JP4630025B2 - 銅合金材の製造方法 - Google Patents

銅合金材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4630025B2
JP4630025B2 JP2004256828A JP2004256828A JP4630025B2 JP 4630025 B2 JP4630025 B2 JP 4630025B2 JP 2004256828 A JP2004256828 A JP 2004256828A JP 2004256828 A JP2004256828 A JP 2004256828A JP 4630025 B2 JP4630025 B2 JP 4630025B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolling
grain size
less
copper alloy
alloy material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2004256828A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006070335A (ja
Inventor
康雄 猪鼻
勉 野中
秀樹 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dowa Holdings Co Ltd
Original Assignee
Dowa Holdings Co Ltd
Dowa Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dowa Holdings Co Ltd, Dowa Mining Co Ltd filed Critical Dowa Holdings Co Ltd
Priority to JP2004256828A priority Critical patent/JP4630025B2/ja
Publication of JP2006070335A publication Critical patent/JP2006070335A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4630025B2 publication Critical patent/JP4630025B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Conductive Materials (AREA)
  • Metal Rolling (AREA)

Description

本発明は、銅合金材およびその製造方法に関し、特に、コネクタなどの電気電子部品の材料として使用するのに適した銅合金材およびその製造方法に関する。
近年のエレクトロニクスの発達により、種々の機械の電気配線の複雑化や高集積化が進み、それに伴ってコネクタなどの電気電子部品の小型化、軽量化、高信頼性化および低コスト化が要求されている。また、コネクタなどの電気電子部品の材料として使用される銅合金材は、薄肉化され、複雑な形状にプレスされるので、強度、弾性、導電性およびプレス成形性が良好でなければならない。このような特性を備えた銅合金材として、引張強さ、導電率、耐応力緩和特性、曲げ加工性などに優れたCu−Ni−Sn−P系合金が使用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、Cu−Ni−Sn−P系合金の耐応力緩和特性を高めるために、熱処理の際のCu−Ni−Sn−P系合金中のNi−P系の析出物を均一且つ微細に析出させることが知られている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、Cu−Ni−Sn−P系合金の結晶粒を微細化する方法として、焼鈍前の圧下率を85%以上として平均結晶粒径を5μm以下に制御する方法(例えば、特許文献4参照)や、 Cu−Ni−Sn−P系合金にFeを添加する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
特開平4−154942号公報(第2頁) 特開平4−236736号公報(段落番号0007−0008) 特開平10−226835号公報(段落番号0008−0019) 特開平2001−262255号公報(段落番号0013−0014) 特表2002−518598号公報(段落番号0022)
