JP3808410B2 - 金型反転式成形機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金型反転式成形機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、射出成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され、溶融させられた樹脂を高圧で射出して金型装置のキャビティ内に充填(てん)し、該キャビティ内において樹脂を冷却し、固化させることによって成形品を成形するようになっている。そのために、前記金型装置は固定金型及び可動金型から成り、型締装置によって前記可動金型を進退させ、前記固定金型に対して接離させることによって、型開閉、すなわち、型閉、型締及び型開を行うことができるようになっている。
【0003】
そして、材質の異なる樹脂や、色の異なるから樹脂から成る成形品を一体的に成形する場合、すなわち、多色成形をする場合には、金型を反転させる金型反転式成形機が使用されている。この場合、金型には一対のキャビティが形成され、一方のキャビティ内に一方の樹脂を射出して一次成形品を成形した後、金型を反転させて他方のキャビティ内において前記一次成形品の上に他方の樹脂を射出し、二次成形品を成形するようになっている。
【0004】
図2は従来の金型反転式成形機の側面図、図3は従来の金型反転式成形機の可動金型の正面図であり図2のA矢視図である。
【0005】
図において、101は成形機のフレーム、102は該フレーム101に固定された固定プラテン、103は該固定プラテン102の金型取付面に取り付けられた固定金型である。また、105は成形機の型締装置における可動プラテンであり、図示されない駆動機構によって、複数本、例えば、4本のタイバー118に沿って、図2における左右方向に移動させられる。そして、前記可動プラテン105の金型取付面には、反転盤106を介して可動金型107が取り付けられている。さらに、前記可動プラテン105には支持部材111を介してモータ112が取り付けられている。
【0006】
ここで、前記反転盤106は可動プラテン105に回転可能に取り付けられ、図3に示されるように、前記モータ112の回転軸に取り付けられた駆動ギヤ115、及び、支持部材111に取り付けられた従動ギヤ116を介して、前記パルスモータ112によって回転させられるようになっている。なお、前記反転盤106は、回転角180度の範囲内で反転する。
【0007】
そして、前記反転盤106の周囲には、フレキシブルな第1の線状体群124が巻き付けられている。該第1の線状体群124は、可動金型107を冷却又は加熱するための温度調整用熱媒体を供給するパイプ、金型信号を成形機に接続する電線等から成るものであり、一端が反転盤106に取り付けられた第1のコネクタ部材117に接続され、他端が可動プラテン105に取り付けられたジョイント部123に接続されている。また、該ジョイント部123は、フレキシブルな第2の線状体群121を介して、フレーム101に取り付けられた第2のコネクタ部材122に接続されている。そして、該第2のコネクタ部材122には、図示されない供給源から温度調整用熱媒体、信号等が供給される。これにより、前記反転盤106に温度調整用熱媒体、信号等が供給されるようになっている。なお、128は線状体固定具であり、第1の線状体群124の第1のコネクタ部材117に近い部分を反転盤106の周囲に固定する。また、113は可動プラテン105に取り付けられた覆い部材である。
【0008】
ここで、前記第1の線状体群124は、反転盤106の周囲に巻き付けられているが、図3に示されるように、余剰部分が下方に垂れ下がるようになっている。該余剰部分の長さは反転盤106の回転角度によって増減し、下方に垂れ下がる量も変化する。そして、前記余剰部分が垂れ下がる動きを滑らかにし、垂れ下がっている部分の形状を整えるために、第1の線状体群124はガイド部材126によってガイドされ、また、錘(おもり)125が取り付けられる。これにより、反転盤106が反転しても、第1の線状体群124の余剰部分は、安定した形状を保持して下方に垂れ下がるので、成形機の側方にはみ出すことがなく、オペレータの操作の妨げになることがない。
【0009】
