JP4393663B2 - 端子用銅基合金条およびその製造方法 - Google Patents

端子用銅基合金条およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用のコネクタ端子などに用いられる端子用銅基合金条およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のエレクトロニクスの発展に伴い、自動車のコネクタ端子などの端子は、より一層の高密度化、小型化、軽量化、そして信頼性向上が求められるようになってきている。また、エンジンの高性能化によりエンジンルーム内の温度が上昇するに伴い、エンジンルームに使用される端子も、より高信頼性及び高耐熱性が要求されるようになってきている。
【0003】
自動車のコネクタ端子などの端子の信頼性が向上するには、具体的には、強度、ばね特性、導電性、耐応力緩和性、耐食性に優れることが必要である。例えば、導電性、耐応力緩和性を兼ね備えていないと、端子の自己発熱による酸化、めっき剥離、応力緩和、回路の電圧降下、ハウジングの軟化や変形が生じる可能性がある。
【0004】
従来より、端子用銅基合金として用いられてきた黄銅は安価ではあるが、導電率が低く、例えばC2600で27%IACSであり、耐食性や耐応力緩和性にも問題があった。また、リン青銅は強度は優れているが、導電率は低く、例えばC5210で12%IACS程度であり、耐応力緩和性にも問題があり、さらに価格も高く経済的ではなかった。
【0005】
Cu−Ni−Sn−P系合金は、これらの二種の合金の欠点を補うため開発されたものである。特公平8−9745号公報及び特開平4−154942号公報には、Cu−Ni−Sn−P系合金鋳塊を熱間圧延した後、冷間圧延と熱処理を繰り返して、端子用銅基合金条を製造する方法が記載されている。
【0006】
しかしながら、このようにして製造された、例えばCu−1.0Ni−0.9Sn−0.05P(数値は重量%)の銅基合金条は、強度、耐応力緩和性については優れているものの、導電率は38%IACSと低く、曲げ加工性も十分とはいえない。
【0007】
また、この銅基合金条は、Ni−P化合物を析出させるため溶体化処理を兼ねた熱間圧延を行っているが、熱間圧延工程中の温度変化を管理することは困難であり、しかも加工析出工程に相当するため、熱間圧延工程中の温度変化により析出物が生じる可能性がある。しかも、その析出物は高温中で加工されているため粗大化しやすくなる。従って、この工程において生じた析出が、以後の工程での析出現象及び最終特性に大きな影響を及ぼしやすい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、上記諸問題の発生源となる従来の熱間圧延を改善した端子用銅基合金条の製造方法を、安価に提供することを目的とする。また、本発明は、従来のCu−Ni−Sn−P合金よりも優れた導電性と曲げ加工性、さらに耐応力緩和性を有する端子用銅基合金条を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、前記課題について鋭意検討した結果、Cu−Ni−Sn−P系合金、Cu−Mn−Sn−P系合金あるいはCu−Co−Sn−P系合金において、熱間圧延の後に溶体化処理を行う工程を加えることにより、優れた強度、ばね限界値、導電率、耐応力緩和性、及び曲げ加工性が得られることを見いだし、本発明に到達した。
【0010】
本発明の端子用銅基合金条の第1の態様は、重量%で、Ni:0.2〜3.0%、Sn:2.0%以下、P:0.005〜2.0%を含有し、残部がCuと不可避的不純物であり、引張強さが550MPa以上、ばね限界値が450Mpa以上、導電率が46%IACS以上、最小曲げ半径比が1以下、かつ応力緩和率が10%以下である。
【0011】
本発明の端子用銅基合金条の第2の態様は、重量%で、Mn:0.2〜3.0%、Sn:2.0%以下、P:0.005〜2.0%を含有し、残部がCuと不可避的不純物であり、引張強さが550MPa以上、ばね限界値が450Mpa以上、導電率が43%IACS以上、最小曲げ半径比が1以下、かつ応力緩和率が10%以下である。
【0012】
本発明の端子用銅基合金条の第3の態様は、重量%で、Co:0.1〜1.0%、Sn:2.0%以下、P:0.005〜1.0%を含有し、残部がCuと不可避的不純物であり、引張強さが600MPa以上、ばね限界値が500Mpa以上、導電率が50%IACS以上、最小曲げ半径比が1以下、かつ応力緩和率が10%以下である。
【0013】
本発明の端子用銅基合金条の製造方法の第1の態様は、重量%で、Ni:0.2〜3.0%、Sn:2.0%以下、P:0.005〜2.0%を含有し、残部がCuと不可避的不純物である、銅基合金鋳塊を溶製する第一工程、熱間圧延を行う第二工程、非酸化性雰囲気で熱処理温度を700〜950℃として熱処理した後に水冷する溶体化処理の第三工程、冷間圧延した後に非酸化性雰囲気中で焼鈍温度を450〜650℃として中間焼鈍することを1回以上行い、最後の中間焼鈍前の圧延率を85%以上とする第四工程、圧延率を30〜90%として仕上げ冷間圧延する第五工程、及び焼鈍温度を250〜400℃として低温焼鈍する第六工程からなる。
