JP3803981B2 - 高強度および高導電性を有する銅合金の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は高強度および高導電性を有する銅合金に係り、具体的に言えば、電気的および電子的用途において有用なCu−Zr−Cr基合金が曲げ成形性改善のために処理される。曲げ成形性改善は、溶体化熱処理工程の上流側に2以上の再結晶化焼鈍工程を含ませることによって達成される。
【0002】
【従来技術および発明が解決しようとする課題】
コネクタのような電気部品およびリードフレームのような電子部品は、Cuの高導電性を利用するためCu合金から製造される。C10200(最小でもCuの含有量が99.95%である無酸素銅)のような純銅は、ばね質(spring temper)降伏強度約37kg/mm2 (52ksi)であり、これは部品が着脱に関連する各種の力を受ける用途においては弱過ぎる。銅の強度を増すために、広範囲の合金元素が銅に添加される。しかしながら、殆んどの場合、合金添加によって得られる降伏強度の上昇は、得られる導電性が低下するという結果によって効果が相殺される。
【0003】
本明細書中では、C10200のような合金の記号表示は統一番号付与システムによっている。組成百分率は、特にことわらない限り、質量百分率(%)で表わす。
【0004】
電気的および電子的用途の場合、Cuには、Zr、およびZrとCrの混合物が添加される。例えば、銅合金C15100(公称成分:Zr0.05〜0.15%、残部としてのCu)はIACS95%の導電性を有する(ここで、IACSは国際焼鈍銅規格のことであり、純銅はIACS100%の導電性があるものと定義されている)。C15100は、ばね質降伏強度46kg/mm2 (66ksi)を超えない。Cu−Zr金属間相は、熱処理(析出硬化)後不連続な第2相として銅マトリクスから析出して合金強度を増大させる。しかしながら、C15100の降伏強度は、現行のより高強度が求められているコネクタおよび微小化された用途におけるリードフレームに用いるには未だ低過ぎるものである。
【0005】
CrとZrの混合物をCuに添加することでより高い強度が得られる。C18100(公称組成:Cr0.4%〜1.2%、Zr0.08%〜0.2%、Mg0.03%〜0.06%、残部としてのCu)は、47〜50kg/mm2 (67〜72ksi)の降伏強度でIACS80%の導電性を有する。C18100の導電性は許容できるものであるが、降伏強度は所望のものよりわずかに低い。またCuに対するCrの最大固溶度(Cu/Cr2元合金の場合約0.65%)を超えるCr量の場合、大きな第2相の分散が発生し、表面品質の悪化と、不均一な化学エッチング特性に帰着する。
【0006】
半導体装置の寿命を延ばすために高い熱放散率を必要とするリードフレームおよび抵抗発熱が有害となる高電流を搬送する電気コネクタの場合、IACS70%を超える導電性と、約56kg/mm2 (80ksi)を超える降伏強度を有することが望ましい。
【0007】
銅合金は、室温および上昇(最高200℃までの)使用温度の両温度において耐応力緩和特性が良好でなければならない。金属ストリップに外部応力が加えられると、反作用として大きさが等しく反対符号の内部応力が金属に生じる。もしも、金属が歪を受けた状態に保持されると、時間と温度の関数として内部応力が低下する。応力緩和と称されるこの現象は、微細塑性流動のために金属内の弾性歪が塑性歪すなわち永久歪に転換されるために発生する。Cu基電気コネクタは、しばしばばね接点部材に成形されることが多いが、同部材は長期間にわたって閾値を超える接触力を相手部材に作用させ、その力を保持しなければならない。応力緩和が生じると、接触力が閾値よりも低下し、回路が開くことになる。したがって、電気的および電子的用途に供される銅合金は、室温および高環境温度において高い耐応力緩和特性を有しなければならない。
【0008】
最小曲げ半径(MBR)は、金属ストリップについて、曲げ半径部外側に沿って「オレンジの皮むけ(orange peeling)」または破壊を生ずることなくどの程度きびしい曲げ成形を行い得るかを決定するものである。MBR値は、外側リードが角度90°折曲されて印刷回路盤内に挿入されるリードフレームにおける重要な特性である。コネクタもまた各種角度で曲げ成形される。曲げ成形性、すなわち金属ストリップの厚さを「t」としてMBR/tで表わされる数値は失敗なしにマンドレルの周囲に金属ストリップを巻付けられる最小半径と金属の厚さとの比率である。
【数1】
【0009】
曲げ軸線が金属ストリップの圧延方向と直角をなす「良方向」で曲げ成形される場合、MBR/t値約2.5未満が望ましい。また曲げ軸線が金属ストリップの圧延方向と平行をなす「悪方向」で曲げ成形される場合も、MBR/t値約2.5未満が望ましい。
【0010】
要約すると、電気および電子用途に使用する望ましい銅合金は、次の特性の全てを組合せたものになるだろう。
(イ)導電性がIACS70%を超えている。
(ロ)降伏強度が56kg/mm2 (80ksi)を超えている。
(ハ)200℃程度の温度で耐応力緩和特性を有する(応力緩和に対する抵抗)を有する。
(ニ)「良方向」および「悪方向」においてMBR/t値2.5未満を有する。
【0011】
前記銅合金は耐酸化性があり、均一にエッチングされる必要がある。均一エッチング特性はエッチングされるリードフレームに鋭く、平滑な垂直リード壁を与える。予備洗浄中において均一なエッチング部が得られることはまた電解または無電解法による良好な被覆を促進する。
【0012】
