JPH11351131A - 斜板式ピストンポンプ - Google Patents

斜板式ピストンポンプ

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JPH11351131A
JPH11351131A JP10160100A JP16010098A JPH11351131A JP H11351131 A JPH11351131 A JP H11351131A JP 10160100 A JP10160100 A JP 10160100A JP 16010098 A JP16010098 A JP 16010098A JP H11351131 A JPH11351131 A JP H11351131A
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JP
Japan
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cylinder block
swash plate
piston
passage
pump
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP10160100A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Tani
信幸 谷
Yoshinobu Tsumura
宜伸 津村
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 斜板式ピストンポンプのケーシング内におけ
るキャビテーションを防止し、ポンプの性能を十分に発
揮させる。 【解決手段】 シリンダブロック(2)に、シリンダブ
ロック(2)を軸方向に貫通するブースト通路(70)を
設ける。このブースト通路(70)は、吸入ポート(71)
が排出ポート(72)よりも半径方向の内側に位置するよ
うに形成される。このブースト通路(70)へ流れた作動
油は、シリンダブロック(2)の回転で生じる遠心力に
よって加圧される。そして、この加圧された作動油をケ
ーシング内のピストン作動空間(90)に供給し、ケーシ
ング内を加圧する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧液を各種アクチ
ュエータに供給してこれらアクチュエータを作動させる
液圧ピストンポンプに関し、特に、斜板式ピストンポン
プに係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、液圧ポンプには、特開平9−
280161号公報に開示されているような斜板式ピス
トンポンプが知られている。この種の斜板式ピストンポ
ンプは、ショベル等の建設機械等に搭載され、エンジン
等によって駆動されて油圧を発生させるのに用いられて
いる。
【0003】上述の斜板式ピストンポンプは、略円筒状
のシリンダブロックと、シリンダブロックの側方に配置
された斜板とを備えている。このシリンダブロックに
は、軸方向に延びる複数のシリンダ室が形成されてい
る。また、このシリンダ室には、シリンダブロックの外
端面に開口する連通路が連通すると共に、シリンダブロ
ックの内端面側からはピストンが挿入されている。更
に、上記斜板は、ケーシング内のシリンダブロックの内
端面側に形成されたピストン作動空間に収納されてい
る。そして、上記シリンダブロックは駆動軸が接続され
て回転駆動される一方、上記ピストンは一端部が斜板に
沿って移動する。これによって、シリンダブロックの回
転に伴ってピストンがシリンダ室内で往復動し、連通路
を通じてシリンダ室に作動油が給排される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述の斜板式ピストン
ポンプでは、ケーシング内に作動油を供給して摺動部分
を潤滑するようにしている。従って、上記ピストン作動
空間も作動油で満たされた状態となっている。
【0005】一方、上記ピストン作動空間では、複数の
ピストンがシリンダブロックと共に回転しつつ往復動し
ている。つまり、該ピストン作動空間に満たされた作動
油の中でピストンが動くこととなる。このため、ピスト
ン作動空間において、キャビテーションが発生しやすく
なるという問題があった。
【0006】このキャビテーションが発生すると、気泡
が消滅する際の衝撃波で金属表面が腐食されるため、斜
板式ピストンポンプの信頼性が低下する。このため、シ
リンダブロックの回転数を上げることができず、斜板式
ピストンポンプに充分な性能を発揮させることができな
いという問題があった。
【0007】上述の問題は、建設機械用ポンプとして用
いられる斜板式ピストンポンプに多く採用されている内
部ドレン方式の場合に特に顕著である。つまり、高圧の
作動油(以下、圧油という)をシリンダ室から連通路を
通じて排出する際に、一定量の圧油の漏れが生ずる。こ
の漏れた圧油を処理する方式として、いわゆるケースド
レン方式と内部ドレン方式が知られている。このケース
ドレン方式は、漏れた圧油をピストン作動空間に導く方
式であり、この方式によれば圧油によってピストン作動
空間内を若干加圧することが可能である。これに対し
て、内部ドレン方式は、漏れた圧油を再びシリンダ室へ
吸入させるものであり、この方式によればピストン作動
空間内を加圧することはできない。このため、内部ドレ
ン方式のポンプにおいては、キャビテーションを抑制す
るためにシリンダブロックの回転数をより低くする必要
があった。
【0008】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、斜板式ピストンポン
プのケーシング内におけるキャビテーションを防止し、
該ポンプの性能を十分に発揮させることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、シリンダブロ
ック(2)にブースト通路(70)を形成し、このブース
ト通路(70)を通じて、シリンダブロック(2)の回転
