JP3991260B2 - ベーン型真空ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はベーン型真空ポンプ、より詳しくは車両に搭載されエンジンにより駆動されるベーン型真空ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
ベーン型真空ポンプは、トラックなどの大型ディーゼル車両などにおいて、例えばブレーキ用マスターシリンダを駆動するために用いられる。図5に従来のベーン型真空ポンプをギヤボックス側から見た透過図を示す。図に示すように、ベーン型真空ポンプ100は、ケーシング101とシャフト102とロータ103とベーン104とを備えている。
【0003】
ケーシング101は、ギヤボックス(図略)に並設されている。ケーシング101のギヤボックス側(図において紙面表側)の端面には、排出口106が開設されている。排出口106は、ギヤボックス内と連通している。シャフト102は、ギヤボックス内に収納されたギヤトレイン(歯車列、図略)を介してエンジンのクランクシャフトと連結されている。シャフト102は、ケーシング101内周面に対して、偏心回転可能に支承されている。ロータ103は、シャフト102に止着されている。ロータ103とケーシング101との間には、偏心リング状の隙間107が区画されている。隙間107は、ロータ103回転方向(図中矢印で示す時計回り方向)において、拡幅領域108と縮幅領域109と幅最小部110とを有する。ロータ103外周面には、ベーン溝105が複数個形成されている。これら複数個のベーン溝105には、それぞれベーン104が出入自在に収納されている。ベーン104は、前記隙間107を仕切っている。そしてこの場合、合計三つのポンプ室112を区画している。これら三つのポンプ室112は、ベーン112の回転によりケーシング101内を回転する。ここでポンプ室112が、拡幅領域108において吸入口113と連通するときが吸入行程である。またポンプ室112が、密閉されて縮幅領域109を通過するときが圧縮行程である。またポンプ室112が、縮幅領域において排出口106と連通するときが排出行程である。
【0004】
ところで、ギヤトレインは潤滑油により潤滑されている。このためギヤボックスの内部には潤滑油が滞留している。したがって、排出行程において排出口106からケーシング101内に潤滑油が流入するおそれがある。潤滑油がケーシング101内に流入すると、ケーシング101内において排出口106付近の内圧が上昇する。内圧が上昇すると、ロータ103やベーン104に高負荷が加わり、不具合が生じるおそれがある。また、騒音が大きくなる。
【0005】
このため、従来はケーシング101の内周面に、リーク溝111を配置していた。リーク溝111は、ロータ103回転方向に延在している。リーク溝111の回転方向端部は、排出口106付近に配置されている。一方、リーク溝111の逆回転方向端部は、縮幅領域109における排出口106よりも逆回転側(図中反時計回り方向)に配置されている。そして、排出口106付近の内圧が上昇した場合、排出行程中のポンプ室112と、逆回転側に隣接するポンプ室112すなわち圧縮行程中のポンプ室112とを、リーク溝111により連通させることにより、排出口106付近の内圧を逃がしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ギヤボックス内の潤滑油は、オイルパンからオイルポンプにより圧送されている。このオイルポンプのシャフトも、シャフト102と同様に、ギヤトレインを介してエンジンのクランクシャフトと連結されている。したがって、オイルポンプの圧送流量は、エンジンの回転速度に比例する。このため、エンジン高回転時には、ギヤトレインに供給される潤滑油の量が急激に増加する。
【0007】
