JP2014152753A - アキシャルピストン式液圧ポンプ - Google Patents

アキシャルピストン式液圧ポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】吐出圧力の変動(脈動)、延いては、運転音、振動を低減することができるアキシャルピストン式液圧ポンプを提供する。
【解決手段】シリンダブロック6のうち弁板16と摺接する摺接面6Aには、シリンダ7,8と連通するシリンダポート9,10を開口させる。シリンダポート9,10の開口9A,10Aは、シリンダブロック6の内径側に配置される複数の内径側開口9Aと、該内径側開口9Aよりも径方向外側に配置される複数の外径側開口10Aとを、周方向に交互に千鳥状に配列する構成とする。そして、シリンダブロック6には、シリンダ7,8と該シリンダ7,8に対して回転方向に先行する2つ隣のシリンダ7,8との間に位置して両者の間を連通する連通路26を設ける。
【選択図】図9

Description

本発明は、例えば斜板式油圧ポンプ、斜軸式油圧ポンプ等に用いて好適なアキシャルピストン式液圧ポンプに関する。
一般に、作動油、各種油、水、液状薬品等の油液を圧送するために用いるアキシャルピストン式液圧ポンプの代表例としての油圧ポンプは、中空なケーシングと、該ケーシング内を軸方向に伸長して該ケーシングに回転可能に設けられた回転軸と、該回転軸と一体に回転するようにケーシング内に設けられ周方向に離間して軸方向に伸長する複数のシリンダと該各シリンダに対応した位置で軸方向の端面に開口したシリンダポートとが形成されたシリンダブロックと、該シリンダブロックの各シリンダに往復可能に挿嵌された複数のピストンと、シリンダブロックの端面に摺接してケーシング側に設けられ各シリンダポートと間欠的に連通する吸入ポート、吐出ポートが設けられた弁板とにより大略構成されている。
この場合、各シリンダポートの開口は、シリンダブロックの内径側に位置して周方向に間隔をもって配置された複数の内径側開口と、該各内径側開口よりも径方向外側に位置して周方向に間隔をもって配置された複数の外径側開口とを、周方向に交互に千鳥状に配列する構成としたものがある(例えば、特許文献1参照)。この構成の場合は、弁板のうち内径側開口と対応する位置には、内径側吐出ポートが設けられ、外径側開口と対応する位置には、外径側吐出ポートが設けられている。
この種の従来技術による油圧ポンプは、シリンダブロックを回転駆動することにより、各シリンダが回転軸を周回して弁板の吸入ポートと吐出ポート(内径側吐出ポートまたは外径側吐出ポート)に交互に連通すると共に、この連通タイミングに対応して各シリンダ内でピストンが往復動を行なうことによりポンプ作用を行なう。
即ち、各シリンダのシリンダポートが内径側開口または外径側開口を介して吸入ポートと連通する吸入行程では、ピストンがシリンダ内から伸長する。これにより、吸入ポートから作動油(油液)がシリンダ内に吸入される。一方、各シリンダのシリンダポートが内径側開口を介して内径側吐出ポートに、外径側開口を介して外径側吐出ポートに連通する吐出行程では、ピストンがシリンダ内に縮小する。これにより、各吐出ポートから作動油が吐出され、この作動油を外部に接続された油圧配管等に圧油として供給することができる。この場合、圧油は、内径側吐出ポートから吐出される圧油と、外径側吐出ポートから吐出される圧油との2系統に分けて、別々の油圧機器に供給することができる。
特許文献2には、シリンダブロックの端面のうち回転方向に隣り合うシリンダポートの間に小穴を設け、該小穴とシリンダとの間を連通させることにより、ピストンが下死点ないしその近傍に位置するシリンダの内部に吐出ポートからノッチと小穴とを介して高圧流体を供給するようにした構成が開示されている。
特開平4−22770号公報 特開平8−159013号公報
ところで、各シリンダポートの開口を内径側開口と外径側開口とに千鳥状に配列する構成の場合、即ち、所謂1シリンダブロック多連ポンプの場合、シリンダブロックに形成された複数のシリンダのうち半数のシリンダは一の油圧系統に接続され、残り半数のシリンダは一の油圧系統とは別の他の油圧系統に接続される。この場合、1つのポンプとして機能するシリンダの本数は、例えば各シリンダポートの開口を同一円周上に配置し単一の油圧系統に接続する構成と比較して、少なくなる傾向にある。シリンダの本数が少ないと、吐出圧力の変動(脈動)が大きくなり易く、この変動が大きくなることに伴って、運転音(騒音)や振動が増大するという問題がある。
ここで、吐出圧力の変動(脈動)は、例えば、シリンダが吐出ポートに連通し始めるときに、吐出ポート内の高圧な圧油がシリンダポートを介して低圧なシリンダ内に逆流するように急激に流入することにより生じる場合がある。そこで、弁板には、吐出ポートのうちシリンダブロックの回転方向後側の端縁と接続するように、略V字状の小さな切欠きからなるノッチが設けられている。このノッチは、吐出ポートと連通し始めるシリンダ内に吐出ポートの高圧油を徐々に供給するためのものである。これにより、吐出ポートに連通し始めるシリンダ内に、吐出ポート内の高圧な圧油が急激に流入することを抑制し、吐出圧力の変動、延いては、運転音、振動の低減を図るようにしている。
一方、1シリンダブロック多連ポンプは、内径側吐出ポートと外径径側吐出ポートとが径方向に並んで設けられるため、それぞれの吐出ポートの幅寸法(径方向寸法)を大きくしにくい。このため、ノッチの形状の自由度が小さく、その開口面積を十分に大きくできない場合がある。この場合、吐出ポートと連通し始めるシリンダ内に、ノッチを通じて十分な量の圧油を供給することができず、ノッチだけでは、吐出圧力の変動の低減、延いては、運転音、振動の低減を十分に図ることができないおそれがある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、吐出圧力の変動(脈動)、延いては、運転音、振動を低減することができるアキシャルピストン式液圧ポンプを提供することを目的としている。
