JP2003222090A - ベーン型真空ポンプ - Google Patents

ベーン型真空ポンプ

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JP2003222090A
JP2003222090A JP2002023813A JP2002023813A JP2003222090A JP 2003222090 A JP2003222090 A JP 2003222090A JP 2002023813 A JP2002023813 A JP 2002023813A JP 2002023813 A JP2002023813 A JP 2002023813A JP 2003222090 A JP2003222090 A JP 2003222090A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流入する潤滑油の量が多い場合であっても、
排出口付近の内圧上昇を抑制できるベーン型真空ポンプ
を提供することを課題とする。 【解決手段】 ベーン型真空ポンプ1は、空気を吸入す
る吸入口29と、潤滑油が給油される給油口と、空気お
よび潤滑油を排出する排出口24と、が開設された筒状
のケーシング2と、ケーシング2内に収納され、ケーシ
ング2の内周面の中心軸Aに対し偏心して回転可能であ
り、内周面とに間に、回転方向における拡幅領域60で
吸入口29と連通するとともに回転方向における縮幅領
域61で排出口24と連通する偏心リング状の隙間6を
区画するロータ4と、を備える。ケーシング2は、内周
面に、縮幅領域61から隙間の幅最小部62を介して拡
幅領域60まで延在し、排出口24から流入する潤滑油
により上昇する縮幅領域61の内圧を拡幅領域60に逃
がすリーク溝7を持つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はベーン型真空ポン
プ、より詳しくは車両に搭載されエンジンにより駆動さ
れるベーン型真空ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】ベーン型真空ポンプは、トラックなどの
大型ディーゼル車両などにおいて、例えばブレーキ用マ
スターシリンダを駆動するために用いられる。図5に従
来のベーン型真空ポンプをギヤボックス側から見た透過
図を示す。図に示すように、ベーン型真空ポンプ100
は、ケーシング101とシャフト102とロータ103
とベーン104とを備えている。
【0003】ケーシング101は、ギヤボックス(図
略)に並設されている。ケーシング101のギヤボック
ス側(図において紙面表側)の端面には、排出口106
が開設されている。排出口106は、ギヤボックス内と
連通している。シャフト102は、ギヤボックス内に収
納されたギヤトレイン(歯車列、図略)を介してエンジ
ンのクランクシャフトと連結されている。シャフト10
2は、ケーシング101内周面に対して、偏心回転可能
に支承されている。ロータ103は、シャフト102に
止着されている。ロータ103とケーシング101との
間には、偏心リング状の隙間107が区画されている。
隙間107は、ロータ103回転方向(図中矢印で示す
時計回り方向)において、拡幅領域108と縮幅領域1
09と幅最小部110とを有する。ロータ103外周面
には、ベーン溝105が複数個形成されている。これら
複数個のベーン溝105には、それぞれベーン104が
出入自在に収納されている。ベーン104は、前記隙間
107を仕切っている。そしてこの場合、合計三つのポ
ンプ室112を区画している。これら三つのポンプ室1
12は、ベーン112の回転によりケーシング101内
を回転する。ここでポンプ室112が、拡幅領域108
において吸入口113と連通するときが吸入行程であ
る。またポンプ室112が、密閉されて縮幅領域109
を通過するときが圧縮行程である。またポンプ室112
が、縮幅領域において排出口106と連通するときが排
出行程である。
【0004】ところで、ギヤトレインは潤滑油により潤
滑されている。このためギヤボックスの内部には潤滑油
が滞留している。したがって、排出行程において排出口
106からケーシング101内に潤滑油が流入するおそ
れがある。潤滑油がケーシング101内に流入すると、
ケーシング101内において排出口106付近の内圧が
上昇する。内圧が上昇すると、ロータ103やベーン1