しかしながら、従来のベーン型真空ポンプ100のリーク溝111は、排出口106から逆回転方向にだけ延在している。このため、排出口106からケーシング101内に流入する潤滑油の量が多い場合は、リーク溝111が潤滑油により満たされてしまう。したがって、従来のリーク溝111によると、排出口106付近の内圧上昇を充分に抑制することができない。
【0008】
本発明のベーン型真空ポンプは上記課題に鑑みて完成されたものである。すなわち本発明は、流入する潤滑油の量が多い場合であっても、排出口付近の内圧上昇を抑制できるベーン型真空ポンプを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)上記課題を解決するため、本発明のベーン型真空ポンプは、空気を吸入する吸入口と、潤滑油が給油される給油口と、空気および潤滑油を排出する排出口と、が開設された筒状のケーシングと、ケーシング内に収納され、ケーシングの内周面の中心軸に対し偏心して回転可能であり、内周面とに間に、回転方向における拡幅領域で吸入口と連通するとともに回転方向における縮幅領域で排出口と連通する偏心リング状の隙間を区画するロータと、を備えてなるベーン型真空ポンプであって、ケーシングは、内周面に、縮幅領域から隙間の幅最小部を介して拡幅領域まで延在し、排出口から流入する潤滑油により上昇する縮幅領域の内圧を拡幅領域に逃がすリーク溝を持つことを特徴とする。
【0010】
つまり本発明のベーン型真空ポンプは、ケーシング内周面のリーク溝を、回転方向において縮幅領域から拡幅領域まで延設するものである。縮幅領域においては、空気の圧縮と排出とが行われる。一方拡幅領域においては、空気の吸入が行われる。本構成は、リーク溝を、拡幅領域、言い換えると吸入側にまで延設するものである。
【0011】
上述したように従来は、排出行程中のポンプ室の内圧が上昇した場合、逆回転方向に隣接するポンプ室にしか内圧をリークすることができなかった。これに対し、本発明のベーン型真空ポンプによると、このポンプ室の反回転方向に隣接するポンプ室のみならず、順回転方向に隣接するポンプ室にまで、内圧をリークすることができる。このため、リーク溝のうち排出口から反回転方向に延在する部分が潤滑油に満たされても、排出口から順回転方向に延在する部分により、排出口付近の内圧をリークすることができる。したがって本発明のベーン型真空ポンプによると、流入する潤滑油の量が多い場合であっても、排出口付近の内圧上昇を効果的に抑制することができる。
【0012】
(2)好ましくは、リーク溝の回転方向端部は、中心軸と幅最小部とを結ぶ直線に対して、回転方向10゜以上20゜以下に配置されている構成とする方がよい。上述したように、リーク溝は、縮幅領域から幅最小部を通過して拡幅領域にまで延在している。拡幅領域には、リーク溝の回転方向端部が配置されている。本構成は、リーク溝の回転方向端部の配置を、中心軸と幅最小部とを結ぶ直線に対して、回転方向10゜以上20゜以下に限定するものである。
【0013】
リーク溝の回転方向端部の配置を10゜以上としたのは、10゜未満だと排出口付近の内圧を下げる効果が充分に発揮できないおそれがあるからである。一方、リーク溝の回転方向端部の配置を20゜以下としたのは、20゜を超えると内圧のリーク量が大きくなりすぎるため、ベーン型真空ポンプが所望の負圧を達成できなくなるおそれがあるからである。本構成のベーン型真空ポンプによると、所望の負圧を達成しながら、より確実に排出口付近の内圧上昇を抑制することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のベーン型真空ポンプの実施の形態について説明する。本実施形態のベーン型真空ポンプは、本発明をディーゼル車両のブレーキ用マスターシリンダを駆動するためのポンプとして具現化したものである。本実施形態のベーン型真空ポンプは、エンジンにより駆動される。このため、ベーン型真空ポンプはエンジンのギヤボックスに並設されている。
【0015】