【0014】
第四工程で得られた中間焼鈍物が、5μm以下の再結晶粒径を有し、NiとPの一部が20nm以下のNi−P系金属間化合物となってマトリクス中に均一微細に析出した組織を有する。
【0015】
本発明の端子用銅基合金条の製造方法の第2の態様は、重量%で、Mn:0.2〜3.0%、Sn:2.0%以下、P:0.005〜2.0%を含有し、残部がCuと不可避的不純物である、銅基合金鋳塊を溶製する第一工程、熱間圧延を行う第二工程、非酸化性雰囲気で熱処理温度を700〜950℃として熱処理した後に水冷する溶体化処理の第三工程、冷間圧延した後に非酸化性雰囲気中で焼鈍温度を450〜650℃として中間焼鈍することを1回以上行い、最後の中間焼鈍前の圧延率を85%以上とする第四工程、圧延率を30〜90%として仕上げ冷間圧延する第五工程、及び焼鈍温度を250〜400℃として低温焼鈍する第六工程からなる。
【0016】
第四工程で得られた中間焼鈍物が、5μm以下の再結晶粒径を有し、MnとPの一部が20nm以下のMn−P系金属間化合物となってマトリクス中に均一微細に析出した組織を有する。
【0017】
本発明の端子用銅基合金条の製造方法の第3の態様は、重量%で、Co:0.1〜1.0%、Sn:2.0%以下、P:0.005〜1.0%を含有し、残部がCuと不可避的不純物である、銅基合金鋳塊を溶製する第一工程、熱間圧延を行う第二工程、非酸化性雰囲気で熱処理温度を700〜980℃として熱処理した後に水冷する溶体化処理の第三工程、冷間圧延した後に非酸化性雰囲気中で焼鈍温度を450〜650℃として中間焼鈍することを1回以上行い、最後の中間焼鈍前の圧延率を85%以上とする第四工程、圧延率を30〜90%として仕上げ冷間圧延する第五工程、及び焼鈍温度を300〜450℃として低温焼鈍する第六工程からなる。
【0018】
第四工程で得られた中間焼鈍物が、5μm以下の再結晶粒径を有し、CoとPの一部が20nm以下のCo−P系金属間化合物となってマトリクス中に均一微細に析出した組織を有する。
【0019】
なお、本発明において第1〜第3の態様の端子用銅基合金条は、各々、第1〜第3の態様の製造方法により製造される。
【0020】
【発明の実施の形態】
(1)合金元素
本発明の銅基合金中の添加元素、及び本発明の銅基合金条の製造方法の第一工程で銅基合金鋳塊を溶製する際の添加元素は、次の作用効果を持つ。
【0021】
(a)Ni、Mn、Co
Ni(またはMn、Co)はCuマトリクス中に固溶して、強度・ばね特性及び耐応力緩和性を向上させる。また、共存するPと形成したNi−P系金属間化合物(Ni3P)(またはMn−P系金属間化合物(Mn3P)、Co−P系金属間化合物(Co2P))は、マトリクス中に均一微細に分散析出して、導電性を向上させ、強度・ばね特性・耐応力緩和性をさらに向上させる。
【0022】
上記Ni(またはMn、Co)の作用効果は、各成分が0.2重量%未満では十分得ることができず、Cu−Ni(Mn)−Sn−P系合金では3.0重量%、Cu−Co−Sn−P系合金では1.0重量%を超えると飽和してしまう。従って、各成分は0.2重量%以上が必要で、Cu−Ni(Mn)−Sn−P系合金では3.0重量%以下、Cu−Co−Sn−P系合金では1.0重量%以下が望ましい。
【0023】
(b)Sn
Snは、Cuマトリクス中に固溶して強度・ばね特性を向上させる。
【0024】
上記Snの作用効果は、Sn成分が2.0重量%を超えると飽和してしまう。従って、Sn成分は2.0重量%以下が望ましい。
【0025】
(c)P
Pは、Cuマトリクス中に固溶しているだけでなく、分散析出するNi−P系金属間化合物(Ni3P)(またはMn−P系金属間化合物(Mn3P)、Co−P系金属間化合物(Co2P))を共存させるNi(またはMn、Co)と形成する。これにより、強度・導電性・ばね特性、及び耐応力緩和性を向上させる。なお、Pは鋳塊溶製時に溶湯の脱酸剤として作用する。
【0026】
上記Pの作用効果は、P成分が0.005重量%未満では十分得ることができず、P成分が、Cu−Ni(Mn)−Sn−P系合金では2.0重量%、Cu−Co−Sn−P系合金では1.0重量%を超えると飽和してしまう。従って、P成分は0.005重量%以上が必要で、Cu−Ni(Mn)−Sn−P系合金では2.0重量%以下、Cu−Co−Sn−P系合金では1.0重量%以下が望ましい。
【0027】
(2)溶体化処理
溶体化処理は、熱間圧延後に析出した粗大なNi−P金属間化合物(またはMn−P金属間化合物、Co−P金属間化合物)を十分固溶させるために行う。固溶状態から、後工程でNi3P化合物(またはMn3P化合物、Co2P化合物)として時効析出させる。熱処理温度が700℃未満では、温度が低く、熱間圧延中に析出したNi−P金属間化合物(またはMn−P金属間化合物、Co−P金属間化合物)を十分に分解できず、Ni(またはMn、Co)とPが固溶した単相(過飽和固溶体)とはならない。一方、Cu−Ni(Mn)−Sn−P系合金では950℃、Cu−Co−Sn−P系合金では980℃より高い温度になると、その温度が融点近傍であるとともに、曲げ加工性を十分向上させることが不可能となってしまう。何故なら、結晶粒径が粗大化し、後工程の冷間圧延・中間焼鈍における(仕上げ圧延に供する)再結晶粒径を5μm以下に調整することができなくなるからである。