04に高負荷が加わり、不具合が生じるおそれがある。
また、騒音が大きくなる。
【0005】このため、従来はケーシング101の内周
面に、リーク溝111を配置していた。リーク溝111
は、ロータ103回転方向に延在している。リーク溝1
11の回転方向端部は、排出口106付近に配置されて
いる。一方、リーク溝111の逆回転方向端部は、縮幅
領域109における排出口106よりも逆回転側(図中
反時計回り方向)に配置されている。そして、排出口1
06付近の内圧が上昇した場合、排出行程中のポンプ室
112と、逆回転側に隣接するポンプ室112すなわち
圧縮行程中のポンプ室112とを、リーク溝111によ
り連通させることにより、排出口106付近の内圧を逃
がしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ギヤボックス内の潤滑
油は、オイルパンからオイルポンプにより圧送されてい
る。このオイルポンプのシャフトも、シャフト102と
同様に、ギヤトレインを介してエンジンのクランクシャ
フトと連結されている。したがって、オイルポンプの圧
送流量は、エンジンの回転速度に比例する。このため、
エンジン高回転時には、ギヤトレインに供給される潤滑
油の量が急激に増加する。
【0007】しかしながら、従来のベーン型真空ポンプ
100のリーク溝111は、排出口106から逆回転方
向にだけ延在している。このため、排出口106からケ
ーシング101内に流入する潤滑油の量が多い場合は、
リーク溝111が潤滑油により満たされてしまう。した
がって、従来のリーク溝111によると、排出口106
付近の内圧上昇を充分に抑制することができない。
【0008】本発明のベーン型真空ポンプは上記課題に
鑑みて完成されたものである。すなわち本発明は、流入
する潤滑油の量が多い場合であっても、排出口付近の内
圧上昇を抑制できるベーン型真空ポンプを提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】(1)上記課題を解決す
るため、本発明のベーン型真空ポンプは、空気を吸入す
る吸入口と、潤滑油が給油される給油口と、空気および
潤滑油を排出する排出口と、が開設された筒状のケーシ
ングと、ケーシング内に収納され、ケーシングの内周面
の中心軸に対し偏心して回転可能であり、内周面とに間
に、回転方向における拡幅領域で吸入口と連通するとと
もに回転方向における縮幅領域で排出口と連通する偏心
リング状の隙間を区画するロータと、を備えてなるベー
ン型真空ポンプであって、ケーシングは、内周面に、縮
幅領域から隙間の幅最小部を介して拡幅領域まで延在
し、排出口から流入する潤滑油により上昇する縮幅領域
の内圧を拡幅領域に逃がすリーク溝を持つことを特徴と
する。
【0010】つまり本発明のベーン型真空ポンプは、ケ
ーシング内周面のリーク溝を、回転方向において縮幅領
域から拡幅領域まで延設するものである。縮幅領域にお
いては、空気の圧縮と排出とが行われる。一方拡幅領域
においては、空気の吸入が行われる。本構成は、リーク
溝を、拡幅領域、言い換えると吸入側にまで延設するも
のである。
【0011】上述したように従来は、排出行程中のポン
プ室の内圧が上昇した場合、逆回転方向に隣接するポン
プ室にしか内圧をリークすることができなかった。これ
に対し、本発明のベーン型真空ポンプによると、このポ
ンプ室の反回転方向に隣接するポンプ室のみならず、順
回転方向に隣接するポンプ室にまで、内圧をリークする
ことができる。このため、リーク溝のうち排出口から反
回転方向に延在する部分が潤滑油に満たされても、排出
口から順回転方向に延在する部分により、排出口付近の
内圧をリークすることができる。したがって本発明のベ
ーン型真空ポンプによると、流入する潤滑油の量が多い
場合であっても、排出口付近の内圧上昇を効果的に抑制
することができる。
【0012】(2)好ましくは、リーク溝の回転方向端
部は、中心軸と幅最小部とを結ぶ直線に対して、回転方
向10゜以上20゜以下に配置されている構成とする方
がよい。上述したように、リーク溝は、縮幅領域から幅
最小部を通過して拡幅領域にまで延在している。拡幅領
域には、リーク溝の回転方向端部が配置されている。本
構成は、リーク溝の回転方向端部の配置を、中心軸と幅
最小部とを結ぶ直線に対して、回転方向10゜以上20
゜以下に限定するものである。
【0013】リーク溝の回転方向端部の配置を10゜以