で生じる遠心力によって加圧された作動油をケーシング
(9)内に供給するようにしたものである。
【0010】具体的に、本発明が講じた第1の解決手段
は、ケーシング(9)内にシリンダブロック(2)が回転
自在に収納され、該シリンダブロック(2)のシリンダ
室(24,24,…,25,25,…)にはピストン(41,41,…,42,4
2,…)が挿入される一方、上記シリンダブロック(2)
の内端面(2b)で区画されるケーシング(9)内のピス
トン作動空間(90)には、上記ピストン(41,41,…,42,
42,…)を往復動させるための斜板(5)が収納され、上
記シリンダ室(24,24,…,25,25,…)に形成される作用
室(27)が吸入側と吐出側とに切り換わって連通する斜
板式ピストンポンプを前提としている。そして、上記シ
リンダブロック(2)には、吸入口(71)が該シリンダ
ブロック(2)の外端面(2a)に開口して吸入側に連通
し、且つ排出口(72)がシリンダブロック(2)の内端
面(2b)に開口して閉空間であるピストン作動空間(9
0)に連通するブースト通路(70)を形成し、該ブース
ト通路(70)を、作動油を昇圧させるように吸入口(7
1)が排出口(72)より半径方向の内側に設定するもの
である。
【0011】また、本発明が講じた第2の解決手段は、
上記第1の解決手段において、シリンダブロック(2)
に連結されたポンプ軸(1)により回転駆動され、ケー
シング(9)内のピストン作動空間(90)の作動油を吸
入し、且つ加圧して吐出する油ポンプ(11)を設けるも
のである。
【0012】また、本発明が講じた第3の解決手段は、
上記第1又は第2の解決手段において、シリンダブロッ
ク(2)の外周面とケーシング(9)の内側面との間に設
けられ、該シリンダブロック(2)を該ケーシング(9)
に対して回転可能に支持する滑り軸受(8)を設けるも
のである。
【0013】また、本発明が講じた第4の解決手段は、
上記第1〜第3の何れか1の解決手段において、ピスト
ン(41,41,…,42,42,…)には、一端が作用室(27)
に、他端がケーシング(9)内のピストン作動空間(9
0)にそれぞれ開口し、該ピストン作動空間(90)に対
して連通及び遮断して該作用室(27)に作動油を供給す
るピストン通路(47,48,54)を設けるものである。
【0014】−作用− 上記第1の解決手段では、シリンダブロック(2)が回
転駆動すると共に、ピストン(41,41,…,42,42,…)が
斜板(5)に沿って移動する。このため、シリンダブロ
ック(2)の回転に伴ってピストン(41,41,…,42,42,
…)がシリンダ室(24,24,…,25,25,…)内で往復動す
る。一方、ピストン(41,41,…,42,42,…)によってシ
リンダ室(24,24,…,25,25,…)内に区画形成される作
用室(27)が、吸入側と吐出側とに切り換わって連通す
る。つまり、該作用室(27)が吸入側に連通した状態に
おいて、ピストン(41,41,…,42,42,…)がシリンダブ
ロック(2)の内端面(2b)側へ移動して作用室(27)
に作動油を吸引する。その後、作用室(27)が吐出側に
連通し、ピストン(41,41,…,42,42,…)がシリンダブ
ロック(2)の外端面(2a)側へ移動して作用室(27)
から作動油を押し出す。
【0015】その際、ケーシング(9)内のピストン作
動空間(90)には、シリンダブロック(2)に形成され
たブースト通路(70)を通じて作動油が供給される。こ
のブースト通路(70)は、吸入口(71)が排出口(72)
よりも半径方向の内側に形成されているため、ブースト
通路(70)を流れる作動油には、シリンダブロック
(2)の回転による遠心力が作用する。つまり、この遠
心力によって加圧された作動油が閉空間であるピストン
作動空間(90)に供給される。このため、ピストン作動
空間(90)の作動油は加圧状態となり、キャビテーショ
ンが抑制される。
【0016】また、上記第2の解決手段では、斜板式ピ
ストンポンプに油ポンプ(11)が設けられる。この油ポ
ンプ(11)は、シリンダブロック(2)を回転駆動する
ためのポンプ軸(1)に取り付けられ、ケーシング(9)
内のピストン作動空間(90)の作動油を吸入する。一
方、該ピストン作動空間(90)の作動油は、加圧状態と
なっている。このため、上記油ポンプ(11)は、加圧状
態の作動油を吸入し、この作動油を加圧して吐出する。
尚、本解決手段では、ブースト通路(70)を通じてピス
トン作動空間(90)へ供給される作動油の量は、油ポン
プ(11)の作動油吸入量よりも充分多くなるように設定
されている。これによって、ピストン作動空間(90)を
確実に加圧するようにしている。
【0017】また、上記第3の解決手段では、シリンダ
ブロック(2)の外周面とケーシング(9)の内側面との
間に滑り軸受(8)が設けられる。この滑り軸受(8)に
は、ピストン作動空間(90)内の作動油が供給されて、
油膜が形成される。そして、該滑り軸受(8)は、シリ
ンダブロック(2)の半径方向に作用する力に対し、形
成された油膜によってシリンダブロック(2)を回転可
能に支持する。
【0018】また、上記第4の解決手段では、ピストン
(41,41,…,42,42,…)には、ピストン作動空間(90)
に連通及び遮断するピストン通路(47,48,54)が形成さ
れる。そして、ピストン(41,41,…,42,42,…)がシリ
ンダブロック(2)の内端面(2b)側へ移動する際に
は、ピストン通路(47,48,54)がピストン作動空間(9
0)に連通し、ピストン作動空間(90)の加圧された作
動油も作用室(27)内に吸入される。また、ピストン
(41,41,…,42,42,…)がシリンダブロック(2)の内端
面(2b)側へ移動する際には、ピストン通路(47,48,5
4)はピストン作動空間(90)から遮断される。尚、本
解決手段では、ブースト通路(70)を通じてピストン作
動空間(90)へ供給される作動油の量は、ピストン通路
(47,48,54)を通じて作用室(27)に吸入される作動油
