JP3273613B2 - 高い強さおよび導電率を有する銅合金の製造方法 - Google Patents

高い強さおよび導電率を有する銅合金の製造方法

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JP3273613B2 JP51114594A JP51114594A JP3273613B2 JP 3273613 B2 JP3273613 B2 JP 3273613B2 JP 51114594 A JP51114594 A JP 51114594A JP 51114594 A JP51114594 A JP 51114594A JP 3273613 B2 JP3273613 B2 JP 3273613B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い強さと、高い導電率とを有する銅合金
の製造方法に関する。特に、銅・ジルコニウム・クロム
基合金は、電気的および電子的の用途のための銅合金を
形成するためにコバルト(および/または鉄)と、チタ
ンとの添加によって改質される。
【0002】 コネクタのような電気的な構成要素と、リードフレー
ムのような電子的な構成要素とは、銅の高い導電率を活
用するために銅合金から製造される。C10200(99.95重
量%の最低銅含有量を有する酸素無し銅)のような純銅
は、該構成要素が挿入および除去に関連する力を受ける
用途に対して過度に弱い約37kg/mm2(52ksi)の降伏強
さをスプリングテンバー(弾性限の上限を上昇させる焼
もどし法)において有している。銅の強さを増大するた
め、広い範囲の合金用元素は、銅に添加されている。大
抵の場合には、合金用添加物によって達成される降伏強
さの増大と結果として生じる導電率の低減との間にかね
合いが存在する。
【0003】 この明細書の全体にわたって、C10200のような合金の
表示は、統一番号付け法(Unified Numbering System)
の表示を利用する。構成元素の%は、特別に表示されな
ければ質量%である。 電気的および電子的の用途のために、ジルコニウム
と、ジルコニウムおよびクロムの混合物とは、銅に屡々
添加される。例えば、銅合金C15100(公称成分0.05%〜
0.15%ジルコニウムと、残部銅)は、95%IACSの導電率
を有している(IACSは、非合金の銅が100%IACSの導電
率を有しているとして定義される国際焼鈍銅基準を表わ
す)。C15100は、46kg/mm2(66ksi)よりも大きくない
スプリングテンバーの降伏強さを有している。銅・ジル
コニウムの金属間化合相は、合金の強さを増大する熱処
理(析出硬化)に続いて個々別々の第2相として銅母組
織から析出する。しかしながら、C15100の降伏強さは、
小型化される用途において一層高い強さのコネクタおよ
びリードフレームに対する現在の傾向に対して依然とし
て過度に低い。
【0004】 一層高い強さは、クロムおよびジルコニウムの混合物
を銅に添加することによって得られる。C18100(公称成
分0.4%−1.0%のクロム、0.08%−0.2%のジルコニウ
ム、0.03%−0.06%のマグネシウムおよび残部銅)は、
47−50kg/mm2(67−72ksi)の降伏強さにおいて80%IAC
Sの導電率を有している。C18100の導電率は、受入れ可
能であるが、降伏強さは、所望なよりも僅かに低い。ま
た、銅/クロムの2成分から成る合金に対して約0.65%
の銅中のクロムの最大固溶度以上のクロム含有量は、劣
った表面特性および不均等な化学的食刻特性(chemical
etching characteristics)に寄与する大きい第2相の
分散を生じる。
【0005】 半導体ディバイスの寿命を延長するために高い熱消散
を必要とするリードフレームと、抵抗加熱が有害である
高電流を運ぶ電気コネクタとに対して、約70%IACS以上
の導電率と、約56g/mm2(80ksi)以上の降伏強さとを有
することは、望ましい。
【0006】 該合金は、室温と、上昇される(200℃まで)常用温
度との双方において良好な応力緩和抵抗特性を有せねば
ならない。外部応力が金属ストリップへ加えられると
き、該金属は、等しく反対の内部応力を展開することに
よって反作用する。金属が歪んだ位置で保持されれば、
内部応力は、時間および温度の双方の関数として低減す
る。応力緩和と呼ばれるこの現象は、微小塑性流れによ
り弾性ひずみが塑性ひずみあるいは永久ひずみに置換さ
れるために生じる。銅基電気コネクタは、延長される時
間にわたり組合わされる部材上にしきい値接触力(thre
shold contact force)以上を維持せねばならないばね
接触部材に屡々形成される。応力緩和は、開放回路へ導
くしきい値(threshold)以下に接触力を低下する。従