【0028】
また、上記溶体化処理を非酸化性雰囲気で行うのは、材料表面の酸化及び内部酸化を抑制するためである。この時、常温で単相(過飽和状態)組織にするために、溶体化したコイルを急冷する。この急冷は、水冷によって行う。
【0029】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
上記急冷で得たコイルは、冷間圧延した後、焼鈍温度を450〜650℃として中間焼鈍する。この冷間圧延・中間焼鈍は、1回で済ませてもよいが、効率よく冷間圧延を行うために複数回行ってもよい。1回で済ませる場合は、圧延率を85%以上として冷間圧延した後、焼鈍温度を450〜650℃として中間焼鈍する。また、複数回行う場合は、冷間圧延し、次に焼鈍温度を450〜650℃として中間焼鈍した後、該冷間圧延及び該中間焼鈍する一連の操作を繰り返すが、このとき最後の中間焼鈍前の冷間圧延率は必ず85%以上とする。このように冷間圧延率の圧延率を85%以上とするのは、5μm以下の再結晶粒径にするためである。時効析出するNi3P化合物(またはMn3P化合物、Co2P化合物)の粒径は、Ni(またはMn、Co)とPとの組成にもよるが20nm以下で微細である。冷間圧延・中間焼鈍において再結晶が十分進行しないか、再結晶粒径が5μmを超えると、曲げ加工性を十分向上させることが不可能となってしまう。
【0030】
圧延率が85%未満では、後工程の仕上げ圧延に供する再結晶粒径を5μm以下に調整することが難しくなる。また、中間焼鈍温度が450℃未満では再結晶が十分進行せず、一方650℃より高い温度になると再結晶粒径が5μmより粗大になってしまう。
【0031】
(4)仕上げ冷間圧延
仕上げ冷間圧延の圧延率は、30〜90%とする。30%未満では強度及び耐応力緩和性が低下し、一方90%を超えると曲げ加工性が低下する。
【0032】
(5)低温焼鈍
Ni3P化合物(またはMn3P化合物、Co2P化合物)を十分析出させると同時に、再結晶を進行させることなく歪取りを行って、十分な曲げ加工性を与えるために行う。そのために、低温焼鈍温度をCu−Ni(Mn)−Sn−P系合金では250〜400℃、Cu−Co−Sn−P系合金では300〜450℃とする。この最低温度未満では、上記反応が起こらず曲げ加工性が低下する。一方、前記最高温度を超えると、歪取りは行えるが再結晶が進行してしまい、強度及び耐応力緩和性が低下する。
【0033】
(6)特性の測定
引張強さ、導電率、ばね限界値の測定は、JISH2241、JISH0505、JISH3130に準拠した。曲げ加工性については、90°W曲げ加工試験で評価した。試験はCES−M0002−6に準拠し、曲げ半径が0.1〜2.0の治具で90°W曲げ加工し、中央山表面の状況を調べた。なお、曲げ軸は圧延方向に対して平行方向(Bad Way)とした。そして、割れ及びシワが発生しない最小曲げ半径Rを板厚tで割った値、すなわち最小曲げ半径比R/tを求めた。最小曲げ半径比が小さいほど曲げ加工性が良い。応力緩和試験では、試験片の中央部の応力が耐力の80%となるようにアーチ曲げを行い、150℃の温度で1000時間保持した後、試験片の曲げぐせを応力緩和率として次式により算出した。なお、次式において、L0は冶具の長さ(mm)、L1は曲げぐせをつける前の試料端間の水平距離(mm)、L2は曲げぐせをつけた後の試料端間の水平距離(mm)である。
【0034】
応力緩和率(%)=(L1−L2)/(L1−L0)×100
【0035】
(実施例)
以下、実施例1、2、比較例1〜7、従来例1、2により本発明を説明する。なお、これらの実施例、比較例及び従来例における合金組成を表1に記載し、また主な製造条件も示した。
【0036】
(実施例1、2)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延
表1の実施例1、2に示される組成の合金から大気溶解炉により鋳塊を各々溶製し、850℃で加熱した後、厚さ17mmまで熱間圧延しコイル状にした。次いで、このコイル状鋳塊の両面1mmずつを面削した。
【0037】
(2)溶体化処理
コイル状の熱間圧延物を非酸化性雰囲気中において850℃で1時間熱処理を行った後水冷した。
【0038】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
空冷した均質化焼鈍物を冷間圧延して厚さ0.63mmの板材となし(圧延率96%)、この板材に連続焼鈍処理を施した。連続焼鈍処理は、板材を窒素雰囲気中で600℃に保持した加熱炉中を8m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は、いずれの実施例においても3μmであり、しかもNi−P金属間化合物は20nm以下の大きさで均一微細に析出していた。
【0039】
(4)仕上げ冷間圧延
