JP2844120B2 - コネクタ用銅基合金の製造法 - Google Patents

コネクタ用銅基合金の製造法

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【発明の詳細な説明】 (イ)技術分野 本発明は、自動車電装品等に用いられるコネクタ用材
料として、強度,弾性,電気伝導性に優れ、かつ曲げ加
工性,耐応力緩和特性,耐マイグレーション性およびメ
ッキ信頼性等に優れた銅基合金の製造法に関するもので
ある。
(ロ)従来技術 近時、カーエレクトロニクスの発達に伴ない、自動車
電装品等に用いられるコネクタ材料においても、より高
特性,高信頼性及び低コストが要求されるようになって
来ている。
コネクタ材料に要求される特性としては、 (1)電気伝導性が良いこと。
通電電流が大きい場合には、ジュール熱による発熱に
よってコネクタおよびコネクタ周辺の絶縁物等が劣化す
るのを防止するため、また通電電流が小さい場合でも、
コネクタ部分での電圧降下が好ましくないことが多いの
で、導電率が高いことが望ましく、該導電率は30%IACS
以上が好ましい。
(2)ばね性が良いこと。
コネクタ等における接触電気抵抗は小さい方が望まし
いが、その大きさは接触荷重の大きさに影響される。金
属における接触力は、弾性限界までは変位量にほぼ比例
して大きくなるが、更に変位させると、塑性変形して接
触力の低下を招く。従って、弾性限界が大きな材料が望
ましい。
また、金属では一定の変位量を保っていると、弾性限
界内でも長時間の間には永久変形が生じ、接触力の低下
をもたらす。
また、このような応力緩和は温度が高いと増々進行し
易くなり、特に自動車用コネクタとしては、エンジンル
ーム内や排ガス系周辺では100℃以上になる場合もあ
る。そして、従来一般的にコネクタ用銅基合金として用
いられていた黄銅やリン青銅も耐応力緩和特性には問題
があった。
コネクタ用材料としてばね性が良いことが上記の通り
要求されるが、その評価基準としては、引張り強さ,耐
力,ばね限界値,縦弾性係数,耐応力緩和特性等が良好
であることがあげられる。具体的には、引張り強さは50
Kg f/mm2以上、ばね限界値は40Kg f/mm2以上、耐応力緩
和特性は150℃×1000時間で緩和率10%未満が望ましい
のである。
(3)加工性が良いこと。
コネクタはプレス,打抜き,曲げ,切削等の製造工程
を経て製造されるので、これらの加工性が良好であるこ
とが要求される。具体的には、曲げ加工性は板厚半径で
90゜W曲げを行なっても曲げ面にクラック等が発生しな
いことが望ましいのである。
(4)耐食性が良いこと。
自動車用コネクタは、悪環境にさらされる可能性が大
きく、従って耐食性が良好であることが必要である。特
にNOx,SOxなどの腐蝕性ガス、NaClを含んだ腐蝕性溶媒
に対する耐蝕性の他に、耐応力腐蝕割れ性,耐マイグレ
ーション性に優れていることが必要である。
従来の黄銅は、周知のように耐応力腐蝕割れ性に問題
があり、またリン青銅は耐マイグレーション性に問題が
あった。
また、コネクタ用材料は、メッキや半田付等が施され
る場合が多く、良好なメッキ性や半田付け性及びその耐
候性も要求される。
しかしながら、従来は上記のような諸特性を兼備し、
かつ安価なコネクタ材料は得られなかった。
(ハ)発明の開示 本発明は、自動車電装品等に用いられるコネクタ用材
料として上記に要求されるような諸特性を兼備した銅基
合金、更に詳しくは強度,弾性,電気伝導性に優れ、か
つ曲げ加工性,耐応力緩和特性,耐マイグレーション
性,メッキ信頼性等に優れた銅基合金の製造法を提供す
るものである。
即ち、本発明は、 Ni:0.5〜3.0wt% Sn:0.5〜2.0wt% P:0.005〜0.20wt% を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅基
合金の鋳片から、熱間圧延工程および冷間圧延と焼鈍と
を繰返す冷間圧延工程を経て、所望の板厚まで圧延する
に際し、 a) 熱間圧延後の冷却過程において、700℃以上の温
度から300℃以下の温度までの温度域を50℃/分以上の
