JP3980808B2 - 曲げ加工性および耐熱性に優れた高強度銅合金およびその製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、リードフレーム、端子、コネクタ、リレー等の電気・電子部品の素材として使用される高強度銅合金、およびその製造方法に関するものであり、殊に強度や導電性は勿論のこと、曲げ加工性や耐熱性にも優れた高強度銅合金、およびこうした高強度銅合金を製造する為の有用な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の軽薄短小化に伴い、リードフレーム、端子、コネクタ等の電気・電子部品用に使用される銅合金も、小型・軽量化が進められている。こうしたことから、これらの電気・電子部品に使用される銅合金材料においても、より高強度で高導電性であることが要求されている。また、小型化コネクタの成形の為には、成形加工性特に曲げ加工性に優れていることが要求される。
【0003】
自動車用コネクタの素材として用いられる銅合金としては、従来からCu−Fe−P系合金(C19400)やCu−Mg−P系合金等が知られている。これらの銅合金のうち、前者はFeを析出させることによって強度を向上させたものである。こうしたCu−Fe−P系合金に関連して、更にZnを添加することによって耐マイグレーション性を向上させた銅合金(例えば、特開平1−168830号)や、Mgを添加することによって耐応力緩和特性を向上させた銅合金(例えば、特開平4−358033号)等も提案されている。また、後者のCu−Mg−P系銅合金は、MgおよびPを添加することによって、強度と熱クリープ性を向上させ、引張り強さ、電導性および耐応力緩和特性を向上させたものである(例えば、「伸銅技術研究会誌」、1988、第28巻、P115)。
【0004】
そして、電気・電子部品に対する小型、軽量化の要求に伴い、コネクタ材においても強度と曲げ加工性を両立させる必要が生じているのであるが、従来のコネクタ材であるCu−Fe−P系銅合金やCu−Mg−P系銅合金では、MgやSnの固溶強化元素の添加や加工率増加による高強度化では、曲げ加工性の劣化を伴い、必要な強度と曲げ加工性を両立させることはできないという問題がある。
【0005】
一方、半導体装置のリードフレーム材に使用される銅合金としては、強度と電導性を兼ね備えた上記Cu−Fe−P系銅合金(C19400)が広く使用されるに至っている。また前述の如く、こうしたリードフレーム材においても、小型、軽量化が進められており、特にリードフレーム材の場合には、多ピン化、薄肉化が要求されることになる。また、こうした要求に伴って、板状素材からリードフレームを打ち抜くスタンピング工程において生じる歪みが大きくなっており、その歪みを除去するための熱処理が必要になる。
【0006】
そして、この様な熱処理を施す為には、その熱処理温度でも強度が低下しない程度の耐熱性が良好であることが要求されることになる。尚、前記した耐応力緩和特性は、応力をかけた状態での150℃程度での耐熱性であるが、上記の熱処理を施す場合に要求される耐熱性は、450℃程度の比較的高温で軟化しないという耐熱性である。
【0007】
しかしながら、従来提案されているCu−Fe−P合金では、歪み除去のための高温加熱によって強度が低下することが懸念され、素材が有している機械的特性が維持できないという問題が生じている。このCu−Fe−P系銅合金において、耐熱性を劣化させる要因の一つは、焼鈍処理時に析出する粗大なFe粒子である。即ち、Cu−Fe−P系銅合金では、熱間加工時に析出する微細なFe粒子が強度および耐熱性を担っているが、熱間加工時に析出する粗大なFe粒子は強度や耐熱性に寄与しないばかりか、再結晶核として働き耐熱性を劣化する場合もある。
【0008】
こうした問題を解決するという観点から、これまでにも様々な技術が提案されている。例えば、特開平2−111829号や同12−38647号には、熱間加工後に再加熱して粗大なFe粒子を再固溶させる方法が提案されている。また、特開平11−80862号には、転位の移動・消滅並びにピン止め効果に有効と考えられる40nm以下のサイズのFeの体積分率を所定の値以上に制御する方法が提案されている。