連続焼鈍した板材に圧延率60%の冷間圧延を施した。
【0040】
(5)低温焼鈍
この連続焼鈍炉にて窒素雰囲気中、350℃の低温焼鈍処理を10m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。
【0041】
(比較例1、2)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延:表1の比較例1、2に示される合金について、実施例1と同様に行った。
【0042】
(2)溶体化処理
コイル状の熱間圧延物を非酸化性雰囲気中において、比較例1は450℃で5時間、比較例2は980℃で0.5時間熱処理を行った後水冷した。
【0043】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
実施例1と同様に行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は、比較例1においては3μmであり、比較例2においては15μmであった。また、Ni−P金属間化合物は、比較例1においては1μm以下の大きさで不均一に析出しており、比較例2においては20nm以下の大きさで均一微細に析出していた。
【0044】
(4)仕上げ冷間圧延:実施例1と同様に行った。
【0045】
(5)低温焼鈍:実施例1と同様に行った。
【0046】
(比較例3)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延:表1の比較例3に示される合金について、実施例1と同様に行った。
【0047】
(2)溶体化処理:実施例1と同様に行った。
【0048】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
水冷したコイルを圧延率78%とし冷間圧延して厚さ3.0mmの板材となし、この板材に連続焼鈍処理を施した。連続焼鈍処理は、板材を窒素雰囲気中で600℃に保持した加熱炉中を8m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。次に、この連続焼鈍物を再び圧延率78%とし冷間圧延して厚さ0.65mmの板材となし、同様な連続焼鈍処理を施した。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は10μmであり、しかもNi−P金属間化合物は20nm以下の大きさで均一微細に析出していた。
【0049】
(4)仕上げ冷間圧延:実施例1と同様に行った。
【0050】
(5)低温焼鈍:実施例1と同様に行った。
【0051】
(比較例4、5)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延:表1の比較例4、5に示される合金について、実施例1と同様に行った。
【0052】
(2)溶体化処理:実施例1と同様に行った。
【0053】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
水冷したコイルを冷間圧延して厚さ0.63mmの板材となし(圧延率96%)、この板材に連続焼鈍処理を施した。連続焼鈍処理は、板材を窒素雰囲気中で比較例4は400℃に、比較例5は700℃に保持した加熱炉中を8m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶組織は、比較例4においては部分再結晶組織であり、比較例5においては結晶粒径10μmの完全再結晶となっていた。また、Ni−P金属間化合物は、比較例4においては析出しておらず、比較例5においては50nm以下の大きさで均一析出していた。
【0054】
(4)仕上げ冷間圧延:実施例1と同様に行った。
【0055】
(5)低温焼鈍:実施例1と同様に行った。
【0056】
(比較例6、7)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延:表1の比較例6、7に示される合金について、実施例1と同様に行った。
【0057】
(2)溶体化処理:実施例1と同様に行った。
【0058】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
実施例1と同様に行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は、いずれの比較例においても3μmであり、しかもNi−P金属間化合物は20nm以下の大きさで均一微細に析出していた。
【0059】
(4)仕上げ冷間圧延:実施例1と同様に行った。
【0060】
(5)低温焼鈍
この連続焼鈍炉にて窒素雰囲気中、比較例6は230℃の低温焼鈍処理を、比較例7は430℃の低温焼鈍処理を10m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。
【0061】
(従来例1、2)