って、電気的および電子的の用途のための銅合金は、室
温および高い周囲温度の双方において応力緩和に対する
高い抵抗を有すべきである。
【0007】 最小曲げ半径(MBR)は、如何に過酷な曲げが該曲げ
の外側半径に沿う「オレンジ剥離」ないし折断なしに金
属ストリップに形成可能であるかを定める。該MBRは、
外側導線がプリント回路ボードへの挿入のために90゜の
角度に曲げられるリードフレームの重要な特性である。
また、コネクタは、種々な角度のベンドを形成される。
ここにtが金属ストリップの厚さであるベンド(bend)
即ち曲げの成形性であるMBR/tは、金属ストリップが破
損することなくそのまわりに曲げられるマンドレルの曲
率の最小半径と、金属の厚さとの比である。
【数1】
【0008】 約2.5以下のMBR/tは、金属ストリップの圧延方向に対
して垂直の曲げ軸線の「良い方向」(good way)で作ら
れるベンドに望ましい。約2.5以下のMBRは、金属ストリ
ップの圧延方向に対して平行な曲げ軸線の「悪い方向」
(bad way)で作られるベンドに望ましい。 要するに、電気的および電子的の用途に対して望まし
い銅合金は、下記の特性の總ての組合わせを有してい
る。 ・70%IACSよりも大きい導電率。 ・56kg/mm2(80ksi)よりも大きい降伏強さ。 ・150℃までの高い温度における応力緩和に対する抵
抗。 ・「良い方向」および「悪い方向」における2.5よりも
小さいMBR/t。
【0009】 該銅合金は、酸化に抵抗して均等に食刻(etch)せね
ばならない。均等な食刻は、鋭く滑らかな垂直のリード
壁を食刻されるリードフレームに与える。また、予清掃
の際の均等な化学的食刻は、電気分解または無電解の手
段による良好な被覆を促進する。 アクツ等(Akutsu et al)に対する米国特許第4,872,
048号は、リードフレーム用銅合金を開示する。該特許
は、0.05−1%のクロムと、0.05−0.3%のジルコニウ
ムと、0.001−0.05%のリチウムまたは5−60ppmの炭素
のいづれかとを含有する銅合金を開示する。また、種々
なその他の添加物の約2%までは、存在してもよい。2
つの開示される実例は、80kg/mm2(114ksi)の引張り強
さと、69%IACSの導電率とを有する合金21(0.98%クロ
ム、0.049%ジルコニウム、0.026%リチウム、0.41%ニ
ッケル、0.48%錫、0.63%チタン、0.03%シリコン、0.
13%燐、残部銅)、73kg/mm2(104ksi)の引張り強さ
と、63%IACSの導電率とを有する合金75(0.75%クロ
ム、0.019%ジルコニウム、30ppm炭素、0.19%コバル
ト、0.22%錫、0.69%チタン、0.13%ニオブ、残部銅)
とである。
【0010】 ゴスダーストベニイ メタロブ(Gosudarstvenny Met
allov)に対する英国特許第1,353,430号は、錫およびチ
タンを含む銅・クロム・ジルコニウム合金を開示する。
合金1は、0.5%クロム、0.13%チタン、0.25%錫、0.1
2%ジルコニウムおよび残部の銅応を含み、62−67kg/mm
2(88−95ksi)の引張り強さと、72%IACSの導電率とを
有している。
【0011】 オリンコーポレーション(Olin Corporation)に対す
る英国特許第1,549,107号は、ニオブを含む銅・クロム
・ジルコニウム合金を開示する。処理の方法に依存し
て、0.55%クロム、0.15%ジルコニウム、0.25%ニオブ
および残部の銅を含む合金は、51−64kg/mm2(73−92ks
i)の降伏応力と、71−83%IACSの導電率とを有してい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記で明示される要件を満足する銅合金に対する当該
技術における必要性が残存することは、明らかである。
従って、本発明の目的は、該合金の製造方法を提供する
ことである。銅合金がコバルトおよびチタン、鉄および
チタン、またはコバルト、鉄およびチタンの特定の濃度
を含む銅・コバルト・ジルコニウム合金であることは、
本発明の特徴である。本発明の他の特徴は、コバルト対
チタン、鉄対チタン、またはコバルト+鉄対チタンの原
子%比が高い導電率を与えると共に合金の強さを維持す
るように制御されることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の方法における銅合金が約56kg/mm2(79ksi)
以上の降伏強さを有し、複数の工程中時効硬化焼鈍の付
加により降伏強さが約62kg/mm2(89ksi)以上に増大さ
れることは、本発明の利点である。本発明の更に他の利
点は、特許請求の合金の導電率が73%IACS以上であっ
