JP4458633B2 - 回転シリンダ型のアキシャルピストン式流体機械 - Google Patents

回転シリンダ型のアキシャルピストン式流体機械 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は斜板又は斜軸式のアキシャルピストンポンプやモータなどの流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は一般的な可変容量形の斜板式アキシャルピストンポンプの内部構造を示している。密閉ハウジング1の内部には軸受3,4を介してシャフト2が支持される。シャフト2とシリンダブロック5とはスプライン結合されている。このシリンダブロック5の同心円上には、シャフト2に平行する複数のボア6が設けられている。ボア6にはピストン7が摺動可能に嵌挿されている。各ピストン7に対向して配される斜板8が傾斜角度を変更可能に設けられている。
【0003】
ピストン7の一端に形成された頭部7aにはシュー9が取り付けられている。各シュー9はプレート10により連結されている。プレート10の中心部はシリンダブロック5に固着されたトラニオン軸11と結合している。従って、シュー9は、シリンダブロック5の回転に伴って斜板8の同一円周上を摺動する。ピストン7が嵌挿される側とは反対側のシリンダブロック面には、各ボア6に連通するポート12がそれぞれ開口している。このポート12の開口面に密接する弁板13がハウジング1の内面に固定されている。シリンダブロック5は弁板13に摺動しながら回転する。
【0004】
弁板13には、図14に示すように、ランド部18を介して同一円周上に円弧状の吸込ポート14と吐出ポート15が形成されている。この吸込ポート14はハウジング1の油吸込口16と連通し、吐出ポート15はハウジング1の油吐出口17と連通している。各ピストン7はシリンダブロック5の回転に伴い、ボア6を所定の行程で往復動し、弁板8を介して流体を吸込側から吸い込み、吐出側から吐き出す。シリンダブロック5の回転方向上流側の吐出ポート15に隣接するランド部18には、髭状の逃溝18a’が形成されている。
【0005】
図15は一般的なシリンダブロック5の構造を示している。図16はシリンダブロック5のボア6及び弁板側ポート12の通常の配置関係を示している。ボア6はシリンダブロック5の回転中心に対して同一円周上に同一のピッチαをもって形成されている。一方の弁板側ポート12も対応するボア6に連通し、シリンダブロック5の回転中心とボア6の中心とを結ぶ直線上に、且つ中心側に変位して配されている。従って、一般的には前記ボア6もシリンダブロック5の弁板側ポート12も、それぞれが等ピッチに配列されている。
【0006】
そのピストン行程は回転軸の回転角の正弧関数として与えられる。従って、その吐出流量は一定のサイクルで変動し、この流体機械が適用される液圧回路の管路には流速と圧力に脈動が生じる。この回路内の液柱が前記脈動に共振すると、管路圧力、軸トルク及び回転速度の各変動が激しくなる。これらの変動は伝達効率および機器の寿命に悪影響をおよぼし、機器の振動及び騒音の主要な原因となる。
【0007】
一方、この種の流体機械は、通常、シリンダブロックの弁板側ポートが弁板の吸込ポートから吐出ポートに完全に移行する以前に、吸込みポートとの連通が遮断される。ボア内に嵌挿されたピストンは、弁板側ポートと吸込みポートとの連通が遮断されたのちに上死点に達するように設計されている。そのため、シリンダブロックの弁板側ポートが弁板の吸込ポートから吐出ポートへと移行する時点では、ピストンはボアとピストンとで形成される容積を圧縮する方向に移動を開始している。
【0008】
ピストンが上死点に達する前に、弁板側ポートと吸込みポートとの連通が遮断されると、ボア内の圧力は低下し、キャビテーションが発生しやすくなる。また、ピストンの動きが上死点から収縮方向に転じるとき、ボアの内圧は急激に上昇する。このシリンダ内圧の急激な上昇による油撃などにより騒音を発する。この騒音の発生を避けるため、図14にも示したように、弁板のランド部18には吐出ポート15と連通する髭状の逃溝18a’や図示せぬ副導油孔が形成されている。
【0009】
更に、上述の管路圧力、軸トルク及び回転速度の変動を抑制するため、例えば特公昭48−19121号公報や実開昭52−90706号公報では、シリンダブロックの弁板側ポートを異なるピッチで配列させることを提案している。具体的には、特公昭48−19121号公報では、ボア及び弁板側ポートの中心を一致させ、隣り合うボア間のピッチを異ならせている。また、一方の実開昭52−90706号公報では、等ピッチに配されたボアの弁板側ポート面にベアリングプレートを固着し、このベアリングプレートの長孔と弁板側ポートとを連通させると共に、各ベアリングプレートの長孔を異なるピッチをもって形成している。
【0010】
このように、シリンダブロックの弁板側ポート同士を異なるピッチに形成して、吐出流量の変動サイクルを変化させる。その結果、脈動も分散されて回路内の液柱と前記脈動との共振が少なくなり、管路圧力、軸トルク及び回転速度の変動が抑制され、機器の耐久性が増し、機器の振動や騒音の発生が抑制される。
