JP2014125907A - 回転式ポンプおよびそれを備えたブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】、サイドプレートとアウターロータもしくはインナーロータとの接触部での接触抵抗を低減し、サイドプレートやアウターロータもしくはインナーロータの磨耗量を減少させる。
【解決手段】第2のサイドプレート72の端面のうち、インナーロータ52の外歯部52aの歯の先端部が通過するラインと歯の底部が通過するラインの間の領域(外歯通過領域)内において、凹部72dを形成する。これにより、凹部72dと空隙部53とが連通したときに、空隙部53内に含まれるブレーキ液が凹部72d内に供給される。よって、第2のサイドプレート72とインナーロータ52との間にブレーキ液を介在させることが可能となり、そのブレーキ液が潤滑油として機能して、第2のサイドプレート72とインナーロータ52との間の接触部の摩擦抵抗を低減でき、これらの磨耗量を減少させることが可能となる。
【選択図】図2(c)
【解決手段】第2のサイドプレート72の端面のうち、インナーロータ52の外歯部52aの歯の先端部が通過するラインと歯の底部が通過するラインの間の領域(外歯通過領域)内において、凹部72dを形成する。これにより、凹部72dと空隙部53とが連通したときに、空隙部53内に含まれるブレーキ液が凹部72d内に供給される。よって、第2のサイドプレート72とインナーロータ52との間にブレーキ液を介在させることが可能となり、そのブレーキ液が潤滑油として機能して、第2のサイドプレート72とインナーロータ52との間の接触部の摩擦抵抗を低減でき、これらの磨耗量を減少させることが可能となる。
【選択図】図2(c)
Description
本発明は、流体を吸入・吐出するトロコイドポンプ等の内接歯車型の回転式ポンプおよびそれを備えたブレーキ装置に関するものである。
トロコイドポンプ等の内接歯車型の回転式ポンプは、外周に外歯部を備えたインナーロータ、内周に内歯部を備えたアウターロータおよびこれらアウターロータとインナーロータを収納するサイドプレートや中央プレートを有するケーシング等から構成されている。インナーロータおよびアウターロータは、内歯部と外歯部とが互いに噛み合わさり、これら互いの歯によって複数の空隙部を形成した状態でケーシング内に配置されている。
このような回転式ポンプでは、高圧な部位と低圧な部位とをシールする必要がある。このため、回転式ポンプの軸方向の一方の端面については両ロータにサイドプレートに備えたシール部材を押し当ててシールし、もう一方の端面についてはサイドプレートに直接両ロータを押し当ててメカニカルシールを行っている。また、アウターロータの外周においては、中央プレートに凹部を形成すると共に凹部内にシール部材を備え、シール部材をアウターロータの外周に当接させることでシールしている。
しかしながら、このように構成された回転式ポンプでは、メカニカルシールを採用しているため、両ロータのサイドプレートへの押し付け力が大きくなると、回転の損失トルクが大きくなる。そして、それに伴う発熱で発熱箇所が膨張し、ポンプ吐出能力を低下させることも有り得る。
このため、特許文献1において、サイドプレートのうち吐出圧が導入される複数の空隙部と対応する位置に吐出溝を形成することで損失トルクを低減できるようにした構造が提案されている。このような構成とすることで、メカニカルシールが為されている側の端面において、吐出圧によりアウターロータおよびインナーロータをシール部材側に押し戻すことができ、アウターロータの軸方向端面とサイドプレートの端面との摩擦抵抗を軽減できる。したがって、両ロータとサイドプレートとの摺動面での回転の損失トルクを低減することができ、ポンプ吐出能力の低下を抑制することが可能となる。
しかしながら、メカニカルシールが為されるサイドプレートとアウターロータもしくはインナーロータの接触部では、複数の空隙部のうち吐出圧が導入される部分以外と対応する位置でもサイドプレートやアウターロータもしくはインナーロータの磨耗が発生する。このため、メカニカルシールが為されるサイドプレートとアウターロータもしくはインナーロータの接触部の接触抵抗の更なる低減が必要である。
本発明は上記点に鑑みて、サイドプレートとアウターロータもしくはインナーロータとの接触部での接触抵抗を低減し、サイドプレートやアウターロータもしくはインナーロータの磨耗量を減少させることが可能な回転式ポンプを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、アウターロータ(51)の内歯部(51a)とインナーロータ(52)の外歯部(52a)との噛み合いの間に複数の空隙部(53)が形成された回転部と、回転部の軸方向両側に配置される第1、第2のサイドプレート(71、72)およびアウターロータの外周を囲むように配置される中央プレート(73)を有し、第2のサイドプレート(72)におけるアウターロータおよびインナーロータの軸方向端面との接触面にてメカニカルシールを行うケーシング(50)と、ケーシングに設けられ、回転部に流体を吸引する吸入口(60)と回転部から流体を吐出する吐出口(61)と、第1のサイドプレートと回転部との間において吸入口と接続された低圧側の部位と吐出口と接続された高圧側の部位とに分割するシール部材(100)と、第2のサイドプレートのうちメカニカルシールを行う面のうち、駆動軸よりも複数の空隙部の体積が最も大きくなる空隙部(53a)側において、インナーロータの回転に伴って外歯部の歯の先端部が通過するラインと歯の底部が通過するラインの間となる外歯通過領域内に形成され、インナーロータの回転時に複数の空隙部のいずれかと連通させられる凹部(72d)とを備えていることを特徴としている。