しかし、特許文献4に開示された方法では、Cu−Ni−Sn−P系合金中の未再結晶部およびこの未再結晶部が再結晶した結晶粒粗大部を完全に抑制することが困難である。そのため、Cu−Ni−Sn−P系合金材の曲げ加工性が低下して、機械特性が低下するという問題がある。また、このCu−Ni−Sn−P系合金材を使用する製品の板厚および質別が限定され、生産性の低下を招くおそれがある。
また、特許文献5に開示されたように、Cu−Ni−Sn−P系合金がFeを含有すると、熱処理の際のCu−Ni−Sn−P系合金中のNi−Pの析出物がFe−Ni−Pになって耐熱性が異常に高くなるため、Cu−Ni−Sn−P系合金中に未再結晶粒が極端に残り易くなる。このような未再結晶粒が残らないように熱処理温度を高くすると、未再結晶粒であったと考えられる部分の結晶粒が粗大化する。そのため、Cu−Ni−Sn−P系合金材の曲げ加工性が低下して、機械特性が低下するという問題がある。
また、コネクタなどのばねとして使用されるCu−Ni−Sn−P系合金材は、ばね性(0.2%耐力)が重要な特性である。特に、コネクタなどの部品の小型化に対応するために0.2%耐力の向上が求められており、さらに小型化する場合には、部品の形状が複雑になり、さらに寸法精度の要求が厳しくなるため、強度と曲げ加工性の両立が高度に求められる。Cu−Ni−Sn−P系合金材の強度(0.2%耐力)は、圧延加工における圧下率を高くした方が高くすることができるが、圧下率を高くすると曲げ加工性が低下するという問題がある。すなわち、強度(0.2%耐力)と曲げ加工性のバランスを向上させることが望まれている。
また、Cu−Ni−Sn−P系合金材からなる端子の挿抜時の耐削れ性や挿入力を低減するためには、Cu−Ni−Sn−P系合金材のビッカース硬さが高い方が望ましい。しかし、ビッカース硬さは、0.2%耐力と同様に、圧延加工における圧下率が高くなるほど高くなり、曲げ加工性が低下するという問題がある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、Cu−Ni−Sn−P系合金材中のFeの含有量を0.05量%以下、Mgの含有量を0.05量%以下とするとともに、仕上げ圧延前の再結晶焼鈍の際に平均結晶粒径を25μm以下にすることにより、優れた耐応力緩和特性を有し且つ強度と曲げ加工性のバランスが良好なCu−Ni−Sn−P系合金材を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、Cu−Ni−Sn−P系合金材中のFeの含有量を0.05重量%以下、Mgの含有量を0.05重量%以下とするとともに、仕上げ圧延前の再結晶焼鈍の際に平均結晶粒径を25μm以下にすることにより、優れた耐応力緩和特性を有し且つ強度と曲げ加工性のバランスが良好なCu−Ni−Sn−P系合金材を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による銅合金材の製造方法は、1.2〜3.0量%のNiと、1.3〜2.3量%のSnと、0.005〜0.1量%のPと、0.05量%以下のFeと、0.05量%以下のMgと、残部としてCuおよび不可避不純物とからなる銅合金の原料を溶解し、冷却して鋳塊を得た後、最終パスの圧延温度を600℃以下、最終パスの圧下率を8%以上として熱間圧延を行い、次いで圧下率を35%以上とする冷間圧延と焼鈍を行うことによって焼鈍後の平均結晶粒径を25μm以下にし、その後、仕上げ冷間圧延を行うことを特徴とする。
この銅合金材の製造方法において、銅合金の原料がさらに0.03〜3.0質量%のZnを含んでもよい。また、熱間圧延における最終パスの圧延温度を550℃以下するのが好ましい。また、熱間圧延後の平均結晶粒径を50μm以下にするのが好ましく、30μm以下にするのがさらに好ましい。また、焼鈍を450〜650℃で0.5〜30時間または460〜800℃で1〜40秒間行うのが好ましい。さらに、仕上げ冷間圧延における圧下率を15%以上とするのが好まし
また、本発明による銅合金材は、1.2〜3.0量%のNiと、1.3〜2.3量%のSnと、0.005〜0.1量%のPと、0.05量%以下のFeと、0.05量%以下のMgと、残部としてCuおよび不可避不純物とからなり、平均結晶粒径が25μm以下、最大結晶粒径が30μm以下であり、未再結晶粒が存在しないことを特徴とする。
