JP2023042733A - 流体機械及び建設機械 - Google Patents

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幸治 高梨
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Abstract

Figure 2023042733000001
【課題】弁板の加工コストを抑制でき、シリンダ室の十分な腐食防止効果を得ることができる流体機械及び建設機械を提供する。
【解決手段】実施形態のメインポンプは、シリンダブロックと、シリンダ室にスライド移動自在に収納されたピストンと、シリンダブロックが収納されたケーシングと、シリンダブロックとケーシングとの間に配置された弁板19とを備える。弁板19は、吸入口と、第1面41aに形成された一対の切換ランドを挟んで吸入口とは反対側に形成された吐出口と、押付ピストンを収納するピストン収納凹部49と、ピストン収納凹部49と切換ランドとを通じさせる弁板連通孔51と、を有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、流体機械及び建設機械に関する。
流体機械として、例えば油圧ショベル等の建設機械に搭載されるいわゆる斜板式の油圧ピストンポンプ(以下、単に油圧ポンプという)がある。この種の油圧ポンプは、例えばポンプケーシング内に回転可能に支持されたシャフトと、シャフトの外周面に固定されたシリンダブロックと、複数のピストンと、を備える。シリンダブロックには、複数のシリンダ室が形成されている。これらシリンダ室に、それぞれピストンがシャフトの軸方向(以下、単に軸方向という)に沿ってスライド移動自在に収納されている。
また、油圧ポンプは、シリンダブロックの軸方向の第1端部側に配置される斜板、及び第1端部とは反対側の第2端部側に配置される弁板を備える。斜板は、斜板の表面上を移動可能な各ピストンの端部を介し、シリンダ室内でのピストンのスライド移動を規制する。斜板は、ポンプケーシングに対する傾き角度に応じてシリンダ室とピストンとで形成される空間容積を変化させる。弁板には、シリンダブロックの複数のシリンダ室に対応する位置で作動油が流れる吸入口及び吐出口が形成されている。吸入口は、ポンプケーシングの吸入路に通じている。吐出口は、ポンプケーシングの吐出路に通じている。弁板におけるシリンダブロック側の端面には、吸入口と吐出口との間に、シリンダブロックの第2端部に面する切換ランドが形成される。
このような構成のもと、シャフトの軸回りにシリンダブロックが回転すると、シャフトを中心に各シリンダ室が周回され、弁板の切換ランドを介して吸入口及び吐出口に交互に通じる。吸入口にシリンダ室が通じるタイミングでは、シリンダ室内の空間容積を増大させるようにシリンダ室内をピストンがスライド移動される。これにより、吸入路及び吸入口を介してポンプケーシング外からシリンダ室に作動油が吸入される(吸入工程)。一方、シリンダ室が吐出口に通じるタイミングでは、シリンダ室内の空間容積を縮小させるようにシリンダ室内をピストンがスライド移動される。これにより、吐出口及び吐出路を介してシリンダ室からポンプケーシング外に作動油が吐出される(吐出工程)。
ここで、シリンダ室が吐出口に通じるタイミングではシリンダ室が吐出口を介して急激に開放されるため、圧力差でシリンダ室に作動油が逆噴射してしまう可能性がある。このような場合、シリンダ室の内壁面に高速の流体(作動油)が衝突することにより、キャビテーションエロージョン(以下、腐食という)が発生してしまう。このため、弁板の吐出口と弁板の切換ランドとを通じさせる孔を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、弁板の切換ランドのうち吸入工程から吐出工程に切り換る下死点位置にある切換ランドにノッチを形成する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。いずれの技術も吐出口側の流体の圧力をシリンダ室内に導入することにより、シリンダ室内の急激な圧力変化を抑制しようとしている。
特開昭57-171086号公報 特開2010-174690号公報
しかしながら、上述の特許文献1では、容易に孔を加工することが困難で弁板の加工コストが増大してしまう可能性があった。
また、上述の特許文献2では、吐出口の直近でこの吐出口の圧力をシリンダ室にバイパスすることになるので、腐食防止の効果を得られにくい可能性があった。
本発明は、弁板の加工コストを抑制でき、シリンダ室の十分な腐食防止効果を得ることができる流体機械及び建設機械を提供する。
本発明の一態様に係る流体機械は、シリンダ室を有するとともに、前記シリンダ室の内外を通じさせるブロック連通孔を有するシリンダブロックと、前記シリンダ室にスライド移動自在に収納され前記シリンダ室を圧縮させる吐出工程、及び前記シリンダ室を膨張させる吸入工程を行うピストンと、前記シリンダブロックが収納され吸入路及び吐出路を有するケーシングと、前記シリンダブロックと前記ケーシングとの間に配置された弁板と、前記弁板を前記シリンダブロック側に向かって押し付ける押付部材と、を備え、前記弁板は、前記ブロック連通孔と前記吸入路とを通じさせる吸入口と、前記シリンダブロック側の第1面に形成された一対の切換ランドを挟んで前記吸入口とは反対側に形成され前記ブロック連通孔と前記吐出路とを通じさせる吐出口と、前記第1面とは反対側の第2面における前記吸入路及び前記吐出路を避けた位置に形成され前記押付部材を収納する押付部材収納凹部と、前記押付部材収納凹部と前記切換ランドとを通じさせる弁板連通孔と、を有する。
このように、押付部材収納凹部を利用して弁板連通孔を形成することにより、この弁板連通孔を介して吐出口の圧力を切換ランド側へとバイパスさせることができる。このため、シリンダ室内の急激な圧力変化を抑制できる。よって、弁板の加工コストを抑制でき、シリンダ室の十分な腐食防止効果を得ることができる。
上記構成で、前記弁板は、前記吐出口から前記一対の切換ランドのうちの前記ピストンが前記吸入工程から前記吐出工程に切り換る下死点位置にある下死点切換ランドに向けて延びるノッチを有し、前記弁板連通孔は、前記ノッチの前記吐出口とは反対側の先端から前記吸入口側に離間した位置に配置されてもよい。
上記構成で、前記弁板は、前記吐出口から前記一対の切換ランドのうちの前記ピストンが前記吸入工程から前記吐出工程に切り換る下死点位置にある下死点切換ランドに向けて延びるノッチを有し、前記弁板連通孔は、前記ノッチの前記吐出口とは反対側の先端に配置されてもよい。
上記構成で、前記押付部材は、円板状の小ピストンでもよい。