アクツ氏他の米国特許第4872048号はリードフレーム用銅合金を開示している。この特許が開示している銅合金はCr:0.05〜1%、Zr:0.005〜0.3%、およびLi:0.001〜0.05%またはC:5〜60ppmのいづれかを含んでいる。最高約2%までの他の各種添加物が存在していてもよい。2つの合金例が示されており、そのうちの1つである合金21は、Cr:0.98%、Zr:0.049%、Li:0.026%、Ni:0.41%、Sn:0.48%、Ti:0.63%、Si:0.03%、P:0.13%、Cu:残部なる組成であり、引張り強さ80kg/mm2 (114ksi)、およびIACS69%の導電性を有する。他の合金75は、Cr:0.75%、Zr:0.019%、C:30ppm、Co:0.19%、Sn:0.22%、Ti:0.69%、Nb:0.13%、Cu:残部なる組成であり、引張り強さ73kg/mm2 (104ksi)、およびIACS63%の導電性を有する。
【0013】
ゴズダルストフェニ・メタロフ氏の英国特許第1353430号明細書はSnおよびTiを含むCu−Cr−Zr合金を開示している。合金1は、Cr:0.5%、Ti:0.13%、Sn:0.25%、Zr:0.12%、残部:Cuなる組成を有し、引張り強さ62〜67kg/mm2 (88〜95ksi)、およびIACS72%の導電性を有する。
オリン コーポレーションの英国特許第1549107号明細書は、Nbを含むCu−Cr−Zr合金を開示している。Cr:0.55%、Zr:0.15%、Nb:0.25%、Cu:残部なる組成の合金は、処理方法に応じて、降伏応力51〜64kg/mm2 (73〜92ksi)、およびIACS71〜83%の導電性を有し得る。
【0014】
【課題を解決するための手段】
叙上の要求条件を満足する銅合金に対する業界での需要が存在することは明らかである。したがって、本発明の1つの目的は、そのような銅合金を提供することである。本発明の1つの特徴によれば、該銅合金が特定の含有率のCoおよびTi、FeおよびTi、またはCo、FeおよびTiを含むCu−Cr−Zr合金である。本発明の他の特徴は、Tiに対するCo、Tiに対するFe、またはTiに対する「Co+Fe」の質量比を制御することによって高導電性を付与する一方、当該銅合金の強度を保持することである。
本発明の第一の観点によれば、以下に示す、高強度および高導電性を有する銅合金の製造方法が提供される。
a)0.1質量%〜2.0質量%のCrと、0.05質量%〜2.0質量%のZrと、残部のCuとから成る時効硬化可能な銅合金を鋳造する段階(50)と、
b)前記銅合金を、少なくとも部分的に均質化するために加熱する段階と、
c)前記銅合金を、50%を超える減面率まで熱間圧延する段階(52)と、
d)前記銅合金を、25%を超える減面率まで冷間圧延する段階(54)と、
e)前記銅合金を、第1回目として再結晶化する段階(56)と、
f)前記銅合金を、40%〜90%の横断面積減縮率まで冷間圧延する段階(58)と、
g)925℃を超える温度で、前記銅合金を第2回目として再結晶化する段階(60)と、
h)前記銅合金を最終板厚まで冷間圧延する段階(62)と、
i)前記銅合金を析出時効させる段階(64)とを含むことを特徴とする銅合金の製造方法。
前記製造方法は、以下の態様で実行可能である。
前記段階e(56)における再結晶化温度が、500℃と前記銅合金の固相線温度との間にあり、前記段階g(60)における再結晶化温度が、925℃を超える温度と前記銅合金の固相線温度との間にあり、保持時間が、個別に5秒〜16時間であることを特徴とする請求項1に記載された銅合金の製造方法。
本発明の第二の観点によれば、以下に示す、高強度および高導電性を有する銅合金の製造方法がさらに提供される。
(1)高強度および高導電性を有する銅合金の製造方法であって、
a)0.4質量%〜1.2質量%のCr、0.08質量%〜0.2質量%のZr、0.03質量%〜0.06質量%のMgおよび残部のCuから成る時効硬化可能な銅合金を鋳造する段階(50)と、
b)前記銅合金を、少なくとも部分的に均質化するために加熱する段階と、
c)前記銅合金を、50%を超える減面率まで熱間圧延する段階(52)と、
d)前記銅合金を、25%を超える減面率まで冷間圧延する段階(54)と、
e)前記銅合金を、500℃と前記銅合金の固相線温度との間の温度で5秒〜16時間、第1回目として再結晶化する段階(56)と、
f)前記銅合金を、40%〜90%の横断面積減縮率まで冷間圧延する段階(58)と、
g)925℃を超える温度と前記銅合金の固相線温度との間の温度で5秒〜16時間、前記銅合金を第2回目として再結晶化する段階(60)と、
h)前記銅合金を最終板厚まで冷間圧延する段階(62)と、
i)前記銅合金を析出時効させる段階(64)とを含むことを特徴とする銅合金の製造方法。
(2)高強度および高導電性を有する銅合金の製造方法であって、
a)0.1質量%〜1.0質量%のCr、0.05質量%〜0.40質量%のZr、0.1質量%〜1.0質量%の「M」(「M」は、Co,Fe,Niおよびそれらの混合物からなる群から選ばれ、最大Ni量が0.25質量%である)、0.05質量%〜0.7質量%のTiおよび残部のCuから成り、「M」とTiの質量比M:Tiが1.2:1〜7.0:1である時効硬化可能な銅合金を鋳造する段階(50)と、
b)前記銅合金を、少なくとも部分的に均質化するために加熱する段階と、
c)前記銅合金を、50%を超える減面率まで熱間圧延する段階(52)と、
d)前記銅合金を、25%を超える減面率まで冷間圧延する段階(54)と、
e)前記銅合金を、500℃と前記銅合金の固相線温度との間の温度で5秒〜16時間、第1回目として再結晶化する段階(56)と、
f)前記銅合金を、40%〜90%の横断面積減縮率まで冷間圧延する段階(58)と、
g)925℃を超える温度と前記銅合金の固相線温度との間の温度で5秒〜16時間、前記銅合金を第2回目として再結晶化する段階(60)と、
h)前記銅合金を最終板厚まで冷間圧延する段階(62)と、
i)前記銅合金を析出時効させる段階(64)とを含むことを特徴とする銅合金の製造方法。
本発明方法によって、以下に示す、高強度かつ高導電性の銅合金が提供される。