この銅合金材において、平均結晶粒径が15μm以下、最大結晶粒径が20μm以下であが好ましい。また、これらの銅合金材は、圧下率15%以上で仕上げ冷間圧延を行った銅合金材であるのが好ましい。
本発明によれば、優れた耐応力緩和特性を有し且つ強度と曲げ加工性のバランスが良好なCu−Ni−Sn−P系合金材を製造することができる。
本発明による銅合金材の製造方法の実施の形態では、1.2〜3.0量%のNiと、1.3〜2.3量%のSnと、0.005〜0.1量%のPと、0.05量%以下のFeと、0.05量%以下のMgと、残部としてCuおよび不可避不純物とからなる銅合金の原料を溶解し、鋳造した後、最終パスの圧延温度を600℃以下、最終パスの圧下率を8%以上として熱間圧延を行い、平均結晶粒径25μm以下を満たすように冷間圧延と焼鈍を(必要に応じて繰り返し)行い、(質別に応じて)圧下率15%以上で冷間圧延(仕上げ圧延工程)を行
Cu−Ni−Sn−P系合金材の強度と曲げ加工性のバランスを良好にするためには、結晶粒を微細に制御する必要がある。しかし、Cu−Ni−Sn−P系合金がFeを含有すると、熱処理の際のCu−Ni−Sn−P系合金中のNi−Pの析出物がFe−Ni−Pになって耐熱性が著しく高くなるため、Cu−Ni−Sn−P系合金中に未再結晶粒が極端に残り易くなる。このような未再結晶粒が残らないように熱処理温度を高くすると、未再結晶粒であったと考えられる部分の結晶粒が粗大化する。そのため、Cu−Ni−Sn−P系合金材の曲げ加工性が低下して、機械特性が低下する。したがって、Cu−Ni−Sn−P系合金中のFeの含有量は、0.05量%以下にする必要があり、好ましくは0.02量%未満、さらに好ましくは0.015量%未満、最も好ましくは0量%である。
また、Cu−Ni−Sn−P系合金がMgを含有すると、曲げ加工性が急激に低下する。これは、Mgの添加によって、熱処理の際のNi−Pの析出物の一部がNi−Mg−Pに変化して粗大な析出物になることにより、割れの起点になるためであると考えられる。したがって、Cu−Ni−Sn−P系合金中のMgの含有量は、0.05量%以下にする必要があり、好ましくは0.02量%未満、さらに好ましくは0.005量%未満、最も好ましくは0量%である。
また、熱間圧延工程では、加熱温度、保持時間、各パスの圧下率およびトータルの圧下率の制御によって、最終パスの圧延温度および圧下率を所定の範囲内にして、結果として熱間圧延後の平均結晶粒径を50μm以下、好ましくは30μm以下にし且つ未再結晶粒が存在しない状態にすることが好ましい。そのためには、熱間圧延工程の最終パスの圧延温度を好ましくは600℃以下、さらに好ましくは550℃以下とし、圧下率を好ましくは8%以上とする。
すなわち、熱間圧延工程では、Ni−Pの析出物を利用して結晶粒径を制御するので、最終パスの圧延温度を600℃以下として熱間圧延を行なうことにより、熱間圧延工程においてNi−Pの析出物を効率的に析出させて結晶粒の成長を抑制する。このNi−Pの析出物による結晶粒の粗大化の抑制と、熱間圧延の最終パス温度および圧下率の制御により、結晶粒径が50μm以下で且つ未再結晶粒が存在しない結晶を得ることができる。また、熱間圧延工程の最終パスの圧下率が8%未満では、再結晶後の粒径が粗大になり、結晶粒径が50μmを超えるだけでなく、結晶粒径のばらつきが大きくなるとともに、Ni−P化合物の析出状態の相違によって再結晶が行なわれる結晶粒と再結晶が行なわれない結晶粒にばらつきが生じて、結晶粒径のばらつきが生じ、未再結晶粒が生成する。したがって、熱間圧延工程の最終パスの圧延温度を600℃以下とし、圧下率を8%以上にするのが好ましく、最終パスの圧延温度を500℃〜600℃、圧下率を15%以上とし、熱間圧延後の平均結晶粒径が30μm以下であるのがさらに好ましい。
また、熱間圧延工程後の冷間圧延および焼鈍では、冷間圧延の圧下率は、35%以上であれば任意に選択できる。冷間圧延の圧下率が35%未満では、再結晶粒が粗大化するだけでなく、未再結晶部が生じ易くなる。また、焼鈍では、再結晶温度がNi量およびSn量に応じて変化するため、組成に応じて必要な結晶粒径が得られるための焼鈍条件を選択する必要があるが、450〜650℃で0.5〜30時間焼鈍を行うのが好ましい。また、一般に使用されている連続焼鈍酸洗ライン(APライン)、光輝焼鈍ライン(BAライン)などを使用する場合には、これらの焼鈍ラインはバッチ式の焼鈍炉に比べて短時間で熱量を与えることが可能であるため、460〜800℃で1〜40秒の短時間の熱処理を行えばよい。この焼鈍炉は、設備などに応じて任意に選択することができる。