本発明の他の態様に係る流体機械は、シリンダ室を有するとともに、前記シリンダ室の内外を通じさせるブロック連通孔を有するシリンダブロックと、前記シリンダ室にスライド移動自在に収納され前記シリンダ室を圧縮させる吐出工程と前記シリンダ室を膨張させる吸入工程とを行うピストンと、前記シリンダブロックが収納され吸入路及び吐出路を有するケーシングと、前記シリンダブロックと前記ケーシングとの間に配置された弁板と、前記弁板を前記シリンダブロック側に向かって押し付ける押付部材と、を備え、前記弁板は、前記ブロック連通孔と前記吸入路とを通じさせる吸入口と、前記シリンダブロック側の第1面に形成された一対の切換ランドを挟んで前記吸入口とは反対側に形成され前記ブロック連通孔と前記吐出路とを通じさせる吐出口と、前記第1面とは反対側の第2面における前記吸入路及び前記吐出路を避けた位置に形成され前記押付部材を収納する押付部材収納凹部と、前記吐出口から前記一対の切換ランドのうちの前記ピストンが前記吸入工程から前記吐出工程に切り換る下死点位置にある下死点切換ランドに向けて延びるノッチと、前記ノッチの前記吐出口とは反対側の先端から前記吸入口側に離間した位置に配置され前記押付部材収納凹部と前記切換ランドとを通じさせる弁板連通孔と、を有する。
このように構成することで、押付部材収納凹部を利用して弁板連通孔を形成することにより、この弁板連通孔を介して吐出口の圧力を仮死点切換ランド側へとバイパスさせることができる。このため、吐出工程時にシリンダ室に流体が逆噴射してしまうことを防止できる。よって、弁板の加工コストを抑制でき、シリンダ室の十分な腐食防止効果を得ることができる。
本発明の他の態様に係る流体機械は、シリンダ室を有するとともに、前記シリンダ室の内外を通じさせるブロック連通孔を有するシリンダブロックと、前記シリンダ室にスライド移動自在に収納され前記シリンダ室を圧縮させる吐出工程と前記シリンダ室を膨張させる吸入工程とを行うピストンと、前記シリンダブロックが収納され吸入路及び吐出路を有するケーシングと、前記シリンダブロックと前記ケーシングとの間に配置された弁板と、前記弁板を前記シリンダブロック側に向かって押し付ける押付部材と、を備え、前記弁板は、前記ブロック連通孔と前記吸入路とを通じさせる吸入口と、前記シリンダブロック側の第1面に形成された一対の切換ランドを挟んで前記吸入口とは反対側に形成され前記ブロック連通孔と前記吐出路とを通じさせる吐出口と、前記第1面とは反対側の第2面における前記吸入口及び前記吐出口を避けた位置に形成され前記押付部材を収納する押付部材収納凹部と、前記吐出口から前記一対の切換ランドのうちの前記ピストンが前記吸入工程から前記吐出工程に切り換る下死点位置にある下死点切換ランドに向けて延びるノッチと、前記ノッチの前記吐出口とは反対側の先端に配置され前記押付部材収納凹部と前記切換ランドとを通じさせる弁板連通孔と、を有する。
ここで、切換ランドは弁板の仕上げ加工時に弁板を研磨することにより形成される。この際、ノッチの先端に弁板連通孔を形成することにより、研磨代によってノッチと弁板連通孔との間の距離が変化してしまうことを防止できる。つまり、研磨代によってノッチの先端位置が変化してしまうが、ノッチの先端に弁板連通孔を形成することによりノッチと弁板連通孔との間の距離が変化してしまうことを防止できる。このため、研磨代に関わらず弁板連通孔による効果を安定させることができる。
本発明の他の態様に係る建設機械は、車体と、前記車体に設けられたアクチュエータの駆動源となる流体を吸入及び吐出する流体機械と、を備え、前記流体機械は、シリンダ室を有するとともに、前記シリンダ室の内外を通じさせるブロック連通孔を有するシリンダブロックと、前記シリンダ室にスライド移動自在に収納され前記シリンダ室を圧縮させる吐出工程と前記シリンダ室を膨張させる吸入工程とを行うピストンと、前記シリンダブロックが収納され吸入路及び吐出路を有するケーシングと、前記シリンダブロックと前記ケーシングとの間に配置された弁板と、前記弁板を前記シリンダブロック側に向かって押し付ける押付部材と、を備え、前記弁板は、前記ブロック連通孔と前記吸入路とを通じさせる吸入口と、前記シリンダブロック側の第1面に形成された一対の切換ランドを挟んで前記吸入口とは反対側に形成され前記ブロック連通孔と前記吐出路とを通じさせる吐出口と、前記第1面とは反対側の第2面における前記吸入口及び前記吐出口を避けた位置に形成され前記押付部材を収納する押付部材収納凹部と、前記吐出口から前記一対の切換ランドのうちの前記ピストンが前記吸入工程から前記吐出工程に切り換る下死点位置にある下死点切換ランドに向けて延びるノッチと、前記ノッチの前記吐出口とは反対側の先端から前記吸入口側に離間した位置に配置され前記押付部材収納凹部と前記切換ランドとを通じさせる弁板連通孔と、を有する。
このように構成することで、弁板の加工コストを抑制でき、シリンダ室の十分な腐食防止効果を得ることができる建設機械を提供できる。
本発明の他の態様に係る建設機械は、車体と、前記車体に設けられたアクチュエータの駆動源となる流体を吸入及び吐出する流体機械と、を備え、前記流体機械は、シリンダ室を有するとともに、前記シリンダ室の内外を通じさせるブロック連通孔を有するシリンダブロックと、前記シリンダ室にスライド移動自在に収納され前記シリンダ室を圧縮させる吐出工程と前記シリンダ室を膨張させる吸入工程とを行うピストンと、前記シリンダブロックが収納され吸入路及び吐出路を有するケーシングと、前記シリンダブロックと前記ケーシングとの間に配置された弁板と、前記弁板を前記シリンダブロック側に向かって押し付ける押付部材と、を備え、前記弁板は、前記ブロック連通孔と前記吸入路とを通じさせる吸入口と、前記シリンダブロック側の第1面に形成された一対の切換ランドを挟んで前記吸入口とは反対側に形成され前記ブロック連通孔と前記吐出路とを通じさせる吐出口と、前記第1面とは反対側の第2面における前記吸入口及び前記吐出口を避けた位置に形成され前記押付部材を収納する押付部材収納凹部と、前記吐出口から前記一対の切換ランドのうちの前記ピストンが前記吸入工程から前記吐出工程に切り換る下死点位置にある下死点切換ランドに向けて延びるノッチと、前記ノッチの前記吐出口とは反対側の先端に配置され前記押付部材収納凹部と前記切換ランドとを通じさせる弁板連通孔と、を有する。
このように構成することで、研磨代に関わらず弁板連通孔による効果を安定させることができる建設機械を提供できる。
上述の流体機械及び建設機械は、弁板の加工コストを抑制でき、シリンダ室の十分な腐食防止効果を得ることができる。
本発明の実施形態における建設機械の概略構成図。 本発明の実施形態におけるポンプユニットの一部を破断して示す構成図。 本発明の第1実施形態における弁板の第1面側の平面図。 本発明の第1実施形態における弁板の第2面側の平面図。 図4のA-A線に沿う断面図。 図3のB-B線に沿う断面図。 本発明の第2実施形態における弁板の要部の断面図。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<建設機械>
図1は、建設機械100の概略構成図である。