表1の従来例1、2に示される組成からなる合金を、各々大気溶解炉で溶製した。次に、これらの合金鋳塊を850℃で加熱し、厚さ17mmまで熱間圧延した後、常温の水中に浸漬して急冷した。急冷した熱間圧延物の表面を面削して厚さ15mmとした後、冷間圧延して厚さ0.63mmの板材となし、連続焼鈍処理を施した。連続焼鈍処理は、板材を窒素雰囲気中で600℃に保持した加熱炉中を8m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は、いずれの従来例においても3μmであり、しかもNi−P金属間化合物は50nm以下の大きさで不均一に析出していた。次に、この連続焼鈍した板材に圧延率60%の冷間圧延を施し、連続焼鈍炉にて窒素雰囲気中、350℃の低温焼鈍処理を10m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。
【0062】
このようにして得られた材料について、引張強さ、導電率、ばね限界値を測定するとともに、曲げ加工性、応力緩和性を調査した。結果を表2に示す。
【0063】
【表1】
Figure 0004393663
【0064】
【表2】
Figure 0004393663
【0065】
以下、実施例3、4、比較例8〜14、従来例3、4により本発明を説明する。なお、これらの実施例、比較例及び従来例における合金組成を表3に記載し、また主な製造条件も示した。
【0066】
(実施例3、4)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延
表3の実施例3、4に示される組成の合金から大気溶解炉により鋳塊を各々溶製し、850℃で加熱した後、厚さ15mmまで熱間圧延しコイル状にした。次いで、このコイル状鋳塊の両面1mmずつを面削した。
【0067】
(2)溶体化処理
コイル状の熱間圧延物を非酸化性雰囲気中において850℃で1時間熱処理を行った後水冷した。
【0068】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
空冷した均質化焼鈍物を冷間圧延して厚さ0.63mmの板材となし(圧延率96%)、この板材に連続焼鈍処理を施した。連続焼鈍処理は、板材を窒素雰囲気中で600℃に保持した加熱炉中を8m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は、いずれの実施例においても3μmであり、しかもMn−P金属間化合物は20nm以下の大きさで均一微細に析出していた。
【0069】
(4)仕上げ冷間圧延
連続焼鈍した板材に圧延率60%の冷間圧延を施した。
【0070】
(5)低温焼鈍
この連続焼鈍炉にて窒素雰囲気中、350℃の低温焼鈍処理を10m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。
【0071】
(比較例8、9)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延:表3の比較例8、9に示される合金について、実施例3と同様に行った。
【0072】
(2)溶体化処理
コイル状の熱間圧延物を非酸化性雰囲気中において、比較例8は450℃で5時間、比較例9は980℃で0.5時間熱処理を行った後水冷した。
【0073】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
実施例3と同様に行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は、比較例8においては3μmであり、比較例9においては15μmであった。また、Mn−P金属間化合物は、比較例8においては1μm以下の大きさで不均一に析出しており、比較例9においては20nm以下の大きさで均一微細に析出していた。
【0074】
(4)仕上げ冷間圧延:実施例3と同様に行った。
【0075】
(5)低温焼鈍:実施例3と同様に行った。
【0076】
(比較例10)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延:表3の比較例10に示される合金について、実施例3と同様に行った。
【0077】
(2)溶体化処理:実施例3と同様に行った。
【0078】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
水冷したコイルを圧延率78%とし冷間圧延して厚さ3.0mmの板材となし、この板材に連続焼鈍処理を施した。連続焼鈍処理は、板材を窒素雰囲気中で600℃に保持した加熱炉中を8m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。次に、この連続焼鈍物を再び圧延率78%とし冷間圧延して厚さ0.65mmの板材となし、同様な連続焼鈍処理を施した。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は10μmであり、しかもMn−P金属間化合物は20nm以下の大きさで均一微細に析出していた。
【0079】
(4)仕上げ冷間圧延:実施例3と同様に行った。
【0080】
(5)低温焼鈍:実施例3と同様に行った。
【0081】
