膜厚を
20〜100μmの範囲に設定する。ダブルヘテロ構造
部を構成するクラッド層のうち、n型クラッド層のキャ
リア濃度を1×1016cm-3〜6×1017cm-3の範囲
設定する。この所望のキャリア濃度を得るために、積
極的にp型不純物とn型不純物のいずれか一方或いは双
方を活性層にドーピングする。また、活性層を、量子井
戸構造とする。さらに、ダブルヘテロ構造部と第1の電
極との間にGaAlAsからなる電流拡散層を設け、こ
の電流拡散層の膜厚を5〜30μmの範囲に設定し、且
つキャリア濃度を5×1017cm-3〜5×1018cm-3
の範囲に設定するようにしたものである。
【0018】
【0019】
【作用】本発明によれば、InGaAlPからなる活性
層を、低濃度のp型(キャリア濃度1×1017cm-3
下のp型)、又はより低濃度のn型(キャリア濃度5×
1016cm-3以下のn型)とすることによって、前述し
た非発光再結合の影響を低減することが可能となる。ま
た、活性層の厚さを最適化(0.15〜0.75μm)
することにより、高効率の発光が得られることになる。
また、基板の面方位の傾斜,各層のキャリア濃度及び膜
厚等を最適化することにより、発光効率をより向上させ
ることが可能となる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の詳細を図示の実施例によって
説明する。
【0021】図1は本発明の第1の実施例に係わる半導
体発光ダイオードの概略構造を示す断面図である。図中
11はn−GaAs基板であり、この基板11上にはn
−InGaAlPクラッド層12,p−InGaAlP
活性層13及びp−InGaAlPクラッド層14から
なるダブルヘテロ構造部が成長形成されている。ダブル
ヘテロ構造部上にはp−GaAlAs電流拡散層15が
成長形成され、この電流拡散層15上の一部にGaAs
コンタクト層16が成長形成されている。そして、コン
タクト層16上にAuZnからなるp側電極17が形成
され、基板11の下面にAuGeからなるn側電極18
が形成されている。
【0022】p−InGaAlP活性層13のエネルギ
ーギャップは、クラッド層12,14のそれより小さく
なるように混晶組成が設定されており、光及びキャリア
を活性層13に閉じ込めるダブルヘテロ構造をなしてい
る。p−GaAlAs電流拡散層15の組成は、活性層
13からの発光波長に対し略透明になるように設定され
ている。なお、本実施例では基板側をn型の導電型とし
たが、導電型を逆にした構造でも同様に考えることがで
きる。
【0023】図1に示した構造において、各層の厚さ,
キャリア濃度は以下のように設定されている。即ち、 n−GaAs基板11(250μm,3×1018
-3)、 n−InGaAlPクラッド層12(1μm,5×10
17cm-3)、 p−InGaAlP活性層13(0.5μm,5×10
16cm-3)、 p−InGaAlPクラッド層14(1μm,7×10
17cm-3)、 p−GaAlAs電流拡散層15(7μm,3×1018
cm-3)、 p−GaAsコンタクト層16(0.1μm,3×10
18cm-3)、 である。
【0024】また、p側電極17は直径200μmの円
形とした。活性層13及びクラッド層12,14の組成
を、In0.5 (Ga1-X AlX 0.5 Pの表記でそれぞ
れ0.4,0.7とした場合、発光波長は565nm
(緑)、発光効率はDC20mAで0.7%程度と従来
の10倍の効率が得られた。
【0025】図2は、活性層13の膜厚を0.5μmと
したときの発光効率の活性層キャリア濃度依存性を示し
ている。p型はZnドープで、5×1016cm-3以下の
n型はアンドープで、それ以上のn型はSiドープによ
り作成した。このとき、n型ではその濃度が高くなるに
つれて発光効率は低下した。これは、深いレベルの発生
により、非発光再結合が増加すること、小数キャリアで
ある正孔の拡散長が低下することによると考えられた。
【0026】一方、p型では1×1017cm-3より濃度
を増すと、発光効率が顕著に低下した。これは、Znの
多量のドーピングにより、非発光再結合を引き起こすセ
ンターが形成されたためと考えられる。また、図2に示
す特性曲線は、活性層13の膜厚を変えても上下方向に
シフトするだけで、発光効率の高くなる範囲は殆ど変わ
らなかった。従って、活性層13としては、キャリア濃
度1×1017cm-3以下のp型又はキャリア濃度5×1
16cm-3以下のn型が望ましい。
【0027】図3は活性層13のキャリア濃度を5×1
16cm-3(p型)としたときの、発光効率の活性層厚
さ依存性を示している。活性層13の厚さは、pクラッ
ド層14のキャリア濃度にも依存するが、0.15〜
0.75μmの範囲で高い発光効率が得られた。
【0028】なお、図3には示さないが、キャリア濃度
が5×1016cm-3以上のn型の活性層は、Znドープ
のp型の活性層よりも同じ膜厚では発光効率が低くな
り、且つ発光効率のピーク値が薄膜側に存在した。薄膜
での効率の低下は、活性層の注入キャリア密度が注入電
流密度/活性層厚により決まることから、高注入密度に
よるクラッド層へのオーバーフローが顕著に発生するこ
とによると考えられる。活性層13をp型としたもので
は、多数キャリアが正孔であり、電子の注入により発光
が起こるため、オーバーフローによる影響がアンドープ
の場合に比べ生じ難いと考えられる。一方、厚膜では活
性層内での注入キャリアの拡散長より大きくなると、ダ
ブルヘテロ構造による効果が低下し、層内での吸収や低
キャリア密度での相対的な非発光再結合の増加による発
光効率の低下が発生すると考えられる。
【0029】上記実施例では、活性層13のAl組成x
を0.4としたものについて述べたが、これ以外のAl
組成としたものについても、同様の効果があった。ここ
で、キャリア濃度の如何に拘らずAl組成xを変えると
発光波長も変わるが、図4に示すように、Al組成xを
大きくして発光波長を短くするほど、発光効率は低下す
ることになる。この場合も、キャリア濃度1×1017
-3以下のp型又はキャリア濃度5×1016cm-3以下
のn型であれば、高い発光効率が得られる。図5は、本
発明の第2の実施例に係わる半導体発光ダイオードの概
略構造を示す断面図である。
【0030】図5に示した構造において、31は第1導
電型半導体基板であり、この基板31上には第1導電型
のバッファ層32,反射層33及び透明バッファ層34
が成長形成されている。透明バッファ層34上には、下
部クラッド層(第1導電型クラッド層)35,活性層3
6及び上部クラッド層(第2導電型クラッド層)37か
らなるダブルヘテロ構造部が形成されている。
【0031】ダブルヘテロ構造部上には、第2導電型の
電流拡散層38が成長形成され、電流拡散層38上の一
部には第2導電型のコンタクト層39が形成されてい
る。また、ダブルヘテロ構造部と電流拡散層38との界
面には、コンタクト層39に対応する位置に第1導電型
の電流阻止層40が形成されている。そして、コンタク
ト層39上に上部電極41が形成され、基板31の下面
に下部電極42が形成されている。
【0032】次に、上記素子における基板,各層のキャ