このように、第2のサイドプレートの端面に凹部を形成しているため、凹部と空隙部とが連通したときに、空隙部内に含まれるブレーキ液が凹部内に供給される。これにより、第2のサイドプレートとインナーロータとの間にブレーキ液を介在させることが可能となり、そのブレーキ液が潤滑油として機能して、第2のサイドプレートとインナーロータとの間の接触部の摩擦抵抗を低減できる。したがって、第2のサイドプレートやインナーロータの磨耗量を減少させることが可能となる。
また、請求項2に記載の発明では、第2のサイドプレートのうちメカニカルシールを行う面のうち、駆動軸よりも複数の空隙部の体積が最も大きくなる空隙部(53a)側において、アウターロータの回転に伴って内歯部の歯の先端部が通過するラインと歯の底部が通過するラインの間となる内歯通過領域内に形成され、インナーロータの回転時に複数の空隙部のいずれかと連通させられる凹部(72e)を形成していることを特徴としている。
このような構成においても、凹部と空隙部とが連通したときに、空隙部内に含まれるブレーキ液が凹部内に供給される。これにより、第2のサイドプレートとアウターロータとの間にブレーキ液を介在させることが可能となり、そのブレーキ液が潤滑油として機能して、第2のサイドプレートとアウターロータとの間の接触部の摩擦抵抗を低減できる。したがって、第2のサイドプレートやアウターロータの磨耗量を減少させることが可能となる。
請求項4に記載の発明では、凹部(72d〜72f)は、複数の空隙部のいずれか1つとのみ連通させられ、同時に複数の空隙部の複数とは連通させられないことを特徴としている。これにより、1つの凹部が隣接する2つの空隙部の両方に同時に連通する状態になることによる空隙部内での圧縮性能の低下が生じないようにできる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
まず、ブレーキ装置の基本構成を、図1に基づいて説明する。ここでは右前輪−左後輪、左前輪−右後輪の各配管系統を備えるX配管の油圧回路を構成する車両に本発明におけるブレーキ装置を適用した例について説明するが、前後配管などにも適用可能である。
まず、ブレーキ装置の基本構成を、図1に基づいて説明する。ここでは右前輪−左後輪、左前輪−右後輪の各配管系統を備えるX配管の油圧回路を構成する車両に本発明におけるブレーキ装置を適用した例について説明するが、前後配管などにも適用可能である。
図1に示すように、ブレーキペダル1は倍力装置2と接続されており、この倍力装置2によりブレーキ踏力等が倍力される。倍力装置2は、倍力された踏力をマスタシリンダ(以下、M/Cという)3に伝達するプッシュロッド等を有しており、このプッシュロッドがM/C3に配設されたマスタピストンを押圧することによりM/C圧を発生させる。そして、M/C圧は、ABS制御等を行うブレーキ液圧制御用アクチュエータを介して右前輪FR用のホイールシリンダ(以下、W/Cという)4および左後輪RL用のW/C5へ伝達される。M/C3には、マスタリザーバ3aが接続されており、M/C3内にブレーキ液を供給したり、M/C3内の余剰ブレーキ液を貯留できるようになっている。
なお、これらのうちブレーキペダル1、倍力装置2およびM/C3はブレーキ液圧発生手段に相当する。また、W/C4、5が制動力発生手段に相当する。
以下の説明では、第1の配管系統である右前輪FRおよび左後輪RL側について説明するが、第2の配管系統である左前輪FLおよび右後輪RR側についても全く同様である。
ブレーキ装置は、M/C3に接続する管路(主管路)Aを備えており、この管路Aには逆止弁22aと共に、ブレーキ制御用の電子制御装置(以下、ブレーキECUという)にて制御される差圧制御弁22が備えられている。この差圧制御弁22によって管路Aは2部位に分けられている。具体的には、管路Aは、M/C3から差圧制御弁22までの間においてM/C圧を受ける管路A1と、差圧制御弁22から各W/C4、5までの間の管路A2に分けられる。
差圧制御弁22は、通常は連通状態であるが、M/C圧が所定圧よりも低い際にW/C4、5に急ブレーキをかける時、或いはトラクションコントロール時に、M/C側とW/C側との間に所定の差圧を発生させる状態(差圧状態)となる。この差圧制御弁22は、差圧の設定値を線形的(リニア)に調整することができる。
また、管路A2において、管路Aは2つに分岐しており、開口する一方にはW/C4へのブレーキ液圧の増圧を制御する増圧制御弁30が備えられ、他方にはW/C5へのブレーキ液圧の増圧を制御する増圧制御弁31が備えられている。
これら増圧制御弁30、31は、ブレーキECUにより連通・遮断状態を制御できる2位置弁として構成されている。この2位置弁が連通状態に制御されているときには、M/C圧あるいは後述するポンプ10の吐出によるブレーキ液圧を各W/C4、5に加えることができる。これら増圧制御弁30、31は、ABS制御が実行されていないノーマルブレーキ時に常時連通状態に制御されるノーマルオープン弁とされている。
なお、増圧制御弁30、31には、それぞれ安全弁30a、31aが並列に設けられており、ブレーキ踏み込みを止めてABS制御が終了したときにおいてW/C4、5側からブレーキ液を排除するようになっている。
増圧制御弁30、31と各W/C4、5との間における管路Aと調圧リザーバ40とを結ぶ管路(吸入管路)Bには、ブレーキECUにより連通・遮断状態を制御できる減圧制御弁32、33がそれぞれ配設されている。これらの減圧制御弁32、33は、ノーマルブレーキ状態(ABS非作動時)のときに常時遮断状態とされるノーマルクローズ弁とされている。
管路Aの差圧制御弁22および増圧制御弁30、31の間と調圧リザーバ40とを結ぶ管路(補助管路)Cには回転式ポンプ10が配設されている。この回転式ポンプ10の吐出口側には、安全弁10Aが備えられており、ブレーキ液が逆流しないようになっている。この回転式ポンプ10にはモータ11が接続されており、このモータ11によって回転式ポンプ10が駆動される。