冷却速度で冷却すること。
b) 冷間圧延工程における最初の冷間圧延を圧下率50
%以上で冷間圧延すること。
c) 上記、最初の冷間圧延後の最初の焼鈍を400〜600
℃の温度で5〜720分間処理すること。
d) 2回目以降の冷間圧延後の中間焼鈍を350〜550℃
の温度で5〜720分間処理すること。
e) 最終冷間加工率を30%以上とすること。
f) 最終焼鈍を300〜750℃の温度で5〜180秒間のテ
ンションアニール処理を施すこと。
上記の諸条件で処理することを特徴とするコネクタ用
銅基合金の製造法である。
本発明に係る銅基合金は、Sn,Ni,Pの適量添加によっ
てSn,Ni,Pが適度にCuマトリックス中に固溶し、更にNi,
Pの一部がNi−P系の化合物を形成し、その析出物が均
一微細に析出した組織を有することにより、自動車電装
品等のコネクタ材料として好適な上記諸特性を発揮せし
めることができるのである。
次に、本発明法に係る銅基合金の成分組成範囲を上記
の通りに限定した理由について説明する。
(1)Ni: NiはCuマトリックス中に固溶して強度,弾性,耐マイ
グレーション性を向上させ、更にPと化合物を形成して
分散析出することにより、電気伝導性を向上させ、しか
も更に強度と弾性を向上させる。また、耐熱性および耐
応力緩和特性の向上にも寄与する元素である。
しかしながら、Ni含有量が0.5wt%未満では上記のよ
うな効果が充分に得られず、一方3.0wt%を超えるとP
との共存下でも電気伝導性の低下が著しく、また経済的
にも不利となる。従って、Ni含有量は、0.5〜3.0wt%と
する。
(2)Sn: SnはCuマトリックス中に固溶して強度,弾性および耐
蝕性を向上させる。しかし、Sn含有量が0.5wt%未満で
はその効果、特に強度,弾性の向上が充分ではなく、一
方Sn含有量が2.0wt%を超えると電気伝導性の低下が著
しくなり、更に耐マイグレーション性の低下を招き、ま
た鋳造性や熱間加工性にも悪影響を及ぼす。従って、Sn
含有量は0.5〜2.0wt%とする。
(3)P: Pは溶湯の脱酸剤として作用すると共に、Niと化合物
を形成して分散析出することにより、電気伝導性を向上
させ、かつ強度,弾性ならびに耐応力緩和特性を向上さ
せる。しかしながら、P含有量が0.005wt%未満では上
記のような効果が充分に得られず、一方0.02wt%を超え
るとNiの共存下でも電気伝導性や半田耐候性の低下が著
しく、熱間加工性にも悪影響を及ぼす。従って、P含有
量は0.005〜0.20wt%とする。
また、本発明に係る銅基合金においては、添加したN
i,Pの一部がNi−P系化合物を形成し、これが均一微細
に分散析出することにより、電気伝導性をはじめ、強
度,弾性,耐応力緩和特性を向上させることができるこ
とから、NiとPの重量百分率の比(Ni/P)が限定される
のが好ましく、そのNi/Pの重量百分率の範囲は5〜50が
良い。
なお、更に副成分として、Znを添加しても良い。Zn
は、本発明に係る銅基合金のメッキ耐候性を更に向上さ
せる効果があるが、添加量が多くなると耐応力腐蝕割れ
性や電気伝導性が低下するので、Zn含有量は0.01〜2.0w
t%の範囲が好ましいのである。
次に、本発明に係る銅基合金の製造条件を限定した理
由について説明する。
本発明法により製造する銅基合金は、上記の通りCu中
にNi:0.5〜3.0wt%,Sn:0.5〜2.0wt%,P:0.005〜0.20wt
%を含有する成分組成を有するものであり、本発明法は
上記成分組成の銅基合金の鋳片から熱間圧延と冷間圧延
によって所望の板厚まで加工する製造工程中で熱間圧延
後の冷却条件,冷間圧延工程での圧下率と焼鈍条件等を
適切にコントロールすることにより、Ni−P系化合物を
この製造工程中で微細かつ均質に分散させて析出硬化を
効果的に達成させた点に大きな特徴がある。
熱間圧延工程では、上記鋳塊を例えば850℃以上に加
熱し、熱間圧延仕上温度を700℃以上として処理する。
その際の熱間圧延圧下率を80%以上とすると鋳造組織を
完全につぶすことができ、しかも鋳塊における偏析の影
響を無くすことができる。
上記の熱間圧延加工後の冷却過程においては、700℃
