JP4763153B2 - 半導体発光素子 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、InGaAlP系の4元系化合物半導体からなり、黄色から緑色の赤色より短い波長の光を発光させる半導体発光素子に関する。さらに詳しくは、活性層に効率良くキャリアを蓄えながら、クラッド層の電気抵抗を下げることにより、一定の入力に対して取り出す光の割合を大きくすることができる発光特性の優れた半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の赤色系の半導体発光素子は、たとえば図5に示されるような構造になっている。すなわち、図5において、n型GaAsからなる半導体基板21上に、たとえばn型のInGaAlP系の半導体材料からなるn型クラッド層22、クラッド層よりバンドギャップが小さくなる組成のInGaAlP系の半導体材料からなる活性層23、p型のInGaAlP系の半導体材料からなるp型クラッド層24がそれぞれエピタキシャル成長され、ダブルヘテロ構造の発光層形成部31が形成されている。このp型クラッド層24は、たとえば国際公開公報WO97/45881号公報に示されているように、少なくとも活性層23側のキャリア濃度を小さくすることが、活性層23へのドーパント拡散を防止して発光効率向上に寄与することが知られている。
【0003】
さらにその表面にAlGaAs系化合物半導体(たとえばAlの混晶比率0.7)からなるp型のウインドウ層(電流拡散層)25が設けられ、その上にウインドウ層25よりAlの混晶比率の小さいAlGaAs系化合物半導体(たとえばAlの混晶比率0.5)からなる保護層26が設けられている。そして、その表面の中央部にGaAsからなるコンタクト層27を介してp側電極28および半導体基板の裏面にn側電極29が形成されている。この保護層26は、Alの混晶比率の大きいAlGaAs系化合物半導体が表面に露出していると、外部からの水分などによりAlが腐食しやすく、信頼性が低下するため、それを防止するために設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
赤色から橙色程度の発光色に対しては、前述のようにInGaAlP系の4元系化合物半導体により発光層形成部が構成され、緑色系にはGaP系化合物半導体が用いられていた。しかし、GaP系化合物半導体は結晶性が劣り、結晶性の優れたInGaAlP系の4元系化合物半導体を用いることが現在検討されている。しかし、黄色から緑色系で発光させるためには、活性層のバンドギャップを大きくする必要があり、前述のInGaAlP系化合物において、活性層のGaの混晶比率を、赤色の0.8〜1から0.55〜0.8程度にしなければならない。このように、活性層のバンドギャップが大きくなると、その活性層をサンドイッチするクラッド層のInGaAlP系化合物におけるGaの混晶比率が、従来の赤色系の場合における0.3〜0.5程度では、充分にキャリアを活性層に閉じ込めることができず、発光効率が低下しやすいという問題がある。しかし、クラッド層のバンドギャップを大きくするため、Gaの混晶比を0.3より小さくすると、ドーパントを採り込み難くなり、キャリア濃度を充分に上げることができず、電極間の直列抵抗が増大し、同じ入力に対する出力、すなわち発光効率が低下するという問題がある。
【0005】
また、黄色から緑色の短波長の発光素子では、表面に設けられる保護層として用いる、Alの混晶比が0.5程度のAlGaAs系化合物半導体では、発光する光を吸収し、さらに発光効率が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、InGaAlP系の4元系化合物半導体を用いて黄色から緑色のような波長の短い光を発光する場合でも、効率良く発光させると共に発光する光を吸収させないことにより、発光特性の優れた半導体発光素子を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、半導体積層部