0.1質量%〜2.0質量%のCrと、0.05質量%〜2.0質量%のZrとを含み、横断面を長手方向の縁に沿って眺めると等軸結晶粒を有する、高強度かつ高導電性の銅合金。
前記銅合金の好適形態は、以下のとおりである。
(1)平均結晶粒寸法が5ミクロン〜15ミクロンであることを特徴とする前記銅合金。
(2)0.4質量%〜1.2質量%のCrと、0.08質量%〜0.2質量%のZrと、0.03質量%〜0.06質量%のMgと、残部としてのCuとから成ることを特徴とする前記項目(1)に記載された銅合金。
(3)0.1〜1.0質量%のCrと、0.05質量%〜0.40質量%のZrと、0.1〜1.0質量%の「M」(「M」は、Co,Fe,Niおよびその混合物からなる群から選ばれ、最大Ni量が約0.25質量%である)と、0.05質量%〜0.7質量%のTi(「M」とTiの質量比M:Tiが1.2:1〜7.0:1である)とから成ることを特徴とする前記項目(1)に記載された銅合金。
(4)前記銅合金が良方向および悪方向の両方向において1.8より小さいMBR/t(最小曲げ半径/板厚)値を有することを特徴とする前記項目(1)に記載された銅合金。
(5)前記銅合金が良方向および悪方向の両方向において1.8より小さいMBR/t値を有することを特徴とする前記項目(3)に記載された銅合金。
【0015】
本発明の1つの利点は、特許請求の範囲に記載された銅合金が約56kg/mm2 (79ksi)を超える降伏強度を有しており、多段階のプロセス内時効焼鈍を加えることによって、降伏強度を約62kg/mm2 (89ksi)を超えて増大させ得ることである。本発明の他の利点は、特許請求の範囲に記載された銅合金の導電性がIACS73%を超え、実施例の幾つかにおいてはIACS77%を超えることである。本発明のさらに他の利点は、銅合金がすぐれた耐応力緩和特性を示し、温度150℃に3000時間暴露した後に95%を超える応力が残留していることである。本発明のさらなる利点によれば、処理実施例の幾つかによれば、特許請求に記載された銅合金のMBR/t値が良方向で約1.7、悪方向で約1.5である。
【0016】
かくして、事実上有効組成量が質量百分率で、Cr:最高0.5%、Zr:約0.05〜約0.25%、M:約0.1〜約1%(ただし、MはCo、Feおよびそれらの混合物から成る群から選ばれる)、Ti:約0.05〜約0.5%、および残部としてのCuから成る銅合金が提供される。
【0017】
次に、本発明について図面を引用してより詳細な説明を行なう。
本発明の銅合金は、Cr,Zr,Coおよび(または)Fe、およびTiを含む。Crは、析出硬化によって強度を増大する上で有効な量から約0.8%までの量が存在する。Zr量は、約0.05〜約0.40%である(*注:本明細書において、「および(または)」は、英語の and/or (および/または)と同義である)。Co量は、約0.1〜約1%である。Coの一部または全部を等質量百分率のFeまたは別の遷移元素と置換えてもよい。Ti量は、約0.05〜約0.7%である。銅合金の残部はCuである。
【0018】
Cr:Crは、析出硬化(時効)によって銅合金の強度を増加させる上で有効な量から約1.0%までの量が銅合金中に存在する。好ましくは、最大Cr量は約0.5%である。銅合金中のCrが最大固溶限界に近づくと、粗大な第2相析出物が出現する。この粗大析出物は銅合金の表面品質およびエッチングおよびメッキ特性に悪影響を及ぼし、銅合金の強度を増大させることはない。
【0019】
また、銅合金中に存在するCo,FeおよびTiは結合してCo−XまたはFe−Xを含む各種析出物を作る。ここで、Xは圧倒的にTiであるが、多少のCrとZrを含む。以下に議論するように、Ti格子点の一部は、通常ZrまたはCrによって占められている。もしも過剰なFe,CoまたはTiが、銅マトリックス中で反応せずに固溶している場合には導電性が低下する。Crは、付加的Tiと結合して、この導電性の低下を減らす。好適Cr量は約0.1〜約0.4%であり、最も好適なCr量は約0.25〜約0.35%である。
【0020】
Zr:Zr量は、約0.05%〜約0.40%である。好ましい最大Zr量は約0.25%である。もしもZr量が低過ぎると、銅合金の耐応力緩和特性が劣る。もしもZr量が高過ぎる場合には、粗大粒が形成され、強度増加なしに銅合金の表面品質およびエッチング特性に悪影響を与える。好ましいZr量は約0.1%〜約0.2%である。
【0021】
Hf(ハフニウム)はZrの一部または全部に対する同一質量百分率の好適な代替元素である。しかし、余分な費用との関係でHfの使用は望ましいとは言えない。
【0022】
遷移元素(“M”):Co,Feおよびその混合物からなる群から選ばれた約0.1%〜約1%の遷移元素が存在している。通常CoとFeは互換性があるが、Fe元素は強度をわずかに(約4〜5ksi)改善し、導電性をわずかに(IACS約5〜6%)低下させる。もしもCoおよび(または)Feの含有量が高過ぎる場合には、鋳造の際粗大な第2相粒子が生じる。粗大析出物は、銅合金の表面品質とエッチング特性の両者に悪影響を与える。もしもTiまたはCrの量が不十分で、銅マトリックス固溶体中に“M”が残留している場合には、銅合金の導電性が低下する。もしもCoおよび(または)Feの含有量が低過ぎる場合には、銅合金は時効による析出硬化を受けないので、銅合金の対応する強度増加もない。好ましいCoおよび(または)Feの量は約0.25%〜約0.6%、最も好ましい量は約0.3%〜約0.5%である。
【0023】
出願人は、Coおよび(または)Feの一部または全部をNiと置換できると考える。しかしながら、Niの有用性が銅の導電性に対するNiの効果によって示唆されているものの、Niはあまり好ましくない。表1に示すように、Niは純銅中に固溶されている時には、CoまたはFeとくらべてCuの導電性に対する効果が低い。IACS102.6%から導電性が低下するということは、現在高純度銅において達成されている最高導電性値からの低下を意味する。