量よりも充分多くなるように設定されている。これによ
って、ピストン作動空間(90)を確実に加圧するように
している。
【0019】
【発明の効果】従って、上記の解決手段によれば、シリ
ンダブロック(2)に所定の簡素な形状のブースト通路
(70)を設けることのみによって、ピストン作動空間
(90)内の作動油を加圧することができる。このため、
ポンプ構成を複雑化させることなく、ピストン作動空間
(90)内におけるキャビテーションを防止することがで
きる。この結果、キャビテーションを抑制しつつシリン
ダブロック(2)の回転数を上げることができ、ポンプ
性能を十分に発揮させることができる。
【0020】また、上記第2の解決手段によれば、ピス
トン作動空間(90)内の加圧された作動油を油ポンプ
(11)に吸入させることができる。このため、該油ポン
プ(11)が作動油を吸入する際のキャビテーションを抑
制することができ、この結果、該油ポンプ(11)の性能
を十分に発揮させることができる。
【0021】また、上記第3の解決手段によれば、ピス
トン作動空間(90)におけるキャビテーションが抑制さ
れるため、作動油中に生ずる気泡に起因する滑り軸受
(8)の油膜切れを防止することができる。この結果、
該滑り軸受(8)によってシリンダブロック(2)を確実
に支持することができ、ポンプの信頼性を向上させるこ
とができる。
【0022】また、上記第4の解決手段によれば、ピス
トン通路(47,48,54)によっても作動油を作用室(27)
に供給することができる。また、ピストン作動室内の加
圧された作動油を作用室(27)へ供給することができ、
作動油が作用室(27)へ吸入される際のキャビテーショ
ンを抑制することができる。この結果、シリンダブロッ
ク(2)の回転数を上げた場合であっても、確実に作用
室(27)に作動油を供給することができ、これによっ
て、より十分にポンプ性能を発揮させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。本形態は、本発明に係る斜板式ピス
トンポンプを油圧ショベルの油圧ポンプに適用した場合
について説明する。
【0024】−ポンプの全体構成の説明− 図1は、本実施形態に係る可変容量形の斜板式ピストン
ポンプ(以下、単にポンプという)を示している。図中
(1)は図示しない原動機(エンジン)により回転駆動
されるポンプ軸、(2)はこのポンプ軸(1)と一体に回
転する円柱状のシリンダブロック、(3)はこのシリン
ダブロック(2)のポート側端面(2a)に対して油密に
摺動可能に接合されて上記シリンダブロック(2)から
吐出される圧油を分配するバルブプレート(3)であ
る。また、(4a)は上記シリンダブロック(2)の内周
側部分に配設された第1シリンダ列、(4b)はその外周
側部分に配設された第2シリンダ列、(41,41,…,42,4
2,…)はこれらのシリンダ列(4a,4b)を構成する各シ
リンダ室(24,24,…,25,25,…)内に収容されたピスト
ン、(5)はこれらピストン(41,41,…,42,42,…)の往
復動の行程を増減変更調整する可変斜板、(6)はこの
可変斜板(5)をその傾斜角度が増加する方向に付勢す
るバネ機構である。
【0025】さらに、(8)は上記シリンダブロック
(2)の外周面に全周にわたって配設された滑り軸受に
より構成されたジャーナル軸受、(9)は上記シリンダ
ブロック(2)等を収容するケーシング本体、(10)は
このケーシング本体(9)の開口端(図中左側端)を閉
止するエンドキャップである。上記ケーシング本体
(9)は、円筒状のセンタボディ(9a)と、該センタボ
ディ(9a)の一端面(図1の右側端面)に取り付けられ
たフロントキャップ(9b)とを備えている。そして、上
記ケーシング本体(9)及びエンドキャップ(10)によ
り構成されるポンプケーシングの内部が作動油に満たさ
れている。
【0026】上記ポンプ軸(1)は、基端側(同図の右
側)で軸受(1b)により中心軸(X)の回りに回転自在
に支持されている。このポンプ軸(1)の先端側(同図
の左側)は、シリンダブロック(2)の中心部に対し斜
板側(同図の右側)から途中まで挿入されて非貫通状態
になっている。このポンプ軸(1)の先端部は、スプラ
イン(1c)を介してシリンダブロック(2)と結合して
いる。
【0027】上記シリンダブロック(2)(図3(a)参
照)には、ポンプ軸(1)を中心として円周方向に列状
に形成され、上記ピストン(41,41,…)をポンプ軸
(1)の長手方向に往復摺動可能に収容する10個の上
記シリンダ室(24,24,…)が形成されている。これらシ
リンダ室(24,24,…)により上記第1シリンダ列(4a)
が構成される。また、この第1シリンダ列(4a)の外周
側には、上記ピストン(42,42,…)をポンプ軸(1)の
長手方向に往復摺動可能に収容する5個の上記シリンダ
室(25,25,…)が形成されている。これらシリンダ室
(25,25,…)により上記第2シリンダ列(4b)が構成さ
れる。
【0028】上記シリンダブロック(2)の外端面であ
るポート側端面(2a)(図3(b)参照)には、上記ポ
ンプ軸(1)を中心とする3個の同心円周位置にポート
群(21,22,23)が形成されている。
【0029】上記シリンダブロック(2)の外周寄りの
第1円周位置には、第1ポート群(21)を構成する各ポ
ート(21a,21a,…)が等間隔に5個形成されている。こ
れらの各ポート(21a)は、上記第1シリンダ列(4a)
内に一つおきに配設された第1グループの5個のシリン
ダ室(24a,24a,…)の各々に対し、これらの各シリンダ
室(24a)の略中心位置から上記ポンプ軸(1)方向に延
びる連通路により個別に連通されている。
【0030】また、上記シリンダブロック(2)の内側
の第2円周位置には、第2ポート群(22)を構成する各
ポート(22a,22a,…)が等間隔にかつ上記第1ポート群
(21)の各ポート(21a)に対して交互に5個形成
されている。この第2ポート群(22)の各ポート(22