また、調圧リザーバ40とM/C3とを接続するように管路(補助管路)Dが設けられており、この管路Dに2位置弁23が配置されている。2位置弁23は、通常時に遮断状態とされているノーマルクローズ弁で構成されており、ブレーキアシスト時やトラクションコントロール時等に駆動される。このときには、2位置弁23が連通状態にされて管路Dが連通状態にされると共に、差圧制御弁22にてM/C圧とW/C圧との差圧が保持された状態で回転式ポンプ10が動作させられる。これにより、管路Dを介して管路A1のブレーキ液が汲み取られ、管路A2へ吐出されて、W/C4、5におけるW/C圧がM/C圧よりも高められ、車輪制動力を高めることが可能となる。
調圧リザーバ40は、リザーバ内のブレーキ液圧とM/C圧との差圧の調圧を行いつつ、回転式ポンプ10へのブレーキ液の供給を行う。調圧リザーバ40に備えられたリザーバ孔40a、40bは、それぞれがリザーバ室40cに連通させられている。リザーバ孔40aは、管路Dに接続されてM/C3側からのブレーキ液を受け入れる。リザーバ孔40bは、管路Bおよび管路Cに接続され、W/C4、5から排出されるブレーキ液を受け入れると共に回転式ポンプ10の吸入側にブレーキ液を供給する。
リザーバ孔40aより内側には、ボール弁などで構成された弁体41が配設されている。この弁体41は、弁座42に離着することで管路Dとリザーバ室40cとの間の連通遮断を制御したり、弁座42との間の距離が調整されることでリザーバ室40cの内圧とM/C圧との差圧の調圧を行う。弁体41の下方には、弁体41を上下に移動させるための所定ストロークを有するロッド43が弁体41と別体で設けられている。また、リザーバ室40c内には、ロッド43と連動するピストン44と、このピストン44を弁体41側に押圧してリザーバ室40c内のブレーキ液を押し出そうとする力を発生するスプリング45が備えられている。
このように構成された調圧リザーバ40は、所定量のブレーキ液が貯留されると、弁体41が弁座42に着座して調圧リザーバ40内にブレーキ液が流入しないようになっている。このため、回転式ポンプ10の吸入能力より多くのブレーキ液がリザーバ室40c内に流動することがなく、回転式ポンプ10の吸入側に高圧が印加されることもない。
次に、図2(a)〜(c)および図3を参照して、本実施形態にかかる回転式ポンプ10の詳細構造について説明する。なお、図2(a)〜(c)は、図1における回転式ポンプ10の具体的構成を示す図であり、(a)は、(b)のB−B断面図、(b)は、(a)のA−O−A断面図、(c)は、(b)のC−C断面図に相当している。
回転式ポンプ10は、内接歯車ポンプであるトロコイドポンプによって構成されており、図2(a)〜(c)に示すように、ケーシング50内に構成されるロータ室50a内に配置されている。ロータ室50a内には、アウターロータ51およびインナーロータ52がそれぞれの中心軸(図中の点Xと点Y)が偏心した状態で組付けられて収納されている。アウターロータ51は内周に内歯部51aを備えており、インナーロータ52は外周に外歯部52aを備えている。そして、これらアウターロータ51とインナーロータ52とが互いの歯部51a、52aによって複数の空隙部53を形成して噛み合わさっている。なお、図2(a)からも判るように、本実施形態の回転式ポンプ10は、アウターロータ51の内歯部51aとインナーロータ52の外歯部52aとで空隙部53を形成する、仕切り板(クレセント)なしの多数歯トロコイドタイプのポンプである。また、インナーロータ52の回転トルクを伝えるために、インナーロータ52とアウターロータ51とは複数の接触点を有した構造とされている。
図2(b)に示されるように、本実施形態では、ケーシング50を第1、第2のサイドプレート71、72および中央プレート73によって構成しており、これらによって囲まれた空間により、ロータ室50aを形成している。第1、第2のサイドプレート71、72は、両ロータ51、52を両側から挟むように配置されている。中央プレート73は、第1、第2のサイドプレート71、72間に配設され、アウターロータ51およびインナーロータ52を収容する孔が設けられ、アウターロータ51の外周を囲むように配置される。アウターロータ51の外周と中央プレート73の内周との間には微小な間隙部Sが形成され、ブレーキ液が流入する構造となっている。
また、図2(b)に示すように、第1、第2のサイドプレート71、72の中心部には、ロータ室50a内と連通する中心孔71a、72aが形成されており、これら中心孔71a、72aにはインナーロータ52に配設された駆動軸54が嵌入されている。そして、アウターロータ51およびインナーロータ52は、中央プレート73の孔内において回転自在に配設されている。具体的には、アウターロータ51およびインナーロータ52で構成される回転部は、ケーシング50のロータ室50a内に回転自在に組み込まれている。そして、図2(a)に示すようにアウターロータ51は点Xを軸として回転し、インナーロータ52は点Yを軸として回転する。
さらに、アウターロータ51およびインナーロータ52それぞれの回転軸となる点Xと点Yを通る線を回転式ポンプ10の中心線Zとすると、第1のサイドプレート71のうち中心線Zを挟んだ左右に吸入口60と吐出口61が形成されている。これら吸入口60と吐出口61は、共に、ロータ室50aに連通させられており、複数の空隙部53に連通する位置に配設されている。このため、吸入口60を介して外部からのブレーキ液を空隙部53内に吸入して、吐出口61を介して空隙部53内のブレーキ液を外部へ吐出することができるようになっている。
複数の空隙部53のうち、体積が最大となる側の閉じ込み部53aおよび体積が最小となる側の閉じ込み部53bは、吸入口60および吐出口61のいずれにも連通しないように構成されている。これら閉じ込み部53a、53bによって吸入口60における吸入圧と吐出口61における吐出圧との差圧を保持している。
中央プレート73の内壁面であって、アウターロータ51の回転軸となる点Xを中心として中心線Zから吸入口60方向へ約45度の位置には、それぞれアウターロータ51の径方向外方に凹む凹部73aと凹部73bが形成されている。これら凹部73a、73b内には、アウターロータ51の外周におけるブレーキ液の流動を抑制するためのシール部材80、81が備えられている。そして、これらシール部材80、81により、アウターロータ51の外周においてブレーキ液圧が低圧になる部分と高圧になる部分をシールしている。