【0024】
驚きに値することは、遷移金属が固溶体から析出する時には、Niは表2に示すように、CoまたはFeよりも導電性に対する悪影響がより大きいことである。表2の合金は溶体化焼鈍段階、冷間圧延段階、公称導電性測定前の500℃、2時間の時効段階の処理を受けた。これら銅合金は最大の導電性を測定する前に、500℃、48時間の加熱によって過時効処理された。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
図1は、表2のNi含有銅合金の倍率1000倍の顕微鏡組織写真であり、図2は表2のCo含有銅合金の倍率1000倍の顕微鏡組織写真である。前記Ni含有銅合金には粗大な第2相析出物が存在している。前記Co含有銅合金には粗大な第2相析出物が事実上存在しておらず、代りに微細粒子4の均一な分散が認められる。粗大析出物2は圧延または他の加工工程中において潜在的な割れ開始位置になるので避けなければならない。かくして、本発明の好ましい合金は約0.25%未満のNiを含み、好ましくは約0.15%未満、最も好ましくは0.10%未満のNiを含む。
【0028】
Nb,V(バナジウム)およびMnのような他の遷移元素を使用可能である。Mnのような反応性の低い遷移金属はあまり好ましくない。固溶体中の残留MnとTiは、導電性を許容できないレベルにまで低下させてしまう。NbおよびVはTiとは反応しないが、強度を増大させる単体分散相を与える。
【0029】
Ti:Ti量は、約0.05%〜約0.7%である。好ましい最大Ti量は約0.5%である。Tiは“M”と結合して六方晶組織を有する第2相析出物を形成する。第2相は圧倒的にCoTiまたはFeTiの形態である。Ti格子点の一部はZrまたはCr原子によって占められている。Coおよび(または)FeとTiとの好ましい比率(質量%)は約1.2:1〜約7.0:1であり、より好ましい比率は約1.4:1〜約5.0:1、最も好ましい範囲は約1.5:1〜約3:1である。Co、FeおよびTiの含有量が好ましい比率より外れるに従い、その過剰分がCuマトリックス固溶体中に残留し、銅合金の導電性を低下させる。この効果がCo/Tiの比率と導電性を比較している図3において図式的に例示されている。導電性は約1.2:1の比率において劇的に低下するので、同比率はこの値を超えて維持されなければならない。
【0030】
添加物
本発明の銅合金は、少量の他の元素を添加することにより特定の用途に適するよう調整された特性を有することができる。導電性または曲げ成形性のような望ましい特性を著しく損なうことなく所望の特性向上を達成する上で有効な量の添加が行われる。これらの他の元素の合計含有量は約5%未満、好ましくは約1%未満である。
【0031】
鑞接性および鑞付着性を改善するためにMgを添加することができる。好ましいMg量は約0.05%〜約0.2%である。Mgはまた銅合金の応力緩和特性をも改善することができる。
【0032】
S(硫黄)、Se、Te、PbまたはBiを添加することによって導電性を著しく減ずることなく機械加工性を高めることができる。機械加工性を高める添加物は、合金中に分離相を形成するが、導電性は低下させない。好ましい含有量は約0.05%〜約3%である。
【0033】
約0.001%〜約0.1%の好適量の脱酸剤を添加することができる。適当な脱酸剤としては、B(ボロン)、Li、Be、Ca、および個別またはミッシュ・メタルとしての希土金属が挙げられる。硼化物を形成するB(ボロン)は、合金強度を増大させる点でも有益である。
【0034】
強度を増大させ、導電性を低下させるAlおよびSnを包含する添加物は、最高1%量まで添加することができる。
【0035】
合金価格を下げるために、最高20%までのCuをZnで置換えすることができる。希釈剤としてのZnは価格を下げるとともに、銅合金に黄色を与える。好ましいZnの含有量は約5%〜約15%である。
【0036】
本発明合金はいかなる適当なプロセスによっても形成することができる。図4〜図6には2つの好ましい方法が示されている。図4はブロック線図によって2つの好ましい方法に特有のプロセス段階を示している。図5は高強度および高導電性を有する合金を製造するための引き続く処理段階を例示している。図6は導電性の犠牲を最小限に抑えて、さらに高い強度を有する合金を製造するための代替処理段階をブロック線図によって示している。
【0037】
図4を参照すると、銅合金は適当な方法で鋳造される(10)。1つの例示的方法において、陰極銅が保護用の炭カバーの下でシリカ製るつぼを使用して溶解される。次に、所望量のCoおよび(または)Feが添加される。次にTiが溶湯に添加された後、CrおよびZrが添加される。溶湯は次に鋼製モールド内に注入され、インゴットに鋳造される。
【0038】
次に、インゴットは、圧延(12)に先立って、一般的には温度約850℃〜1050℃で約30分〜約24時間加熱される。このことはまた少なくとも部分的に銅合金を均質化する。加熱は、好ましくは約2〜3時間、温度約900℃〜950℃で行なわれる。
【0039】
代替的に、インゴットは当該技術分野でストリップ鋳造として知られているように、薄肉スラブに直接鋳造される。スラブの厚さは約2.5mm〜約25mm(0.1〜1インチ)である。次いで、鋳造ストリップは冷間圧延されるか、または鋳造後の再結晶・均質化焼鈍処理を受け、冷間圧延される。
【0040】
均質化工程(12)の後、インゴットは約50%を超える縮減率(加工度)、好ましくは約75%〜約95%水準の縮減率で熱間圧延される(14)。本明細書において、圧延による縮減(圧下)とは、特にことわらない限り横断面積の縮減(減少)すなわち減面率を意味する。熱間圧延による圧下(14)は単一パスであってもよく、多段パスを要してもよい。最後の熱間圧延圧下(14)の直後において、インゴットは、合金元素を固溶体に保持するべく典型的には室温へと水中焼入れ(16)することで、時効温度よりも低い温度に迅速冷却される。本出願人方法において、具体的に述べられている各焼入れ段階が好ましいが、必要に応じて、各焼入れ段階は周知の他の迅速冷却手段で置換えてもよい。