a)は、上記第1シリンダ列(4a)のうちの上記第1グ
ループ以外の第2グループの5個のシリンダ室(24b,24
b,…)に対し、これらの各シリンダ室(24b)の上記ポ
ンプ軸(1)寄りの位置からそのポンプ軸(1)方向に延
びる連通路により個別に連通している。
【0031】また、上記シリンダブロック(2)の最も
内周寄りの第3円周位置には、第3ポート群(23)を構
成する5個のポート(23a,23a,…)が等間隔に形成され
ている。これら各ポート(23a)は、シリンダブロック
(2)の半径方向に内周側から外周側まで延びるように
放射状に形成された第1連通路(26,26,…)により、上
記第2シリンダ列(4b)を構成する第3グループの各シ
リンダ室(25)と個別に連通している。
【0032】上記ポート側端面(2a)には、ポンプ軸
(1)の中心軸(X)を中心として第3ポート群(23)の
内周側に円形凹部(2c)が、第1ポート群(21)の外周
側には円環状の環状溝部(2d)がそれぞれ同心状に形成
されている。そして、上記円形凹部(2c)と環状溝部
(2d)との間は、上記第1,第2及び第3ポート群(2
1,22,23)を囲むシール部となっている。また、該環状
溝部(2d)は所定の幅に亘って形成されており、上記ブ
ースト通路(70)の吸入ポート(71)は該環状溝部(2
d)の底面に開口している。
【0033】上記シリンダブロック(2)の内端面であ
る斜板側端面(2b)(図3(b)参照)には、その内周
側において上記第1シリンダ列(4a)を構成するシリン
ダ室(24,24,…)が開口し、また外周側において上記第
2シリンダ列(4b)を構成するシリンダ室(25,25,…)
が開口している。
【0034】また、これらシリンダ室(24,25)に挿通
される各ピストン(41,42)はその基端側が上記各シリ
ンダ室(24,25)内に収容される一方、その先端側が上
記開口から可変斜板(5)に向かって突出してその先端
部に配設されたスリッパ(43,44)を介して上記可
変斜板(5)に摺動可能に当接している。そして、上記
各ピストン(41,42)は、上記シリンダブロック(2)の
回転により、上記ポンプ軸(1)の回りを公転すると共
に、このポンプ軸(1)の長手方向に可変斜板(5)の傾
斜角度に応じて往復動する。また、上記ピストン(41,4
2)によって各シリンダ室(24,25)内に作用室(27)が
区画形成される。なお、図1において、(45)は上記各
ピストン(41,42)とスリッパ(43,44)とを連結する押
え板であり、(46)はこの押え板(45)をポンプ軸
(1)に対して回転可能に連結する押え板ガイドであ
る。
【0035】上記各ピストン(41,42)には、各ピスト
ン(41,42)の軸方向へ延びて基端側から先端側へ貫通
するピストン貫通路(47)が形成されている。また、上
記各スリッパ(43,44)には、ピストン(41,42)のピス
トン貫通路(47)に連通するスリッパ貫通路(48)が形
成されている。このスリッパ貫通路(48)の一端は、ス
リッパ(43,44)における可変斜板(5)との摺動面に開
口している。
【0036】上記シリンダブロック(2)には、図2及
び図3に示すように、本発明の特徴とするブースト通路
(70)が形成されている。該ブースト通路(70)は、シ
リンダブロック(2)を軸方向に貫通するように、5個
形成されている。そして、ブースト通路(70)の吸入口
である吸入ポート(71)がシリンダブロック(2)のポ
ート側端面(2a)に、排出口である排出ポート(72)が
シリンダブロック(2)の斜板側端面(2b)に、それぞ
れ開口している。
【0037】上記排出ポート(72)は、第2シリンダ列
を形成する各シリンダ室(25)と同一のピッチ円上に、
該各シリンダ室(25)の間に位置して開口している。つ
まり、第2シリンダ列を形成する各シリンダ室(25)
と、上記ブースト通路(70)とは、同一ピッチ円上に交
互に等間隔で形成されている。また、上記吸入ポート
(71)は、第1ポート群(21)を形成する各ポート(21
a)の外側に位置して、第1ポート群(21)と同心円状
に形成されている。更に、該吸入ポート(71)のピッチ
円の直径が該排出ポート(72)のピッチ円の直径よりも
小さくなるように、吸入ポート(71)及び排出ポート
(72)を形成している。つまり、吸入ポート(71)は排
出ポート(72)よりも、半径方向の内側に形成されてい
る。
【0038】上記バルブプレート(3)(図4参照)
は、上記エンドキャップ(10)の内面に接合される一
方、上記シリンダブロック(2)のポート側端面(2a)
に対して摺動可能に接合されている。このバルブプレー
ト(3)における上記ポンプ軸(1)を中心とする円周方
向の略半分を占める吸入側範囲(同図における左側範
囲)には、吸入側貫通孔(31)とブースト用貫通孔(3
5)とが形成されている。
【0039】上記吸入側貫通孔(31)は、上記第1、第
2及び第3ポート群(21,22,23)が連通可能な所定の幅
を有し、所定の中心角度に亘って幅広の略円弧形状に開
口している。そして、この吸入側貫通孔(31)は、上記
エンドキャップ(10)内に形成された後述の吸入側通路
(10a)と上記ポート(21a,…,22a,…,23a,…)とを連
通させて図示しない油タンクからシリンダ室(24,24,
…,25,25,…)内に作動油を供給する。
【0040】また、上記ブースト用貫通孔(35)は、上
記ブースト通路(70)の吸入ポート(71)が連通可能な
所定の幅を有し、所定の中心角度に亘って略円弧形状に
開口している。そして、このブースト用貫通孔(35)
は、上記吸入側通路(10a)と上記ブースト通路(70)
の吸入ポート(71)とを連通させ、図示しない油タンク
からブースト通路(70)を通じてケーシング内に作動油
を供給する。
【0041】また、上記バルブプレート(3)の上記ポ
ンプ軸(1)を中心とする円周方向の略半分を占める吐
出側範囲(図4における右側範囲)には、上記ポンプ軸
(1)を中心とする同心円周位置に3つの吐出側貫通孔