て、或る実施例では、77%IACSを越えることである。本
発明の別の利点は、該銅合金が3000時間にわたる150℃
への露出後に残る応力の95%以上を有する優れた強さ緩
和抵抗を示すことである。本発明の更に別の利点は、幾
つかの処理の具現に続いて、合金のMBR/tが特許請求さ
れる銅合金に対して良い方向において約1.8であって、
悪い方向において約2.3であることである。
【0014】 本発明による銅合金の製造のための方法は, a) 質量%で、0.1%から1.0%までの量のクロムと、
0.05%から0.40%までのジルコニウムと、0.1%から1.0
%までの“M"と、0.05%から0.7%までのチタンと、残
部銅および不可避不純物とから本質的に成る銅合金を鋳
造(10)し,ここに、“M"が、鉄、コバルトおよびこれ
等の混合物から成る群から選択され, b) 少くとも部分的に均質化するために該銅合金を加
熱(12)し, c) 50%以上の面積の縮小のために該銅合金を熱間圧
延(14)し, d) 25%以上の減面率で該銅合金を冷間圧延(18)
し, e) 該銅合金を容体化(20)し, f) 最終厚さまで該銅合金を冷間圧延(24)し, g) 銅合金が最終寸法である間に350℃から600℃まで
の温度で15分から16時間までの時間だけ該銅合金を析出
(26)時効する 段階を備えることを特徴とする。上述の目的、特徴およ
び利点は、次の明細書および図面から一層明らかにな
る。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の銅合金は、本質的に、クロム、ジルコニウ
ム、コバルトおよび/または鉄およびチタンから成って
いる。クロムは、析出硬化によって強さを増大するのに
有効な量から約0.8%までの量で存在する。ジルコニウ
ムは、約0.05%から約0.40%までの量で存在する。コバ
ルトは、約0.1%から約1%までの量で存在する。コバ
ルトの一部または總てのいづれかは、鉄または他の遷移
元素の等しい質量%で置換されてもよい。チタンは、約
0.05%から約0.7%までの量で存在する。該合金の残部
は、銅である。
【0016】 クロム−クロムは、析出硬化(時効)によって合金の
強さを増大するのに有効な量から約1.0%までの量で合
金に存在する。好ましくは、最大のクロム含有量は、約
0.5%である。銅合金におけるクロムが最大固溶度限界
に近づくと、粗い第2相の析出物が増大する。粗い析出
物は、合金の強さを増大することなく銅合金の表面特性
と、食刻(etching)およびメッキの特性との双方に有
害に作用する。
【0017】 また、合金中に存在するコバルト、鉄およびチタン
は、コバルト−Xまたは鉄−Xを含む種々な析出物を形
成するように結合し、ここに、Xは、主にチタンである
が、幾らかのクロムおよびジルコニウムを含む。下記で
論議されるように、Ti格子点の一部は、通常ジルコニウ
ムまたはクロムによって占められる。過剰な鉄、コバル
トまたはチタンが銅母組織における固溶体中に未反応の
ままであれば、導電率は、低減される。クロムは、導電
率のこの低減を減少するように付加的なチタンに結合す
る。好適なクロム含有量は、約0.1%から約0.4%までで
あり、最も好適なクロム含有量は、約0.25%から約0.35
%までである。 ジルコニムウ−ジルコニウムの含有量は、約0.05%か
ら約0.40%までである。好適な最大ジルコニウム含有量
は、約0.25%である。ジルコニウム含有量が過度に低け
れば、該合金は、応力緩和に対し劣った抵抗を有する。
ジルコニウム含有量が過度に高ければ、強さにおいて如
何なる増大をも与えることなく合金の表面特性および食
刻特性の双方に有害な影響を与える粗い粒子が形成す
る。好適なジルコニウム含有量は、約0.1%から約0.2%
までである。 ハフニウムは、同一の質量%においてジルコニウムの
一部または全部に対する好適な代用物である。ハフニウ
ムに関連する余分な費用は、その使用をあまり望ましく
ないものにしている。
【0018】 遷移元素(“M")−コバルト、鉄およびこれ等の混合
物から成る集団から選択される遷移元素(“M")は、約
0.1%から約1%までの量で存在する。コバルトおよび
鉄は、一般に置換可能であるが、鉄は、導電率に僅かな
低減(約5−6%IACS低下)を伴って強さに僅かな増大
(約4−5ksiの改善)を与える。コバルトおよび/また
は鉄の含有量が過度に高ければ、粗い第2相粒子が、鋳
造の際に形成される。粗い析出物は、合金の表面特性お
よび食刻特性の双方に有害な影響を与える。“M"が銅母
組織中に固溶体で残るように不十分なチタンまたはクロ
ムが存在すれば、該合金の導電率は、低下する。コバル
トおよび/または鉄の含有量が過度に低ければ、該合金
は、時効による析出硬化を受けず、該合金の強さが増大
しない。コバルトおよび/または鉄の好適な量は、約0.