本発明の請求項1によるアキシャルピストン式液圧ポンプは、中空なケーシングと、該ケーシング内を軸方向に伸長して該ケーシングに回転可能に設けられた回転軸と、該回転軸と一体に回転するように前記ケーシング内に設けられ周方向に離間して軸方向に伸長する複数のシリンダと該各シリンダに対応した位置で軸方向の端面に開口したシリンダポートとが形成されたシリンダブロックと、該シリンダブロックの各シリンダに往復可能に挿嵌された複数のピストンと、前記シリンダブロックの端面に摺接して前記ケーシング側に設けられ前記各シリンダポートと間欠的に連通する吸入ポート、吐出ポートが設けられた弁板とを備え、前記各シリンダポートの開口は、前記シリンダブロックの内径側に位置して周方向に間隔をもって配置された複数の内径側開口と、該各内径側開口よりも径方向外側に位置して周方向に間隔をもって配置された複数の外径側開口とを、周方向に交互に千鳥状に配列する構成としてなる。
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記シリンダブロックには、前記各シリンダのうち一のシリンダと当該一のシリンダに対して回転方向に先行する2つ隣のシリンダとの間に位置して両者の間を連通する連通路を設ける構成としたことにある。
請求項2の発明は、前記連通路は、前記一のシリンダのうち前記ピストンの下死点側に開口する一側連通路開口と、前記一のシリンダに対して先行する2つ隣のシリンダのうち前記ピストンの上死点側に開口する他側連通路開口とを有する構成としたことにある。
請求項3の発明は、前記一側連通路開口は、前記シリンダ内で前記ピストンにより画成される油室のうち下死点にある前記ピストンの端面と対応する位置で前記油室と連通するように配置し、前記他側連通路開口は、前記シリンダ内で前記ピストンにより画成される油室のうち上死点にある前記ピストンの端面と対応する位置で前記油室と連通するように配置する構成としたことにある。
請求項4の発明は、前記連通路の途中部位には、該連通路の流路を絞る絞りを設ける構成としたことにある。
請求項1の発明によれば、吐出ポートと連通する直前ないし連通し始めの一のシリンダ(回転方向後方のシリンダ)に、該シリンダに先行して吐出ポートと連通しているシリンダ(回転方向前方のシリンダ)から、連通路を通じて吐出ポートの高圧の圧油を供給することができる。この場合、連通路を通じて供給される圧油の量は、例えば連通路の内径の大きさ等に応じて所望に設定することができる。これにより、吐出ポートと連通する直前ないし連通し始めの一のシリンダに、先行するシリンダおよび連通路を通じて吐出ポートの圧油を十分に供給することができる。この結果、吐出圧力の変動(脈動)、延いては、運転音(騒音)、振動を低減することができる。
請求項2の発明によれば、一側連通路開口は、一のシリンダ(回転方向後方のシリンダ)のうちピストンの下死点側に開口し、他側連通路開口は、先行するシリンダ(回転方向前方のシリンダ)のうちピストンの上死点側に開口する構成としている。この場合、先行するシリンダが吐出ポートと連通しているときに、該吐出ポートの高圧の圧油が、連通路内を、先行するシリンダの他側連通路開口から、吐出ポートと連通する直前ないし連通し始めの一のシリンダの一側連通路開口に向けて流通する。これにより、吐出ポートと連通する直前ないし連通し始めの一のシリンダに、先行するシリンダから連通路を通じて圧油を安定して供給することができる。
請求項3の発明によれば、一側連通路開口は、シリンダ(回転方向後方のシリンダ)内の油室のうち下死点にあるピストンの端面と対応する位置で該油室と連通するように配置し、他側連通路開口は、シリンダ(回転方向前方のシリンダ)内の油室のうち上死点にあるピストンの端面と対応する位置で該油室と連通するように配置する構成としている。この場合、一側連通路開口は、シリンダ内でピストンのストローク位置が下死点ないしその近傍に位置したとき、即ち、当該シリンダが吐出ポートと連通する直前ないし連通し始めの状態のときに、該シリンダの油室と連通する。これと共に、一側連通路開口は、シリンダ内でピストンのストローク位置が下死点ないしその近傍から外れたとき、即ち、当該シリンダが吐出ポートと連通する直前ないし連通し始めの状態ではないときに、ピストンの外周面によって塞がれる。一方、他側連通路開口は、シリンダ内でピストンのストローク位置に拘わらず(ピストンがいずれのストローク位置でも)油室と連通する。
このため、シリンダが吐出ポートと連通する直前ないし連通し始めの状態のときに、当該シリンダの一側連通路開口は、ピストンの外周面に塞がれた状態から油室と連通する状態となる。このとき、先行するシリンダは、吐出ポートと連通しているため、吐出ポートの高圧の圧油が、連通路内を、先行するシリンダの他側連通路開口から、吐出ポートと連通する直前ないし連通し始めのシリンダの一側連通路開口に向けて流通する。これにより、吐出ポートの高圧の圧油を、シリンダが吐出ポートと連通する直前ないし連通し始めの状態のときにのみ、当該シリンダに連通路を通じて供給することができる。
請求項4の発明によれば、連通路の途中部位に設ける絞りの設定により、連通路を通じて供給される圧油の流量を所望の値に容易に設定することができる。
本発明の第1の実施の形態による可変容量型斜板式油圧ポンプを示す縦断面図である。 弁板を取出して図1の右方からみた拡大側面図である。 シリンダブロックを取出して図1の左方からみた拡大側面図である。 シリンダブロックを取出して図1の右方からみた拡大側面図である。 仮想線で表した一の連通路と共にシリンダブロックを示す図4と同様位置からみた拡大側面図である。 仮想線で表した一の連通路と共に、弁板の吸入ポート、吐出ポートと、シリンダブロックのシリンダ、外径側開口、内径側開口との位置関係を示す図5と同方向からみた拡大側面図である。 シリンダブロックとピストンとを示す縦断面図である。 仮想線で表した一の連通路と共にシリンダブロックを示す図7と同方向からみた正面図である。 シリンダブロックを図3中の矢印IX−IX方向からみた断面図である。 シリンダブロックと弁板とを図6中の矢印X−X方向からみた展開断面図である。 本発明の第2の実施の形態によるシリンダブロックを示す図9と同様位置からみた拡大断面図である。