上としたのは、10゜未満だと排出口付近の内圧を下げ
る効果が充分に発揮できないおそれがあるからである。
一方、リーク溝の回転方向端部の配置を20゜以下とし
たのは、20゜を超えると内圧のリーク量が大きくなり
すぎるため、ベーン型真空ポンプが所望の負圧を達成で
きなくなるおそれがあるからである。本構成のベーン型
真空ポンプによると、所望の負圧を達成しながら、より
確実に排出口付近の内圧上昇を抑制することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明のベーン型真空ポン
プの実施の形態について説明する。本実施形態のベーン
型真空ポンプは、本発明をディーゼル車両のブレーキ用
マスターシリンダを駆動するためのポンプとして具現化
したものである。本実施形態のベーン型真空ポンプは、
エンジンにより駆動される。このため、ベーン型真空ポ
ンプはエンジンのギヤボックスに並設されている。
【0015】まず、本実施形態のベーン型真空ポンプが
併設されているギヤボックスについて説明する。図1に
ギヤボックス内のギヤ配置図を示す。ギヤボックス9内
には、ギヤトレイン90と排油口96とが配置されてい
る。ギヤトレイン90は、クランクシャフトタイミング
ギヤ91と真空ポンプドライブギヤ92とアイドルギヤ
93とオイルポンプドライブギヤ94とオイルポンプギ
ヤ95とその他のギヤを備えている。また排油口96
は、ギヤボックス9の下方に配置されたオイルパン(図
略)に連通している。
【0016】次に、本実施形態のベーン型真空ポンプの
構成について説明する。図2に本実施形態のベーン型真
空ポンプの軸方向断面図を示す。図に示すように、ベー
ン型真空ポンプ1は、ケーシング2とシャフト3とロー
タ4とベーン5とを備えている。
【0017】ケーシング2は、ハウジング20とエンド
プレート21とからなる。ケーシング2は、ベーン型真
空ポンプ1の外殻をなす。ハウジング20は、アルミ合
金製であって、エンドプレート21方向(以下、「前
方」と称す。)に開口する有底円筒状、すなわちカップ
状を呈している。ハウジング20の底壁200の外周側
には、ステー部201が配置されている。なおステー部
201は、底壁200の周方向に180゜離間して二つ
配置されている。このステー部201により、ハウジン
グ20は、Oリング901を挟んで、ギヤボックス9に
固定されている。また、ハウジング20の底壁200か
らは、円筒状のボス部22が後方に向かって突設されて
いる。ボス部22の内周面中心軸は、ハウジング20の
内周面中心軸に対して偏心している。ボス部22は、ギ
ヤボックス9に開設された開口900に挿入されてい
る。ボス部22により、ケーシング2内とギヤボックス
9内とが連通している。ボス部22の内周側には、玉軸
受220が配置されている。また底壁200におけるボ
ス部22とステー部201との間には、排出口24が開
設されている。
【0018】エンドプレート21は、アルミ合金製であ
って円板状を呈している。エンドプレート21は、Oリ
ング210を挟んで、前記ケーシング2の前方に配置さ
れている。エンドプレート21のほぼ中央には、給油筒
部25が前方に向かって突設されている。給油筒部25
により、ケーシング2の内外が連通している。給油筒部
25の前端には、給油口26が配置されている。給油口
26には、潤滑油を供給するパイプ(図略)が接合され
ている。また給油筒部25の内周側後方には、すべり軸
受250が配置されている。エンドプレート21の上方
には、吸入筒部27が配置されている。吸入筒部27に
より、ケーシング2の内外が連通している。吸入筒部2
7の内周側には、チェックバルブ28が配置されてい
る。チェックバルブ28の前端には、吸入口29が配置
されている。吸入口29は、バキュームブレーキブース
タに負圧を供給する真空タンク(図略)と連通してい
る。
【0019】シャフト3は、鋼製であってケーシング2
内に回転可能に挿通されている。シャフト3は、玉軸受
220とすべり軸受250とにより支承されている。シ
ャフト3の前端部には、連通路30が形成されている。
連通路30は、給油口26とつながっている。シャフト
3の後端は、ギヤボックス9内に突出されている。シャ
フト3の後端は、真空ポンプドライブギヤ92に止着さ
れている。具体的には、真空ポンプドライブギヤ92の
内周部が座付ナット31と玉軸受220内輪とに挟持さ