【0011】
一方、隣り合うボア間でピッチを異ならせたシリンダブロックにあって、隣り合う弁板側ポートを等ピッチに配するときのポート位置を基準位置としたとき、弁板側ポートの位置を前後に変化させる、いわゆる不等ピッチに配すると、弁板側ポートと弁板の吸込ポート及び吐出ポートとの間に3様の位置関係が生じる。
【0012】
以下、等ピッチの弁板側ポートを等ピッチポートと、等ピッチポートの位置を基準として、シリンダブロックの回転方向上流側に変位した位置にある弁板側ポートをピッチ遅れポートと、シリンダブロックの回転方向下流側に変位した弁板側ポートをピッチ進みポートという。
【0013】
図17は、それらの異なるピッチで配された弁板側ポートをもつボア内のピストン上死点を中心に、その前後のボアの油室内圧力の変化を示している。同図から理解できるように、一般的にピストンの動きが伸長方向から収縮方向へと移行するときのボアの油室内圧力の上昇勾配は、ピッチ遅れポート、等ピッチポート、ピッチ進みポートの順で順次小さくなっている。
【0014】
従って、弁板側ポートをピッチ遅れポート、等ピッチポート及びピッチ進みポートとが組み合わされた不等ピッチポートを備えた油圧ポンプは、弁板側ポートが等ピッチに配された等ピッチポートを備えた油圧ポンプと比較すると、不等ピッチポートの油圧ポンプの吸込過程から吐出過程にかけてボア内に発生する急激な圧力の上昇に基づく脈動の周期が広く分散されることになり、騒音の発生を低減させることができることが理解できる。
【0015】
また、このときボアに発生する負圧の大きさも、ボアの油室内圧力の上昇勾配と同様に、ピッチ遅れポート、等ピッチポート、ピッチ進みポートの順に小さくなっている。つまり、ボアに発生するキャビテーションの大きさも、この順序で小さくなる。このキャビテーションの発生を防止するため、通常は弁板の吸込ポート14と吐出ポート15との間のランド部に吐出ポートと連通する逃溝が形成されている。
【0016】
図17において、符号Aで示す点が等ピッチポート12aの吸込圧減少開始点を示し、符号Bは吸込ポート14の閉じ点を示している。シリンダ7の弁板側ポート12が前記吸込圧減少開始点Aに達すると、弁板13の吸込ポート14の吸込圧力が減少しはじめる。そして、閉じ点Bに達すると負圧状態となる。この吸込圧減少開始点Aから閉じ点Bに達する途中で吸込限界を越える圧力となる。
【0017】
図18(a)は、上記各公報に開示された流体機械と同様に異なるピッチに配された弁板側ポートの配置例を示している。この例では、図18(b)に示すように、シリンダブロックの同一円周上に配された9個のシリンダの弁板側ポートの配列ピッチを、40°±1.5°の範囲内に納まるようにランダムに変更させている。
【0018】
図18(c)は同ポンプの押しのけ容積を最小として、回転数2000rpm、吐出圧355kgf/cm2 で駆動したときの同ポンプから放射される音の周波数領域とその周波数領域に対応する騒音レベル(dB)との関係を示している。このときの全体的な騒音レベルの平均的な値は86.2dBである。同種の一般的なポンプの騒音レベルが90dB以上であることを考えれば、このポンプの騒音レベルは相当に低減されており、効果的であることが理解できる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、騒音はピストンが上死点にあるときにシリンダブロックの弁板側ポートが弁板の吸込ポートから吐出ポートに移行する前後で発生する。その原因は、弁板のランド部が弁板側ポートの開口を閉塞すること、いわゆる閉じ込みによる。従来は、この閉じ込み領域を小さくするため、既述したように、弁板の吐出ポートに逃溝や副導孔を形成している。
【0020】
図19(a)及び図20(a)は、弁板側ポートピストンが上死点に達する直前の弁板側ポート12と弁板13の吸込ポート14及び吐出ポート15との相対的な位置関係を示している。各図(b)はピストン7の中心位置の移動に伴う弁板側ポート12に連通するボア6内の油圧変化曲線を示している。各図(c)は、同図(b)に矢印Aで示す領域の拡大図である。これらの例でも、弁板13の吸込ポート14と吐出ポート15との間のランド部18に吐出ポート15に連通する通常の逃溝18a′が形成されている。
【0021】
図19において、ピストン7の中心線L1と弁板側ポートである等ピッチポート12bの中心線L2とが一致している。シリンダブロック5は固定弁板13の表面に摺接しながら回転して、図19(a)に示すように、シリンダ6が矢印方向に移動する。
【0022】
ランド部18の一部に、逃溝18a′が形成されていない場合には、ピストン7が上死点に達する直前に、シリンダブロック5の等ピッチポート12bが弁板13のランド部18により完全に閉塞される。ピストン7が上死点に達する間には、図17に示したように、ボアの内圧がシリンダ吸込限界の圧力以下となるか、或いは負圧状態となる。このとき、キャビテーションが発生しやすく、その崩壊により異様な高周波音が発生する。また、ピストン7が上死点から圧縮行程に移るとき、図17に示したように、ボアの油室内には急激な圧力上昇が生じる。この急激な圧力上昇も騒音の一原因となる。