リア濃度及び膜厚、その他の条件について説明する。な
お、この条件は、先に説明した第1の実施例においても
同様に適用できるものである。
【0033】第1導電型半導体基板31はn−GaAs
からなり、そのキャリア濃度は2×1018cm-3〜4×
1018cm-3である。これは、低濃度では欠陥密度の低
い物が得られないこと、高濃度では基板31上に形成す
るInGaAlPからなる層を良好に形成できないこと
による。また、その厚さは50〜450μmである。こ
れは、薄膜ではウェハでの取扱いが難しいこと、基板と
その上に形成する層のわずかな格子定数の違いで反りを
生ずること等が問題となり、厚膜ではペレット状にする
ことが困難になることによる。
【0034】n−GaAs基板31の面方位は(10
0)又は(100)から25度の範囲で傾斜している。
これは、傾斜の方向,角度により同じ波長を得るための
活性層36の組成が異なること、また欠陥密度が異なる
ことなどにより、結晶性が変化し、発光効率に影響を与
えるためである。図6は、基板表面の傾斜角度と590
nmの発光を得るためのAl組成xとの関係を示す特性
図であり、この図から傾斜角度が[011]方向に7度
以上となると、Al組成xを0.3と小さくできること
が判る。
【0035】図7は、[011]方向に傾斜した角度と
フォトルミネッセンスの半値幅との関係を示す特性図で
ある。この図から、傾斜角度が10度〜20度で最も小
さい半値幅が得られる。従って、基板31の望ましい面
方位としては、(100)から[011]方向へ、7度
〜25度傾斜させた場合であり、特に望ましい面方位と
しては、(100)から[011]方向へ、10度〜2
0度傾斜させた場合であった。
【0036】バッファ層32は、基板表面の汚染などに
よる欠陥の発生、発光層への伝達を防止するためのもの
であり、例えばn−GaAsを用いる。そのキャリア濃
度は4×1017cm-3で、厚さは0.6μmである。こ
の場合、上記の目的を満たす材料であればn−GaAs
でなくともかまわず、例えば、n−InGaP,n−G
aAlAs,n−InGaAlP,或いはn−GaAs
を含めた、これらの材料による超格子構造(原子層オー
ダーから100原子層オーダー周期でトータル厚さ10
0nm程度)などでもよい。また、発光層への悪影響が
なければ、特にバッファ層32を設けなくてもよい。
【0037】反射層33は、発光波長に対し光吸収体と
なる基板31やバッファ層32に光が達しないように、
発光を基板31と反対方向へ反射することを目的とした
ものである。これには、発光波長λに対して屈折率ηの
異なる2種類の半導体層を、λ/(4n)の厚さで積層
することが望ましい。
【0038】例えば、590nmの発光波長に対し、n
−GaAs(η=3.94;厚さが37.5nm)、n
−Ga0.3 Al0.7 As(η=3.425;厚さ43n
m)を交互に20層以上積層することで、基板側へ向か
う光の約30%を、基板等の吸収体に到達する前に反射
することができ、高い発光効率が得られる。このときの
ドーピング量は、通電の際に大きな電圧降下による動作
電圧上昇が起きないように設定されていればよく、ここ
では4×1017cm-3とした。この際、反射層33中の
n−GaAsは発光波長に対して吸収体であるが屈折率
の効果による反射の効果は十分ある。
【0039】この他にも、n−InGaAlP,n−I
nAlP,n−InGaP,n−InGaAsP,n−
GaAlAs,n−GaAs等の材料、及びその組成の
違いの組み合わせにより、同様に反射層を構成すること
によって、高い発光効率が得られる。なお、基板側での
光吸収が発光効率に対し、大きなデメリットとならない
場合は、反射層33を設けなくてもよい。
【0040】透明バッファ層34は、発光波長に対し吸
収係数の十分小さい透明な材料からなり、側面からの発
光を有効に取り出すことに寄与する。これは、図8に示
すように、透明バッファ層34が十分厚い場合、基板側
へ向かう発光や、基板と反対側へ発せられペレット表面
での全反射によって再び基板方向へ進む光に対し、これ
らの光が基板等の光吸収体に到達するまえに、ペレット
の側面から放出できる割合が高くなることによる。
【0041】例えば、ペレットの大きさを300μm
角、発光波長を590nmとする時、n−Ga0.3 Al
0.7 As透明バッファ層34を厚さ30μm設けること
によって、側面から取り出せる光の増加により、30%
程度高い発光効率が得られる。これは、透明バッファ層
34の厚さと同程度の距離の範囲で、ペレット側面近傍
での発光が有効に取り出せていることによると考えられ
る。
【0042】透明バッファ層34のドーピング量は、通
電の際に大きな電圧降下による動作電圧上昇が起きない
ように設定されていればよく、ここでは4×1017cm
-3とした。また、透明バッファ層34の厚さは、ペレッ
トのサイズに対し、発光が有効に取り出せるペレット側
面近傍の領域が有意に大きいことが必要であり、ペレッ
トサイズの5%程度以上であることが目安となる。
【0043】例えば300μm角のチップでは、図9に
示すように、透明バッファ層34の厚さを15μm程度
以上とすれば、十分な発光効率の向上が認められた。こ
のとき、透明バッファ層34の厚さが厚いほど、高い発
光効率が得られるが、100μm以上ではウエハの反り
により発生する欠陥,面内分布等により発光効率は低下
する。
【0044】透明バッファ層34と反射層33を組み合
わせることによって、図10に示すように、反射層33
とペレット表面での全反射をジグザク状に繰り返し、側
面に放出される光を有効に取り出せる様になるのは言う
までもない。また、このような効果は透明バッファ層3
4を2種類以上の屈折率の異なる材料,組成による層構
造とすることによっても得られる。この場合、屈折率の
低い層を基板側とすることが重要である。
【0045】ここでは、透明バッファ層34としてn−
GaAlAsを用いたが、この他にも、n−InGaA
lP,n−InAlP等の発光波長に対し透明な材料で
も同様な効果があることは言うまでもない。また、反射
層33は透明バッファ層34中にあってもかまわない。
なお、基板側での光吸収が発光効率に対し、大きなデメ
リットとならない場合は、透明バッファ層34を設けな
くてもよい。
【0046】下部クラッド層35は、活性層36に注入
されたキャリアを活性層36内に閉じ込めることにより
高い発光効率を得るためのものである。即ち、活性層3
6の導電型がn型でキャリア濃度が注入キャリア密度よ
り小さい場合(少数キャリアが正孔の場合)、活性層3
6の導電型がp型でキャリア濃度が注入キャリア密度よ
り小さい場合(少数キャリアが電子の場合)、或いは注
入キャリア密度が活性層36のキャリア濃度に比べ高い
場合(いわゆるダブルインジェクション状態の場合)、
いずれの場合においても活性層36に注入されたキャリ
アを、下部クラッド層35へ拡散するのを抑える効果が
ある。この場合、下部クラッド層35は活性層36より
もエネルギーギャップが大きいことが必要となる。
【0047】ここでは、下部クラッド層35として、n
−In1-Y (Ga1-X AlX Y Pの組成表記(x,