また、目的とする材料の板厚や調質に応じて、上記の冷間圧延と焼鈍を繰り返しを行ってもよい。2回以上の焼鈍を行なう場合、1回目に通常のバッチ焼鈍を行い、2回目に連続焼鈍酸洗ラインや光輝焼鈍ラインなどにより連続焼鈍を行うように組合せてもよい。但し、基本的には、最低1回のバッチ焼鈍を行なうことが望ましい。これは、連続焼鈍では、熱処理時間が短くなり、Ni−P析出物の析出が不十分であり、導電率が低くなるだけでなく、Ni−Pを十分に析出させた場合と比べて耐応力緩和特性も低くなるためである。
上記の焼鈍後に、必要に応じて酸洗などの工程を経た後、仕上げ圧延と低温焼鈍を行う。仕上げ圧延の圧下率は、要求される機械特性に応じて任意に選択することができる。
なお、平均結晶粒径を25μm以下に制御することが必要であり、15μm以下にするのが好ましい。平均結晶粒径を細かく制御することにより、引張強さ、0.2%耐力、ばね限界値、ビッカース硬さなどの機械特性や、耐削れ性を向上させることができる。また、結晶粒径が細かいだけではなく、粒径のばらつきが小さいのが好ましい。また、未再結晶部およびこれが再結晶した結晶粒粗大部が残存している場合、所望の平均結晶粒径に制御していれば機械特性を向上させることができるが、未再結晶部や粗大粒の集合部は、応力集中部となり、割れの基点になるため、曲げ加工性が低下する。このように、平均結晶粒径および粒径の分布を制御することにより、高い0.2%耐力、引張強さ、ばね限界値およびビッカース硬さを得ることができるとともに、良好な曲げ加工性を得ることができる。このような効果を得るためには、平均結晶粒径が25μm以下で且つ未再結晶部や粗大な再結晶組織がないのが好ましい。また、最大結晶粒径が30μm以下であるのが好ましく、さらに好ましくは、平均結晶粒径が15μm以下で、最大結晶粒径が20μm以下である。
以下、本発明による銅合金材およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1〜7]
表1に示す各種成分を含む銅合金をアルゴン雰囲気中において高周波溶解炉によって溶解し、30×50×180mmの鋳塊を鋳造した後、厚さ5mmまで熱間圧延を行った。この熱間圧延では、900℃から適時温度を下げながら最終パスの圧延温度を550℃とし、圧下率を15%とした。次に、#600研磨紙によって表面の酸化スケールを除去するように面削を行った後、厚さ1.0mmまで冷間圧延を行い、500℃で1時間焼鈍を行った。次に、圧下率60%で厚さ0.4mmまで冷間圧延(仕上げ圧延)を行った後、250℃で30分間低温焼鈍を行った。
Figure 0004630025
得られた銅合金材について、それぞれ熱間圧延後の結晶粒径と、仕上げ圧延前の焼鈍後の結晶粒径を測定し、粗大な未再結晶部の有無を確認した。なお、結晶粒径の測定は、JIS−H−0501に準拠し、光学顕微鏡を用いて行った。また、未再結晶部の有無の確認は、銅合金材の表面を研磨してエッチングを行なった後、任意に撮影した3枚の100倍の光学顕微鏡写真から、再結晶せずに層状の圧延組織が残存している箇所の有無を確認することによって行った。その結果、表2に示すように、いずれも熱間圧延後の平均結晶粒径は10または20μm、仕上げ圧延前の平均結晶粒径は5μm以下または10μmであり、粗大な未再結晶部は存在しなかった。
また、得られた銅合金材について、それぞれ引張強さ、0.2%耐力およびビッカース硬さを測定した。なお、引張強さおよび0.2%耐力は、JIS−Z−2241に準拠し、オートグラフを使用して測定した。また、ビッカース硬さは、JIS−Z−2244に準拠し、マイクロビッカース硬度計を使用して、3つのサンプルについて測定し、平均値で示した。その結果、表2に示すように、引張強さは622〜691N/mm、0.2耐力は600〜672N/mm、ビッカース硬さはHv189〜196であった。
さらに、得られた銅合金材について、それぞれ90°W曲げ試験(R=0.4)により曲げ加工性の評価を行った。この曲げ試験は、それぞれ5個のサンプルについて、CES−M−0002−6に準拠してR=0.4mmの冶具で90°W曲げ加工を行い、中央部の表面を観察して割れが確認されたサンプル数(5個のサンプル中の割れが確認されたサンプル数)を数えることによって行った。なお、この曲げ試験の曲げ軸は、圧延方向に対して平行な方向とした。その結果、表2に示すように、割れ発生数はいずれも0個であった。