【0041】
焼入れ処理(16)の後、2つの異なる順序で処理を行なうことで、わずかに異なる特性を有する銅合金が得られる。第1のプロセス(プロセス1と称する)が図5に示されている。得られる銅合金は高強度および高導電性を達成している。第2のプロセス(プロセス2と称する)は導電性の犠牲を最小限に抑えて、より高い強度を達成している。
【0042】
図5はプロセス1を示している。銅合金は約25%を超える減面率、好ましくは約60%〜約90%の減面率をもって冷間圧延される(18)。冷間圧延段階(18)は単一パスまたは多段パスであってもよいし、多段パスにおいて中間再結晶焼鈍段階を含んでもよく、含まなくてもよい。冷間圧延段階(18)に次いで、銅合金は、約30秒〜約2時間、温度約750℃〜約1050℃に加熱することによって溶体化される(20)。好ましくは、溶体化(20)は、約30秒〜2分間、温度約900℃〜約925℃で行なわれる。
【0043】
銅合金は次に焼入れされ(22)、最終寸法に冷間圧延される(24)。冷間圧延(24)は約25%を超える減面率で行なわれ、好ましくは約60%〜約90%の範囲の減面率で行なわれる。冷間圧延(24)は、単一パスまたは多段パスで行なうことができ、多段パスにおいて中間再結晶化焼鈍を伴なってもよく、伴なわなくてもよい。
【0044】
銅合金が冷間圧延(24)によって最終寸法に圧下された後、合金の強度は析出時効(26)によって増大される。前記合金は約15分〜約16時間、温度約350℃〜約600℃に加熱することによって時効処理される。好ましくは銅合金は約1時間〜約8時間、温度約425℃〜525℃に加熱される。強度、導電性および成形性の最適な組合せが要求される時にはプロセス1が利用される。
【0045】
もしも、導電性がわずかに低下しても、より高い強度が必要とされる場合には、図6に例示されたプロセス2が利用される。焼入れ工程(16)(図4)に次いで、銅合金は溶体化板厚に冷間圧延される(28)。冷間圧延率は約25%を超え、好ましくは約60%〜約90%の範囲にある。冷間圧延段階(28)は単一パスであってもよく、中間再結晶焼鈍を伴なうか伴なわない多段パスであってもよい。
【0046】
冷間圧延(28)に引続き、銅合金は約15秒〜約2時間、温度約750℃〜約1050℃に加熱することにより溶体化される。より好ましくは、溶体化温度は約900℃〜約925℃であり、その保持時間は約30秒〜約2分である。溶体化処理(30)に引続き、銅合金は典型的には水中で、時効温度よりも低い温度に(例えば、焼入れ(32)によって)急速冷却される。
【0047】
次いで、銅合金は約25%〜約50%の減面率で冷間圧延される(34)。この圧下は単一パスであってもよく、中間溶体化再結晶焼鈍を伴なうか伴なわない多段パスであってもよい。冷間圧延(34)についで、銅合金は再結晶を防止するため十分に低い温度で時効硬化される(36)。時効処理(36)は好ましくは温度約350℃〜約600℃で約15分〜約8時間行なわれる。より好ましくは、非再結晶化析出硬化処理(36)は温度約450℃〜約500℃で約2時間〜約3時間行なわれる。
【0048】
非再結晶化時効工程(36)に引続いて、銅合金は約15%〜約60%の減面率をもって冷間圧延される(38)。冷間圧延段階(38)に引続いて、銅合金は任意選択的に約30分〜約5時間、温度約350℃〜約600℃で第2の非再結晶化析出硬化処理を受ける。好ましくは、この任意選択的第2の非再結晶化析出硬化焼鈍段階(40)は約2〜4時間、温度約450℃〜約500℃で行なわれる。第2の任意選択的非再結晶化析出硬化処理段階(40)の正確な処理時間および温度は銅合金の導電性を最大にするよう選ばれる。
【0049】
次に、銅合金は単一パスまたは多段パスで約35%〜約65%の減面率の冷間圧延(42)により最終板厚に冷間圧延されるが、この際、中間亜再結晶焼鈍は行なってもよく、行なわなくてもよい。冷間圧延(42)に引続いて、銅合金にはストランド焼鈍を行なうために、約10秒〜約10分にわたって、温度約300℃〜約600℃で安定化解放焼鈍(44)が与えられる。ベル焼鈍の場合には、前記安定化応力除去焼鈍(44)は約15分〜約8時間、温度最高約400℃において行なわれる。より好ましくは、ベル焼鈍は約1時間〜約2時間、温度約250℃〜約400℃で行なわれる。もしもストランド焼鈍が行われた時には、安定化焼鈍(44)に引続いて、銅合金が急冷される(46)。一般的に言って、ベル焼鈍の場合にはその後の急冷は行なわれない。プロセス2は導電性の犠牲を最小限として、最大強度を有する合金を作り出す。
【0050】
別のプロセス実施例においては、(図4の参照番号48で示す)均質化焼鈍がプロセス1またはプロセス2に含まれる。均質化焼鈍(48)は、冷間圧延段階(図5の18または図6の28で示す)の前または後において、熱間圧延段階(14)と溶体化段階(図5の20または図6の30で示す)の間に挿入される。均質化焼鈍(48)は約15分〜約8時間、温度約350℃〜約750℃で行なわれる。好ましくは、均質化焼鈍(48)は約6時間〜約8時間、温度約550℃〜約650℃で行なわれる。
【0051】
一般的に、プロセス1によって作成される銅合金はコネクタおよびリードフレームの用途における如く、高強度、高導電性および成形性が必要とされる所で利用される。プロセス2は高強度およびすぐれた耐応力緩和特性が求められるも、導電性の僅かの損失は許容される用途において利用されるものであり、そのような用途の例を挙げると、自動車用のように上昇温度にさらされる電気コネクタであるとか、高強度のリードを必要とするリードフレームがある。プロセス1、プロセス2の両者とも、特に本発明の銅合金に適用可能なるも、銅合金C18100のようなCrおよびZrを含む全ての銅基合金に対しても有用性を有する。