図1に示すように、建設機械100は、例えば油圧ショベルなどである。建設機械100は、旋回体(請求項における車体の一例)101と、旋回体101の下部に設けられた走行体(請求項における車体の一例)102と、を備える。旋回体101は、走行体102の上部で旋回する。旋回体101は、ポンプユニット(請求項における流体機械の一例)110を備える。
旋回体101は、この旋回体101に搭乗する操作者を支持するキャブ103と、キャブ103に一端が連結されたブーム104と、ブーム104の他端に一端が連結されたアーム105と、アーム105の他端に連結されたバケット106と、を備える。ブーム104は、キャブ103に対して揺動する。アーム105は、ブーム104に対して揺動する。バケット106は、アーム105に対して揺動する。
ポンプユニット110は、キャブ103内に設けられている。ポンプユニット110から供給される作動油は、キャブ103、ブーム104、アーム105及びバケット106の駆動源となる。
<ポンプユニット>
図2は、ポンプユニット110の一部を破断して示す構成図である。
ポンプユニット110は、いわゆる油圧ポンプであり、作動油を吸入及び吐出する。図2に示すように、ポンプユニット110は、流体機械としてのメインポンプ(請求項における流体機械の一例)1と、メインポンプ1の一側に設けられたギアポンプ111と、を備える。なお、図2は、メインポンプ1のみを軸方向に沿う断面で示す。また、図2では、説明を分かりやすくするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
<メインポンプ>
メインポンプ1は、いわゆる斜板式可変容量型油圧ポンプである。メインポンプ1は、メインケーシング(請求項におけるケーシングの一例)2と、メインケーシング2に対して中心軸線C回りに回転自在に支持されたシャフト3と、メインケーシング2内に収納されるとともに、シャフト3に固定されたシリンダブロック4と、メインケーシング2内に収納されるとともに、メインケーシング2に対して傾き自在に設けられた斜板5と、シリンダブロック4に設けられたピストン21と、メインケーシング2とシリンダブロック4との間に配置された弁板19と、弁板19に設けられた押付ピストン(請求項における押付部材の一例)46と、を主構成としている。
なお、図2では、説明を分かりやすくするために、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下の説明では、シャフト3の中心軸線Cと平行な方向を軸方向と称し、シャフト3の回転方向を周方向と称し、シャフト3の径方向を単に径方向と称する。
メインケーシング2は、開口部9aを有する箱状のケーシング本体(請求項におけるケーシングの一例)9と、ケーシング本体9の開口部9aを閉塞するフロントフランジ10と、を備える。
ケーシング本体9は、開口部9aとは反対側に設けられた底壁119を備える。底壁119は、シャフト3の中心軸線C上に位置するケーシング本体9の壁部である。底壁119の内面119a側に、シリンダブロック4が配置される。底壁119の外面119bに、ギアポンプ111が取り付けられる。
底壁119には、シャフト3を挿し通す回転軸挿通孔121が底壁119の板厚方向に貫通して形成されている。回転軸挿通孔121には、底壁119の内面119a寄りに、シャフト3の一端側を回転自在に支持する軸受11が設けられている。
底壁119には、回転軸挿通孔121を挟んで径方向の両側に、第1吸入路(請求項における吸入路の一例)122と、吐出路123と、が形成されている。第1吸入路122は、底壁119の第1側面119cに開口部122aを形成している。第1吸入路122の開口部122aは、図示しないタンクに通じている。第1吸入路122は、第1側面119cから回転軸挿通孔121に向かうに従って漸次開口面積が小さくなるように底壁119内に延びている。
第1吸入路122における回転軸挿通孔121側の端部には、第1吸入路122と底壁119の内面119aとを通じさせる第1連通路124が形成されている。第1連通路124は、第1吸入路122と弁板19の後述する吸入口19aとを通じさせる。
第1吸入路122の回転軸挿通孔121側の端部は、この回転軸挿通孔121に通じていない。第1吸入路122の回転軸挿通孔121側の端部には、第1吸入路122と底壁119の外面119bとを通じさせる第2連通路125が形成されている。第2連通路125は、第1吸入路122とギアポンプ111の後述する第2吸入路144とを通じさせる。
底壁119の外面119bには、回転軸挿通孔121及び第2連通路125の周囲を取り囲むようにOリング溝118が形成されている。このOリング溝118に、Oリング117が装着されている。Oリング117は、メインケーシング2とギアポンプ111の後述するギアケーシング141との間のシール性を確保する。
このような構成のもと、作動油は、図示しないタンクから第1吸入路122内に吸入される。第1吸入路122内に吸入された作動油は、第1連通路124及び第2連通路125へと流れる。
吐出路123は、底壁119の第1側面119cとは回転軸挿通孔121を挟んで反対側に位置する第2側面119dに開口部123aが形成されている。開口部123aは、図示しない制御弁等を介してキャブ103、ブーム104、アーム105及びバケット106に接続されている。吐出路123は、第2側面119dから回転軸挿通孔121に向かって底壁119内に延びている。
吐出路123の回転軸挿通孔121側の端部は、この回転軸挿通孔121に通じていない。吐出路123の回転軸挿通孔121側の端部には、吐出路123と底壁119の内面119aとを通じさせる第3連通路128が形成されている。第3連通路128は、吐出路123と弁板19の後述する吐出口19bとを通じさせる。
フロントフランジ10には、シャフト3を挿し通す貫通孔13が形成されている。貫通孔13には、シャフト3の他端側を回転自在に支持する軸受14が設けられている。また、貫通孔13には、軸受14よりもケーシング本体9とは反対側(フロントフランジ10の外側)に、オイルシール15が設けられている。オイルシール15は、内部からの作動油の流出を防止するとともに、シャフト3とフロントフランジ10との間からの異物等の侵入を防止する。
フロントフランジ10には、2つの取付プレート137が一体に形成されている。2つの取付プレート137は、シャフト3を挟んで径方向の両側に配置されている。取付プレート137は、径方向外側に向かって延びている。2つの取付プレート137は、旋回体101に備えたエンジン等の駆動源にメインポンプ1を固定するために用いられる。
シャフト3は、段付き状に形成されている。シャフト3は、同軸上に配置されたシャフト本体131と、シャフト本体131からシャフト3の一端側(メインケーシング2の底壁119側)に延びる第1軸受部132と、第1軸受部132からシャフト本体131とは反対側に延びる伝達軸133と、シャフト本体131からシャフト3の他端側(フロントフランジ10側)に延びる第2軸受部134と、第2軸受部134からシャフト本体131とは反対側に延びる連結軸135と、が一体成形されたものである。