【0009】
しかしながら、熱間圧延後に再加熱を行なうには、再加熱を行なう為の設備が必要になるという問題がある。また、上記特開平11−80862号の技術では、熱延終了温度を高くすると粗大なFe粒子の析出が抑制されるとしているが、粗大なFe粒子は熱間圧延初期に析出するので、上記の手段だけではその影響を完全に取り除くことができないという欠点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、既存の熱間圧延設備を用いてFe粒子の析出形態を制御することによって、電導性に優れることは勿論のこと、強度と曲げ加工性の両立を図ると共に耐熱性にも優れ、リードフレームやコネクタ等における小型、軽量化という要求特性に十分に対応することのできる高強度銅合金、およびその様な銅合金を製造する為の有用な方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成することのできた本発明の銅合金とは、Fe:1.5〜2.5%を含むと共に、少なくとも表面から板厚の1/4の領域における80nm以上のFe粒子の平均分布が1μm2の視野内において1個以下であり、耐力が480N/mm2以上で且つ導電率が50%IACS以上である点に要旨を有するものである。
【0012】
この銅合金においては、(a)Pおよび/またはSiを合計で0.001〜0.2%、(b)Mgおよび/またはSnを合計で0.4%以下、(c)Znを0.03〜3%等を含有させることも有用であり、含有させる成分を応じてその特性が更に改善されることになる。
【0013】
また、上記の様な本発明の銅合金を製造するに当たっては、熱間圧延前に930℃以上に加熱した後、900℃までを5℃/s以上の冷却速度で冷却し、引き続き900℃以下の温度で熱間加工を開始する様にすれば良い。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成する為に様々な角度から検討した。その結果、Feを所定量含有するCu−Fe系銅合金において、Fe粒子の析出形態を適切に制御すれば、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
尚、本発明で対象とするFe粒子とは、基本的にはほとんどFe単体からなる粒子の意味である。例えば、Pが添加された場合には、Fe−P系化合物(Fe2PまたはFe3P)の晶出物が生じ、そのサイズは通常の熱延で生じるFe粒子(100nm程度)よりも大きなもの(数百nm〜数μm)となるが、熱延前の加熱では再固溶しないので、そのまま残ることになる。そして、このFe−P系化合物は再結晶核になるが、450℃程度の耐熱性や曲げ加工性にはそれほど影響を与えるものではない。また、Fe粒子は鋳造時にも生じるが、このFe粒子は熱延前の加熱で再固溶するので、問題になるのは熱延時に析出するFe粒子である。
【0016】
Cu−Fe系銅合金では、熱延圧延工程においてFe粒子の析出が起こり、特に熱延初期に析出したFe粒子は、80nm以上にも成長する。この熱間圧延時に析出した粗大なFe粒子は、要求強度が低い場合には曲げ加工性に影響を与えることはないが、固溶強化元素の添加や加工率増加によって480N/mm2以上の強度(耐力)が必要とされるときには曲げ加工性を劣化させる原因になる。また、この様なFe粒子は粗大である為に強度の向上には寄与せず、しかも再結晶核として働いて耐熱性を劣化させる原因ともなる。
【0017】
本発明では、後述する熱間圧延工程によって上記の様な粗大Fe粒子の析出を抑制し、その形態を適切に制御することによって、具体的には「80nm以上のFe粒子の平均分布が1μm2の視野内において1個以下」という分布条件を満足させることによって、強度と曲げ加工性の両立を図ると共に、耐熱性にも優れた銅合金が実現できたのである。
【0018】
また、Fe粒子の析出形態は、銅合金の全領域に亘って上記の分布条件を満足することが好ましいが(特に、耐熱性の場合)、曲げ加工時に著しく変形するのは表面から板厚の1/4の領域であるので、この領域において上記の分布状態を満足させれば曲げ加工性を損なうことはない。また、耐熱性においても、少なくとも表層の耐熱性が発揮されることになる。