の露出面に短い波長の光に対しても吸収せず、かつ、信頼性の高い保護層を設けることにより、外部微分量子効率を高くしながら信頼性の高い半導体発光素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、InGaAlP系化合物半導体を用いて黄色や緑色などの波長の短い光を発光させる場合に、赤色などに比べて発光効率が低下しないようにするため鋭意検討を重ねた結果、活性層とクラッド層との間のバンドギャップ差が小さくなり、充分にキャリアを活性層に閉じ込めることができず、また、クラッド層にInAlPなどのバンドギャップの大きい材料を用いるとp型クラッド層のキャリア濃度を充分にあげるこができず、内部微分量子効率が低下することに原因があることを見出した。そして、p型クラッド層の活性層側の一部のみにGaの混晶割合が0または非常に小さいInGaAlP系化合物半導体を用いることにより、キャリアの閉込めが充分に行われ、かつ抵抗損も殆ど生じないで良好な発光特性が得られることを見出した。ここにInGaAlP系化合物半導体とは、In0.49(GaaAl1-a)0.51Pで表わされるaが0から1まで変化し得る化合物で、GaAsとほぼ格子整合し得る化合物半導体を意味する。
【0009】
本発明による半導体発光素子は、GaAsからなる半導体基板と、該半導体基板の上に設けられ、該半導体基板と格子整合する材料であるIn0.49(GaaAl1-a)0.51P(0≦a≦1)からなり、活性層を該活性層よりバンドギャップの大きいn型クラッド層およびp型クラッド層により挟持して、赤色より波長の短いの光を発光する発光層形成部と、該発光層形成部上に設けられるウインドウ層とからなり、前記p型クラッド層の前記活性層側の第1層が、0.05〜0.2μm厚でIn0.49(GaxAl1-x)0.51P(0≦x≦0.15)からなり、残部の第2層がIn0.49(GayAl1-y)0.51P(0.2≦y≦1)からなり、前記第1層のバンドギャップが前記第2層のバンドギャップより大きくなるように形成されている。
【0010】
この構造にすることにより、p型クラッド層の活性層側にGaの混晶比が0か殆ど0に近いバンドギャップの大きいIn0.49(GaxAl1-x)0.51P(0≦x≦0.15)半導体層が設けられているため、キャリアを活性層に充分に閉じ込めることができる。しかも、In0.49(GaxAl1-x)0.51P(0≦x≦0.15)半導体層が設けられる厚さは、0.05〜0.2μmに限定されているため、キャリア濃度を大きくできない半導体材料であることに関しては、殆ど影響を生じない。すなわち、とくにp型クラッド層の活性層側のキャリア濃度が大きいと、製造工程中などにp型クラッド層のドーパントが活性層中に拡散して発光効率が低下することが知られており、従来の赤色系発光素子用にInGaAlP系化合物半導体により製造される場合でも、活性層側のキャリア濃度を低くすることが行われる場合があり、活性層側のキャリア濃度を低くすることはむしろ好ましい。そのため、この層をp型クラッド層厚の1/10以下程度の厚さに抑えることにより、ドーパントの活性層側への拡散防止とキャリア閉込めの効果の両方が得られ、抵抗の増大には殆ど結びつかず、高い発光効率に寄与する。
【0011】
前記ウインドウ層がAlvGa1-vAs(0.5≦v≦0.8)からなり、該ウインドウ層上にAluIn1-uP(0.35≦u≦0.51)からなる保護層が設けられることが好ましい。すなわち、AluIn1-uP(0.35≦u≦0.51)は、AlGaAs系化合物半導体よりバンドギャップが大きく、Alの混晶比が0.35程度になっても緑色程度の光を吸収することなく透過させながら、Alの混晶比が0.51のときに4元系化合物半導体と格子定数を一致させることができる関係にあり、0.35程度になっても、格子定数のズレはそれほど大きくなく、格子不整合の問題は発生しない。その結果、光を全然減衰させることなく、水分などの浸入に対して安定した信頼性の高い半導体発光素子となる。
【0012】