25%から約0.6%までである。最も好適な量は、約0.3%
から約0.5%までである。
【0019】 出願人等は、コバルトおよび/または鉄の幾らかまた
は總てがニッケルで置換可能と信じる。しかしながら、
ニッケルの有用さは、銅の導電率におけるニッケルの効
果によって示唆されるが、ニッケルはあまり好適ではな
い。第1表に示されるように、ニッケルは、純銅に固溶
体として存在すると、コバルトまたは鉄のいづれよりも
銅の導電率に少い効果しかもたらさない。102.6%IACS
からの導電率の低下は、高純度銅において現在達成され
る最高値からの導電率の低下を表わす。
【0020】 驚ろくべきことに、遷移金属が固溶体から析出される
とき、ニッケルは、第2表に示されるようにコバルトま
たは鉄のいづれよりも導電率に一層有害な効果を有して
いる。第2表の合金は、公称導電率を測定するのに先立
って溶体化焼鈍、冷間圧延および500℃において2時間
にわたる時効の手順によって処理された。該合金は、最
大導電率を測定するのに先立って48時間にわたり500℃
に加熱することによって過剰に時効された。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】 図1は、表2のニッケル含有合金の1000倍に拡大され
た顕微鏡写真であり、図2は、表2のコバルト含有合金
の1000倍に拡大された顕微鏡写真である。ニッケル含有
合金は、粗い第2相の析出物が分布している。コバルト
含有合金は、粗い第2相の析出物が殆なく、むしろ微細
な粒子4の均等な分散を含む。粗い析出物2は、圧延ま
たはその他の加工の際に潜在的な割れの開始個所であ
り、回避されるべきである。従って、本発明の好適な合
金は、約0.25%以下のニッケル、好ましくは約0.15%以
下のニッケル、最も好ましくは0.10%以下のニッケルを
含む。 ニオブ、バナジウムおよびマンガンのようなその他の
遷移元素は、使用されてもよい。マンガンのようなあま
り反応的でない遷移金属は、あまり好適ではない。固溶
体に残留のマンガンおよびチタンは、導電率を受入れ不
能なレベルまで低減する。ニオブおよびバナジウムは、
チタンに反応しないが、強さを増大する元素の分散相を
与える。
【0024】 チタン−チタンは、約0.05%から約0.7%までの量で
存在する。好適な最大のチタン含有量は、約0.5%であ
る。チタンは、六方晶系の結晶構造を有する第2相析出
物を形成するように“M"と化合する。該第2相は、主と
して結晶形CoTiまたはFeTiである。Ti格子点の一部は、
ジルコニウムまたはクロムの原子によって占められる。
チタンに対するコバルトおよび/または鉄の好適な比
(重量%において)は、約1.2:1から約7.0:1までであ
る。一層好適な比は、約1.4:1から約5.0:1までであり、
最も好適な範囲は、約1.5:1から約3:1までである。コバ
ルト、鉄およびチタンの含有量が好適な比から変化する
際、余分は、銅母組織における固形体に残り、合金の導
電率を低減する。この効果は、導電率に対してCo/Tiの
比を比較する第3図に線図で示される。導電率は、約1.