以下、本発明に係るアキシャルピストン式液圧ポンプの実施の形態を、油液の代表例として作動油を圧送する可変容量型斜板式油圧ポンプに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1ないし図10は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は本実施の形態で採用したアキシャルピストン式液圧ポンプとしての可変容量型斜板式油圧ポンプ(以下、油圧ポンプ1という)を示している。2は油圧ポンプ1の外殻を構成する中空なケーシングで、該ケーシング2は、一端側(図1の右端側)がフロント底部3Aとなった段付筒状のケーシング本体3と、該ケーシング本体3の他端側(図1の左端側)を閉塞するようにケーシング本体3に設けられたリアケーシング4とにより構成されている。
また、ケーシング2のケーシング本体3には、図1に示すようにフロント底部3Aから軸方向に離間した位置にアクチュエータ取付部3Bが設けられ、該アクチュエータ取付部3Bは、ケーシング本体3の径方向外側へと突出している。そして、アクチュエータ取付部3B内には、後述の傾転アクチュエータ23等が設けられている。一方、ケーシング2のリアケーシング4には、後述の吸入通路20、吐出通路21,22等が形成され、これらの通路20,21,22は、後述の弁板16を介してシリンダ7,8内との間で作動油(油液)を給排(吸入、吐出)するものである。
5はケーシング2内を軸方向に伸長して該ケーシング2に回転可能に設けられた回転軸で、該回転軸5は、軸方向の一側がケーシング本体3のフロント底部3A内に軸受等を介して回転可能に取付けられ、他側はリアケーシング4に軸受等を介して回転可能に取付けられている。そして、ケーシング本体3のフロント底部3Aから軸方向に突出する回転軸5の一側(突出端側で図1の右端側)には、例えば油圧ショベルの原動機が動力伝達機構(図示せず)等を介して連結され、この原動機により回転軸5は回転駆動される。
6はケーシング2内に回転軸5を介して回転可能に設けられたシリンダブロックで、該シリンダブロック6は、回転軸5の外周側にスプライン結合して取付けられ、回転軸5と一体に回転駆動される。ここで、シリンダブロック6には、後述する複数のシリンダ7,8がシリンダポート9,10と共に形成(穿設)され、シリンダブロック6の後側端面(図1の左側端面)は、後述の弁板16と摺接する凹球面状の摺接面6Aとなっている。即ち、シリンダブロック6には、周方向に離間して軸方向に伸長する複数のシリンダ7,8と、該各シリンダ7,8に対応した位置で軸方向の他端面(左端面)となる摺接面6Aに開口したシリンダポート9,10とが形成されている。
7はシリンダブロック6に周方向に離間して同心円上に例えば72°の間隔をもって5個形成(穿設)された第1シリンダを示している。この第1シリンダ7は、シリンダブロック6内を軸方向に伸長して設けられている。第1シリンダ7は、一端側となる前端側(図1の右端側)がシリンダブロック6の前側端面(図1の右側端面)に開口した筒部7Aと、該筒部7Aの他端側となる後端側(図1の左端側)を閉塞する底部7Bとにより構成されている。第1シリンダ7内は、筒部7Aの内面と底部7Bの底面と後述するピストン11の端面とにより、油液が出入りする油室7C(図7,図10等参照)となっている。また、第1シリンダ7の底部7B側には、後述の第1シリンダポート9が開口している。
8はシリンダブロック6に周方向に離間して同心円上に例えば72°の間隔をもって5個形成(穿設)された第2シリンダを示している。この第2シリンダ8は、シリンダブロック6の周方向に関して第1シリンダ7と交互に(互い違いに)配置され、シリンダブロック6内を軸方向に伸長して設けられている。第2シリンダ8は、第1シリンダ7と同様に、一端側となる前端側がシリンダブロック6の前側端面に開口した筒部8Aと、該筒部8Aの他端側となる後端側を閉塞する底部8Bとにより構成されている。第2シリンダ8内は、筒部8Aの内面と底部8Bの底面と後述するピストン11の端面とにより、油液が出入りする油室8C(図7,図10等参照)となっている。また、第2シリンダ8の底部8B側には、後述の第2シリンダポート10が開口している。
9はシリンダブロック6のうち後述の弁板16と摺接する摺接面6Aに開口する複数(第1シリンダ7と同数)の第1シリンダポートを示している。これら各第1シリンダポート9は、弁板16の吸入ポート17と内径側吐出ポート18とに間欠的に連通され、第1シリンダ7内に作動油(油液)を流入,流出させるものである。
ここで、各第1シリンダポート9は、一端側となる前端側(図1の右端側)が各第1シリンダ7の底部7Bに連通(接続)すると共に、他端側となる後端側(図1の左端側)がシリンダブロック6の摺接面6Aに開口する内径側開口9Aとなっている。そして、内径側開口9Aは、シリンダブロック6の摺接面6Aのうち後述する内径側吐出ポート18に対応する位置に配置され、各第1シリンダポート9は、内径側開口9Aを介して内径側吐出ポート18に連通可能となっている。
10はシリンダブロック6のうち後述の弁板16と摺接する摺接面6Aに開口する複数(第2シリンダ8と同数)の第2シリンダポートを示している。これら各第2シリンダポート10は、弁板16の吸入ポート17と外径側吐出ポート19とに間欠的に連通され、第2シリンダ8内に作動油(油液)を流入,流出させるものである。
ここで、各第2シリンダポート10は、一端側となる前端側(図1の右端側)が各第2シリンダ8の底部8Bに連通(接続)すると共に、他端側となる後端側(図1の左端側)は、シリンダブロック6の摺接面6Aに開口する外径側開口10Aとなっている。そして、外径側開口10Aは、シリンダブロック6の摺接面6Aのうち後述する外径側吐出ポート19に対応する位置に配置され、各第2シリンダポート10は、外径側開口10Aを介して外径側吐出ポート19に連通可能となっている。