シャフト本体131は、メインケーシング2内に配置されている。シャフト本体131には、第1スプライン131aが形成されている。この第1スプライン131aに、シリンダブロック4が嵌め合わされている。シャフト本体131の外周面には、第2軸受部134寄りに、押圧部材27が嵌め合わされている。押圧部材27は、後述のシュー保持部材29を押すものである。
第1軸受部132の軸径は、シャフト本体131の軸径よりも小さい。第1軸受部132が、底壁119の軸受11に回転可能に支持されている。
伝達軸133は、シャフト3の回転力をギアポンプ111に伝達する。伝達軸133の軸径は、第1軸受部132の軸径よりも小さい。伝達軸133は、軸受11を介してギアポンプ111側に突出している。伝達軸133は、底壁119の回転軸挿通孔121内に配置されている。伝達軸133の外周面には、円筒状のカップリング136が嵌め合わされている。カップリング136は、伝達軸133と一体に回転する。カップリング136の第1軸受部132とは反対側端は、回転軸挿通孔121を介して底壁119の外側に突出している。この突出した部位が、ギアポンプ111に連結される。
第2軸受部134の軸径は、第1軸受部132の軸径よりも大きい。第2軸受部134が、フロントフランジ10の軸受14に回転可能に支持されている。
連結軸135は、図示しないエンジン等の動力源に連結される。連結軸135の軸径は、第2軸受部134の軸径よりも小さい。連結軸135の第2軸受部134とは反対側の先端部は、軸受14を介してフロントフランジ10の外側に突出している。連結軸135の先端部には、第2スプライン135aが形成されている。この第2スプライン135aを介し、図示しないエンジン等の動力源とシャフト3とが連結される。
シャフト3に固定されたシリンダブロック4は、円柱状に形成されている。シリンダブロック4の径方向中央には、シャフト3を挿入又は圧入する貫通孔16が形成されている。貫通孔16の内壁面には、スプライン16aが形成されている。このスプライン16aとシャフト本体131の第1スプライン131aとが結合される。シャフト3とシリンダブロック4とは、各スプライン16a,131aを介して一体となって回転する。
貫通孔16の軸方向中央から底壁119側の端部4aに至る間には、シャフト3の周囲を取り囲むように凹部20が形成されている。貫通孔16の軸方向中央からフロントフランジ10側に至る間には、内壁面の一部に、シリンダブロック4を軸方向に貫通する貫通孔25が形成されている。凹部20には、後述のスプリング23及びリテーナ24a,24bが収納される。貫通孔25には、後述の連結部材26が軸方向に移動自在に収納される。
シリンダブロック4には、シャフト3の周囲を取り囲むように複数のシリンダ室17が形成されている。複数のシリンダ室17は、中心軸線Cと同心の所定ピッチ円上の周方向に沿って等間隔に配置されている。シリンダ室17は、フロントフランジ10側が開口され、かつ底壁119側は閉じられた凹部である。シリンダブロック4の端部4aには、各シリンダ室17に対応する位置に、各シリンダ室17とシリンダブロック4の外部とを通じさせる連通孔(請求項におけるブロック連通孔の一例)18が形成されている。
各シリンダ室17に、ピストン21が軸方向に沿ってスライド移動自在に収納されている。これにより、ピストン21は、シャフト3及びシリンダブロック4の回転に伴って中心軸線Cを中心に周回するように回転する。
ピストン21の内部には、シリンダ室17内の作動油を貯留する空洞が形成されている。ピストン21のスライド移動は、シリンダ室17への作動油の吸入及び吐出と連関している。
すなわち、シリンダ室17からピストン21が引き出される際には、シリンダ室17内の空間容積が増大され、連通孔18を介してシリンダ室17内に作動油が吸入される(吸入工程)。シリンダ室17から最もピストン21が引き出された下死点から、ピストン21は、シリンダ室17内へと進入される動作に転じる。シリンダ室17内にピストン21が進入される際には、シリンダ室17内の空間容積が縮小され、連通孔18を介してシリンダ室17から作動油が吐出される(吐出工程)。そして、シリンダ室17に最もピストン21が進入された上死点から下死点へと再びピストン21の動作が変移される。
ピストン21のフロントフランジ10側の端部には、球状の凸部28が一体成形されている。凸部28には、複数のシュー22が取り付けられている。シュー22は、ピストン21のスライド移動量と斜板5の傾きとを連関させるためのものである。シュー22の凸部28を受け入れる側の面には、凸部28の形状に対応するように球状の凹部22aが形成されている。ピストン21の凸部28は、凹部22aの内壁面に嵌め込まれる。シュー22は、ピストン21の凸部28に対して回転可能に連結される。
シリンダブロック4の凹部20に収納されたスプリング23は、例えばコイルスプリングである。スプリング23は、凹部20に収納された2つのリテーナ24a,24bの間で圧縮されている。スプリング23は、弾性力によって伸長する向きに押し付け力を発生させる。スプリング23の押し付け力は、2つのリテーナ24a,24bのうちの一方のリテーナ24bを介し連結部材26に伝達される。スプリング23の押し付け力は、連結部材26を介してシャフト本体131の外周面に嵌め合わされている押圧部材27に伝達される。
斜板5は、フロントフランジ10のケーシング本体9側の内面10aに設けられている。斜板5は、フロントフランジ10に対して傾くことにより、各ピストン21の軸方向に沿う方向への変位を規制する。斜板5の径方向中央には、シャフト3を挿し通す挿通孔32が形成されている。斜板5は、シリンダブロック4側に形成された平坦な摺動面5aを備える。この摺動面5a上を複数のシュー22が移動する。
各シュー22は、シュー保持部材29によって一体化されている。押圧部材27は、シュー保持部材29に接触して、シュー保持部材29を斜板5側に向かって押す。シュー22は斜板5の摺動面5aに追随するように移動する。これによって、中心軸線Cを中心に周回するピストン21がシリンダ室17に対してスライド移動される。すなわち、ピストン21のスライド移動量は、斜板5によって制御されている。換言すれば、ピストン21のスライド移動量は、斜板5の傾き角度によって決定される。さらに換言すれば、斜板5は、メインポンプ1から吐出される作動油の吐出量を制御する。なお、斜板5の傾き角度は、図示しないアクチュエータによって制御される。これらの詳細については後述する。
[第1実施形態]
<弁板>
弁板19は、シリンダブロック4の端部4aの端面4bと、ケーシング本体9の底壁119の内面119aとの間に配置されている。弁板19は、円板状に形成されている。弁板19は、ケーシング本体9の底壁119に回転不能に設けられている。すなわち、弁板19は、ケーシング本体9の底壁119に対して回転はしないものの、底壁119の内面119aから離間する場合がある。
