JP3810445B2 - トロコイド型オイルポンプ - Google Patents

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    • F04C2/08Rotary-piston machines or pumps of intermeshing-engagement type, i.e. with engagement of co-operating members similar to that of toothed gearing
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、トロコイド型オイルポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の技術としては、実開昭62−175282号公報に示されるものが知られている。これは、円筒状空間を形成する内周面を有するハウジングと、円筒状空間内に回転自在に配設され内歯を有するアウタロータと、内歯と係合する外歯を有しアウタロータ内に回転自在に配設されると共にアウタロータとの間で膨張及び圧縮を繰り返す複数のポンプ室を形成するインナロータと、円筒状空間に連通する吸入ポート及び吐出ポートとを備えたトロコイド型オイルポンプである。ところが、上記したオイルポンプにおいては、最大容積ポンプ室が圧縮行程に移る瞬間には最大容積ポンプ室内の内圧が高圧になり、その内圧によりインナロータの最大容積ポンプ室に対向する部分及びアウタロータの最大容積ポンプ室に対向する部分が最大容積ポンプ室内の容積を増大させる方向に拡がり、その結果、最大容積ポンプ室を区画するアウタロータ内歯とインナロータ外歯との間に隙間が発生して最大容積ポンプ室内の作動油(即ち高圧の作動油)が吸入側(低圧側)に漏れる危険性があり、吐出量が確保され難くなる。このような不具合は特にオイルポンプの高速回転時に生じやすい。
【0003】
そこで、最大容積ポンプ室を区画するアウタロータ内歯とインナロータ外歯との間に発生する隙間を少しでも小さくして最大容積ポンプ室内の作動油の吸入側への漏れを低減する技術としては、実開昭61−179385号公報に示されるものが知られている。これは、膨張過程を終える直前の最大容積ポンプ室に対向するようにハウジングの内周面に油溝を形成し、この油溝と吐出ポートを連通させる連通路をハウジング内部に形成したオイルポンプである。吐出ポートに常時連通する油溝により常時吐出圧がアウターロータの最大容積ポンプ室に対向する外周面に加わるので、最大容積ポンプ室を区画するアウタロータ内歯とインナロータ外歯との間に発生する隙間を小さくすることが可能になる。
【0004】
ところで、通常のオイルポンプにおいてはアウタロータの外周面全域に作動油を潤滑させるためにハウジング内周面に吐出ポートと連通する潤滑溝を形成するのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このオイルポンプであると、前述の潤滑溝とは別にハウジングに連通路を形成しているので、その分加工作業が必要になり面倒である。又、ハウジングの内部に連通路を形成することは非常に困難であるため、加工工数が非常にかかる。
【0006】
故に、本発明は、ハウジングに新たに連通路を形成せずに潤滑溝を介して油溝と吐出ポートとを連通させて新たな加工作業を不要とすることを、その技術的課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために請求項1の発明において講じた具体的は技術的手段(以下第1の技術的手段と称する)は、円筒状空間を形成するハウジングと、円筒状空間内に回転自在に配設され、内歯を有するアウタロータと、内歯と係合する外歯を有し、アウタロータ内に回転自在に配設されると共にアウタロータとの間で膨張及び圧縮を繰り返す複数のポンプ室を形成するインナロータと、円筒状空間に連通する吸入ポート及び吐出ポートと、アウタロータの外周面に対し該アウタロータの軸方向全域にわたって延在するようにハウジングに形成され、アウタロータの外周面全域に作動油を供給する供給部と、膨張過程を終える直前の最大容積ポンプ室に対向するようにハウジングの内周面に形成され、アウタロータ円周方向における一端が最大容積ポンプ室に対向する部分に位置し、他端が供給部に連通するとともに、アウタロータ円周方向に延在するようにハウジングの内周面に形成された溝壁をアウタロータ軸方向両側に有する油溝と、を備えたことを特徴とするトロコイド型オイルポンプとしたことである。
【0008】