y)において、x=0.7,y=0.5とした。これ
は、活性層36の発光波長を555nmまでに短波長化
した場合でも、十分なキャリア閉じ込め効果が得られる
エネルギーギャップが得られるからである。また、Ga
As基板31に格子定数が一致するため良好な結晶が得
られるからである。このようなクラッド層の組成範囲
は、上記の組成表記において0.6≦x≦1であった。
これは、n−InGaAlPがほぼ間接遷移型のエネル
ギーギャップを有する範囲である。この領域でのエネル
ギーギャップは、組成xと共に増加するため、xの大き
な組成でのキャリア閉じ込め効果は大きい。
【0048】また、InGaAlP系材料では、原子配
列の秩序構造の形成が起こり易く、これによって、同じ
組成であってもエネルギーギャップが変化する。全く秩
序構造のないランダムな状態でのエネルギーギャップ
が、同じ組成での最大のエネルギーギャップを与える。
秩序構造のない場合がキャリア閉じ込めのためには有利
である。このような無秩序構造は、基板31において前
述の傾斜した方位を用いることで容易に形成することが
できた。
【0049】一方、下部クラッド層35のキャリア濃度
は1×1017cm-3とした。図11に、nクラッド層3
5のキャリア濃度と発光効率との関係を示す。この図に
示すように、発光効率の観点から、望ましいキャリア濃
度の範囲は1×1016cm-3から7×1017cm-3であ
った。これは、上部クラッド層37,電流拡散層38等
との抵抗率との関係から、電極41によって光取り出し
ができない電極直下以外へ電流を広げる上で、その抵抗
率を高く、ひいてはキャリア濃度を低く設定することが
望ましいこと。さらに、InGaAlP中にSi,Se
等のドーパントが、その濃度に従って深いレベルを形成
し、活性層36に注入されたキャリアが活性層近傍のn
−InGaAlP下部クラッド層35にあるこれらのレ
ベルを介して非発光再結合すること等がその理由と考え
られた。
【0050】望ましいキャリア濃度の下限は、通電の際
に大きな電圧降下による動作電圧上昇が起きないために
必要な最低の濃度であり、その上限は非発光再結合が増
加することから決まったものである。また、特に望まし
いキャリア濃度の範囲は1×1016cm-3から2×10
17cm-3であった。この場合の上限は、低抵抗化により
電流広がり効果が小さくなることによると考えられた。
【0051】下部クラッド層35とバッファ層32又は
反射層33を直接接合させる場合には、n−InGaA
lPとn−GaAsなどとのヘテロ接合が形成される。
このとき、エネルギーギャップの小さいGaAs側から
電子を注入する場合、ヘテロ接合による障壁を乗り越え
るための過剰な電圧降下を必要とした。このため、電流
はこの界面をペレット全体に均一に流れることで電流密
度を減らし、電圧降下を防ぐように流れ、結果的に大き
な電流広がりを得ることができた。これは、n−InG
aAlPのキャリア濃度に大きく依存し、1×1017
-3以下で顕著であった。
【0052】下部クラッド層35の厚さは1μmとし
た。これは、活性層36に注入されたキャリアを、下部
クラッド層35へ拡散するのを抑える効果を持たせるた
めに、0.5μm程度以上必要なこと、電流広がりの効
果を与えるのに必要に厚さが2μm以下程度であること
により決まったものである。また、下部クラッド層35
は透明バッファ層34と同じ材料,組成であってもかま
わない。即ち、n−GaAlAsなどでもかまわない。
また、シングルヘテロ構造やホモ接合構造などで、活性
層に注入されたキャリアを、基板側へ拡散するのを抑え
なくても発光効率に対し大きなデメリットとならない場
合は、下部クラッド層35を設けなくてもよい。
【0053】活性層36はIn1-Y (Ga1-X AlX
Y Pからなり、その組成x,y及び上記秩序構造の状態
によってエネルギーギャップが決まり、注入されたキャ
リアが発光再結合する時、エネルギーギャップに対応し
た波長で発光する。前記図4に示すように、Al組成x
を増すと共に発光波長は短波長化し、それに伴って発光
効率の低下がみられた。これは、Al組成の増加と共
に、直接遷移型のエネルギーギャップと間接遷移型のエ
ネルギーギャップの差が小さくなること、特にn型にお
いて深いレベルの発生が顕著になること、良好な結晶を
得難くなること等によると考えられる。
【0054】これらを回避する方法として、いくつかの
方法が考えられる。同じ波長を得るのに、なるべくAl
組成の低い組成で実現する方法として、活性層36を無
秩序構造とする方法がある。このような無秩序構造は、
基板31において前述の傾斜した方位を用いることで容
易に形成することができた。また、多重量子井戸構造
(MQW)を採用することによって、エネルギーレベル
の量子化により、Al組成の小さい層を発光層となる井
戸層に用いても、短波長化が可能であった。
【0055】例えば、組成(x,y)=(0.3,0.
5)を井戸層、(0.7,0.5)を障壁層とし、それ
ぞれの厚さを2.5〜5nmとし、10周期から100
周期程度設けたものを活性層とすることにより、図12
に示すように、(0.4,0.5)〜(0.5,0.
5)の組成のバルクからなる活性層と同等の波長(57
5〜555nm)が得られた。
【0056】また、GaAsとの格子整合の枠を外すこ
と、即ち、活性層InGaAlPの格子定数をGaAs
より小さくすることで、Alの組成を減らすことができ
る。また、逆に活性層InGaAlPの格子定数をGa
Asより大きくすることで、直接遷移型のエネルギーギ
ャップと間接遷移型のエネルギーギャップの差を大きく
することができる。いずれも、効果が顕著になるのは
0.5%程度の格子不整合度以上であり、上限は転移の
発生による非発光再結合の増加による。このような転移
の発生は厚さに依存しており、0.3μm程度では1%
程度に限界が現れた。
【0057】これを回避する方法として、上記MQW構
造からなる活性層の井戸層として格子定数をずらした層
を用いる方法が有効であった。井戸層の厚さは非常に薄
いため、図13に示すように転移発生の限界を与える格
子不整合度は3%程度以上であり、非常に広い組成範囲
を使うことができた。なお、活性層36の導電型は先の
実施例と同様に、5×1016cm-3以下のn型、或いは
1×1017cm-3以下のp型(図2を参照)とすること
で高い発光効率が得られた。また、活性層36の厚さも
先の実施例と同様に、ペレットサイズ300μm角のも
ので、0.15μmから0.75μm(図3を参照)で
高い発光効率が得られた。
【0058】上部クラッド層37は、下部クラッド層3
5と同様、活性層36に注入されたキャリアを活性層3
6内に閉じこめることにより高い発光効率を得るための
ものである。即ち、少数キャリアが正孔の場合、少数キ
ャリアが電子の場合、或いはダブルインジェクション状
態の場合、いずれの場合においても活性層36に注入さ
れたキャリアを、上部クラッド層37へ拡散するのを抑
える効果がある。この場合、上部クラッド層37は活性
層36よりもエネルギーギャップが大きいことが必要と
なる。
【0059】ここでは、p−In1-Y (Ga1-X
X Y Pの組成表記(x,y)において、x=0.