また、第2の線状体群121も、図2に示されるように、余剰部分が下方に垂れ下がるようになっているので、可動プラテン105が駆動機構によって左右方向に移動させられた場合でも対応することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の金型反転式成形機において、反転盤106の周囲に巻き付けられた第1の線状体群124は、第1のコネクタ部材117に近い部分が線状体固定具128によって反転盤106に固定されているが、大部分が自由な状態となっているので、反転盤106が高速で回転した時に、遠心力で外側に膨らんで、周囲に配設された部材と干渉してしまう。そのため、可動金型107を反転させる速度を上げることができず、金型反転式成形機のスループットが低下してしまう。
【0011】
もっとも、第1の線状体群124が遠心力で外側に膨らむことを防止するために、錘125を重くすることも考えられるが、この場合、第1の線状体群124に過大な張力が加えられ、該第1の線状体群124を構成するパイプ、電線等が損傷してしまう。また、覆い部材113によって外側に膨らんだ第1の線状体群124が周囲に配設された部材と干渉することを防止することができるが、前記覆い部材113によってオペレータの操作が妨げられ、金型反転式成形機の操作性、保守性等が低下してしまう。
【0012】
さらに、前記第1の線状体群124は、大部分が自由な状態となっているので、該第1の線状体群124を構成するパイプ、電線等が互いに絡み合ってしまい、損傷したり、反転盤106の周囲に巻き付かなくなってしまう。また、自由な状態となっている第1の線状体群124を反転盤106の周囲に巻き付けるには、図2及び3に示されるように、前記第1の線状体群124を構成する線状体が単層を形成する必要がある。この場合、反転盤106の周囲のスペースは狭いので、多数の線状体を巻き付けることができなくなってしまう。
【0013】
しかも、前記第1の線状体群124の余剰部分が下方に垂れ下がるようになっているので、固定金型103や可動金型107の下方に装置や部材を配設することができなくなってしまう。例えば、型開した時に、成形された成形品を固定金型103及び可動金型107の合わせ面から落下させて収容するために、シュート等の成形品回収装置131を図2に示されるように配設した場合、下方に垂れ下がった前記第1の線状体群124の余剰部分が前記成形品回収装置131に干渉してしまう。そのため、成形品回収装置131等の装置や部材を配設することができなくなってしまう。
【0014】
本発明は、前記従来の金型反転式成形機の問題点を解決して、線状体を収容するケーブルベアを反転盤の周囲に巻き付けることによって、反転盤を高速で反転させることができ、余剰部分が下方に垂れ下がることがなく、線状体が損傷することなく、金型反転式成形機の操作性、保守性等が高く、多数の線状体を巻き付けることができる金型反転式成形機を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の金型反転式成形機においては、可動金型支持装置に取り付けられた可動金型を反転させる反転盤と、該反転盤に一端が接続されるフレキシブルな線状体と、該線状体を収容し、一端が前記反転盤の周側面側に固定されるケーブルベアとを有し、該ケーブルベアは、一端にて非対称に突出された突出部と他端に形成された非対称な形状の凹部を備え、該凹部が隣接するケーブルベアユニットの突出部を収容するように互いに結合する
【0016】
本発明の他の金型反転式成形機においては、さらに、前記反転盤の下方に配設され、該反転盤の周側面と同心円を形成する円筒面状の底板を備え、前記ケーブルベアを支持するガイド部材を有する。
【0017】
本発明の更に他の金型反転式成形機においては、さらに、前記ケーブルベアは、常に、反転盤の周側面に巻き付けられるとともに前記ガイド部材に支持されている。
【0018】
本発明の更に他の金型反転式成形機においては、さらに、前記ケーブルベアは、一方向に変形する場合の最小の曲率半径が前記反転盤の周側面の曲率半径に等しく、他方向に変形する場合の最小の曲率半径が前記反転盤の周側面とガイド部材の底面との距離の1/2に等しい。
【0019】
本発明の更に他の金型反転式成形機においては、さらに、前記線状体は、熱媒体、圧力流体、電力、信号等を供給する管又は線である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明の金型反転式成形機は、いかなる種類の成形機であってもよいが、本実施の形態においては、説明の都合上、横置型の射出成形機である場合について説明する。
【0021】
図4は本発明の実施の形態における金型反転式成形機の型締装置の概略図である。
【0022】