【0023】
ピストン7が上死点に達する直前に、等ピッチポート12bが弁板13のランド部18によって閉塞される。このとき逃溝18a′の端部が、閉塞とほぼ同時に等ピッチポート12bと連通するように形成されている。この連通の開始時に、弁板13の吐出ポート15からシリンダ7の等ピッチポート12bに圧油の逆流が生じる。その結果、図19(c)に示すように逃溝18a′が形成されていない場合と較べると、負圧の発生は少なくなる。逃溝18a′を介して等ピッチポート12bに逆流するとき噴流となり、ボア6の壁面にエロージョンを発生させる。これを回避すべく、既述したように副導油孔を形成する場合がある。
【0024】
しかし、前述のように逃溝18a′などを形成してキャビテーションの発生を減少させてはいるものの、図19(a)に実線で示すように、ピストン7が上死点に達する以前に未だ僅かな負圧が発生する。図17に示したとおり負圧の発生前に吸込限界の上限圧力となることから、まだキャビテーションが生じやすい条件下にある。更には、弁板側ポート12を全て等ピッチに配すると、脈動が一定周期で発生する。その高周波成分がポート数×シリンダブロックの回転速度を基本成分とする高次成分となるため、相変わらず3000〜5000Hzの高周波領域の騒音が大きな振幅を有する脈動として残り、騒音の発生原因となっている。
【0025】
図20はシリンダ6の弁板側ポートがシリンダブロック5の回転方向とは逆方向に変位したピッチ遅れポート12aである場合を示している。このピッチ遅れポート12aの中心線L2はピストン7の中心線L1よりもシリンダ7の回転方向とは反対側に変位している。シリンダブロック5は固定弁板13の表面に摺接しながら回転して、図20(a)に示すようにシリンダ6が矢印方向に移動する。
【0026】
等ピッチポート12bのときよりも僅かに遅れて、ピッチ遅れポート12aと吸込ポート14との連通が遮断される。この遮断とほぼ同時に、逃溝18a′がピッチ遅れポート12aと連通する。この連通により、弁板13の吐出ポート1からピッチ遅れポート12aに圧油が逆流する。その結果、ボア6の内圧が保持される。ピッチ遅れポート12aと吸込ポート14との連通が遮断されたのち、ピストン7が上死点に達する行程は等ピッチポート12bと比較して少なくなるため、ボア6の内圧は負圧状態となりにくい。従って、図20(c)に示すように、いわゆる閉じ込み現象も発生しににく、キャビテーションの発生も殆どなくなり、騒音が効果的に低減される。
【0027】
シリンダ6の弁板側ポートがシリンダブロック5の回転方向に変位する、いわゆるピッチ進みポートである場合は、図20(a)に示す場合と逆の位置関係になる。従って、ピッチ進みポートと弁板の吸込ポートとの連通が遮断されたのち、逃溝と連通するまでの間に、いわゆる閉じ込み現象が起こりやすくなり、ボア6内に負圧が発生しやすい。その結果、騒音も発生しやすくなる。一方、このときのボア内の圧力上昇時の立ち上がり勾配は、上記ピッチ遅れポート12a及び等ピッチポート12bと比較しても、緩やかなものとなる。従って、キャビテーションの崩壊による騒音の発生は少ない。
【0028】
シリンダボア内のピストンが上死点に達する直前、つまり圧油の吸込み過程の終盤で弁板の吸込ポートとシリンダの弁板側ポートとの連通が遮断されないまでも、ボアの油室内が吸込限界の圧力以下となる場合がある。このときにキャビテーションが発生しやすくなり、騒音の発生原因となる。
【0029】
シリンダブロックに形成される弁板側ポートのピッチがランダムに配された特公昭48−19121号公報や実開昭52−90706号公報に記載されたシリンダブロックは、上記ピッチ遅れポート、等ピッチポート及びピッチ進みポートがランダムに配された場合に相当する。シリンダボア内のピストンが上死点から下降に移行して圧縮する行程で前記逃溝などから圧油の一部を排出させる。そのため、ボア内圧の急激な上昇が抑制される。
【0030】
しかしながら、前記公報に開示されたポンプにあっては、弁板の吐出ポートの回転方向後端に、髭状の逃溝を形成しているにも関わらず、図18(c)に示すように、特に人体にとって耳障りとなる3000〜5000Hzの周波数領域にあって、50dBを越える高周波音が相変わらず発生している。
【0031】
このように、シリンダの弁板側ポートのピッチを異ならせて配することにより、全体的な機器の振動や騒音の発生が効果的に抑制される。しかしながら、特に3000〜5000Hzの周波数領域における高周波音の発生に関しては、未だに満足できる程度まで低減されていない。また、上述の公報に開示されシリンダブロックでは、弁板側ポートのピッチが単にランダムに配されているものであって、そのポート間のピッチ差に関する規則性などについては格別の検討がなされていない。
【0032】
前記公報に開示された流体機械にあって、シリンダ間のピッチを変化させる不等ピッチとすると、ピッチの遅れや進みにより、従来の弁板構造では全周波数領域における騒音の発生を防止するにも限界がある。
【0033】