7,y=0.5とした。これは、活性層36の発光波長
を555nmまでに短波長化した場合でも、十分なキャ
リア閉じ込め効果が得られるエネルギーギャップが得ら
れるからである。また、GaAs基板格子定数が一致す
るため良好な結晶が得られるからである。このような、
pクラッド層37の組成範囲は、図14に示すように、
上記の組成表記において0.6≦x≦1であった。これ
は、p−InGaAlPがほぼ間接遷移型のエネルギー
ギャップを有する範囲である。この領域でのエネルギー
ギャップは、組成xと共に増加するため、xの大きな組
成でのキャリア閉じ込め効果は大きい。
【0060】また、InGaAlP系材料では、原子配
列の秩序構造の形成が起こり易く、これによって、同じ
組成であってもエネルギーギャップが変化する。全く秩
序構造のないランダムな状態でのエネルギーギャップ
が、同じ組成での最大のエネルギーギャップを与える。
秩序構造のない場合が、キャリア閉じ込めのためには有
利である。このような無秩序構造は、基板31において
前述の傾斜した方位を用いること、さらに十分高いドー
ピングを行うことで、容易に形成することができた。
【0061】一方、上部クラッド層37のキャリア濃度
は7×1017cm-3とした。図15にpクラッド層37
のキャリア濃度と発光効率との関係を示す。この図に示
すように、発光効率の観点から、望ましいキャリアの濃
度の範囲は5×1017cm-3から2×1018cm-3であ
った。これは、下部クラッド層35,電流拡散層38等
との抵抗率との関係から、電極41によって光取り出し
ができない電極直下以外へ電流を広げる上で、その抵抗
率を低く、ひいてはキャリア濃度を高く設定することが
望ましいこと、5×1017cm-3以上の高いドーピング
をすることで、無秩序構造が容易に形成でき、エネルギ
ーギャップを大きくすることができるため、キャリア閉
じ込めが有効に行えるためである。
【0062】上部クラッド層37の厚さは1μmとし
た。これは、活性層36に注入されたキャリアを、上部
クラッド層37へ拡散するのを抑える効果を持たせるた
めに、0.5μm程度以上必要なこと、電流広がりの効
果を与えるのに必要な厚さが2μm以下程度であること
により決まったものである。また、上部クラッド層37
は電流拡散層38などと同じ材料、組成であってもかま
わない。即ち、p−GaAlAsなどでもかまわない。
また、シングルヘテロ構造やホモ接合構造などで、活性
層に注入されたキャリアを、基板側と反対側へ拡散する
のを抑えなくても、発光効率に対し大きなデメリットと
ならない場合は、上部クラッド層を設けなくてもよい。
【0063】電流拡散層38は、電極41によって光取
り出しができない電極直下以外へ電流を広げるためのも
のである。電流拡散層38は発光波長に対し、吸収係数
の十分小さい透明な材料からなる。例えばペレットの大
きさを300μm角、電極を直径150μm程度の円形
とし、発光波長を590nmとするとき、キャリア濃度
3×1018cm-3のp−Ga0.3Al0.7 Asを厚さ1
5μm設けることによって、電流の広がりはチップ全体
に渡り、これを設けない場合の約30倍程度高い発光効
率が得られた。
【0064】電流拡散層38の厚さは、電流の広がりを
大きくできるほど望ましい。有効な電流広がり効果が得
られるのは、図16に示すように、5μm以上の厚さで
あった。一方、30μm以上の厚さになると、電流広が
りの効果が飽和すると共に、長時間の成長による活性層
36への上部クラッド層37などからの不純物拡散など
による発光効率の低下などが起こることにより、むしろ
素子としての発光効率は低下した。
【0065】電流拡散層38のキャリア濃度は、図17
に示すように、電流広りを十分に得るために5×1017
cm-3以上であることが望ましい。一方、5×1018
-3以上にドーピングすると、電流広がりは十分である
ものの、発光波長に対する吸収が大きくなり、結局素子
としての発光効率は低下した。
【0066】電流拡散層38のAl組成xは、発光波長
に対し吸収係数が100cm-1程度以下で、なるべく低
い方が望ましい。このとき、図18に示すように、p−
Ga1-X AlX Asの組成xは大きいほど、ある波長で
の吸収係数は小さくなる。InGaAlPによる発光波
長の領域に対しては、xは0.6以上であることが望ま
しい。一方、xの大きなGaAlAsでは結晶性のよい
ものが得にくく、吸収係数はむしろ増加した。このた
め、xは0.8以下であることが望ましかった。
【0067】電流拡散層38と上部クラッド層37の接
合では、p−InGaAlPとp−GaAlAsなどと
のヘテロ接合が形成される、このとき、エネルギーギャ
ップの小さいp−GaAlAs側から正孔を注入する場
合、ヘテロ接合による障壁を乗り越えるための過剰な電
圧降下を必要とした。このため、電流はこの界面をペレ
ット全体に均一に流れることで電流密度を減らし、電圧
降下を防ぐように流れ結果的に大きな電流広がりを得る
ことができた。これは、p−InGaAlPのキャリア
濃度に大きく依存し、1×1018cm-3以下で顕著であ
った。
【0068】ここでは、電流拡散層38としてp−Ga
AlAsを用いたが、この他にも、p−InGaAl
P,p−InAlPなどの発光波長に対し透明な材料で
も同様な効果があることは言うまでもない。また、電流
拡散層38を設けないことで、発光効率に対し、大きな
デメリットとならない場合は、電流拡散層38を設けな
くてもよい。
【0069】コンタクト層39は、電極41に対するオ
ーミック接触を容易にとるための層であり、例えばp−
GaAsを用いた。具体的には、図19に示すように電
流拡散層38上にp−GaAs層39を成長形成した
後、上部電極41を形成し、レジスト44をマスクに電
極41及びp−GaAs層39を選択エッチングし、最
終的にレジスト44を除去することにより形成した。
【0070】コンタクト層39の濃度は、容易にコンタ
クト抵抗を十分低くするために1×1018cm-3以上で
あることが望ましい。またその厚さは、50nm以上で
あることが再現のよいコンタクトをとるために重要であ
った。コンタクト層39は必ずしも発光波長に対し透明
である必要はない。これは、電極以外の部分を選択的に
除去することで、吸収の効果を回避することができるか
らである。この場合、電極形成時のアロイ化などで生ず
るダメージ部分を同時に除去できるというメリットもあ
る。
【0071】なお、この場合に、コンタクト層39が厚
いと、除去プロセスにおいて、電極41の端部のコンタ
クト層が無くなり、電極41がはがれ易くなるなどのこ
とが起こるため、コンタクト層39の厚さは150nm
程度以下であることが望ましい。また、コンタクト層3
9は十分に薄ければ、吸収を小さくすることができるの
で、必ずしも電極以外の部分で除去する必要はない。
【0072】ここでは、コンタクト層39としてp−G
aAsを用いたが、この他にも、p−InGaP,p−
InGaAlP,p−GaAlAsなどを用いてもよ
い。また、コンタクト層39を特に設けないで、電流拡
散層などに直接電極を形成してもかまわない。