れた状態で、シャフト3の後端の外周側に環装されてい
る。
【0020】ロータ4は、鉄系の金属製であって円柱状
を呈している。ロータ4は、シャフト3の外周面にスプ
ライン嵌合され止着されている。ロータ4の外周面に
は、径方向に深いベーン溝40が形成されている。ベー
ン溝40は、この場合120°ずつ周方向に離間して、
合計三つ配置されている。すなわちベーン溝40は、放
射状に配置されている。
【0021】ベーン5は、カーボン製であって長方形板
状を呈している。ベーン5の一端は、ベーン溝40に摺
動自在に収納されている。ベーン5の他端は、後述する
ように、遠心力によりハウジング20の内周面に当接し
ている。
【0022】次に、本実施形態のベーン型真空ポンプの
リーク溝について説明する。図3にベーン型真空ポンプ
のギヤボックス側から見た透過図を示す。図に示すよう
に、ケーシング2の内周面とロータ4の外周面との間に
は、偏心リング状の隙間6が区画されている。隙間6
は、ロータ4回転方向(図中矢印で示す時計回り方向)
に拡幅領域60と縮幅領域61と幅最小部62とを有し
ている。隙間6は、前記ベーン5により仕切られてい
る。
【0023】リーク溝7は、ケーシング2の内周面中程
(図1参照)に形成されている。リーク溝7は、ケーシ
ング2の中心軸Aから偏心した円弧状を呈している。リ
ーク溝7の逆回転方向(図中反時計回り方向)端部71
は、ケーシング2の下方に配置されている。またリーク
溝の回転方向端部70は、中心軸Aと幅最小部62とを
結ぶ直線に対して、回転方向15゜の位置に配置されて
いる。すなわち中心角α=15゜に設定されている。
【0024】次に、本実施形態のベーン型真空ポンプの
動きについて説明する。エンジンのクランクシャフト
(図略)の回転力は、図1に示すように、クランクシャ
フトタイミングギヤ91からアイドルギヤ93を介して
真空ポンプドライブギヤ92に伝達される。真空ポンプ
ドライブギヤ92は、図2に示すように、回転軸3に止
着されている。また、回転軸3にはロータ4が止着され
ている。このため、真空ポンプドライブギヤ92が回転
すると、回転軸3およびロータ4も回転する。ロータ4
が回転すると、図3に示すように、遠心力によりベーン
5がベーン溝40から突出する。そしてベーン5は、ケ
ーシング2の内周面に摺接しながら回転する。ベーン5
がケーシング2の内周面に摺接すると、隙間6が三つに
仕切られる。すなわち、ケーシング2内周面とロータ4
外周面とベーン5とにより、合計三つのポンプ室63が
区画形成される。ポンプ室63は、ケーシング2内を回
転する。
【0025】回転に伴い、ポンプ室63は拡幅領域60
において吸入口29と連通する。拡幅領域60において
は、ポンプ室63の容積は増加する。したがって、空気
が吸入口29を介してポンプ室63内に吸入される。こ
の行程が吸入行程である。ポンプ室63がさらに回転す
ると、ポンプ室63は拡幅領域60から縮幅領域61に
移動する。そして吸入口29との連通が断たれる。すな
わちポンプ室63は密閉される。縮幅領域61において
はポンプ室63の容積は減少する。したがって、ポンプ
室63内の空気は圧縮される。この行程が圧縮行程であ
る。ポンプ室63がさらに回転すると、縮幅領域61に
おいてポンプ室63と排出口24とが連通する。そし
て、圧縮された空気が排出口24を介してギヤボックス
9内に排出される。この行程が排出行程である。
【0026】一方、潤滑油は、図2に示す給油口26か
ら連通路30を介して、ケーシング2内に供給される。
そして圧縮された空気とともに、排出行程において排出
口24からギヤボックス内に排出される。
【0027】図1に示すギヤトレイン90には、オイル
ポンプドライブギヤ94とオイルポンプギヤ95とが組
み込まれている。このため、エンジンが高回転状態とな
ると、オイルポンプ(図略)の潤滑油圧送流量も大きく
なる。したがって、ギヤボックス9内に圧送される潤滑
油量が多くなる。潤滑油は排油口96からオイルパンに
流下する。しかしながら、圧送される潤滑油量が流下す
る潤滑油量を超えると、ギヤボックス9内の潤滑油滞留
量が多くなる。このため、図3に示す排出口24を介し
て、ギヤボックス9から大量の潤滑油が排出行程中のポ
ンプ室63内に流入する。
【0028】ここで、リーク溝7の回転方向端部が排出
口24付近に配置されていると、リーク溝7が潤滑油に
より満たされてしまうおそれがある。そして排出行程中