【0019】
本発明で対象とする銅合金は、基本的にFeを1.5〜2.5%含有し、必要によって(a)Pおよび/またはSiを合計で0.001〜0.2%、(b)Mgおよび/またはSnを合計で0.4%以下、(c)Znを0.03〜3%、等を含有させることも有用であるが、各添加元素の範囲限定理由は、次の通りである。
【0020】
Fe:1.5〜2.5%
Feは、粒子として析出し、この析出強化作用によって銅合金の強度を向上させるのに有用な元素である。こうした効果を発揮させる為には、1.5%以上含有させる必要があるが、2.5%を超えて過剰に含有させると、粗大なFe粒子が析出して曲げ加工性や耐熱性を著しく劣化させることになる。従って、本発明の銅合金におけるFe含有量は、1.5〜2.5%とする必要がある。尚、Fe含有量の好ましい下限は1.8%であり、好ましい上限は2.3%である。
【0021】
Pおよび/またはSi:合計で0.001〜0.2%
PおよびSiは、溶湯の脱酸材として作用するが、その合計含有量が0.001%未満ではその効果が十分に発揮されず、一方合計含有量が過剰になって0.2%を超えるとその効果が飽和すると共に導電性の低下が著しくなる。従って、PやSiを含有させる場合には、合計含有量で0.001〜0.2%にすることが好ましい。尚、これらの合計含有量のより好ましい下限は0.005%であり、より好ましい上限は0.03%である。
【0022】
Mgおよび/またはSn:合計で0.4%以下
MgおよびSnは、応力緩和特性、耐熱性およびばね限界値を改善するのに有効な元素であるり、その効果は含有量が増加するにつれて大きくなる。しかしながら、過剰に含有すると曲げ加工性や導電性の著しい低下を招くので、その上限は合計含有量で0.4%にすべきである。尚、これらの合計含有量のより好ましい上限は0.25%程度である。
【0023】
Zn:0.03〜3%以下
Znは、PやSiと同様に脱酸作用がある他に、はんだ耐熱剥離性を向上させるのに有効な元素であり、こうした効果を発揮させる為には、0.03%以上含有させることが好ましいが、その含有量が過剰になって3%を超えると導電性の低下が著しくなる。尚、Zn含有量のより好ましい下限は0.1%であり、より好ましい上限は1%である。
【0024】
本発明の銅合金の基本的な化学成分組成は上記の通りであり、残部は実質的に銅からなるものであるが、その他、銅合金の機械的特性の劣化を招かない元素、例えばNi,Cr,Mn,Co,Ti,Ag等を少量添加することも可能である。また、不可避的に含まれてくるS,Se,Te,Pb,Sb,Bi等の不純物についても、最終製品の特性を阻害しない限り許容される。
【0025】
尚、本発明の銅合金は、曲げ加工性と耐熱性のいずれをも優れたものとなるが、こうした銅合金は、リードフレームやコネクタ等の用途によって最終製品に要求される特性が若干異なったものとなる。従って、その要求される特性に応じてその添加成分を適切に選んで合金設計を行なえば良い。また、こうした特性に応じて、熱間加工以降の工程も適切に設定すれば良い。
【0026】
ところで、電気・電子部品の素材として使用される高強度銅合金は、例えば小型端子コネクタとして使用する場合には接圧力を維持する為に480N/mm2以上の耐力が必要であり、ジュール熱による自己発熱を抑制する為には50%IACS以上の導電率が必要となるが、本発明の銅合金はいずれの特性をも満足するものとなる。
【0027】
上記の様な本発明の銅合金を製造するに当たっては、熱間圧延前に930℃以上に加熱した後、900℃までを5℃/s以上の冷却速度で冷却し、引き続き900℃以下の温度で熱間加工を開始する様にすれば良い。即ち、熱間圧延における粗大Fe粒子の析出を抑制する為には、鋳塊を930℃以上で30分程度以上保持し、粗大Fe粒子の析出が起こる900℃以上の高温域を5℃/s以上の冷却速度で冷却し、900℃以下にした後、熱間圧延を開始する様にすれば良い。この製造条件において、熱間圧延前の保持温度を930℃未満にすると、鋳造時に析出した粗大なFe粒子を再固溶させることができないので効果がない。また、上記冷却速度が5℃/s未満になると、冷却速度が遅い為に析出が始まるので効果がない。