【0052】
本発明の銅合金に改良された曲げ成形性の能力を付与するための第3のプロセスが図7にブロック線図として示されている。このプロセスは、本発明合金の良方向および悪方向における最小曲げ半径を改良する。加えるに、この第3のプロセスはC18100のようなCu−Cr−Zr合金のMBR(最小曲げ半径)を改良することが判った。
【0053】
約0.001%〜約2.0%のCrと、約0.001%〜約2.0%のZrを含む銅合金が保護カバーとして炭を用い、シリカるつぼによって溶解する等の適当なプロセスでインゴットに鋳造される(50)。次に、好ましくは、インゴットの表面が切削されて、表面の酸化物が除去される。
【0054】
インゴットは次に約30分〜約24時間、温度約850℃〜約1050℃、好ましくは約875℃〜約950℃に加熱される。好ましくは、この上昇温度での保持時間は約1時間〜約4時間である。上昇温度での均熱化により銅合金は少なくとも部分的に均質化される。
【0055】
次いで、銅合金は、約50%を超える減面率で、好ましくは約75%〜約95%の減面率で熱間圧延される(52)。熱間圧延(52)は、単一パスで行なわれてもよく、多段パスで行なわれてもよい。好ましくは、ストリップは熱間圧延の終了後直ちに、例えば水中焼入れにより、室温に急冷される。次に、好ましくは、表面酸化物が例えばフライス加工等により除去される。
【0056】
次に、銅合金ストリップは、約25%を超える減面率で、好ましくは約30%〜約90%の減面率で冷間圧延される(54)。
【0057】
冷間圧延後、銅合金ストリップは第1の再結晶化焼鈍(56)を受ける。第1の再結晶化焼鈍は任意の適当な再結晶温度において行なわれる。以下の試験例において示すように、第1の再結晶化焼鈍は、高温固溶化焼鈍(925℃)、低温固溶化焼鈍(830℃)および過時効再結晶化焼鈍(650℃)として有効である。一般的に、第1の再結晶化焼鈍(56)は、約500℃から銅合金の固相線温度までの温度において行なわれる。好ましくは、第1の再結晶化焼鈍(56)は、温度約800℃〜約950℃で行なわれる。第1の再結晶化焼鈍のための保持時間は約5秒〜約16時間であり、好ましくはトリップ焼鈍の場合約30秒〜約5分であり、ベル焼鈍の場合、約30分〜約10時間である。
【0058】
第1の再結晶化焼鈍(56)の後、銅合金ストリップはさらに約40%〜約90%、好ましくは約50%〜約80%の減面率で冷間圧延される(58)。
【0059】
次に、銅合金ストリップは、約600℃から銅合金の固相線温度までの任意の有効温度で第2の再結晶化焼鈍(60)を受ける。第2の再結晶化焼鈍温度は、第1の再結晶化焼鈍よりもさらに合金成分の影響を受け易くなる。何故ならば、同焼鈍段階は銅合金を有効に溶体化して、析出時効段階において所望の時効反応を行わせる必要があるからである。CrおよびZrを含む銅合金の場合、好ましい第2の再結晶化温度は約800℃〜約950℃である。銅合金の保持時間は、約5秒〜約60分であり、好ましくは約30秒〜約5分である。
【0060】
任意選択的には、前記第1または第2の再結晶化焼鈍または両者において引続く水急冷を施してもよい。第2の再結晶化焼鈍段階(60)の後に急冷段階を付与して、析出時効段階中における所望の時効反応を与えることが特に望ましい。第2の再結晶化焼鈍段階の後、冷間圧延(58)および第2の再結晶化焼鈍をもう一回またはそれ以上の回数付加的に繰返してもよい。
【0061】
次に、銅ストリップは、最終板厚に冷間圧延される(62)。なお、この最終板厚はリードフレームストリップの場合、約0.13mm(0.005インチ)〜約0.38mm(0.05インチ)であり、コネクタの場合、最大2.5mm(0.10インチ)である。
【0062】
銅合金が冷間圧延(62)によって最終板厚へと圧下された後、銅合金の強度が析出時効処理(64)によって増大させられる。適正な時効処理条件は銅合金の組成、時効以前の冷間加工歴、溶体化処理、所望合金特性の組合せに依存する。銅合金は、温度約350℃〜約600℃、約15分〜約16時間の加熱で時効処理される。好ましくは、銅合金は約1時間〜約8時間、温度約425℃〜約525℃に加熱される。
【0063】
Cu−Cr−Zr合金において第2の再結晶化焼鈍を施すことの利点が、図8、図9の顕微鏡写真によって示されている。これらの顕微鏡写真はストリップの長手方向エッジに沿って見た横断面写真である。図8は、第1の再結晶化焼鈍の後において倍率100倍で見た組織を示している。粗大な帯状領域66がストリップ中を長手方向に走るストライエーションを形成している。粗大粒ストライエーションは、以降の処理段階中にも組織中に残留し、割れ形態の曲げ損傷またはストリップの激しいしわの原因になると考えられる。
【0064】
図9は、第2の再結晶化焼鈍の後における同一ストリップを示している。結晶粒は、約2ミクロン〜約60ミクロン、好ましくは約5ミクロン〜約15ミクロンの平均粒径を有する微細な等軸晶である。
【0065】
本発明の銅合金の利点は以下に示される試験例において明らかになるであろう。試験例は単に例示のためのものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0066】
試験例
本発明の銅合金の電気的および機械的特性が、リードフレームおよびコネクタ用として通常用いられている銅合金と比較された。表3は銅合金の組成を示している。アスタリスク(*)が前に付されているH、IおよびP合金が本発明の銅合金であり、他の合金は、慣用銅合金であるか、または合金G、KおよびLについては、Crの寄与、またはTiに対する「M」の比率の寄与を示すための好ましい組成変化を有する。
【0067】
【表3】
【0068】