弁板19は、シリンダブロック4及びシャフト3が中心軸線C回りに回転する場合であっても、メインケーシング2(ケーシング本体9)に対して静止する。弁板19とシリンダブロック4の端面4bとの間に形成される作動油の油膜の静圧によって、シリンダブロック4が支持されている。
図3は、弁板19におけるシリンダブロック4側の第1面41a側からみた平面図である。図4は、弁板19における底壁119側の第2面41b側からみた平面図である。図5は、図4のA-A線に沿う断面図である。
図3から図5に示すように、弁板19の径方向中央には、シャフト3を挿し通す貫通孔42が弁板19の板厚方向に貫通して形成されている。弁板19の第1面41aには、貫通孔42の周囲を取り囲むように、かつ貫通孔42に通じるように、軸方向からみて円環状の内側凹部43が形成されている。また、弁板19の第1面41aには、外周部に沿う環状の外側凹部44が形成されている。
弁板19には、シリンダブロック4の各連通孔18に通じる吸入口19aが弁板19の厚さ方向に貫通して形成されている。吸入口19aの外形は、例えば中心軸線C回りの所定角度範囲での円弧状で、かつ長円形状に形成されている。
各シリンダ室17とケーシング本体9に形成された第1連通路124とは、弁板19の吸入口19aとシリンダブロック4の連通孔18とを介して通じる。
弁板19の第2面41bから弁板19の厚さ方向中央に至る間に、吐出口19bが形成されている。吐出口19bは、軸方向からみて円形状に形成されている。吐出口19bは、吸入口19aにおける周方向中央に対し、貫通孔42を挟んで反対側に配置されている。
弁板19の第1面41aから弁板19の厚さ方向中央に至る間には、貫通孔42を挟んで吸入口19aとは反対側に、吐出口19bと通じる長凹部45が形成されている。
長凹部45は、吐出口19bと通じているので、この吐出口19bの一部である。長凹部45は、例えば中心軸線C回りの所定角度範囲での円弧状で、かつ長円形状に形成されている。長凹部45と吸入口19aとは、同一ピッチ円上に配置されている。
各シリンダ室17とケーシング本体9に形成された第3連通路128とは、弁板19の吐出口19b、長凹部45、及びシリンダブロック4の連通孔18を介して通じる。
弁板19の第1面41aには、吸入口19aの長手方向両端と長凹部45の長手方向両端との間に、一対の切換ランド47a,47b(下死点切換ランド47a、上死点切換ランド47b)が形成される。換言すれば、吸入口19aと長凹部45とは、一対の切換ランド47a,47bを挟んで両側に形成されている。一対の切換ランド47a,47bは、第1面41aと同一平面である。シリンダブロック4の連通孔18は、シリンダブロック4が回転される際、一対の切換ランド47a,47bを介して吸入口19aに通じたり長凹部45に通じたりして切り換わる。
以下の説明では、一対の切換ランド47a,47bのうち、ピストン21の動作が下死点から上死点へと変移する箇所に対応する切換ランド47aを下死点切換ランド47aという。また、一対の切換ランド47a,47bのうち、ピストン21の動作が上死点から下死点へと変移する箇所に対応する切換ランド47bを上死点切換ランド47bという。
弁板19の第2面41bから弁板19の厚さ方向中央に至る間には、長凹部45の長手方向両端に対応する位置に、ピストン収納凹部(請求項における押付部材収納凹部の一例)49が形成されている。これらピストン収納凹部49が形成されている位置は、ケーシング本体9に形成された第1吸入路122及び吐出路123を避けた位置でもある。この避けた位置とは、第1吸入路122及び吐出路123に通じない位置ということである。すなわち、ピストン収納凹部49は、第1吸入路122及び吐出路123に通じない位置に形成されている。
ピストン収納凹部49は、軸方向からみて円形状に形成されている。ピストン収納凹部49の直径は、吐出口19bの直径よりも大きい。ピストン収納凹部49は、長凹部45の長手方向両端に通じている。
ピストン収納凹部49には、円板状の押付ピストン46が収納されている。押付ピストン46の中心軸線Coは、軸方向に沿っている。押付ピストン46の直径は、ピストン収納凹部49の直径とほぼ同一か若干小さい程度である。
図6は、図3のB-B線に沿う断面図である。
図3、図4、図6に示すように、弁板19の第1面41aには、長凹部45の長手方向両端のうち、下死点切換ランド47a側の端部から下死点切換ランド47a(吸入口19aの長手方向端部)に向けて延びるノッチ50が形成されている。ノッチ50は、軸方向からみて長凹部45の長手方向端部から吸入口19aの長手方向端部に向かうに従って先細りとなるように形成されている。また、ノッチ50は、長凹部45の長手方向端部から吸入口19aの長手方向端部に向かうに従ってノッチ深さが漸次浅くなるように形成されている。
弁板19には、下死点切換ランド47a側に配置されているピストン収納凹部49の底面49aに、この底面49aと下死点切換ランド47aとを通じさせる弁板連通孔51が形成されている。弁板連通孔51は微小な細孔である。弁板連通孔51は、軸方向に沿って延びている。弁板連通孔51は、ノッチ50の先端から若干吸入口19aの長手方向端部寄りに若干離間して配置されている。弁板連通孔51は、シリンダブロック4の各連通孔18に通じる。
<ギアポンプ>
図2に示すように、メインポンプ1の一側に設けられたギアポンプ111は、付加ポンプとして機能する。ギアポンプ111は、ギアケーシング141と、図示しない駆動ギア及び従動ギアと、を備える。
直方体状のギアケーシング141は、メインケーシング2の底壁119の外面119bに配置される。ギアケーシング141のメインケーシング2と重ね合わされる第1壁面141aには、メインケーシング2の第2連通路125に通じる第2吸入路144が形成されている。第2吸入路144は、ギアケーシング141の第1壁面141aの内外を通じさせる。
ギアケーシング141の第1壁面141aには、メインケーシング2の回転軸挿通孔121に対応する位置に、カップリング挿通孔149が形成されている。カップリング136のギアポンプ111側の端部は、カップリング挿通孔149を介してギアケーシング141内に突出している。
ギアケーシング141における第1壁面141aと直交し、かつメインケーシング2の第2側面119dと同一方向を向いた第2壁面141bには、図示しない第3吐出路が形成されている。第3吐出路の開口部は、第2壁面141bに形成されている。
図示しない駆動ギア及び従動ギアは、ギアケーシング141内に回転可能に支持されるとともに、互いに噛み合っている。駆動ギアは、メインケーシング2からカップリング挿通孔149を介して突出されたカップリング136に連結されている。メインポンプ1におけるシャフト3の回転力は、カップリング136を介して駆動ギアに伝達される。従動ギアは、駆動ギアに噛み合っているので、駆動ギアと同期して回転する。