まず、本実施形態のベーン型真空ポンプが併設されているギヤボックスについて説明する。図1にギヤボックス内のギヤ配置図を示す。ギヤボックス9内には、ギヤトレイン90と排油口96とが配置されている。ギヤトレイン90は、クランクシャフトタイミングギヤ91と真空ポンプドライブギヤ92とアイドルギヤ93とオイルポンプドライブギヤ94とオイルポンプギヤ95とその他のギヤを備えている。また排油口96は、ギヤボックス9の下方に配置されたオイルパン(図略)に連通している。
【0016】
次に、本実施形態のベーン型真空ポンプの構成について説明する。図2に本実施形態のベーン型真空ポンプの軸方向断面図を示す。図に示すように、ベーン型真空ポンプ1は、ケーシング2とシャフト3とロータ4とベーン5とを備えている。
【0017】
ケーシング2は、ハウジング20とエンドプレート21とからなる。ケーシング2は、ベーン型真空ポンプ1の外殻をなす。ハウジング20は、アルミ合金製であって、エンドプレート21方向(以下、「前方」と称す。)に開口する有底円筒状、すなわちカップ状を呈している。ハウジング20の底壁200の外周側には、ステー部201が配置されている。なおステー部201は、底壁200の周方向に180゜離間して二つ配置されている。このステー部201により、ハウジング20は、Oリング901を挟んで、ギヤボックス9に固定されている。また、ハウジング20の底壁200からは、円筒状のボス部22が後方に向かって突設されている。ボス部22の内周面中心軸は、ハウジング20の内周面中心軸に対して偏心している。ボス部22は、ギヤボックス9に開設された開口900に挿入されている。ボス部22により、ケーシング2内とギヤボックス9内とが連通している。ボス部22の内周側には、玉軸受220が配置されている。また底壁200におけるボス部22とステー部201との間には、排出口24が開設されている。
【0018】
エンドプレート21は、アルミ合金製であって円板状を呈している。エンドプレート21は、Oリング210を挟んで、前記ケーシング2の前方に配置されている。エンドプレート21のほぼ中央には、給油筒部25が前方に向かって突設されている。給油筒部25により、ケーシング2の内外が連通している。給油筒部25の前端には、給油口26が配置されている。給油口26には、潤滑油を供給するパイプ(図略)が接合されている。また給油筒部25の内周側後方には、すべり軸受250が配置されている。エンドプレート21の上方には、吸入筒部27が配置されている。吸入筒部27により、ケーシング2の内外が連通している。吸入筒部27の内周側には、チェックバルブ28が配置されている。チェックバルブ28の前端には、吸入口29が配置されている。吸入口29は、バキュームブレーキブースタに負圧を供給する真空タンク(図略)と連通している。
【0019】
シャフト3は、鋼製であってケーシング2内に回転可能に挿通されている。シャフト3は、玉軸受220とすべり軸受250とにより支承されている。シャフト3の前端部には、連通路30が形成されている。連通路30は、給油口26とつながっている。シャフト3の後端は、ギヤボックス9内に突出されている。シャフト3の後端は、真空ポンプドライブギヤ92に止着されている。具体的には、真空ポンプドライブギヤ92の内周部が座付ナット31と玉軸受220内輪とに挟持された状態で、シャフト3の後端の外周側に環装されている。
【0020】
ロータ4は、鉄系の金属製であって円柱状を呈している。ロータ4は、シャフト3の外周面にスプライン嵌合され止着されている。ロータ4の外周面には、径方向に深いベーン溝40が形成されている。ベーン溝40は、この場合120°ずつ周方向に離間して、合計三つ配置されている。すなわちベーン溝40は、放射状に配置されている。
【0021】
ベーン5は、カーボン製であって長方形板状を呈している。ベーン5の一端は、ベーン溝40に摺動自在に収納されている。ベーン5の他端は、後述するように、遠心力によりハウジング20の内周面に当接している。
【0022】