前記活性層が、In0.49(GazAl1-z)0.51P(0.55≦z≦0.8)からなり、赤色より波長の短い発光をする半導体発光素子の場合に、とくに効果が大きい。
【0013】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明による半導体発光素子について、図面を参照しながら説明をする。本発明による半導体発光素子は、図1にその一実施形態の断面説明図が示されるように、半導体基板1の上に、InGaAlP系化合物半導体からなり、活性層4をその活性層4よりバンドギャップの大きいn型クラッド層3およびp型クラッド層5により挟持する発光層形成部11が設けられ、その発光層形成部11上にウインドウ層6が設けられている。このp型クラッド層5が、活性層4側の0.05〜0.2μm厚だけIn0.49(GaxAl1-x)0.51P(0≦x≦0.15)からなる第1層5aと、残部がIn0.49(GayAl1-y)0.51P(0.2≦y≦1)からなる第2層5bとからなっている。
【0014】
発光層形成部11は、たとえばIn0.49(GayAl1-y)0.51P(0.2≦y≦0.5、たとえばy=0.33)からなるn型クラッド層3が0.1〜2μm程度、たとえば570nm程度の発光波長とするIn0.49(GazAl1-z)0.51P(0.55≦z≦0.8、たとえばy=0.74)からなる活性層4が0.1〜2μm程度、In0.49(GaxAl1-x)0.51P(0≦x≦0.15、たとえばx=0)からなるp型クラッド層の第1層5aが0.05〜0.2μm程度と、たとえばIn0.49(GayAl1-y)0.51P(0.2≦y≦0.5、たとえばy=0.33)からなるp型クラッド層の第2層5bが0.1〜2μm程度それぞれ成長されて形成されている。
【0015】
本発明では、図1に示される例のように、p型クラッド層5が、たとえばIn0.49Al0.51Pからなる第1層5aと、たとえばIn0.49(Ga0.33Al0.67)0.51Pからなる第2層5bとからなっていることに特徴がある。すなわち、前述のように、本発明者らは、InGaAlP系化合物半導体を用いて、黄色から緑などの短波長の光を発光させる発光素子の発光効率を向上させるため鋭意検討を重ねた結果、p型クラッド層でのキャリア閉込め効率が低下することに原因があり、一方で、p型クラッド層5の全体をInAlPで構成すると、キャリア濃度を5×1017cm-3より高くすることができず、同様に発光効率を向上させることができなかった。そこで、本発明者らは、p型クラッド層5を活性層4側のIn0.49Al0.51Pからなる第1層5aとウインドウ層6側のIn0.49(Ga0.33Al0.67)0.51Pからなる第2層5bとで構成し、第1層5aの厚さおよびキャリア濃度を種々変更して発光効率の変化を調べた。
【0016】
図2は、第2層5bのキャリア濃度を常に1×1018cm-3程度、厚さを0.5μm程度とし、第1層5aのキャリア濃度を3×1016cm-3程度とし、その厚さを種々変更したときの同じ入力に対する発光強度(任意単位)を調べた結果を示す図である。図2から明らかなように、半導体層のバンドギャップが現れる程度の厚さ、すなわち0.05μm程度形成すれば、発光強度が向上し、0.1μm程度までは余り変化しないが、それより厚くするほど発光強度が段々低下する。これは、第1層5aのキャリア濃度が低いため、厚くなりすぎると直列抵抗が増大するためと考えられる。一方、第1層5aの活性層4と反対側のキャリア濃度を上げることを試みたが、前述のように、p型InAlPのキャリア濃度を5×1017cm-3より高くすることができず、図2の結果に対して、それほど改善はされなかった。このキャリア濃度が上がらない原因は、Gaが殆どないため、ドーパントのZnなどを取り込みにくいためと考えられる。
【0017】