なお、仕上げ圧延および低温焼鈍後の最終製品は圧延組織のため、最終製品の結晶粒径の測定は困難であり、また、仕上げ圧延および低温焼鈍では結晶粒径は変化しないため(すなわち、結晶粒径は仕上げ圧延前の焼鈍で決まり、その後は延ばされるだけで変化しないため)、仕上げ圧延前の平均粒径を測定することにより最終製品の平均粒径とした。
Figure 0004630025
[比較例1]
表1に示す各種成分を含む銅合金について実施例と同様の処理を行い、実施例と同様の評価を行った。その結果、表2に示すように、熱間圧延後の平均結晶粒径は20μm、仕上げ圧延前の平均結晶粒径は5μm以下であり、粗大な未再結晶部が存在していた。また、引張強さは617N/mm、0.2耐力は594N/mm、ビッカース硬さはHv187であり、割れ発生数は2個であった。
[比較例2]
表1に示す各種成分を含む銅合金(比較例1と同じ組成)について、熱間圧延工程における最終パスの圧延温度を900℃、圧下率を10%とし、650℃(再結晶する温度)で1時間低温焼鈍を行った以外は、実施例と同様の処理を行い、実施例と同様の評価を行った。その結果、表2に示すように、熱間圧延後の平均結晶粒径は20μm、仕上げ圧延前の平均結晶粒径は5μm以下であり、粗大な未再結晶部が存在しなかった。また、引張強さは592N/mm、0.2耐力は567N/mm、ビッカース硬さはHv182であり、割れ発生数は1個であった。
なお、Fe量が多い比較例1では、500℃で1時間焼鈍を行った後に粗大な未再結晶粒が観察されたため、この比較例では、全ての結晶粒が再結晶する条件として、650℃で1時間焼鈍を行った(なお、焼鈍温度が550℃と600℃では未再結晶粒が残った)。このように650℃で1時間焼鈍を行うことにより、完全再結晶が確認されたが、未再結晶粒であった部分と考えられる部分が、粗大な結晶粒の集合体となっていた。
[比較例3]
表1に示す各種成分を含む銅合金について実施例と同様の処理を行い、実施例と同様の評価を行った。その結果、表2に示すように、熱間圧延後の平均結晶粒径は30μm、仕上げ圧延前の平均結晶粒径は15μmであり、粗大な未再結晶部が存在していた。また、引張強さは627N/mm、0.2耐力は602N/mm、ビッカース硬さはHv194であり、割れ発生数は3個であった。
[比較例4]
表1に示す各種成分を含む銅合金(比較例3と同じ組成)について、熱間圧延工程における最終パスの圧延温度を900℃、圧下率を10%とし、650℃(再結晶する温度)で1時間低温焼鈍を行った以外は、実施例と同様の処理を行い、実施例と同様の評価を行った。その結果、表2に示すように、熱間圧延後の平均結晶粒径は30μm、仕上げ圧延前の平均結晶粒径は20μmであり、粗大な未再結晶部が存在しなかった。また、引張強さは601N/mm、0.2耐力は578N/mm、ビッカース硬さはHv179であり、割れ発生数は1個であった。
なお、Fe量が多い比較例3では、500℃で1時間焼鈍を行った後に粗大な未再結晶粒が観察されたため、この比較例では、全ての結晶粒が再結晶する条件として、650℃で1時間焼鈍を行った(なお、焼鈍温度が550℃と600℃では未再結晶粒が残った)。このように650℃で1時間焼鈍を行うことにより、完全再結晶が確認されたが、未再結晶粒であった部分と考えられる部分が、粗大な結晶粒の集合体となっていた。
[比較例5〜7]
表1に示す各種成分を含む銅合金について、熱間圧延工程における最終パスの圧延温度を900℃、圧下率を10%とした以外は、実施例と同様の処理を行い、実施例と同様の評価を行った。その結果、表2に示すように、熱間圧延後の平均結晶粒径は100〜150μm、仕上げ圧延前の平均結晶粒径は30〜40μmであり、粗大な未再結晶部が存在していた。また、引張強さは530〜594N/mm、0.2耐力は511〜574N/mm、ビッカース硬さはHv161〜185であり、割れ発生数は1〜2個であった。
[比較例8〜10]
表1に示す各種成分を含む銅合金について実施例と同様の処理を行い、実施例と同様の評価を行った。その結果、表2に示すように、比較例8および9では、熱間圧延後の平均結晶粒径は20μm、仕上げ圧延前の平均結晶粒径は5μm以下であり、粗大な未再結晶部が存在しなかった。また、引張強さは625〜633N/mm、0.2耐力は602〜609N/mm、ビッカース硬さはHv192〜193であり、割れ発生数は4〜5個であった。また、比較例10では、いずれも熱間圧延時に割れが生じた。