以上の温度から300℃以下まで、つまり冷却過程中の少
なくとも700〜300℃の温度域を50℃/分以上の冷却速度
で冷却する。
この冷却は、急水冷方式によって行なうのが良い。急
冷を行なうのは、NiおよびPが固溶した熱間圧延材を得
ることにある。上記温度域での冷却速度が50/分より遅
いと、この急冷過程でこれらの元素が析出して粗大なNi
−P系化合物が生ずる。50℃/分以上の急冷の場合で
も、急冷開始温度が700℃より低い場合、更にまた急冷
開始温度が700℃以上であっても冷却速度が50℃/分よ
り遅い場合には、この間に粗大なNi−P系化合物が析出
する。この段階で析出したNi−P系化合物による強度,
弾性,耐熱性および耐応力緩和特性等の向上は期待でき
ない。
なお、上記急冷温度の冷却終点温度は300℃以下とす
る必要がある。その理由は、300℃以下の温度では、Ni
−P系化合物の析出は実質上起らないからである。
上記のように、本発明法においては、熱間圧延通過で
はNi−P系化合物を析出させないで、Ni,PおよびSnが固
溶した熱間圧延材を得ることがまず重要なのである。
上記のようにして得られた熱間圧延材は、必要に応じ
て表面研削あるいは酸洗処理を施してから冷間圧延に供
される。
冷間圧延工程は、冷間での圧延と焼鈍処理を繰返して
所定板厚の板材製品を得る工程であり、本発明法におい
ては、最初の焼鈍,中間焼鈍および最終焼鈍の処理条件
を適切にコントロールすることによって、微細なNi−P
系化合物が均一に分散した製品を製造することができ、
この過程でNi−P系化合物の凝集による粗大化を可及的
に防止するのである。
まず、最初の冷間圧延は圧下率50%以上で行ない、こ
の最初の冷間圧延処理後の最初の焼鈍を400〜600℃の温
度で5〜720分間処理する。この最初の圧延および焼鈍
処理条件は極めて重要であり。その理由は、圧下率が50
%未満では圧延組織が均質化せず、引き続いて行なう焼
鈍処理においてNi−P系化合物が均質微細に析出できな
くなるからである。
上記の最初の冷間圧延後の焼鈍を400〜600℃の温度範
囲で行なうのは、600℃を超える温度では、析出するNi
−P系化合物が凝集粗大化して、ばね限界値,耐応力緩
和特性および曲げ加工性の一層の向上が期待できなくな
るからであり、一方400℃未満の温度では、Ni−P系化
合物を均一微細に析出させるために要する時間が長くな
って、経済的に問題が生ずる。
また、上記焼鈍時間が5分未満では、Ni−P系化合物
の形成が充分でなく、720分を超えるような長時間処理
を行なうと析出物の成長が進行すると共に経済的でな
い。
次いで、冷間圧延と中間焼鈍を必要回数繰返して所望
の板厚まで加工するが、この中間焼鈍は350〜550℃の温
度で5〜720分間処理する。550℃を超える温度では、Ni
−P系化合物の凝集粗大化が起こり、また再結晶した結
晶粒も粗大化する。
一方350℃未満では、再結晶温度以下であるため、再
結晶させるのに不充分である。
処理時間については、5分未満では再結晶による結晶
粒の制御が充分でなく、720分間を超えるような長時間
処理では結晶粒が粗大すると共に経済的でない。
なお、結晶粒径は焼鈍後で25μm以下であることが好
ましいのである。
最終冷間加工率は、30%未満では加工硬化が不充分で
あり、硬度,弾性の向上が望めないため、最終冷間加工
率は30%以上とする。一方、90%を超えると加工ひずみ
が過多となり、曲げ加工性の低下を招くので、好ましく
は90%以下とする。
次に、最終工程において、300〜750℃の温度で5〜18
0秒間のテンションアニール処理を施す。これにより、
ばね限界値,耐応力緩和特性の向上ならびに延性の回復
が発現でき、均質かつ平坦度の良好な製品を得ることが
できる。300℃未満の温度では、上記のような効果が小
さく、一方750℃を超える温度では短時間でも材料が軟
化してしまうので、テンションアニール処理は300〜750
℃の温度範囲で行ない、またその処理時間は、5秒未満
では均質な材料が得られず、一方180秒を超えると効果
が飽和し、不経済となるので、5〜180秒間とする。
最終板材の表面粗さは、各種メッキ性やコネクタへの