【0073】上部電極41はAuZn/Auからなり、
ペレットに電流注入を行うと共に、ワイヤボンディング
のためのパッドとなる。電極41はペレット全体に電流
を広げるのに有効である、発光を遮断しないようにする
ことが重要である。
【0074】電流阻止層は40は、電極41によって光
取り出しができない電極直下以外へ電流を広げるための
ものである。即ち、電極41の直下の一部又は全部に電
流注入を妨げる働きをする層を挿入することで、電極直
下への無効な電流注入を回避するものである。電流阻止
層40は、電極41と活性層36の間にあればよい。例
えば、前記図5に示すように上部クラッド層37と電流
拡散層38との間、また図20(a)に示すように電流
拡散層38の内部、電流拡散層38とコンタクト39と
の間、さらに図20(b)に示すようにコンタクト層3
9と電極41との間いずれでもかまわない。このとき、
電流阻止層40の直下へ回り込む電流を低減するために
は、なるべく活性層36に近い位置にあることが望まし
い。
【0075】電流阻止層40としては、上部クラッド層
37と反対の導電型を持つ半導体、例えばn−GaA
s,n−GaAlAs,n−InGaP,n−InAl
P,n−InGaAlPなど、或いは高抵抗の半導体、
例えばGaAs,InGaP,GaAlAs,InGa
AlP,InAlPなどを用いることができる。また、
上部クラッド層37と同じ導電型を持ち、それと接する
層との間にヘテロ接合による障壁を乗り越えるための過
剰な電圧降下を必要とする構造をもつ半導体層、例えば
p−GaAs/p−InGaAlP,p−GaAs/p
−InAlP,p−GaAlAs/p−InGaAl
P,p−GaAlAs/p−InAlPなど或いは絶縁
物、例えばSiO2 ,Al2 3 ,Si3 4 などであ
れば使用することが可能である。
【0076】電流阻止層40を発光波長に対して透明な
材料とすることで、発光をより有効に取り出すことがで
きる。即ち、電極41の直下を含む領域に発光波長に対
し透明な電流阻止層40を設けることによって電極直下
への無効電流を減らし、また電流阻止層40の直下へ回
り込んだ電流による発光を吸収の影響を受けること無く
外部に取り出すことができる。
【0077】本実施例では例えばペレットの大きさを3
00μm角、電極を直径150μmの円形、発光波長を
590nmとするときn−In1-Y (Ga1-X AlX
Y Pの組成表記(x,y)において、x=0.7,y=
0.5を電流阻止層40として、上部クラッド層37と
電流拡散層38の間に挿入した。電流阻止層40の濃度
は1×1018cm-3、厚さは150nmとした。また、
その形状は電極41を含む180μmの直径とした。こ
のとき、電極41の直下へは電流は殆ど注入されず、こ
こでの発光が電極41に隠されても、発光効率には影響
しなかった。また、電流阻止層40の直下へ回り込んだ
電流による発光は、透明な電流阻止層40を通して外部
に取り出されるため、無効電流にはならなかった。な
お、電流阻止層40は、これを挿入しないことが発光効
率に対し、大きなデメリットにならない場合は、特に設
けなくてもよい。
【0078】上記のように構造を設定し、ペレットの大
きさを300μm角、電極を直径150μmの円形とし
た素子ペレットを、広がり半値幅が8度程度になるよう
に樹脂でモールドし、素子化することによって、In
1-Y (Ga1-X AlX Y P活性層35の組成をx=
0.2,y=0.5とすることにより、発光波長610
nmのオレンジ色の発光(光度10カンデラ)が、x=
0.3、y=0.5とすることによって、発光波長59
0nmの黄色の発光(光度7カンデラ)が、x=0.
4,y=0.5とすることによって、発光波長570n
mの黄緑色の発光(光度3カンデラ)が、x=0.5,
y=0.5とすることによって。発光波長555nmの
緑色の発光(光度1カンデラ)が、それぞれ得られた。
つまり、各層のキャリア濃度及び膜厚の最適化、基板の
面方位に選択等により、短波長の発光でも高い発光効率
を得ることができた。
【0079】上記した第2の実施例では、第1導電型半
導体基板31としてn−GaAsを用いた例を示した。
しかしながら、導電型の異なる、p−GaAsを用いて
もかまわない。このとき、各半導体層の導電型を逆転す
ることが必要である。この場合、各半導体層の厚さに関
しては、n−GaAs基板31を用いた場合と同様の設
定が望ましい。
【0080】一方、キャリア濃度については、電流広が
りや発光効率を考慮すると、その最適値はn−GaAs
基板31の場合と異なる。クラッド層については、n−
GaAs基板31の場合、下部クラッド層35がn−I
nGaAlP、上部クラッド層37がp−InGaAl
Pであったが、p−GaAs基板を用いた場合には、上
部クラッド層がn−InGaAlP、下部クラッド層が
p−InGaAlPとなり、このときのn−InGaA
lP及びp−InGaAlPそれぞれについての設定が
同じであると考えればよい。
【0081】バッファ層32,反射層33,透明バッフ
ァ層34,電流拡散層38,コンタクト層39,電流阻
止層40については導電型を逆転し、キャリア濃度の設
定は同じでよい。活性層36については、基板の導電型
によらず、n−GaAsの場合と同様の設定が望まし
い。
【0082】p型の導電型基板を用いることの利点は、
n型の場合に比べ、電流広がりをより容易に拡大するこ
とができることである。これは、上述の組成域において
p−InGaAlP,p−GaAlAsに比べ、n−I
nGaAlP,n−GaAlAsの方が、同じ組成,キ
ャリア濃度に対し、移動度が大きく、低抵抗率の層が得
易く、これを活性層に対し上部電極側とすることによ
り、電流が広がり易く、発光部を容易に拡大できるため
である。特に、電流拡散層38にn−GaAlAsを用
いた場合、p−GaAlAsを用いた場合の1/2の抵
抗率となるため、図21に示すように、その厚さ(下限
側の厚さ)を1/2にしても、略同等の電流広がり、ひ
いては発光効率が得られた。これは、結晶成長時間の短
縮、ひいては生産性の向上に有効であった。
【0083】また、第1導電型半導体基板31としてn
−GaAs又はp−GaAsを用いた場合、実施例にも
詳述したように発光波長に対し基板は光吸収体として働
く。基板31に吸収された光は、外部に取り出すことが
できないため、活性層36での発光の約1/2は発光効
率に寄与しない。これを取り出す方法として、図22に
示すように、基板31及び発光波長に対し吸収体となる
バッファ層32等を除去することが有効である。
【0084】この場合、ペレットの機械的強度を保持す
るために、透明バッファ層34,電流拡散層38の厚さ
を厚く設定し、基板除去後のウェハ厚さを50μm程度以
上に設定することが重要である。このとき、下部電極4
2は透明バッファ層34に形成される。下部電極42或
いはアセンブリの際にこの下に形成する反射板によっ
て、下部へ出射された光は吸収を受けずに外部に取り出
せる。
【0085】また、ここまでの説明では、第1導電型半