Claims (7)

  1. 1.2〜3.0質量%のNiと、1.3〜2.3質量%のSnと、0.005〜0.1質量%のPと、0.05質量%以下のFeと、0.05質量%以下のMgと、残部としてCuおよび不可避不純物とからなる銅合金の原料を溶解し、冷却して鋳塊を得た後、最終パスの圧延温度を600℃以下、最終パスの圧下率を8%以上として熱間圧延を行い、次いで圧下率を35%以上とする冷間圧延と焼鈍を行うことによって焼鈍後の平均結晶粒径を25μm以下にし、その後、仕上げ冷間圧延を行うことを特徴とする、銅合金材の製造方法。
  2. 前記銅合金の原料がさらに0.03〜3.0質量%のZnを含むことを特徴とする、請求項1に記載の銅合金材の製造方法。
  3. 前記熱間圧延における最終パスの圧延温度を550℃以下とすることを特徴とする、請求項1または2に記載の銅合金材の製造方法。
  4. 前記熱間圧延後の平均結晶粒径を50μm以下にすることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の銅合金材の製造方法。
  5. 前記熱間圧延後の平均結晶粒径を30μm以下にすることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の銅合金材の製造方法。
  6. 前記焼鈍を450〜650℃で0.5〜30時間または460〜800℃で1〜40秒間行うことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の銅合金材の製造方法。
  7. 前記仕上げ冷間圧延における圧下率を15%以上とすることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の銅合金材の製造方法。
JP2004256828A 2004-09-03 2004-09-03 銅合金材の製造方法 Active JP4630025B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004256828A JP4630025B2 (ja) 2004-09-03 2004-09-03 銅合金材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004256828A JP4630025B2 (ja) 2004-09-03 2004-09-03 銅合金材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006070335A JP2006070335A (ja) 2006-03-16
JP4630025B2 true JP4630025B2 (ja) 2011-02-09