群(32,33,34)が形成され、各吐出側貫通孔群(32,33,
34)は、外周側から内周側へ向かって順に、第1吐出側
貫通孔群(32)、第2吐出側貫通孔群(33)及び第3吐
出側貫通孔群(34)に構成されている。該各吐出側貫通
孔群(32,33,34)は、等間隔をおいて同一ピッチ円上に
形成された3つの吐出側貫通孔(32a,…,33a,…,34a,
…)によって、それぞれ構成されている。また、第1吐
出側貫通孔群(32)を構成する第1吐出側貫通孔(32a,
…)は上記第1ポート群(21)の各ポート(21a,21a,
…)と、第2吐出側貫通孔群(33)を構成する第2吐出
側貫通孔(33a,…)は上記第2ポート群(22)のポート
(22a,22a,…)と、第3吐出側貫通孔群(34)を構成す
る第3吐出側貫通孔(34a,…)は上記第3ポート群(2
3)の各ポート(23a,23a,…)と、それぞれ連通可能に
配置されている。
【0042】そして、上記ピストン(41,41,…,42,42,
…)の往復動により、上記各グループのシリンダ室(24
a,…,24b,…,25,…)内の圧油が上記各群のポート(21
a,…,22a,…,23a,…)から吐出され、各々独立に上記各
吐出側貫通孔(32,33,34)を通過してエンドキャップ
(10)内に形成された第1吐出側通路(10b)、第2吐
出側通路(10c)又は3吐出側通路(10d)へと分配され
るようになっている。
【0043】上記ケーシング本体(9)の内部空間のう
ち、シリンダブロック(2)の斜板側端面(2b)の側方
の部分は、ピストン作動空間(90)に構成されている。
このピストン作動空間(90)は閉空間であって、上記シ
リンダブロック(2)のブースト通路(70)のみを介し
て上記エンドキャップ(10)内の吸入側通路(10a)に
連通している。また、該ピストン作動空間(90)には、
可変斜板(5)が収納されている。
【0044】上記可変斜板(5)は、その上面(図1の
左側面)に摺動面(51a)を有するドーナツ形状の本体
部(51)と、この本体部(51)の中心位置に対しバネ機
構(6)側にオフセットした回転中心位置(A)を通るよ
うにその本体部(51)の外周面から外方に突出して形成
された回転軸(52)と、上記本体部(51)に対しその回
転軸(52)に直交する方向の一端側(図1の上端側)で
外周面から外方に突出する突出部(53)とにより構成さ
れている。
【0045】上記可変斜板(5)は、上記回転軸(52)
のオフセット配置により、圧油を吐出するピストン(4
1,41,…,42,42,…)の反力を受けて傾斜角度が減少する
向き(図1における反時計回り)の自己復帰モーメント
が発生するようになっている。また、上記可変斜板
(5)は、その突出部(53)がケーシング本体(9)の底
壁部(図1の右側壁部)に当接してそれ以上の回動が阻
止された状態で傾斜角度が最大(例えば、17度)の傾
斜状態になる一方、反対側に回動して本体部(51)が上
記ケーシング本体(9)の底壁部に当接してそれ以上の
回動が阻止された状態で傾斜角度が零度の中立状態にな
るように構成されている。そして、この可変斜板(5)
の傾斜角度により、上記摺動面(51a)に対しスリッパ
(43,43,…,44,44,…)を介して摺接しているピストン
(41,41,…,42,42,…)の往復動の行程が増減変更調整
されるようになっている。
【0046】また、上記可変斜板(5)には、ピストン
作動室内の作動油をスリッパ貫通路(48)及びピストン
貫通路(47)を通じて各シリンダ室(24,25)の作用室
(27)へ供給する斜板内通路(54)が形成されている。
該斜板内通路(54)は、一端側においてピストン作動室
に連通する一方、他端側は摺動面(51a)に開口してい
る。該斜板内通路(54)の摺動面(51a)における開口
部は、所定の中心角を有する円弧状に形成され、各ピス
トン(41,42)が可変斜板(5)側へ移動して作用室(2
7)に作動油を吸入する際に、上記各スリッパ貫通路(4
8)に連通するように構成されている。そして、上記ピ
ストン貫通路(47)、スリッパ貫通路(48)及び斜板内
通路(54)は、請求項4にいうピストン通路に構成され
ている。
【0047】上記バネ機構(6)は、互いに同軸に配置
された2つのコイルスプリング(61,62)を備えてい
る。これらコイルスプリング(61,62)は、エンドキャ
ップ(10)に摺動自在に装着された支持部材(63)と、
可変斜板(5)の吐出部(53)に当接された当接部材(6
4)との間に縮装されている。これにより、コイルスプ
リング(61,62)は、可変斜板(5)を、その傾斜角度に
略比例する両コイルスプリング(61,62)の押圧付勢力
で最大傾斜側(図1の時計回り)へ付勢している。
【0048】上記ジャーナル軸受(8)は、シリンダブ
ロック(2)の外周面と、ケーシング本体(9)の内周面
との間に配設されており、シリンダブロック(2)の外
周面との間に油膜を形成して、この油膜によりシリンダ
ブロック(2)を径方向に支持している。
【0049】上記エンドキャップ(10)には、図5に示
すように、吸入側通路(10a)と、吸入側分岐通路(10
f)と、3つの吐出側通路(10b,10c,10d)とが形成され
ている。
【0050】上記各吐出側通路(10b,10c,10d)は、各
々バルブプレート(3)に形成された各吐出側貫通孔(3
2a,33a,34a)を介してシリンダ室(24a,…,24b,…,25,
…)と個別に連通している。そして、該各吐出側通路
(10b,10c,10d)は、上記バルブプレート(3)の第1吐
出側貫通孔(32a,…)に連通する第1吐出側通路(10
b)と、第2吐出側貫通孔(33a,…)に連通する第2吐
出側通路(10c)と、第3吐出側貫通孔(34a,…)に連
通する第3吐出側通路(10d)とに構成されている。更
に、該第1吐出側通路(10b)は図示省略のショベルの
左側走行系統と、該第2吐出側通路(10c)は上記ショ
ベルの右側走行系統と、該第3吐出側通路(10d)は上
記ショベルの旋回系統と各々油圧配管により独立に接続