一方、たとえば第1層5aを0.1μm程度にして、直接AlGaAsからなるウインドウ層6を設けた結果は、図2にAで示される発光強度となり、同様に好ましくなかった。すなわち、第1層5aの直列抵抗自体は、それ程問題にならない筈であるのに、発光強度が第2層5bを設ける構造より明らかに低下している。これは、第1層5aがInGaAlP系化合物であるのに対して、ウインドウ層6はAlGaAs系化合物と半導体の種類が異なり、完全には格子整合がとれていないため、第1層5aが薄すぎると、完全に応力緩和をすることができず、活性層に応力がかかるためと考えられる。そのため、活性層4やInAlPと格子整合をとることができ、キャリア濃度を大きくすることができるGa混晶比の大きいInGaAlP系化合物からなる第2層5bを設ける必要があることが分る。
【0018】
つぎに、第1層5aの厚さを0.1μm程度として、キャリア濃度を1×1016〜1×1017cm-3の範囲で変化させて、発光強度(任意単位)を調べた。その結果が図3に示されるように、第1層5aの厚さが薄いこともあり、余り発光強度には顕著な変化が見られなかった。また、この第1層5aがキャリア濃度を余り大きくできない材料であることから、第2層5bからのドーパントの拡散も少なく、非常に薄い層でも第2層5bからドーパントが活性層4に拡散して発光効率を低下させるという現象も現れ難い。
【0019】
さらに、第1層5aの厚さを0.1μm程度、キャリア濃度を3×1016cm-3程度とし、第1層5aの材料のIn0.49(GaxAl1-x)0.51PにおけるGaの量を0から増やしたときの発光強度(任意単位)について調べた。その結果を図4に示す。図4から明らかなように、Gaの混晶比が増えるにしたがって、発光強度が低下するが、xが0.15以下、さらに好ましくは0.1以下であれば、0の場合とそれほど大差はなく、充分に発光効率の向上に寄与する。Gaの混晶比が大きくなると、前述のように、バンドギャップが小さくなってキャリアの閉込めが充分に行われないこと、不純物が拡散しやすく、活性層にp型ドーパントが拡散しやすいことなどに起因しているものと考えられる。
【0020】
以上の検討結果から、p型クラッド層5を活性層4側のIn0.49(GaxAl1-x)0.51P(0≦x≦0.15)からなる第1層5aと、In0.49(GayAl1-y)0.51P(0.2≦y≦1)からなる第2層5bとにより構成し、第1層5aの厚さを0.05〜0.2μmにすることにより、InGaAlP系化合物半導体を用いて黄色から緑色の短波長の発光素子を構成する場合でも、発光効率を向上させ得ることを見出した。
【0021】
この発光層形成部11の表面に、たとえばキャリア濃度が1×1018cm-3程度のAlvGa1-vAs(0.5≦v≦0.8)からなるウインドウ層6が1〜10μm程度設けられている。また、ウインドウ層6の表面には、AluIn1-uP(0.35≦u≦0.51)からなる保護層10が0.03〜0.15μm程度設けられ、その上にp側電極8の下側のみにGaAsなどからなるコンタクト層7が設けられ、これらにより半導体積層部12が形成されている。
【0022】
この例では、ウインドウ層6の表面にAluIn1-uPからなる保護層10が設けられている。すなわち、ウインドウ層6がバンドギャップを大きくするため、Alの混晶比率の大きい半導体により形成されている。そのため、水分などの浸入により腐食されやすい。従来赤色系の半導体発光素子において、このウインドウ層上にAlの混晶比率が0.5程度と小さくした保護層が設けられているものはあるが、前述のように、InGaAlP系化合物半導体を用いて緑色などの発光をさせることが検討されており、このような波長の短い発光素子においては、AlGaAsのAlの混晶比率を0.5程度に小さくすると、発光する光を吸収するという問題がある。
【0023】
そのため、AluIn1-uPのAlの混晶比uが0.35以上、0.51以下程度のものを使用している。uが0.35以上であれば570nm程度の波長の光に対しても殆ど発光する光を吸収することがなく(大きくなるほど透明度がよくなる)、また、uが0.51になっても、従来のAlGaAs系化合物半導体を保護層とした場合のAlの混晶比率と同程度で、腐食性は問題にならないからである。さらに、格子定数は0.51のとき4元系のInGaAlP化合物半導体と同程度となり、0.35程度でもそのズレは0.9%程度であり、支障なく使用できる。また、前述のように、AlInPでは余りキャリア濃度を大きくすることができないが、表面保護という観点からは、数十nm程度設けられておれば、保護機能を有し、150nm程度以下であれば、抵抗損の問題は殆ど生じない。