図において、11は図示されないフレームに固定された金型反転式成形機の型締装置における固定金型支持装置としての固定プラテン、12は該固定プラテン11の金型取付面に取り付けられた固定金型である。また、13は可動金型支持装置としての可動プラテンであり、図示されない駆動機構によって、矢印Bで示されるように、図における左右方向に移動させられる。そして、前記可動プラテン13の金型取付面には、反転盤15を介して可動金型14が取り付けられている。前記反転盤15は可動プラテン13に回転可能に取り付けられ、図示されないサーボモータ等の駆動源によって、矢印Cで示されるように、中心軸Xの回りを回転させられるようになっている。なお、前記反転盤15は、回転角180度の範囲内で反転する。
【0023】
ここで、前記金型反転式成形機は、射出成形機であり、加熱シリンダ16−1及び加熱シリンダ16−2内において加熱され、溶融させられた樹脂を高圧で射出して一次スプルー18−1及び二次スプルー18−2を通して金型装置の一次キャビティ17−1及び二次キャビティ17−2に充填し、充填された樹脂を冷却し、固化させることによって成形品を成形するようになっている。そのために、前記金型装置は固定金型12及び可動金型14から成り、図示されない駆動機構によって、可動プラテン13を矢印Bで示されるように進退させ、前記可動金型14を固定金型12に対して接離させることによって、型開閉、すなわち、型閉、型締及び型開を行うことができる。
【0024】
そして、前記金型反転式成形機は、材質の異なる樹脂や、色の異なる樹脂から成る成形品を一体的に成形するために、すなわち、多色成形をするために、金型には一対の一次キャビティ17−1及び二次キャビティ17−2が形成されている。多色成形をする場合、図において上方に位置する一次キャビティ17−1内に一方の加熱シリンダ16−1から一次樹脂を射出して充填する。そして、前記一次キャビティ17−1内において樹脂が冷却されて固化されると、可動プラテン13が後退(図における右方向に移動)して型開が行われ、一次成形品が成形される。
【0025】
この場合、該一次成形品は可動金型14のキャビティ面に付着した状態となっている。そして、反転盤15が180度反転させられると、前記一次成形品は、図において下方に移動する。続いて、可動プラテン13が前進(図における左方向に移動)して型閉及び型締が行われると、前記一次成形品は、図4において下方に位置する二次キャビティ17−2内に封入された状態となる。この状態において、他方の加熱シリンダ16−2から二次樹脂を射出して充填すると、該二次樹脂が一次成形品に融着して一体化する。そして、前記二次キャビティ17−2内において二次樹脂が冷却されて固化されると、可動プラテン13が後退して型開が行われ、二次成形品が取り出される。
【0026】
なお、実際には、前記一次キャビティ17−1及び二次キャビティ17−2には同時に一次樹脂及び二次樹脂が充填され、一次成形品と二次成形品とが同時に成形されるようになっている。
【0027】
次に、金型反転式成形機の線状体の取り回し構造について説明する。
【0028】
図1は本発明の実施の形態における金型反転式成形機の可動金型の正面図であり図5のD矢視図、図5は本発明の実施の形態における金型反転式成形機の側面図、図6は本発明の実施の形態における金型反転式成形機の反転盤が反転した状態を示す図、図7は本発明の実施の形態における金型反転式成形機のケーブルベアユニットの正面図、図8は本発明の実施の形態における金型反転式成形機のケーブルベアユニットの側面図であり図7のE矢視図、図9は本発明の実施の形態における金型反転式成形機のケーブルベアの組立図である。
【0029】
図5に示されるように、固定プラテン11は成形機のフレーム31上に固定され、前記固定プラテン11には複数本、例えば、4本のタイバー41の一端が取り付けられている。なお、該タイバー41の他端は図示されないトグルサポート等の型締装置の固定部材に取り付けられている。そして、可動プラテン13は前記タイバー41に沿って図5における左右方向に進退させられる。また、反転盤15の固定プラテン11に対向する面には、可動金型14を取り付けるための金型取付盤39及びコネクタユニット32が取り付けられている。なお、図1及び5において可動金型14及び固定金型12は、説明の都合上、省略されている。また、前記反転盤15は、サーボモータ等の駆動源による回転力をギヤトレイン、チェーン、歯付ベルト等の動力伝達機構を介して受け、回転角180度の範囲内で反転するものであるが、図1及び5において前記駆動源、動力伝達機構等は省略されている。
【0030】