している。
【0051】上記吸入側通路(10a)は、バルブプレー
ト(3)に形成された吸入側貫通孔(31)を介してシリ
ンダ室(24a,…,24b,…,25,…)と連通している。ま
た、上記吸入側分岐通路(10f)は、該吸入側通路(10
a)から分岐して形成され、バルブプレート(3)に形成
されたブースト用貫通孔(35)を介してシリンダブロッ
ク(2)のブースト通路(70)と連通している。そし
て、上記吸入側通路(10a)は、油圧配管により上記シ
ョベルに配設された油タンク(図示省略)に接続され
て、作動油を該シリンダ室(24a,…,24b,…,25,…)及
びブースト通路(70)に供給している。
【0052】更に、上記吸入側通路(10a)はドレン通
路(10e)によりケーシング本体(9)の内部に連通して
いる。そして、シリンダブロック(2)の吐出側でその
ポート側端面(2a)とバルブプレート(3)との隙間か
ら上記ケーシング本体(9)内に漏出した作動油は、ケ
ーシング本体(9)内から該ドレン通路(10e)を通じて
吸入側通路(10a)へ還流される。
【0053】なお、図1において、(11)はポンプ軸
(1)により回転駆動されるトロコイドポンプである。
このトロコイドポンプ(11)は、ケーシング本体(9)
内に形成されたピストン作動空間(90)の作動油を吸込
み、加圧して吐出する油ポンプに構成されている。そし
て、このトロコイドポンプ(11)が吐出する作動油は、
ケーシング本体(9)に形成された通路(11b)を介して
ショベルの図示しないパイロット操作回路に供給され
る。
【0054】−ポンプの運転動作の説明− 次に、本実施形態に係るポンプの作動を説明する。原動
機の運転によりポンプ軸(1)を回転させると、ピスト
ン(41,41,…,42,42,…)が最大傾斜状態の可変斜板
(5)に沿って最大の往復行程を往復動することにより
最大量の作動油を吸入して最大量の圧油を吐出する。
【0055】まず、ピストン(41,42)が可変斜板(5)
側へ移動する吸入過程においては、第1〜第3の各ポー
ト群(21,22,23)の各ポート(21a,22a,23a)がバルブ
プレート(3)の吸入側貫通孔(31)を介してエンドキ
ャップ(10)の吸入側通路(10a)に連通し、シリンダ
室(24,25)内の作用室(27)に作動油を吸入する。そ
の際、該作用室(27)は、ピストン貫通路(47)、スリ
ッパ貫通路(48)及び斜板内通路(54)を介してピスト
ン作動空間(90)に連通する。このため、該ピストン作
動空間(90)内の作動油も、作用室(27)に吸入され
る。
【0056】その後、シリンダブロック(2)の回転に
伴い、ピストン(41,42)がエンドキャップ(10)側へ
移動する吐出過程が行われる。この際、上記シリンダブ
ロック(2)の各シリンダ室(24a,…,24b,…,25,…)内
の圧油は、上記第1〜第3の各ポート群(21,22,23)と
上記バルブプレート(3)の第1〜第3の各吐出側貫通
孔(32a,33a,34a)を通じて、上記第1〜第3の各吐出
側通路(10b,10c,10d)に流れる。即ち、第1グループ
のシリンダ室(24a,24a,…)内の圧油は第1ポート群
(21)と第1吐出側貫通孔(32a,…)とを通過して第1
吐出側通路(10b)に、第2グループのシリンダ室(24
b,24b,…)内の圧油は第2ポート群(22)と第2吐出側
貫通孔(33a,…)とを通過して第2吐出側通路(10c)
に、第3グループのシリンダ室(25,25,…)内の圧油は
第3ポート群(23)と第3吐出側貫通孔(34a,…)とを
通過して第3吐出側通路(10d)にそれぞれ独立に流れ
る。そして、上記第1〜第3の各吐出側通路(10b,10c,
10d)に流れた圧油は、油圧配管を介してショベルの各
油圧系統に独立に供給される。
【0057】また、各シリンダ室(24a,24b,25)から各
吐出通路(10b,10c,10d)へ圧油が流れる際に、シリン
ダブロック(2)とバルブプレート(3)の間で圧油の漏
れが生ずる。この漏れた圧油は上記環状溝部(2d)へ流
れ、吸入ポート(71)からブースト通路(70)へ流入す
る。従って、漏れた圧油によって昇圧した作動油を、ブ
ースト通路(70)で更に昇圧してピストン作動空間(9
0)へ供給することとなり、ピストン作動空間(90)が
確実に加圧される。
【0058】ここで、上記第1グループのシリンダ室
(24a,24a,…)から吐出される第1吐出流と第2グルー
プのシリンダ室(24b,24b,…)から吐出される第2吐出
流とは、どちらも第1シリンダ列(4a)を構成する等容
積のシリンダ室(24)から吐出される等量の吐出流であ
る。このため、上記の両吐出流をそれぞれ上記ショベル
の左右の走行系に独立に供給することにより、このショ
ベルの走行直進性が良好なものとなる。また、上記第3
グループのシリンダ室(25,25,…)から吐出される第3
吐出流をショベルの旋回系に供給することにより、この
旋回系を上記左右の走行系の作動に影響されずに操作す
ることができ、その操作性が良好なものとなる。
【0059】また、上記シリンダブロック(2)の回転
によって、吸入側分岐通路(10f)からブースト通路(7
0)に流入した作動油が、ピストン作動空間(90)に供
給される。その際、該作動油は、シリンダブロック
(2)の回転に伴う遠心力によって加圧され、ピストン
作動空間(90)内の作動油は加圧された状態となる。従
って、該ピストン作動空間(90)内での局部的な減圧に
起因して生じるキャビテーションが抑制される。
【0060】尚、ブースト通路(70)を通じてピストン
作動空間(90)へ供給される作動油の量は、油ポンプ
(11)に吸入される作動油量及びピストン通路(47,48,
54)を通じて作用室(27)に吸入される作動油量よりも
充分多くなるように設定されている。これによって、ピ
ストン作動空間(90)が確実に加圧される。
【0061】また、可変斜板(5)が、吐出側のピスト
ン(41,42)を介して作用するポンプの吐出圧を受け、
バネ機構(6)の押圧付勢力に抗して傾斜角度が減少す