本実施の形態の場合は、図3等に示すように、各シリンダポート9,10の開口9A,10Aは、シリンダブロック6の内径側に配置される複数(5個)の内径側開口9Aと、該内径側開口9Aより径方向外側に配置される複数(5個)の外径側開口10Aとの、2組の配列として構成している。具体的には、各シリンダポート9,10の開口9A,10Aは、シリンダブロック6の内径側に位置して周方向に間隔をもって配置された複数の内径側開口9Aと、該各内径側開口9Aよりも径方向外側に位置して周方向に間隔をもって配置された複数の外径側開口10Aとを、周方向に交互に千鳥状に配列する構成となっている。
この場合、図7に示すように、各第1シリンダポート9は、各第1シリンダ7の底部7B側から内径側開口9Aに向かうほど回転軸5に近付く方向に傾斜し、各第2シリンダポート10は、各第2シリンダ8の底部8B側から外径側開口10Aに向かうほど回転軸5に近付く方向に傾斜している。これにより、内径側開口9Aおよび外径側開口10Aを、シリンダブロック6の摺接面6Aのうち回転軸5の近傍(回転中心側)に配置している。即ち、本実施の形態の場合は、内径側開口9Aおよび外径側開口10Aを回転軸5の近傍(シリンダブロック6の内径側)に配置することにより、内径側開口9Aおよび外径側開口10Aの周速を小さくし、油圧ポンプ1の自吸性能を向上できるようにしている。
なお、シリンダブロック6には、各シリンダ7,8のうち一のシリンダとなる回転方向後方のシリンダ7(8)と、当該一のシリンダ7(8)に対して回転方向に先行する回転方向前方のシリンダ7(8)との間に、両者を接続(連通)する連通路26がそれぞれ設けられている。これら各連通路26については、後で詳しく述べる。
11はシリンダブロック6の各シリンダ7,8内にそれぞれ往復動可能に挿嵌された複数(合計10本)のピストンで、該各ピストン11は、シリンダブロック6の回転に伴って第1,第2シリンダ7,8内を軸方向に摺動し、このときに、後述の吸入通路20側から第1,第2シリンダ7,8内に作動油を吸入しつつ、吸入した作動油を高圧の圧油として後述の吐出通路21,22側に吐出させるものである。
即ち、図10に示すように、シリンダブロック6が1回転する間に、各ピストン11は、シリンダ7,8内を上死点から下死点に向けて摺動変位する吸入行程と、下死点から上死点に向けて摺動変位する吐出行程とを繰返す。そして、シリンダブロック6の半回転分に相当するピストン11の吸入行程では、後述の吸入通路20側からシリンダ7,8内に作動油を吸込み、シリンダブロック6の残りの半回転分に相当するピストン11の吐出行程では、ピストン11が各シリンダ7,8内の作動油を高圧の圧油として後述の吐出通路21,22側から外部の吐出配管へと吐出させるものである。
12は各ピストン11の軸方向一側(突出側)の端部に揺動可能に設けられたシューで、該各シュー12は、ピストン11からの押付力(油圧力)で後述する斜板14の平滑面14Bに押圧される。そして、各シュー12は、この状態で回転軸5、シリンダブロック6およびピストン11と一緒に回転することにより、リング状軌跡を描くように平滑面14B上を摺動するものである。
13はケーシング本体3のフロント底部3Aに設けられた斜板支持体で、該斜板支持体13は、図1に示す如く回転軸5の周囲に位置して斜板14の裏面側に配置され、ケーシング本体3のフロント底部3Aに固定されている。そして、斜板支持体13には、斜板14を傾転可能に支持する一対の傾転摺動面13Aが凹湾曲面として形成され、該各傾転摺動面13Aは回転軸5を挟んで左,右(または、上,下)に離間している。
14はケーシング2内に傾転可能に設けられた斜板で、該斜板14は、ケーシング本体3のフロント底部3A側に斜板支持体13を介して取付けられている。ここで、斜板14は、斜板本体14Aと、該斜板本体14Aの表面側に固定して設けられ摺動面としての平滑面14Bが形成された平滑板14Cとにより構成されている。また、斜板14(斜板本体14A、平滑板14C)の中央部には、回転軸5が隙間をもって挿通される挿通穴14A1,14C1が穿設されている。そして、斜板14は油圧ポンプ1の容量可変部を構成し、斜板14(斜板本体14A)の背面側は、斜板支持体13の各傾転摺動面13A上に傾転可能に当接されている。そして、斜板14は、後述の傾転アクチュエータ23により傾転駆動されるものである。
15は斜板14の側部に一体に形成された傾転レバーを示している。この傾転レバー15は、斜板14(斜板本体14A)の側部から後述の傾転アクチュエータ23側に向けて延設され、その先端側は傾転アクチュエータ23に回動可能に連結されている。これにより、斜板14は、傾転レバー15を介して傾転アクチュエータ23により傾転されるものである。
16はシリンダブロック6の摺接面6Aとリアケーシング4との間に位置して該リアケーシング4側に固定して設けられた弁板で、該弁板16は、全体として円板状に形成されている。そして、弁板16の一側面(図1の右側面)側は、凸球面状の摺接面16Aとなり、該摺接面16Aには、動圧パッド16B(図2参照)を介してシリンダブロック6の端面である摺接面6Aが摺接する構成となっている。
また、弁板16には、各シリンダ7,8と各シリンダポート9,10を介して間欠的に連通する吸入ポート17、内径側吐出ポート18、外径側吐出ポート19が設けられている。具体的には、図2に示すように、弁板16には、周方向に沿って円弧状に延びる単一の吸入ポート17と、後述する内径側吐出ポート18と、外径側吐出ポート19とが穿設され、吸入ポート17はシリンダポート9,10に同時に連通するものである。
18は吸入ポート17と径方向で対向して弁板16に穿設された内径側吐出ポート18を示し、19は内径側吐出ポート18よりも外径側に位置して弁板16に穿設された外径側吐出ポート19を示している。ここで、内径側吐出ポート18と外径側吐出ポート19は、弁板16の径方向に互いに離間して周方向に延びる眉形状の長穴として形成されている。また、内径側吐出ポート18は、第1シリンダ7に連通する第1シリンダポート9の内径側開口9Aと対応して径方向内側に配置されると共に、外径側吐出ポート19は、第2シリンダ8に連通する第2シリンダポート10の外径側開口10Aと対応して径方向外側に配置されている。