シール部材80は、球状若しくは略円筒状をしたゴム部材80aと、直方体形状をした樹脂部材80bとから構成されている。樹脂部材80bはゴム部材80aによって押されてアウターロータ51に接し、アウターロータ51の外周のシールを行っている。このような構造とされているため、製造誤差等によってアウターロータ51の大きさに若干の誤差分が生じても、この誤差分を弾性力を有するゴム部材80aによって吸収して確実にシールすることができる。
樹脂部材80bの幅(アウターロータ51の回転方向の幅)は、凹部73a内に樹脂部材80bを配置したときに、ある程度隙間が空く程度になっている。つまり、樹脂部材80bの幅を凹部73aの幅と同等に形成すると、ポンプ駆動時におけるブレーキ液圧の流動によって樹脂部材80bが凹部73a内に入り込んだときに出てきにくくなる。このため、多少隙間が空く程度の大きさで樹脂部材80bを形成することで樹脂部材80bのゴム部材80a側にブレーキ液が入り込むようにして、このブレーキ液の圧力によって樹脂部材80bが凹部73a内から出てき易いようにしている。なお、シール部材81も、ゴム部材81aおよび樹脂部材80bを備えた構成とされるが、シール部材80と同様の構造であるため説明は省略する。
さらに、図2(b)に示されるように、第1のサイドプレート71にはシール溝部71bが形成されている。このシール溝部71bは、図2(a)の一点鎖線で示されるように、駆動軸54を囲む円環状(枠体形状)で構成されていると共に、所定領域において溝幅が広げられた構成となっており、吐出口61と連通させられている。シール溝部71bの中心は、駆動軸54の軸中心に対して吸入口60側(紙面左側)に偏心した状態となっている。これにより、シール溝部71bは、吐出口61と駆動軸54の間を通って、閉じ込み部53a、53b、シール部材80、81がアウターロータ51をシールしている部分を通過するような配置となる。
このシール溝部71bの中には、シール部材100が配置されている。シール部材100は、ゴム等の弾性体からなる弾性部材100aと、樹脂からなる樹脂部材100bとによって構成されており、弾性部材100aによって樹脂部材100bがアウターロータ51およびインナーロータ52側に押し付けられている。
樹脂部材100bは、シール溝部71bの形状と同様の形状を成しており、円環状になっている。また、樹脂部材100bは、一端面側に凹部100cと凸部100dが形成された段付きプレートとされている。樹脂部材100bは、凸部100dが形成された面側がシール溝部71bの開孔側に配置されることにより、凸部100dが両ロータ51、52および中央プレート73の一端面に接するようになっている。そして、樹脂部材100bよりもシール溝部71bの底側に弾性部材100aが配置されることで、弾性部材100aの弾性力とシール溝部71bに導入されたブレーキ液の吐出圧により樹脂部材100bが押圧されてシール機能を果たす。
凸部100dは、図2(a)において破線ハッチングで示した形状とされ、密閉部100eと密閉部100fを有している。密閉部100eと密閉部100fは、空隙部53が吸入口60と連通した状態から吐出口61に連通した状態に移行するまでの間と、空隙部53が吐出口61と連通した状態から吸入口60に連通した状態に移行するまでの間にそれぞれ備えられている。これら密閉部100e、100fは、少なくとも閉じ込み部53a、53bを全面的に覆えるような幅で構成されており、閉じ込み部53a、53bを密閉している。
このように配置されたシール部材100により、アウターロータ51およびインナーロータ52の軸方向端面と第1のサイドプレート71の間における隙間において、高圧な部位と低圧な部位との間をシールしている。具体的には、高圧な吐出口61と、低圧な駆動軸54とインナーロータ52との間の間隙部および吸入口60との間がシール部材100によってシールされている。
一方、第2のサイドプレート72側においては、第2のサイドプレート72のうちロータ室50a側の端面がアウターロータ51およびインナーロータ52の軸方向端面に直接当接することでメカニカルシールが為されている。このメカニカルシールにより、アウターロータ51およびインナーロータ52の軸方向端面と第2のサイドプレート72の間における隙間において、高圧な部位と低圧な部位との間をシールしている。具体的には、高圧な吐出口61と、低圧な駆動軸54とインナーロータ52との間の間隙部および吸入口60との間がメカニカルシールによってシールされている。
メカニカルシールは、第1のサイドプレート71側のシール部材100がアウターロータ51およびインナーロータ52を押圧し、アウターロータ51およびインナーロータ52が第2のサイドプレート72に押し付けられることで実現されている。このとき、シール部材100は、樹脂部材100bが弾性部材100aの弾性力とシール溝部71bに導入されたブレーキ液の吐出圧により押圧されるため、アウターロータ51およびインナーロータ52が高圧で第2のサイドプレート72に押圧されることになる。このため、アウターロータ51およびインナーロータ52と第2のサイドプレート72との間の回転摩擦抵抗が大きくなって、駆動トルクが著しく増大するという問題が発生する。
したがって、本実施形態では、図2(b)、(c)に示すように、メカニカルシールが為される側の第2のサイドプレート72に、吸入口60と連通する吸入溝72bを設けると共に、吐出口61と連通する吐出溝72cを設けた構成としている。これら吸入溝72bと吐出溝72cとにより、吸入口60と吐出口61の流体圧が導入され、アウターロータ51およびインナーロータ52を押し返している。このようにして、アウターロータ51およびインナーロータ52が第2のサイドプレート72を押し付ける力を軽減することで、摩擦抵抗が軽減されるようにしている。これにより、駆動トルクの増加を防止することが可能となる。