のポンプ室63から圧縮行程中のポンプ室63に、内圧
を充分リークできなくなるおそれがある。この点、本実
施形態のリーク溝7の回転方向端部70は、拡幅領域6
0にまで延出している。このため、排出行程中のポンプ
室63から、圧縮行程中のポンプ室63のみならず、吸
入行程中のポンプ室63にまで、内圧をリークすること
ができる。したがって、本実施形態のベーン型真空ポン
プ1によると、流入する潤滑油量が多い場合であって
も、排出口24付近の内圧の上昇を抑制することができ
る。
【0029】なお、本実施形態においては、ベーン型真
空ポンプ1がギヤボックス9の比較的下部(図1におい
て真空ポンプドライブギヤ92が配置されている部位)
に配置されている。このため、排出口24が排油口96
に近接している。したがって、本実施形態のベーン型真
空ポンプ1のケーシング2内には、比較的潤滑油が流入
しやすい。しかしながら、排出口24位置が低い場合で
あっても、上述したように、リーク溝7により排出口2
4付近の内圧上昇を抑制することができる。すなわち、
本発明のベーン型真空ポンプは、本実施形態のように排
出口24が排油口96に近接しているベーン型真空ポン
プとして具現化するのに好適である。
【0030】また、図3に示す吸入口60に反時計回り
に隣接する部分から幅最小部62までの区間(以下、
「密閉区間」と称す。)には、外部と連通する通路がな
い。このため、ロータ4を逆回転させると、密閉区間の
空気が過圧縮されるおそれがある。この点、本実施形態
のベーン型真空ポンプ1によると、密閉区間はリーク溝
7を介して、排出口24と連通している。このため、逆
回転時における密閉区間の内圧上昇を抑制することがで
きる。すなわち、本実施形態のベーン型真空ポンプ1に
よると、逆回転時における密閉領域の過圧縮にも対応す
ることができる。
【0031】以上、本発明のベーン型真空ポンプの実施
の形態について説明した。しかしながら実施形態は上記
形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる
種々の変形的、改良的形態で行うこともできる。
【0032】例えば、上記実施形態においてはベーン5
の枚数を三枚としたが、例えば四枚でもよい。また、上
記実施形態においては、中心角α=15゜としたが、中
心角αの角度は0゜以上180゜以下であれば特に限定
しない。すなわち、ベーン溝7の回転方向端部70が拡
幅領域60まで延在していればよい。また、上記実施形
態においては、加工の容易性により、ベーン溝7を中心
軸Aから偏心した円弧状に形成した。しかしながら、ベ
ーン溝7の形状は特に限定しない。例えば、溝の中程を
中心軸Aと同心円弧状に形成し、回転方向端部70およ
び逆回転方向端部71のみを面取りした形状であっても
よい。ベーン溝7は、ハウジング20作製後から、ハウ
ジング20の内周面に切削形成してもよい。またベーン
溝7は、ハウジング20作製時に、ハウジング20と一
体的かつ同時に形成してもよい。
【0033】
【実施例】以下、本発明のベーン型真空ポンプについ
て、図3に示す中心角αを変化させた場合の、騒音およ
び排出口付近の内圧および到達圧の変化を調べた実験に
ついて説明する。実験に用いたベーン型真空ポンプは、
上記実施形態のベーン型真空ポンプと同型である。した
がって、実験条件は図2および図3により説明する。
【0034】図2におけるリーク溝7の溝幅cは11m
mとした。図3における幅最小部62の幅、すなわちギ
ャップ幅aは0.1mmとした。また図3における最大
溝深さbは2mmとした。またエンジン回転数は400
0rpmとした。そして、図3に示す中心角αを−70
゜から30゜まで変化させた。すなわち回転方向端部7
0の位置を変化させた。
【0035】上記実験条件により、ベーン型真空ポンプ
を駆動した場合の、中心角αに対する騒音および排出口
付近の内圧および到達圧の変化を図4に示す。図中横軸
は、中心角α、つまり図3に示す回転方向端部70の位
置を示す。また図中縦軸は、騒音と排出口付近の内圧と
到達圧を示す。これら内圧および到達圧の値は、いずれ
も絶対圧である。排出口付近の内圧が低いほど、潤滑油
流入時において、より排出口付近の内圧上昇を抑制する
ことができる。なお、ここで到達圧とは、吸入口におい
て達成できる負圧を示す。到達圧が低いほど、よりベー
ン型真空ポンプの性能は高くなる。
【0036】図に示すように、中心角αが−70゜から