そして、各ピストン11が第1,第2シリンダ7,8内を上死点位置から下死点位置へとストロークする吸入行程では、両方のシリンダポート9,10が吸入ポート17と連通し、吸入ポート17から第1,第2シリンダ7,8内に作動油が吸込まれる。一方、各ピストン11が第1,第2シリンダ7,8内を下死点位置から上死点位置へとストロークする吐出行程では、第1シリンダポート9と第2シリンダポート10とがそれぞれ内径側吐出ポート18と外径側吐出ポート19とに個別に連通し、これにより第1,第2シリンダ7,8内の作動油はそれぞれ内径側吐出ポート18と外径側吐出ポート19とに向けて別々に吐出される。
ここで、弁板16の摺接面16Aには、略V字状の小さな切欠きからなる内径側ノッチ18Aが、内径側吐出ポート18の開口周縁のうちシリンダブロック6の回転方向後側となる部位に接続して設けられている。また、弁板16の摺接面16Aには、略V字状の小さな切欠きからなる外径側ノッチ19Aが、外径側吐出ポート19の開口周縁のうちシリンダブロック6の回転方向後側となる部位に接続して設けられている。これらのノッチ18A,19Aは、シリンダ7,8のシリンダポート9,10が吐出ポート18,19と連通するときに、その油路の面積を緩やかに変化させるためのものである。これにより、吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始めの低圧のシリンダ7,8内には、内径側ノッチ18Aまたは外径側ノッチ19Aを通じて、内径側吐出ポート18または外径側吐出ポート19の高圧油を徐々に供給することができる。
20はリアケーシング4に設けられた1個の吸入通路で、該吸入通路20は、一端側が吸入ポート17と連通し、他端側は外部のタンクに配管(いずれも図示せず)を介して接続されるものである。
21はリアケーシング4に設けられた第1吐出通路で、該第1吐出通路21は、一端側が内径側吐出ポート18と連通し、他端側は油圧機器(油圧アクチュエータ)に配管(いずれも図示せず)等を介して接続されている。
22はリアケーシング4に設けられた第2吐出通路で、該第2吐出通路22は、一端側が外径側吐出ポート19と連通し、他端側は他の油圧機器(油圧アクチュエータ)に配管(いずれも図示せず)等を介して接続されている。
23はケーシング本体3のアクチュエータ取付部3B内に設けられた傾転アクチュエータで、該傾転アクチュエータ23は、図示しないレギュレータからの傾転制御圧が給排されることにより、傾転レバー15と一緒に斜板14を傾転駆動するものである。
24は各シュー12と各ピストン11の突出端部との間に位置して回転軸5に挿通されたリテーナで、該リテーナ24は、各シュー12を斜板14の平滑面14Bに当接させるものである。ここで、リテーナ24は、全体として環状な板体からなり、その中心部には軸挿通孔24Aが形成され、該軸挿通孔24Aの内周面には後述するリテーナガイド25の外周面が当接する構成となっている。また、リテーナ24のうち軸挿通孔24Aの周囲には、一定の角度間隔をもって複数個のシュー保持孔24Bが設けられ、該各シュー保持孔24Bによって、各シュー12を斜板14の平滑面14Bに当接した状態に保持する構成となっている。
25はリテーナ24とシリンダブロック6との間に位置して回転軸5に挿嵌されたリテーナガイドで、該リテーナガイド25は、リテーナ24の内周面に当接する外周面を有し、この外周面によってリテーナ24を斜板14に向けて押圧するものである。ここで、リテーナガイド25の内周側は、回転軸5に軸方向の移動を可能にスプライン結合され、リテーナガイド25とシリンダブロック6との間には、ばね(図示せず)が設けられている。そして、リテーナガイド25は、シリンダブロック6と一体に回転しつつ、ばねのばね力によりリテーナ24を斜板14に向けて常時押圧し、シリンダブロック6は、ばねのばね力により弁板16に向けて常時押圧される構成となっている。
ところで、各シリンダポート9,10の開口9A,10Aを内径側開口9Aと外径側開口10Aとに千鳥状に配列する構成の場合、吐出圧力の変動(脈動)が大きくなり易く、この変動が大きくなることに伴って、運転音(騒音)や振動が増大するという問題がある。特に、各シリンダポート9,10の開口9A,10Aを千鳥状に配置する構成の場合、弁板16には、内径側吐出ポート18と外径側吐出ポート19とが径方向に並んで設けられるため、それぞれの吐出ポート18,19の幅寸法(径方向寸法)を大きく確保しにくい。このため、内径側ノッチ18Aと外径側ノッチ19Aの形状の自由度が小さく、その開口面積を十分に大きくできない場合がある。この場合、吐出ポート18,19と連通し始めるシリンダ7,8内に、それぞれのノッチ18A,19Aを通じて十分な量の圧油を供給することができず、ノッチ18A,19Aだけでは、吐出圧力の変動の低減、延いては、運転音、振動の低減を十分に図ることができないおそれがある。また、圧油の急激な流入に伴うキャビテーション、エロージョンを十分に抑制できない虞もある。
そこで、本実施の形態の場合は、吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始めのシリンダ7,8内に吐出ポート18,19の高圧の圧油を供給するための連通路26をシリンダブロック6に設けている。以下、この連通路26について説明する。
即ち、26はシリンダブロック6に設けられた複数本、具体的には、シリンダ7,8と同数(第1シリンダ7と第2シリンダ8の合計と同数)の10本の連通路を示している。なお、図5、図6、図8等では、連通路26以外の部位が明瞭になるように、代表として1本の連通路26のみを示し、残り9本の連通路26は省略している。しかし、実際には、図3、図4、図10等に示すように、連通路26は、10本設けられている。