そして、前記反転盤15における円筒面状の周側面には、フレキシブルな、すなわち、可撓(とう)性を有する複数の線状体27(図8)から成る第1の線状体群33が巻き付けられている。ここで、該第1の線状体群33を構成する線状体27は、可動金型14を冷却又は加熱するための温度調整用熱媒体を供給する管、エジェクタ駆動源等に圧力エアー等の圧力流体を供給する管、金型に信号及び電力を供給する電線等である。そして、各線状体27の一端は前記コネクタユニット32に接続され、他端は可動プラテン13に取り付けられた第1のジョイント部35に接続されている。なお、前記コネクタユニット32を省略して、各線状体27の一端を反転盤15に直接接続することもできる。ここで、第1の線状体群33は、両端部を除いて、ケーブルベア20によって収容されて保持される。なお、該ケーブルベア20は、前記コネクタユニット32側の端部において、ボルト等の固定部材42によって前記反転盤15の周側面に固定されている。
【0031】
また、前記第1のジョイント部35は、第2の線状体群36の各線状体の一端に接続され、該各線状体の他端はフレーム31に取り付けられた第2のジョイント部37に接続されている。該第2のジョイント部37には、図示されない供給源から温度調整用熱媒体、圧力流体、電力、信号等が供給されるようになっていて、該温度調整用熱媒体、圧力流体、電力、信号等は、第2の線状体群36の各線状体、第1のジョイント部35、第1の線状体群33の各線状体27、及び、コネクタユニット32を介して、反転盤15、可動プラテン13、可動金型14等に配設された温度調整用熱媒体を供給する管路、エジェクタ駆動源、サーボモータ等に供給される。
【0032】
なお、第2の線状体群36は、図5に示されるように、余剰部分が下方に垂れ下がるようになっているので、可動プラテン13が駆動機構によって左右方向に移動させられた場合でも対応することができる。また、前記可動プラテン13には、反転盤15の下方にガイド部材43が取り付けられ、該ガイド部材43の底板43aが第1の線状体群33の余剰部分を支持するようになっている。そのため、第1の線状体群33の余剰部分は下方に垂れ下がることがない。なお、前記ガイド部材43は、反転盤15の中心軸Xの方向に関して、前記反転盤15の周側面に対応する位置に配設され、前記底板43aは、図1において前記周側面と同心円を形成する円筒面状の形状を有する。前記底板43aは、図1に示されるように、反転盤15の周側面のほぼ1/4に対応する、すなわち、図1において、中心角が約90度の扇形の円弧に対応するような寸法を有している。これにより、図6に示されるように、反転盤15が図1に示される状態から180度反転した場合でも、第1の線状体群33の余剰部分は、ガイド部材43の底板43aによって支持され、下方に垂れ下がることがない。
【0033】
本実施の形態におけるケーブルベア20は、図7及び8に示されるようなケーブルベアユニット21を複数個、互いに回転可能に結合させることによって構成される。前記ケーブルベアユニット21は、例えば、概略四角筒体状の形状を有し、中空部26に複数本の線状体27を収容することができる。ここで、該線状体27は、図7において左右方向に延在する状態でケーブルベアユニット21の中空部26に収容される。この場合、それぞれの線状体27は、中空部26内において、図8における上下左右方向に移動可能であるが、前記中空部26に仕切部材を配設して、線状体27が中空部26内で上下左右方向に移動することを規制することもできる。なお、前記ケーブルベアユニット21の材質は、線状体27、反転盤15等に損傷を与えないために樹脂や樹脂を含む複合材であることが望ましいが、金属、セラミック等であってもよい。
【0034】
そして、前記ケーブルベアユニット21は、長手方向(図7における左右方向)の一方の端部に、円形状の嵌(かん)合孔24を備え一体的に形成された突出部22を有する。なお、該突出部22は、前記ケーブルベアユニット21の幅方向(図8における左右方向)の両端にそれぞれ形成されている。また、前記ケーブルベアユニット21の長手方向における他方の端部には、前記突出部22の大部分を収容することができるような形状の凹部23が形成されている。該凹部23は前記ケーブルベアユニット21の幅方向の両端にそれぞれ形成され、前記凹部23の深さは前記突出部22を収容することができる程度の寸法である。
【0035】
また、前記凹部23には、中空部25aを備える円筒状の嵌合突起25が形成されている。該嵌合突起25の周囲は、前記嵌合孔24の内周よりわずかに小径の円周形状を有し、隣接するケーブルベアユニット21の嵌合孔24に回転可能に嵌合して関節を構成する。これにより、互いに隣接するケーブルベアユニット21は、前記嵌合孔24及び嵌合突起25によって構成される関節の中心軸、すなわち、回転軸の回りに回転可能に結合される。なお、前記中空部25aを省略し、嵌合突起25の形状を円柱状とすることもできる。
【0036】