<ポンプユニットの動作>
次に、ポンプユニット110の動作について説明する。
まず、メインポンプ1の動作について説明する。
メインポンプ1は、シリンダ室17からの作動油の吐出及びシリンダ室17への作動油の吸入に基づく駆動力を出力する。
より具体的には、エンジン等の動力源からの動力によるシャフト3の回転に伴い、シリンダブロック4はシャフト3と一体となって回転する。シリンダブロック4の回転に伴い、ピストン21はシャフト3の中心軸線Cを中心に周回するように回転する。
各ピストン21の凸部28に取り付けられた各シュー22は、スプリング23の押し付け力によって、斜板5の傾き角にかかわらず斜板5の摺動面5aに対して適切に追従して押し当てられる。ピストン21の凸部28は球状に形成されているとともに、凸部28が嵌め込まれるシュー22の凹部22aも球状に形成されている。押圧部材27は、シュー保持部材29を介して各シュー22を斜板5側に押す圧をかける。斜板5の傾き角が変化しても、各シュー22は斜板5の傾きに追従して摺動面5aに適切に追従して押し当てられる。
シリンダブロック4の回転に伴い、シャフト3の中心軸線Cを中心にピストン21が周回するように回転すると、各シュー22も斜板5の摺動面5a上をシャフト3の中心軸線C回りに回転しながら移動する。これにより、各ピストン21は各シリンダ室17内で軸方向に沿ってスライド移動して往復動作する。
ピストン21が上死点から下死点へと変移する際、このピストン21が収納されたシリンダ室17(連通孔18)は、弁板19の長凹部45から上死点切換ランド47bを介して吸入口19a上を通る。このとき、作動油は、メインケーシング2の第1吸入路122から第1連通路124、吸入口19a及び連通孔18を介してシリンダ室17内に吸入される(吸入工程)。
一方、ピストン21が下死点から上死点へと変移する際、このピストン21が収納されたシリンダ室17(連通孔18)は、弁板19の吸入口19aから下死点切換ランド47aを介して長凹部45上を通る。このとき、作動油は、シリンダ室17内から連通孔18、長凹部45、吐出口19b、第3連通路128及び吐出路123を介して吐出される(吐出工程)。
なお、斜板5(摺動面5a)の傾き角度が変化すると、ピストン21の往復動のストローク(移動距離)は変化する。斜板5の傾き角度が大きいほど、各ピストン21の往復動に伴うシリンダ室17に対する作動油の吸入量及び吐出量は大きくなる。斜板5の傾き角度が小さいほど、各ピストン21の往復動に伴うシリンダ室17に対する作動油の吸入量及び吐出量は小さくなる。斜板5の傾き角度がゼロの場合には、シャフト3の中心軸線Cを中心にピストン21が周回するように回転しても各ピストン21は往復動されない。斜板5の傾き角度がゼロの場合には、各シリンダ室17からの作動油の吐出量もゼロになる。
ここで、吐出工程では、シリンダ室17から長凹部45に吐出された作動油は、吐出口19bの他にピストン収納凹部49にも吐出される。ピストン収納凹部49には押付ピストン46が収納されているので、作動油の圧力によって押付ピストン46がメインケーシング2における底壁119の内面119aに向かって押される。押付ピストン46が底壁119の内面119aに押されることによる反力によって、シリンダブロック4の端面4bに弁板19を押し付ける押し付け力が発生する。
また、シリンダ室17から吐出された作動油は、弁板19の第2面41bにおける貫通孔42、吸入口19a、吐出口19b及びピストン収納凹部49を除いた箇所と底壁119の内面119aとの間に油膜を形成する。
押し付け力は、シリンダブロック4の各シリンダ室17に収納されるピストン21によってシリンダブロック4を弁板19に押し付ける力として発生する。また、押し付け力は、シリンダブロック4に弁板19が向かう力として、シリンダ室17に作用する作動油によって押付ピストン46を押す力の反力等がある。
また、シリンダ室17から吐出された作動油は、弁板19の第1面41aにおける貫通孔42、吸入口19a、長凹部45、内側凹部43及び外側凹部44を除いた箇所とシリンダブロック4の端面4bとの間に油膜を形成する。この油膜の反力は、シリンダブロック4の端面4bから弁板19を引き離す乖離力となる。この他に乖離力は、弁板19の吸入口19a及び吐出口19bからシリンダブロック4の端面4bに作用する油圧力がある。これら押し付け力と乖離力とが釣り合うことにより、シリンダブロック4と弁板19との位置関係が適正に保たれる。
ところで、シリンダ室17(連通孔18)が下死点切換ランド47aを通過して長凹部45(吐出口19b)に通じるタイミングでは、シリンダ室17が長凹部45(吐出口19b)を介して急激に開放されるため、圧力差でシリンダ室17に作動油が逆噴射してしまう可能性がある。弁板19の第1面41aに形成されているノッチ50は、シリンダ室17の急激な圧力変動を緩和するために機能している。
これに加え、本第1実施形態の弁板19には、ピストン収納凹部49の底面49aに、この底面49aと下死点切換ランド47aとを通じさせる弁板連通孔51が形成されている。このため、シリンダ室17(連通孔18)と長凹部45(吐出口19b)とが通じる直前に、シリンダ室17(連通孔18)と弁板連通孔51とが通じる。この結果、シリンダ室17にピストン収納凹部49(吐出口19b)の作動油の圧力(以下、作動油の吐出圧という)が導入され、シリンダ室17内の圧力が僅かに高められる。よって、シリンダ室17(連通孔18)と長凹部45(吐出口19b)とが通じるタイミングでシリンダ室17に作動油が逆噴射してしまうことを防止できる。
次に、ギアポンプ111の動作について説明する。
ギアポンプ111の駆動ギアは、メインポンプ1のシャフト3にカップリング136を介して連結されているので、シャフト3と一体となって回転する。駆動ギアに噛合わされている従動ギアも駆動ギアと同期して回転する。メインケーシング2の第2連通路125を介して第1吸入路122を流れる作動油は、第2吸入路144に吸入される。作動油は、各ギアとギアケーシング141の内側面との間を通って図示しない第3吐出路側へと流れる。作動油は、第3吐出路の開口部を介して吐出される。
このように、上述の第1実施形態における弁板19は、ピストン収納凹部49の底面49aに形成され、この底面49aと下死点切換ランド47aとを通じさせる弁板連通孔51を有する。このため、下死点切換ランド47aを通過してシリンダ室17(連通孔18)と長凹部45(吐出口19b)とが通じる直前に、弁板連通孔51を介してシリンダ室17に作動油の吐出圧を導入できる。この結果、シリンダ室17(連通孔18)と長凹部45(吐出口19b)とが通じるタイミングでシリンダ室17に作動油が逆噴射してしまうことを防止できる。よって、シリンダ室17への作動油の逆噴射によるシリンダ室17の腐食を確実に抑制できる。