上記技術的課題を解決するために請求項2の発明において講じた具体的は技術的手段(以下第2の技術的手段と称する)は、第1の技術的手段において、前記ハウジングは前記円筒状空間を有するスペーサから構成されていることである
【0009】
【作用】
上記第1の技術的手段によれば、ハウジング内周面の最大容積ポンプ室に対向する部分に油溝を形成し且つその油溝を吐出ポートに連通させたので、吐出圧が常時油溝に加えられる。その結果、最大容積ポンプ室が圧縮行程に移る瞬間に最大容積ポンプ室内の内圧が高圧になった場合でも、油溝に加えられる吐出圧によりアウタロータの最大容積ポンプ室に対向する外周面が最大容積ポンプ室内の容積を減少させる方向に押され、最大容積ポンプ室を区画するアウターロータ内歯とインナロータ外歯との間に発生する隙間を極力小さくすることが可能になる。
【0010】
従って、最大容積ポンプ室から吸入側ポンプ室に作動油が漏れるのを抑制でき、吐出量が確保される。
【0011】
又、油溝をオイルポンプとして不可欠である潤滑溝を介して吐出ポートに連通させたので、新たにハウジングに油溝と吐出ポートとを連通させる連通路を形成する必要がなくなる。その結果、連通路を形成するための加工作業が不要となる。
【0012】
上記第2の技術的手段によれば、油溝の溝壁をアウタロータ円周方向に延在させたので、吐出ポートから油溝内に導入された吐出油のポンプ室への漏れを抑制でき、吐出圧を確実にアウタロータ外周面に加えることが可能になる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本実施例に係るトロコイド型オイルポンプの平面図である。
【0015】
図1に示すトロコイド型オイルポンプ10において、エンジン(図示せず)のシリンダブロック(図示せず)にはハウジング11が固定され、ハウジング11は円筒状空間13を有する鉄製のスペーサ12を備えている。円筒状空間13内にはアウタロータ14が回転自在に配設され、アウタロータ14の外周面はスペーサ12の内周面に当接している。アウタロータ14は複数の内歯14aを有しており、アウタロータ14内には複数の内歯14aに係合する複数の外歯15aを有するインナロータ15が回転自在に配設されている。このインナロータ15はハウジング11に軸支される回転軸16により駆動され、インナロータ15の回転中心はアウタロータ14の回転中心に対して偏心している。尚、この回転軸16はエンジンのクランクシャフトでも良い。アウタロータ14とインナロータ15との間には膨張又は圧縮を繰り返す複数のポンプ室17が形成され、その内の1つは容積が最大となる容積最大ポンプ室17aになっている。ハウジング11の円筒状空間13底部に位置する部分には、作動油を導入するための吸入ポート18が形成され、円筒状空間13に連通している。又、ハウジング11の円筒状空間13底部に位置する部分には、作動油を吐出するための吐出ポート19が形成され、円筒状空間13に連通している。尚、最大ポンプ室17aは両ポート18,19に連通していない。従って、吸入ポート18により導入された作動油がポンプ室17の容積変化により吐出ポート19から吐出されるようになっている。
【0016】
図2はスペーサ内周面の拡大斜視図で、図3は図1におけるA−A断面図である。
【0017】
図1及び図2に示されるように、スペーサ12の内周面には吐出ポート19に連通するように潤滑溝(供給部)20が形成され、回転軸16の軸方向に延在している。この潤滑溝20はアウタロータ14の外周面全域に微量の作動油を潤滑させるためのものである。尚、この潤滑溝20はオイルポンプでは一般的に形成されるものである。スペーサ12の内周面には最大容積ポンプ室17aに対向するように油溝21が形成され、潤滑溝20を介して吐出ポート19に連通するようになっている。又、この油溝21の溝壁21aはアウタロータ円周方向に延在しており、油溝21の深さは一定に設定されている。尚、油溝21は両端部から中央部に向かうに伴い深くしても良い。
【0018】
尚、本実施例ではスペーサ12を設けたが、スペーサ12を設けなくても良く、仮にスペーサ12を設けない場合にはハウジング11の内周面に直接潤滑溝及び油溝を形成することになる。
【0019】
上記の如く構成されたトロコイド型オイルポンプ10の作用について説明する。
【0020】
回転軸16の回転に伴いインナロータ15が回転してアウタロータ14もインナロータ15の外歯15aと係合しながら同一方向に回転する。すると、ポンプ室17の容積変化により周知のポンプ作用が行われる。ここで、ポンプ室17の内圧は、吸入ポート18に連通すると瞬間的に低圧に変動し、吐出ポート19に連通すると瞬間的に高圧に変動するので、吸入ポート18と吐出ポート19との間に位置する最大容積ポンプ室17aが吐出ポート19と連通する瞬間には最大容積ポンプ室17aの内圧が高圧となる。