次に、本実施形態のベーン型真空ポンプのリーク溝について説明する。図3にベーン型真空ポンプのギヤボックス側から見た透過図を示す。図に示すように、ケーシング2の内周面とロータ4の外周面との間には、偏心リング状の隙間6が区画されている。隙間6は、ロータ4回転方向(図中矢印で示す時計回り方向)に拡幅領域60と縮幅領域61と幅最小部62とを有している。隙間6は、前記ベーン5により仕切られている。
【0023】
リーク溝7は、ケーシング2の内周面中程(図1参照)に形成されている。リーク溝7は、ケーシング2の中心軸Aから偏心した円弧状を呈している。リーク溝7の逆回転方向(図中反時計回り方向)端部71は、ケーシング2の下方に配置されている。またリーク溝の回転方向端部70は、中心軸Aと幅最小部62とを結ぶ直線に対して、回転方向15゜の位置に配置されている。すなわち中心角α=15゜に設定されている。
【0024】
次に、本実施形態のベーン型真空ポンプの動きについて説明する。エンジンのクランクシャフト(図略)の回転力は、図1に示すように、クランクシャフトタイミングギヤ91からアイドルギヤ93を介して真空ポンプドライブギヤ92に伝達される。真空ポンプドライブギヤ92は、図2に示すように、回転軸3に止着されている。また、回転軸3にはロータ4が止着されている。このため、真空ポンプドライブギヤ92が回転すると、回転軸3およびロータ4も回転する。ロータ4が回転すると、図3に示すように、遠心力によりベーン5がベーン溝40から突出する。そしてベーン5は、ケーシング2の内周面に摺接しながら回転する。ベーン5がケーシング2の内周面に摺接すると、隙間6が三つに仕切られる。すなわち、ケーシング2内周面とロータ4外周面とベーン5とにより、合計三つのポンプ室63が区画形成される。ポンプ室63は、ケーシング2内を回転する。
【0025】
回転に伴い、ポンプ室63は拡幅領域60において吸入口29と連通する。拡幅領域60においては、ポンプ室63の容積は増加する。したがって、空気が吸入口29を介してポンプ室63内に吸入される。この行程が吸入行程である。ポンプ室63がさらに回転すると、ポンプ室63は拡幅領域60から縮幅領域61に移動する。そして吸入口29との連通が断たれる。すなわちポンプ室63は密閉される。縮幅領域61においてはポンプ室63の容積は減少する。したがって、ポンプ室63内の空気は圧縮される。この行程が圧縮行程である。ポンプ室63がさらに回転すると、縮幅領域61においてポンプ室63と排出口24とが連通する。そして、圧縮された空気が排出口24を介してギヤボックス9内に排出される。この行程が排出行程である。
【0026】
一方、潤滑油は、図2に示す給油口26から連通路30を介して、ケーシング2内に供給される。そして圧縮された空気とともに、排出行程において排出口24からギヤボックス内に排出される。
【0027】
図1に示すギヤトレイン90には、オイルポンプドライブギヤ94とオイルポンプギヤ95とが組み込まれている。このため、エンジンが高回転状態となると、オイルポンプ(図略)の潤滑油圧送流量も大きくなる。したがって、ギヤボックス9内に圧送される潤滑油量が多くなる。潤滑油は排油口96からオイルパンに流下する。しかしながら、圧送される潤滑油量が流下する潤滑油量を超えると、ギヤボックス9内の潤滑油滞留量が多くなる。このため、図3に示す排出口24を介して、ギヤボックス9から大量の潤滑油が排出行程中のポンプ室63内に流入する。
【0028】
ここで、リーク溝7の回転方向端部が排出口24付近に配置されていると、リーク溝7が潤滑油により満たされてしまうおそれがある。そして排出行程中のポンプ室63から圧縮行程中のポンプ室63に、内圧を充分リークできなくなるおそれがある。この点、本実施形態のリーク溝7の回転方向端部70は、拡幅領域60にまで延出している。このため、排出行程中のポンプ室63から、圧縮行程中のポンプ室63のみならず、吸入行程中のポンプ室63にまで、内圧をリークすることができる。したがって、本実施形態のベーン型真空ポンプ1によると、流入する潤滑油量が多い場合であっても、排出口24付近の内圧の上昇を抑制することができる。