【0028】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0029】
【実施例】
実施例1
下記表1に示す化学成分組成の銅合金を、高周波溶解炉を用いて大気中で、木炭被覆下で溶解し、溶解した溶湯をカーボン製鋳型に鋳造し、厚さ:50mm、幅:80mm、長さ:180mmの鋳塊を得た。次に、熱間圧延工程での粗大なFe析出物の析出を抑制するため、以下の熱間圧延を行なった。
【0030】
まず、950℃以上で30分間保持後、保持炉から取り出して鋳塊を水冷することによって900℃以下に冷却し、引き続き熱間圧延を開始して17mmまで熱間圧延を行ない、700℃以上の温度から水中に浸漬して急冷した。
【0031】
その後、圧延材の表面の酸化スケールを除去した後、冷却圧延を行ない、400〜600℃で20〜24時間の時効析出処理を行なった。更に、50〜90%の冷間圧延を行なって板厚を0.25mmとし、300〜500℃の塩浴中に20秒〜1時間保持した後、水中に浸漬して急冷した。
【0032】
このとき比較材として、下記に示す従来の方法(通常の熱間圧延)によっても製造した。まず950℃以上で30分保持後、17mmまで熱間圧延を行ない、700℃以上の温度から水中に浸漬した。その後工程(酸化スケールの除去以降の工程)は、上記と同様にして比較材(No.5)を製造した。
【0033】
【表1】
【0034】
上記の様にして製造した銅合金材に対して、引張り強さ、耐力(0.2%耐力)、導電率、曲げ加工性、耐熱温度およびはんだ耐熱剥離性等について調査した。このとき引張り強さおよび耐力は、圧延方向に平行に切り出してJIS13号試験片を作製し、この試験片を用いて引張試験を行なって測定した。また導電率は、JISH0505に基づいて%IACS(International Annealed Copper Standard:国際軟銅標準)を測定した。
【0035】
曲げ加工性については、曲げ線を圧延方向に直角に設定し、JISZ2248に示されるVブロック法曲げ試験でR=0のVブロック曲げ治具で実プレスを用いて1tonの荷重で予備曲げを行ない、次に平らな金属テーブル上に予備曲げされた試験片変を置き、1tonの荷重で密着させた。そして、曲げ部を20倍のルーペで観察してクラックの有無によってその良否(○、×)を評価した。
【0036】
耐熱温度は、5分間加熱後のビッカース硬度が、加熱前のビッカース硬度の90%以上を確保できる温度として測定した。また、はんだ剥離性は、6Sn/4Pdはんだを245±5℃×5秒にてはんだ付けした後、150℃のオーブンで1000時間加熱し、この試験片を曲げ半径:0.25mmで180°曲げ戻しして加工を加え、加工部のはんだが剥離するかを観察した。
【0037】
更に、表面から板厚みの1/4の領域における80nm以上のFe析出物の透過型電子顕微鏡(TEM)写真から判断した。この場合に、1μm×2μmの領域を10視野撮影し、サイズが80nm以上のFe析出物の個数を数え、その平均分布を計算した。これらの結果を、下記表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
この結果から、次の様に考察できる。まず、本発明で規定する要件を満足する実施例(No.1〜4)のものでは、480N/mm2以上の耐力と50%IACS以上の導電率を有し、80nm以上のFe析出物の平均分布がいずれも1個/μm2以下であり、曲げ加工性および耐熱性に優れていることが分かる。
【0040】
これに対しNo.5の比較例は、各成分の含有量は本発明で規定する範囲内であるが、通常の熱間圧延を行なっているので、熱延初期において粗大なFe析出物が析出し、80nm以上のFe析出物の分布が規定範囲よりも多くなって、曲げ加工性および耐熱性が悪くなっている。
【0041】