そして、隣接するケーブルベアユニット21の嵌合孔24と嵌合突起25とを嵌合させて、複数個のケーブルベアユニット21を互いに結合することによって、図9に示されるようなケーブルベア20が構成される。該ケーブルベア20においては、個々のケーブルベアユニット21が、隣接するケーブルベアユニット21と前記関節の回転軸の回りに回転可能に結合されている。そのため、前記ケーブルベア20は、図9に示されるように、関節の回転軸に垂直な平面内においてのみ変形可能となっている。すなわち、前記関節の回転軸に垂直な二次元方向に変形可能であるが、他の方向には変形不能となっている。これにより、直線状に延ばした状態において、該直線を含む平面内の二次元方向に変形可能であるが、他の方向に変形不能なケーブルベア20を得ることができる。すなわち、該ケーブルベア20は、変形可能平面内において二次元方向に変形可能であるが、他の方向に変形不能である。
【0037】
さらに、ケーブルベアユニット21の突出部22及び凹部23の形状を調整することによって、前記ケーブルベアユニット21が隣接するケーブルベアユニット21に対して回転可能な角度を規制することができる。また、前記ケーブルベアユニット21に図示されない突起等を形成することによって、前記回転可能な角度を規制することもできる。例えば、前記図7に示されるような突出部22及び凹部23の周囲の形状を調整して、隣接するケーブルベアユニット21同士が、図9に示される状態以上の角度にならないようにすることができる。さらに、突出部22の突出量を調整することによって、隣接するケーブルベアユニット21同士が、図9に示される方向と反対の方向に回転する角度を規制することができる。これにより、前記ケーブルベア20が変形可能平面内において一方向に変形する場合の最小の曲率半径と、他方向に変形する場合の最小の曲率半径とを適宜設定することができる。
【0038】
本実施の形態におけるケーブルベア20は、変形可能平面が反転盤15の中心軸Xに垂直となるように該反転盤15の周側面に巻き付けられている。そして、前記ケーブルベア20が前記中心軸Xに向かう方向、すなわち、反転盤15の中心に向かう方向に変形可能な最小の曲率半径は、前記周側面の半径と等しくなるように設定されている。また、前記ケーブルベア20が前記中心軸Xの反対に向かう方向、すなわち、反転盤15の外側に向かう方向に変形可能な最小の曲率半径は、前記周側面とガイド部材43の底板43aとの距離の1/2に等しくなるように設定されている。そして、前記ケーブルベア20は、コネクタユニット32側の端部において、固定部材42によって前記反転盤15の周側面に固定されている。
【0039】
これにより、前記ケーブルベア20は、図1に示されるように、反転盤15の周側面に密着した状態となり、かつ、余剰部分が整った状態でガイド部材43の底板43aに支持される。また、前記ケーブルベア20は、変形可能平面内における二次元方向以外には変形不能なので、前記中心軸X方向(図4又は図5における左右方向)に変形することがない。この場合、固定部材42及びガイド部材43以外の固定手段やガイド手段を配設する必要がない。
【0040】
なお、成形機のフレーム31の下方部分には、シュート等の成形品回収装置45を配設することもできる。この場合、該成形品回収装置45は、可動金型14及び固定金型12の真下付近に配設され、成形された二次成形品を回収する。
【0041】
次に、前記構成の金型反転式成形機の動作について説明する。
【0042】
まず、図示されない駆動装置が作動し可動プラテン13がタイバー41に沿って前進(図4及び5における左方向に移動)し、型閉及び型締が行われる。続いて、加熱シリンダ16−1から溶融させられた樹脂が高圧で射出されると、図4に示されるように、該樹脂は一次スプルー18−1を通って金型装置の一次キャビティ17−1に充填される。そして、該一次キャビティ17−1内において樹脂が冷却されて固化されると、可動プラテン13が後退して図5に示されるような位置に戻って型開が行われ、一次成形品が成形される。
【0043】
また、第1の線状体群33を収容するケーブルベア20は、図1に示されるように、大部分が反転盤15の周側面に密着し、余剰部分がガイド部材43の底板43aによって支持されている。この場合、図1において、反転盤15の下半分に相当する部分においても、前記ケーブルベア20は周側面から離れることなく密着した状態となっている。これは、前記ケーブルベア20が反転盤15の外側に向かう方向に変形可能な最小の曲率半径が、前記周側面とガイド部材43の底板43aとの距離の1/2に等しくなるように設定されているためである。すなわち、図1において、反転盤15の下方部分の周側面とガイド部材43の底板43aとの間で曲線を形成しているケーブルベア20は、図示される以上には曲がることができなくなっている。そのため、反転盤15の下半分に相当する部分において、反転盤15の周側面に密着しているケーブルベア20は、変形可能な最小の曲率半径で曲線を形成している部分のケーブルベア20によって下方から押し上げられ、反転盤15の下方部分の周側面に押し付けられている。これにより、図1において、反転盤15の下半分に相当する部分においても、ケーブルベア20は周側面から離れることなく密着した状態となり垂れ下がることがない。