る向きに回転するようになっているため、この可変斜板
(5)は、上記吐出側の油圧力とバネ機構(6)の押圧付
勢力とが均衡した状態で角度維持されることになる。従
って、上記第1吐出流、第2吐出流及び第3吐出流のそ
れぞれをそれらの吐出圧の増大に従い減少させることが
できる。このため、走行系及び旋回系の油圧の増大に伴
う原動機のオーバーロード運転が防止され、かつ、リリ
ーフ弁を開放する頻度が低減して動力損失を低減する。
つまり、上記ポンプの流量・圧力制御として負荷の合計
に基づく総合的な全馬力制御を行うことにより原動機の
出力のさらなる有効利用が図られる。
【0062】さらに、上記ポンプにおいては、第2シリ
ンダ列(4b)が第1シリンダ列(4a)の外周側に配設さ
れているものの、この第2シリンダ列(4b)と連通され
る第3ポート群(23)がシリンダブロック(2)のポー
ト側端面(2a)における内周側に配設されている。つま
り、この第3ポート群(23)と連通される第3吐出側貫
通孔群(34)がバルブプレート(3)の内周側に形成さ
れてその開口断面積が比較的小さく設定されており、ま
た、上記ポート側端面(2a)において第3ポート群(2
3)を囲むように配設されたシール部の面積も比較的小
さく設定されている。従って、上記第3吐出側貫通孔
(34a,…)を介して上記ポート側端面(2a)に作用する
吐出圧によりこのシリンダブロック(2)をバルブプレ
ート(3)から引き離そうとする引離し力が比較的小さ
くなる。これによって、そのシリンダブロック(2)と
バルブプレート(3)との隙間からの圧油の漏出量が低
減し、動力損失の低減と吐出圧の維持とが図られる。
【0063】−実施形態の効果− 上記の実施形態によれば、シリンダブロック(2)に所
定の簡素な形状のブースト通路(70)を設けることのみ
によって、ピストン作動空間(90)内の作動油を加圧す
ることができる。このため、ポンプ構成を複雑化させる
ことなく、ピストン作動空間(90)内におけるキャビテ
ーションを防止することができる。この結果、キャビテ
ーションを抑制しつつシリンダブロック(2)の回転数
を上げることができ、ポンプ性能を十分に発揮させるこ
とができる。
【0064】また、ピストン作動空間(90)内の加圧さ
れた作動油をトロコイドポンプ(11)に吸入させること
ができる。このため、該トロコイドポンプ(11)が作動
油を吸入する際のキャビテーションも抑制することがで
き、この結果、該トロコイドポンプ(11)の性能を十分
に発揮させることができる。
【0065】また、ピストン作動空間(90)におけるキ
ャビテーションが抑制されるため、作動油中に生ずる気
泡に起因するジャーナル軸受(8)の油膜切れを防止す
ることができる。この結果、該ジャーナル軸受(8)に
よってシリンダブロック(2)を確実に支持することが
でき、ポンプの信頼性を向上させることができる。
【0066】また、ピストン作動室内の加圧された作動
油を作用室(27)へ供給することができ、ピストン作動
室内の作動油をシリンダ内の作用室(27)へ吸入させる
際においてもキャビテーションを抑制することができ
る。この結果、シリンダブロック(2)の回転数を上げ
た場合であっても、確実に作用室(27)に作動油を供給
することができ、これによって、より十分にポンプ性能
を発揮させることができる。
【0067】具体的に、上記ブースト通路(70)を設け
たことによる効果について、図6及び図7のグラフに基
づいて説明する。尚、図6及び図7において、実線がブ
ースト通路(70)を設けた本実施形態の場合を示し、破
線がブースト通路(70)を設けない従来の場合を示して
いる。
【0068】先ず、図6は、シリンダブロック(2)の
回転数とケース内圧力、即ち上記ピストン作動空間(9
0)における作動油の圧力との関係を示している。そし
て、従来は回転数の上昇に伴ってケース内圧力が低下し
ていたのに対し、本実施形態によれば回転数を上昇させ
てもケース内圧力をほぼ一定に維持することができる。
【0069】また、図7は、シリンダブロック(2)の
回転数と吸入効率との関係を示している。これによる
と、従来は、回転数の上昇に従って吸入効率が低下して
いたのに対し、本実施形態によれば、回転数を上昇させ
た場合であっても吸入効率はほぼ一定に維持される。つ
まり、従来は、シリンダブロック(2)の回転数を上昇
させても吸入効率が低下するため、回転数の上昇に見合
うだけの能力の増大は望めなかった。これに対し、本実
施形態によれば、回転数を上昇させた分だけ確実にポン
プの能力を増大させることができる。この結果、ポンプ
性能を十分に発揮させることが可能となる。
【0070】−実施形態の変形例− なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものでは
なく、その他種々の実施形態を包含するものである。す
なわち、上記実施形態では、可変容量形ピストンポンプ
として油圧ピストンポンプに適用しているが、これに限
らず、作動油以外の液体を用いる液圧ポンプに適用して
もよい。
【0071】上記実施形態では、可変斜板(5)の傾斜
角度を調整する機構として、可変斜板(5)の回転中心
をバネ機構(6)側へオフセット配置するようにしてい
るが、これに限らず、種々の機構が適用可能である。
【0072】また、上記実施形態は、3つの配管系統に
別個に圧油を供給可能な、いわゆる3流量型の斜板式ピ
ストンポンプにブースト通路(70)を設けるようにして
いる。これに対し、図8及び図9に示すように、2つの
配管系統に別個に圧油を供給可能な、いわゆる2流量型
の斜板式ピストンポンプにブースト通路(70)を設ける
ようにしてもよい。
【0073】つまり、シリンダブロック(2)には、同
一ピッチ円上に等間隔で形成された10個のシリンダ室
(24,24,…)から成る第1シリンダ列を形成する一方、
シリンダブロック(2)の斜板側端面(2b)において、
該第1シリンダ列よりも半径方向の外側に位置するよう
に、同一ピッチ円上にブースト通路(70)の排出ポート