【0024】
p側電極8は、たとえばAu-Be/Ni/Ti/Auなどを全面に設けた後にパターニングすることにより形成されてもよいし、電極が設けられる部分以外にマスクを設けて、全面に電極材料を被膜してからマスクを除去するリフトオフ法により形成されてもよい。また、GaAsからなる半導体基板1の裏面には、全面にAu-Ge/Ni/Auなどがたとえば0.3μm程度の厚さに設けられ、n側電極9が形成されている。
【0025】
本発明の半導体発光素子によれば、p型クラッド層の活性層側に0.05〜0.2μm厚だけIn0.49(GaxAl1-x)0.51P(0≦x≦0.15)からなる第1層5aを設け、残部をIn0.49(GayAl1-y)0.51P(0.2≦y≦1)からなる第2層5bとしているため、キャリアを充分に活性層に閉じ込めながら、クラッド層のキャリア濃度は第2層により殆ど低下することなく、低抵抗を維持することができる。しかも、第1層のIn0.49(GaxAl1-x)0.51P(0≦x≦0.15)は、キャリア濃度を余り上げることができないが、活性層に接する部分には、活性層へのドーパントの拡散防止を図る点からも、キャリア濃度が小さい方がむしろ好ましく、その点からも発光効率向上に寄与している。
【0026】
さらに、ウインドウ層上にAluIn1-uP化合物半導体(以下、AlInP系化合物半導体ともいう)からなる保護層が設けられることにより、たとえばAlの混晶比率uが0.35程度であればAl0.7Ga0.3Asと同程度のバンドギャップとなり、殆ど光を吸収しない。また、Alの混晶比率が0.51より小さくなることにより格子定数のズレが生じるが、そのズレは僅かであり、GaPを設ける場合のように大きな格子不整合は生じない。また、キャリア濃度を余り上げられない点に関しては、その厚さを150nm程度以下に薄くすることにより電圧降下も殆ど生じない。その結果、格子歪みの問題などはなく、しかも結晶性がよく透明な半導体層で水分などにも安定な保護層として機能するため、信頼性を向上させながら発光効率を向上させることができる。
【0027】
一方、MOCVD法により半導体層を成長すると、AlGaAs系化合物半導体層を成長した後、AlInP系化合物半導体層を成長すると、その成長用原料ガスの変更の際にガス中のAsがなくなると成長したAlGaAs系化合物半導体層からAsが抜け、その表面を荒らすという問題があるが、Pを含む層を堆積する直前までAsH3を流すことによりこの問題を解決することができる。
【0028】
つぎに、この半導体発光素子の製法について説明をする。たとえばn型GaAs基板1をMOCVD(有機金属化学気相成長)装置内に入れ、反応ガスのトリエチルガリウム(TEG)またはトリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH3)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMIn)、ホスフィン(PH3)、n型ドーパントとしてのH2Se、p型層形成の場合はp型ドーパントとしてのジメチル亜鉛(DMZn)の必要なガスをそれぞれ導入し、図1に示されるように、In0.49(Ga0.33Al0.67)0.51Pからなるn型クラッド層3を0.3〜1μm程度、ノンドープのIn0.49(Ga0.74Al0.26)0.51Pからなる活性層4を0.4〜1μm程度、たとえばIn0.49Al0.51Pからなるp型クラッド層5の第1層5aを0.05〜0.2μm程度、たとえばIn0.49(Ga0.33Al0.67)0.51Pからなるp型クラッド層5の第2層5bを0.1〜2μm程度、たとえばAl0.7Ga0.3Asからなるp型ウインドウ層6を1〜10μm程度、Al0.35In0.65Pからなる保護層10を0.03〜0.15μm程度、GaAsからなるコンタクト層7を0.2〜1μm程度それぞれ連続的に成長する。