【0029】
なお、本実施形態においては、ベーン型真空ポンプ1がギヤボックス9の比較的下部(図1において真空ポンプドライブギヤ92が配置されている部位)に配置されている。このため、排出口24が排油口96に近接している。したがって、本実施形態のベーン型真空ポンプ1のケーシング2内には、比較的潤滑油が流入しやすい。しかしながら、排出口24位置が低い場合であっても、上述したように、リーク溝7により排出口24付近の内圧上昇を抑制することができる。すなわち、本発明のベーン型真空ポンプは、本実施形態のように排出口24が排油口96に近接しているベーン型真空ポンプとして具現化するのに好適である。
【0030】
また、図3に示す吸入口60に反時計回りに隣接する部分から幅最小部62までの区間(以下、「密閉区間」と称す。)には、外部と連通する通路がない。このため、ロータ4を逆回転させると、密閉区間の空気が過圧縮されるおそれがある。この点、本実施形態のベーン型真空ポンプ1によると、密閉区間はリーク溝7を介して、排出口24と連通している。このため、逆回転時における密閉区間の内圧上昇を抑制することができる。すなわち、本実施形態のベーン型真空ポンプ1によると、逆回転時における密閉領域の過圧縮にも対応することができる。
【0031】
以上、本発明のベーン型真空ポンプの実施の形態について説明した。しかしながら実施形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的、改良的形態で行うこともできる。
【0032】
例えば、上記実施形態においてはベーン5の枚数を三枚としたが、例えば四枚でもよい。また、上記実施形態においては、中心角α=15゜としたが、中心角αの角度は0゜以上180゜以下であれば特に限定しない。すなわち、ベーン溝7の回転方向端部70が拡幅領域60まで延在していればよい。また、上記実施形態においては、加工の容易性により、ベーン溝7を中心軸Aから偏心した円弧状に形成した。しかしながら、ベーン溝7の形状は特に限定しない。例えば、溝の中程を中心軸Aと同心円弧状に形成し、回転方向端部70および逆回転方向端部71のみを面取りした形状であってもよい。ベーン溝7は、ハウジング20作製後から、ハウジング20の内周面に切削形成してもよい。またベーン溝7は、ハウジング20作製時に、ハウジング20と一体的かつ同時に形成してもよい。
【0033】
【実施例】
以下、本発明のベーン型真空ポンプについて、図3に示す中心角αを変化させた場合の、騒音および排出口付近の内圧および到達圧の変化を調べた実験について説明する。実験に用いたベーン型真空ポンプは、上記実施形態のベーン型真空ポンプと同型である。したがって、実験条件は図2および図3により説明する。
【0034】
図2におけるリーク溝7の溝幅cは11mmとした。図3における幅最小部62の幅、すなわちギャップ幅aは0.1mmとした。また図3における最大溝深さbは2mmとした。またエンジン回転数は4000rpmとした。そして、図3に示す中心角αを−70゜から30゜まで変化させた。すなわち回転方向端部70の位置を変化させた。
【0035】
上記実験条件により、ベーン型真空ポンプを駆動した場合の、中心角αに対する騒音および排出口付近の内圧および到達圧の変化を図4に示す。図中横軸は、中心角α、つまり図3に示す回転方向端部70の位置を示す。また図中縦軸は、騒音と排出口付近の内圧と到達圧を示す。これら内圧および到達圧の値は、いずれも絶対圧である。排出口付近の内圧が低いほど、潤滑油流入時において、より排出口付近の内圧上昇を抑制することができる。なお、ここで到達圧とは、吸入口において達成できる負圧を示す。到達圧が低いほど、よりベーン型真空ポンプの性能は高くなる。
【0036】
図に示すように、中心角αが−70゜から0゜までの範囲においては、騒音は、約95dB程度と一定である。また排出口付近の内圧も、約20MPa程度と一定である。また到達圧も、約5kPa程度と一定である。
【0037】