合金A〜Mおよび合金Pは前述の方法によって製造された。各合金の5.2kg(10ポンド)インゴットが、保護カバーとして炭を用い、シリカのるつぼ内で陰極銅を溶解しながら、必要量のCoおよび(または)Fe添加物を投入し、次にCrおよびTi添加物を添加した後、特定の合金に必要とされるZrおよびMgを添加することによって作成された。次に、各溶湯が鋼モールド内に注入され、溶湯が凝固すると厚さ4.45cm(1.75インチ)、長さおよび幅10.16cm(4インチ)を有するインゴットが作成された。合金NおよびOは、H08(ばね)質の市販銅合金である。合金Qは、HR04硬質解放焼鈍質の市販ストリップである。
【0069】
表4は、プロセス1によって処理された合金A〜MおよびRの電気的および機械的特性を示している。合金H、IおよびJは基準となるCu−Zr合金(合金C)のみならず、基準となるCu−Cr−Zr合金(合金B)よりも高い強度を有している。驚きに値することは、Cr0.30質量%を有する合金H、IおよびJはこれらのほぼ3倍のCrを含む合金Aとほぼ等しい降伏強度と引張り強度を有している。
【0070】
導電性を増大するにあたってのCrの効果が合金Gおよび合金Iを比較することによって示されている。これらの合金の組成上の唯一の顕著な違いは、合金Iの場合0.29%のCrが存在しているということである。合金Iの導電性、IACS72.0%は合金Gの導電性IACS65.1%よりも著しく高い。
【0071】
Coおよび(または)FeとTiとの質量比2:1の臨界性が、2:1の比率を有する合金H、Iと、約1:1の比率を有する合金K、Lとを比較することによって示されている。合金H、Iおよび合金K、Lの強度はほぼ等しいが、合金K、Lの導電性はIACS約20%だけ低い。
【0072】
【表4】
【0073】
合金D,Rは、用途によってはTiを排除できることを示している。Cu−Cr−Zr−Co合金は著しくより高いCr含有率の合金と等しい強度を有しており、成形性、エッチングおよびメッキ特性はよりすぐれている。また、導電性もTi含有合金よりも高いが、強度については劣っている。Cr、ZrおよびCoの組成範囲は、本発明の他の銅合金のそれと同一であると考えられる。
【0074】
表5は、プロセス2で処理した時の合金A〜E、合金G〜Jおよび合金Rの特性を示している。唯一の例外が合金Cであり、これは単一の時効焼鈍プロセスで処理された。合金Cは、切削を受けた熱間圧延板から板厚2.54mm(0.10インチ)に冷間圧延され(図1の16)、30秒間、900℃で溶体化され、次に水急冷された。次に銅合金は50%の減面率で冷間圧延され、7時間、450℃で時効処理され、次に50%の減面率で最終板厚0.64mm(0.025インチ)に冷間圧延された。合金Cは、350℃で約5分間、解放焼鈍された。
【0075】
本発明合金H,I,Jは全てこれらの3倍のCr含有量を有する市販銅合金C181(合金A)を含む従来の銅合金よりも高い強度を有している。加えて、導電性の低下がほとんどなく著しい強度の増加が得られ、5.6〜8.4kg/mm2 (8〜12ksi)の降伏強度の増大が得られている。
【0076】
プロセス2を本発明の合金に施すと、合金Cのような2元Cu−Zr合金にくらべ約21kg/mm2 (30ksi)の降伏強度の改善が得られる。Cr添加の効果は銅合金G(0%Cr)の導電性を銅合金I(0.29%Cr)のそれと比較することによって明白である。銅合金GはIACS59.3%の導電性を有する一方、銅合金IはIACS75.5%の導電性を有する。
【0077】
【表5】
☆ 注1:MBR/t=最小曲げ半径/板厚
☆ 注2:GW=良方向、BW=悪方向
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
☆ 注1:MBR/t=最小曲げ半径/板厚
☆ 注2:GW=良方向、BW=悪方向
【0080】
表6は、本発明に係る銅合金の応力緩和特性が2元Cu−Zr合金(合金C、Q)または3元Cu−Zr−Cr合金(合金A)のいづれよりもすぐれていることを示している。表6、第2欄の「プロセスの種類」は次のように定義される。
時効=プロセス1による処理
2−IPA=プロセス2を施した後、プロセス内焼鈍を2回行なう処理
1−IPA=プロセス2を施すも、第2の析出硬化焼鈍(図3の40)は省略し、さらに1回のプロセス内焼鈍を行なう処理
【0081】
本発明合金が特に適している1つの用途は表7に示すように電子パッケージ用のリードフレームである。銅合金N,Oは、電子パッケージ用において通常用いられている銅合金を示す。合金Nは銅合金C197であり、合金Oは銅合金C18070すなわち市販リードフレーム用合金である。本発明銅合金である合金Pは、慣用リードフレーム合金の導電性に等しい導電性を有している。合金Pの降伏強度は、合金N,Oのそれよりもかなり高い。合金Pの最小曲げ半径はより小さいが、耐応力緩和特性は著しく改良されている。
【0082】
表8は、図7に示したプロセス3の利点を示している。表8は第2の再結晶化焼鈍が有利であることを示すばかりでなく、第1の再結晶化焼鈍の温度を著しい範囲で変化させ得るということをも示している。表8において示すような処理を受けた銅合金は、質量%で、Co0.36%、Cr0.32%、Ti0.16%、Zr0.16%、残余としてのCuからなる組成を有していたが、降伏強度および導電性値は実質的に等しかった。
【0083】
【表8】
☆ 注1:MBR/t=最小曲げ半径/板厚
☆ 注2:GW=良方向、BW=悪方向
【0084】
表9は、図7に例示したプロセス3を別のCu−Cr−Zr合金C18100に適用した時の利点を示している。この合金の成分分析値は、質量%で、Cr0.78%、Zr0.15%、Mg0.075%、残部としてのCuであり、降伏強度および導電性の値はほぼ等しかった。
【0085】
【表9】
【0086】
本発明の合金は特に電気コネクタおよびリードフレームのような電気的および電子的用途に特に有用性を発揮するが、同合金は高強度および(または)良好な導電性が必要とされるいかなる用途にも用いることが可能である。そのような用途としては導電棒、線およびブスバーが挙げられる。他の用途としては溶接電極のように高い導電性と応力緩和に対する高い耐性を必要とする用途を挙げることができる。