2:1の比において劇的に低下し、該比は、該値よりも上
に維持されるべきである。
【0025】 添加物 本発明の合金は、少量の他の元素の添加によって特定
の用途に対して向くように造られる特性を有してもよ
い。該添加物は、導電率または曲げ成形性のような望ま
しい特性を有意に低減することなく所望の特性の向上を
達成するのに効果的な量においてなされる。これ等の他
の元素の全体の含有量は、約5%以下であり、好ましく
は約1%以下である。 マグネシウムは、はんだ付け性能およびはんだの付着
を改善するために添加されてもよい。好適なマグネシウ
ム含有量は、約0.05%から約0.2%までである。また、
マグネシウムは、合金の応力緩和特性を改善する。 導電率を有意に低減することなく機械加工性は、硫
黄、セレン、テルル、鉛またはビスマスの添加物によっ
て向上可能である。これ等の機械加工性向上添加物は、
合金内に別個の相を形成し、導電率を低下しない。好適
な含有量は、約0.05%から約0.5%までである。
【0026】 脱酸剤は、約0.001%から約0.1%までの好適な量で添
加されてもよい。好適な脱酸剤は、硼素、リチウム、ベ
リリウム、カルシウム、および個々のまたはミッシュメ
タルとしての希土類金属を含む。硼化物を形成する硼素
は、合金の強さをも増大するために有益である。 導電率の低下を伴って強さを増大する添加物は、アル
ミニウムおよび錫を含み、1%までの量で添加されても
よい。 一層安い価格の合金のために、銅の20%までは、亜鉛
で置換されてもよい。亜鉛希釈剤は、価格を低減して、
黄色を帯びる合金を与える。好適な亜鉛含有量は、約5
%から約15%までである。
【0027】 本発明の合金は、任意の好適な工程によって形成され
る。2つの好適な方法は、図4から図6までに示され
る。図4は、2つの好適な方法に一般的な工程の段階を
ブロック図で示す。図5は、高い強さおよび高い導電率
の双方を有する合金を作るための次の処理段階を示す。
図6は、導電率における最小の犠牲を伴って正に一層高
い強さを有する合金を作る代りの処理段階をブロック図
で示す。 図4を参照すると、該合金は、任意の好適な工程によ
って鋳造10される。1つの好例の工程では、陰極の銅
は、保護木炭被覆の下でシリカるつぼ内で溶解される。
次に、コバルトおよび/または鉄の所望の量が添加され
る。次に、チタンは、溶融物に添加され、次に、クロム
およびジルコニウムが添加される。次に、溶融物は、銅
の鋳型に注入されて、鋳塊に鋳造される。
【0028】 次に、該鋳塊は、約30分から約24時間までにわたりほ
ぼ約850℃と1050℃との間の温度に圧延12に先立って加
熱され、これは、また該合金を少くとも部分的に均質化
する。好ましくは、加熱は、約2−3時間にわたり約90
0℃−950℃までである。 代りに、該鋳塊は、当該技術で「ストリップ鋳造」と
して周知の薄いスラブに直接に鋳造される。該スラブ
は、約2.5mmから約25mm(0.1″−1″)までの厚さを有
している。次に、鋳造されたストリップは、冷間圧延さ
れるか、または鋳造後の再結晶/均質化の焼鈍によって
処理されて次に冷間圧延されるかのいづれかである。
【0029】 均質化12に続いて、該鋳塊は、約50%以上の減面率ま
で、好ましくは約75%から約95%までの範囲の減面率ま
で熱間圧延14される。この明細書の全体にわたって、圧
延による減面率は、他の態様に明示されなければ、横断
面の面積の縮小として与えられる。熱間圧延での変形14
は、単一のパスでもよく複数パスを必要としてもよい。
最後の熱間圧延での変形14に直ぐ続いて、該鋳塊は、固
溶体に合金用元素を維持するように室温まで代表的に水
中の急冷16によって時効温度より下に急速に冷却され
る。出願人等の工程において明示される急冷段階の各々
は、好適であるが、随意であり、各急冷段階は、当該技
術で周知の急速冷却の任意のその他の手段によって置換
えられてもよい。
【0030】 急冷16に続いて、処理段階の2つの異なる系列(シー
ケンス)は、僅かに異なる特性を有する合金を生じる。
第1工程(“工程1"と呼ばれる)は、第5図に示され
る。該合金は、高い強さと、高い導電率とを達成する。
第2工程(“工程2"と呼ばれる)は、導電率の最小の犠
牲によって一層高い強さを達成する。第5図は、工程1
を示す。該合金は、約25%以上の減面率で、好ましくは
約60%から約90%までの減面率で冷間圧延される。該冷
間圧延18は、中間の再結晶焼鈍を伴って、またはなし
に、多量パスまたは単一パスでもよい。冷間圧延18に続
いて、該合金は、約30秒から約2時間にわたって約750
℃から約1050℃までの温度に加熱することによって溶体
化20される。好ましくは、該溶体化20は、約30秒から2
分までにわたり約900℃から約925℃までの温度において
である。