加工後の挿入離脱力に影響を与えるので、好ましくはR
max1.5μm以下とする。
次に、本発明を実施例により説明する。
(ニ)実施例 実施例1 第1表にその化学成分値を示したNo.1〜No.8の銅基合
金を高周波誘導真空溶解炉を用いて溶製し、40×40×14
0mmの鋳塊に鋳造した。この鋳塊を40×40×20tmmの大き
さに切断し、この鋳片を850℃で均熱加熱した後、厚さ5
mmまで熱間圧延を行い、750℃の温度から水中冷却し
た。このときの冷却速度(700〜300℃温度域)は50℃/
分を充分に超える速度であった。
得られた熱延板を厚さ0.1mmずつ両面面削後、第1回
目の冷間圧延によって厚さ1.5mmまで冷間圧延した(圧
下率69%)。次いで、500℃で120分間の焼鈍を行なっ
た。その後、厚さ0.6mmまで冷間圧延し、450℃で60分間
の焼鈍を行なった。そして、最終冷間圧延により厚さ0.
2mmまで冷間圧延した(圧下率67%)。
得られた冷延板を10Kg f/mm2の張力を付加しながら40
0℃で20秒間のテンションアニール処理を施し、該処理
を終了した材料を試験材とした。
なお、第1表中のNo.9とNo.10は上記の処理工程を経
たものではなく、前者は市販のばね用リン青銅(C5210
H)であり、後者は市販の黄銅(C2600EH)である。
各試験材の引張強さ,導電率,ばね限界値,90゜W曲
げ加工試験,応力緩和試験及びマイグレーション試験を
行ない、その結果を第2表に示す。
引張強さ,導電率,ばね限界値の測定は、それぞれJI
S−Z−2241,JIS−H−0505,JIS−H−3130に準拠し
た。
90゜W曲げ加工試験は、CES−M0002−6に準拠し、R
=0.1mmの治具で90゜W曲げ加工し、中央部山表面の状
況を調べ、割れが発生したものは×印、シワが発生した
ものは△印、良好なものは○印として評価した。ただ
し、曲げ軸は圧延方向に平行(Bad Way)とした。
また、応力緩和試験は、試験片の中央部の応力が40Kg
f/mm2となるようにアーチ状曲げを行ない、150℃の温
度で1000時間保持後の曲げぐせを応力緩和率として次式
により算出した。
応力緩和率(%)= [(L1−L2)/(L1−L0)]×100 ただし、 L0:治具の長さ(mm) L1:開始時の試料長さ(mm) L2:処理後の試料端間の水平距離(mm) である。
マイグレーション試験は、第1図に示すような中央部
に9mmφの孔のあいたABS樹脂板(1mm(t)×15mm
(w)×72mm(l))を0.2mm(t)×5mm(w)×80mm
(l)の試験片で挟み、上下端部をテフロンテープで固
定し、第2図に示すように試験槽(ビーカー)の水道水
中に保持し、14Vの直流電圧を印加したときの8時間保
持における最大漏洩電流値を測定して評価した。
また、8時間以内に短絡したものは、×印として示し
た。
第2表の結果から、次のことが解かる。
本発明に係るNo.1〜No.4の銅基合金は、いずれも引張
強さ50Kg f/mm2以上、ばね限界値40Kg f/mm2以上、導電
率30%IACS以上を示し、かつ曲げ加工性にも優れてい
る。そして更に、応力緩和率は10%未満で耐応力緩和特
性にも優れ、また最大漏洩電流値が0.5A未満で耐マイグ
レーション性にも優れている。
従って、自動車等のコネクタ用銅基合金として非常に
優れた合金であることが解る。
これに対し、Sn含有量が本発明に係る銅基合金の規定
値より少ない比較合金No.5は強度およびばね限界値が低
い。また、Ni含有量が少なく、またPを含まない比較合
金No.6は強度,ばね限界値が低く、耐応力緩和特性も劣
っている。
Ni含有量が多い比較合金No.7は導電率が低く、曲げ加
工性に劣っている。Sn含有量が多い比較合金No.8は導電
率が低く、曲げ加工性,耐マグレーション性に劣ってい
る。
また、従来の代表的な自動車用コネクタ材料であるば
ね用リン青銅(No.9)は本発明に係る銅基合金より導電
率,曲げ加工性,耐応力緩和特性および耐マイグレーシ
ョン性に劣り、また黄銅(No.10)は導電性,ばね限界
値,曲げ加工性および耐応力緩和特性に劣っている。