また、No.6の比較例では、Feの含有量が少ないので、480N/mm2以上の耐力が得られず、また耐熱性も劣化している。No.7の比較例では、Feの含有量が多くなっており、鋳造時に粗大なFe析出物の析出が起こるので、80nm以上のFe析出物の分布が規定範囲よりも多くなって、曲げ加工性および耐熱性が悪くなっている。
【0042】
一方、No.8の参考例では、PとSiの合計含有量が多くなっているので、50%IACS以上の導電率が得られていない。また、No.9の参考例では、MgとSnの合計含有量が多くなっているので、導電率および曲げ加工性が低下している。更に、No.10の参考例では、Znの含有量が本発明の好ましい範囲よりも少ないのではんだ耐熱剥離性が低下しており、No.11の参考例では、Znの含有量が本発明の好ましい範囲よりも多くなっているので導電率が低下している。
【0043】
実施例2
下記表3に示す組成の銅合金を用い、実施例1と同じ工程によって銅合金板材を製造した。このとき、比較材(表3のNo.16)についても、実施例1に示した従来の工程(通常の熱間圧延)によって作製した。
【0044】
【表3】
【0045】
得られた各銅合金材に対して、実施例1と同様にして、引張強さ、耐力(0.2%耐力)、導電率、曲げ加工性、耐熱温度およびはんだ耐熱剥離性等について調査した。その結果を、下記表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】
この結果から、次の様に考察できる。まず、本発明で規定する要件を満足する実施例(No.12〜15)のものでは、480N/mm2以上の耐力と50%IACS以上の導電率を有し、80nm以上のFe析出物の平均分布がいずれも1個/μm2以下であり、曲げ加工性および耐熱性に優れていることが分かる。
【0048】
これに対しNo.16の比較例は、各成分の含有量は本発明で規定する範囲内であるが、通常の熱間圧延を行なっているので、熱延初期において粗大なFe析出物が析出し、80nm以上のFe析出物の分布が規定範囲よりも多くなって、曲げ加工性および耐熱性が悪くなっている。
【0049】
また、No.17の比較例では、Feの含有量が少ないので、480N/mm2以上の耐力が得られず、また耐熱性も劣化している。No.18の比較例では、Feの含有量が多くなっているので、鋳造時に粗大なFe析出物の析出が起こるので、80nm以上のFe析出物の分布が規定範囲よりも多くなって、曲げ加工性および耐熱性が悪くなっている。
【0050】
No.19,21,22の参考例では、P,Zn,Mg,Sn等の含有量が多くなっているので、50%IACS以上の導電率が得られておらず、このうちNo.19,22のものは曲げ加工性も劣化している。また、No.20の参考例では、Znの含有量が本発明の好ましい範囲よりも少ないので、はんだの剥離が生じている。
【0051】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、強度および電導性に優れることは勿論のこと、曲げ加工性および耐熱性に優れ、リードフレームやコネクタ等における小型、軽量化という要求特性を十分に対応することのできる高強度銅合金が実現できた。
Claims (3)
- Fe:1.5〜2.5%(質量%の意味、以下同じ)、Zn:0.03〜3%、PおよびSiを合計で0.001〜0.2%を含み、残部:銅および不純物を満足する銅合金であって、少なくとも表面から板厚の1/4の領域における80nm以上のFe粒子の平均分布が1μm2の視野内において0.4個以下であり、耐力が480N/mm2以上で且つ導電率が50%IACS以上であることを特徴とする曲げ加工性および耐熱性に優れた高強度銅合金。
- Mgおよび/またはSnを合計で0.4%以下含有するものである請求項1に記載の高強度銅合金。
- 請求項1または2に記載の高強度銅合金を製造するに当たり、熱間圧延前に930℃以上に加熱した後、900℃までを5℃/s以上の冷却速度で冷却し、引き続き900℃以下の温度で熱間加工を開始することを特徴とする曲げ加工性および耐熱性に優れた高強度銅合金の製造方法。
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