各連通路26は、各シリンダ7,8のうち一のシリンダ7(8)と当該一のシリンダ7(8)に対して回転方向に先行する2つ隣のシリンダ7(8)との間に位置して両者の間を連通するものである。この場合、2つ隣のシリンダ7(8)との間を接続する構成とすることにより、第1シリンダ7の連通路26は、先行する第1シリンダ7と連通するようにし、第2シリンダ8の連通路26は、先行する第2シリンダ8と連通するようにしている。
即ち、第1シリンダ7に着目すれば(第2シリンダ8を無視してみれば)、連通路26は、第1シリンダ7と当該第1シリンダ7に対して回転方向に先行する隣の第1シリンダ7との間を連通している。これとは逆に、第2シリンダ8に着目すれば(第1シリンダ7を無視してみれば)、連通路26は、第2シリンダ8と当該第2シリンダ8に対して回転方向に先行する隣の第2シリンダ8との間を連通している。要するに、連通路26は、同一油圧系統で隣合うシリンダ7(8)同士の間を連通するものである。
図9等に示すように、各連通路26は、シリンダブロック6の外周面側から内径側に向けて、例えば穿孔により形成することにより、一のシリンダ7(8)と当該一のシリンダ7(8)に対して回転方向に先行する2つ隣のシリンダ7(8)との間を接続(連通)している。なお、各連通路26は、機械加工により穿設してもよく、鋳穴として穿設してもよい。また、連通路26のうちシリンダブロック6の外周面に開口する部位には、プラグ27が嵌め込まれており、該プラグ27により連通路26の油液が連通路26内からシリンダブロック6外に流出しないようにしている。
図7,図8等に示すように、各連通路26は、シリンダブロック6の外周面側から内径側に進むに従って、シリンダブロック6の摺接面6Aに近付く方向に傾斜している。このため、連通路26は互いに干渉していない。即ち、図3および図4では、連通路26が交差して表されているが、これら交差する連通路26同士は、図面(紙面)の表裏方向で離間している。このため、一の連通路26と他の連通路26とは、互いに接してはなく(連通されてはなく)、両者の間で油液の流通は行われない。
ここで、各連通路26は、一のシリンダ7(8)に開口する一側連通路開口26Aと、一のシリンダ7(8)に対して先行する2つ隣のシリンダ7(8)に開口する他側連通路開口26Bとを有している。そして、各連通路26を、シリンダブロック6の外周面側から内径側に進むに従ってシリンダブロック6の摺接面6Aに近付く方向に傾斜させることにより、一側連通路開口26Aを、一のシリンダ7(8)のうちピストン11の下死点側に位置させ、他側連通路開口26Bを、先行するシリンダ7(8)のうちピストン11の上死点側に位置させている。
より具体的には、一側連通路開口26Aは、シリンダ7,8内でピストン11により画成される油室7C,8Cのうち下死点にあるピストン11の端面と対応する位置で、油室7C,8Cと連通するように配置されている。換言すれば、一側連通路開口26Aは、シリンダ7,8の筒部7A,8Aの内面のうちピストン11がストロークする範囲の下死点側に開口している。
一方、他側連通路開口26Bは、先行するシリンダ7,8内でピストン11により画成される油室7C,8Cのうち上死点にあるピストン11の端面と対応する位置(より具体的には、上死点にあるピストン11の端面よりもシリンダポート9,10側となる位置)で、油室7C,8Cと連通するように配置されている。換言すれば、他側連通路開口26Bは、シリンダ7,8の筒部7A,8Aの内面のうちピストン11がストロークする範囲の上死点よりもシリンダポート9,10側に開口している。
図6に示すように、シリンダブロック6が反時計方向に回転すると、このシリンダブロック6の回転に伴って、シリンダ7(8)は、図10の右側から左側に向けて、例えば、吸入ポート17に対向した位置から吐出ポート18(19)に対向する位置に向けて順次移動する。ここで、図6と図10には、ピストン11のストローク位置とシリンダ7,8の周方向位置(回転位置)とが対応するように、アルファベットの「A」〜「J」を付している。図6および図10では、「E」が付されたシリンダ7およびピストン11が、下死点位置のピストン11とそのときのシリンダ7の周方向位置に対応し、「J」が付されたシリンダ8およびピストン11が、上死点のピストン11とそのときのシリンダ8の周方向位置に対応する。
図6および図10に示すように、一側連通路開口26Aは、シリンダ7,8内でピストン11のストローク位置が下死点ないしその近傍に位置したとき、即ち、当該シリンダ7,8が吐出ポート18,19と連通する直前ないし(ノッチ18A,19Aを介して)連通し始める状態(「E」の位置ないしその近傍)のときに、該シリンダ7,8の油室7C,8Cと連通する。これと共に、一側連通路開口26Aは、シリンダ7,8内でピストン11のストローク位置が下死点ないしその近傍から外れたとき、即ち、シリンダ7,8が吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始める状態ではない(「A〜D、F〜J」の位置の)ときに、ピストン11の外周面によって塞がれる。一方、他側連通路開口26Bは、シリンダ7,8内でのピストン11のストローク位置に拘わらず、即ち、ピストン11がいずれのストローク位置でも(「A〜J」のすべての位置で)、油室7C,8Cと連通する。
このため、シリンダ7,8が吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始める状態のときに、当該シリンダ7,8の一側連通路開口26Aは、ピストン11の外周面に塞がれた状態から油室7C,8Cと連通する状態となる。このとき、先行する2つ隣のシリンダ7,8は、吐出ポート18,19と連通しているため、吐出ポート18,19の高圧の圧油が、連通路26内を、先行するシリンダ7,8の他側連通路開口26Bから、吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始めるシリンダ7,8の一側連通路開口26Aに向けて流通する。即ち、図6および図11では、「E」が付されたシリンダ7の油室7C内に、吐出ポート18の高圧の圧油が、「G」が付された先行するシリンダ7の油室7C、他側連通路開口26B、連通路26、一側連通路開口26Aを経て供給される。