本発明の目的は、周波数の全領域にわたる騒音レベルを低くすることに加えて、特に3000〜5000Hzの高周波領域の騒音レベルを更に低く抑え、その音色を効果的に改善すると共に、流体の吸込及び吐出が円滑になされる高性能な回転シリンダ型のアキシャルピストン式流体機械を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
請求項1に係る発明は、吸込側及び吐出側ポートをもつ弁板に摺接して回転するシリンダブロックの回転と共に、同シリンダブロックに形成された複数のボア内をピストンが順次往復動し、ピストンの移動により前記弁板の吸込側ポートから流体を吸い込むと共に前記吐出側ポートから流体を吐出する流体機械にあって、前記シリンダブロックの周方向に隣り合う弁板側ポートのうち、所定位置にある弁板側ポートを基準ポートとして、円周上の等ピッチを基準ピッチとしたとき、周方向に順次隣り合う弁板側ポート間の中心角を順次増加と減少又は減少と増加とを順次繰り返し、周回する隣り合う弁板側ポート間のピッチを全体として漸減して配してなり、ピストンの伸長工程である吸込過程において、ピストンが上死点に達する以前に弁板側ポートの一部を弁板の吐出側ポートに実質的に連通させる手段を有してなる、ことを特徴とする回転シリンダ型のアキシャルピストン式流体機械にある。
【0035】
隣り合う弁板側ポート間のピッチを変動させて不等ピッチに配すると、脈動の周期が分散されるばかりでなく、特に耳障りな周波数領域である3000〜5000Hzにおいて共鳴による高次の周波数成分の発生も抑制される。
【0036】
一方、弁板の吸込ポート及び吐出ポートの間に形成されるランド部が通常の構造であると、特にピッチが進んでいる場合に、ピストンの上死点に達する遙か前の時点でシリンダボア内の圧力が吸込限界に達してしまい、キャビテーションが発生しやすくなる。
【0037】
そこで、本発明では上記構成に加えて、弁板にシリンダブロックの弁板側ポートがランド部によって遮断される直前であってもボアの油室内の圧力を吸込限界以上とするための手段をもたせている。好適には、ピストンの伸長工程である吸込過程において、ピストンが上死点に達する以前に弁板側ポートの一部を弁板の吐出側ポートに実質的に連通させる構造を採用する。
【0038】
この弁板構造により、吸込過程の最終段階で弁板側ポートと弁板の吸込ポートとの連通が遮断される直前に、弁板側ポートが吐出ポートと連通させる。流体は吐出ポートから弁板側ポートに逆流し、油室内を吸込限界の圧力以上に維持する。従って、上記不等ピッチの構成と相まって、更に脈動を低減させると同時に流体の吸込量不足などがなくなる。その結果、特に高周波領域の騒音が効果的に抑制されると共に音色も改善される。
【0039】
請求項2に係る発明は、前記連通させる手段が、弁板の吸込ポートと吐出ポートとの間のランド部幅を、前記シリンダブロックの弁板側ポート開口幅よりも実質的に小さく設定することにある。
【0040】
この構成を採用することにより、弁板側ポートが弁板のランド部を移動中に、必ず弁板の吸込ポート及び吐出ポートに同時に連通するときがある。従って、いわゆる閉込み現象が発生せず、油室内が負圧となることはない。その結果、ボアの油室内の圧力を吸込限界以上に維持され、キャビテーションの発生が確実に防止され、その崩壊による騒音も低減される。また、吐出過程の初期に発生する急激なボアの油室内の圧力上昇をも緩和する。
【0042】
この構成を採用することにより、流体の吸込過程から吐出過程へと移行する時点で、弁板側ポートは必ず弁板の吐出ポート又は吸込ポートの少なくとも一方に連通している。従って、吸込過程の最終段階で閉込みによる負圧の発生が防止される。また、吐出過程の初期におけるボアの油室内の圧力の急激な上昇が緩和される。
【0043】
【発明の実施形態】
以下、本発明の好適な実施形態を従来の弁板側ポートのピッチをランダムに配したポンプと比較しながら、図面に沿って具体的に説明する。この種の回転シリンダ型のアキシャルピストン式流体機械としては、斜板式及び斜軸式のポンプとモータがある。以下の説明では、アキシャルピストン式の油圧ポンプについて述べるが、油圧モータについても同様である。また、本発明は可変容量形あるいは固定容量形のいずれであってもよい。
【0044】
本発明にあっては、シリンダブロックに形成された隣り合う弁板側ポートを異なるピッチに配列している。更に、弁板のランド部に形成される逃溝は、ピストンが上死点に達する以前であって、ボアの内圧が吸込限界の圧力に達する前に、全ての弁板側ポートが逃溝と連通するように設計される。
【0045】
図1及び図2は、本発明の第1実施形態を示している。この実施形態による逃溝18aは、ボア6の内圧が最も負圧となりやすいピッチ進みポート12cに合わせて設計されている。このようにすれば、ピッチ遅れポート12a、等ピッチポート12b及びピッチ進みポート12cのいずれの場合にも、ピストン7が上死点に達する以前であって、ボア6の内圧が吸込限界の圧力に達する前に、逃溝18aと連通する。また、この実施形態では、更に異なるピッチに配列される弁板側ポート12のピッチを、順次減少又は増加させて規則性をもたせている。そのため、ボア6が負圧となることはなく、キャビテーションの発生も殆どなくなり、その崩壊による騒音の発生も効果的に低減される。