しかしながら、アウターロータ51およびインナーロータ52の軸方向端面において、高圧な部位と低圧な部位が存在する。このため、高圧な部位では吐出溝72cを形成することでアウターロータ51およびインナーロータ52がシール部材100側に押し戻されて摩擦抵抗が低減されるが、低圧な部位ではアウターロータ51およびインナーロータ52を押し戻す力が十分ではない。具体的には、アウターロータ51およびインナーロータ52の端面では、高圧な吐出溝72cから低圧な駆動軸54とインナーロータ52との間もしくは吸入口60側に向かって徐々にブレーキ液圧が低下していく。したがって、吐出溝72cからシール部材80、81に向かうまでの間、特にアウターロータ51のうち中心線Zよりもシール部材80、81側などにおいてはアウターロータ51をシール部材100側に押し戻す力が小さくなる。このため、アウターロータ51と第2のサイドプレート72との間の接触抵抗が大きくなる。
これを解消すべく、本実施形態では、図2(c)に示すように第2のサイドプレート72の端面に凹部72dを備えている。具体的には、第2のサイドプレート72の端面のうち、駆動軸54よりも最も体積が大きくなる閉じ込み部53a側において、回転式ポンプ10を駆動したときに両ロータ51、52の回転に伴って空隙部53と連通させられるように凹部72dを形成してある。より詳しくは、第2のサイドプレート72の端面のうち、図3において一点鎖線で示したインナーロータ52の外歯部52aの歯の先端部が通過するラインと歯の底部が通過するラインの間の領域(以下、外歯通過領域という)内に凹部72dを形成してある。
本実施形態の場合、外歯通過領域内において、凹部72dを複数個、インナーロータ52の周方向に並べて配設してある。また、凹部72dを中心線Zよりも吐出口61側に備えており、凹部72d内が複数の空隙部53のうち両ロータ51、52の回転に伴って体積が徐々に減少していく空隙部53と連通させられるようにしてある。凹部72dの寸法や形状については任意であるが、各凹部72dと連通する空隙部53の1つのみとなるように寸法や形状を設定している。例えば、図4に示すように1つの凹部72dが隣接する2つの空隙部53の両方に同時に連通する状態になると、空隙部53の大小変化に伴う圧縮性能が低下してしまう。このため、各凹部72dが空隙部53のうちの1つのみと連通するように寸法や形状を設定することで、空隙部53の大小変化に伴う圧縮性能の低下が生じないようにしている。
例えば、本実施形態の場合、凹部72dを、インナーロータ52の周方向に沿って延設すると共に両先端位置を円弧状とした形状としている。このときの凹部72dの周方向の寸法を凹部72dの幅とすると、その幅がインナーロータ52の歯幅よりも小さくなるようにしている。これにより、各凹部72dと連通する空隙部53が1つのみとなるようにできる。
このように、第2のサイドプレート72に対して凹部72dを備えると共に、凹部72dが空隙部53と連通するようにしている。このため、凹部72dと空隙部53とが連通したときに、空隙部53内に含まれるブレーキ液が凹部72d内に供給される。これにより、第2のサイドプレート72とインナーロータ52との間にブレーキ液を介在させることが可能となり、そのブレーキ液が潤滑油として機能して、第2のサイドプレート72とインナーロータ52との間の接触部の摩擦抵抗を低減できる。したがって、第2のサイドプレート72やインナーロータ52の磨耗量を減少させることが可能となる。
次に、このように構成されたブレーキ装置および回転式ポンプ10の作動について説明する。
例えばブレーキアシスト時のように、ドライバによるブレーキペダル1の操作により発生させられるM/C圧よりも大きなW/C圧を発生させて制動力を大きくしたい場合、2位置弁23が適宜連通状態にされると共に、差圧制御弁22が差圧状態とされる。
また、モータ11を制御して回転式ポンプ10を駆動し、ブレーキ液の吸入吐出動作を行わせる。具体的には、モータ11の駆動により駆動軸54の回転に応じてインナーロータ52が回転運動させられ、それに伴って内歯部51aと外歯部52aの噛合によりアウターロータ51が同方向へ回転させられる。このとき、それぞれの空隙部53の体積がアウターロータ51およびインナーロータ52が1回転する間に大小に変化するため、吸入口60からブレーキ液が吸入され、吐出口61から管路A2に向けてブレーキ液が吐き出される。この吐出されたブレーキ液によってW/C圧を増圧している。このように、回転式ポンプ10にて、両ロータ51、52を回転させることによって吸入口60からブレーキ液を吸入し、吐出口61からブレーキ液を吐出するという基本的なポンプ動作を行わせる。
このとき、差圧制御弁22によって差圧が発生させられる状態になっているため、回転式ポンプ10の吐出圧が差圧制御弁22の下流側、つまり各W/C4、5に対して作用し、M/C圧よりも大きなW/C圧が発生させられる。このため、ブレーキ装置により、ドライバによるブレーキペダル1の操作によって発生させられるM/C圧よりも大きなW/C圧を発生させることができる。
このときのポンプ動作において、アウターロータ51の外周のうち吸入口60側は調圧リザーバ40を介して吸入されるブレーキ液によって吸入圧(大気圧)とされ、アウターロータ51の外周のうち吐出口61側は高圧な吐出圧とされる。
このため、アウターロータ51の外周において低圧な部分と高圧な部分が生じる。しかしながら、上述したように、シール部材80、81によって、アウターロータ51の外周の低圧な部分と高圧な部分をシールして分離している。このため、アウターロータ51の外周を通じて吐出口61側の高圧部分から吸入口60側の低圧部分に向けてブレーキ液洩れが発生しない。また、シール部材80、81により、アウターロータ51の外周のうちの吸入口60側は低圧となって、吸入口60と連通する空隙部53と同様の圧力となる。さらに、アウターロータ51の外周のうちの吐出口61側は高圧となって、吐出口61と連通する空隙部53と同様の圧力となる。このため、アウターロータ51の内外における圧力バランスが保持され、ポンプ駆動を安定して行うようにすることができる。