導体基板31としてn−GaAs,p−GaAs及びこ
れを除去した例を示した。この他にも、GaP,ZnS
e,ZnS,Si,Ge等の半導体、及びGaAsを含
めこれらからなる混晶等を基板として用いてもよい。こ
の場合、上述の導電型に対する考え方がそのまま当ては
まり、これらの導電型のn型でもp型でもよい。Ga
P,ZnSe,ZnS,GaAsP,InGaP等を基
板とする場合は、発光波長に対し基板は透明にすること
ができ、上述のように基板を除去する必要がないという
利点がある。
【0086】しかし、これらの場合、GaAsと異な
り、活性層材料と基板の格子整合が取れないことがあ
る。この場合、基板と同じ導電型の格子定数傾斜層を設
けることにより、活性層での転位の発生を抑え、非発光
再結合を低減することが重要である。この場合、格子定
数傾斜層の格子定数は、基板側から活性層側へ向かっ
て、基板の格子定数から活性層の格子定数へ徐々に変化
させる。このとき、格子定数傾斜層の材料はInGaA
lP等の、発光波長に対し透明なものが望ましい。活性
層の格子定数をGaAsと同等とするとき、透明バッフ
ァ層としてGaAlAsを格子定数傾斜層上に形成する
ことで、活性層と同等の格子定数を持つ層を形成するこ
とになり、転位の低減にも有効である。この場合の構成
を図23に示す。図中51が透明基板、52が格子定数
傾斜層を示している。
【0087】Si,Geは発光波長に対し不透明である
ものの、良質で基板結晶を得ることができるため、量産
性,生産性の観点から望ましい基板結晶である。Siの
場合は、活性層材料と基板の格子整合が取れない。基板
と同じ導電型の格子定数傾斜層を設けることにより、活
性層での転位の発生を抑え、非発光再結合を低減するこ
とが重要である。この場合、格子定数傾斜層の格子定数
は、基板側から活性層側へ向かって、基板の格子定数か
ら活性層の格子定数へ徐々に変化させる。このとき、こ
の格子定数傾斜層の材料は、GaP,AlP,GaA
s,InP等による混晶、或いは超格子を用いる。Ge
の場合、格子整合に問題はない。
【0088】いずれの場合においても、透明バッファ層
としてGaAlAsを形成することで、転位の低減にも
有効である。また、これらの基板は、GaAsの場合と
同様に、結晶成長後に基板を除去することが有効であ
る。
【0089】これらn−GaAs以外の結晶を基板に用
いた場合でも、電流拡散層等による電流の広がりの効
果、電流阻止層による無効電流低減の効果、活性層,ク
ラッド層等のキャリア濃度,厚さ,無秩序化の程度等の
発光効率へ与える効果は前述した実施例と同様である。
【0090】図24は、本発明の第3の実施例に係わる
半導体発光ダイオードの素子構造を示す断面図である。
図中61はn−GaAs基板であり、この基板61の主
面は(100)面から[011]方向に15度傾斜して
いる。基板61上に、n−In0.5 (Ga1-X1AlX1
0.5 Pクラッド層62,In0.5 (Ga1-X2AlX2
0.5 P活性層63,p−In0.5 (Ga1-X3AlX3
0.5 Pクラッド層64(Znドープ),p−In0.5
0.5 P中間バンドギャップ層65,p−GaAsコン
タクト層66が順次積層形成されている。そして、コン
タクト層66上にAuZnからなるp側電極67が形成
され、基板61の裏面にAuGeからなるn側電極68
が形成されている。
【0091】図25は、図24に示した発光素子内での
電流分布及び発光領域を示す模式図である。同図に発光
素子内での電流分布72を破線矢印で、また発光領域7
1を節打点でそれぞれ示している。InGaAlP各層
のAl組成は、高い発光効率が得られるように、X2≦
X1,X2≦X3を満たすようにする。例えば、X1=
X3=0.7,X2=0.3とする。
【0092】図24及び図25に示した構造において、
各層の厚さ,キャリア濃度は以下に括弧内で示すように
設定されている。即ち、 n−GaAs基板61(80μm,3×1018cm-3) n−InGaAlPクラッド層62(1μm,5×10
17cm-3) InGaAlP活性層63(0.5μm,アンドープ) p−InGaAlPクラッド層64(2μm,2×10
18cm-3) p−InGaP中間バンドギャップ層65(0.05μm,
1×1018cm-3) である。また、p側電極67は直径200μmの円形と
した。
【0093】本実施例構造が従来構造と異なる点は、素
子構造を積層するGaAs基板61の成長主面を(10
0)面から[011]方向に15度傾斜させた面にした
ことであり、この構造の優位性について以下に説明す
る。
【0094】従来構造、つまりGaAs基板61の成長
主面に(100)面を用いた構造においては、p−In
GaAlPクラッド層64での電流広がりはp−クラッ
ド層64の抵抗率が高いため小さい。p−クラッド層6
4の膜厚を厚くすることにより、電流広がりを大きくす
ることが考えられるが、このInGaAlP材料系は熱
伝導率が悪く膜厚を厚くすることによって結晶構造が低
下し、また上層への悪影響も現われるため好ましくな
い。さらに、InGaAlP系材料は、結晶品質の上か
ら成長速度が制限され、厚膜の成長を行う場合には、成
長時間の延長を行わなければならない。このことは、p
−クラッド層64の不純物として拡散性の高いものを使
用した場合に、活性層63への不純物拡散が起こり、素
子特性の低下を引き起こす。このため、p−InGaA
lPクラッド層64を厚く成長することは難しい。
【0095】また、このInGaAlP系材料において
は、Znをドープした場合、その活性化率が低いため、
高いキャリア濃度を得ることは難しい。これに加えて、
Znは拡散性の高い不純物であり、高濃度ドーピングに
よって活性層63への拡散が起こり、素子特性の低下も
引き起こす原因ともなる。クラッド層62,64は活性
層63とのバンドギャップ差を大きくして、活性層63
への光及びキャリアの閉じ込め行うことが望ましいが、
そのためにはクラッド層63,64のAl組成を大きく
しなければならない。しかし、p−クラッド層64の不
純物としてZnを用いた場合、Al組成が大きくなるほ
どキャリア濃度が低下し、抵抗が大きくなる問題があ
る。故に、従来構造ではGaAs基板61上の素子構造
によっては注入電流を広げることができず、電極直下の
みの発光となり、光の取り出し効率は非常に小さかっ
た。
【0096】これに対し、図24及び図25に示すよう
に、GaAs基板61の成長主面を(100)面から
[011]方向へ5〜15度傾斜させた面とした場合に
は、p−クラッド層64のAl組成が高い場合において
も、Znを高濃度にドーピングすることができ、低抵抗
のp−InGaAlPクラッド層64を形成することが
できる。
【0097】図26に、Al組成0.7の場合のInG
aAlPに対するZnによる飽和ホール濃度と、GaA
s基板の(100)面から[011]方向への傾斜角と
の関係を示す。この図から傾斜角度が大きくなると飽和
ホール濃度が増加し、特に5度以上の傾斜角では1×1
18cm-3以上と十分な飽和ホール濃度が得られ、傾斜
させない基板を用いたものと比べ3倍以上の十分な発光