【0029】
なお、p型ウインドウ層6を成長した後に、保護層10を成長する際、前述のように、AlInP系化合物半導体を成長する直前までAsH3を流すことにより、AlGaAs系化合物半導体からなるウインドウ層6のAs抜けを防止し、ウインドウ層6の表面を荒らすことはない。
【0030】
その後、Au-Be/Ni/Ti/Auなどをリフトオフ法、マスク蒸着、または全面に成膜した後にホトリソグラフィ法によるパターニングにより、p側電極8を形成し、さらに半導体基板1の裏面にAu-Ge/Ni/Auなどを全面に設けてn側電極9を形成し、チップ化することにより図1に示されるLEDチップが得られる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の半導体発光素子によれば、InGaAlP系化合物半導体を用いた緑色などの波長の短い発光素子でも、発光効率を高く維持するこができ、高性能な黄色から緑色の半導体発光素子が得られる。しかも、保護層としてAlInP系化合物半導体を用いることにより、これら短波長の光でも吸収することなく、しかも格子定数不整合の問題もなく、光の取出し効率を上げながら、表面の腐食に対して信頼性が非常に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態であるLEDチップの断面説明図である。
【図2】 第1層の厚さを種々変化させたときの発光強度変化を示す図である。
【図3】 第1層のキャリア濃度を種々変化させたときの発光強度変化を示す図である。
【図4】 第1層のIn0.49(GaxAl1-x)0.51Pのxを変えたときの発光強度変化を示す図である。
【図5】 従来のLEDチップの構成例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
3 n型クラッド層
4 活性層
5 p型クラッド層
5a 第1層
5b 第2層
6 ウインドウ層
10 保護層
11 発光層形成部
Claims (6)
- GaAsからなる半導体基板と、該半導体基板の上に設けられ、該半導体基板と格子整合する材料であるIn0.49(GaaAl1-a)0.51P(0≦a≦1)からなり、活性層を該活性層よりバンドギャップの大きいn型クラッド層およびp型クラッド層により挟持して、赤色より波長の短い光を発光する発光層形成部と、該発光層形成部上に設けられるウインドウ層とからなり、前記p型クラッド層の前記活性層側の第1層が、0.05〜0.2μm厚でIn0.49(GaxAl1-x)0.51P(0≦x≦0.15)からなり、残部の第2層がIn0.49(GayAl1-y)0.51P(0.2≦y≦1)からなり、前記第1層のバンドギャップが前記第2層のバンドギャップより大きくなるように形成されてなる半導体発光素子。
- 前記p型クラッド層の前記第1層が、In0.49Al0.51Pである請求項1記載の半導体発光素子。
- 前記ウインドウ層がAlvGa1-vAs(0.5≦v≦0.8)からなり、該ウインドウ層上にAluIn1-uP(0.35≦u≦0.51)からなる保護層が設けられてなる請求項1または2記載の半導体発光素子。
- 前記活性層が、In0.49(GazAl1-z)0.51P(0.55≦z≦0.8)からなる請求項1ないし3のいずれか1項記載の半導体発光素子。
- 前記発光層形成部を含む半導体積層部の表面に前記p型クラッド層と電気的に接続されるようにp側電極が設けられ、該p側電極がAu-Be/Ni/Ti/Auの積層構造である請求項1ないし4のいずれか1項記載の半導体発光素子。
- 前記半導体基板の前記半導体積層部が形成された面と反対面にn側電極が設けられ、該n側電極がAu-Ge/Ni/Auの積層構造である請求項1ないし5のいずれか1項記載の半導体発光素子。
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