これにより、吐出ポート18,19の高圧の圧油を、シリンダ7,8が吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始めの状態のときにのみ、当該シリンダ7,8に連通路26を通じて供給することができる。このとき、吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始めのシリンダ7,8に、先行するシリンダ7,8から連通路26を通じて圧油を十分に供給することができる。即ち、ノッチ18A,19Aの面積を十分に確保できなくても(面積が不足しても)、連通路26を通じた圧油の供給により(その不足分を)補うことができる。これにより、シリンダ7,8が吐出ポート18,19と連通し始めるときに、該シリンダ7,8に高圧の圧油が急激に流入することを抑制することができ、吐出圧力の変動(脈動)、キャビテーション、エロージョン、延いては、運転音(騒音)、振動の低減を図ることができる。
本実施の形態による油圧ポンプ1は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
原動機によって回転軸5を回転駆動すると、シリンダブロック6が回転軸5と共に回転し、ピストン11の先端に設けたシュー12が斜板14の平滑面14B上を摺動する。そして、このときに各ピストン11は、シリンダ7,8内を上死点位置(図6および図10の「J」位置)から下死点位置(図6および図10の「E」位置)へとストロークする吸入行程(図6および図10の「J,A,B,C,D,E」の行程)と、シリンダ7,8内を下死点位置から上死点位置へとストロークする吐出行程(図6および図10の「E,F,G,H,I,J」の行程)とを繰返す。
この結果、タンク内の作動油(油液)を、吸入通路20、吸入ポート17を通じてシリンダポート9,10からシリンダ7,8内に吸入しつつ、この吸入した油液を、圧油としてシリンダ7,8内から吐出ポート18,19を通じて別々の吐出通路21,22に吐出させ(2組の油圧系統に分岐して吐出させ)、複数の油圧アクチュエータ(油圧機器)を独立して作動させる。
また、油圧ポンプ1のポンプ容量(圧油の吐出量)を調整する場合には、傾転アクチュエータ23によって斜板14の傾転角を変更し、各ピストン11のストローク量を増,減させることにより、ポンプ容量を可変に制御する。
ここで、本実施の形態によれば、シリンダブロック6の回転方向前方のシリンダとなる先行するシリンダ7(8)と、該シリンダ7(8)よりも回転方向後方のシリンダとなる一のシリンダ7(8)との間を、連通路26により連通(接続)している。このため、吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始めの(後方の)シリンダ7,8(図6および図10ではEの位置のシリンダ7)に、該シリンダ7,8に先行して吐出ポート18,19と連通している(前方の)シリンダ7,8(図6および図10ではGの位置のシリンダ7)から、連通路26を通じて吐出ポート18,19の高圧の圧油を供給することができる。この場合、連通路26を通じて供給される圧油の量は、例えば連通路26の内径の大きさ等に応じて所望に設定することができる。これにより、吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始めのシリンダ7,8に、先行するシリンダ7,8および連通路26を通じて吐出ポート18,19の圧油を十分に供給することができる。この結果、吐出圧力の変動(脈動)、延いては、運転音(騒音)、振動を低減することができる。また、圧油の急激な流入に伴うキャビテーション、エロージョンを抑制することもでき、油圧ポンプ1の性能の向上、耐久性の向上、信頼性の向上を図ることができる。
本実施の形態によれば、連通路26の一側連通路開口26Aは、シリンダ7,8のうちピストン11の下死点側に開口し、他側連通路開口26Bは、シリンダ7,8のうちピストン11の上死点側に開口する構成としている。この場合、先行するシリンダ7,8が吐出ポート18,19と連通しているときに、該吐出ポート18,19の高圧の圧油が、連通路26内を、先行するシリンダ7,8の他側連通路開口26Bから、吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始めのシリンダ7,8の一側連通路開口26Aに向けて流通する。これにより、吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始めのシリンダ7,8に、先行するシリンダ7,8から連通路26を通じて圧油を安定して供給することができる。
本実施の形態によれば、一側連通路開口26Aは、シリンダ7,8内の油室7C,8Cのうち下死点にあるピストン11の端面と対応する位置で該油室7C,8Cと連通するように配置している。これと共に、他側連通路開口26Bは、シリンダ7,8内の油室7C,8Cのうち上死点にあるピストン11の端面と対応する位置(より具体的には、端面よりもシリンダポート9,10側となる位置)で該油室7C,8Cと連通するように配置している。この場合、一側連通路開口26Aは、シリンダ7,8内でピストン11のストローク位置が下死点ないしその近傍に位置したとき、即ち、当該シリンダ7,8が吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始めの状態のときに、該シリンダ7,8の油室7C,8Cと連通する。これと共に、一側連通路開口26Aは、シリンダ7,8内でピストン11のストローク位置が下死点ないしその近傍から外れたとき、即ち、当該シリンダ7,8が吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始める状態ではないときに、ピストン11の外周面によって塞がれる。一方、他側連通路開口26Bは、シリンダ7,8内でピストン11のストローク位置に拘わらず(ピストン11がいずれのストローク位置でも)油室7C,8Cと連通する。