【0046】
図1に示す第1実施形態にあって、圧油の吸込過程から吐出過程への移行時における弁板13とピッチ進みポート12cとの相対的な位置関係を示している。ピッチ進みポート12cの中心線L2はピストン7の中心線L1よりもシリンダ6の移動方向に変位している。シリンダブロック5は固定弁板13の表面に摺接しながら回転して、図1(a)に示すようにシリンダ6が矢印方向に移動する。
【0047】
ピッチ進みポート12cは、ピストン7が上死点に達する以前であって、ボア6の内圧が吸込限界の圧力に達する前に、逃溝18aを介して弁板13の吐出ポート15と連通する。そのため、図1(c)に示すように、ボア6が負圧となることはなく、キャビテーションの発生が殆どなくなり、その崩壊による騒音の発生も効果的に低減される。このときのボア6内の圧力上昇は、図17に示すように、その立ち上がり勾配が等ピッチポート12bと比較しても小さくなる。従って、たとえボア6内にキャビテーションが発生したとしても、その崩壊による騒音の発生は極めて少ない。
【0048】
図2は、第1実施形態による圧油の吸込過程から吐出過程への移行時における弁板13とピッチ遅れポート12aとの相対的な位置関係を示している。ピッチ遅れポート12aの中心線L2はピストン7の中心線L1よりもシリンダ6の移動方向とは反対側に変位している。シリンダブロック5は固定弁板13の表面に摺接しながら回転して、図2(a)に示すようにシリンダ6が矢印方向に移動する。
【0049】
本実施形態によるピッチ遅れポート12aと前記逃溝18aとの関係は、最も負圧が発生しやすいピッチ進みポート12cでさえ、ピストン7が上死点に達する以前のボア6の内圧が吸込限界の圧力に達する前に逃溝18aを介して弁板13の吐出ポート15と連通するため、このピッチ遅れポート12aも当然にボア6の内圧が吸込限界の圧力に達する前に逃溝18aを介して弁板13の吐出ポート15と連通する。従って、ボア6の内圧が吸込限界の圧力に達することはない。
【0050】
なお図示を省略したが、弁板側ポートが等ピッチポート12bの場合にも、同ポート12bの中心線は前記ピッチ遅れポート12aとピッチ進みポート12cとの中間であるため、この場合も当然にボア6の内圧が吸込限界の圧力に達することはない。
【0051】
図3は本発明の第2実施形態を示している。図3(a)に吸込過程から吐出過程に移行する時点のピッチ遅れポート12aと弁板13との位置関係を示す。図3(b)に同じくピッチ進みポート12cと弁板13との位置関係を示す。
【0052】
吸込ポート14と吐出ポート15との開口基端を構成する弁板13のランド部18に、吸込ポート14及び吐出ポート15と連通する第1逃溝18a−1と第2逃溝18a−2とを形成している。その結果、シリンダ7の弁板側ポート12は、ピストン7の上死点を挟む前後の所要区間、第1逃溝18a−1及び第2逃溝18a−2の双方を介して吸込ポート14及び吐出ポート15と連通するようになり、閉じ込み現象の発生が完全に防止され、シリンダ6の破損やキャビテーションの発生を確実に防止する。
【0053】
図4(a)は、シリンダブロック5に形成される弁板側ポート12を等ピッチに配すると共に、弁板13のランド部18に、図1又は図3に示した上記実施形態による逃溝18aを形成したときの、周波数領域ごとの騒音分布を示している。図4(b)はシリンダブロック5に形成される弁板側ポート12を等ピッチで配すると共に、弁板13のランド部18に、図19及び図20に示した従来の一般的な逃溝18a′を形成したときの、周波数領域ごとの騒音分布を示している。
【0054】
これらの図から理解できるように、上記実施形態による弁板13を使用すると、シリンダ7の弁板側ポート12を等ピッチで配しているにも関わらず、全周波数領域において騒音レベルが低下している。特に、本発明によると音色が異様で耳障りな騒音を発生する3000〜5000Hzの高周波領域における騒音の発生が殆どなくなっている。
【0055】
このように、これらの実施形態ではシリンダブロック5にピッチ遅れポート12a、等ピッチポート12b及びピッチ進みポート12cを混在して配すると共に、そのピッチ変化に一定の規則性を与え、更には弁板13にも改良がなされているため、同シリンダブロック5を備えた本発明の流体機械は、吸込過程から吐出過程に移行する段階で閉じ込み現象が全く起こらない。従って、ボア6に負圧が発生せず、特に高周波領域における脈動も周期性をもたず、騒音、特に3000〜5000Hzの高周波領域の騒音を効果的に低減させるばかりでなく、全体的な音色の改善がなされる。
【0056】
図5〜図7は、本発明の第3実施形態における吸込過程から吐出過程に移行する時点の弁板側ポート12と弁板13との相対的な位置関係を具体的に示している。本実施形態の油圧ポンプは、複数の弁板側ポート12に規則性をもたせてピッチを変更したシリンダブロック5と、ランド部18に逃溝18aの他に副導油孔18bを形成した弁板13とを備えている。副導油孔18bの形成位置は、図1及び図3に示した上記第1及び第2実施形態における逃溝12aの先端位置に相当する。