また、本実施形態に示す回転式ポンプ10では、シール部材80、81が吸入口60側に位置しているため、アウターロータ51の外周のうち閉じ込み部53a、53bを囲む位置まで高圧な吐出圧とされる。このため、アウターロータ51が紙面上下方向に押圧され、閉じ込み部53aにおいてアウターロータ51の内歯部51aとインナーロータ52の外歯部52aとの歯先隙間が縮まる方向に荷重がかけられ、内歯部51aと外歯部52aとの歯先隙間が縮むように作用する。これにより、アウターロータ51の内歯部51aとインナーロータ52の外歯部52aとの歯先隙間を通じて発生するブレーキ液洩れを抑制できる。
一方、インナーロータ52およびアウターロータ51の軸方向端面と第1、第2のサイドプレート71、72との間の隙間でも、低圧な吸入口60や駆動軸54とインナーロータ52との間の間隙と高圧な吐出口61とにより、低圧な部分と高圧な部分が生じる。しかしながら、シール部材100やメカニカルシールによって、これら低圧な部分と高圧な部分とをシールしているため、高圧な部分から低圧な部分に向けてブレーキ液洩れが発生しない。そして、シール部材100がシール部材80、81を通過し、メカニカルシールもシール部材80、81と接するように形成されているため、この間からもブレーキ液洩れが発生することはない。
また、第2のサイドプレート72の端面に凹部72dを形成しているため、凹部72dと空隙部53とが連通したときに、空隙部53内に含まれるブレーキ液が凹部72d内に供給される。これにより、第2のサイドプレート72とインナーロータ52との間にブレーキ液を介在させることが可能となり、そのブレーキ液が潤滑油として機能して、第2のサイドプレート72とインナーロータ52との間の接触部の摩擦抵抗を低減できる。したがって、第2のサイドプレート72やインナーロータ52の磨耗量を減少させることが可能となる。
さらに、本実施形態では、凹部72dを中心線Zよりも吐出口61側に備えていることから、凹部72dを複数の空隙部53のうち体積が減少していく空隙部53と連通させることが可能となる。このため、凹部72d内に高圧なブレーキ液を供給することができ、この圧力によってインナーロータ52をシール部材100側に押し戻す力を発生させることができる。したがって、より第2のサイドプレート72とインナーロータ52との間の接触部の摩擦抵抗を低減でき、さらに第2のサイドプレート72やインナーロータ52の磨耗量を減少させることが可能となる。
なお、凹部72dのブレーキ液圧を高圧にするのに、間隙部Sに凹部72dを連通させ、間隙部S内の高圧なブレーキ液が凹部72d内に供給されるようにすることも考えられる。しかしながら、凹部72dが圧縮中の空隙部53に連通したときに、吐出溝72c側のボリュームがデッドボリュームとなり、圧縮効率が大幅に低下する。このため、本実施形態のように、凹部73dを間隙部Sに連通させるのではなく、単に空隙部53にのみ連通させた構成にするのが良い。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して第2のサイドプレート72とアウターロータ51との間の摩擦抵抗の低減を図るようにしたものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して第2のサイドプレート72とアウターロータ51との間の摩擦抵抗の低減を図るようにしたものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図5に示すように、本実施形態では、第2のサイドプレート72の端面に凹部72eを備えている。具体的には、第2のサイドプレート72の端面のうち、駆動軸54よりも最も体積が大きくなる閉じ込み部53a側において、回転式ポンプ10を駆動したときに両ロータ51、52の回転に伴って空隙部53と連通させられる凹部72eを形成してある。より詳しくは、第2のサイドプレート72の端面のうち、図6において一点鎖線で示したアウターロータ51の内歯部51aの歯の先端部が通過するラインと歯の底部が通過するラインの間の領域(以下、内歯通過領域という)内に、凹部72eを形成してある。
本実施形態の場合、内歯通過領域内において、凹部72eを複数個、アウターロータ51の周方向に並べて配設してある。また、凹部72eを中心線Zよりも吐出口61側に備えており、凹部72e内が複数の空隙部53のうち両ロータ51、52の回転に伴って体積が徐々に減少していく空隙部53と連通させられるようにしてある。この凹部72eについても、第1実施形態で説明した凹部72dと同様のことが言え、寸法や形状については任意であるが、各凹部72eが空隙部53のうちの1つのみと連通するように寸法や形状を設定している。
例えば、本実施形態の場合、凹部72eを、アウターロータ51の周方向に沿って延設すると共に両先端位置を円弧状とした形状としている。このときの凹部72eの周方向の寸法を凹部72eの幅とすると、その幅がアウターロータ51の歯幅よりも小さくなるようにしている。これにより、各凹部72eが空隙部53のうちの1つのみと連通するようにできる。
このように、第2のサイドプレート72に対して凹部72eを備えると共に、凹部72eが空隙部53と連通するようにしている。このため、凹部72eと空隙部53とが連通したときに、空隙部53内に含まれるブレーキ液が凹部72e内に供給される。これにより、第2のサイドプレート72とアウターロータ51との間にブレーキ液を介在させることが可能となり、そのブレーキ液が潤滑油として機能して、第2のサイドプレート72とアウターロータ51との間の接触部の摩擦抵抗を低減できる。したがって、第2のサイドプレート72やアウターロータ51の磨耗量を減少させることが可能となる。