【0044】
一方、前記ケーブルベア20において、ガイド部材43の底板43aによって支持される部分も、該ガイド部材43の底板43aによって支持される部分によって上方から押し下げられ、底板43aに密着した状態となる。そのため、上方に突出して反転盤15の周側面、又は、該周側面に密着している第1の線状体群33に接触するようなことがない。また、前記ケーブルベア20において、ガイド部材43の底板43aによって支持される部分、及び、変形可能な最小の曲率半径で曲線を形成している部分の長さは最小限のものとなる。また、ケーブルベア20は、図1、図6に示すように、常に、反転盤15の周側面に密着及びガイド部材43の底板43aによって支持されている。
【0045】
さらに、ケーブルベア20は、変形可能平面内における二次元方向以外には変形不能なので、中心軸X方向(図4又は図5における左右方向)に変形することがない。そのため、可動プラテン13が前進又は後退する時でも、前記ケーブルベア20は前記中心軸X方向に移動したり、振られたりすることがなく、反転盤15の前後(図4又は図5における左右方向)に配設された部材や装置に接触するようなことがない。
【0046】
なお、型開が行われた時点で、前記一次成形品は可動金型14のキャビティ面に付着した状態となっている。続いて、図示されないパルスモータ等の駆動源が作動し、反転盤15が180度反転させられると、図6に示されるように、コネクタユニット32が下方に位置する。これにより、ケーブルベア20の大部分は、反転盤15の周側面から離れてガイド部材43の底板43aによって支持される。
【0047】
ここで、反転盤15が高速で反転すると、ケーブルベア20は遠心力によって外側に膨らもうとするが、前記第1の線状体群33を収容するケーブルベア20は、コネクタユニット32側の端部において、固定部材42によって前記反転盤15の周側面に固定されているとともに、前記反転盤15の中心に向かう方向に変形可能な最小の曲率半径が前記周側面の半径と等しくなるように設定されている。そのため、ケーブルベア20は遠心力によって外側に膨らむことがない。すなわち、ケーブルベア20は遠心力によって外側に膨らもうとする場合、図1において、反転盤15の周側面に密着しているケーブルベア20の一部分が前記周側面から離れて膨出部を形成しようとする。この場合、該膨出部の曲率半径は前記周側面の半径よりも小さいものとなるが、ケーブルベア20が反転盤15の中心に向かう方向に変形可能な最小の曲率半径は、前記周側面の半径と等しくなるように設定されている。そのため、ケーブルベア20は、前記周側面から離れて膨出部を形成することができず、遠心力によって外側に膨らむことがない。そして、ケーブルベア20が遠心力によって外側に膨らむことがないので、反転盤15を高速で回転させることができる。また、「従来の技術」において説明したような覆い部材113を配設する必要もないので、該覆い部材113によってオペレータの操作が妨げられず、金型反転式成形機の操作性、保守性等が低下することがない。
【0048】
このように、反転盤15が180度反転すると、前記一次成形品は、図4において下方に移動する。続いて、可動プラテン13が前進して型閉及び型締が行われると、前記一次成形品は、図4において下方に位置する二次キャビティ17−2内に封入された状態となる。
【0049】
ここで、ケーブルベア20の余剰部分は、ガイド部材43の底板43aによって支持されるので、下方に垂れ下がることがない。そのため、可動プラテン13が前進しても、前記ケーブルベア20の余剰部分が成形品回収装置45等の接触したり干渉したりする恐れがない。
【0050】
この状態において、他方の加熱シリンダ16−2から二次樹脂を射出して充填すると、該二次樹脂が一次成形品に融着して一体化する。そして、前記二次キャビティ17−2内において二次樹脂が冷却されて固化されると、可動プラテン13が後退して型開が行われ、二次成形品が取り出される。該二次成形品は、二次キャビティ17−2からエジェクトされて落下し、成形品回収装置45によって回収される。
【0051】