【0057】
これらの図の(a)〜(f)は、それぞれピストン7の中心線と弁板13のランド部18の中心線との中心角が、ピストン7の伸長工程である−7.5°、−5°、−2.5°、0°(上死点)と、ピストン7の収縮工程である2.5°及び5°のときの、弁板側ポート12と弁板13との相対的な位置関係を示している。なお、上記ピッチ遅れポート12aとピッチ進みポート12cのピッチ遅れ角度及びピッチ進み角度は、それぞれ2°としている。
【0058】
図5の(a)〜(d)において、ピッチ遅れポート12aの開口は弁板13の吸込ポート14と連通している。このときピストン7の伸長動作により、吸込ポート14からピッチ遅れポート12aを介してボア6には油が吸い込まれている。ピストン7が上死点に到達する以前に、ピッチ遅れポート12aの開口が弁板13の吸込ポート14との連通を遮断される。この遮断とほぼ同時であって、ボア6が吸込限界の圧力以下となる前に、ピッチ遅れポート12aの開口が弁板13のランド部18に形成された副導油孔18bを介して吐出ポート15と連通する。
【0059】
図5の(e)及び(f)は、ピストン7が収縮行程に移行したのちのピッチ遅れポート12aと弁板13の吸込ポート14との位置関係を示している。これらの図から、吐出過程に入るときには既にピッチ遅れポート12aがランド部18に形成された副導油孔18b及び逃溝18aを介して吐出ポート15に連通しているため、吐出過程の開始時に発生するボア6内の圧力の立ち上がり勾配は小さくなり、急激な上昇が回避される。
【0060】
その結果、ボア6内に負圧が発生することはなくなり、ボア6が吸込限界の圧力以下となることもない。つまり、吸込効率を低下させることなく、キャビテーションが発生せず、その崩壊による騒音の発生も効果的に低減される。
【0061】
図6は、弁板側ポートの中心線とピストンの中心線とが一致している等ピッチポート12bのときの、同ポート12bと弁板13の吸込ポート14及び吐出ポート15との位置関係を示している。図6の(a)〜(d)において、等ピッチポート12bの開口は、ピストン7が上死点に達する以前の−2.5°を越えると直ぐに副導油孔18bを介して吐出ポート15に連通する。ピストン7が上死点に到達したときには、等ピッチポート12bの開口は既にランド部18に形成された逃溝18aとも連通している。そのため、ボア6が吸込限界の圧力以下に低下せず、ボア6内が負圧となることもない。
【0062】
図6の(e)及び(f)は、ピストン7が収縮工程に移行したのちの等ピッチポート12bの開口と弁板13の吸込ポート14との位置関係を示している。
これらの図から、吐出過程に入るときには既に等ピッチポート12bの開口はランド部18に形成された副導油孔18b及び逃溝18aを介して十分な量の圧油を吐出ポート15に吐出している。そのため、吸込過程から吐出過程への移行時に発生するキャビテーションの崩壊による騒音は発生しない。
【0063】
図7の(a)〜(f)は、弁板側ポートの中心線がピストンの中心線よりもシリンダ移動方向に2°変位して形成されたピッチ進みポート12cと、弁板13の吸込ポート14及び吐出ポート15との位置関係を示している。これらの図において、ピッチ進みポート12cの開口は、その移動角が−5°から−2.5°に移る間に、ランド部18の副導油孔18bを介して弁板13の吐出ポート15と連通する。
【0064】
従って、ピストン7が上死点に達する以前に、ピッチ進みポート12cの開口は弁板13の吸込ポート14との連通が遮断されるが、そのときには既に副導油孔18b及び逃溝18aを介して吐出ポート15と連通している。そのため、ボア6の油室内圧力は吸込限界の上限圧力以下の圧力となることがない。また、当然にボア6には負圧となることもない。その結果、吸込効率を低下させることがなく、ボア6にもキャビテーションが発生せず、その崩壊による騒音の発生もない。
【0065】
以上の実施形態にあって、シリンダブロック5に形成される弁板側ポート12の数も、その規則性をもった不等ピッチの配列も、油圧ポンプの容量や用途により多様である。以下に、それらの弁板側ポート12の配置例を具体的に紹介する。
【0066】
図8は、その弁板側ポートの第1配列例を示している。この配列例では、シリンダブロック5に9個のボア6が同一円周上に等ピッチ(360°/9=40°)で配列されている。(この40°を、以下、基準ピッチという。)各弁板側ポート12は対応するボア6に連通して形成されている。弁板側ポート12は略長円形断面を有している。その配列方向の中心を、シリンダ中心よりもシリンダブロック5の中心側に偏位させると共に、周方向のピッチ(角度)を変化させている。
【0067】
図9の具体的な配列によると隣り合う弁板側ポート12間の中心角を40°±2°の範囲に納まるようにピッチを変化させている。具体的には、12時の位置にある弁板側ポート12を基準ポートとして、隣り合うポート12間の中心角を、右回りに順次、(1) 38.0°→(2) 42.0°→(3) 38.5°→(4) 41.5°→(5) 39.0°→(6) 41.0°→(7) 39.5°→(8) 40.5°→(9) 40.0°としている。