以上説明したように、第2のサイドプレート72のうちアウターロータ51の内歯部51aの通過する内歯通過領域に凹部72eを形成することもできる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して第2のサイドプレート72とアウターロータ51およびインナーロータ52との間の摩擦抵抗の低減を図るようにしたものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して第2のサイドプレート72とアウターロータ51およびインナーロータ52との間の摩擦抵抗の低減を図るようにしたものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図7に示すように、本実施形態では、第2のサイドプレート72の端面に凹部72fを備えている。具体的には、第2のサイドプレート72の端面のうち、駆動軸54よりも体積が最小となる閉じ込み部53b側において、内歯通過領域と外歯通過領域とが重なり合っている領域内に、凹部72fを形成してある。このため、凹部72f内は、回転式ポンプ10を駆動したときに両ロータ51、52の回転に伴って複数の空隙部53のいずれかに連通させられる。
本実施形態の場合、凹部72fを複数個、アウターロータ51およびインナーロータ52の周方向に並べて配設してある。また、凹部72fを中心線Zよりも吐出口61側に備えており、凹部72f内が複数の空隙部53のうち両ロータ51、52の回転に伴って体積が徐々に減少していく空隙部53と連通させられるようにしてある。この凹部72fについても、第1実施形態で説明した凹部72dと同様のことが言え、寸法や形状については任意であるが、各凹部72fが空隙部53のうちの1つのみと連通するように寸法や形状を設定している。
例えば、本実施形態の場合、凹部72fを、アウターロータ51およびインナーロータ52の周方向に沿って延設すると共に両先端位置を円弧状とした形状としている。このときの凹部72fの周方向の寸法を凹部72fの幅とすると、その幅がアウターロータ51およびインナーロータ52の歯幅よりも小さくなるようにしている。これにより、各凹部72fが空隙部53のうちの1つのみと連通するようにできる。
このように、第2のサイドプレート72に対して凹部72fを備えると共に、凹部72fが空隙部53と連通するようにしている。このため、凹部72fと空隙部53とが連通したときに、空隙部53内に含まれるブレーキ液が凹部72f内に供給される。これにより、第2のサイドプレート72とアウターロータ51およびインナーロータ52との間にブレーキ液を介在させることが可能となり、そのブレーキ液が潤滑油として機能して、第2のサイドプレート72とアウターロータ51およびインナーロータ52との間の接触部の摩擦抵抗を低減できる。したがって、第2のサイドプレート72やアウターロータ51およびインナーロータ52の磨耗量を減少させることが可能となる。
以上説明したように、第2のサイドプレート72のうち外歯通過領域と内歯通過領域とが重なる領域内、つまり体積が最小となる閉じ込み部53b側において、凹部72fを形成することもできる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態では凹部72d〜72fの形状の一例を示したが、他の形状であっても構わない。例えば、円形、楕円形、長円形、単なる線状の凹みなど、どのような形状であっても良い。また、凹部72d〜72fの数についても任意である。さらに、第1〜第3実施形態を適宜組み合わせ、凹部72d〜72fのいずれか複数を備えるようにしても良い。また、凹部72d〜72fを中心線Zよりも吐出口61側に形成する場合について説明したが、中心線Zよりも吸入口60側に形成しても良いし、中心線Zの両側や中心線Z上に形成されていても良い。
なお、中心線Zよりも吸入口60側に凹部72d〜72fを形成する場合、凹部72d〜72f内に供給されるブレーキ液が高圧でない可能性がある。この場合、凹部72d〜72f内のブレーキ液圧でアウターロータ51やインナーロータ52をシール部材100側に押し戻す力を発生させることはできないが、この場合でもブレーキ液が潤滑油として機能するため、上記効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、ケーシング50として第1のサイドプレート71を備えた構造とした。しかしながら、これも一例であり、回転式ポンプ10の各構成部品がブレーキ液圧制御用アクチュエータを構成するハウジング内に収容される場合、そのハウジングによって第1のサイドプレート71を構成しても良い。
上記第1実施形態では、より好ましい形態として、外歯通過領域内に凹部72dを形成する場合を例に挙げたが、凹部72dの一部が外歯部52aの底部が通過するラインからはみ出していてもよい。同様に、上記第2実施形態では、より好ましい形態として、内歯通過領域内に凹部72eを形成する場合を例に挙げたが、凹部72eの一部が内歯部51aの歯底部が通過するラインからはみ出していてもよい。
10…回転式ポンプ、50…ケーシング、50a…ロータ室、51…アウターロータ、51a…内歯部、52…インナーロータ、52a…外歯部、53…空隙部、53a、53b…閉じ込み部、54…駆動軸、60…吸入口、61…吐出口、71…第1のサイドプレート、72…第2のサイドプレート、72d〜72f…凹部、73…中央プレート、100…シール部材
Claims (7)
- 内周に内歯部(51a)を有するアウターロータ(51)と、外周に外歯部(52a)を有すると共に駆動軸(54)を軸として回転運動するインナーロータ(52)とを備え、前記内歯部と外歯部との噛み合いの間に複数の空隙部(53)が形成された回転部と、
前記回転部の一方の軸方向端面側に配置された第1のサイドプレート(71)と、前記回転部の他方の軸方向端面側に配置され、前記アウターロータおよびインナーロータの軸方向端面との接触面がメカニカルシールを行う第2のサイドプレート(72)を有していると共に、前記アウターロータの外周を囲むように配置される中央プレート(73)を有し、前記回転部を覆うように形成されたケーシング(50)と、