また、弁板19にシリンダブロック4への押し付け力を発生させるためのピストン収納凹部49を利用して弁板連通孔51を形成することにより、この弁板連通孔51に吐出口19bの作動油の圧力を容易に導入できる。このため、弁板19の加工コストを抑制できる。
弁板連通孔51は、ノッチ50の先端から吸入口19aの長手方向端部寄りに若干離間して配置されている。このため、下死点切換ランド47aを通過してシリンダ室17(連通孔18)と長凹部45(吐出口19b)とが通じる直前に、シリンダ室17に作動油の吐出圧を確実に導入できる。
弁板19に形成されたピストン収納凹部49には、円板状の押付ピストン46が収納されている。この押付ピストン46に作動油の吐出圧を付与することで、弁板19にシリンダブロック4に向かう押し付け力を容易に付与することができる。
[第2実施形態]
次に、図7に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態における弁板219の要部の断面図である。図7は、前述の図6に対応している。なお、第1実施形態と同一態様には同一符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第1実施形態の弁板19では、弁板連通孔51がノッチ50の先端から若干離間した位置に配置されているのに対し、第2実施形態の弁板219では、弁板連通孔52がノッチ50の先端に配置されている点にある。第2実施形態では、弁板連通孔52は、弁板219の第1面41a側でノッチ50と通じている。
ここで、弁板219の切換ランド47a,47bは、弁板219の仕上げ加工時に弁板219を研磨することにより形成される。この際、ノッチ50の先端に弁板連通孔52を形成することにより、研磨代によってノッチ50と弁板連通孔52との間の距離が変化してしまうことを防止できる。つまり、研磨代によってノッチ50の先端位置が変化してしまうが、ノッチ50の先端に弁板連通孔52を形成することによりノッチ50と弁板連通孔52との間の距離が変化してしまうことを防止できる。換言すれば、研磨代に関わらず、弁板連通孔52は、弁板219の第1面41a側でノッチ50と常に通じている。このため、研磨代に関わらず弁板連通孔52による効果を安定させることができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、建設機械100は油圧ショベルである場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな建設機械を採用することができる。
上述の実施形態では、流体機械として作動油を流体とするメインポンプ1について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、作動油以外のさまざまな流体を用いたさまざまな流体機械に上述の弁板19,219の構成を採用できる。
上述の実施形態では、弁板19には、下死点切換ランド47a側に配置されたピストン収納凹部49の底面49aに、この底面49aと下死点切換ランド47aとを通じさせる弁板連通孔51が形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、上死点切換ランド47b側に配置されたピストン収納凹部49の底面49aに、この底面49aと上死点切換ランド47bとを通じさせる弁板連通孔51を形成してもよい。
上述の実施形態では、弁板19に形成されたピストン収納凹部49に、円板状の押付ピストン46を収納した場合について説明した。しかしながら、ピストン収納凹部49に吐出された作動油の圧力によって弁板19にシリンダブロック4に向かう押し付け力が発生すればよい。例えば、ピストン収納凹部49に押付ピストン46を設けなくてもよい。また、ピストン収納凹部49に押付ピストン46に代わって圧縮コイルばね等を収納してもよい。この圧縮コイルばねの弾性力によって、弁板19にシリンダブロック4に向かう押し付け力を付与してもよい。
上述の実施形態では、弁板19には、長凹部45の長手方向両端に対応する位置に、ピストン収納凹部49が形成されている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ピストン収納凹部49は、第1吸入路122及び吐出路123を避けた位置(第1吸入路122及び吐出路123に通じない位置)に形成されていればよい。そして、弁板連通孔51を介してピストン収納凹部49に吐出された作動油の圧力によって、弁板19にシリンダブロック4に向かう押し付け力が発生すればよい。
ピストン収納凹部49が第1吸入路122や吐出路123に通じてしまうと、これら第1吸入路122や吐出路123にピストン収納凹部49に吐出された作動油が漏れ出てしまうからである。このように構成してしまうと、ピストン収納凹部49に吐出された作動油の圧力によって、弁板19にシリンダブロック4に向かう押し付け力を発生させるのが困難である。
上述の実施形態では、弁板19に形成された弁板連通孔51は軸方向に沿って延びている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、弁板連通孔51は、弁板19のピストン収納凹部49と切換ランド47a,47bとを通じさせるように形成されていればよい。
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
1…メインポンプ(流体機械)、2…メインケーシング(ケーシング)、4…シリンダブロック、17…シリンダ室、18…連通孔(ブロック連通孔)、19,219…弁板、19a…吸入口、19b…吐出口、21…ピストン、41a…第1面、41b…第2面、46…押付ピストン(押付部材)、47a…下死点切換ランド、47b…上死点切換ランド、49…ピストン収納凹部(押付部材収納凹部)、50…ノッチ、51…弁板連通孔、101…旋回体(車体)、102…走行体(車体)、122…第1吸入路(吸入路)、123…吐出路

Claims (8)

  1. シリンダ室を有するとともに、前記シリンダ室の内外を通じさせるブロック連通孔を有するシリンダブロックと、
    前記シリンダ室にスライド移動自在に収納され前記シリンダ室を圧縮させる吐出工程、及び前記シリンダ室を膨張させる吸入工程を行うピストンと、
    前記シリンダブロックが収納され吸入路及び吐出路を有するケーシングと、
    前記シリンダブロックと前記ケーシングとの間に配置された弁板と、
    前記弁板を前記シリンダブロック側に向かって押し付ける押付部材と、
    を備え、
    前記弁板は、
    前記ブロック連通孔と前記吸入路とを通じさせる吸入口と、
    前記シリンダブロック側の第1面に形成された一対の切換ランドを挟んで前記吸入口とは反対側に形成され前記ブロック連通孔と前記吐出路とを通じさせる吐出口と、
    前記第1面とは反対側の第2面における前記吸入路及び前記吐出路を避けた位置に形成され前記押付部材を収納する押付部材収納凹部と、