なお、実際には、前記一次キャビティ17−1及び二次キャビティ17−2には同時に一次樹脂及び二次樹脂が充填され、一次成形品と二次成形品とが同時に成形されるようになっている。そのため、型開が行われて二次成形品が取り出されると、図示されないサーボモータ等の駆動源が作動し、反転盤15が前回とは逆方向に180度反転させられる。これにより、反転盤15は図1に示される状態に復帰する。すなわち、コネクタユニット32が上方に位置して、ケーブルベア20の大部分は、反転盤15の周側面に密着した状態となる。この場合も、前述したように、反転盤15が高速で反転しても、ケーブルベア20が遠心力によって外側に膨らむことがない。
【0052】
このように、本実施の形態においては、反転盤15の下方にガイド部材43が配設され、前記反転盤15の周側面に巻き付けられる第1の線状体群33がケーブルベア20に収容されて保持される。この場合、該ケーブルベア20は、変形可能平面内において二次元方向に変形可能であるが他の方向に変形不能であり、かつ、一方向に変形する場合の最小の曲率半径が前記反転盤15の周側面の曲率半径に等しく、他方向に変形する場合の最小の曲率半径が前記反転盤15の周側面とガイド部材43の底面43aとの距離の1/2に等しくなるように設定されている。さらに、前記ケーブルベア20は端部において、前記反転盤15の周側面に固定されている。
【0053】
そのため、反転盤15の下半分に相当する部分においても、ケーブルベア20は周側面から離れることなく密着した状態となり垂れ下がることがない。また、ガイド部材43の底板43aによって支持される部分も、該底板43aに密着した状態となる。そのため、ケーブルベア20同士が互いに接触したり、該ケーブルベア20が反転盤15の周辺の装置や部材に接触したりすることがない。さらに、可動プラテン13が前進又は後退する時でも、ケーブルベア20は中心軸X方向に移動したり、振られたりすることがないので、反転盤15の前後に配設された部材や装置に接触するようなことがない。
【0054】
また、反転盤15を高速で反転させても、前記反転盤15の周側面に巻き付けられたケーブルベア20が遠心力によって外側に膨らむことがないので、反転盤を高速で反転させることができる。そのため、金型反転式成形機のスループットを向上させることができる。また、ケーブルベア20が遠心力によって外側に膨らむことがないので、前記ケーブルベア20が周囲に配設された部材と干渉することもない。さらに、干渉を防止するための覆い部材を反転盤15の周囲に配設する必要がないので、金型反転式成形機のコストが上昇せず、オペレータの操作が妨げられず、金型反転式成形機の操作性、保守性等が低下することがない。
【0055】
また、ケーブルベア20の余剰部分が下方に垂れ下がることがないので、該余剰部分が成形品回収装置45等の下方に配設された装置や部材に接触したり干渉したりする恐れがない。
【0056】
さらに、第1の線状体群33がケーブルベア20に収容されて保持されるので、前記第1の線状体群33を構成する線状体27のそれぞれが、互いに絡み合うことがない。また、線状体27の本数が多くても、多層巻することができるので、ケーブルベア20の幅を小さくすることができる。
【0057】
なお、前記実施の形態においては、可動プラテンが横方向(水平方向)に移動する横置型の射出成形機について説明したが、本発明の金型反転式成形機は、可動プラテンが縦方向(垂直方向)に移動する縦置型の射出成形機にも適用することができる。さらに、射出成形機の他に、ダイキャストマシーン、IJ封止プレス等の成形機にも適用することができる。
【0058】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0059】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、金型反転式成形機においては、可動金型支持装置に取り付けられた可動金型を反転させる反転盤と、該反転盤に一端が接続されるフレキシブルな線状体と、該線状体を収容し、一端が前記反転盤の周側面側に固定されるケーブルベアとを有し、該ケーブルベアは、一端にて非対称に突出された突出部と他端に形成された非対称な形状の凹部を備え、該凹部が隣接するケーブルベアユニットの突出部を収容するように互いに結合する
【0060】
この場合、線状体のそれぞれが、互いに絡み合うことがなく、線状体の本数が多くても、反転盤の周側面に巻き付けることができる。また、ケーブルベアが反転盤の周辺の装置や部材に接触したりすることがない。さらに、可動金型支持装置が前進又は後退する時でも、ケーブルベアは反転盤の中心軸方向に移動したり、振られたりすることがないので、反転盤の前後に配設された部材や装置に接触するようなことがない。