実施例2 前記実施例1の第1表に示した合金No.1に対して、実
施例1の熱間圧延後の平均冷却速度を20℃/分とし、他
の諸条件をすべて実施例1と同様とした比較例1の合金
板材と、熱間圧延後の第1回目の焼鈍を650℃で120分間
とした以外は全ての条件を実施例1と同様に行なった比
較例2の合金板材のそれぞれの引張強さ,導電率,ばね
限界値,90゜W曲げ加工,応力緩和測定試験を行なっ
た。その結果を第3表に示す。なお、試験方法は実施例
1と同様である。
第3表に示す結果から、本発明法より熱間圧延後の冷
却速度が遅い比較例1による銅基合金および熱間圧延後
の第1回目の焼鈍温度が高い比較例2による銅基合金
は、引張強さ,ばね限界値,曲げ加工性および耐応力緩
和特性のいずれもが、本発明法で得られた板材(No.1)
より劣っている。
(ホ)発明の効果 本発明法は、Ni,Sn,Pを適量添加した銅基合金に対し
上記のような諸条件で適切な処理を行うことにより、添
加したSn,Pの一部をNi−P系化合物として均一かつ微細
に分散析出させることにより、高強度,高弾性で高電気
伝導性を有し、かつ曲げ加工性,耐応力緩和特性,耐マ
イグレーション性,メッキ信頼性に優れたコネクタ用銅
基合金を製造することができ、近年の自動車電装品の高
密度化に充分対応できるコネクタ材を安価に提供するも
のである。
また、本発明法によって製造された銅基合金は上記の
ような優れた特性を有しているので、このような諸特性
を利用して、リレー・スイッチ用ばね,端子,リードフ
レーム,ラジエータータンク,海洋材等の電気・電子部
品用材料や構造材としても充分に応用できるので、その
効果は大である。
【図面の簡単な説明】
第1図は試験用ABS樹脂板の斜視図、第2図はマイグレ
ーション試験装置の説明図である。 符号説明 1−ABS樹脂、2−試験片 3−テフロンテープ、4−試験槽 5−水道水、6−孔、7−電流計 8−直流電源
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 630 C22F 1/00 630K 630Z 640 640Z 661 661A 683 683 684 684A 685 685Z 686 686Z 691 691B 691C 692 692A 692B 694 694A 694B (56)参考文献 特開 昭61−213359(JP,A) 特開 昭62−227052(JP,A) 特開 昭62−99430(JP,A) 特開 昭61−194160(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22F 1/08 H01B 1/02 C22C 9/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ni:0.5〜3.0wt% Sn:0.5〜2.0wt% P:0.05〜0.20wt% を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅基
    合金の鋳片から熱間圧延工程および冷間圧延と焼鈍とを
    繰返す冷間圧延工程を経て所定の板圧まで圧延するに際
    し、 a) 熱間圧延後の冷却過程において700℃以上の温度
    から300℃以下の温度までの温度域を50℃/分以上の冷
    却速度で冷却すること。 b) 冷間圧延工程における最初の冷間圧延を圧下率50
    %以上で冷間圧延すること。 c) 上記最初の冷間圧延後の最初の焼鈍を400〜600℃
    の温度で5〜720分間処理すること。 d) 2回目以降の冷間圧延後の焼鈍を350〜550℃の温
    度で5〜720分間処理すること。 e) 最終冷間加工率を30%以上とすること。 f) 最終焼鈍を300〜750℃の温度で5〜180秒間のテ
    ンションアニール処理を施すこと。 上記a)〜f)の諸条件で処理することによりNi−P系
    化合物が均一微細に分散析出した組織を形成せしめるこ
    とを特徴とするコネクタ用銅基合金の製造法。
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