前記ケーシングに設けられ、前記回転部に流体を吸引する吸入口(60)と前記回転部から流体を吐出する吐出口(61)と、
前記第1のサイドプレートと前記回転部との間において前記吸入口と接続された低圧側の部位と前記吐出口と接続された高圧側の部位とに分割するシール部材(100)と、
前記第2のサイドプレートのうち前記メカニカルシールを行う面のうち、前記駆動軸よりも前記複数の空隙部の体積が最も大きくなる空隙部(53a)側において、前記インナーロータの回転に伴って前記外歯部の歯の先端部が通過するラインと歯の底部が通過するラインの間となる外歯通過領域内に形成され、前記インナーロータの回転時に前記複数の空隙部のいずれかと連通させられる凹部(72d)と、
を備えることを特徴とする回転式ポンプ。 - 内周に内歯部(51a)を有するアウターロータ(51)と、外周に外歯部(52a)を有すると共に駆動軸(54)を軸として回転運動するインナーロータ(52)とを備え、前記内歯部と外歯部との噛み合いの間に複数の空隙部(53)が形成された回転部と、
前記回転部の一方の軸方向端面側に配置された第1のサイドプレート(71)と、前記回転部の他方の軸方向端面側に配置され、前記アウターロータおよびインナーロータの軸方向端面との接触面がメカニカルシールを行う第2のサイドプレート(72)を有していると共に、前記アウターロータの外周を囲むように配置される中央プレート(73)を有し、前記回転部を覆うように形成されたケーシング(50)と、
前記ケーシングに設けられ、前記回転部に流体を吸引する吸入口(60)と前記回転部から流体を吐出する吐出口(61)と、
前記第1のサイドプレートと前記回転部との間において前記吸入口と接続された低圧側の部位と前記吐出口と接続された高圧側の部位とに分割するシール部材(100)と、
前記第2のサイドプレートのうち前記メカニカルシールを行う面のうち、前記駆動軸よりも前記複数の空隙部の体積が最も大きくなる空隙部(53a)側において、前記アウターロータの回転に伴って前記内歯部の歯の先端部が通過するラインと歯の底部が通過するラインの間となる内歯通過領域内に形成され、前記インナーロータの回転時に前記複数の空隙部のいずれかと連通させられる凹部(72e)と、
を備えることを特徴とする回転式ポンプ。 - 内周に内歯部(51a)を有するアウターロータ(51)と、外周に外歯部(52a)を有すると共に駆動軸(54)を軸として回転運動するインナーロータ(52)とを備え、前記内歯部と外歯部との噛み合いの間に複数の空隙部(53)が形成された回転部と、
前記回転部の一方の軸方向端面側に配置された第1のサイドプレート(71)と、前記回転部の他方の軸方向端面側に配置され、前記アウターロータおよびインナーロータの軸方向端面との接触面がメカニカルシールを行う第2のサイドプレート(72)を有していると共に、前記アウターロータの外周を囲むように配置される中央プレート(73)を有し、前記回転部を覆うように形成されたケーシング(50)と、
前記ケーシングに設けられ、前記回転部に流体を吸引する吸入口(60)と前記回転部から流体を吐出する吐出口(61)と、
前記第1のサイドプレートと前記回転部との間において前記吸入口と接続された低圧側の部位と前記吐出口と接続された高圧側の部位とに分割するシール部材(100)と、
前記第2のサイドプレートのうち前記メカニカルシールを行う面のうち、前記駆動軸よりも前記複数の空隙部の体積が最も小さくなる空隙部(53b)側において、前記アウターロータの回転に伴って前記内歯部の歯の先端部が通過するラインと歯の底部が通過するラインの間となる内歯通過領域と、前記インナーロータの回転に伴って前記外歯部の歯の先端部が通過するラインと歯の底部が通過するラインの間となる外歯通過領域とが重なる領域内に形成され、前記インナーロータの回転時に前記複数の空隙部のいずれかと連通させられる凹部(72f)と、
を備えることを特徴とする回転式ポンプ。 - 前記凹部(72d〜72f)は、前記複数の空隙部のいずれか1つとのみ連通させられ、同時に前記複数の空隙部のうちの複数とは連通させられないことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の回転式ポンプ。
- 前記凹部(72d〜72f)の周方向の幅が、前記外歯部の歯および前記内歯部の歯の周方向の歯幅よりも小さくされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の回転式ポンプ。
- 前記アウターロータの中心軸(X)と前記インナーロータの中心軸(Y)を結ぶ線を中心線(Z)として、前記中心線よりも前記吐出口側に前記凹部(72d〜72f)が備えられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の回転式ポンプ。
- 踏力に基づいてブレーキ液圧を発生させるブレーキ液圧発生手段(1〜3)と、
前記ブレーキ液圧に基づいて車輪に制動力を発生させる制動力発生手段(4、5)と、
前記ブレーキ液圧発生手段に接続され、前記制動力発生手段に前記ブレーキ液圧を伝達する主管路(A)と、
前記ブレーキ液圧発生手段に接続され、前記制動力発生手段が発生させる制動力を高めるために、前記主管路側にブレーキ液を供給する補助管路(C、D)と、を有し、
前記回転式ポンプが、前記吸入口より前記補助管路を通じて前記ブレーキ液圧発生手段側のブレーキ液を吸入でき、前記吐出口より前記主管路を通じて前記制動力発生手段に向けてブレーキ液を吐出できるように配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の回転式ポンプを備えたブレーキ装置。
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