【0031】 該合金は、次に急冷22された後、最終厚さまで冷間圧
延24される。冷間圧延24は、約25%以上の減面率であ
り、好ましくは、約60%から約90%までの範囲内の減面
率である。冷間圧延24は、中間再結晶焼鈍を伴って、ま
たはなしに多重パスまたは単一パスでもよい。 該合金が冷間圧延24によって最終厚さまで縮小された
後、該合金の強さは、析出時効26によって増大される。
該合金は、約15分から約16時間までにわたり約350℃か
ら約600℃までの温度に加熱することによって時効され
る。好ましくは、該合金は、約1時間から約8時間にわ
たり約425℃から約525℃までの温度に加熱される。工程
1は、強さ、導電率および成形性の最適の組合わせが必
要の際に利用される。
【0032】 導電率の僅かな低減において一層高さ強さが必要であ
れば、図6に示されるように工程2が利用される。急冷
16(図4)に続いて、該合金は、溶体化厚さ(solution
izing gauge)まで冷間圧延28される。該冷間圧延の縮
小変形は、約25%以上であり、好ましくは約60%から約
90%までの範囲内である。冷間圧延段階28は、中間の再
結晶焼鈍を伴って、またはなしに多重パスまたは単一パ
スでもよい。 冷間圧延28に続いて、該合金は、約15秒から約2時間
までにわたり約750℃から約1050℃までの温度に加熱す
ることによって溶体化30される。一層好ましくは、溶体
化温度は、約30秒から約2分にわたり約900℃から約925
℃までである。溶体30に続いて、該合金は、時効温度よ
りも下に代表的に水中で急冷32になるように急速に冷却
される。
【0033】 次に、該合金は、約25%から約50%までの減面率で冷
間圧延34される。該縮小変形は、中間の溶体化再結晶焼
鈍を伴う多重パスまたは単一パスでもよい。 冷間圧延34に続いて、該合金は、再結晶を回避するの
に十分に低い温度で時効36される。時効36は、好ましく
は、約15分から約8時間までの時間にわたり約350℃か
ら約600℃までの温度においてである。一層好ましく
は、非再結晶の析出硬化処理36は、約2時間から約3時
間までにわたり約450℃から約500℃までの温度において
である。 非再結晶の時効36に続いて、該合金は、約30%から約
60%までの減面率で冷間圧延38される。冷間圧延段階38
に続いて、該合金は、約30分から約5時間までにわたり
約350℃から約600℃までの範囲内の温度で約2非再結晶
析出硬化焼鈍40を随意に与えられる。好ましくは、この
随意の第2非再結晶析出硬化焼鈍40は、約2時間から約
4時間までにわたり約450℃から約500℃までの温度にお
いてである。随意の該第2非再結晶析出硬化段階40の正
確な時間および温度は、該合金の導電率を最大化するよ
うに選択される。
【0034】 次に、該合金は、中間の亜再結晶焼鈍(sub−recryst
allization)を伴うかまたはなしに多重パスまたは単一
パスにおいて最終厚さに約35%から約65%までの減面率
で冷間圧延42される。冷間圧延42に続いて、該合金は、
ストランド(strand)焼鈍のために約10秒から約10分ま
でにわたり約300℃から約600℃までの温度において安定
化リリーフ(relief)焼鈍44を与えられる。ベル(bel
l)焼鈍に対して、安定化リリーフ焼鈍44は、約15分か
ら約8時間までにわたり約400℃までの温度においてで
ある。一層好適には、約1時間から約2時間にわたり約
250℃から約400℃までにおけるベル焼鈍である。安定化
焼鈍44に続いて、該合金は、ストランド焼鈍されれば、
急冷46される。急冷は、一般に、ベル焼鈍に続いて利用
されない。工程2は、導電率の最小の犠牲によって最大
の強さを有する合金を作る。
【0035】 他の工程の実施例では、均質化焼鈍(第4図の符号4
8)は、工程1または工程2のいづれかに含まれる。均
質化焼鈍48は、冷間圧延段階(図5の18または図6の2
8)の前または後で熱間圧延段階14と溶体化段階(図5
の20または図6の30)との間に挿入される。均質化焼鈍
48は、約15分から約8時間にわたり約350℃から約750℃
までの温度においてである。好ましくは、均質化焼鈍48
は、約6時間から約8時間にわたり約550℃から約650℃
までの温度においてである。 一般に、工程1によって作られる合金は、高い強さ、
高い導電率および成形性がコネクタおよびリードフレー
ムの用途におけるように必要である場合に利用される。
工程2は、一層高い強さと、優れた応力緩和抵抗とが必
要であって、導電率における或る最小の低下が許容さ
れ、例えば高い強さの導線を必要とするリードフレーム
と共に、自動車の用途に対するように上昇される温度に
さらされる電気コネクタの用途において利用される。
【0036】 本発明方法による合金の利点は、下記の実例によって