(比較例11、12)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延:表3の比較例11、12に示される合金について、実施例3と同様に行った。
【0082】
(2)溶体化処理:実施例3と同様に行った。
【0083】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
水冷したコイルを冷間圧延して厚さ0.63mmの板材となし(圧延率96%)、この板材に連続焼鈍処理を施した。連続焼鈍処理は、板材を窒素雰囲気中で比較例11は400℃に、比較例12は700℃に保持した加熱炉中を8m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶組織は、比較例11においては部分再結晶組織であり、比較例12においては結晶粒径10μmの完全再結晶となっていた。また、Mn−P金属間化合物は、比較例11においては析出しておらず、比較例12においては50nm以下の大きさで均一析出していた。
【0084】
(4)仕上げ冷間圧延:実施例3と同様に行った。
【0085】
(5)低温焼鈍:実施例3と同様に行った。
【0086】
(比較例13、14)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延:表3の比較例13、14に示される合金について、実施例3と同様に行った。
【0087】
(2)溶体化処理:実施例3と同様に行った。
【0088】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
実施例3と同様に行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は、いずれの比較例においても3μmであり、しかもNi−P金属間化合物は20nm以下の大きさで均一微細に析出していた。
【0089】
(4)仕上げ冷間圧延:実施例3と同様に行った。
【0090】
(5)低温焼鈍
この連続焼鈍炉にて窒素雰囲気中、比較例13は230℃の低温焼鈍処理を、比較例14は430℃の低温焼鈍処理を10m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。
【0091】
(従来例3、4)
表3の従来例3、4に示される組成からなる合金を、各々大気溶解炉で溶製した。次に、これらの合金鋳塊を850℃で加熱し、厚さ15mmまで熱間圧延した後、常温の水中に浸漬して急冷した。急冷した熱間圧延物の表面を面削して厚さ13mmとした後、冷間圧延して厚さ0.63mmの板材となし、連続焼鈍処理を施した。連続焼鈍処理は、板材を窒素雰囲気中で600℃に保持した加熱炉中を8m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は、いずれの従来例においても3μmであり、しかもMn−P金属間化合物は50nm以下の大きさで不均一に析出していた。次に、この連続焼鈍した板材に圧延率60%の冷間圧延を施し、連続焼鈍炉にて窒素雰囲気中、350℃の低温焼鈍処理を10m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。
【0092】
このようにして得られた材料について、引張強さ、導電率、ばね限界値を測定値を測定するとともに、曲げ加工性、応力緩和性を調査した。結果を表4に示す。
【0093】
【表3】
Figure 0004393663
【0094】
【表4】
Figure 0004393663
【0095】
以下、実施例5、6、比較例15〜21、従来例5、6により本発明を説明する。なお、これらの実施例、比較例及び従来例における合金組成を表5に記載し、また主な製造条件も示した。
【0096】
(実施例5、6)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延
表5の実施例5、6に示される組成の合金から大気溶解炉により鋳塊を各々溶製し、950℃で加熱した後、厚さ15mmまで熱間圧延しコイル状にした。次いで、このコイル状鋳塊の両面1mmずつを面削した。
【0097】
(2)溶体化処理
コイル状の熱間圧延物を非酸化性雰囲気中において950℃で1時間熱処理を行った後水冷した。
【0098】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
空冷した均質化焼鈍物を冷間圧延して厚さ0.63mmの板材となし(圧延率96%)、この板材に連続焼鈍処理を施した。連続焼鈍処理は、板材を窒素雰囲気中で600℃に保持した加熱炉中を8m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は、いずれの実施例においても3μmであり、しかもCo−P金属間化合物は20nm以下の大きさで均一微細に析出していた。
【0099】
(4)仕上げ冷間圧延
連続焼鈍した板材に圧延率60%の冷間圧延を施した。
【0100】
(5)低温焼鈍
この連続焼鈍炉にて窒素雰囲気中、350℃の低温焼鈍処理を10m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。