Family

ID=36151266

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004256828A Active JP4630025B2 (ja) 2004-09-03 2004-09-03 銅合金材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4630025B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5075438B2 (ja) * 2007-03-20 2012-11-21 Dowaメタルテック株式会社 Cu−Ni−Sn−P系銅合金板材およびその製造法
JP4629080B2 (ja) * 2007-11-05 2011-02-09 株式会社コベルコ マテリアル銅管 熱交換器用銅合金管
JP5107093B2 (ja) * 2008-02-27 2012-12-26 株式会社神戸製鋼所 高強度および高導電率を兼備した銅合金

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04154942A (ja) * 1990-10-17 1992-05-27 Dowa Mining Co Ltd コネクタ用銅基合金の製造法
JPH11293367A (ja) * 1998-04-13 1999-10-26 Kobe Steel Ltd 耐応力緩和特性に優れた銅合金及びその製造方法
JPH11335800A (ja) * 1998-05-19 1999-12-07 Dowa Mining Co Ltd 耐応力緩和特性に優れた銅基合金の製造方法
JP2000119779A (ja) * 1998-10-15 2000-04-25 Dowa Mining Co Ltd エッチング加工性に優れたリードフレーム用銅合金とその製造方法
JP2000256814A (ja) * 1999-03-03 2000-09-19 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 端子用銅基合金条の製造方法
JP2001262297A (ja) * 2000-03-17 2001-09-26 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 端子用銅基合金条およびその製造方法
JP2001262255A (ja) * 2000-03-17 2001-09-26 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 端子用銅基合金条およびその製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04154942A (ja) * 1990-10-17 1992-05-27 Dowa Mining Co Ltd コネクタ用銅基合金の製造法
JPH11293367A (ja) * 1998-04-13 1999-10-26 Kobe Steel Ltd 耐応力緩和特性に優れた銅合金及びその製造方法
JPH11335800A (ja) * 1998-05-19 1999-12-07 Dowa Mining Co Ltd 耐応力緩和特性に優れた銅基合金の製造方法
JP2000119779A (ja) * 1998-10-15 2000-04-25 Dowa Mining Co Ltd エッチング加工性に優れたリードフレーム用銅合金とその製造方法
JP2000256814A (ja) * 1999-03-03 2000-09-19 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 端子用銅基合金条の製造方法
JP2001262297A (ja) * 2000-03-17 2001-09-26 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 端子用銅基合金条およびその製造方法
JP2001262255A (ja) * 2000-03-17 2001-09-26 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 端子用銅基合金条およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006070335A (ja) 2006-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101331339B1 (ko) 전자 재료용 Cu-Ni-Si-Co 계 구리 합금 및 그 제조 방법
JP5476149B2 (ja) 強度異方性が小さく曲げ加工性に優れた銅合金
JP5312920B2 (ja) 電子材料用銅合金板又は条
TWI465591B (zh) Cu-Ni-Si alloy and its manufacturing method
CN102112641B (zh) 用于电气/电子部件的铜合金材料
JPWO2011068134A1 (ja) 低ヤング率を有する銅合金板材およびその製造法
KR20130143647A (ko) Cu-Ni-Si 계 합금 및 그 제조 방법
WO2013018228A1 (ja) 銅合金
CN103443309B (zh) 铜合金板材及其制造方法
KR102005332B1 (ko) 굽힘가공성이 우수한 Cu-Co-Si-Fe-P계 구리 합금 및 그 제조 방법
TWI429764B (zh) Cu-Co-Si alloy for electronic materials
TWI432586B (zh) Cu-Co-Si alloy material
KR101715532B1 (ko) 구리 합금 및 그의 제조 방법
JP4642119B2 (ja) 銅合金及びその製造方法
WO2011152104A1 (ja) Cu-Co-Si系合金板及びその製造方法
JP4225733B2 (ja) 端子、コネクター、リードフレーム用素材板
WO2013069376A1 (ja) Cu-Co-Si系合金及びその製造方法
CN115404377B (zh) 铜合金
TWI621721B (zh) Copper alloy sheet, connector, and method for manufacturing copper alloy sheet
JP4630025B2 (ja) 銅合金材の製造方法
KR20140114059A (ko) 구리 합금
JP4550148B1 (ja) 銅合金及びその製造方法
KR20190119621A (ko) 프레스 가공 후의 치수 정밀도를 개선한 구리 합금조
JPH10287939A (ja) 打抜加工性に優れた電気電子機器用銅合金
JP4831969B2 (ja) 黄銅材料の製造法および黄銅材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070629

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091008

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091020

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091215

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100525

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100707

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100902

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101109

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101112

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131119

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4630025

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250