明らかである。該実例は、好例であって、本発明の範囲
を制限するように意図されない。 実 例 本発明の合金の電気的および機械的の特性は、リード
フレームおよびコネクタの用途において従来使用される
銅合金に比較された。星印を前に付けた合金H,I,Pは、
本発明の合金であり、一方、他の合金は、通常の合金ま
たは合金G,K,Lのようにクロムの寄与またはチタンに対
する“M"の比の寄与のいづれかを示すための好適な成分
の変形例のいづれかである。
【0037】
【表3】
【0038】 合金AからMまでおよびPは、上述の方法によって作
られた。各合金の5.2kg(10ポンド)の鋳塊は、保護木
炭被覆の下でシリカるつぼ炉内で陰極の銅を溶解し、所
要のコバルトおよび/または鉄の添加物を装入した後、
クロムおよびチタンを加え、特定の合金に対して所要な
ようにジルコニウムおよびマンガンを続いて添加するこ
とによって作られた。各溶解物は、次に鋼鋳型に注入さ
れ、該鋳型は、凝固の際に4.45cm(1.75″)の厚さと、
10.16cm(4″)の長さおよび巾の双方とを有する鋳塊
を作った。合金N,Oは、H08(スプリング)テンパーを有
するストリップとして得られる市販用合金である。合金
Qは、HR04(ハード(hard)リリーフ焼鈍)テンパーに
おいて市販用に作られるストリップとして得られる合金
C15100である。
【0039】 表4は、工程1で処理される合金AからMまでとRの
電気的および機械的の特性を示す。合金H,I,Jは、銅ク
ロムジルコニウム合金ベースライン(base line)(合
金B)と同様に銅ジルコニウム合金ベースライン(合金
C)よりも高い強さを有している。驚ろくべきことに、
約0.3重量%のクロムを有する合金H,I,Jは、殆3倍多い
クロム含有量を有する合金Aにほぼ等しい降伏強さおよ
び極限引張り強さを有している。 導電率を向上するクロムの効果は、合金Gと、合金I
とを比較することによって示される。該合金の間の成分
における唯一の有意の差異は、0.29%クロムの合金Iに
おける存在である。合金Iの導電率72.0%IACSは、合金
Gの導電率65.1%IACSよりも有意に高い。
【0040】 (コバルトおよび/または鉄):チタンに対する2:1
の重量比の重要性は、約1:1の比を有する合金K,Lに対し
て2:1の比を有する合金H,Iを比較することによって立証
される。合金H,Iおよび合金K,Lの強さは、ほぼ等しい
が、合金K,Lの導電率は、約20%IAC低い。
【0041】
【表4】
【0042】 合金D,Rは、特定の用途に対してチタンが除去されて
もよいことを示す。該銅・クロム・ジルコニウム・コバ
ルト合金は、一層良好な成形性、食刻およびめっきの特
性を有し著しく高いクロムを含む合金に等しい強さを有
している。導電率は、チタン含有合金のものよりも高い
が、強さの低下が生じている。クロム、ジルコニウムお
よびコバルトの範囲は、本発明の他の合金のものと同一
であることが考えられる。
【0043】 表5は、工程2によって処理されるときの合金Aから
E,GからJ、およびRの特性を示す。1つの例外は、工
程の時効焼鈍において単一に処理された合金Cである。
合金Cは、30秒にわたり900℃において溶体化された後
に水で急冷された熱間圧延板(図1の16)から2.54mm
(0.10″)の厚さに冷間圧延された。次に、該合金は、
50%の縮小まで冷間圧延され、7時間にわたり450℃に
おいて時効された後、0.64MM(0.025″)の最終厚さま
で50%の減面率で冷間圧延された。次に、合金Cは、5
分にわたり350℃においてリリーフ焼鈍された。
【0044】 本発明の合金H,I,Jの總ては、本発明の合金のものの
殆3倍のクロム含有量を有する市販用合金C181(合金
A)を含む通常の合金よりも高い強さを有している。更
に、意味のある強さの増大即ち降伏強さに関し5.6−8.4
kg/mm2(8−12ksi)の増大は、導電率の低下を殆伴わ
ない。 工程2は、合金Cのような2成分から成る銅ジルコニ
ウム合金に優る約21kg/mm2(30ksi)の降伏強さの改善
を有する本発明の合金を生じる。クロム添加の利点は、
合金G(0%Cr)の導電率を合金I(0.29%Cr)の導電
率に比較することによって明らかである。合金Gは、5
9.3%IACSの導電率を有し、合金Iは、75.5%IACSの導
電率を有している。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】 表6は、2成分から成る銅・ジルコニウム合金(合金
C,Q)または3成分から成る銅・ジルコニウム・クロム
合金(合金A)のいづれのものよりも良好である本発明
の合金の応力緩和を示す。第6表の第2欄の「工程型
式」、即ち、 ・時効硬化=工程1による処理。 ・2−IPA=工程中焼鈍2回を伴う工程2による処理。 ・1−IPA=第2析出硬化焼鈍(図3の40)を削除した