(72)を形成する。また、シリンダブロック(2)のポ
ート側端面(2a)において、該第1シリンダ列のシリン
ダ室(24,24,…)に連通する第1及び第2ポート群(2
1,22)を上記実施形態と同様に同心円上に形成する一
方、該第1及び第2ポート群(21,22)よりも半径方向
の内側に位置するように、同一ピッチ円上にブースト通
路(70)の吸入ポート(71)を形成する。この変形例に
おける作用及び効果は、上記の実施形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る斜板式ピストンポンプ
を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るシリンダブロックの概
略断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るシリンダブロックの斜
板側端面側から見た側面図及びポート側端面側から見た
側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るバルブプレートの正面
図である。
【図5】本発明の実施形態に係る斜板式ピストンポンプ
を示す上方から見た部分断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る斜板式ピストンポンプ
により得られる効果を示すグラフである。
【図7】本発明の実施形態に係る斜板式ピストンポンプ
により得られる効果を示すグラフである。
【図8】本発明の実施形態の変形例に係るシリンダブロ
ックの概略断面図である。
【図9】本発明の実施形態の変形例に係るシリンダブロ
ックの斜板側端面側から見た側面図である。
【符号の説明】
(1) ポンプ軸 (2) シリンダブロック (2a) ポート側端面(外端面) (2b) 斜板側端面 (内端面) (5) 可変斜板(斜板) (8) ジャーナル軸受(滑り軸受) (9) ケーシング本体(ケーシング) (11) トロコイドポンプ(油ポンプ) (24) シリンダ室 (25) シリンダ室 (27) 作用室 (41) ピストン (42) ピストン (47) ピストン貫通路 (48) スリッパ貫通路 (54) 斜板内通路 (70) ブースト通路 (71) 吸入ポート(吸入口) (72) 排出ポート(排出口) (90) ピストン作動空間

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング(9)内にシリンダブロック
    (2)が回転自在に収納され、 該シリンダブロック(2)のシリンダ室(24,24,…,25,2
    5,…)にはピストン(41,41,…,42,42,…)が挿入され
    る一方、 上記シリンダブロック(2)の内端面(2b)で区画され
    るケーシング(9)内のピストン作動空間(90)には、
    上記ピストン(41,41,…,42,42,…)を往復動させるた
    めの斜板(5)が収納され、 上記シリンダ室(24,24,…,25,25,…)に形成される作
    用室(27)が吸入側と吐出側とに切り換わって連通する
    斜板式ピストンポンプにおいて、 上記シリンダブロック(2)には、吸入口(71)が該シ
    リンダブロック(2)の外端面(2a)に開口して吸入側
    に連通し、且つ排出口(72)がシリンダブロック(2)
    の内端面(2b)に開口して閉空間であるピストン作動空
    間(90)に連通するブースト通路(70)が形成され、 該ブースト通路(70)は、作動油を昇圧させるように吸
    入口(71)が排出口(72)より半径方向の内側に設定さ
    れていることを特徴とする斜板式ピストンポンプ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の斜板式ピストンポンプに
    おいて、 シリンダブロック(2)に連結されたポンプ軸(1)によ
    り回転駆動され、ケーシング(9)内のピストン作動空
    間(90)の作動油を吸入し、且つ加圧して吐出する油ポ
    ンプ(11)を備えていることを特徴とする斜板式ピスト
    ンポンプ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の何れか1記載の斜板式
    ピストンポンプにおいて、 シリンダブロック(2)の外周面とケーシング(9)の内
    側面との間に設けられ、該シリンダブロック(2)を該
    ケーシング(9)に対して回転可能に支持する滑り軸受
    (8)を備えていることを特徴とする斜板式ピストンポ
    ンプ。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れか1記載の斜板式
    ピストンポンプにおいて、 ピストン(41,41,…,42,42,…)には、一端が作用室(2
    7)に、他端がケーシング(9)内のピストン作動空間
    (90)にそれぞれ開口し、該ピストン作動空間(90)に
    対して連通及び遮断して該作用室(27)に作動油を供給
    するピストン通路(47,48,54)を備えていることを特徴
    とする斜板式ピストンポンプ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103742380A (zh) * 2014-01-02 2014-04-23 北京工业大学 一种低脉动的海水柱塞马达
CN104865060A (zh) * 2015-05-21 2015-08-26 浙江大学 一种多功能柱塞泵滑靴副油膜场参数测试试验台
CN113653635A (zh) * 2021-08-30 2021-11-16 北京航空航天大学宁波创新研究院 一种缸体滑动支撑结构及液压柱塞泵
CN114829769A (zh) * 2019-12-19 2022-07-29 株式会社小松制作所 液压泵·马达

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