強度を得られることが判った。
【0098】このため、本実施例の素子構造にすること
によって、電極67から注入された電流を低抵抗のp−
InGaAlPクラッド層64において広域に広げるこ
とができ、図25の電流分布で示すように電極67直下
以外の広域で発光が可能となる。本実施例に用いた(1
00)面から[011]方向へ15度傾斜させたGaA
s成長主面上に作成した素子のp−InGaAlPクラ
ッド層64と、従来の(100)面のGaAs成長主面
に作成した素子のp−InGaAlPクラッド層の同じ
Al組成における上記キャリア濃度のときの抵抗率は、
それぞれ15度傾斜面上では0.2Ω・cm、(10
0)面上では2Ω・cmとなっている。
【0099】また、本実施例と従来例で作成した素子の
活性層64をフォトルミネッセンス(P.L)等により
評価したところ、本実施例で作成した方が発光効率が高
いことが判った。図27に、活性層のAl組成0.3の
場合のPL発光強度と傾斜角度との関係を示す。このよ
うに傾斜角度が大きくなるに伴い、PL発光強度が増加
し、5度以上では3倍以上と十分な発光強度が得られ
た。また、図28にAl組成とPL発光強度依存性の傾
斜角度が0度、即ち(100)面と、15度の場合を示
す。このように傾斜した基板による発光強度増大効果は
広いAl組成において認められた。
【0100】このことからも、本実施例では輝度を高く
することが可能である。加えて(100)面から[01
1]方向へ傾斜したGaAs基板上に成長したInGa
AlP混晶は、自然超格子の発生が抑えられ、そのバン
ドギャップは(100)面上に成長したものよりも大き
くなることが知られている。このバンドギャップ増大効
果により、ある発光波長を得るのにより少ないAl組成
の活性層を用いることが可能となり、短波長領域におい
ての高輝度化を可能にすることができる。
【0101】上述した積層構造でIn0.5 (Ga1-X2
X20.5 P活性層63のAl組成X2に0.3を用い
て素子を構成し、順方向に電圧を印加し電流を流したと
ころ図25に示した電流分布となり、p側電極67を除
いた素子表面広域から600nmにピーク波長を有する
発光が得られた。なお、InGaAlPで構成された発
光部上にZnドープのp−クラッド層内でキャリア濃度
の成長方向への分布を持たせることによって、同様の効
果を得ることができる。
【0102】このように本実施例によれば、GaAs基
板61に成長主面に(100)面から[011]方向へ
15度傾斜した面を用いることによって、発光部InG
aAlP活性層63上のp−InGaAlPクラッド層
64の抵抗率を低下することができ、電極67から注入
された電流をp−クラッド層64で広範囲に広げること
ができ、電極直下以外の領域に発光領域を広げることが
できる。従って、電極周辺からの光の取り出し効率の向
上をはかることができ、これにより高輝度化をはかるこ
とが可能となる。
【0103】図29は、本発明の第4の実施例に係わる
半導体発光ダイオードの素子構造を示す断面図である。
なお、図24と同一部分には同一符号を付して、その詳
しい説明は省略する。
【0104】この実施例が先に説明した第3の実施例と
異なる点は、p−InGaAlPクラッド層を、Al組
成の異なる2層にしたことである。即ち、活性層63と
隣接した第1のp−クラッド層64として、光及びキャ
リアの閉じ込めに必要なAl組成の高いp−In
0.5 (Ga0.3 Al0.7 0.5 P層を形成し、この第1
のp−クラッド層64上に、電流をより拡散させるため
の第2のp−In0.5 (Ga0.6 Al0.4 0.5 Pクラ
ッド層73を形成し、この第2のp−クラッド層73上
に中間バンドギャップ層65及びコンタクト層66が形
成されている。
【0105】第1のp−クラッド層64及び第2のp−
クラッド層73の膜厚及びキャリア濃度はそれぞれ、第
1のp−クラッド層64が1μm,2×1017cm
-3で、第2のp−クラッド層73が3μm,6×1018
cm-3である。他の層構造については、先の第3の実施
例と同様とした。
【0106】本実施例が従来の構造と異なる点は、第1
のp−クラッド層64上にそれよりもAl組成の低い第
2のp−クラッド層73を形成したことである。上記し
たようにZnドープによるp−InGaAlPは、その
キャリア濃度がAl組成に大きく依存しており、Znの
供給量を一定とした場合、Al組成の大きいものほどキ
ャリア濃度が低く、抵抗率が大きくなる。このため、本
実施例のような構成であれば、第1のp−クラッド層6
4(Al組成0.7)よりも第2のp−クラッド層73
(Al組成0.4)の方が抵抗率を小さくすることがで
きる。
【0107】加えて、GaAs基板61の成長主面を
(100)面から[011]方向に15度傾斜した面を
用いると、よりキャリア濃度を高くでき、抵抗率を小さ
くすることができるため、第1のp−クラッド層64と
第2のp−クラッド層73の抵抗率の差をより大きくす
ることができる。このように、p−クラッド層64,7
3内で抵抗率の分布を大きくすることができるため、電
極67から注入された電流を抵抗率の低いp−クラッド
層73で広域に広げることができ、電極直下以外の広域
で発光が可能となる。
【0108】本実施例で用いた第1のp−クラッド層6
4と第2のp−クラッド層73で、上記キャリア濃度に
おける抵抗率はそれぞれ2Ω・cmと0.2Ω・cmと
なっている。このように抵抗率の差が大きいために、電
極から注入された電流は第1のp−クラッド層64に達
する前に第2のp−クラッド層73で広域に広げられ
る。従って、第3の実施例と同様な電流分布となり、p
側電極を除いた素子表面広域から発光を得ることが可能
である。また、本実施例の積層構造で作成した素子から
は第3の実施例と同様に600nmにピーク波長を持つ
発光が得られた。なお、第4の実施例では、第2のp−
クラッド層73の組成はIn0.5 (Ga0.6 Al0.4
0.5 Pとしたが、第1のp−クラッド層64よりAl組
成が低く低抵抗化が可能で、且つ活性層63のバンドギ
ャップエネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギ
ーを有する組成であれば、この組成に限るものではな
い。同じ組成で第2のp−クラッド層73だけキャリア
濃度を高める方法でもよい。また、第2のp−クラッド
層73は1層に限るものではなく、第1のp−クラッド
層64よりAl組成が小さく、且つ活性層63のバンド
ギャップより大きいInGaAlP層であれば、組成の
異なる2層以上積層した構造においても同様の効果が得
られる。さらに、第1のp−クラッド層64から徐々に
Al組成を低減させていった組成傾斜層を形成してもよ
い。
【0109】また、第3,4の実施例においてはGaA
s基板の成長主面を(100)面から[011]方向に
15度傾斜させた面を用いたが、この傾斜角度に限定さ
れるものではなく、上述したように5度以上の傾斜角で
あれば、同様の効果が得られることはいうまでもない。
さらに、活性層を含む発光部の層構造は、ダブルヘテロ