【0021】
このとき、スペーサ12内周面の最大容積ポンプ室17aに対向する部分に形成された油溝21に吐出油が常時導入される。その結果、最大容積ポンプ室17内の内圧により最大容積ポンプ室17a内の容積を増大させる方向にインナロータ15及びアウタロータ14が押されたとしても、油溝に加えられる吐出圧によりアウタロータ14の最大容積ポンプ室17aに対向する外周面が最大容積ポンプ室内の容積を減少させる方向に押される。従って、最大容積ポンプ室17aを区画するアウターロータ内歯14aとインナロータ外歯15aとの間に発生する隙間を極力小さくできる。つまり、最大容積ポンプ室17aから吸入側ポンプ室17に作動油が漏れるのを抑制でき、吐出量が十分に確保される。
【0022】
以上示したように、本実施例では、油溝21がオイルポンプとして不可欠である潤滑溝20を介して吐出ポート19に連通しているので、新たにハウジング11に油溝21と吐出ポート19とを連通させる連通路を形成する必要がない。その結果、連通路を形成するための加工作業が不要となる。
【0023】
又、油溝21の溝壁21aがアウタロータ円周方向に延在しているので、その溝壁21aにより、吐出ポート19から油溝21内に導入された吐出油が回転軸16軸方向に漏れるのを抑制でき、油溝21からポンプ室17への吐出油の漏れを抑制できる。その結果、吐出圧を確実にアウタロータ外周面に加えることが可能になる。
【0024】
更に、ハウジング11が鉄製のスペーサ12を有しているので、ハウジング11全体の強度が向上し、オイルポンプ10の高速回転時におけるハウジング11の破壊を防止できる。
【0025】
【発明の効果】
請求項1の発明は、以下の如く効果を有する。
【0026】
油溝をオイルポンプとして不可欠である潤滑溝を介して吐出ポートに連通させたので、新たにハウジングに油溝と吐出ポートとを連通させる連通路を形成する必要がなくなる。その結果、連通路を形成するための加工作業が不要となる。
【0027】
さらに、請求項の発明は、以下の如く効果を有する。
【0028】
油溝の溝壁をアウタロータ円周方向に延在させたので、吐出ポートから油溝内に導入された吐出油が軸方向に漏れるのを抑制でき、油溝からポンプ室への吐出油の漏れを抑制でき、吐出圧を確実にアウタロータ外周面に加えることが可能になる。
【0029】
請求項の発明は、以下の如く効果を有する。
【0030】
ハウジングが円筒状空間に形成するスペーサを有しているので、ハウジング全体の強度が向上し、オイルポンプの高速回転時におけるハウジングの破壊を防止できる
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るトロコイド型オイルポンプの平面図である。
【図2】本実施例に係る油溝及び潤滑溝の斜視図である。
【図3】図1におけるA−A断面図である。
【符号の説明】
10 トロコイド型オイルポンプ
11 ハウジング
12 スペーサ
13 円筒状空間
14 アウタロータ
14a アウタロータの内歯
15 インナロータ
15a インナロータの外歯
17 ポンプ室
17a 最大容積ポンプ室
18 吸入ポート
19 吐出ポート
20 潤滑溝
21 油溝
21a 油溝の溝壁

Claims (2)

  1. 円筒状空間を形成するハウジングと、
    前記円筒状空間内に回転自在に配設され、内歯を有するアウタロータと、
    前記内歯と係合する外歯を有し、前記アウタロータ内に回転自在に配設されると共に前記アウタロータとの間で膨張及び圧縮を繰り返す複数のポンプ室を形成するインナロータと、
    前記円筒状空間に連通する吸入ポート及び吐出ポートと、
    前記アウタロータの外周面に対し該アウタロータの軸方向全域にわたって延在するように前記ハウジングに形成され、前記アウタロータの外周面全域に作動油を供給する供給部と、
    膨張過程を終える直前の最大容積ポンプ室に対向するように前記ハウジングの内周面に形成され、アウタロータ円周方向における一端が前記最大容積ポンプ室に対向する部分に位置し、他端が前記供給部に連通するとともに、アウタロータ円周方向に延在するように前記ハウジングの内周面に形成された溝壁をアウタロータ軸方向両側に有する油溝と、を備えたことを特徴とするトロコイド型オイルポンプ。
  2. 前記ハウジングは前記円筒状空間を有するスペーサから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のトロコイド型オイルポンプ。
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