【0068】
図9(a)は本実施形態による弁板側ポート12のピッチ変化を折れ線で示す。図9(b)はその周波数に対する騒音分布を示す。図9(b)から、弁板側ポートのピッチをランダムに変化させたときの図18(c)と比較すると、騒音の低下が著しいことが理解できる。特に、高周波域において顕著である。その詳細を、以下に述べる。
【0069】
図9(a)に示す実施形態による弁板側ポートのピッチ変化と、図18(a)に示す従来の弁板側ポートのピッチ変化とを比較する。従来は、ピッチ角度の変化に規則性が存在していない。一方、本発明ではピッチ角度の変化を予め設定された規則性に沿って、一定の角度の範囲内において変化させている。
【0070】
ここで、図9(b)及び図18(c)に示す3000〜5000Hzの高周波領域に発生する騒音レベルを比較する。本実施形態の油圧ポンプでは、図9(b)に示すように周波数が3500Hzの前後で騒音レベル50〜60dBの範囲にある騒音が発生する以外は、その殆どが50dBよりも小さい。これに対して、弁板側ポートのピッチをランダムに配した油圧ポンプは、図18(c)に示すように周波数が3000〜5000Hzの領域には、相変わらず50dBを大きく越える騒音が発生している。特に、周波数3600〜3800(Hz)の騒音レベルは60dBをも越えるため、極めて耳障りな騒音となる。
【0071】
図10は、図9(a)と図18(a)に示した弁板側ポートの配列をもつシリンダブロックを備えた油圧ポンプの周波数帯ごとの騒音レベルの比較図である。理解をしやすくするため、各周波数帯におけるピーク値のみを示している。
【0072】
これら図から、本発明のように弁板側ポートのピッチを規則性をもたせて変化させた油圧ポンプの方が、従来のランダムにピッチを変化させた油圧ポンプよりも、全体として騒音レベルが改善されていることが理解できる。特に、耳障りとなる高周波3000〜5000(Hz)の領域の騒音レベルでは両者の差は4.5〜8dBにも達している。
【0073】
このように、騒音の低減手段として、弁板側ポートのピッチをランダムに変化させることが従来から知られている。しかし、本発明のようにピッチの変化に規則性を与える場合には、更に高周波領域の騒音レベルを低減させることができる。このピッチ変化の規則性について、本実施形態では基準ピッチ(40°)に対する変化量(ピッチ差)を所定の角度範囲(±2°)内で漸次減少させて収束させているが、その変化量を反対に漸増させて拡大するようにしてもよい。
【0074】
図12に、本発明に適用される弁板側ポートの第2配列例を示す。この配列例では、シリンダブロック5に形成されるボア6の個数は7個である。隣り合うポート12間の中心角を51.4°±1.5°の範囲に納まるようにピッチを変化させている。そのピッチ変化は、12時の位置にある弁板側ポート12を基準ポートとして、隣り合うポート12間の中心角を、右回りに順次、(1) 49.9°→(2) 52.9°→(3) 50.4°→(4) 52.4°→(5) 50.9°→(6) 51.9°→(7) 51.4°に設定して、隣り合う弁板側ポート間のピッチを漸次減少させている。
【0075】
図12に、本発明に適用される弁板側ポート12の第3配列例を示す。この配列例では、シリンダブロックに形成されるボア6の個数は10個である。このシリンダブロックは2フローウェイ形と呼ばれる油圧ポンプに適用される。2フローウェイ形油圧ポンプとは、一台のポンプ本体に内蔵された一個のシリンダブロックから2つの独立した吐出圧油が得られる構造を備えた油圧ポンプをいう。これは、多連型スプリットポンプ、複吐出型スプリットポンプとも呼ばれる。そのボア6に連通する弁板側ポート12は同心円の異なる円周上に交互に配されている。一方、図示せぬ弁板には単一の円弧状吸込ポートと、同吸込ポートに隣接して径方向の内外に平行に並んだ2つの円弧状吐出ポートが形成されている。
【0076】
吸込過程にあるシリンダでは弁板の吸込ポート及びシリンダの弁板側ポートを介してボアに油が吸い込まれる。同時に、吐出過程にあるボアから弁板側ポート及び弁板の2つの吐出ポートを介して圧油が吐出される。つまり、一台の油圧ポンプによって2つの独立した吐出圧油が得られる。
【0077】
この第3実施形態にあっても、径方向の異なる円周上に交互に配された弁板側ポート12間の中心角を36.0°±1.5°の範囲に納まるようにピッチを変化させている。この例では、12時の位置にある外側の弁板側ポート12を基準ポートとして、交互に隣り合うポート12間の中心角を、右回りに順次、(1) 34.5°→(2) 36.0°→(3) 37.5°→(4) 35.0°→(5) 36.0°→(6) 37.0°→(7) 35.5°→(8) 36.0°→(9) 36.5°→(10)36.0°に設定して、その隣り合うポート間のピッチを漸次減少させている。
【0078】
なお、本発明にあって、上記実施形態では前後に隣り合う弁板側ポート12間のピッチの差を異ならせているが、その差を一定とすることもできる。