    前記押付部材収納凹部と前記切換ランドとを通じさせる弁板連通孔と、
    を有する
    流体機械。
  2. 前記弁板は、前記吐出口から前記一対の切換ランドのうちの前記ピストンが前記吸入工程から前記吐出工程に切り換る下死点位置にある下死点切換ランドに向けて延びるノッチを有し、
    前記弁板連通孔は、前記ノッチの前記吐出口とは反対側の先端から前記吸入口側に離間した位置に配置されている
    請求項1に記載の流体機械。
  3. 前記弁板は、前記吐出口から前記一対の切換ランドのうちの前記ピストンが前記吸入工程から前記吐出工程に切り換る下死点位置にある下死点切換ランドに向けて延びるノッチを有し、
    前記弁板連通孔は、前記ノッチの前記吐出口とは反対側の先端に配置されている
    請求項1に記載の流体機械。
  4. 前記押付部材は、円板状の小ピストンである
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の流体機械。
  5. シリンダ室を有するとともに、前記シリンダ室の内外を通じさせるブロック連通孔を有するシリンダブロックと、
    前記シリンダ室にスライド移動自在に収納され前記シリンダ室を圧縮させる吐出工程と前記シリンダ室を膨張させる吸入工程とを行うピストンと、
    前記シリンダブロックが収納され吸入路及び吐出路を有するケーシングと、
    前記シリンダブロックと前記ケーシングとの間に配置された弁板と、
    前記弁板を前記シリンダブロック側に向かって押し付ける押付部材と、
    を備え、
    前記弁板は、
    前記ブロック連通孔と前記吸入路とを通じさせる吸入口と、
    前記シリンダブロック側の第1面に形成された一対の切換ランドを挟んで前記吸入口とは反対側に形成され前記ブロック連通孔と前記吐出路とを通じさせる吐出口と、
    前記第1面とは反対側の第2面における前記吸入口及び前記吐出口を避けた位置に形成され前記押付部材を収納する押付部材収納凹部と、
    前記吐出口から前記一対の切換ランドのうちの前記ピストンが前記吸入工程から前記吐出工程に切り換る下死点位置にある下死点切換ランドに向けて延びるノッチと、
    前記ノッチの前記吐出口とは反対側の先端から前記吸入口側に離間した位置に配置され前記押付部材収納凹部と前記切換ランドとを通じさせる弁板連通孔と、
    を有する
    流体機械。
  6. シリンダ室を有するとともに、前記シリンダ室の内外を通じさせるブロック連通孔を有するシリンダブロックと、
    前記シリンダ室にスライド移動自在に収納され前記シリンダ室を圧縮させる吐出工程と前記シリンダ室を膨張させる吸入工程とを行うピストンと、
    前記シリンダブロックが収納され吸入路及び吐出路を有するケーシングと、
    前記シリンダブロックと前記ケーシングとの間に配置された弁板と、
    前記弁板を前記シリンダブロック側に向かって押し付ける押付部材と、
    を備え、
    前記弁板は、
    前記ブロック連通孔と前記吸入路とを通じさせる吸入口と、
    前記シリンダブロック側の第1面に形成された一対の切換ランドを挟んで前記吸入口とは反対側に形成され前記ブロック連通孔と前記吐出路とを通じさせる吐出口と、
    前記第1面とは反対側の第2面における前記吸入口及び前記吐出口を避けた位置に形成され前記押付部材を収納する押付部材収納凹部と、
    前記吐出口から前記一対の切換ランドのうちの前記ピストンが前記吸入工程から前記吐出工程に切り換る下死点位置にある下死点切換ランドに向けて延びるノッチと、
    前記ノッチの前記吐出口とは反対側の先端に配置され前記押付部材収納凹部と前記切換ランドとを通じさせる弁板連通孔と、
    を有する
    流体機械。
  7. 車体と、
    前記車体の駆動源となる流体を吸入及び吐出する流体機械と、
    を備え、
    前記流体機械は、
    シリンダ室を有するとともに、前記シリンダ室の内外を通じさせるブロック連通孔を有するシリンダブロックと、
    前記シリンダ室にスライド移動自在に収納され前記シリンダ室を圧縮させる吐出工程と前記シリンダ室を膨張させる吸入工程とを行うピストンと、
    前記シリンダブロックが収納され吸入路及び吐出路を有するケーシングと、
    前記シリンダブロックと前記ケーシングとの間に配置された弁板と、
    前記弁板を前記シリンダブロック側に向かって押し付ける押付部材と、
    を備え、
    前記弁板は、
    前記ブロック連通孔と前記吸入路とを通じさせる吸入口と、
    前記シリンダブロック側の第1面に形成された一対の切換ランドを挟んで前記吸入口とは反対側に形成され前記ブロック連通孔と前記吐出路とを通じさせる吐出口と、
    前記第1面とは反対側の第2面における前記吸入口及び前記吐出口を避けた位置に形成され前記押付部材を収納する押付部材収納凹部と、
    前記吐出口から前記一対の切換ランドのうちの前記ピストンが前記吸入工程から前記吐出工程に切り換る下死点位置にある下死点切換ランドに向けて延びるノッチと、
    前記ノッチの前記吐出口とは反対側の先端から前記吸入口側に離間した位置に配置され前記押付部材収納凹部と前記切換ランドとを通じさせる弁板連通孔と、
    を有する
    建設機械。
  8. 車体と、
    前記車体の駆動源となる流体を吸入及び吐出する流体機械と、
    を備え、
    前記流体機械は、
    シリンダ室を有するとともに、前記シリンダ室の内外を通じさせるブロック連通孔を有するシリンダブロックと、
    前記シリンダ室にスライド移動自在に収納され前記シリンダ室を圧縮させる吐出工程と前記シリンダ室を膨張させる吸入工程とを行うピストンと、
    前記シリンダブロックが収納され吸入路及び吐出路を有するケーシングと、
    前記シリンダブロックと前記ケーシングとの間に配置された弁板と、
    前記弁板を前記シリンダブロック側に向かって押し付ける押付部材と、
    を備え、
    前記弁板は、
    前記ブロック連通孔と前記吸入路とを通じさせる吸入口と、
    前記シリンダブロック側の第1面に形成された一対の切換ランドを挟んで前記吸入口とは反対側に形成され前記ブロック連通孔と前記吐出路とを通じさせる吐出口と、
    前記第1面とは反対側の第2面における前記吸入口及び前記吐出口を避けた位置に形成され前記押付部材を収納する押付部材収納凹部と、
    前記吐出口から前記一対の切換ランドのうちの前記ピストンが前記吸入工程から前記吐出工程に切り換る下死点位置にある下死点切換ランドに向けて延びるノッチと、
    前記ノッチの前記吐出口とは反対側の先端に配置され前記押付部材収納凹部と前記切換ランドとを通じさせる弁板連通孔と、
    を有する
    建設機械。
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