構造に限るものではなく、シングルヘテロ構造やホモ接
合であってもよい。その他、本発明の要旨を逸脱しない
範囲で、種々変形して実施することができる。
【0110】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
半導体基板上に形成され、InGaAlPからなる活性
層を有し、上記半導体基板と反対側の面上の一部に形成
された電極以外の面上から光を取り出す半導体発光ダイ
オードにおいて、InGaAlPからなる活性層を低濃
度のp型とし、かつその厚さを0.25μmから0.7
5μmとすることによって、短波長でも高効率の発光が
可能な半導体発光ダイオードを実現できる。また、基板
の主面を(100)面から[011]方向に5度以上傾
斜させることにより、発光部における電流分布を改善す
ることができ、光取り出し効率及び輝度の向上をはかり
得る半導体発光ダイオードを実現することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係わる半導体発光ダイオード
素子構造を示す断面図、
【図2】キャリア濃度と発光効率との関係を示す特性
図、
【図3】活性層厚さと発光効率との関係を示す特性図、
【図4】波長と発光効率との関係を示す特性図、
【図5】本発明の第2の実施例を説明するためのもの
で、素子構造を示す断面図、
【図6】基板の傾斜角度とAl組成及び半値幅との関係
を示す特性図、
【図7】基板の傾斜角度とAl組成及び半値幅との関係
を示す特性図、
【図8】透明バッファ層の作用を説明するための断面
図、
【図9】透明バッファ層の膜厚と発光効率との関係を示
す特性図、
【図10】透明バッファ層の作用を説明するための断面
図、
【図11】nクラッド層のキャリア濃度と発光効率との
関係を示す特性図、
【図12】井戸層の厚さと波長との関係を示す特性図、
【図13】井戸層の格子不整合と発光効率との関係を示
す特性図、
【図14】クラッド層のAl組成とエネルギーギャップ
との関係を示す特性図、
【図15】クラッド層キャリア濃度と発光効率との関係
を示す特性図、
【図16】電流拡散層の膜厚と発光効率との関係を示す
特性図、
【図17】電流拡散層のキャリア濃度と発光効率との関
係を示す特性図、
【図18】発光波長に対する電流拡散層の吸収係数の関
係を示す特性図、
【図19】上部電極形成工程を示す断面図、
【図20】電流阻止層の形成位置を示す断面図、
【図21】本発明の変形例を説明するためのもので、電
流拡散層の膜厚と発光効率との関係を示す特性図、
【図22】本発明の変形例で、基板を除去した例を示す
素子構造断面図、
【図23】本発明の変形例で、透明基板を用いた例を示
す素子構造断面図、
【図24】第3の実施例に係わる半導体発光ダイオード
の素子構造を示す断面図、
【図25】第3の実施例における素子内での電流分布及
び発光領域を示す模式図、
【図26】傾斜角度とZnの飽和ホール濃度との関係を
示す特性図、
【図27】傾斜角度とPL発光強度との関係を示す特性
図、
【図28】Al組成とPL発光強度との関係を示す特性
図、
【図29】第4の実施例に係わる半導体発光ダイオード
の素子構造を示す断面図、
【図30】従来の半導体発光装置の素子構造を示す断面
図、
【符号の説明】
11,31…n−GaAs基板、12,35…n−In
GaAlPクラッド層、13,36…p−InGaAl
P活性層、14,37…p−InGaAlPクラッド
層、15,38…p−GaAlAs電流拡散層、16,
39…p−GaAsコンタクト層、17,41…p側電
極、18,42…n側電極、32…n−GaAsバッフ
ァ層、33…反射層、34…n−GaAlAs透明バッ
ファ層、40…n−GaAs電流阻止層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波多腰 玄一 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内 (72)発明者 西川 幸江 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内 (72)発明者 鈴木 真理子 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内 (72)発明者 板谷 和彦 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内 (56)参考文献 特開 平1−187992(JP,A) 特開 昭60−98689(JP,A) 特開 昭59−23578(JP,A) 特開 昭50−19382(JP,A) Japanese Journal of Applied Physics (1984),Vol.23,No.9,p p.L746−748

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】InGaAlP材料からなる活性層をIn
    GaAlP材料からなるクラッド層で挟んだダブルヘテ
    ロ構造部と、このダブルヘテロ構造部上の一部に形成さ
    れた第1の電極と、前記ダブルヘテロ構造部の第1の電
    極と反対側面に形成された第2の電極とを具備し、少な
    くとも第1の電極側から光を取り出す半導体発光ダイオ
    ードであって、 前記活性層はキャリア濃度1×1017cm-3以下のp型
    であり、前記活性層の厚さを0.15〜0.75μmの
    範囲に設定し、 前記ダブルヘテロ構造部を構成するクラッド層のうち、
    p型クラッド層のキャリア濃度を5×10 17 cm -3 〜2
    ×10 18 cm -3 の範囲に設定してなる ことを特徴とする
    半導体発光ダイオード。
  2. 【請求項2】前記ダブルヘテロ構造部を構成するクラッ
    ド層のうち、n型クラッド層のキャリア濃度を1×10
    16cm-3〜7×1017cm-3の範囲に設定してなること
    を特徴とする請求項記載の半導体発光ダイオード。
  3. 【請求項3】第2の電極と前記ダブルヘテロ構造部との
    間に、第1の電極側から取り出す前記光の波長に対して
    吸収体となる層を含む反射層を形成してなることを特徴
    とする請求項1又は2記載の半導体発光ダイオード。
  4. 【請求項4】前記活性層を、Al組成の異なるInGa
    AlP材料からなる井戸層と障壁層により構成される多
    重量子井戸構造としたことを特徴とする請求項1〜3
    何れかに記載の半導体発光ダイオード。
  5. 【請求項5】前記ダブルへテロ構造部と第1の電極との
    間にGaAlAsからなる電流拡散層が形成され、この
    電流拡散層の膜厚を5〜30μmの範囲に設定し、且つ
    キャリア濃度を5×1017cm-3〜5×1018cm-3
    範囲に設定してなることを特徴とする請求項1〜4の何
    れかに記載の半導体発光ダイオード。
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