【0101】
(比較例15、16)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延:表5の比較例15、16に示される合金について、実施例5と同様に行った。
【0102】
(2)溶体化処理
コイル状の熱間圧延物を非酸化性雰囲気中において、比較例15は450℃で5時間、比較例16は1000℃で0.5時間熱処理を行った後水冷した。
【0103】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
実施例5と同様に行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は、比較例15においては3μmであり、比較例16においては15μmであった。また、Co−P金属間化合物は、比較例15においては1μm以下の大きさで不均一に析出しており、比較例16においては20nm以下の大きさで均一微細に析出していた。
【0104】
(4)仕上げ冷間圧延:実施例5と同様に行った。
【0105】
(5)低温焼鈍:実施例5と同様に行った。
【0106】
(比較例17)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延:表5の比較例17に示される合金について、実施例5と同様に行った。
【0107】
(2)溶体化処理:実施例5と同様に行った。
【0108】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
水冷したコイルを圧延率78%とし冷間圧延して厚さ3.0mmの板材となし、この板材に連続焼鈍処理を施した。連続焼鈍処理は、板材を窒素雰囲気中で600℃に保持した加熱炉中を8m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。次に、この連続焼鈍物を再び圧延率78%とし冷間圧延して厚さ0.65mmの板材となし、同様な連続焼鈍処理を施した。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は10μmであり、しかもCo−P金属間化合物は20nm以下の大きさで均一微細に析出していた。
【0109】
(4)仕上げ冷間圧延:実施例5と同様に行った。
【0110】
(5)低温焼鈍:実施例5と同様に行った。
【0111】
(比較例18、19)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延:表5の比較例18、19に示される合金について、実施例5と同様に行った。
【0112】
(2)溶体化処理:実施例5と同様に行った。
【0113】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
水冷したコイルを冷間圧延して厚さ0.63mmの板材となし(圧延率96%)、この板材に連続焼鈍処理を施した。連続焼鈍処理は、板材を窒素雰囲気中で比較例18は400℃に、比較例19は700℃に保持した加熱炉中を8m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶組織は、比較例18においては部分再結晶組織であり、比較例19においては結晶粒径10μmの完全再結晶となっていた。また、Co−P金属間化合物は、比較例18においては析出しておらず、比較例19においては50nm以下の大きさで均一析出していた。
【0114】
(4)仕上げ冷間圧延:実施例5と同様に行った。
【0115】
(5)低温焼鈍:実施例5と同様に行った。
【0116】
(比較例20、21)
(1)合金鋳塊の溶製・熱間圧延:表5の比較例20、21に示される合金について、実施例5と同様に行った。
【0117】
(2)溶体化処理:実施例5と同様に行った。
【0118】
(3)冷間圧延・中間焼鈍
実施例5と同様に行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は、いずれの比較例においても3μmであり、しかもCo−P金属間化合物は20nm以下の大きさで均一微細に析出していた。
【0119】
(4)仕上げ冷間圧延:実施例5と同様に行った。
【0120】
(5)低温焼鈍
この連続焼鈍炉にて窒素雰囲気中、比較例20は280℃の低温焼鈍処理を、比較例21は480℃の低温焼鈍処理を10m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。
【0121】
(従来例5、6)
表5の従来例5、6に示される組成からなる合金を、各々大気溶解炉で溶製した。次に、これらの合金鋳塊を850℃で加熱し、厚さ15mmまで熱間圧延した後、常温の水中に浸漬して急冷した。急冷した熱間圧延物の表面を面削して厚さ13mmとした後、冷間圧延して厚さ0.63mmの板材となし、連続焼鈍処理を施した。連続焼鈍処理は、板材を窒素雰囲気中で600℃に保持した加熱炉中を8m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。この連続焼鈍で得られた板材(合金条)の再結晶粒径は、いずれの従来例においても3μmであり、しかもCo−P金属間化合物は50nm以下の大きさで不均一に析出していた。次に、この連続焼鈍した板材に圧延率60%の冷間圧延を施し、連続焼鈍炉にて窒素雰囲気中、350℃の低温焼鈍処理を10m/minで走行させ、炉から出てくる板材に冷却水を噴射して行った。