工程中焼鈍1回を伴う工程2による処理。
【0049】 本発明の合金が特に好適な一用途は、表7に示される
ように電子回路パッケージ用リードフレームである。合
金N,Oは、電子回路のパッケージの用途に通常使用され
る合金を示す。合金Nは、銅合金C197であり、合金O
は、C18070であり、市場で入手可能なリードフレーム合
金である。本発明の合金の合金Pは、通常のリードフレ
ーム合金のものに同等の導電率を有している。合金Pの
降伏強さは、合金N,Oのものよりも著しく高い。最小曲
げ半径は、合金Pに対して一層小さく、応力緩和に対す
る抵抗は、著しく改善される。
【0050】 本発明の合金は、電気コネクタおよびリードフレーム
のような電気的および電子的の用途に対して特別な有用
さを有しているが、該合金は、高い強さおよび/または
良好な導電率が必要である任意の用途に使用されてもよ
い。該用途は、導電性ロッド、電線および母線を含む。
その他の用途は、溶接棒のような高い導電性と、応力緩
和に対する抵抗とを必要とするものを含む。 本発明により、上述の目的、概念および利点を完全に
満足させ電気的および電子的の用途に特に好適であり高
い強さと、高い導電率とによって特徴づけられる銅合金
が提供されたことは、明らかである。本発明は、その特
定の実施例および実例の組合わせで述べられたが、多く
の変更、変形および改変が前述の説明によって当該技術
の熟達者に明白であることは、明らかである。従って、
添付の請求の範囲の精神および広い範囲内に属する総て
の該変更、変形および改変を包含することが意図され
る。 図面の簡単な説明
【図1】 図1は、遷移金属添加物としてニッケルを有しクロ
ム、ジルコニウムおよびチタンを含む銅基合金の顕微鏡
写真である。
【図2】 図2は、遷移金属添加物としてコバルトを有しクロ
ム、ジルコニウムおよびチタンを含む銅基合金の顕微鏡
写真である。
【図3】 図3は、コバルト/チタンの重量%比の導電率への効
果を線図で示す。
【図4】 図4は、本発明によりクロム、ジルコニウム、コバル
トおよび/または鉄、およびチタンを含む銅合金の最初
の処理をブロック図で示す。
【図5】 図5は、高い強さおよび高い導電率のために該銅合金
を更に処理する第1実施例をブロック図で示す。
【図6】 図6は、特別な高い強さと、導電率の最小の低下とを
伴って該銅合金を更に処理する第2実施例をブロック図
で示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−128158(JP,A) 特開 平3−199332(JP,A) 特開 昭63−38543(JP,A) 特開 平3−258440(JP,A) 特開 昭59−193233(JP,A) 特開 平4−214829(JP,A) 特開 平5−51674(JP,A) 特公 昭62−41301(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22F 1/00 - 3/02 C22C 1/00 - 49/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銅合金の製造のための方法において, a) 質量%で、0.1%から1.0%までの量のクロムと、
    0.05%から0.40%までのジルコニウムと、0.1%から1.0
    %までの“M"と、0.05%から0.7%までのチタンと、残
    部銅および不可避不純物とから本質的に成る銅合金を鋳
    造(10)し,ここに、“M"が、鉄、コバルトおよびこれ
    等の混合物から成る群から選択され, b) 少くとも部分的に均質化するために該銅合金を加
    熱(12)し, c) 50%以上の面積の縮小のために該銅合金を熱間圧
    延(14)し, d) 25%以上の減面率で該銅合金を冷間圧延(18)
    し, e) 該銅合金を溶体化(20)し, f) 最終厚さまで該銅合金を冷間圧延(24)し, g) 銅合金が最終寸法である間に350℃から600℃まで
    の温度で15分から16時間までの時間だけ該銅合金を析出
    (26)時効する 段階を備えることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法において,前記銅合
    金が、段階c(14)、e(20)の少くとも1つの後に急
    冷(16,22)されることを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の方法において,段階d
    (18)が中間の再結晶焼鈍を伴って反復されることを特
    徴とする方法。
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