0゜までの範囲においては、騒音は、約95dB程度と
一定である。また排出口付近の内圧も、約20MPa程
度と一定である。また到達圧も、約5kPa程度と一定
である。
【0037】中心角αが0゜から10゜までの範囲にお
いては、騒音が約86dB程度にまで急激に減少する。
また排出口付近の内圧も、約4.8MPa程度にまで急
激に低下する。また到達圧は徐々に上昇しはじめる。
【0038】中心角αが10゜から30゜までの範囲に
おいては、騒音は約86dB程度とほぼ一定である。ま
た排出口付近の内圧も、約4.8MPa程度とほぼ一定
である。ただし到達圧は上昇し続ける。到達圧は、中心
角αが20゜を超えると、許容圧を超える。すなわちベ
ーン型真空ポンプが所望の負圧を達成できなくなる。
【0039】このように、中心角α≧0゜、すなわち図
3に示す回転方向端部70を拡幅領域に配置すると、騒
音を減少することができる。また排出口付近の内圧上昇
を抑制することができる。
【0040】これら騒音減少効果および内圧上昇抑制効
果は、中心角αが10゜以上の場合に顕著となる。しか
し反面、中心角αが0゜以上となると、到達圧は徐々に
上昇する。そして中心角が20゜を超えると、到達圧は
許容圧を超えてしまう。
【0041】したがって、好ましい中心角α範囲は10
゜≦α≦20゜となる。この範囲内に回転方向端部70
を配置すると、到達圧の上昇を抑えたまま、高い騒音減
少効果および内圧上昇抑制効果を得ることができる。
【0042】
【発明の効果】本発明によると、流入する潤滑油の量が
多い場合であっても、排出口付近の内圧上昇を抑制でき
るベーン型真空ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ギヤボックス内のギヤ配置を示す図である。
【図2】 本実施形態のベーン型真空ポンプの軸方向断
面図である。
【図3】 本実施形態のベーン型真空ポンプをギヤボッ
クス側から見た透過図である。
【図4】 中心角αに対する騒音および排出口付近の内
圧および到達圧の変化を示すグラフである。
【図5】 従来のベーン型真空ポンプをギヤボックス側
から見た透過図である。
【符号の説明】
1:ベーン型真空ポンプ、2:ケーシング、20:ハウ
ジング、200:底壁、201:ステー部、21:エン
ドプレート、210:Oリング、22:ボス部、22
0:玉軸受、24:排出口、25:給油筒部、250:
すべり軸受、26:給油口、27:吸入筒部、28:チ
ェックバルブ、29:吸入口、3:シャフト、30:連
通路、31:座付ナット、4:ロータ、40:ベーン
溝、5:ベーン、6:隙間、60:拡幅領域、61:縮
幅領域、62:幅最小部、63:ポンプ室、7:リーク
溝、70:回転方向端部、71:逆回転方向端部、9:
ギヤボックス、90:ギヤトレイン、900:開口、9
01:Oリング、91:クランクシャフトタイミングギ
ヤ、92:真空ポンプドライブギヤ、93:アイドルギ
ヤ、94:オイルポンプドライブギヤ、95:オイルポ
ンプギヤ、96:排油口、A:中心軸、α:中心角、
a:ギャップ幅、b:最大溝深さ、c:溝幅。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気を吸入する吸入口と、潤滑油が給油
    される給油口と、空気および潤滑油を排出する排出口
    と、が開設された筒状のケーシングと、 該ケーシング内に収納され、該ケーシングの内周面の中
    心軸に対し偏心して回転可能であり、該内周面とに間
    に、回転方向における拡幅領域で該吸入口と連通すると
    ともに回転方向における縮幅領域で該排出口と連通する
    偏心リング状の隙間を区画するロータと、を備えてなる
    ベーン型真空ポンプであって、 該ケーシングは、該内周面に、該縮幅領域から該隙間の
    幅最小部を介して該拡幅領域まで延在し、該排出口から
    流入する潤滑油により上昇する該縮幅領域の内圧を該拡
    幅領域に逃がすリーク溝を持つことを特徴とするベーン
    型真空ポンプ。
  2. 【請求項2】 前記リーク溝の前記回転方向端部は、前
    記中心軸と前記幅最小部とを結ぶ直線に対して、回転方
    向10゜以上20゜以下に配置されている請求項1に記
    載のベーン型真空ポンプ。
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