中心角αが0゜から10゜までの範囲においては、騒音が約86dB程度にまで急激に減少する。また排出口付近の内圧も、約4.8MPa程度にまで急激に低下する。また到達圧は徐々に上昇しはじめる。
【0038】
中心角αが10゜から30゜までの範囲においては、騒音は約86dB程度とほぼ一定である。また排出口付近の内圧も、約4.8MPa程度とほぼ一定である。ただし到達圧は上昇し続ける。到達圧は、中心角αが20゜を超えると、許容圧を超える。すなわちベーン型真空ポンプが所望の負圧を達成できなくなる。
【0039】
このように、中心角α≧0゜、すなわち図3に示す回転方向端部70を拡幅領域に配置すると、騒音を減少することができる。また排出口付近の内圧上昇を抑制することができる。
【0040】
これら騒音減少効果および内圧上昇抑制効果は、中心角αが10゜以上の場合に顕著となる。しかし反面、中心角αが0゜以上となると、到達圧は徐々に上昇する。そして中心角が20゜を超えると、到達圧は許容圧を超えてしまう。
【0041】
したがって、好ましい中心角α範囲は10゜≦α≦20゜となる。この範囲内に回転方向端部70を配置すると、到達圧の上昇を抑えたまま、高い騒音減少効果および内圧上昇抑制効果を得ることができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によると、流入する潤滑油の量が多い場合であっても、排出口付近の内圧上昇を抑制できるベーン型真空ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ギヤボックス内のギヤ配置を示す図である。
【図2】 本実施形態のベーン型真空ポンプの軸方向断面図である。
【図3】 本実施形態のベーン型真空ポンプをギヤボックス側から見た透過図である。
【図4】 中心角αに対する騒音および排出口付近の内圧および到達圧の変化を示すグラフである。
【図5】 従来のベーン型真空ポンプをギヤボックス側から見た透過図である。
【符号の説明】
1:ベーン型真空ポンプ、2:ケーシング、20:ハウジング、200:底壁、201:ステー部、21:エンドプレート、210:Oリング、22:ボス部、220:玉軸受、24:排出口、25:給油筒部、250:すべり軸受、26:給油口、27:吸入筒部、28:チェックバルブ、29:吸入口、3:シャフト、30:連通路、31:座付ナット、4:ロータ、40:ベーン溝、5:ベーン、6:隙間、60:拡幅領域、61:縮幅領域、62:幅最小部、63:ポンプ室、7:リーク溝、70:回転方向端部、71:逆回転方向端部、9:ギヤボックス、90:ギヤトレイン、900:開口、901:Oリング、91:クランクシャフトタイミングギヤ、92:真空ポンプドライブギヤ、93:アイドルギヤ、94:オイルポンプドライブギヤ、95:オイルポンプギヤ、96:排油口、A:中心軸、α:中心角、a:ギャップ幅、b:最大溝深さ、c:溝幅。

Claims (2)

  1. 空気を吸入する吸入口と、潤滑油が給油される給油口と、空気および潤滑油を排出する排出口と、が開設された筒状のケーシングと、
    該ケーシング内に収納され、該ケーシングの内周面の中心軸に対し偏心して回転可能であり、該内周面とに間に、回転方向における拡幅領域で該吸入口と連通するとともに回転方向における縮幅領域で該排出口と連通する偏心リング状の隙間を区画するロータと、
    を備えてなるベーン型真空ポンプであって、
    該ケーシングは、該内周面に、該縮幅領域から該隙間の幅最小部を介して該拡幅領域まで延在し、該排出口から流入する潤滑油により上昇する該縮幅領域の内圧を該拡幅領域に逃がすリーク溝を持つことを特徴とするベーン型真空ポンプ。
  2. 前記リーク溝の前記回転方向端部は、前記中心軸と前記幅最小部とを結ぶ直線に対して、回転方向10゜以上20゜以下に配置されている請求項1に記載のベーン型真空ポンプ。
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