このため、シリンダ7,8が吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始めの状態のときに、当該シリンダ7,8の一側連通路開口26Aは、ピストン11の外周面に塞がれた状態から油室7C,8Cと連通する状態となる。このとき、先行するシリンダ7,8は、吐出ポート18,19と連通しているため、吐出ポート18,19の高圧の圧油が、連通路26内を、先行するシリンダ7,8の他側連通路開口26Bから、吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始めのシリンダ7,8の一側連通路開口26Aに向けて流通する。これにより、吐出ポート18,19の高圧の圧油を、シリンダ7,8が吐出ポート18,19と連通する直前ないし連通し始めの状態のときにのみ、当該シリンダ7,8に連通路26を通じて供給することができる。
次に、図11は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、連通路の途中部位に絞りを設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、31は連通路26の途中部位に設けられた絞りで、該絞り31は、連通路26の流路を絞るものである。ここで、絞り31は、連通路26のうち一側連通路開口26Aと他側連通路開口26Bとの間に配置されている。絞り31は、連通路26にプラグ27を嵌め込むのに先立って、連通路26内に嵌め込む。絞り31(の開口面積)を適宜設定することにより、連通路26内を他側連通路開口26Bから一側連通路開口26Aに向けて流通する圧油の流量を所望に調整することができる。
本実施の形態は、上述の如き絞り31を連通路26の途中部位に設けるもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。特に、本実施の形態の場合は、絞り31の設定により、連通路26を通じて供給される圧油の流量を所望の値に容易に設定(調整)することができる。
なお、上述した各実施の形態では、シリンダブロック6に第1,第2シリンダ7,8を同心円上に配置した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、第1シリンダに対して第2シリンダをシリンダブロックの径方向外側または内側にずらして配置してもよい。
上述した各実施の形態では、第1シリンダ7の内径と第2シリンダ8の内径とを同寸法とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、第1シリンダの内径と第2シリンダの内径とを異なる寸法としてもよい(一方のシリンダの内径を他方のシリンダの内径に比べて大きくしてもよい)。
さらに、上述した各実施の形態では、アキシャルピストン式液圧ポンプとして、作動油を油液とした可変容量型の斜板式油圧ポンプを例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、容量固定型の斜板式油圧ポンプ、斜軸式油圧ポンプ等の他の形式の油圧ポンプに適用してもよい。また、油液として作動油以外の液体、例えば各種油、水、液状薬品等の油液を用いることもできる。
1 油圧ポンプ(アキシャルピストン式液圧ポンプ)
2 ケーシング
5 回転軸
6 シリンダブロック
6A 摺接面(端面)
7 第1シリンダ
8 第2シリンダ
9 第1シリンダポート
9A 内径側開口
10 第2シリンダポート
10A 外径側開口
11 ピストン
16 弁板
16A 摺接面
17 吸入ポート
18 内径側吐出ポート
19 外径側吐出ポート
26 連通路
31 絞り

Claims (4)

  1. 中空なケーシングと、該ケーシング内を軸方向に伸長して該ケーシングに回転可能に設けられた回転軸と、該回転軸と一体に回転するように前記ケーシング内に設けられ周方向に離間して軸方向に伸長する複数のシリンダと該各シリンダに対応した位置で軸方向の端面に開口したシリンダポートとが形成されたシリンダブロックと、該シリンダブロックの各シリンダに往復可能に挿嵌された複数のピストンと、前記シリンダブロックの端面に摺接して前記ケーシング側に設けられ前記各シリンダポートと間欠的に連通する吸入ポート、吐出ポートが設けられた弁板とを備え、
    前記各シリンダポートの開口は、前記シリンダブロックの内径側に位置して周方向に間隔をもって配置された複数の内径側開口と、該各内径側開口よりも径方向外側に位置して周方向に間隔をもって配置された複数の外径側開口とを、周方向に交互に千鳥状に配列する構成としてなるアキシャルピストン式液圧ポンプにおいて、
    前記シリンダブロックには、前記各シリンダのうち一のシリンダと当該一のシリンダに対して回転方向に先行する2つ隣のシリンダとの間に位置して両者の間を連通する連通路を設ける構成としたことを特徴とするアキシャルピストン式液圧ポンプ。
  2. 前記連通路は、前記一のシリンダのうち前記ピストンの下死点側に開口する一側連通路開口と、前記一のシリンダに対して先行する2つ隣のシリンダのうち前記ピストンの上死点側に開口する他側連通路開口とを有する構成としてなる請求項1に記載のアキシャルピストン式液圧ポンプ。
  3. 前記一側連通路開口は、前記シリンダ内で前記ピストンにより画成される油室のうち下死点にある前記ピストンの端面と対応する位置で前記油室と連通するように配置し、
    前記他側連通路開口は、前記シリンダ内で前記ピストンにより画成される油室のうち上死点にある前記ピストンの端面と対応する位置で前記油室と連通するように配置する構成としてなる請求項2に記載のアキシャルピストン式液圧ポンプ。
  4. 前記連通路の途中部位には、該連通路の流路を絞る絞りを設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載のアキシャルピストン式液圧ポンプ。
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