【0061】
他の金型反転式成形機においては、さらに、前記反転盤の下方に配設され、該反転盤の周側面と同心円を形成する円筒面状の底板を備え、前記ケーブルベアを支持するガイド部材を有する。
【0062】
この場合、反転盤の下半分に相当する部分においても、ケーブルベアは周側面から離れることなく密着した状態となり垂れ下がることがない。また、ケーブルベアの余剰部分が下方に垂れ下がることがないので、該余剰部分が成形品回収装置等の下方に配設された装置や部材に接触したり干渉したりする恐れがない。
【0063】
更に他の金型反転式成形機においては、さらに、前記ケーブルベアは、一方向に変形する場合の最小の曲率半径が前記反転盤の周側面の曲率半径に等しく、他方向に変形する場合の最小の曲率半径が前記反転盤の周側面とガイド部材の底面との距離の1/2に等しい。
【0064】
この場合、ケーブルベアは、ガイド部材の底板によって支持される部分も、該底板に密着した状態となる。そのため、ケーブルベア同士が互いに接触したり、該ケーブルベアが反転盤の周辺の装置や部材に接触したりすることがない。
【0065】
また、反転盤を高速で反転させても、該反転盤の周側面に巻き付けられたケーブルベアが遠心力によって外側に膨らむことがないので、反転盤を高速で反転させることができる。そのため、金型反転式成形機のスループットを向上させることができる。また、ケーブルベアが遠心力によって外側に膨らむことがないので、前記ケーブルベアが周囲に配設された部材と干渉することもない。さらに、干渉を防止するための覆い部材を反転盤の周囲に配設する必要がないので、金型反転式成形機のコストが上昇せず、オペレータの操作が妨げられず、金型反転式成形機の操作性、保守性等が低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における金型反転式成形機の可動金型の正面図であり図5のD矢視図である。
【図2】従来の金型反転式成形機の側面図である。
【図3】従来の金型反転式成形機の可動金型の正面図であり図2のA矢視図である。
【図4】本発明の実施の形態における金型反転式成形機の型締装置の概略図である。
【図5】本発明の実施の形態における金型反転式成形機の側面図である。
【図6】本発明の実施の形態における金型反転式成形機の反転盤が反転した状態を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における金型反転式成形機のケーブルベアユニットの正面図である。
【図8】本発明の実施の形態における金型反転式成形機のケーブルベアユニットの側面図であり図7のE矢視図である。
【図9】本発明の実施の形態における金型反転式成形機のケーブルベアの組立図である。
【符号の説明】
13 可動プラテン
14 可動金型
15 反転盤
20 ケーブルベア
21 ケーブルベアユニット
26 中空部
27 線状体
43 ガイド部材
43a 底板

Claims (6)

  1. (a)可動金型支持装置に取り付けられた可動金型を反転させる反転盤と、
    (b)該反転盤に一端が接続されるフレキシブルな線状体と、
    (c)該線状体を収容し、一端が前記反転盤の周側面側に固定されるケーブルベアとを有し、
    (d)該ケーブルベアは、一端にて非対称に突出された突出部と他端に形成された非対称な形状の凹部を備え、該凹部が隣接するケーブルベアユニットの突出部を収容するように互いに結合することを特徴とする金型反転式成形機。
  2. 前記反転盤の下方に配設され、該反転盤の周側面と同心円を形成する円筒面状の底板を備え、前記ケーブルベアを支持するガイド部材を有する請求項1に記載の金型反転式成形機。
  3. 前記ケーブルベアは、常に、反転盤の周側面に巻き付けられるとともに前記ガイド部材に支持されている請求項2に記載の金型反転式成形機。
  4. 前記ケーブルベアは、一方向に変形する場合の最小の曲率半径が前記反転盤の周側面の曲率半径に等しく、他方向に変形する場合の最小の曲率半径が前記反転盤の周側面とガイド部材の底面との距離の1/2に等しい請求項3に記載の金型反転式成形機。
  5. 前記ケーブルベアは、前記線状体を収容する中空部を備え、互いに回転可能に結合されたケーブルベアユニットを備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の金型反転式成形機。
  6. 前記線状体は、熱媒体、圧力流体、電力、信号等を供給する管又は線である請求項1〜4のいずれか1項に記載の金型反転式成形機。
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