【0122】
このようにして得られた材料について、引張強さ、導電率、ばね限界値を測定値を測定するとともに、曲げ加工性、応力緩和性を調査した。結果を表6に示す。
【0123】
【表5】
Figure 0004393663
【0124】
【表6】
Figure 0004393663
【0125】
【発明の効果】
本発明の方法では、粗大な金属間化合物の析出等の問題となる熱間圧延工程後に、溶体化処理工程を加えることで、熱間圧延工程による問題を改善し、特性の優れた端子用銅基合金条を提供するもので、工業上顕著な効果を持つ。

Claims (12)

  1. 重量%で、Ni:0.2〜3.0%、Sn:2.0%以下、P:0.005〜2.0%を含有し、残部がCuと不可避的不純物であり、引張強さが550MPa以上、ばね限界値が450Mpa以上、導電率が46%IACS以上、最小曲げ半径比が1以下、かつ応力緩和率が10%以下である端子用銅基合金条。
  2. 重量%で、Mn:0.2〜3.0%、Sn:2.0%以下、P:0.005〜2.0%を含有し、残部がCuと不可避的不純物であり、引張強さが550MPa以上、ばね限界値が450Mpa以上、導電率が43%IACS以上、最小曲げ半径比が1以下、かつ応力緩和率が10%以下である端子用銅基合金条。
  3. 重量%で、Co:0.1〜1.0%、Sn:2.0%以下、P:0.005〜1.0%を含有し、残部がCuと不可避的不純物であり、引張強さが600MPa以上、ばね限界値が500Mpa以上、導電率が50%IACS以上、最小曲げ半径比が1以下、かつ応力緩和率が10%以下である端子用銅基合金条。
  4. 重量%で、Ni:0.2〜3.0%、Sn:2.0%以下、P:0.005〜2.0%を含有し、残部がCuと不可避的不純物である、銅基合金鋳塊を溶製する第一工程、熱間圧延を行う第二工程、非酸化性雰囲気で熱処理温度を700〜950℃として熱処理した後に水冷する溶体化処理の第三工程、冷間圧延した後に非酸化性雰囲気中で焼鈍温度を450〜650℃として中間焼鈍することを1回以上行い、最後の中間焼鈍前の圧延率を85%以上とする第四工程、圧延率を30〜90%として仕上げ冷間圧延する第五工程、及び焼鈍温度を250〜400℃として低温焼鈍する第六工程からなる端子用銅基合金条の製造方法。
  5. 第四工程で得られた中間焼鈍物が、5μm以下の再結晶粒径を有する請求項4に記載の端子用銅基合金条の製造方法。
  6. 第四工程で得られた中間焼鈍物は、NiとPの一部が20nm以下のNi−P系金属間化合物となってマトリクス中に均一微細に析出した組織を有する請求項4に記載の端子用銅基合金状の製造方法。
  7. 重量%で、Mn:0.2〜3.0%、Sn:2.0%以下、P:0.005〜2.0%を含有し、残部がCuと不可避的不純物である、銅基合金鋳塊を溶製する第一工程、熱間圧延を行う第二工程、非酸化性雰囲気で熱処理温度を700〜950℃として熱処理した後に水冷する溶体化処理の第三工程、冷間圧延した後に非酸化性雰囲気中で焼鈍温度を450〜650℃として中間焼鈍することを1回以上行い、最後の中間焼鈍前の圧延率を85%以上とする第四工程、圧延率を30〜90%として仕上げ冷間圧延する第五工程、及び焼鈍温度を250〜400℃として低温焼鈍する第六工程からなる端子用銅基合金条の製造方法。
  8. 第四工程で得られた中間焼鈍物が、5μm以下の再結晶粒径を有する請求項7に記載の端子用銅基合金条の製造方法。
  9. 第四工程で得られた中間焼鈍物は、MnとPの一部が20nm以下のMn−P系金属間化合物となってマトリクス中に均一微細に析出した組織を有する請求項7に記載の端子用銅基合金条の製造方法。
  10. 重量%で、Co:0.1〜1.0%、Sn:2.0%以下、P:0.005〜1.0%を含有し、残部がCuと不可避的不純物である、銅基合金鋳塊を溶製する第一工程、熱間圧延を行う第二工程、非酸化性雰囲気で熱処理温度を700〜980℃として熱処理した後に水冷する溶体化処理の第三工程、冷間圧延した後に非酸化性雰囲気中で焼鈍温度を450〜650℃として中間焼鈍することを1回以上行い、最後の中間焼鈍前の圧延率を85%以上とする第四工程、圧延率を30〜90%として仕上げ冷間圧延する第五工程、及び焼鈍温度を300〜450℃として低温焼鈍する第六工程からなる端子用銅基合金条の製造方法。
  11. 第四工程で得られた中間焼鈍物が、5μm以下の再結晶粒径を有する請求項10に記載の端子用銅基合金条の製造方法。
  12. 第四工程で得られた中間焼鈍物は、CoとPの一部が20nm以下のCo−P系金属間化合物となってマトリクス中に均一微細に析出した組織を有する請求項10に記載の端子用銅基合金条の製造方法。
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