【0087】
本発明によれば、特に電気、電子用途に適している銅合金であって、高強度および高導電性を有し、これまで述べた目的、手段および利点を十分に満足することを特徴とする銅合金が提供されることは明白である。本発明はその特定の実施例および試験例との組合せにおいて記述されてきたが、前述の記載を吟味すれば当業者が多くの代替例、修正例および変更例を案出可能なることは明白であろう。したがって、全てのそのような代替例、修正例および変更例は特許請求の範囲の精神および広い視野内に含まれるものと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】Cr,ZrおよびTiを含有し、遷移金属添加物としてNiを含む銅基合金の顕微鏡写真。
【図2】Cr,ZrおよびTiを含有し、Coを遷移金属添加物として含む銅基合金の顕微鏡写真。
【図3】 CoとTiの質量比が導電性に及ぼす効果を図式的に示した図。
【図4】本発明による、Cr,Zr,Coおよび(または)Feを含む銅合金の初期プロセスを示すブロック線図。
【図5】高強度、高導電性を有するよう前記銅合金をさらに処理するための第1の実施例を示すブロック線図。
【図6】導電性の損失を最小に抑えて、前記銅合金を極めて高い強度を有するようにさらに処理するための第2の実施例を示すブロック線図。
【図7】曲げ成形性を改善するために前記銅合金を処理するための第3の実施例を示すブロック線図。
【図8】第1の再結晶化焼鈍を行なった後における本発明の銅合金の顕微鏡写真。
【図9】第2の再結晶化焼鈍を行なった後における本発明の銅合金の顕微鏡写真。
【符号の説明】
10 鋳造段階
12 加熱段階
14 熱間圧延段階
18,28 冷間圧延段階
20,30 溶体化段階
24,34,38 冷間圧延段階
26,36 析出時効段階
44 安定化段階
Claims (5)
- 高強度および高導電性を有する銅合金の製造方法であって、
a)0.1質量%〜2.0質量%のCr、0.05質量%〜2.0質量%のZrおよび残部のCuから成る時効硬化可能な銅合金を鋳造する段階(50)と、
b)前記銅合金を、少なくとも部分的に均質化するために加熱する段階と、
c)前記銅合金を、50%を超える減面率まで熱間圧延する段階(52)と、
d)前記銅合金を、25%を超える減面率まで冷間圧延する段階(54)と、
e)前記銅合金を、第1回目として再結晶化する段階(56)と、
f)前記銅合金を、40%〜90%の横断面積減縮率まで冷間圧延する段階(58)と、
g)925℃を超える温度で、前記銅合金を第2回目として再結晶化する段階(60)と、
h)前記銅合金を最終板厚まで冷間圧延する段階(62)と、
i)前記銅合金を析出時効させる段階(64)とを含むことを特徴とする銅合金の製造方法。 - 前記段階e(56)における再結晶化温度が、500℃と前記銅合金の固相線温度との間にあり、前記段階g(60)における再結晶化温度が、925℃を超える温度と前記銅合金の固相線温度との間にあり、保持時間が、個別に5秒〜16時間であることを特徴とする請求項1に記載された銅合金の製造方法。
- 前記段階i(64)の析出時効温度が350℃〜600℃であり、保持時間が15分〜16時間であることを特徴とする請求項2に記載された銅合金の製造方法。
- 高強度および高導電性を有する銅合金の製造方法であって、
a)0.4質量%〜1.2質量%のCr、0.08質量%〜0.2質量%のZr、0.03質量%〜0.06質量%のMgおよび残部のCuから成る時効硬化可能な銅合金を鋳造する段階(50)と、
b)前記銅合金を、少なくとも部分的に均質化するために加熱する段階と、
c)前記銅合金を、50%を超える減面率まで熱間圧延する段階(52)と、
d)前記銅合金を、25%を超える減面率まで冷間圧延する段階(54)と、
e)前記銅合金を、500℃と前記銅合金の固相線温度との間の温度で5秒〜16時間、第1回目として再結晶化する段階(56)と、
f)前記銅合金を、40%〜90%の横断面積減縮率まで冷間圧延する段階(58)と、
g)925℃を超える温度と前記銅合金の固相線温度との間の温度で5秒〜16時間、前記銅合金を第2回目として再結晶化する段階(60)と、
h)前記銅合金を最終板厚まで冷間圧延する段階(62)と、
i)前記銅合金を析出時効させる段階(64)とを含むことを特徴とする銅合金の製造方法。 - 高強度および高導電性を有する銅合金の製造方法であって、
a)0.1質量%〜1.0質量%のCr、0.05質量%〜0.40質量%のZr、0.1質量%〜1.0質量%の「M」(「M」は、Co,Fe,Niおよびそれらの混合物からなる群から選ばれ、最大Ni量が0.25質量%である)、0.05質量%〜0.7質量%のTiおよび残部のCuから成り、「M」とTiの質量比M:Tiが1.2:1〜7.0:1である時効硬化可能な銅合金を鋳造する段階(50)と、
b)前記銅合金を、少なくとも部分的に均質化するために加熱する段階と、
c)前記銅合金を、50%を超える減面率まで熱間圧延する段階(52)と、
d)前記銅合金を、25%を超える減面率まで冷間圧延する段階(54)と、
e)前記銅合金を、500℃と前記銅合金の固相線温度との間の温度で5秒〜16時間、第1回目として再結晶化する段階(56)と、
f)前記銅合金を、40%〜90%の横断面積減縮率まで冷間圧延する段階(58)と、
g)925℃を超える温度と前記銅合金の固相線温度との間の温度で5秒〜16時間、前記銅合金を第2回目として再結晶化する段階(60)と、
h)前記銅合金を最終板厚まで冷間圧延する段階(62)と、
i)前記銅合金を析出時効させる段階(64)とを含むことを特徴とする銅合金の製造方法。
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