このように、本発明によれば、シリンダブロックに同心円上に形成された隣り合う弁板側ポート間のピッチを規則性をもって変化させることにより、脈動が分散され、音圧の共振が減少し、全体の騒音が低減される。特に、本発明では弁板側ポート間のピッチを単に変化させるに止まらず、そのピッチを縮小傾向とするか、或いは拡大傾向とするように規則性をもたせているため、3000〜5000Hzの高周波の振動成分をより分散させることができるようになり、この高周波領域の騒音レベル(dB)を効果的に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である改良された弁板とピッチ進みポートとのピストン中心位置の移動によるボア内の圧力変化を示す説明図である。
【図2】前記弁板とピッチ遅れポートとのピストン中心位置の移動によるボア内の圧力変化を示す説明図である。
【図3】吸込過程から吐出過程に移行するときの、本発明の第2実施形態による弁板と、ピッチ遅れポート及びピッチ進みポートの相対的な位置関係を示す説明図である。
【図4】弁板側ポートが通常のシリンダブロックを使い、本発明及び通常の弁板とを使ったときの、油圧ポンプの音圧レベル変化を示す説明図である。
【図5】本発明の第3実施形態による弁板を使い、弁板側ポートがピッチ遅れポートのときの、吸込過程から吐出過程に移行する時点の双方の位置関係を示す説明図である。
【図6】前記弁板の使い、弁板側ポートとピストン中心とが一致する等ピッチであるときの、吸込過程から吐出過程に移行する時点の両過程での位置関係を示す説明図である。
【図7】前記弁板を使い、弁板側ポートピッチ進みポートであるときの、吸込過程から吐出過程に移行する時点の双方の位置関係を示す説明図である。
【図8】本発明に適用される弁板側ポートの具体的配置を示す開口面から見た平面図である。
【図9】前記弁板側ポートのピッチ変化と、前記シリンダを備えた油圧ポンプの周波数領域における騒音レベルの分布図である。
【図10】前記シリンダブロックとシリンダブロックとを備えた各油圧ポンプの騒音レベルの分布図である。
【図11】本発明に適用される他の弁板側ポートの具体的配置を示す説明図である。
【図12】本発明に適用される更に他の弁板側ポートの具体的配置を示す説明図である。
【図13】従来の一般的な油圧ポンプの内部構造図である。
【図14】前記ポンプに設置される一般的な弁板の平面図である。
【図15】前記ポンプに適用される通常のシリンダブロックの立体図である。
【図16】従来の等ピッチに配された弁板側ポートとボアとの配置関係を示す平面図である。
【図17】弁板側ポートがピッチ遅れポート、等ピッチポート及びピッチ進みポートであるときの、ピストン中心位置の移動によるボア内の各圧力変化を示す説明図である。
【図18】従来のピッチがランダムに変化する弁板側ポートのピッチ変化と、同弁板側ポートをもつ油圧ポンプの周波数領域における騒音レベルの分布図である。
【図19】ピストン中心位置の移動時における通常の逃溝をもつ弁板及び等ピッチポートの位置関係とボア内の圧力変化を示す説明図である。
【図20】ピストン中心位置の移動時における通常の逃溝をもつ弁板及びピッチ遅れポートの位置関係とボア内の圧力変化を示す説明図である。
【符号の説明】
1 密閉ハウジング
2 シャフト
3,4 軸受
4 シャフト
5 シリンダブロック
6 シリンダ
6a シリンダボア
7 ピストン
7a 球面軸受部
8 斜板
9 シュー
10 プレート
11 トラニオン軸
12 弁板側ポート
12a ピッチ遅れポート
12b 等ピッチポート
12c ピッチ進みポート
13 弁板
14 吸込ポート
15 吐出ポート
16 油吸込口
17 油吐出口
18 ランド部
18a,18a′ 逃溝
18b 副導油孔
18a-1,18a-2 第1及び第2逃溝

Claims (2)

  1. 吸込側及び吐出側ポートをもつ弁板に摺接して回転するシリンダブロックの回転と共に、同シリンダブロックに形成された複数のボア内をピストンが順次往復動し、ピストンの移動により前記弁板の吸込側ポートから流体を吸い込むと共に前記吐出側ポートから流体を吐出する流体機械にあって、
    前記シリンダブロックの周方向に隣り合う弁板側ポートのうち、所定位置にある弁板側ポートを基準ポートとして、円周上の等ピッチを基準ピッチとしたとき、周方向に順次隣り合う弁板側ポート間の中心角を順次増加と減少又は減少と増加とを順次繰り返し、周回する隣り合う弁板側ポート間のピッチを全体として漸減して配してなり、
    ピストンの伸長工程である吸込過程において、ピストンが上死点に達する以前に弁板側ポートの一部を弁板の吐出側ポートに実質的に連通させる手段を有してなる、
    ことを特徴とする回転シリンダ型のアキシャルピストン式流体機械。
  2. 前記連通させる手段が、弁板の吸込ポートと吐出ポートとの間のランド部幅を、前記シリンダブロックの弁板側ポート開口幅よりも実質的に小さく設定することにある請求項1記載の流体機械。
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